財前と先輩、後輩以上の関係になってからしばらく経ったある夜、銀は寮の自室で思案し
ていた。
(財前はんと仲良うなってから、キスくらいはときどきしとるけど、それ以上はどうすれ
ばええかほとんど分からんなぁ。そろそろ知っといた方がええやろか。)
財前がどう思っているかは分からないが、そういうことになった場合に何も知らないのは
良くないかもしれないと銀は考える。気づいたなら即行動と、銀はスマホで少し調べてみ
ることにする。
「なるほど。そういう感じなんやな。せやけど、文字だけやとあんまりイメージ分かへん
なあ。」
もう少し調べ、そういうことに関する書籍を注文したり、思いきって動画を調べてみた
りする。
「これはなかなか・・・」
一人部屋ではあるが、念のためイヤホンを使って動画を見る。普段そういうものを見るこ
とが多くない銀にとってはなかなか刺激の強いものであった。
「そうか。そういうもんも必要なんやな。ないよりはあった方が安心やし、後で買うてお
こう。」
あくまでも知識を得るために見ているので、そのような動画を見ているからといって、反
応してしまいそうな部分が反応することはなかった。
「基本的なところはだいぶ理解出来た気ぃするな。あとは買った本を読んだりして、もう
少し深めておけばええな。」
何となく必要そうだと思ったものは通販で注文し、開いていたページは閉じ、スマホを置
く。そろそろ寝ようかと布団に横になると、ふと先程見た動画の内容を思い出す。何故だ
か財前でその光景を思い浮かべてしまい、動画を見ていたときには全く反応していなかっ
たそこがあからさまに反応してしまう。
「こりゃアカンな・・・。一人のときならええけど、財前はんといるときにならんように
気をつけんと。」
やはり財前のことはそういう対象としても好きなのかと再確認しつつ、財前といるときは
注意しようと銀は呟く。高まってしまった熱を軽く処理した後、銀は再び布団に横になっ
た。
時を同じくして、動画を作成し、ブログを更新し終えた財前はふと時計を見る。
「もうこないな時間か。」
そろそろ寝る準備をしようと椅子から立ち上がると、鞄の上に掛けられているマフラーが
目に入る。
「師範のマフラー・・・」
それはマフラーを忘れた財前に銀が自分のしていたものを貸したものであった。ふと目に
入ったそれを取りに行き、財前は部屋の鍵をかける。そして、それを手にしたままベッド
へと向かう。
(ホンマはこないなことアカンのやろうけど・・・)
銀から借りたマフラーを首にかけ、その匂いを嗅ぐ。財前に貸す直前まで銀が巻いていた
こともあり、ほのかに銀の匂いが残っていた。
(師範の匂いがする・・・)
銀の匂いにドキドキし、財前は若干むらっとしてきてしまう。チラリとドアの方に目をや
り、部屋の鍵がかかっていること確認すると、財前はもっとその匂いを感じられるように
とそのマフラーを口元まで覆うように首に巻く。そして、ベッドの上で下に穿いているも
のを脱ぎ去る。
「ハァ・・・」
軽く指を咥え、指先を濡らす。濡れた指を開かれた脚の中心にある触れられることを期待
している蕾に持っていく。
つぷ・・・
「んっ・・・」
指先が中に入ると、財前の下肢はひくんと震える。後ろを弄ってのそれは少し前に覚えた
ものだ。興味本位で試してみたところ、思いのほかハマってしまい、銀と想いを伝え合っ
てからは、こちらの方をメインですることが多くなっていた。
「はぁ・・・んんっ・・・」
ゆっくりと指を動かすと、次第にそこはほぐれてくる。一本では物足りなくなると指を増
やし、さらに激しくそこを弄る。
「んぁんっ・・・あっ・・・んん・・・!」
(やっぱ気持ちええ・・・それに今日は・・・)
大きく息を吸うとマフラーの銀の匂いが鼻をくすぐる。まるで銀に抱き締められながら、
銀にされているように錯覚し、財前はより興奮してしまう。
「あんっ・・・師範っ・・・」
思わず口にしたその言葉に、財前の胸は大きく高鳴る。ゾクゾクと言いようもない快感が
身体を包み、絶頂感が高まる。
「んあっ・・・ああっ・・・!」
(前触っとらんのに、このままやと後ろだけで・・・)
今までは後ろを弄ると言っても、イク時は前も弄って達していた。しかし今日は、前を弄
る余裕もなく、限界近くまで高まっている。呼吸を乱し顔下げると銀のマフラーが鼻を覆
い、図らずも銀の匂いを一気に吸い込んでしまう。
(あ、アカンっ・・・!!)
