I can

「竜次〜!」
都内の大学に進学した大曲と種ヶ島は、時折大学内でも顔を合わせていた。学部は異なる
が、言語科目や共通科目は同じ授業を取ることが出来るため、大曲に合わせて種ヶ島はい
くつか同じ科目を取っている。
「何だし?」
「次の授業は一緒の授業やんな?教室まで一緒に行かへん?」
「別に構わねぇし。」
「今日はあと次の授業と心理学の授業があるんやけど、竜次は?」
「俺は次のコマで終わりだし。」
「さよか。んじゃ、先帰ってる感じやな。」
「そうだな。別の授業の課題もあるし、家で待ってるわ。」
大曲の言葉を聞いて、種ヶ島は思わず顔が緩んでしまう。それを見て、大曲は思わずつっ
こむ。
「何そんなにニヤニヤしてるんだし。」
「別にそないなことあらへんで☆」
「気持ち悪ぃくらいにニヤけてんぞ。」
「気持ち悪いとかひどいなあ。やって、竜次と一緒に大学の授業受けられて、帰っても竜
次と一緒なんやで?そんなん嬉しくて、顔も緩んでまうわ。」
「一年以上もそういう生活してて、まだそんなこと言ってんのかよ?」
それぞれ別の高校であったが、二人は同じ大学の違う学部を受験し、どちらも見事合格。
高校を卒業すると同時に家を出て、今はルームシェアもとい同棲している。現在は大学二
年生になったところなので、二人で同じ大学に通い、一緒に住み始めてから一年以上は経
っている。それにも関わらず、種ヶ島は大曲と一緒に何かが出来ることが嬉しいようで、
いまだにこんなことを言ったりする。
「別にええやん。俺は竜次と一緒に居られるんが嬉しいんやから。」
「勘弁しろし。」
そう言う大曲の表情も迷惑そうなものではなく、どこか嬉しさを含んでいる。一緒にいる
時間が長くなれば、飽きたり嫌になったりするかもしれないと多少心配したこともあった
が、実際そうしてみるとそんなことはなかった。どちらも自由を求め、お互いを尊重し、
束縛もしない。しかし、お互いを想う気持ちは絶えず胸にある。そのちょうどよい関係が
心地よく、共に過ごす時間が長くなればなるほど、離れがたくなっていた。
「今日は家帰ったら何しようかなー?」
「まだ2コマ残ってるのに、もう帰ってからの話かよ?」
「予定考えるのも大事やで。」
「まあ、そうだけどよ。ほら、無駄口叩いてると授業に間に合わなくなるぞ。」
「ちゃーい☆」
教室には向かっているものの話しながらだと少し歩みは遅くなる。せっかく二人で受けら
れる授業なのだからと、種ヶ島は大曲の言葉に従って少し歩く速度を速めた。

大曲と一緒の授業を終え、大曲を見送った後、種ヶ島は心理学の講義を受ける。その講義
も終わると、種ヶ島はウキウキとした気分で大曲の待つ家に向かって歩き出した。
(あっ、帰る前に竜次のお気に入りのたい焼きお土産に買ってこう。いくつ買ってこうか
なー。竜次、好きなものやったらぎょーさん食べるからなー。)
夕食も食べなければいけないので、個数は控えめにしつつ、種ヶ島は大曲のためにたい焼
きを買っていく。大曲の喜ぶ顔を想像しながら、種ヶ島は家路を辿った。自分と大曲が住
んでいる部屋の前まで来ると、大曲とお揃いのキーホルダーがついた鍵を出し、カチャっ
と鍵を開ける。
「ただいまー。」
玄関から部屋の中にいる大曲に声をかけると、部屋の奥から声が聞こえる。大曲がどこに
いるかを確認すると、種ヶ島は荷物も置かずにその部屋へと向かった。
「ただいま、竜次。」
「おかえり。」
二冊の本を手にしながら、大曲は種ヶ島に目をやり、そう返す。
「今日は何読んでるん?」
「『火の鳥』。手塚治虫の。」
「へぇ。」
「哲学の授業の課題で必要でよ。つーか、鞄、自分の部屋に置いて来いや。」
「あっ、竜次にと思って、たい焼き買ってきた!読書の休憩中にでも食べてや。」
「おー、サンキュー。」
