Holy Night

今年のクリスマス・イブは例年よりずっと寒い。この寒い日に宍戸はいつもより少しオシ
ャレをして出かける。今日は跡部とデートなのだ。一時に駅前で待ち合わせをしているの
で、十分前くらいに家を出る。その表情はとても明るく期待に満ちたものだった。
「あっ、跡部。」
「遅ぇーぞ。早く来いよ。」
「まだ、一時なってねーぞ。お前、いつからそこにいんだよ?」
「今から十分前くらいかな。それより、どこ行くんだ?今日は特に決めてないぜ。」
「うーん・・・まだ、真昼間だしなあ。」
「何だよ?ラブホにでも行きたいのか?」
「ち、違ぇーよ!!クリスマスツリーって夜の方がキレイだからさ。」
跡部が突拍子もないことを言うので宍戸は必死で否定した。しばらく、悩んで口を開く。
「じゃあさ、跡部。ゲームセンター行こうぜ。」
「ゲームセンター?クリスマス・イブなのにか?」
「クリスマス・イブだから行きたいんだよ。とにかく行こうぜ。」
宍戸に引っ張られ跡部はゲームセンターに行くことになった。跡部的にはもっと恋人同士
で行くような雰囲気のいい場所へ行きたいと思っているのだが、特に行きたいところがな
いので、仕方なくゲームセンターへ向かう。
「で、何すんだよ?こんなところで。」
「ああ、ちょっとしたいことがあって・・・・。」
「D.D.Rか?UFOキャッチャ―か?俺は何でもできるぜ。」
「そうじゃなくて・・・」
宍戸は照れながら、跡部をある機械がある場所へ連れて行く。カーテンがあり、そのカー
テンにはたくさんの見本の写真。今や全身を写すことが主流になっている機械。そうプり
クラだ。
「一緒に撮ろうぜ、跡部。」
「お前、こんなのがしたかったわけ?」
「うるせーな。いいじゃんか別に。」
「こんなの女が撮るものだろうが。」
跡部があまりにもバカにするので、宍戸は少しキレ気味に撮りたい理由を説明した。
「そんな言い方しなくてもいいだろ!?俺はただ今日のクリスマスにお前といたって証拠
みたいなのが欲しかったんだよ!確かに女みたいだろうけどさ、これしか思い浮かばなか
ったんだ!悪ぃかよ!!」
恥ずかしさと跡部に分かってもらえないくやしさで、今にも泣きそうな顔で怒鳴る。それ
が分かると跡部は宍戸の頭をポンポンと叩いて、誰もいない機械のカーテンを開けた。
「分かったよ。ほら、撮るぞ。」
カーテンの中に入るよう促され、宍戸は不機嫌顔のままそこに入る。跡部は機械に100
円玉を四枚入れた。
「ほら、そんな不細工な顔してんじゃねーよ。」
「してねー!」
「でも、これって結構おいしいんじゃねぇの?」
「は?何が?」
「だってよ、カーテン閉めたんだから、外からはどういうふうな格好で撮ってるか分から
ないんだぜ?」
「だから、何だよ?」
跡部は話しながら、どのように撮るか、シールの分割はどういうふうにするか、背景はど
うするかを次々と設定していった。そして、宍戸が気づいた時にはシャッターを切るカウ
ントダウンの声。
「こういうことだ。」
パシャンッ
シャッター音と同時に宍戸の唇は跡部に奪われていた。続いて二枚目の写真という時もそ
のまま唇を離そうとしない。それどころか、より深くされて宍戸は腰砕け状態寸前だった。
「・・・・はぁっ・・・」
撮り終わると、宍戸はへなへなとその場に座り込む。そんな宍戸を無視して、跡部は落書
きモードに突入。今日の日付(12月24日)と適当な文字を入れて、バランスよくそれ
に見合ったスタンプを押す。二種類とも落書きを終えるとあとは印刷を待つばかりなので、
座り込んでいる宍戸に話しかける。
「ちゃんとお前の望み通り、今日一緒にいたことがわかるように日付入れておいてやった
ぜ。」
「跡部〜、何すんだよ!?」
「何が?」
