「おじゃましまーす☆」
「予定よりちょっと早めに着いちまったが、大丈夫か?」
「さして問題はない。」
越知と毛利が住んでいる家にやってきたのは大曲と種ヶ島だ。ちょくちょく連絡は取り合
っているものの、お互いのパートナー以外とはなかなか直接会うことは出来ない。そんな
中、奇跡的に全員が揃うことが出来る時間が取れ、今日は越知と毛利の家で宅飲みをする
ことになっていた。
「直接会うたの結構久しぶりやんな?」
「そうですね。もう数年ぶりとちゃいます?」
「数年ぶり!?久しぶり言うても、もうちょい会うてる感覚やったわ。このくらいの年に
なるとホンマ時間の流れ早いよな。」
リビングに移動しながら、種ヶ島と毛利はそんな会話を交わす。高校生のときに出会って
から交流はかなり長い間続いており、現在は一番年下の毛利でさえ、四十を越える年齢に
なっている。
「おっ、結構ちゃんとしたもん準備したんだな。」
「全て寿三郎の手作りだ。どれも美味いぞ。」
テーブルに用意されている食べ物を見て、大曲はそんなことを言う。毛利の作ったものは
すごいだろうと言わんばかりに、越知は大曲の言葉にそう答える。大曲や種ヶ島が腰を下
ろしたところで、再度玄関のチャイムが鳴る。
「たぶんキミさんと遠野さんやと思うから、俺出とくな。」
「ああ。頼む。」
そんな会話を交わす二人を見て、大曲と種ヶ島はふっと笑い、会話を交わす。
「いまだに毛利がツッキーにタメ口なの慣れへんわー。」
「同感だし。」
「既に20年以上も共にいるんだ。敬語の方がおかしいだろう。」
「せやけど、サンサンはアツにも俺らにもずっと敬語やで?」
「それはアイツの普段の口調がそうなのだから、また違うだろう。」
「まあ、確かにそうかもしれねぇけどな。」
三人がそんな話をしていると、毛利が君島と遠野を連れて戻ってくる。
「キミさんと遠野さんも到着しましたよ。」
「おっ、現役アイドル様のお出ましやん!この年でも相変わらずキミ様してるのはさすが
やわ。」
からかい口調の種ヶ島の言葉も意に介さず、君島は余裕の笑みを浮かべる。
「種ヶ島くんは相変わらずですね。まあ、アナタらしくていいんじゃないですか?」
「おっ、美味そうなもん、たくさんあるじゃねーか!」
君島と一緒にテーブルにつきながら、遠野はそう口にする。
「全員揃いましたし、早速始めます?」
「ああ、いいんじゃねーか?久しぶりにこのメンバーでの飲み、楽しみだな。」
「ほんなら、宅飲み始めよか。」
毛利の言葉に大曲と種ヶ島は楽しげな様子で頷く。今日はそれぞれオススメやお気に入り
のお酒をそれぞれ準備してきていた。
「まずは俺からいきますね!俺が用意したのはこれでっせ!」
そう言いながら毛利が出してきたのは、『越知』と書かれたラベルが貼ってある日本酒で
あった。
「あはは、ツッキーのお酒やん!」
「ネットで見つけて、これや!って思って買ってまいました。」
「出オチ感すげぇし。けど、日本酒があるのは悪くねぇな。」
「出『越知』って?竜次もなかなかやるやん!」
「いや、そんなつもりで言ってねーから!」
図らずもダジャレのようなこと言ってしまった大曲は、種ヶ島のツッコミに否定の言葉を
放つ。そんな二人のやりとりを聞いてクスクス笑いながら、君島と遠野も自分達が持って
きたお酒を出す。
「変わり映えしなくて申し訳ないですが、私は赤ワインを持ってきました。」
「いや、君島が持ってくるワインはかなり美味いからありがたいな。」
君島の持ってくるワイン類はかなり高価でなかなか飲むことが出来ない銘柄であり、味も
絶品であった。それが分かっているため、越知はそんな言葉を口にする。
「俺が持ってきたのは、青森産の林檎を100%使った林檎酒だ。実家から送られて来た
んだけどよ、これがなかなか美味くて。な、君島。」