大曲に買ってきたたい焼きを渡すと、種ヶ島は鞄を置きに一旦自分の部屋へ向かう。鞄を
置くと、すぐに大曲のいる部屋へ戻ってくる。そして、大曲の座っているソファの隣に腰
かけた。
「邪魔せんからここにおってもええ?」
種ヶ島がそう尋ねると同時に大曲は読んでいた漫画を机の上に置く。
「キリのいいところまで読み終わったから、少し休憩する。お前が買ってきたたい焼き食
べてぇし。」
「ホンマ?ほんなら、ちょっと飲み物取ってくるわ。」
大曲の休憩するという言葉を聞いて、種ヶ島はパタパタとキッチンに向かい、二人分の飲
み物を持ってくる。
「ほい、持ってきたで☆」
二つのグラスに入った牛乳を見て、そうきたかと大曲は少し意外そうな顔をする。
「牛乳か。」
「お茶でも入れようかなー思たけど、この前ネットでたい焼きには牛乳が合うみたいなの
みかけてな。試してみよー思て。」
「へぇ。」
まあ、合わないことはないだろうなと思いつつ、大曲は種ヶ島が買ってきてくれたたい焼
きを一つ手に取り、パクっと一口食べた後、牛乳を飲んでみる。
「・・・ああ、確かに合うな。」
「ホンマに?俺も試してみよーっと。」
種ヶ島も大曲と同じように、たい焼きを食べた後、牛乳を飲んでみる。
「ええな。牛乳。他にもな、米麹の無糖の甘酒とかも結構合うらしいで。今度試してみよ
か。」
「お前、何でそんなどうでもいいこと調べてるんだし。」
「竜次の好きなもん、より美味しく食べれたらええやん?せやから、たい焼きにはどんな
飲み物が合うんかなーとか調べてん。」
何の気なしにそんなことを話してくる種ヶ島に、大曲はきゅんとしてしまう。本当に大し
たことではないのだが、種ヶ島のこういうところは好きなところだなあと素直に思ってし
まう。
「・・・勘弁しろし。」
「へっ?何が?」
「何でもねぇよ。」
思わず呟いてしまった独り言に種ヶ島が反応するので、大曲はもくもくとたい焼きを食べ
ながら誤魔化すような言葉を返す。よく分からないがまあいいかと、種ヶ島もたい焼きを
頬張った。持っていたたい焼きを食べ終えると、種ヶ島は大曲がさっき読んでいた本につ
いて尋ね出す。
「さっき『火の鳥』読んでる言うてて、哲学の授業の課題とか言っとったけど、『火の鳥』
って、どんな話なん?漫画が課題になるん?」
「どんな話って聞かれてパッと説明出来る話じゃねぇけど、まあ、哲学の授業の課題には
出来るような話ではあるな。」
「おもろい?」
「話の構成とか思想とかは興味深くて面白いって言えるかもしれねぇけど、面白可笑しい
って感じではないわな。どっちかと言えば重ための話だし。」
「へぇ、俺も今度読んでみようかな。」
「いいんじゃねぇの?漫画ならここに全巻そろってるし。火の鳥が不老不死の象徴みたい
なとこあるから、不老不死を望む奴とかたくさん出てくるんだけどよ、俺は不老不死はな
いなって思うわ。『火の鳥』読んでると特に。」
大曲が読んでいる本の内容を自分も知っておきたいなあと種ヶ島は興味津々とばかりに、
大曲の話に耳を傾ける。
「まあ、不老不死ってどんなに辛くても死ねないし、身近な人がそうでなければ一人ぼっ
ちになってまうもんなあ。」
「そういう話もあるし。火の鳥に不老不死にされた主人公が、人類が滅んでもずっと生き
てて、人じゃないものが進化して、人類と同じ末路を辿ってその後も・・・つーのを延々
と見守らなきゃいけねぇ話とかな。」
「うっわあ、しんどいってレベルの話じゃないやん。そんなの。不老不死キッツいなあ。」
「ちゃんと読むともっとないなって思うし。」
確かに重たそうな話だなあと思う種ヶ島であったが、ふとある想いが頭をよぎる。
「んー、でも、一人じゃなくて竜次と一緒やったら、別に不老不死になってもええかもな
あ。」
「は?」
