岩場で××× −間切×網問−

持ってきたかごいっぱいにタコを入れると、二人は竿を置いて一休みをする。始めは調子
の悪かった網問であったが、間切から饅頭をもらってからは、これでもかと言うくらいた
くさんのタコを釣り上げた。自分の釣ったたくさんのタコを見て、網問はニコニコと嬉し
そうな笑みを浮かべている。
「すっごい大漁だね!間切♪」
「そうだな。まさかこんなに釣れるとは思わなかったぜ。」
「これだけあれば、何作れるかなあ。お刺身もいいけど、たこ焼きとかもいいなあ。」
「まだ生きてるの見て、食べる話かよ。」
かごの中のタコを見ながら、どう食べようかを口にしている網問の言葉を聞いて、間切は
苦笑する。そんな網問を横目に、間切もかごの中のタコに目をやった。まだまだ活きよく
動いているタコを見て、間切はふとある悪戯を思いついた。とりわけ元気に動き回ってい
るタコをがしっと掴むと、ニヤリと笑って、網問の着物の襟元を引っ張り、背中にそのタ
コを投入した。
「うっひゃあ!な、何々!?」
いきなりタコを背中に入れられ、網問はひどく驚き、大きな声を上げる。そんな網問を見
て、間切はケラケラと笑った。
「まだ生きてるのに、もう食べること考えてるから、タコが怒ったんだよ。」
「間切が入れたんだろー!あう〜、背中でうにょうにょ動いてる〜。」
必死で背中に手を伸ばそうとする網問であったが、着物を着たままでは、うまいことタコ
には届かない。とりあえず着物を脱いでしまおうと、胸元を開こうとすると、すかさずそ
こへ間切がもう一匹タコを投入した。
「わあぁ!ちょっ、間切っ!何してっ・・・ひゃっ!」
「いやー、網問の反応が面白いから。」
「やだやだぁ、くすぐったい〜!」
背中ならまだ耐えられるものの、前にまで入れられてしまったら、くすぐったくて仕方が
ない。とにかく何とかしてこの身体にくっついているタコを何とかしたいと、網問は着物
を脱いでしまい、がしっとタコを掴み、引き剥がそうと引っ張る。しかし、しっかりと吸
盤が肌に張り付いてしまっているため、なかなか剥がすことが出来なかった。
「うー、剥がれない〜。」
「タコに好かれてるなあ、網問。」
「笑ってないで、何とかしてよ!本当に剥がれないんだから!」
そんな網問の訴えに聞く耳を持たず、間切はひどく困惑している網問の顔を見て、楽しそ
うに笑う。うねうねと身体中を這い回る二匹のタコとしばらく格闘していた網問であった
が、ふとした瞬間にピタっとその動きが止まった。
「ふあっ!」
(な、何!?今のっ・・・)
タコの足が胸のある部分に触れた途端、くすぐったさとは明らかに違う感覚が網問の中に
生まれる。それを引き金に、網問はタコが動くたびにふるふるとその身を震わせ始めた。
「やっ・・・やだぁ・・・」
明らかに声色の変わった網問の声を聞き、間切はドキっとしてしまう。
「何そんなやらしい声出してんだよ?」
「ち、違うもん!ちがっ・・・あっ!」
「どう違うんだよ?」
網問の反応にドキドキしながら、間切はすっと袴の紐をほどいてしまう。紐が完全にほど
けると、網問の袴はストンと地面に落ちた。
「やだっ・・・間切っ!」
「タコ取るのに、袴も邪魔かなあと思って。」
「そんなことないのにぃ・・・」
「ほら、早くタコ剥がさないと、足の方までくすぐられちゃうぞ。」
分かっていながら、間切はそんなことを言う。ほんのちょっとした悪戯心が予想外の網問
の反応を呼び起こした。その反応をもう少し楽しみたいと、間切はそんな行動を為したの
だ。
「うっ・・・ああ・・・ん・・・やあ・・・」
間切の予想通り、上半身を這っていたタコは何本もある足のうちのいくつかを、網問の足
の方へと伸ばす。敏感な内腿や双丘の表面を吸盤の付いた足で撫でられ、網問は顔を真っ
赤に染め、必死で声が漏れてしまうのを堪えていた。
(やだもう、何でこんなに弱いとこばっか・・・恥ずかしい。)
「ま、間切ぃ・・・」
ひどく色めいた声で名前を呼ばれ、間切はどうしようもなく興奮してしまう。
(ヤバイな・・・網問、本当可愛すぎだ。)
「あっ・・・ふあ・・・ああっ・・・」
あまりに弱い部分ばかり責められるので、網問はもう声を抑えられなくなっていた。せめ
てもの救いは、褌はまだ身につけているために、一番触れられては困る場所には触れられ