「ふあっ・・・あぁんっ!!」
マフラーに顔を埋めるような形で財前は達する。後ろだけで達してしまうという初めての
体験に財前はしばらくドキドキが止まらなかった。
「後ろだけでイってもうた。」
呼吸を乱しながら、財前はしばらく余韻に浸る。少し落ち着いてくると、出したものの後
始末をし、下着とズボンを穿き直す。銀のマフラーはもとあった場所へと戻し、布団に入
った。
「はぁ・・・師範とそういうことしてみたいと思うけど、師範やからなあ。あないに無欲
の象徴みたいな人がこないなことに興味あるとは思えへんし。」
銀のマフラーで抜いてしまったことにほんの少しの罪悪感を覚えながら、財前はそう呟く。
そんな悶々とした気持ち抱えながら、財前はぎゅっと目を閉じた。
それからしばらく経ったある日の週末、財前は銀の部屋に泊まることになった。放課後銀
の部屋で過ごしていたのだが、気づいたら遅い時間になってしまい、帰るよりは泊まった
方がよいという流れになったのだ。
「師範のところに泊まるって連絡しときましたわ。」
「おおきに。ふぅ、今日の練習はちょっと気合い入れすぎて、まだこんな時間やが、ちょ
っと眠たなってきたな。」
「ちょっと仮眠とったらええやないですか。」
「せやけど、財前はんがいるのに・・・」
「俺のことは気にせんでええですよ。疲れてるならちゃんと休んでください。」
そこまで言うのならと、銀は少しだけ申し訳なさそうな顔をしながらベッドに横になる。
「師範。」
「何や?」
「俺も師範の隣に横になってもええですか?」
恥ずかしそうにそう尋ねてくる財前を愛らしいと思いながら、銀は嬉しそうに頷く。
「ええで。ほんなら一緒に仮眠とろか。」
「はい。」
ドキドキしながら財前は銀の隣に横になる。どちらも横向きに寝ているので、銀は目の前
にいる財前をぎゅっと抱き締めた。
「っ!!」
「こうしといた方があったかいやろ?」
「そ、そうですね。」
「ほんなら、ちょっとだけおやすみ。」
「はい、おやすみなさい。」
本当に疲れていたようで、銀はすぐに眠ってしまう。
(別に寝るつもりはなかったんやけど、背中ポカポカして俺も眠たなってきた・・・)
銀とくっついていたいとは思っていたものの特に仮眠をとるつもりはなかった財前であっ
たが、銀に抱き締められていることで眠くなってきてしまう。気づくと財前もまぶたが閉
じ、銀と一緒に眠りに落ちていた。
それから二時間ほどして、財前は目を覚ます。
(あ、あのまま寝てまったんか。今何時くらいやろ?)
それほど長くは眠っていないはずだと、財前は時計を見ようとする。体を動かそうとして
気づいたが、眠ったときよりも自身の体は銀の腕の中へ引き寄せられ、身動きが取れなく
なっていた。
(師範、近っ!!まだ寝てるみたいやけど・・・)
少し顔を動かそうととすると、すぐ近くにあった銀の唇が耳に触れる。まだ眠っているた
め、スースーと寝息が耳に吹きかけられる。
「っ!!」
敏感な耳に唇が触れ、断続的に息を吹きかけられている状態に財前は図らずも感じてしま
う。これはマズイと思いつつも、しっかり銀に抱えられている状態ではその身を動かすこ
とが出来なかった。
(アカン、耳感じてまう。勃ってるの師範にバレたら・・・)
耳への刺激は当然のことながら一番敏感な部分にも伝わっていた。まだそのようなことを
したことがない状態で、こうなっていることに気づかれたらと思うと、財前は恥ずかしく
てたまらなかった。しかし、身動きが取れず、唇が触れている耳はどんどん敏感になって
いく。
「んっ・・・ぁ・・・」
思わず声が漏れてしまい、財前は慌てて両手で口を覆う。さすがにその動きで銀も目を覚
まし、財前に声をかける。
「ん・・・財前はん?」
「んんんっ!!」
耳元で名前を囁かれ、財前はビクンとその身を震わせる。口を覆いながら、震えている財
前を見て、銀は一気に覚醒する。
「どないしたん!?気分でも悪いんか?」
「ちゃいます・・・ちゃうんですけど・・・」
この状況をどう説明したらいいか分からず、財前は口から手を離し、涙目になりながら銀
を見る。耳まで顔を赤くして、目を潤ませながら呼吸を乱している。財前のこんな顔を見
