Honey Days

日の没する西の山奥。ここには大きな城とも言えるような屋敷が建っている。そこには、
人間界の俗世間から離れた一人の魔術師と、真っ白な羽を持った一人の天使、そして、片
羽の堕天使が二人暮らしていた。日が沈んでから、数時間後、その屋敷の一角からクスク
スと楽しそうな笑い声が響いている。
「くすぐってぇよ、跡部。」
「ふっ、テメェは本当そういうのが似合うよな。」
二人がじゃれあっている部屋には、様々な色の花が溢れている。堕天使である跡部は、自
分の欲しいと思うものを自由自在に出すことが出来るのだ。今日は、宍戸を花塗れにして
やりたいと思い、部屋中に数え切れないほどの花を出した。ただいま、宍戸の頭には器用
に編まれた花冠がかぶせられ、体中に鮮やかな色の花びらが散りばめられている。
「おっ、いい感じの見つけたぜ。」
「何だよ?」
そこらじゅうにある花の中から、跡部は真っ赤な花のついた蔓薔薇を見つけた。それを手
にとると、宍戸の手首に巻きつける。もともと棘はないので、宍戸の肌を傷つけることは
ない。
「薔薇の手錠だ。」
「むー、これじゃ手動かせねぇ。」
「ちょっとくらいいいだろ。そうだ、どうせだったら・・・」
まだ、残っている蔓薔薇を今度は宍戸の首に巻きつける。苦しくないようにと、キツさを
調節しながら、そう簡単に外れないように巻いた。それはまるで首輪のようで、手錠とあ
いまって拘束感を醸し出す。自由に動きが取れなくなった宍戸は、少し困ったような顔を
して、跡部の青い瞳を見つめた。
「フッ、たまんねぇなその表情。」
「えっ・・・わっ!」
困っている顔が可愛くて仕方がないと、跡部はぐいっと宍戸の顎を持ち上げ、鋭い瞳で宍
戸の瞳を射抜いた。とにかくじっと見つめられるという状況に宍戸はだんだんと恥ずかし
さを感じ、次第に頬が赤く染まってゆく。
「な、何だよ・・・?」
「俺様に見つめられて、そんなに恥ずかしいのか?顔、真っ赤だぜ。」
「だってよ・・・」
「なあ、キスしてって言ってみろよ。」
「なっ!?」
「ほら。言えねぇのか?」
馬鹿にされたような口調で言われ、負けず嫌いの宍戸は恥ずかしさと戦いながら、その言
葉を口にする。
「キス・・・して・・・」
「ああ。いいぜ。」
宍戸からおねだりの言葉を聞くと、跡部はニヤリと口元を緩ませ、花に塗れた宍戸に甘い
接吻を落とす。トクントクンと熱くなる血液が宍戸の体をぐるりと巡る。甘い花の香りに
包まれながらの長い長いキス。あまりの心地よさに宍戸はすっかり夢見心地だ。
「ん・・・」
「本当にいい顔するな。最高だぜ、宍戸。」
「跡部・・・」
うっとりと瞳を潤ませる宍戸の頬に跡部はそっと手を添える。もう一度唇を重ねようとし
たその時・・・
コンコン
突然、ドアをノックする音が聞こえる。跡部は宍戸の頬からすっと手を離し、ドアの向こ
うの人物に対して返事をした。
「何だ?滝。」
「夕飯出来たよ。ドア開けてもいい?」
「ああ、構わねぇぜ。」
もともと鍵などかけていないので、滝は二人のいる部屋のドアをいとも簡単に開ける。中
には一面の花の山。芳しい花の匂いでいっぱいの部屋に入り、滝は二人の姿を見つける。
「すっごい花だね。どうしたの?コレ。」
「んー、何となくそういう気分でよ、出してみた。」
「ふーん。ん?宍戸、どうしたのその格好。」
「跡部にされてよー。ひっでぇよな。」
「あはは、でも、可愛いんじゃない?夕食、冷めないうちにおいでよ。せっかく長太郎が
頑張って作ってくれたんだから。」
「ああ、すぐ行く。」