「どうしてこういう時にキスすんだよ!?」
「ああ、よく撮れてたぜ。」
「そういうことじゃなくて・・・」
『印刷が終わりました♪じゃあ、またね。』
印刷の終了したことを伝えるメッセージが流れる。跡部は取り出し口からシールを取り出
した。そして、それを宍戸に渡す。宍戸はおそるおそるそのプりクラに目を落とした。
「なかなかよく撮れてんだろ?」
「・・・・・。」
宍戸はもう声も出ない。半分は胸から上だけで、表情もばっちり分かるくらいアップで撮
られている。もう半分は全身で自分で見てもドキドキするような抱きしめられ方をされて
いる。それも、どちらにも日付が入り、“kiss in Christmas Eve”
というメッセージつき。こんなの誰にもあげられない、本気でそう思った。
「半分に分けんだろ?貸せよ。切ってやる。」
跡部は宍戸からプりクラを撮り、二つに分けた。その片方を宍戸に渡す。
こんなプりクラありかよ〜。確かに残したいとは思ったけどこれはちょっと刺激強すぎ。
でも、まあこれはこれで俺と跡部がラブラブだって証拠になるからいっか。
何だかんだ言っても、やっぱり宍戸は自分と跡部がラブラブならそれでいいらしい。ゲー
ムセンターを出ると、二人はクリスマスセールで華やいでいるショッピングモールへと向
かった。

「宍戸、クリスマスプレゼント何欲しい?」
「そうだなあ、今、特に欲しいものってのはねぇな。」
「じゃあ、メイド服でも買ってやろうか?」
「いらねーよ!アホ!!」
「だったら、何がいいんだよ?」
「うーん・・・」
何が欲しいかと聞かれてもそう簡単には思い浮かばない。宍戸は悩んだ結果、ある結論を
出す。
「物はいらねぇからさ・・・」
「ああ。」
「クリスマス・イブとクリスマスの間中、ずっとお前と一緒にいたい。」
「そんなんでいいのか?」
「ああ。それが今、俺が一番望むこと。」
跡部はこの宍戸の答えを聞いて笑った。それは、自分だって同じだと言いたいところだが、
あえて言わない。
「お前は何が欲しいんだよ?」
「そんなの決まってんじゃねーか。」
「?」
街中にも関わらず、跡部は耳元で妖しく囁いた。
「お前だよ。」
「〜〜〜〜っ!!」
耳を押さえて、顔をりんごのようにして跡部を睨む。
「な、な、何言ってんだよ!?それもこんなところでっ!!」
「別に他の奴らには聞こえてねーよ。」
「でも・・・」
「今夜は覚悟しとけよ、宍戸。」
「!!」
もう跡部に流されっぱなしの宍戸は何も言い返せないし、どうすることもできない。顔が
赤いのを必死で他の人にバレないようにしながら、歩きつづける。
「だいブ暗くなってきやがったな。雪でも降んのか?」
「雪!?」
雪と聞いた瞬間、宍戸の顔が明るくなった。雪が降るのはこの年になっても、うれしいよ
うだ。しばらく、適当に店をまわって時間をつブした。日が沈み、辺りが暗くなり始める
とあちこちがライトアップされる。
「跡部ー、俺、でかいクリスマスツリー見に行きたい!!」
「ああ、確か中央広場にあったな。」
「行こうぜ。」
幼い子供のように宍戸ははしゃぐ。跡部はそんな宍戸の肩を抱いて、その方向に向かって
歩き出した。中央広場に着くと、色とりどりに大きなツリーが輝いていた。
「うわあ、スゲー!!」
「へぇ、なかなかのもんだな。おっ。」
「どうしたんだよ?」
「見ろよ。雪だぜ、宍戸。」
空を見上げると粉のような白い結晶がふわふわと舞い降りている。宍戸は本当にうれしそ
うな笑顔で跡部に抱きついた。
「跡部、雪だぜ雪!!ホワイトクリスマスだ!」
「そんなにはしゃぐなよ。だいブ寒くなってきやがった。もうそろそろ帰るか。」
「えー、もう帰るのか。」
残念そうに言う宍戸のほっぺに跡部は軽く口づける。
「もちろん、俺の家にだけどな。」