ていないことであった。
「網問、タコ取って欲しいか?」
「取って欲しい・・・お願い間切ぃ・・・取ってぇ・・・」
ひどく潤んだ瞳でそんなことを言われ、間切の胸はこの上なく高鳴る。それと同時に、間
切の中のほんの少しの意地悪さが顔を出した。
「仕方ないなあ。」
そう言いながら、間切は最後の頼みの綱であった網問の褌をしゅるりと外してしまった。
「っ!」
「あっ、間違えた。」
「嘘だっ!間切わざと・・・っ!」
網問の身体から何の布もなくなってしまうと、くっついているタコはさらに大きく動き出
す。身体の前面を這いずっていたタコは、その足の一本をすっかり勃ち上がっている網問
の可愛らしい茎に絡み付け、背中から臀部にかけてを弄っていたタコは、その双丘の間に
吸盤だらけの足を滑り込ませた。
「やぁっ・・・ああぁんっ!」
さすがにここまで直接的な刺激を与えられたら、声を抑えることなど不可能だ。悲鳴にも
似た喘ぎ声を、網問は自分と間切しかいないこの岩場に響かせた。網問の声に反応したの
か、網問の身体に張り付いているタコ達はさらに大きく動き始める。
「ひぅっ・・・!やっ・・・ああぁっ!」
「網問・・・?」
「やだやだっ!タコの足・・・中にっ・・・あっ・・・ああぁっ!」
双丘の合間の行き来していたタコの足がどうやら小さな蕾の中に入ってしまったようだ。
さすがにそれはと思う間切であったが、あまりにも網問の反応がいいので、何も手を出せ
なくなってしまう。
「ああぁんっ・・・吸盤がぁ・・・間切っ、間切っ!」
(これは、刺激強すぎかも・・・)
顔に血が上ってくるのを感じつつ、間切は網問から目を離せなくなっていた。いつもの何
倍も速く心臓が動き、全身に熱くなった血が巡る。それは、熱の中心とも言えるあの部分
も例外ではなかった。
「間切っ・・・もぉダメぇ・・・俺っ、俺っ・・・」
中で蠢くタコの足と、ピンポイントで弱い部分ばかりを擦られる感覚に網問はもう耐えき
れなくなる。ぐにゅりと一際深く吸盤が内側を抉った瞬間、網問の熱が大きく弾ける。
「あっ・・・ああぁぁ――っ!」
ビクビクと身体が波打ち、網問は真っ白な雫を放った。そんな網問を見て、間切は顔を赤
く染め、ゴクンと唾を飲んだ。
(何か・・・すっげぇイケナイことした気分だ。けど、悪くはないかも。)
「ふあ・・・あ・・・ああ・・・」
タコに達かされ、ひくひくとその身を震わせている網問に手を伸ばし、間切は網問の腹と
腰に張り付いていたタコを剥がしてやった。ぷちぷちと吸盤が肌から剥がれる感覚に、網
問はぴくんと反応してしまう。
「あっ・・・あぅ・・・」
「ほら、タコ取ってやったぞ。」
内心ドキドキしまくっている間切であったが、平静を装いながら、網問にそう声をかける。
やっと自由の身になった網問は、しばらくその場で横になり、呼吸が整うを待った。そし
て、もう普通に動けるという状態になると、がばっと体を起こし、ぷーっと頬を膨らませ、
間切の胸をポカポカと叩いた。
「間切のバカ――!本当もう信じらんない!間切のせいで・・・間切のせいで・・・タコ
にイカされちゃったじゃんか!」
「だって、まさかタコであんなに感じるとは思ってなかったし。網問が敏感すぎるのがい
けないんじゃねぇの?」
「違うもん、違うもん!てか、あんなことされたら、感じるに決まってるだろぉ!」
「へぇ、認めちゃってるじゃん。網問ってば、やーらしー。」
「もー、怒った!」
間切が全く反省の色を見せず、からかうようなことばかり言ってくるので、網問はついに
切れた。思いきり間切を突き飛ばし、尻餅をついた間切に馬乗りになる。
「ってぇ・・・」
「間切だって、エッチじゃん。俺がタコに弄られてるの見て、ココこんなにしてるんでし
ょ?」
先程の網問を見て、すっかり大きくなっている熱の塊をぎゅっと掴まれ、間切はビクンと
その身を跳ねさせる。袴の紐をほどき、褌をずらして、間切のその熱を網問は外気に触れ
させた。
「ちょっ・・・網問っ!」
「間切のエッチ。間切もイっちゃえばいいんだ。」
そう言いながら、網問は軽く呼吸を乱しつつ、先程までタコに散々嬲られていた蕾に、間
切の熱を押し当てる。そして、ぐっと腰を落とすと、一気に間切の熱を自らの内側へと誘
い込んだ。