「あはは、もしもの話やし、ありえへんやん?不老不死なんて。一人ぼっちじゃ絶対に嫌
やけど、竜次と一緒ならええかもって思う。竜次と一緒に普通の人なら絶対に見れないよ
うな未来の世界とか人とか物の進化とか見れたらおもろいかなーって。」
「『火の鳥』の話の中じゃ、人間の未来なんてそんないいもんじゃねぇし。」
「それは物語の話やろ?現実はどうなるかなんて誰にも分からんやん。」
「まあ・・・確かにな。」
「竜次と一緒なら、竜次のためなら、俺は不老不死にもなれるで。」
不老不死なんて勘弁という話をした後に、実に楽しそうな表情でそんなことを言い出す種
ヶ島に大曲は少々呆れつつもどこか嬉しいと思ってしまう。
「俺のためって何だし。でも、まあ・・・」
『火の鳥』のような人間にとってはあまり好ましくない未来ではなく、種ヶ島が考えるわ
くわくするような未来が見れるとしたら、不老不死も悪くないと大曲も思ってしまう。
「お前が一緒っつーのが前提で、お前が望むなら、俺も不老不死になってやってもいいし。」
ふっと笑いながらそんなことを言い出す大曲に、種ヶ島の顔はボッと赤く染まる。それを
見て、大曲はからかうような口調でそれを指摘する。
「顔真っ赤だし。」
「竜次が急にそないなこと言い出すから・・・」
「先に話振ってきたのは、お前の方だろうが。」
「しゃーないやん。好きな奴にそないなこと言われたら、こうなってまうって。」
(これだけ一緒にいんのに、その反応はずりぃし。)
いまだに初々しい反応を見せる種ヶ島がどうしようもなく可愛く感じられ、大曲はうつむ
き加減の種ヶ島の顔をぐいっと上げた。紅潮した顔をじっと眺め、種ヶ島の反応を窺う。
「何やねん、竜次。」
「『火の鳥』だとな、不老不死を望んだ奴よりも、自分の子孫を残そうとした奴の方が生
き残るというか、正しいルートみたいな感じになってるんだよな。」
「へ、へぇ、そうなん?」
「俺らもそっちのルートを試してみるか?」
「・・・子作りしようってことなん?したとこで出来ないで?」
「そんなの百も承知だし。」
先程まで読んでいた本に絡め、そんな誘いをしてくる大曲に、種ヶ島は少々戸惑いつつも
その気になってきていた。やる気を見せるため、種ヶ島は大曲の首に腕を回し、ニッと笑
う。
「ほんなら、子作りしよか。」
「ノリがよくて、助かるし。」
「竜次相手だからやで?」
「当然だし。」
そんなやりとりをしながら、二人は軽く口づけを交わす。それがスタートの合図であるか
のように、二人は顔を見合わせもう一度キスをした。

ソファの上で向かい合い、大曲と種ヶ島は抱き合うようにお互いの体に腕を回す。何度か
口づけを交わした後、大曲は右手を種ヶ島の下肢に持っていく。
「もうだいぶ大きくなってるじゃねぇか。」
「竜次のせいやで。って、そう言う竜次も結構アレやで?」
大曲がそこに触れてくるので、種ヶ島も大曲のそれに触れる。まだほんの少しキスをした
だけなのに、しっかりと反応している熱に二人は顔を見合わせてクスクスと笑う。
「せっかくだし、ひとまず手で抜き合うか?」
「ええで。俺、竜次にしてもらうのメッチャ好きやで☆」
「ちゃんとお前もしろよ?」
「分かっとるって。ほいじゃあ・・・」
まだ布に覆われている熱をどちらも利き手を使って外に出す。直接触れることで、その熱
はあからさまに上を向き、触れやすい形になる。掌でそれを包み、軽く擦るとどちらもピ
クンと肩を震わせる。
「あは、竜次ビクッてしとるやん。」
「お前だってなってるし。」
「竜次に触られるの気持ちええんやから、しゃあないやん。」
種ヶ島がわりと余裕そうなので、大曲は少し激しめにそれを擦ってやる。急に大きくなっ
た刺激に種ヶ島は思わず甘い声を上げる。
「んっ・・・あっ・・・・」
「イイ反応するじゃねぇか。」