るのは初めてであったが、銀はこのような顔がどのようなときの顔なのか心当たりがあっ
た。
「違ったらワシのこと怒ってくれてもええし、叩いてくれてもええからな。財前は・・・
今、その・・・ちょっとエッチな気分になってるとか、そんな状態なんやろか?違ってた
らホンマに堪忍な。」
確認されるのも恥ずかしいだろうと、銀はかなり気を遣いながらそう尋ねる。どう答えよ
うか悩んだ末、財前は更に顔を赤く染めながら黙って頷いた。
「答えてくれておおきに。恥ずかしがらんでも大丈夫・・・って言うても無理やもんな。」
「・・・すみません。」
「何で謝るんや。別に悪いことやないで。」
「せやけど・・・」
「財前はんはどうして欲しいんや?自分で処理したい言うならワシは少しの間外に出とく
し、ワシがしてもええんならしてやるで。」
思ってもみない銀の提案に財前は目を見開く。後者は予想していない言葉だったので、財
前の胸は壊れそうなほど高鳴っていた。
「あの・・・ホンマにどっち選んでもええんですか・・・?」
「ああ、もちろんやで。」
「ほんなら、その・・・師範にしてもらいたいです。」
恥ずかそうにしながら財前はそう答える。どっちであることも想定していたが、いざ後者
がいいと答えられると銀自身もドキドキしてきてしまう。
「こうして欲しいとか、こうされるのは嫌とかあるか?」
「えっと・・・そこ見られるんは恥ずかしいんで、さっきみたいに横になったまま後ろか
らしてもらえると・・・」
「了解したで。下に穿いてるものは脱がしてしまってもええか?」
「・・・はい。」
なるべく財前が嫌がることはしたくないと、銀は都度財前に確認を取る。見られたくない
ということだったので、銀は布団をかけたまま財前のズボンと下着を脱がしてしまう。そ
っと前の方に手を伸ばすと、確かに財前の熱は大きくなっていた。
(自分のモノ以外に触れるなんて初めてやから、ドキドキするな。)
大きくなっているといっても自分のモノよりはいくらか小さい。大きな掌でその熱を包み
込むと、ゆっくりと擦り始める。
「あ・・・あぁんっ・・・!!」
銀に触れられ、財前は素直に声を上げる。初めて聞く財前の声に、銀の熱は反応してしま
う。
(想像していたよりも、何倍も何十倍もかわええな。もっとこないな声聞きたいわ。)
「ん・・・あんっ・・・師範っ・・・!!」
「どうやろ?ちゃんと気持ちええか?」
「んんっ・・・気持ちええです・・・師範の手・・・メッチャ気持ちええ・・・」
自分でするときとはまた違った気持ちよさに財前はすっかりとろけていた。銀にそこを触
られているという恥ずかしさよりも、圧倒的に気持ちよさが上回る。
(師範に触られるのこんなに気持ちええなんて思ってなかったわ。ていうか、師範にして
もらえとるとかホンマ夢みたいや。)
「ハァ・・・あっ・・・んんっ・・・」
手を動かすたびにビクビクと震え、甘い声を漏らし続ける財前の姿に、銀は興奮してきて
しまう。こういうことにはあまり興味がないと思っていたが、いざ財前のそのような姿を
前にすると、どうにかしてしまいたくなる欲求がむくむくとわき上がってくる。
「もう少し強くしてみてもええか?」
「ん・・・はい・・・」
もう少し強めにした方が財前も気持ちよいだろうと、銀はきゅっと財前の熱を握り、先程
よりも速いスピードで手を動かす。
「ひゃああぁんっ!!」
あからさまに大きくなった刺激に財前の身体はビクンと跳ねる。ここまでよい反応を見せ
てくれるとは思っていなかったので、銀の口元は思わず緩む。
「やっ・・・あぁんっ・・・師範っ・・・師範・・・!!」
「このままでええか?それとも一旦止めた方がええか?」
「こ、このままで・・・ええです・・・んっ・・・せやけど、このままやと、すぐ・・・」
「このままやな。」
それならばと、銀はそのままの強さで財前の熱を擦る。強すぎとも言えるその刺激に、財
前はすぐに限界を迎える。
「ああっ・・・も・・・アカンです・・・ひあっ・・・い、イクっ・・・!!」
ビクビクと下肢を痙攣させながら、銀の掌に熱い蜜を放つ。銀の手で達してしまったのは
恥ずかしいが、経験したことのない快感に財前はすっかり心を奪われていた。
「ハァ・・・ハァ・・・イってまって、すんません。」