「ええ。冷やして飲むと特に美味しいですよ。」
「へぇ。だったら、ロックで飲むのがいいかもしれねぇな。」
遠野が持ってきたお酒も悪くなさそうだと、大曲は期待に満ちた目でそのビンに視線を向
ける。
「次は俺らやな!俺が用意したのはこれ!!チョコレートリキュールやで☆」
「チョコレートリキュールですか。飲んだことはないですね。」
「甘そうでええですね。」
「結構美味くてオススメやで!」
「俺は泡盛の古酒だ。修二が用意したのとは違った甘みがあってなかなかイケるし。」
「度数は高そうだが、美味そうだな。」
「ああ。水割りやお湯割りで飲むのがよさそうだな。」
君島と毛利は種ヶ島が用意したチョコレートリキュールに、遠野と越知は大曲が用意した
古酒に興味を持つ。持ってきたお酒は全て揃ったので、早速飲んでみようと、各々飲みた
いと思ったお酒をグラスに注ぐ。
「ほんじゃ乾杯しよか!」
「だな。」
『乾杯!!』
グラスを軽く鳴らし、それぞれ注いだお酒を口に運ぶ。
「君島が持ってきたワインはやはり美味いな。」
「種ヶ島さんのチョコレートリキュール、高級チョコみたいな味でメッチャ美味いです!
意外と苦味強めでちょっと大人な味ですけど。」
越知は君島の用意した赤ワインを、毛利は種ヶ島が持ってきたチョコレートリキュールを
飲み、感想を口にする。毛利の感想に種ヶ島はオススメの飲み方を教える。
「それ、牛乳で割ったりしても美味いで。後でやってみ?アツの林檎酒も酸味と甘さが絶
妙でメッチャ飲みやすいわ。」
「毛利が用意した日本酒、名前でネタ重視かと思ったが、味も悪くねーし。美味いな。」
種ヶ島は遠野の持ってきた林檎酒を飲み、大曲は毛利が用意した日本酒を飲む。どちらも
美味しいと、二人の顔は自然と緩む。
「大曲が持ってきた泡盛も香りと深みがいいな。この少し高いくらいの度数も悪くねぇ。」
「確かに。水割りにしても結構強めな感じですね。でも、すごく美味しいです。」
君島と遠野は大曲が用意した泡盛の古酒を飲む。水割りで飲んでいるが、もともとの度数
がかなり高いため、泡盛らしい強めのアルコール感が二人の舌と喉を熱くさせる。
「これ飲み終わったら、他のも飲んでみよーっと。」
「そうだな。お前の飲んでた林檎酒も気になるし。」
「私は次はチョコレートリキュールですかね。」
「俺は次は日本酒にするか。」
一杯目をまだ飲み終わっていないにも関わらず、種ヶ島や大曲、君島と遠野は次に飲むお
酒を選ぶ。もう少し自分達はゆっくり飲もうと、越知と毛利は顔を見合わせた後、持って
いるグラスを口へと運んだ。
「そろそろ水と氷がなくなりそうですね。取ってきますわ。月光さん、ついでに何か取っ
てくるものある?」
「追加の取り皿も持ってきてくれ。」
「はーい。」
若い頃よりはだいぶゆったりとしたペースで、お酒を飲みながら、毛利が用意したつまみ
を食べる。氷や水、取り皿を持って毛利が帰ってくると、越知は毛利がそれをテーブルに
置く前に受け取る。
「あ、月光さん、おおきに。」
「水を一杯入れてくれるか?」
取り皿をテーブルの上に置きながら、越知は毛利にそう頼む。
「水割りやなくて、水でええの?」
「ああ。」
まだ使われていないグラスに水を入れると、毛利は越知の前にそれを置く。そして、越知
の隣に腰を下ろした。そんな二人のやりとりを眺めながら、種ヶ島はニヤニヤしていた。
「ホンマ、ツッキーと毛利の距離感夫婦やんな。」
「分かるし。しかも、新婚っつーよりは、熟年夫婦って感じだし。」
「まあ、実際それくらい一緒にいますからね。間違ってはないんじゃないですか?」
種ヶ島や大曲、君島にそう言われ、毛利は満更でもない雰囲気で笑う。
「俺と月光さん、元『愛情深いダブルス』でしたし、キミさんの言うことも間違ってへん
と思いますよ。」