「じゃあ、今日は俺、跡部んちに泊まりだな。」
「当然だろ?じゃあ、行くか。」
「あっ!!」
「どうした?」
宍戸は見覚えのある顔を見つけた。それも、かなりカップルじみた格好をしている。
「お前達も来てたのか?つーか、すごい格好してんな。」
クリスマスデート中の滝と鳳だ。一つのマフラーを二人でして、手袋をしてない方の手で
手を繋いでいるというかなりラブラブな格好。誰が見ても仲がよいのは丸分かり。まあ、
滝が女の子に見えるのでなんとか許される。
「だいぶ、うまくいってるみたいじゃねーか。俺らはこれからもう家に帰るけど、お前ら
はまだここにいんのか?」
「いや、もうそろそろ移動しようかと思ってる。」
「それじゃあ、ちょっと目立ちすぎだもんな。跡部、早くお前んち行こうぜ。」
「ああ。じゃあな。」
二人に手を振って、その場所を離れた。跡部の家に向かいながら、宍戸はふうっと溜め息
をつく。それは、安堵でもあり少し寂しさも入っていた。
「長太郎のやつ。滝とラブラブだったな。」
「何だよ?まだ、あいつのことが気になるのか?」
跡部はあきらかに不満を顔に出して、宍戸に問う。
「違ぇーよ。ホッとしてるんだ。俺のこと慕ってたって、俺はあいつを後輩以上としては
見てやれねーし、傷つけるだけだと思ってたから。滝ならさ、あいつを幸せにできんだろ。
俺は今、跡部しか見えねーもん。」
寂しそうな恥ずかしそうな笑みを浮かべて、跡部に返した。跡部は宍戸の頭を撫でて、う
れしそうに笑う。
「うれしいこと言ってくれるじゃねーか。さっさとうちに行こうぜ。」
いつものように手を絡め、二人は跡部の家に向かう。

跡部の家には、大きなツリーがありすでにご馳走が用意されていた。
「今日もお泊りなのよね、亮君。」
「はい。いつもご迷惑をおかけしてすいません。」
「全然、気にしなくていいわよ。」
豪華なディナーを食べながら、宍戸は跡部の母と話をする。跡部の母は相当宍戸がお気に
入りらしい。
「亮君って、本当可愛いわね。ねぇ、景吾ちゃん。亮君をお嫁さんにしてよ。そうすれば、
いつも一緒にいられるでしょ?」
日本人でない跡部の母は、無茶苦茶な提案を跡部にする。宍戸も跡部もこの発言に驚きは
したが、思わず笑ってしまった。
「母さんが許してくれるなら、俺はいつでもこいつを嫁にもらうけどな。」
「おい、跡部。いいのかよ、そんなこと言って。」
「本当!お母さんは許すわよ。そうしたら、私、亮君のお母さんになれるもの。」
本当に宍戸のことが好きだということは、この言葉からよく分かる。さすが、親子。好み
もそっくりらしい。
「おい、俺ら親公認だぜ。どうするよ?」
「じゃあ、しちまうか。」
『ふふ・・・あははは。』 
三人での夕食はとても楽しいものになった。いつも通りシャワーを浴びて、二人はさっさ
と部屋に行ってしまう。
「はあー、それにしても、跡部の母さんおもしろいな。」
「しっかりしてんだけどよ、どっか抜けてるとこっつーか、人と逸脱したとこがあんだよ
な。」
「でも、いい人じゃねーか。」
「まあな。それより、宍戸。今日もするだろ?」
「えっ、あ、ああ。」
「いつもと同じじゃつまんねーよな。」
「別に俺はいつも通りでも・・・」
「だって、クリスマスだぜ?何か特別なことしたいじゃねぇか。」
ベッドに座って、跡部はジリジリと宍戸に迫る。後ずさりをしようとしたが、宍戸も座っ
ていたので、ベッドに倒れる形になった。
「SMは?」
「嫌だ。」
「じゃあ、イメクラ。」
「ものによるけど・・・・。」
「そうだな・・・サンタクロースと子供とか?」
「却下。」
「えーと、騎乗位はダメか?」
「・・・うーん、それなら別にいいぜ。」
二人でどんなふうにやるか相談中。普通はこんなことしないだろう。一通り決まったのか、