「そないに急に・・・強くされたら・・・っ・・・」
「強い方がいいんだろ?」
「ひゃっ・・・ああっ・・・!!」
ぐりぐりと弱いところを擦ってやると、種ヶ島は大曲の肩に顔を埋め、大曲の耳元で喘ぎ
声を聞かせる。その声がたまらず、大曲は口元が緩むのを抑えながら手を動かし続ける。
大曲にされて感じまくりながらも、種ヶ島も大曲の熱を握っている手を動かすのを止めな
かった。
「ハァ・・・喘ぎまくってるわりには、ちゃんと手動かせてるし。」
「俺ばっか・・・感じさせられてるの・・・悔しいやん。」
「まあ、この感じ悪くねぇけどな。」
「んっ・・・でも、もう結構ヤバイかも・・・・」
「なら、一回触るのやめるか?」
種ヶ島がそんなことを望んでないのは分かっているが、大曲はわざとそんなことを言い、
手の動きを止める。もう少しでイけそうだったのに刺激がなくなり、種ヶ島は切なげな声
を上げる。
「やだ・・・触るんやめへんで・・・・」
「もうヤバイっつったのは、お前だろ?」
「別にやめて欲しいなんて言ってへんもん・・・竜次、触って・・・」
「だったら、お前ももっと手動かせや。」
「あっ・・・ん・・・気持ちいっ・・・・」
大曲が再び手を動かし始めると、種ヶ島は思わずそんな言葉を漏らす。その言葉に大曲の
鼓動は大きく跳ね、強くなる熱への刺激に荒い息を吐く。
「・・・俺も結構ヤバイな。」
「んっ・・・ああっ・・・竜次、もぉ・・・イキそ・・・」
空いている方の腕で種ヶ島はぎゅっと大曲にしがみつく。大曲の指が特に感じる場所に触
れると、そのままその手の中に熱い雫を放つ。それと同時に大曲も種ヶ島の掌に自身を放
った。
「ハァ・・・メッチャ気持ちよかった・・・・」
「やっぱ自分でするのとは、だいぶ違うし。」
達した余韻に浸り、大曲の胸に寄りかかりながら、種ヶ島は大曲の言葉に頷く。先程まで
大曲の熱に触れていた手を開いて見てみると、大曲の放った白濁の雫が絡みついている。
「手ぇ、竜次のでベタベタやー。」
「俺の手だってそうだし。」
その手を眺め、ドキドキと胸を高鳴らせている種ヶ島はふとあることを思いつく。
「せや!」
「何だし?」
竜次の問いに答える前に、種ヶ島は大曲から少し離れ、ズボンと下着を脱ぎ去り、ポイっ
とソファの下に落とす。大曲の精で濡れた手を口元に持っていき、ペロリと舐めながら、
大曲に向かって大きく足を開いた。
「随分とやらしい格好してるじゃねぇか。」
「俺な、竜次のためなら、自分でココ慣らせるで☆」
始める前にしていた話と同じようなニュアンスで、種ヶ島はそんなことを言ってのける。
何てやらしいことを言い出すんだと思いつつ、大曲は素直にそれを見たいと思ってしまう。
「なら、やってみろや。」
「ええで☆ただ、ちょい恥ずかしいから、あんまりじっとは見んといてな。」
「はあ?せっかくだから、見るに決まってるし。」
少し恥ずかしいと思いつつも、種ヶ島は濡れた指を自分の蕾へと持っていく。大曲の視線
を感じながら、まずは中指をその中へ挿入する。
(竜次に見られてるのメッチャドキドキする。どないしよ、メッチャ緊張してきたわ。)
「ふっ・・・んんっ・・・・」
そこを弄っているのとは逆の手の甲で口元を塞ぎ、なるべく声が漏れないようにする。自
分でしているのに声を上げるのは、大曲にされて声を上げるときよりも遥かに恥ずかしく
感じられた。指が濡れていることもあり、種ヶ島のそこはくちゅくちゅと卑猥な音を立て
ながら、次第にほぐれていく。
(これは予想以上にクるな。ただ表情を見る限りでは、足りてないなこいつ。)
自分で入口を慣らしているという光景を目の当たりにし、大曲はいつになく興奮する。指
を増やして、だいぶ奥まで弄ってはいるものの、種ヶ島の表情は何か物足りないという色