滝はそんな言葉を残すと二人のいる部屋を後にする。夕食はしっかり食べないとというこ
とで、跡部は宍戸の体に飾られていた花を外し、その手を取る。
「行くぜ、宍戸。」
「お、おう。」
ぐっと宍戸の手を引くと、跡部は宍戸の耳元でそっと囁く。
「続きは後でな。」
「!」
その言葉を聞き、宍戸の胸はドクンと高鳴る。ドキドキと心臓が速くリズムを刻んでいく
のを感じながら、宍戸は跡部の手をぎゅっと握り返した。

食堂に入るとそこには素朴でありながらも豪華な食事がテーブルいっぱいに並んでいた。
どれも鳳の手作り。滝と一緒に暮らすようになってから、鳳は料理を覚え、たんさんのレ
パートリーを増やしていった。その中のいくつかを今日は振舞う。温かみに溢れたその料
理に、他のメンバーの舌鼓は打つ。
「激うめー!!」
「ありがとうございます、宍戸さん。」
「よくもまあ、こんなに俺ら好みの味付けが出来るよな。どれも人間界の食材なんだろ?」
「まー、そうですけど、調味料とかは滝さんが作ったものとかジローさんや樺地に頼んで
採って来てもらったあっちのものとかもありますから。」
「なるほどな。それでか。これもうまそうだ。」
どれも美味しいと跡部はテーブルに並べられた様々なおかずに箸を伸ばす。それを見て、
鳳は嬉しそうに笑う。
「あっ、そうだ。お風呂、もう用意してあるんだけど、先に入る?それとも後で入る?」
口に入っていた食べ物を飲み込むと、滝は思い出したようにそんなことを二人に尋ねる。
二人は顔を見合わせて、目と目で会話をする。
「俺らは、先に入らせてもらうぜ。いいか?」
「うん。じゃあ、俺達は跡部達が入った後でゆっくり入ろうね、長太郎。」
「はい。俺、食器の片付けがあるんで、ゆっくり入ってくださいね、跡部さん、宍戸さん。」
「おう!あっ、長太郎、そこにあるサラダ取って。」
「いいですよ。いっぱい食べてくださいね。」
はぐはぐと嬉しそうに口を動かし、宍戸は鳳からサラダを受け取る。それを口いっぱいに
含んで、満面の笑みで鮮やかな色のサラダを食べる。あまりにも美味しそうに食べている
宍戸を見て、跡部もそのサラダを食べたくなる。
「宍戸、俺にも少しくれ。」
「いいぜ。ほい。」
あーんとは言わずともまさにそのような状態で、宍戸は跡部にサラダを食べさせる。全く
見せつけてくれるよねーと滝は苦笑した。
「ふふ、何か楽しいね、長太郎。」
「はい。一緒にご飯食べる人が増えて嬉しいです。」
二人の世界に入っている跡部と宍戸にはそんな会話が聞こえるはずもなく、特に関心も示
さず、食事を続けた。滝と鳳においては、クスクスと笑いながら二人の様子を眺めるので
あった。

夕食に使った食器も洗い終わり、鳳はエプロンを外して、部屋へ戻ろうとする。ドアを開
けようとしたその時、計ったかのように外から滝がドアを開けた。
「わっ・・・」
「あ、長太郎、洗い物終わった。」
「はい。」
「そっか。跡部と宍戸、もうお風呂入り終わったみたいだからさ、一緒に入ろう?」
「いいですよ。じゃあ、ちょっと準備してくるんで、先に行ってて下さい。」
「分かった。じゃ、待ってるから。」
鳳より一足先に、滝は浴室へと向かう。着替えの用意をすると、鳳も滝の後を追うように
して浴室へと向かった。
「お待たせしてすいません。」
「ううん、全然待ってないよ。それじゃ、入ろうか。」
「はい。」
脱いだ服を綺麗にたたんで、二人は浴室に入る。浴場といってもいいほどの大きな浴室に
足を踏み入れると、二人はまずは髪や体を洗い合った。ハーブの匂いの泡が二人の体を覆
う。泡だらけのまま、一際たくさんの泡を手の平に乗せ、滝はそれにふうっと息を吹きか
