Honeyed words

仕事がオフの日の前日、君島は遠野の家にいた。珍しいワインやミードを仕事関連の人に
もらったので、遠野と飲みたいと思い持ってきたのだ。既にどちらのお酒も開け、二人で
それなりの量を飲んでいる。
「君島が持ってきた酒、どっちも美味いな。」
「そうですね。口当たりがよくて、いくらでも飲めてしまいます。」
「いや、お前はちょっと飲むペース考えろよ。そこまで強くねーんだから。」
「大丈夫ですよ。まだそこまで酔ってません。」
そう言いながらも君島の顔はほのかに赤く染まり、いつもとは少し違うふわふわとした雰
囲気になっている。まあ、自分と飲んでいる分には構わないかと、遠野はそれ以上止める
ようなことはしなかった。その後、数杯飲んだところで、君島はだいぶ酔っ払っている雰
囲気になる。
「遠野くん・・・」
「ん?何だよ?」
遠野の名を呼ぶと、君島はぎゅっと遠野のことを抱きしめる。
「好きです・・・」
(あー、もう、だいぶ酔ってるじゃねーか。)
君島はひどく酔うとこうなること遠野は理解していた。いつものことなのでそこまで動揺
することはないが、こうなった君島は少し面白いと思っているので、楽しげに口を緩ませ
る。
「そんなに抱きつかれてると、酒が飲めねーんだけど。」
「それは後にしてください。」
「ったく、しょうがねーなあ。」
そう言ってフッと笑いながら、遠野は軽く君島を抱きしめ返す。そんな遠野の行動に気を
よくした君島はそのまま遠野を押し倒す。
「何だよ?」
「キスしたいです。」
「すればいいだろ。」
「ええ。」
遠野が一切抵抗しないので、君島は自身の唇を遠野の唇に重ねる。ただのキスでは物足り
ないと言わんばかりに、君島は遠野の唇を開かせるように舌でそこを舐める。
「んんっ・・・」
(君島が最後に飲んでたのはミードの方か。アルコールの香りと独特の甘さ。悪くねぇ。)
君島の舌に残るほのかな蜂蜜の味を感じながら、遠野はじっくりとその風味を味わう。
(どうせキスして満足したら、また寝ちまうんだろうな。)
こんなふうな酔い方をした君島は、遠野に絡んだ後、遠野をその気にさせるだけさせて寝
入ってしまうことが多かった。それが分かっているため、遠野は過度な期待を抱かないよ
うにと、自分の心にセーブをかける。
「んっ・・・はぁ・・・ハァ・・・」
君島が唇を離すと、遠野は蕩けたような表情で君島を見る。そんな遠野を見て、君島は愛
おしげに目を細める。
「遠野くんは本当に可愛いですね。」
「はあ?」
「もっと可愛い顔、見せてください。」
そう言いながら、君島は遠野が下に穿いているものを脱がせようとする。
「ちょっ、ちょっと待て!!」
いつもはだいたいこのくらいで寝てしまうので、想定外の君島の行動に遠野は慌てる。
「待ちません。」
「き、君島っ!!」
ズボンも下着も脱がしてしまうと、君島は既に反応している遠野の熱を見て、嬉しそうに
笑う。
「ほら、遠野くんもその気になってるじゃないですか。」
「そ、それは・・・」
「遠野くんのこと、気持ちよくさせてあげますね。」
ペロっと自分の指を舐めると、その濡れた指を遠野の蕾へと持っていく。
つぷっ・・・
「んあんっ・・・!!」
「ふふ、ビクッとして可愛いですね。」
「あっ・・・君島・・・」
遠野が可愛らしい反応を見せるので、君島は上機嫌な様子で遠野のそこを弄る。酔ってい
るにも関わらず、的確に遠野の弱いところを責めるので、遠野はビクビクと下肢を震わせ
る。
「あっ・・・あんっ・・・んぁっ!!」
(今日はそこまでするのかよ!!いや、でもこの状態でされるのって結構レアだし、俺も
結構酒飲んでるから、超気持ちイイ・・・)
嫌がることなく素直に気持ちよさそうにしている遠野の様子に、君島は顔を緩ませたまま
そこを弄る。だんだんと解れてくると遠野の反応もより大きなものになっていく。
「んあっ・・・あっ・・・ああぁんっ!!」
「気持ちよさそうですね。もうすぐイッてしまうのではないですか?」
「んっ・・・君島ぁ・・・」
ビクビクとしながら、甘い声色で名前を呼ぶ遠野の声に君島はゾクゾクしてしまう。
「気持ちよさそうな遠野くん、本当に可愛いです。そろそろイかせてあげますね。」
そう言うと、君島はグリグリと遠野の一番感じる場所を刺激する。
「あああぁっ・・・そこ、そんなにされたらっ・・・!!」
「ふふ・・・」
「ああぁんっ・・・ダメだっ!!もう・・・イクっ!!あああぁっ!!」