「謝る必要なんてないで。気持ちようなってくれたようでよかったわ。」
横になりながらある程度触れ合っているような状態のため、財前はあることに気づいてい
た。
「あ、あの・・・師範。」
「どうしたんや?」
「師範のも・・・勃っとりますよね?」
「えっと・・・まあ、せやな。これはまあ、後で自分で何とかするから大丈夫やで。」
財前の質問に銀は苦笑しながら答える。しかし、財前は別のことを考えていた。
(師範がこんなふうになってくれるなんて思ってなかったわ。こないなチャンスそうそう
ないし・・・)
「も、もし、師範が嫌じゃなければ・・・その・・・最後までしてみませんか?」
「っ!?」
あからさまに驚くような反応をしている銀を見て、財前はふいっとうつむく。
「あっ、えっと・・・やっぱ嫌っスよね。俺とするなんて・・・」
「い、いや、そないなことあらへん!!ワ、ワシは全然構わんのやけど、ホンマにええの
か?」
「ええです。してください。」
キッパリとそう言いきる財前の言葉に、銀も覚悟を決める。
「ほんなら、ちょっと準備をするから待っとってな。」
「えっ?ええ。」
一旦布団から出ると、銀はそういうことをする準備をする。事前に買っておいたローショ
ンや大きめのタオル、ティッシュなどを手の届く場所に持ってきつつ、再び財前のもとへ
戻ってくる。
「あんまり見られるんは嫌なんやろ?」
「えっ・・・はい。まだ、恥ずかしいんで・・・」
「ほんなら、布団かけたまま、今の状態でしてやるな。あと、多少汚れてもええように、
ちょっとタオルだけ敷かせてもらえるやろか?」
「はい。」
布団がかかった状態のまま、財前の腰を軽く浮かせて下にタオルを敷く。
(師範、えらい用意周到やな。師範もする気満々やった?まさかな。)
あまりに手際よく銀が準備をするので、財前は少し驚く。気分は少し落ち着いてきたもの
の、今から銀とそういうことをするという状況にひどく胸が高鳴っていた。
「始めようと思うんやけどな、ワシもこないなことするの初めてやし、何というか・・・
自分のモノが人よりも大きいことは自覚しとるから・・・もし、痛かったり辛かったりし
たらすぐに言うてな。」
緊張した様子でそんなことを言う銀の言葉に財前は黙って頷く。
(少しは調べてみたが、いざするとなると緊張するな。なるべく財前はんに負担をかけへ
んようにせんとな。)
「まずはココをほぐそうと思うんやけど、ええか?」
布団の中で財前の蕾に触れながら銀はそう尋ねる。当然必要なことではあるので、財前は
緊張しながらも頷く。
「は、はい。ええですよ。」
「なるべく痛くないようにするからな。」
ローションを使えば少しはマシだろうと、銀は利き手の指にローションを垂らす。どれく
らい使えばよいかは分からないが、多めの方がよいだろうとタオルに少し垂れるほど指に
絡めた。
くちゅ・・・
「ひゃあんっ!!」
まだ入口に軽く触れただけなのだが、ローションを使われているとは思っていなかったの
で、予想外の感触に財前は声を上げる。
「だ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。師範の指が思ったよりぬるっとしとってビックリしてまって・・・」
「いや、ローションなんやけど、こういうのを使った方がええかと思って・・・」
「それはそうやと思います。つ、続けて大丈夫なんで・・・」
「ああ。」
財前がそう言うならと、数度入口をマッサージするように触れた後、つぷっと指を中に入
れる。
「ああぁんっ!!」
(師範の指、俺より全然太くて長いはずやのに全然余裕で入るし、ローションのおかげで
ぬるぬるしとってむしろ・・・)
「痛かったりせぇへんか?」
「んっ・・・平気っスわ・・・指、動かしてください・・・」
早く中を弄って欲しいと、財前は息を乱しながらねだる。確かに痛くはなさそうだと財前
の様子を確認しながら、銀は指をゆっくり動かす。
「ふあっ・・・あっ・・・あんっ・・・!」
(わりと平気そうやな。思ったより中は柔らかくて、なんやドキドキする。)
ゆっくりと、しかし確実に銀は財前の入口と内側をほぐしていく。ローションの助けもあ
ってか、そこまで時間をかけずに財前のそこは柔らかくなる。
