ピピピピ・・・ピピピピ・・・
「ん〜・・・今何時だ・・・?」
目覚まし時計を止めながら、宍戸は寝惚け眼で時間を見る。目覚まし時計の針は午前8時
を指していた。
「ちょっ、マジかよ!?遅刻じゃねーか!!」
時計を見て、宍戸はがばっと飛び起きる。慌てて制服に着替え、朝食もろくに食べずに、
鞄を持って家を飛び出す。そんな宍戸を見て、宍戸の母親は首を傾げていた。
「今日は部活の練習でもある日なのかしら?」
夏休み前後は大きな大会があったので、土日でも部活に行くことが多かったが、今は11
月も半ばだ。そういうこともあるのだろうと、それほど気にせず、宍戸の母親は少し遅め
の朝食をとり始めた。
全力疾走で学園の前までやってきた宍戸だが、ふと違和感を覚える。どんなに遅刻をして
も開け放たれている門が今日は閉まっているのだ。何故だろうと首を傾げていると、聞い
たことのある声が耳に入った。
「おい、そんなところで何やってるんだ?宍戸。」
「跡部!」
既に始業時間を過ぎているはずなのに、門の前に跡部がいることに宍戸は驚く。全く意味
が分からないというような顔をしていると、内側から跡部は門を開けた。
「そんなところに突っ立ってねぇで、さっさと入れよ。」
「お、おう。」
「で、テメェは日曜日なのに何しに学校へ来たんだ?」
「へっ!?」
跡部にそう言われ、宍戸は慌てて携帯を見る。そこには確かに日曜日と表示されていた。
「うわっ、マジかよ!素で間違えた・・・。激ダサだぜ。」
日曜日を平日と勘違いして、学校まで来てしまうとは何という失態だと、宍戸は恥ずかし
さを誤魔化すかのように少し大きめの声でそう口にする。そして、それならばと思い浮か
んだ疑問を素直に跡部にぶつけた。
「跡部はどうして学校にいるんだ?生徒会の仕事か何かか?」
「いや、俺も平日と勘違いして来ちまった。今日は少し準備に手間取ったんで、空から来
たんだけどな。」
いつも通りの自信満々な口調で跡部は答える。自分と同じじゃないかというつっこみと、
空からとはどういうことだというつっこみと、かなり恥ずかしい勘違いなのにその自信満
々な態度は何なんだというつっこみ等、様々なつっこみが宍戸の頭に思い浮かんだが、ど
こからつっこんだらいいのか分からず、しばらく呆然とした後、ぶっと吹き出した。
「ぶっ・・・あはは、じゃあ、跡部も俺と同じってわけか。」
「ま、そういうことだな。そこまで笑うことじゃねぇだろ。」
「だってよ、いつも冷静沈着で余裕を持って行動する跡部が、日曜日を平日と勘違いして
普通に学校来てんだぜ?あ、空からとか意味分かんねぇこと言ってる時点で、普通には来
てねぇか。そりゃ笑うだろ。」
「とりあえず、来ちまったもんはしょうがねぇ。このまま帰るってのも何だから軽く校内
を散歩してたら、門のところにお前がいるのを見つけてな。」
「なるほどな。確かに俺もそのまま即帰るってのは微妙だなあ。」
うーんとそうぼやく宍戸に跡部はとある提案をする。
「だったら、少し打ってくか?今日は部活はねぇから、コートは使い放題だし、部室も俺
様がいりゃ使えるしよ。」
「いいのか!?」
「ああ。どうせ一人でいたって暇してただけだしな。昼くらいまでテニスして、汗を流す
のも悪くねぇんじゃねぇの?」
思ってもみない跡部の提案に宍戸のテンションは一気に上がる。それならば早くテニスコ
ートに行こうと、跡部の腕を引っ張る。
「それじゃあ、早く行こうぜ!!」
「まずは部室で着替えなきゃだろ。」
「あ、そうだな。うわあ、久しぶりに跡部と試合出来る。激楽しみだぜ!」
素直に嬉しがる宍戸を見て、跡部の顔は思わず緩む。一人でテニスの練習をするよりも二
人で打ち合う方が何倍も楽しいと、跡部もかなりご機嫌な様子で宍戸と共に部室へ向かっ
た。
昼少し前まで、二人は試合形式の練習をする。特に審判等はいないがかなり白熱した試合