跡部は宍戸に深く口づけをし、服を脱がし始めた。
「う・・・んん・・・ぅん・・・」
長めのキスが終わると宍戸はもう力が抜けて、抵抗する気は全く無し。跡部に身をまかせ
て、触られる心地よさに浸る。途中まで下ろされたパジャマの間にあらわになった肌に跡
部はゆっくりと自分のものだという証をつけていく。
「はっ・・・あん・・・」
「お前の肌って、この前まであんなに傷だらけだったのに、治っちまうとスベスベで柔ら
けぇんだな。」
「やっ・・・何言って・・・・ふっ・・・」
「ここもこんなにたたせちゃって。」
しだいに赤みを帯びて、ちょうどピンク色になっている突起を跡部は口の中で軽く転がす。
「ひゃっ・・・あんっ・・・」
「可愛いぜ、宍戸。お前からおねだりされたら、すっげーうれしいんだけどな。」
「そんなこと・・・しねぇに決まってんだろ!」
「あっそ。ま、お前にそんなこと期待してねぇけどな。」
「だったら、言うな・・っ・・・あ・・やぁっ・・・」
跡部は宍戸の体を反転させ、後ろから手を伸ばし、前を器用に触り始めた。
「久々だろ?手でやられるのは。」
「あっ・・・やだ・・・跡部っ・・・」
「嘘つくなよ。気持ちイイくせに。」
「ん・・・あぁっ・・・そんなにしたら・・・出る・・・」
「出しゃあいいだろ。別に我慢することないんだぜ?」
「はぁ・・・あっ・・んん・・・もう・・・イク・・あぁ――っ・・・」
ビクビクと体を震わせると、宍戸は跡部の手の中に熱を放った。跡部は呼吸の整わない宍
戸の手を取って、指を舐める。
「っ・・・!!何だよ、跡部・・・。」
「今日は騎乗位だろ?慣らすのから自分でやれよ。」
「はっ!?何言ってんだ!!んなことできねーよ!!」
「ふーん。じゃあ、今日はここでやめる。」
「なっ!!」
その言葉が本気なのだろうか、跡部は宍戸から体を離した。離したといっても別に部屋か
ら出て行くとかそういう素振は見せない。あくまでもベッド内で離れたということだ。宍
戸はこんなところでやめて欲しくないけれど、自分で慣らすことなんて絶対にできない。
もうどうすればいいか分からなくなって、次第に涙目になっていく。そして、しばらく黙
っていたが、突然、跡部の手を取り、さっき自分がされたように指を舐め出した。
「何だよ?宍戸。」
「・・・ん・・ふっ・・・」
跡部の問いも全く無視で指を舐め続ける。跡部は舐められている指を口の中で動かし、敏
感な粘膜を刺激した。
「・・・ぁ・・んん・・・んっ・・・」
宍戸は喉の奥で喘ぐ。指が十分に濡れると口から離して、ポロポロ涙を流しながら、嗚咽
まじりの声で跡部に言った。
「跡部・・・俺・・自分じゃできねぇよ・・・お願いだから・・・跡部が慣らして・・・
ここでやめるなんて・・・・言わないでくれよ・・・」
こんなことになるとは思っていなかったので、跡部はメチャクチャドキドキしてしまった。
こんな頼まれ方をされたら、続けないわけにはいかない。宍戸の正面に座り、いつもの命
令口調で言った。
「分かったよ。じゃあ、宍戸。もっと、足を開け。そんなんじゃ慣らせねぇぜ。」
宍戸は素直に足を開く。もちろん羞恥はあるのだが、ここでやめられるよりかは全然マシ
だと思っている。跡部の指が入るのを感じると宍戸は一段と高い声を上げた。
「あっ・・・あぁ――っ・・・!!」
「ちょっと、キツイな。今日はしっかり慣らさないと。」
「うあ・・・跡部っ・・・やぁんっ・・・」
「だいブ、ほぐれてきたぜ。ほら。」
跡部は入れたままの状態で指を小刻みに動かす。もちろん、入っている指は一本ではない
ので、その衝撃は相当なものだ。宍戸は跡部の肩にしがみついて、内側から与えられる快
感に身を震わせていた。