を帯びていた。
「んっ・・・んんぅ・・・・」
「おい。」
「何・・・?竜次・・・」
「お前、自分で弄るのじゃ満足出来てねぇだろ?」
どうしたって大曲にはバレてしまうなあと思いながら、種ヶ島は苦笑する。
「そう見えるん・・・?」
「ああ。」
「ホンマ竜次には敵わんなあ・・・・」
困ったような笑顔を浮かべる種ヶ島に、大曲は先程種ヶ島が言ったセリフを思い出す。種
ヶ島の顎を上げ、ニヤリと笑いながら大曲はとある言葉を口にする。
「お前が望むなら、手伝ってやってもいいし。」
「っ!!」
そんな大曲の言葉を聞いて、種ヶ島の心臓はドキンと跳ねる。自分でしていてもある程度
は気持ちよいのだが、大曲にされるのとはやはり違う。正直なところ、大曲にも触れて欲
しいと思っていた。
「どうするよ?」
「・・・手伝って、竜次。」
「しゃーねーなあ。」
素直な種ヶ島のおねだりに、大曲は嬉しそうにそう答え、自らの指を種ヶ島の指が入って
いるそこへと持っていく。そして、種ヶ島の指に自分の指を重ねるようにして、ぐいっと
中へとその指を挿入した。
「えっ・・・ちょっ・・・うあっ・・・!」
「何だ、ちゃんとほぐせてるじゃねぇか。」
「あっ・・・竜次っ・・・ひぅっ・・・指・・・・」
「して欲しかったんだろ?それから、お前が弱いのはココだ。」
「ひゃっ・・・ああぁっ・・・!!」
自分では上手く触れることが出来なかったその場所へ触れられ、種ヶ島は一際大きな嬌声
を上げる。
「あ・・んっ・・・竜次、そこ、そんなにしたら・・・」
「指で一回イってもいいんじゃねぇの?ほら。」
「ああっ・・・竜次っ・・・んんっ・・・―――っ!!」
自分の指と大曲の指でぐりぐりとその部分を刺激され、種ヶ島はパタパタと熱の先端から
蜜を溢す。種ヶ島が再びイったのを見て、大曲は満足気に笑う。
「満足かよ?」
「やっぱ、竜次にされるんメッチャええわ。せやけど・・・」
「何だし?あんなによさそうにイっといて、不満でもあるのか?」
「指もええけど、こっちも挿れてもらわんと、満足は出来へんわ。」
種ヶ島の反応を見てすっかり硬さを取り戻している大曲の熱に触れながら、種ヶ島は悪戯
に笑いながらそんなことを言う。上等だと言わんばかりに大曲は種ヶ島の腰を引き寄せ、
ソファに座り直して自分の足を跨がせる。
「竜次のが俺の真下にあるな☆」
「真下じゃなくて、中のがいいんじゃねぇの?」
「分かってるやん、竜次。ほんなら、繋がろか☆」
「ああ。」
大曲は種ヶ島の腰を支え、種ヶ島は大曲の熱に腰を落とす。狭い入口を押し開くように大
曲が自身の中へと入っていく感覚に種ヶ島は恍惚とした表情を見せる。そんな種ヶ島の顔
を少し下から眺めながら、大曲も種ヶ島の中の熱さとぎゅっと締めつけられる心地よさを
堪能する。
「ふっ・・・ぁ・・・・」
「なかなかイイ具合になってるぜ。お前ん中。」
「せやろ?んっ・・・俺のココ、竜次の大好きやもん。」
息を乱し、顔を紅潮させながら、ニッと笑って種ヶ島はそんなことを言う。また、そんな
やらしいことをと思いつつ、大曲もつられて口元が緩んでいた。
「勘弁しろし。」
「この体位だと、俺のが頑張って動かなきゃいけないけど・・・竜次も手伝ってや?」
「当然だし。お前にだけは任せてらんねぇしな。」
「えー、俺そんなに頼りないん?」
「別にそんなことねぇけど・・・その方が俺もお前もよくなれんだろ?」
「はは、そりゃそうやな☆」
そんな会話を交わした後、二人はお互いによくなれるように腰を動かす。部屋の中に響く
荒い呼吸音と濡れた声。繋がり擦れ合うそこから生まれる快感にどちらも夢中になってい
く。
「ハァ・・・竜次・・・あっ・・・んんっ・・・・」
「ふっ、その顔、たまんねぇし・・・」
「竜次に顔も・・・なかなかやで・・・」