になり、終わるころにはどちらも汗だくになっていた。
「11月とは言えども、こんだけ動くとかなり汗かくな。」
「ああ。汗が引いて冷えるといけねぇから、軽くシャワーでも浴びに行こうぜ。」
「おう、そうだな。」
存分にテニスをすると、二人はシャワールームへと向かった。テニス部専用のシャワール
ームなので、部活のない今日は跡部と宍戸以外は誰もおらず、貸し切り状態であった。
「こうすぐシャワー浴びれるのは、便利だよな。」
「まあな。」
「シャワー浴びたら、制服に着替えりゃいいか。どうせ帰るだけだしな。」
汗にまみれたユニフォームを脱ぎ、宍戸はシャワーの個室に入る。跡部も宍戸の隣の個室
に入り、シャワーを浴びた。
(久しぶりに跡部と試合出来たし、今日は間違えて学校来ちゃってよかったなあ。)
そんなことを考えつつ、宍戸は頭からシャワーを浴びる。しばらくシャワーを浴びている
と隣からシャワーを止める音が聞こえ、パタムと扉が開閉する音が聞こえた。
(跡部の奴、もう出たのか。早ぇーな。)
跡部が出たなら、そろそろ自分も浴び終えないとなあと思い、宍戸はシャワーを止めよう
とする。シャワーを止め、くるっとドアの方を振り返ると目の前に水に濡れた跡部が、タ
オルも何も身につけずに立っていた。
「うっわあ!!な、何こっちに入ってきてんだよ!?」
「アーン?テメェがなかなか出てこねぇから様子をみてやろうと思ってな。」
「ふ、ふざけんな!!いきなり真後ろに立たれたら、ビックリするだろうが!!」
後ろを振り返った瞬間、素っ裸の跡部が立っていたので、宍戸の心臓はバクバクと高鳴る。
水に濡れている跡部はいつもより色気が増し、宍戸の目を釘付けにする。
「やっぱ、素っ裸で濡れてるってのは結構クるな。」
「な、何言って・・・」
「こんな場所で二人きりになれるチャンスなんて、滅多にねぇんだぜ?少しくらいそうい
うことを楽しんでもいいんじゃねぇかと思ってな。」
濡れた体に反応しているのは宍戸だけではなかった。跡部も宍戸の裸を見て、宍戸よりも
もっと直接的にムラッとしていた。シャワー室の壁に宍戸を押しつけ、半ば強引に唇を重
ねる。
「うっ・・・んぅ・・・・」
跡部に口づけをされると、宍戸は反射的に口を開く。跡部の舌が自分の舌に触れると、ひ
くんとその身を震わせた。
「ん・・・ぁ・・・んんっ・・・んっ・・・」
体から水が滴り、ピチャ、ピチャと雫の垂れる音が響く。何となくそれがいつもよりやら
しい感じがして、宍戸はいつも以上に興奮してしまう。
「ふっ、キスだけでこんなになるんだもんな。何だかんだでテメェもノリ気じゃねぇの。」
「跡部だって・・・そうじゃねぇか。」
「アーン?当然だろ。テメェとキスしてんだぜ。」
何も身につけないまま向かい合わせでいると、どうしても一番反応が表れるところに目が
いってしまう。自分が見られるのも自分が見てしまうのもひどく恥ずかしくて、宍戸はく
るっと跡部に背を向けた。
「そ、そういうこと言うんじゃねぇよ!」
「俺様に背を向けるとはどういうことだ?」
「ウルセー!素っ裸で向かい合ってんのは恥ずかしいんだよ!!」
「ま、別にいいけどな。後ろを向くってことは、こんなふうに密着していろいろ出来るっ
てことなんだぜ。」
背を向けた宍戸を後ろから抱きしめるように腕に収める。そして、右手は下肢へ左手は胸
の突起へと持って行く。
「やっ・・・ま、待てっ・・・!!」
「ココこんなにしてちゃ、全然説得力ねぇぜ。ほら、さっきよりも硬くなってる。」
「あっ・・・うあっ・・・・」
耳元で囁かれながら、敏感な部分を弄られ、宍戸は素直に反応してしまう。
(こんなに密着されて、下も胸も弄られたら・・・・)
「んっ・・・あ・・ぅ・・・・んん・・・・」
「さっきまでの威勢はどこ行ったんだ?まあ、俺様の美技にかかればこれくらい当然だな。」
「んなこと・・・ひあっ!!」