「くっ・・・あ・・跡部・・・俺・・・また・・・」
「宍戸はここが弱いんだったよな?」
「ひゃっ・・・ああっ――!!」
一番敏感なところを擦られ、宍戸は再び達した。息を乱す宍戸に跡部は飄々と言い放った。
「もういいんじゃねーか。ほら、早く俺の上に乗れよ。」
「〜〜〜!!」
文句を言おうにも自分が望んだことだから、言えるはずがない。続けたいと言ったのは宍
戸の方なのだから。跡部は自分のモノに潤滑剤を垂らす。少しでも宍戸の負担を減らすた
めだ。
「準備オッケーだぜ。」
「じゃあ・・・入れるから・・・」
宍戸は腰を落とした。さっき十分に慣らされたおかげでそんなに痛みはない。ただ、圧迫
感だけは少々感じていた。だが、そんなのはつかの間のこと。あっという間に痺れるよう
な甘い感覚が宍戸の身体を凌駕する。
「大丈夫か?宍戸。」
「あ・・・ああ・・・大丈夫・・・ぅんっ・・・」
「大丈夫そうだったら、動けよ。その方が楽だと思うぜ。」
「うっ・・・あ・・あっ・・・んっ・・・」
言われた通り動くと中が擦れて、さらなる快感を生み出す。そんな感覚に宍戸はもう夢中
だった。しばらく自ら動いていると、再び宍戸に絶頂の波がやってくる。
「ハァ・・・あ・・とべ・・・あっ・・・」
宍戸の様子を見て、跡部は宍戸がもうそろそろ限界だということに気がついた。横たえて
いた体を起こして、宍戸を抱きしめる。
「もうそろそろ限界なんだろ?」
「う・・・うん・・・もう・・・イキそ・・・」
「じゃあ、イこうぜ。」
跡部は下から激しく宍戸の中を突いた。
「ああ―――っ・・・!!」
「くっ――・・・!」
溜まっていた熱を残らず放つと、二人はベッドに倒れこんだ。荒い息づかいがしばらく部
屋に残る。

「はあー、今日も激しかったな。」
「今回は俺の所為だけじゃねーぜ。」
「分かってんよ!お前があんな中途半端なとこでやめるっつーから。」
「まさか、あんな迫り方されるとは思ってなかったぜ。」
「う、うるせーな。別にいいだろ!?」
「誰も悪いなんて言ってねーよ。」
ベッドの上で雪を見ながら、二人は話す。暖房がきいていて暖かいので、二人は裸のまま
だ。
「でもさ、宍戸。」
「何だよ?」
「最高のクリスマスプレゼントだったぜ。」
昼間欲しいものが自分だと言っていたのを思い出し、宍戸は顔を赤くした。だが、ここで
怯む宍戸ではなかった。
「そうだろ、そうだろ。これ以上豪華なプレゼント他にないぜ。」
「ふっ、言ってくれるじゃねーか、宍戸。」
「だけどな、これはお前にしかやれねぇんだからな!一生大切にしないとあっという間に
消えちゃうぜ。」
「ああ。お前は俺だけのもんだもんな。一生可愛がってやるよ。」
跡部は布団の中で宍戸の手に自分の手に絡めた。宍戸もその手を握り返す。
「雪・・・キレイだな。」
「ああ。でも、お前のほうがキレイだぜ。」
「あーもう、どうしてお前はそんなふうに話題を変えるかなあ。」
「だって、俺の頭の中、ほとんどがお前のことだぜ?」
「勝手に言ってろ、アホ!」
「冷てぇ奴。んなこと言っといて、お前の頭ん中も俺でいっぱいじゃねーの?」
「なっ!?違ぇーよ!!」
図星を指されて、宍戸はメチャメチャ動揺した。跡部はクスクス笑って、宍戸のホッペ
にキスをする。宍戸は顔真っ赤にして、布団にもぐった。
「もう寝る!!」
「もう寝るのか?俺、寂しいぜ宍戸。」
「言ってろ!!」
口調は怒っているが、宍戸の表情はとても幸せそうな笑顔だった。日付はもう変わり、
12月25日。聖なる夜はまだ始まったばかりだ。

                                END.

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