「ハァ・・・あんっ・・・師範っ・・・」
「もう一本入れても大丈夫そうやろか?」
「はい・・・たぶん大丈夫っス・・・」
自分のモノを挿れるにはもう少しほぐしておいた方がよいだろうと、一旦指を抜き、再度
ローションを絡めた後、今度は二本の指を財前の中に入れる。だいぶほぐれていることも
あり、財前のそこはそれほど抵抗なく銀の指を受け入れる。
「んんっ・・・ああっ・・・!」
「そこまでキツくはなさそうやな。」
「あんっ・・・師範、気持ちええです・・・」
「ほんなら、もう少し慣らしてやるな。」
二本の指を使い、財前の入口や内側を十分に広げていく。普段から自分で弄っていたこと
もあり、そうされているときに感じる感覚は、違和感よりも快感の方が圧倒的に大きかっ
た。
(メッチャ気持ちええ・・・もっと広げられたい。内側全部、ぎょーさん擦って欲しい。)
初めてとは思えないほどの気持ちよさに、財前の欲求は高まる。銀のモノがどれほどの大
きさかはまだ分からないが、内側をもっと大きなモノで貫かれたいという気持ちが次第に
大きくなっていく。
「ハァ・・・あ、あの・・・師範・・・」
「ん?どないしたん?」
「もう・・・師範の・・・挿れて欲しいです・・・」
「っ!!だ、大丈夫なんか?」
「分からんですけど・・・もう、我慢出来へんです・・・」
財前の言葉に銀は緊張と興奮で鼓動がありえないほど速くなる。財前の希望に応えようと、
銀は下に穿いていたものは脱いでしまい、財前の双丘の位置に熱を合わせるように布団に
入り横になる。
(ワシのにもかけておいた方がまだ財前はんへの負担軽くなるよな。)
少しでも財前の負担を減らそうと、銀は自身の熱にローションをかける。銀にとってそれ
は初めての体験であった。ぬるりとした液体が敏感な熱にかかる感覚は何とも言えない快
感を伴う。
「ひ、ひとまずあてがってみるで。」
「はい・・・」
ローションで濡れた熱を財前の蕾にあてがう。入口に触れる銀の熱の大きさを認識し、財
前の胸は期待感で高まる。
(思うてたより師範の大きいかも。せやけど、コレ挿れられるて考えたらゾクゾクしてた
まらん・・・)
(財前はんのココ、えらいヒクヒクしとってこれだけでもだいぶ気持ちええな。挿れるん
メッチャ緊張するわ。)
初めてのことなので、いきなり挿れる勇気はなく、銀はしばらくの間あてがったままでい
る。
「んっ・・・師範・・・」
あてがわれているだけの状態がもどかしく、財前は切なげに腰を揺らす。それに気づいて、
銀はドキドキしながら挿れてもよいか財前に尋ねる。
「ざ、財前はん。挿れてもええやろか?」
「ええです。挿れてください・・・」
甘い吐息を漏らしながら、そう口にする財前に銀の心臓は跳ねる。ゆっくりと息を吐くと、
ぐっと腰に力を入れる。ローションの助けもあり、熱の先が財前の中に入ると、そのまま
引きずり込まれるように根元近くまで入ってしまう。
「あああぁぁっ!!」
「ああっ!!」
財前からすると、擦って欲しくてたまらなかった内側が太く熱い楔で余すことなく擦られ、
銀からすると、ぬるぬるとした柔らかい壁と襞で敏感な熱を少し強いくらいの力で締めつ
けられる。想定よりもはるかに大きな快感に、どちらもビクビクと下肢を震わせる。
(俺の中も師範のもぬるぬるしとるから、全然痛ないし、むしろ、気持ちよすぎてアカン
かも・・・)
(財前はんに負担をかけないようにと思うとったが、こないにワシ自身が気持ちようなっ
てまうのは想定外や。こんなに気持ちええとすぐに達ってまうかもしれん・・・)
「ハァ・・・あんっ・・・師範、師範っ・・・!」
「ハァ・・・大丈夫か?痛かったりせぇへんか?」
「痛くはないです・・・けど、師範の大きくて熱くて・・・気持ちよすぎて・・・」
大きすぎる快感に震えながら財前は答える。銀もそこまで余裕がなく、財前の上半身をぎ
ゅっと抱きながら、熱い息を吐く。銀の吐息が耳に触れたことで、財前は身体はビクンと
跳ね、意図せず中が擦れてしまう。
「ひあっ・・・ああぁんっ!!」
そんな刺激に耐えられず、財前は達してしまう。達したことで財前の内側は大きく収縮し、
ギリギリだった銀の熱も熱い蜜を放つ。
(あっ、アカンっ・・・中に出してまう!)