宍戸が否定の言葉を発しようとした瞬間、跡部は胸の突起を強く抓み、下の方の先端を少
し強めの力で擦る。
「だ、ダメ・・・そんなにしたらぁ・・・・」
「そんなにしたら、どうなるって?」
「い、言わなくても分かるだろっ・・・!」
「さあ、分かんねぇなあ。分かんねぇから試してみるしかねぇな。」
宍戸の反応を見ていればどうなるかなど分からないはずはないが、跡部はわざとそんなこ
とを言い、先程より少し激しめに責める。
「ひあぁっ・・・やっ・・・跡部っ・・・!!」
「さっきよりもビクビクしてるぜ?」
「あっ・・・んっ・・・そんなに激しくされたら、イっちゃ・・・・」
「いいぜ、イっちまえよ。たくさん出しちまえ。」
「んっ・・・んんん―――っ・・・・!!」
低く腰に来るような声で囁かれつつ、感じる部分を強く擦られ、宍戸は達してしまう。壁
に手をつきながら、呼吸を乱していると、引き締まった双丘に何か熱いモノが触れる。
(跡部のがすげぇ当たってる・・・超あちぃし。ここまであからさまだと、ちょっと恥ず
かしいな。)
「跡部・・・」
「どうした?」
「・・・何つーか、跡部の、ケツに当たってるんだけど?」
「ああ、そうだな。何だよ?もう入れて欲しいのか?」
「ち、違ぇーよ!!そんないきなり突っ込まれたら痛ぇだろーが!」
「痛いのも好きなくせに。ま、今日はそんなに急いでする必要もねぇしな。ちゃんと慣ら
してから入れてやるよ。」
今しがた達したばかりなので、その方が都合がいいと宍戸は跡部が慣らしやすいように、
軽く腰を突き出したような体勢をとる。
「随分と協力的な体勢じゃねぇか。それともさっさと進めろって誘ってんのか?」
「別に誘ってなんかねぇよ。けど・・・ちょっとはやりやすくした方がいいかなあと思っ
てよ。」
若干ツンデレ風味の宍戸のセリフに跡部はニヤけてしまう。これはもうしっかり弄ってや
らないとなあと、跡部は宍戸の放った熱で濡れた手でこれから入るべき穴を慣らし始める。
「ひゃっ・・・ぁ・・んっ・・・・」
「何だ、意外とすんなり入るじゃねぇか。」
「ハァ・・・跡部の手が、ヌルヌルしてるからじゃねぇの?」
「テメェのでだけどな。」
そう言われて、宍戸は既に赤く染まっている顔をさらに赤くする。あまり余計なことを喋
ると自分が恥ずかしくなってしまうと、宍戸はしばらく口をつぐんだ。しかし、内側を弄
られれば、嫌でも声は漏れてしまう。
「んんっ・・・あっ・・・ああ・・・・」
「だいぶイイ感じだぜ。あともう少ししたら、俺のを入れてやるよ。」
「あっ・・・ハァ・・・んっ・・・んんんっ・・・・!!」
指で弄られるのもかなり気持ちいいが、当然ここまでくればそれだけでは少し物足りなか
った。弄ってやるのに合わせて、宍戸が腰が揺らし始めていることに気づき、跡部は指を
抜いて、自身を双丘の中心へ押しつける。
(やっぱ、跡部の熱いなあ・・・あ、入ってくる・・・)
慣らされているとはいえ、ある程度の質量があるものが入口を抉じ開けて入ってくる感覚
は、何とも言えない興奮が伴う。熱い楔がゆっくり奥へと進んでいく感じに、宍戸は全身
が粟立つような快感を覚える。
「んあっ・・・あっ・・・ああぁ――っ!!」
「ちょっとまだ狭いが、それはそれでいいな。」
「ハァ・・・うっ・・・まだちょっと・・・・」
「んー?何だよ?」
宍戸の内側がまだ自分のモノに馴染んでいないのを分かっていながら、跡部はわざと抉る
ようにそれを動かす。そんな刺激に宍戸の内側はぎゅうぎゅうと跡部の熱を締めつけ、少
し強いくらいの刺激を与える。
「ああぁっ・・・ダメぇ・・・・」
「ダメってかなりクる言葉だよな。もっといじめたくなるぜ?」
「・・・んでだよ・・・この変態・・・・」
「そうされて、テメェが悦ぶからだろうが。俺だけの所為にすんじゃねぇよ。」
「そんなことね・・・ひあっ・・・やっ・・・ああぁ――っ!!」