「それ、20年以上前のやつじゃねーか。いつまでそれ使ってんだよ。」
「えー、やって気に入ってるんですもん。」
茶化すような遠野の言葉に、毛利は笑いながらそう返す。照れることなくそんな応酬をす
る毛利を見て、越知はそれだけ長い間共にいるのだなーとほっこりとした気分になる。
「越知くんと寿三郎は、最近どうなのですか?」
「どうと言われても、特別なことはしていないな。最近は旅行などにも行っていないし、
買い物や散歩に一緒に行くくらいか。」
「あ、最近家庭菜園で育てていた野菜を収穫しましたよ!」
「ああ、その野菜で作ってくれた野菜のかき揚げそばは美味かったな。」
本当に日常的な報告をしてくる越知と毛利の話に、他のメンバーは頬を緩ませる。大きな
イベントはなくとも、実にこの二人らしく安定した日常を過ごしているのだなーと、安心
感にも似た感情を覚える。
「大曲くんではないですが、本当に熟年夫婦のようですね。まあ、そこが越知くんと寿三
郎らしいところなんですけどね。」
越知と毛利の穏やかな仲のよさにふふっと笑い、君島はグラスに入っているお酒を傾けな
がらそう呟く。
「そういやこの前、サンサンの出てるドラマ見たで!」
「ああ、あの父親役やってるやつな。やっぱ、君島演技上手いよな。父親役、スゲェ板に
ついてたし。」
「ちゅーか、サンサンが父親役って、俺らももうそんな年かーって思ってまうな。ホンマ
似合っとってビックリしたわ。」
「ありがとうございます。私の演技が上手かったからか、遠野くんが少し不安がっていま
したよ。」
「何でですか?」
君島の演技が上手いことでどうして遠野が不安になるのか分からないと、毛利は首を傾げ
て尋ねる。
「本当は結婚して子どもが欲しかったりするのか?なんて聞かれました。そんなこと全く
ないんですけどね。」
「いや、だってマジで似合ってたからよ。」
ニヤリと笑って自分の方を見てくる君島から目を逸らし、遠野は誤魔化すようにグラスを
口につける。
「私は出来る限りアイドルを続けてみんなに愛を贈りたいんです。ファンのみんなは平等
ですし、恋愛はご法度ですから。それは今でもちゃんと意識してますよ。」
「確かに君島関係のスキャンダルとか見たことねーし。徹底してんな。」
「えっ、ほんなら遠野さんは何なんです?」
「私と遠野くんが恋愛関係に見えますか?」
「確かに恋愛関係には見えないな。何と表現したらよいかは分からないが・・・」
お互いに想い合っているのは間違いないが、それが恋愛関係かと言われれば、うーんとそ
こにいるメンバーは首をひねる。
「遠野くんは、私の素の部分を全て受け入れてくれますから。ファンのみんなには見せら
れない独占欲や性欲、歪んだ愛情さえも。」
「はは、確かにそれが恋愛関係言うたら何かヤバイ感じしよるな!」
「公にはアイドルの鑑として振る舞えて、私的には本当の自分らしさ全開で、どんな欲求
も遠野くんが満たしてくれる。こんなに贅沢で幸せな状況を手放すわけないでしょう?」
それは結婚をして子どもを授かることよりも、遥かに自分にとっては望ましい状況だと、
君島は自信満々にそう語る。それを聞きながら、遠野は顔がニヤけてしまうのを抑えられ
ないでいた。
「今も昔も、遠野くんは私にとっては最高の『パートナー』ですよ。」
遠野に向けて、君島はキッパリとそう言い放つ。それを聞いて、遠野は嬉しそうに自信に
満ちた笑みを浮かべながら言葉を返す。
「当然だろ?素の君島を一番理解して、一番好きだと思ってんのはこの俺だけなんだから
な!」
「『パートナー』って言葉便利やな。サンサンとアツ、元々ダブルスのパートナーやった
から、サンサンがアツのこと『パートナー』言うたら、世間的には絶対ダブルスのなって
なるやろうし。でも、ホンマはもっと広義で、でも状況的には間違うてなくて。」