ぎゅうぎゅうと君島の指を締めつけながら、遠野は勢いよく白い蜜を放つ。ビクビクと震
えながら、激しく呼吸を乱す遠野を見て、君島は満足気に笑う。
「はぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「たくさん出ましたね。」
「君島・・・」
「早く繋がりたいです。」
「あっ・・・」
遠野を休憩させることなく、君島は自身の熱を押し当てる。達したばかりということもあ
り、遠野のそこはヒクヒクと痙攣していた。
「遠野くんのここ、ヒクヒクしていて気持ちいいです。」
「そんなこと言うな・・・」
「入りますよ。」
遠野の両手に指を絡めてぎゅっと握ると、君島は一気に遠野の中に入る。
「んっ・・・!」
「あああぁんっ!!」
「遠野くんの中、すごく気持ちいい・・・」
「あっ・・・んぁ・・・」
(ヤベェ・・・イッたばっかだし、君島の手も中に入ってんのもスゲェ熱くて、マジで気
持ちいい・・・)
うっとりとしている遠野の表情を見て、繋がっている心地よさもあいまって、君島は遠野
を好きだという気持ちでいっぱいになる。
「遠野くんのその顔、好きです。」
「そうかよ・・・」
「遠野くんの中も、その綺麗な顔も、可愛らしい声も大好きです。」
繋がったまま好きという言葉を繰り返され、遠野の胸はキュンキュンとときめく。
「遠野くんのがむしゃらなところも、どんなに大変な状況でも諦めないところも、好きで
す。」
「えっ・・・?」
今の状況とは全く関係のないことを言い出す君島の言葉に遠野の胸はドキンと跳ねる。
「自分の心に正直なところも、自分の意見を押しつけるようでいて、最後は選択を任せて
くれるところも、大好きです。」
「ちょっ・・・君島・・・」
酔っているためか、遠野の好きな部分を次々と口にする君島に遠野は戸惑う。恥ずかしさ
とときめきで熱くなる顔を隠したいと思うが、君島がしっかりと手を握っているためそれ
は叶わない。
「その綺麗な髪も、私を見る強い眼差しも、柔らかい唇も舌も、白く滑らかな肌も、どこ
もかしこも大好きです。」
「んっ・・・」
言葉を紡ぐだけではもどかしくなり、君島はゆっくりと動き出す。
(そんなこと言われながら動かれたら・・・)
「あっ・・・ん・・・き、君島ぁ・・・」
「遠野くん・・・好き。」
「ああぁっ!!」
好きという言葉が心に沁み込み、遠野の内側はこの上なく感じやすくなる。遠野の中を堪
能しながら、君島はしばらく遠野の好きな部分をあげていく。
「んあっ・・・あ・・・あんっ・・・」
「あ、でも、遠野くんのテニスの暴力的なところは、いまだに好きじゃないです。」
「ここにきて、嫌いなところを言うのかよ?」
突然好きではない部分をあげられて、遠野は思わず笑ってしまう。
「でも、今では処刑が好きな遠野くんが大好きです。」
「なっ!?」
酒に酔ったふわりとした笑みを浮かべながら、君島はそう口にする。君島は今酒に酔って
いて、かつ身体を重ねているという理性が全く働いていない状態だ。そのため、その言葉
が嘘ではないと遠野は理解してしまう。
(ああ、どうしよう・・・嬉しすぎる。)
おそらく高校生のときは本気で嫌いだっただろうと思われる部分を今は大好きだと言われ
る。それは一番自分らしいが君島には理解してもらえないと思っていた部分だ。その言葉
が嬉しすぎて、遠野の身体は素直に反応してしまう。
「ふふ、遠野くんの中、嬉しそうに反応してますね。」
「う、うるせー・・・」
「遠野くんが嬉しいと、私も嬉しいです。」
(普段は絶対そんなこと言わねーのに、この状況でそれを言うのはずりぃだろ・・・)
ドキドキと胸を高鳴らせ、中をキュンキュンさせながら、遠野はぎゅっと君島の手を握り
返す。
「遠野くん?」
(今日は寝てはねぇけど、この酔い方は明日記憶がないとか言い出す酔い方だよな。)
「俺も・・・君島のこと、スッゲー好き。」
「んっ・・・」
「君島が誰よりも・・・世界で一番大好きだ。」
明日忘れているならば構わないだろうと、恥ずかしそうな笑みを浮かべて遠野はそう口に
する。遠野のその言葉を聞き、君島の熱は一気に高まる。
「ハァ・・・ちょっとイキそうです・・・」
「いいんじゃねーか?俺の中でイけよ。」
「んっ・・・遠野くん!!」
強く遠野の手を握りながら、君島は遠野の中にありったけの想いを注ぐ。
(あっ、君島のが奥に・・・)
君島の蜜が自分の奥にかけられているのを感じ、遠野はゾクゾクと大きな快感が迫り上が
ってくるの感じる。
「んあんっ・・・君島っ!!あああぁっ!!」