「く・・・ぅん・・・」
「あっ・・・ああぁ――っ!」
間切を自分の中へ受け入れると、網問は先程とは比べ物にならないくらい、愛らしく甘い
悲鳴を上げる。間切も間切で、堪えきれない熱い吐息をその口から漏らした。
「ハァ・・・んっ・・・んん・・・」
「あ、網問っ・・・」
「仕返し・・・だからね。」
(こんなの全然仕返しにならないって。)
息を乱しながら、網問がそんなことを言うのを聞いて、間切は心の中でそう思う。仕返し
というにはあまりにも気持ちよく、自分がオイシイ思いをしているのは間違いなかった。
「気持ち・・・いい・・・」
自ら腰を動かしながら、うっとりとそんなことを呟く網問に、間切はドキっとしてしまう。
その胸の高鳴りが、網問の中に入っている熱の塊に伝わり、ずくんと軽く大きさを増す。
「ふあっ・・・間切の・・・中でおっきくなった・・・」
そう漏らす網問の言葉はどこか嬉しそうであった。中の熱をよりいい場所に当てようと、
腰を動かしている網問であったが、それだけではどうも刺激が足りないと思い始めていた。
「ねぇ、間切ぃ・・・」
「ハァ・・・何だよ?」
「間切のね、すごい気持ちいいんだけど・・・俺が動いてるだけじゃ、うまく一番イイと
ころにあたってくれないの・・・」
「ああ・・・」
「だから・・・間切も動いて?」
軽く首を傾げ、甘えるような口調で網問はそんなことを、間切にねだる。網問のその可愛
らしすぎる仕草とおねだりに、間切はもう萌えまくりだった。そんなふうにおねだりをさ
れたら断れないと、間切は膝を曲げ、下から突き上げるように、自らも腰を動かし始める。
「あ・・・あんっ・・・あ・・・ああっ・・・!」
「うわっ・・・ヤバ・・・」
「間切・・・間切っ・・・ふあっ・・・ああぁ・・・」
「網問の中・・・すごい・・・気持ちいい。」
双方が動くことで、その刺激と気持ちよさは相乗効果で高まり、二人の頭の中を、甘いと
ろけるような感覚で埋めつくしてゆく。網問のいいところに当たれば、きゅうっと蕾は間
切の熱を締めつけ、心地よい刺激をもたらす。その刺激によって、間切の熱はびくびくと
波打ち、網問の敏感な内壁をより大きな刺激をもって擦り上げる。そんなお互いがお互い
に与える快感に二人は夢中になり、どちらも絶え間なく腰を動かした。
「あっ・・・はぁ・・・あっ・・・あ・・・」
「ハァ・・・ふっ・・・く・・・」
「間切・・・すごい・・・気持ちいいよぉ・・・」
「俺も・・・気持ちよすぎて、とけちまいそうだ」
「ねぇ・・・ちゅうしたい・・・」
「いいぜ。」
網問の求めに応じるように、間切は腕を伸ばし、網問の顔を自分の方へと引き寄せる。そ
して、ゆっくりと柔らかい唇を重ね合わせると、二人はお互いの蜜を味わい合うかのよう
に、その舌を絡めた。
「んぅ・・・ふっ・・・んむ・・・」
(網問の舌、熱い・・・)
熱く甘い口づけは、二人の心を更に近づけ、繋がり合っているという感覚をより大きなも
のにする。息をするのも忘れるほどに、二人は長い時間口づけを交わし、トロトロにとろ
けるほどに、交わり合う。名残惜しく唇を離すと、透明な蜜の糸が二人の唇を繋ぎ、甘い
口づけの余韻を目に見える形にしていた。
「ハァ・・・」
「網問、すげぇ可愛い。」
網問の頬に手を添えながら、間切は呟く。そんな間切の言葉に網問はニッコリと笑って応
えた。
「こんな俺を知ってるのは、間切だけなんだからね!」
「ああ、そうだな。」
「俺のココも・・・ココも・・・ぜーんぶ間切専用なんだから。」
自分と間切が繋がっている場所、そして、唇を指差しながら、網問はハッキリとそう言う。
それを聞いて、間切はどうしようもなくきゅんと胸がときめき、網問が好きだという想い
で、胸がいっぱいになった。
「さっきは、タコに弄らせたりなんかして悪かったな。」
「いいよ、もう・・・だって、俺のココは・・・今は間切でいっぱいだもん。」
「俺も、頭の中も身体も網問でいっぱいになってるぜ。」
「えへへ・・・嬉しい・・・」
本当に嬉しそうな笑みを浮かべると、網問はちゅっと軽く間切の唇に口づけ、もぞもぞと
腰を揺らす。
「ねぇ、間切・・・」
「何だ?」
「俺、もうイキたい・・・間切と一緒に。」
「網問・・・」
「一緒にイこう・・・?」
「ああ・・・」