「そこが君島の計算高いところだよな。本当感心するし。」
遠野との秘密の関係を世間にバレずに続けられているのは、君島の計算高さゆえだと、種
ヶ島と大曲は心から感心する。越知や毛利も言葉には出さないが、君島と遠野はこの二人
らしい絆で結ばれているのだなと思っていた。
「逆にお前らは、最近どうなんだよ?」
「俺ら?んー、せやな。あっ、ちょっと前に数ヶ月かけて世界一周クルーズ行ったで☆」
「えー、すごいですね!クルーズってことは船でってことですよね?」
「こいつがいまだに飛行機乗れねぇからな。けど、ゆったりと船で回る旅も悪くなかった
し。」
世界一周クルーズをしたということ聞いて、そこにいるメンバーは素直に驚く。憧れはす
るものの、時間的な制約や金銭的な制約から、実際に行ったという話はなかなか聞かない。
「昔もかなりフットワークは軽い方だと思ってはいたが、この年でそこまでするのはさす
がだな。」
「ええやろー?竜次とのクルーズ、ホンマ楽しかったで。」
大曲と様々な国で様々なことをしたこと思い出しながら、種ヶ島は満足気に笑う。
「世界一周とかなると、結構食の好みが合わねぇとか気候が合わねぇとかあるんじゃねー
の?」
どちらもそこまで繊細ではないので、気にすることはないだろうなと思いつつ、遠野はそ
んなことを聞いてみる。
「もちろんあるで!思ったより寒かったり、暑かったり。美味いもんもぎょーさん食うた
けど、不味いもんも同じくらいあったわ。せやけど、竜次と一緒やったからな!快も不快
も、美味いも不味いもぜーんぶオモロくて楽しかったで☆」
「確かに、お前どんなに不味いもん食ってもケラケラ笑ってたもんな。」
困ったように話しながらも、大曲自身も相当楽しんでいたのだろうと他のメンバーは気づ
く。
「大曲さん的にはどうやったんですか?世界一周クルーズ。」
「スゲェ楽しかったぜ。自分一人じゃ絶対にしない旅だったしな。どこかに行きたいだけ
だったら、普通に飛行機で行くし。振り回されるのは分かってるけどよ、コイツと一緒だ
と一人じゃ出来ない経験や刺激的な経験が山程出来るからな。それはやっぱ、俺にとって
も楽しいことだし。」
「ホンマ竜次のそーいうとこ好きやわー。竜次は俺の最高の『パートナー』やな☆」
君島の言っていたことを真似するように、種ヶ島はそう口にする。真似されたことは分か
っていても、それは少しも間違っていないと、君島はふっと笑う。
「こんなに時間経っても、それぞれあのときのダブルスのパートナーと仲良く出来てるん
は、メッチャええことやな!」
「そうだな。その部分は変わってなくて、安心したし。」
それぞれのペアの近況報告を聞き、相変わらず仲が良いことを確認して、そこにいるメン
バーは顔を緩ませる。そんな穏やかな空気の中、誰もがもう少しお腹を満たそうと、他愛
もない話をしながらテーブル上の料理に箸をのばした。
ゆっくりなペースで飲んでいるとは言えども、誰もがそれなりの量を飲んでいることもあ
り、皆だいぶ酔ってきているような雰囲気になる。特に越知は若い頃よりも素直に飲み進
めていることもあり、他のメンバーよりも少し酔い度が高めであった。
「月光さん、少し飲みすぎやない?」
「さして問題はない。」
「ちょっとお水飲んどいた方がええよ。はい。」
毛利に水を渡され、越知は素直にそれを飲む。水の入ったグラスを置くと、毛利の肩を抱
いて自分の方へ引き寄せ、頭を撫でる。
「お前は本当に優しくて気が利くな。」
「ちょっ、月光さん!!」
「こんなにも愛らしくて、俺のことを考えてくれている。俺にとってお前は自慢のパート
ナーだぞ。」
ふわっと穏やかな微笑みを浮かべながら、越知は毛利に囁く。そんな越知の言葉にキュン
キュンしながら、毛利は口先だけの戸惑いを見せる。
「もう、やめんせーね。他の先輩らも見とるで。」