「んっ・・・くっ・・・!!」
「っ!?やっ・・・あああぁっ!!」
銀の蜜が中に出されたことに気づき、財前はより深い絶頂感に包まれる。達するほどの快
感がしばらく続き、財前の中の収縮はいつまでも治まらず、銀の絶頂感も長く続いていた。
「すまん、財前はんっ・・・イクのが治まらへん・・・!」
「俺もっスわ・・・師範の、ホンマ気持ちええ・・・」
経験したことのない長い絶頂の波に二人は戸惑いながらも夢中になる。少しその感覚が落
ち着いてくると、呼吸を整えながらふわふわとした甘い余韻に浸る。
(ホンマメッチャ気持ちよかった。師範もぎょーさんイっとったみたいやし、やってみて
よかったわ。)
(こないに気持ちええもんなんて思ってへんかったわ。十分達けた気はするが・・・)
あれだけ長く達していたにも関わらず、銀の熱は全く萎えていなかった。
「師範・・・」
「えっ!?ああ、何や?」
「師範の・・・まだ、治まってへんですよね?」
「まあ・・・その、せやな・・・」
「今度は動いてみてください。」
「ええっ!?」
まだまだ続けていたいという雰囲気を醸し出す財前に銀は驚きつつも嬉しくなる。
「ほんなら、少し動いてみるで?」
「はい・・・」
中にある熱をゆっくり引き抜き、全て抜けてしまう直前でもう一度奥まで挿入する。ロー
ションと銀の放った蜜が混ざり、ぐちゅりと濡れた音が響く。
「んあぁんっ!!」
「くっ・・・!」
「今の・・・メッチャ気持ちええです・・・」
「あ、ああ、せやな。」
「もっとしてください。」
「っ!!」
顔を紅潮させながら、そんなおねだりをしてくる財前に、銀の熱はさらに硬くなる。それ
に気づき、財前は嬉しそうに口元を緩ませる。
「んっ・・・財前はん・・・」
「あっ・・・あんっ・・・師範っ・・・!」
財前が気持ちいいと言った動きを銀は何度も繰り返す。中の蜜が掻き回され、敏感な壁に
塗りつけられるように擦られる。もっと奥で銀を感じたいと、無意識に財前も腰を動かし
ていた。
「財前はんの中・・・気持ちよすぎて、アカン・・・」
「嬉しいです・・・」
「またすぐ・・・イってまうかも・・・」
「ええですよ・・・俺の中でイってください・・・」
財前の言葉に銀の下肢はゾクゾクと得も言われぬ快感に包まれ、絶頂感が高まる。早くそ
こに辿り着きたいと、銀はより激しく財前の中を突く。
「ひあっ・・・ああ・・・ああぁんっ!!」
「ハァ・・・くっ・・・財前はんっ!」
「奥、気持ちええ・・・!んあっ・・・また、イクっ・・・!!」
「ワシも・・・んっ・・・ああっ・・・!!」
「師範っ・・・!!あああぁっ!!」
蕩けるような心地よさの中、銀と財前は同時に果てる。ビクビクと震える熱を濡れた壁が
ぎゅうぎゅうと締めつける。
「ハァ・・・ハァ・・・師範・・・」
「ハァ・・・財前はん・・・」
「まだ抜かずに・・・このままでいて欲しいです・・・」
「ああ、ええで。」
もう少し銀と繋がっていたいと財前はそんなことを頼む。自分もそうしていたいと財前の
言葉にそう答え、銀は財前を抱きしめた。
「これ終わって落ち着いたら、一緒に風呂入りに行こうな。」
「はい。」
大好きな相手と繋がる心地よさ。そんな甘やかな余韻に二人はしばらく浸っていた。
寮の風呂に入り汗を流し、汚れたタオルや服を洗濯機にかけた後、銀と財前は部屋へと戻
る。急に泊まることになったため、サイズはだいぶ大きいが財前は銀の服を借りていた。