遠野が達することで中が締まり、君島は自身の蜜が搾り取られるような感覚に陥る。その
心地よさにうっとりとしながら、君島は遠野の耳元で囁く。
「ありのままの遠野くんが大好きです。そのままのキミでいてください・・・」
「ああ・・・」
絶頂の余韻と君島の甘い言葉に多幸感を覚え、遠野は君島と繋がっているその感覚を存分
に堪能する。しばらくその余韻に浸った後、ふと気づくと自分の胸のから寝息が聞こえて
くる。
「ハァ!?この状態で寝るのかよ!!」
まだ抜いていない状態で、君島は遠野の上で寝息を立てていた。
「まあ、最後まで出来ただけマシか。つーか、この状態結構重いな。」
正常位で上に覆いかぶさっている状態なので、遠野はかなりの重さを感じていた。
「とりあえず、一旦横にさせて抜くか。」
君島の身体を支えながら、遠野はゆっくりと横向きになる。まだ繋がっている状態なので、
中のそれが先程とは少し違う感じで擦れ、遠野は図らずも感じてしまう。
「んっ・・・あん・・・ハァ・・・」
(寝ちまってもすぐ萎えるわけじゃねーんだな。中、まだちょっと気持ちいい・・・)
軽く呼吸を乱しながら、遠野はゆっくりと腰を引く。奥まで入っていた君島の熱がゆっく
りと内側の襞を擦りながら抜けていく感覚に、遠野はひどく感じてしまう。
「あっ・・・イッ・・・!!」
君島の熱が自分の中から抜けた瞬間、遠野は再度達してしまう。
「ハァ、ハァ・・・また、イッちまった・・・」
恥ずかしい思いながらも君島はもうぐっすりと眠り込んでいる。ドキドキ感と内側に残る
君島の出したものの熱さ、そして、気持ちよさと満足感に口元を緩ませながら、遠野はご
機嫌な様子で後片付けをし始めた。

次の日、君島は遠野のベッドで目を覚ます。隣に遠野の姿はなく、気怠い身体を起こし、
ベッドから下りる。
(昨日の記憶が途中からないな。遠野くんと一緒だと、つい飲みすぎてしまうな。)
また迷惑をかけてしまったかもしれないと小さく溜め息をつきながら、君島はリビングへ
と向かう。
「おっ、起きてきたか。ちょうど朝飯が出来たとこだぜ。」
君島が来たのに気づき、遠野はエプロンを外しながらそう声をかける。
「おはようございます。すみません。昨日も飲みすぎてしまいましたよね。」
「まあな。だが、特に困ることはなかったから大丈夫だぜ。」
「そうですか。」
遠野の言葉にホッとしながら、君島は椅子に座る。
「二日酔いとかは大丈夫そうか?」
「ええ。昨日の記憶はあまりないですが・・・」
「いつも通りだな。」
やっぱり記憶はないかと遠野はクスッと笑う。遠野の作ってくれた朝食を食べながら、何
故だかご機嫌な遠野を眺める。
「随分とご機嫌ですね。」
「そうか?別にいつも通りだぜ。」
ルンルンとした雰囲気で遠野はそう答える。絶対に何かあっただろうと思いつつ、迷惑を
かけていることは間違いないので、君島はそれ以上追及しなかった。自分の分の朝食を食
べ終えると、遠野は両手で頬杖をつきながら君島の顔を嬉しそうな表情で眺める。
「・・・何ですか?」
「別にー。あ、また良さげな酒もらったら持って来いよ。」
「えっ?ええ、別に構いませんけど。」
「また、一緒に飲もうぜ!」
意味ありげな笑みを浮かべながら、遠野はそんなことを言う。そんな遠野が可愛らしいと
思いつつ、普段通りの君島はそのことを口に出したりはしない。
「・・・昨日は少し迷惑をかけてしまったようなので、遠野くんの好きなものでも奢らせ
てください。」
「いいのか!?じゃあ、俺のお気に入りのアップルパイの店に・・・あ、やっぱり、今の
はなしで。」
アップルパイの店に行きたいという希望を遠野はすぐに取り消す。別に構わないのにと君
島は首を傾げる。
「えっ?何故ですか?」
「今日は出かけるよりも、お前と家で二人きりで過ごしてぇ。」
「遠野くんがそうしたいのであれば構いませんが・・・」
「じゃあ、決まりだな!!二人でイイコトたくさんしようぜ!」
「なっ!?」
「いいだろ?」
「・・・仕方ないですね。」
遠野の言葉にドキッとする君島であるが、昨日酔いつぶれてしまったこともあるので、さ
すがに今日は遠野に従わざるをえない。別にそういうことをしたくないわけでもないので、
嬉しそうに笑っている遠野を見ながら、君島はフッと笑った。
                                END.

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