ける。すると、小さなシャボン玉がいくつも出来る。
「わあ、すごいですね。」
「こういうの作るの結構得意なんだよね。大きいのも作れるよ。」
両手の指で大きめの円をつくると、滝はそこに石鹸の膜を張り、そこにふうっと息を吹き
込む。すると、さっきのシャボン玉とは比べ物にならない大きさのシャボン玉が出来た。
「うわあ!」
「ふふ、長太郎もやってみる?」
「はい!」
滝の真似をして、鳳もシャボン玉を作ってみようとする。しかし、滝のようにうまく作る
ことが出来ない。
「うーん、なかなか難しいですね。」
「コツがあるんだよ。それは、まあ、秘密だけど。」
「何でですかー?いいですよー、シャボン玉くらい、俺いくらでも出せますから!」
そう言うと、鳳は手にいっぱいの泡を乗せ、それを思いきり上へ投げる。ふっとそれに息
を吹きかけると、あっという間にそれは虹色のシャボン玉に姿を変えた。
「あー、今、天使の力使ったでしょ?」
「あはは、バレました?」
「当たり前じゃない。でも、まあ、綺麗だからいいや。」
天使の力を使うなんてずるいなあと思いつつ、滝はそんなことは全く気にしない。そろそ
ろ体についた泡を流そうと、滝はシャワーの蛇口をひねる。
「そろそろ流して、湯船入ろう。ゆっくり温まって疲れを取らないとね。」
「そうですね。」
体についた泡を流すと、二人は湯船に入った。リラックスしながら、少し熱めのお湯に浸
かり、二人は瞳を閉じた。
「はあ〜、いい気持ちだねー。」
「はい。極楽ーって感じですよね。」
「長太郎がいたところは、天使界なんでしょ?それこそ極楽って感じじゃないの?」
極楽と天国は似ているのだろうと思い、滝はそんなことを口にする。しかし、鳳は苦笑し
ながら首を振った。
「そんなことないですよ。規律も厳しいですし、そんなに好きなことばっかり出来るって
わけじゃないですから。俺にとっては、今のここでの生活の方がよっぽど極楽みたいな感
じですけどね。」
「ふーん、そっか。まあ、跡部と宍戸の一件もあるしね。大変そうって言ったら大変そう
かも。」
「そうですよ。・・・滝さんは、どうしてこんな山奥に一人で暮らしてたんですか?俺が
来る前はずっと一人だったってことですよね?」
「人間界も似たようなもんなんだよ。別に悪いことに使ってたわけじゃないんだけど、黒
魔術ってそんなにいいものとして見られてないんだよねー。で、いろいろ面倒だったから
ここに一人で暮らすことにしたんだ。もともとここはおばあちゃんちだったんだけどね。
もう何年も前に亡くなっちゃってるから。」
「そうだったんですか。」
「初めはさ、一人でも全然平気だったんだけど、たぶん今は無理かなぁ。長太郎が来てか
らは、二人がやっぱり楽しいって思うようになったし、今は跡部や宍戸もいるしね。」
にっこりと笑いながら滝は言う。体が温まっている所為か、ほのかに赤く染まっているそ
の顔を見て、長太郎はドキッとする。滝はそんな鳳にすっと近づき、ぎゅっと抱きしめる。
「わあっ・・・」
「長太郎。」
「な、何ですか・・・?」
触れ合う部分から心臓のドキドキが聞こえてしまうと、鳳は離れようと思うが、壁に背中
をつけてしまっているので、動くことが出来ない。そんな鳳の鼓動を肌で感じながら、滝
は真っ白な羽を指先で優しく撫で、耳元で囁く。
「長太郎と出会えてよかった。大好きだよ。」
「滝さん・・・」
滝の突然の告白に鳳は頭がぼーっとしてくる。熱くなった血液が全身を駆け巡っていると
いう感じだ。そんな状態の鳳に滝はさらに言葉を続ける。