話す余裕はあるにしろ、身体的にはどちらももうかなり限界まで快感が高まっていた。網
問のその一言で、二人は再びお互いの身体を繋げている結合部へと意識を集中させる。そ
うしたことにより、二人の感じる絶頂感は一気に高まった。
「あっ・・・ああっ・・・ああぁんっ・・・!」
「んっ・・・くっ・・・」
「ハァ・・・まぎ・・・り・・・あっ・・・も・・・」
「俺も・・・網問っ・・・」
「ああぁ――・・・っ!」
「く・・・ぅん・・・っ!」
二人だけが居る岩場に、二人分の甘い声が響き渡る。身体の奥で熱と熱とが混じり合い、
二人は絶頂という名の大きな波にのまれていった。

果てしない気持ちよさの余韻を十分に味わった後、ゆっくりと二人は身体を離す。とりあ
えず、汚れてしまった体を綺麗にしようと、網問はそのまま海に入り、軽く水浴びをした。
「近くに海があると、こういうとき楽だよねー。」
「そうだな。」
「間切は入らないの?」
「んー、着物脱ぐの面倒くさいし・・・」
網問はもともと全裸であったが、間切はほとんど着物を身につけたままの状態だ。海には
入ってはいないものの、間切はかなり水辺に近いところに座っていた。自分だけ水浴びを
するのは面白くないと、網問は海水の中から、間切の腕をぐいっと引っ張った。
「うわっ!」
バシャンっ!
大きな音を立て、間切は着物のまま海の中へ落ちる。してやったりと、網問は声を上げて
笑っていた。
「あはは、間切もびっしょりだぁ。」
「網問っ!」
「だって、一人で水浴びつまんないんだもーん。」
「だからって、いきなり海に落とすなよ!」
「間切だって、いきなり俺の着物の中にタコ入れてきたんだから、これでおあいこだよ。」
「う・・・それは確かに・・・」
それを言われてしまっては、何も言い返せないと間切は黙ってしまう。
「そういえば、あの二匹のタコは持って帰れないよねー。さすがにあんなことに使っちゃ
ったのは食べる気しないもん。」
「網問は、本当食べることばっかだなあ。とりあえず、逃がせばいいんじゃないか?」
「まあ、二匹くらい逃がしたって、まだまだいっぱいいるもんね!」
ざばっと海から上がると、網問はかごの外にいる二匹のタコを掴み上げ、ぺいっと海に向
かって投げる。投げられたタコは、バシャン、バシャンと音を立てて、もといた海へと戻
っていった。
「さてと、水浴びして体も綺麗になったし、着替えるか。」
「そのまま着たら、着物びしょびしょになるだろ。」
「間切もびしょびしょじゃん。」
「これは、お前が海に落としたからだろ!」
「細かいことは気にしない気にしない。」
そんなことを言いながら、網問は濡れたままの体に着物を身につけてゆく。水軍をやって
いれば、着物のまま海に入るのも、濡れた体に着物を身につけるのもごくごく当たり前の
ことなので、大して気にすることもないかと、間切もびしょ濡れのまま、海から上がった。
ここまで濡れていれば、そう簡単には陸酔いはしないだろうというプラスの要素もあるの
も確かだった。
「まだ日出てるし、夕方までには乾くでしょ。」
「まあ、確かにな。」
「はあー、何か疲れたけど、楽しかったー。ね、間切。」
「まあな。網問のいい顔もいっぱい見れたし。」
「何だよそれー?間切のエッチ。」
「網問だって、そうだろ?タコでイクし、いきなり俺のを自分の中に突っ込むし。」
「間切よりはマシだもん。」
「いーや、俺のがマシだって。」
そんな言い合いをしている二人であったが、何だかそれがおかしくなってしまって、顔を
見合わせたままぷっと吹き出す。とにかくなかなか充実した楽しい時間が過ごせたのは確
かであった。どんなことをしたかはさておき、二人が感じるのはとりあえず身体も心も満
たされたという感覚だ。
「まだ、夕方まで時間あるし、もう少しゆっくりしてくか。」
「うん!」
まだもう少し二人きりで居ようという間切の提案に、網問は笑顔で頷く。かごの中のタコ
が逃げ出さないように見張りながら、間切と網問は二人きりのこの時間を、しばらくの間
満喫するのであった。

                                END.

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