「デカ勘弁しろし・・・・」
お互いに見つめ合い、ごく自然に顔を近づけ唇を重ねる。体を重ねながら、想いを込めた
口づけを交わし合う。その幸せなひとときを存分に堪能して、二人は高みへと昇りつめて
いく。
「竜次ぃ・・・あっ・・・もぉ・・・・」
限界であるのを伝えるかのように種ヶ島はぎゅっと大曲の首に抱きつく。大曲もかなり限
界近くまで高まっていたので、荒い息を吐きながらぐっと種ヶ島の腰を下げ、自身を奥へ
と埋める。
「ふあっ・・・ああぁっ・・・・!!」
「・・・・っ!!」
奥の奥で繋がる快感に身を震わせ、どちらも熱い雫を迸らせる。同じ場所で同じ時間を共
有し、お互いにしたいと思う時に体を重ね合わせることが出来る幸せ。そんな日常を日々
重ねながら、二人は今日も溢れんばかりの想いを伝え合った。

「んー、竜次とエッチ出来て、シャワーも浴びてさっぱりしたし、何や腹減ってきたわー。」
「そうだな。夕飯はどっか食いに行くか。」
「ええな。どこ行く?」
事を終えた後、二人は一緒にシャワーを浴び、濡れた髪を拭きながらそんな話をする。
「さっき、お前が買ってきてくれたたい焼き食べて甘いもんは補充出来たから、今度は辛
いもんが食べてぇな。」
「んー、ほんなら韓国料理なんてどや?韓国料理なら辛いメニューもぎょうさんあるし、
俺の好きな韓国海苔も食べれるしな。」
「いいんじゃねぇか?それじゃ、出かける準備するか。」
「ちゃーい☆」
髪をセットし、出かける用の服に着替えると、種ヶ島は大曲の前でくるりと回ってみせる。
「どや?格好ええやろ?」
「はいはい、可愛い可愛い。」
「もー、竜次、そんな適当なこと言って・・・あれ?今、可愛い言った!?」
「ほら、準備出来たならさっさと出かけるぞ。」
「あー、待ってや、竜次!!」
先に出かけようとする大曲を追いかけるように、種ヶ島は鞄を肩にかける。靴を履きなが
ら、大曲の隣に並ぶともう一度種ヶ島はさっきの質問をしてみる。
「竜次、俺のこと可愛い言ったんな?もっかい言って!」
「はあ?言ってねぇし。」
「ほんなら、さっきのはカウントしなくてもええから、可愛い言って?あっ、好きでもえ
えで☆」
「言わねぇし。」
「えー、言ってやぁ、竜次―。」
「勘弁しろし。」
呆れたように溜め息をつきながら、大曲はそう返す。ぷーっと拗ねたような表情で、種ヶ
島は大曲を見た。
「さっき、俺が望むなら何でもする言うてたのに。」
「何でもするなんて言ってねぇし。」
「せやけど、不老不死になるよりはメッチャ簡単なことやで?」
「ったく、しゃーねーなあ。」
ポスンと種ヶ島の頭に手を置き、種ヶ島の耳元で大曲はボソボソと何かを囁く。その言葉
を聞いて、種ヶ島は顔を赤く染めながら嬉しそうにその顔を緩ませる。
「おおきに、竜次!はあー、もうメッチャ嬉しいわ☆ちゃんと愛されとるやん、俺。」
「デカ勘弁しろし。」
予想はしていたが、予想以上に種ヶ島が嬉しそうにはしゃいでいるので、大曲は何となく
恥ずかしくなり、照れ隠しにそんなことを言う。言って欲しいことを言ってもらえ、種ヶ
島はご機嫌な様子で玄関のドアを開ける。
「ほいじゃあ、出発しよか。」
「お前のせいで出るまで時間かかったし。」
「別に予定が詰まってるわけでもないんやからええやん。韓国料理楽しみやなー。」
「ったく・・・」
ニコニコと上機嫌な種ヶ島を見て、大曲は呆れたように笑う。特別でも何でもない日常と
なったこんなひととき。それがどこか愛おしくて幸せで、こんな日々が当たり前になって
いることを、大曲も種ヶ島も心から楽しむのであった。

                                END.

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