「ねぇ、今日新しい魔術の実験に付き合ってくれる?」
「ふぇ?」
「ご褒美ちゃんとしてあげるから。」
「してあげるって・・・?」
「それは手伝ってくれてからのお楽しみ♪どう?」
「もちろん、滝さんの頼みなら聞きますよ。」
「ありがとう。じゃあ、あがろうか。」
「は、はい。」
新しく覚えた魔術を試してみたいと滝は鳳にそんなことを頼む。善は急げと二人は湯船か
らあがる。湯船からあがった瞬間、鳳はぐらっと一瞬眩暈を感じた。
「うっ・・・」
「おっと・・・大丈夫?長太郎。」
「す、すいません。ちょっとのぼせちゃったみたいで・・・」
「そっか。ちょっと待ってね。」
何か呪文のようなものを唱え、滝は手を軽く擦り合わせる。そして、その手を鳳の額と首
の後ろにあてた。
「滝さんの手、すごく冷たくて気持ちいいです。」
「少し体が冷めたら、外に出ようね。」
「はい。すいません。」
魔術で氷のように冷たくなった滝の手は鳳の体を素早く冷やした。そのおかげで、鳳の気
分はすぐによくなった。鳳が立ち上がれるのを確認すると、湯気でいっぱいになった浴室
を後にし、脱衣所に移動した。
「ありがとうございます、滝さん。もう平気です。」
「そっか。よかった。今度入る時はのぼせないように気をつけなきゃね。」
「そうですね。気をつけます。」
まだ熱の抜けきっていない赤い顔で、鳳は恥ずかしそうに頷く。そんな鳳の頭をくしゃっ
と撫でると、滝は用意してきた部屋着に着替え、鳳の着替えの手伝いをしてやる。鳳は背
中に大きな翼が生えているため、着替えにはある程度の時間を要するのだ。鳳の着替えも
きっちり済ますと、滝は体温を取り戻した温かな手で鳳の手を握り、自室へと歩き出した。

日付もそろそろ変わるというころ、跡部と宍戸はベッドの上で体を重ね、まどろんでいた。
夕食前にされていたように、宍戸は頭には花の冠、首には薔薇の首輪を身につけている。
宍戸が身につけているのはそれだけだ。半分夢見心地で跡部の上でまどろみつつ、宍戸は
心地よい疲労感に浸っていた。
「宍戸、寝ちまったか?」
「んー、まだ、起きてるぜ。」
跡部にそんなことを尋ねられ、宍戸はむくっと体を起こし、跡部の顔を見る。その頬に触
れ、跡部はこれ以上ない穏やかな微笑みを見せる。
「テメェの羽もだいぶ黒くなっちまったな。」
「そりゃ、こんなに毎日跡部と繋がってりゃな。でも、前より二人で一対感があって俺は
気に入ってるぜ。」
跡部と体を重ねるたびに宍戸の真っ白だった翼は、跡部と同じように黒くなってきていた。
しかし、もうここは天使界ではない。羽が何色であろうと別に何の問題はないのだ。むし
ろ、跡部と同じになってきているということが宍戸には嬉しくてたまらなかった。
「なあ、跡部。さっきの薔薇の手錠どうした?」
「薔薇の手錠?あー、確か枕元に・・・」
横になったまま、跡部は枕元を探り、薔薇の手錠を掴む。
「ほら、これだろ?」
「おー、サンキュ。」
「どうすんだ?そんなもん。」
「へへへ・・・」
意味深に笑みを浮かべて、宍戸はぐるっと自分の右手首にそれを巻き、余っている部分を
跡部の左手首に巻きつける。薔薇の手錠で繋がった手を見て、跡部はふっと笑った。
「何のつもりだ?」
「今日はこのまま跡部と繋がっててぇ。ダメか?」
髪の毛を垂らして首を傾げる宍戸はこれ以上なく可愛らしい。しかも、そんなことを言わ
れたら断るわけにはいかないだろう。
「ったく、しょうがねぇなあ。」
「よっしゃあ!じゃあ、今夜はずっとこのままだぜ!!」
花が咲いたように笑顔になる宍戸を見て、跡部は何だかムラっとしてしまう。しかも、宍