先程よりも内側が馴染んできたのを感じ、跡部は大きく動き、宍戸の中を堪能する。突然
激しくなる跡部の動きに、宍戸はただただ翻弄されるしかなかった。
(中がすげぇ擦れて・・・ヤバ・・・激気持ちイイっ・・・・)
「あっ・・・うあっ・・・跡部ぇ・・・・あぁんっ・・・・」
「たまんねぇぜ。こういう体位ですることはあまりないが、全然悪くねぇな。むしろ、俺
は結構好きだぜ?」
「んんっ・・・くっ・・・ああぁ――っ!!」
「テメェもだいぶよさそうだしな。」
宍戸がいつも以上に感じているようなので、跡部は満足気な笑みを浮かべて後ろから何度
も自身を打ち込む。その感覚がどうしようもなく気持ちよく、宍戸もその激しい刺激を心
ゆくまで享受した。
「さてと、そろそろフィニッシュって感じだな。」
「はっ・・・跡部っ・・・中、いっぱい擦れて・・・熱くて・・・も・・ぉ・・・・」
「分かってる。ほら、たーんと味わえよ?下の口でな。」
「ひあぁっ・・・あっつい・・・あっ・・・あああぁ―――っ!!」
中に熱いモノをたっぷりと出され、その刺激で宍戸も絶頂を迎える。髪や肌からポタポタ
と落ちる雫は、水なのか汗なのか既に分からない状態になっていた。
シャワールームということもあり、後処理はいつもよりかなり簡単であった。どちらとも
もう一度軽くシャワーを浴び直すと、今度こそ制服に着替え、帰る用意をし始める。
「今、何時だ?跡部。」
「1時ちょっと過ぎだな。」
「朝飯食べてきてねぇし、テニスしてエッチしたから、すっげぇ腹減った。」
「ああ、確かに腹は減ってるかもしれねぇな。」
「昼飯どうしようかなあ。」
激しい運動をしまくったということで、跡部も宍戸もかなりの空腹感を感じていた。
「せっかくだし、どこかに食べに行くか?もちろん俺様が奢ってやるぜ。」
「マジで!?」
跡部に奢ってもらえるとなると、必然的にかなり豪華な食事になる。この空腹感にそんな
食事はたまらないと、宍戸は嬉しそうな笑顔を浮かべてそう返す。
「テメェの好きなものでいいぜ。あ、いくら好きだからっつったって、俺様が奢ってやる
って言ってんのに、チーズサンドとかいうのはなしな。」
「分かってるって。うーん、何にしようかなあ・・・。中華もいいし、思いっきり肉って
感じでもいいよな。あー、でもパスタってのも捨てがたいし・・・」
自分の好きなものでいいという話を聞いて、宍戸は何が食べたいかを考える。その表情は
実に楽しそうで、そんな宍戸を見て、跡部はふっと顔を緩ませる。
「だったら、いろんなメニューが食えるバイキングにでも行くか?」
「バイキング!?おー、いいな、それ!!食べ放題だな!!」
「あんまり食い過ぎんなよ?」
「それは行ってみねぇと分からないぜ。あー、食べ放題とか激楽しみ〜!!早く行きてぇ
な。」
「今、迎えを呼んだからちょっと待ってろ。すぐに来るはずだからな。」
「おう!!」
これから豪華な昼食がとれるということで、宍戸はかなりご機嫌な様子でにこにこしてい
た。しっかり帰る準備をすると、二人そろって部室を出る。
「今日は日曜日で、かつ特に用もねぇのに学校来ちまったけど、跡部とテニス出来たし、
間違って来てよかったかもなあ。」
「俺もそう思うぜ。まあ、お前が来ないで、一人で何もせずって感じだったらそうは思わ
ねぇけどよ。」
「何か変な偶然もあるもんだな。」
「そうだな。なかなかない経験だぜ。」
「しかも、これから跡部の奢りで豪華な昼飯食えるし、今日はいつもより充実した日曜日
だぜ♪」
そこまで素直に喜ばれると、誘った甲斐があると跡部は顔を緩ませる。学校でテニスをし、
ちょっとしたお楽しみをした後、そのまま制服デートという今日の予定に、跡部も宍戸も
胸を弾ませていた。勘違いから始まった楽しい一日。こういう休日も悪くないと、二人の
顔は先程から緩みっぱなしであった。
END.