「寮の風呂、初めて入りましたけど、結構広いんスね。」
「せやろ?広々入れてわりと気に入っとるで。」
「師範や千歳先輩は体大きいっスもんね。」
「はは、せやな。ところで、財前はん、どこか痛かったり、しんどかったりするところは
あらへんか?」
「別にないです。そないに心配せんでも大丈夫っスわ。」
「そうか。それならよかった。」
ホッとするような表情の銀を見て、財前は少しくすぐったいような気分になる。
「あの・・・師範。」
「何や?」
「俺とあないなことしてしまって、後悔してまへんか?俺的には師範はそういうことには
興味ないんやろなーと思っとったんで。」
流れでしてしまったが、もし銀にその気がなかったのであれば申し訳ないと、財前は少し
不安げな表情でそう尋ねる。そんな財前が愛おしくてたまらないと、銀は微笑みながら財
前の頭を撫でる。
「後悔なんてしてへんで。」
「ホンマですか?」
「ホンマや。確かにそういうことにはそないに興味はなかったが、財前はんとするために
ぎょーさん勉強したんやで。」
「勉強?」
「財前はんの言う通りあまりそういう知識はなくてな。せやけど、財前はんとこういう関
係になってから、いつかはするかもしれへんと思って、ネットや本や動画でいろいろ調べ
たんや。」
恥ずかしそうにそう言う銀の言葉に、財前の胸はひどく高鳴る。
(せやから、ローションとか予め準備しとったんか!俺とするために調べてくれたんって
ホンマに?うわっ、嬉しくてたまらん。)
「まあ、自分がどんなふうになるかまでは予測できてなくてなぁ。あないに気持ちええも
んやと思ってへんかったから、すぐ中に出してまったのは、ホンマにすまんと思うとる。」
「そんなん全然気にせんでええっスわ。師範に中出しされるんメッチャ気持ちよかったし、
嬉しかったんで。」
困ったようにそう話す銀に、財前は食い気味でそう返す。なかなか恥ずかしいことを素直
に口にしているなあと思いながら、銀は照れたように笑う。
「いや、でもホンマ師範とあーいうことできたのメッチャ嬉しいと思うとります。想像し
ていたよりも何十倍も気持ちよかったですし。それに、師範が俺とするためにいろいろ調
べてくれてたって聞いて、どうにかなってまいそうなほど・・・嬉しいです。」
「ワシも財前はんとあーいうことできてよかったと思うとるで。財前はんはずっとメッチ
ャかわええし、ビックリするくらい気持ちよくてええ気分で。ワシとしてくれておおきに
な。」
「それはこっちのセリフっスわ。ありがとうございます。師範のこと、ホンマに大好きっ
ス。」
幸せそうに目を細めて笑う財前に、銀の胸は激しくときめく。自分の好きな人は何て可愛
らしいのだろうと目が離せなくなる。
「もし、財前はんが嫌やなければの話なんやが・・・」
「何ですか?」
「またワシとしてくれるやろか?」
まさか銀の方からそう言ってくれるとは思わなかったので、財前は驚きながらも全力で頷
く。
「もちろんっスわ!俺も師範とぎょーさんしたいです!」
「はは、おおきに。今度はもう少しいろんなとこ見せてもらえると嬉しいなあ。」
「っ!?か、考えときます。」
「冗談や。財前はんの嫌がるようなことはせぇへんから安心しぃや。」
繋がり合うことで少し進んだ二人の関係。お互いを想う気持ちはより高まり、何気ないこ
の瞬間も幸せな時間となる。嬉しさとトキメキとほんの少しの恥ずかしさ。そのどれもが
心地よく、二人の顔には笑みが浮かんでいた。
END.