戸は今何も身につけてないに等しい。繋がれた左手で宍戸の右手に指を絡め、跡部は熱を
持った瞳を宍戸に向けた。
「宍戸。」
「へっ・・・?」
「俺もテメェと繋がっててぇと思うぜ。・・・コッチの方でな。」
「っ!?」
跡部の言葉の意味していることを理解した宍戸は真っ赤になりながら、あうあうと口をパ
クパクさせた。
「さっきもあんなにしたのに・・・」
「テメェだって、俺と繋がってたいってさっき言ったじゃねぇか。」
「そうだけどよ・・・それとは意味が違・・・」
宍戸の言葉を遮るように、跡部は宍戸の唇を奪う。すぐに離したが、その一撃で宍戸は落
ちた。
「いいだろ?宍戸。」
「・・・ったく、しょうがねぇなあ。」
さっきの跡部の口調を真似、宍戸は真っ赤になってそう言った。跡部は体を起こし、宍戸
の体をぎゅっと抱きしめる。
「愛してるぜ、宍戸。今夜はずっと繋がってようぜ。」
「跡部のアホ・・・明日動けなくなったらテメェの所為だからな。」
「安心しろ。ちゃーんと、優しくしてやるからよ。」
「もう・・・跡部なんて・・・・」
「何だよ?」
「大・・・」
日本語的な繋がりとしては、否定的な意味の言葉が入るはずなのだが、跡部は余裕の笑み
で次の言葉を待つ。
「・・・・好き。」
「あははは、それでこそ、俺の宍戸だぜ。」
「うるせー、するんだったらさっさとしやがれ!!」
「はいはい。」
正直な言葉しか出ないことを恥ずかしく思いつつ、宍戸は逆切れ状態で跡部を怒鳴る。し
かし、跡部にすれば、嬉しいことこの上ない。今日は一晩中たっぷり愛してやろうという
ことを心に決め、跡部は宍戸を再び強く抱きしめた。

次の日、朝食の時間になっても跡部と宍戸が全く部屋から出てこないので、鳳は心配にな
り、様子を見に行こうとした。しかし、滝はそれを止める。
「あー、いいよ、まだ寝かしといてあげな。たぶんまだ起きられないと思うから。」
「えっ、どうしてですか?ご飯冷めちゃいますよ?」
「いいのいいの。今行っても、長太郎がビックリしちゃうだけだから。あんまりにも遅く
まで寝てるようだったら、俺が起こしに行くし。だから、今は二人でご飯食べよう?」
「滝さんがそう言うなら・・・」
跡部と宍戸のことは気になるが、滝がそう言うのならばと鳳は椅子に座る。今日の明け方
たまたまトイレに起きた時、滝は跡部と宍戸がまだ起きていて、そういうことをしている
ということに気づいてしまった。さすがにそれだけやれば、今の時間に起きてご飯を食べ
ることなど不可能であろうと、滝は気を遣ってあげたのだ。鳳にそのことを気づかせるの
はどうかと思い、滝は話題をコロッと変える。
「今日の朝食もすごく美味しいよ、長太郎。」
「本当ですか?よかったですvv」
「ねぇ、今日は久しぶりに森に散歩にしに行こうか。最近あんまり外出してないし。今日
はいい天気だしね。」
「いいですね。じゃあ、お弁当作っていって森の中で食べましょう。外で食べるご飯もき
っと美味しいと思いますよ。」
「そりゃ名案だね!大賛成!!」
「滝さんもお弁当作るの手伝ってくれますか?」
「もちろん。ふふ、今日も一日楽しくなりそうだね。」
「そうですね。」
跡部と宍戸とは違う形で二人の時間を満喫する滝と鳳の顔には、穏やかな笑みが溢れてい
る。日だまりのような暖かで明るい世界。そこでは甘い甘い日常が当たり前のように繰り
返されるのであった。

                                END.

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