「メッチャ毛利嬉しそうやん。」
「毛利がしっかりするようになったから、越知の方が酔うほど飲む感じになってるし。」
越知が酔っていることで、無駄にイチャイチャしている越知と毛利を眺めながら、種ヶ島
と大曲はからかうような言葉を投げる。
「んっ・・・」
そんな越知や毛利の横で、遠野が声にならない声を上げる。
「さっきから気になっとるんやけど、アツビクっとしたり、色っぽい声出したりしとるけ
どどないしたん?」
「してねぇ!!君島が太ももとか膝触ってくるからくすぐってぇんだよ。」
「えっ?」
お酒のせいか君島に触れられてせいか分からないが、遠野の顔は他のメンバーより赤く染
まっていた。そんなことはしていないと言わんばかりに、君島は不思議がるような表情で
遠野を見る。
「君島はそんなことしてねぇって顔してるぞ。」
「とぼけんなよ。さっきから無駄に触りやがって何なんだよ?」
大曲と遠野の言葉を聞き、ふと自分の手に目をやると、確かに遠野の脚に触れている。
「すみません、完全に無意識でした。」
「はは、無意識にアツの脚触っとるってサンサンヤバイな。まあ、昔の好き好き攻撃より
はだいぶマシになったんちゃうん?」
二十代の頃は記憶がない中、好きを連呼するような酔い方であったが、今はそういう酔い
方なのかと大曲と種ヶ島はクスッと笑う。しばらく黙ってお酒を飲んでいた遠野だが、い
つまで経っても君島が触るのをやめないので、さすがにツッコミを入れる。
「いや、何で触り続けてんだよ!?普通指摘されて気づいたらやめるだろ!!」
「遠野くんに触れていないと落ち着かなくて。」
「サンサンもう依存症レベルやん。愛されとんなあ、アツ。」
「フッ、結局今も大変だな。」
ドキドキゾクゾクはするものの、嫌かと言われればそうでもないので、遠野は君島が触れ
てくるのを止めるのを諦める。いまだに越知は毛利を抱き寄せながら愛でており、君島は
遠野に触れ続けている。そんな様子を見ている種ヶ島は、大曲の腕にしがみつくように腕
を絡め、頭を肩に預けるようにして、ベッタリ大曲にくっついていた。
「何やイチャイチャしとるのずーっと見せつけられとるんやけどー。」
「そうだな。」
抗議じみた種ヶ島の言葉に、大曲はいつも通りのテンションで返す。
「でも、まあ、こんなん昔からか。今更文句言うことでもないな。ツッキーと毛利、サン
サンとアツ、どっちもホンマ仲良しやな☆」
「それは間違いねぇな。」
ベタベタしながらそんなやりとりをする二人を見て、遠野は我慢出来ずにツッコむ。
「お前らも大概だろ。」
そんな遠野の言葉にキョトンとした後、大曲と種ヶ島はふっと吹き出す。他のメンバーが
どんなにイチャイチャしていてもそれが当然と言わんばかりの雰囲気で、そこにいるメン
バーは飲み会を続けた。
それぞれが用意したお酒もほぼ空になり、毛利の準備した料理も全て食べきると、ひとま
ず飲み会はお開きになる。もうかなり遅い時間であるため、大曲と種ヶ島、君島と遠野は
そのまま越知と毛利の家に泊まることにする。
「食器とかは食洗機にかけとくんで、ちょっとだけリビングで待っとってください。」
手際よく食器の片付けをすると、毛利は他のメンバーの待つリビングへ戻る。
「月光さんはもう寝室で待っとって。」
「ああ、分かった。」
だいぶ酔っ払っている越知を寝室に行かせると、毛利は部屋割りをどうするか相談する。
「元々俺の部屋やった部屋は、ベッドはそのままに来客用の部屋になっとります。布団は
余裕があるんで、あとはリビングに敷いて寝てもらおうかなと思っとるんですけどどうし
ます?」
「どうする?竜次。」
「俺は別にどっちでもいいし。」
「じゃあ、私達がリビングで寝てもいいですか?」
「俺らは別に構へんけど、サンサンベッドやなくてええの?」
「ええ。遠野くんもいいですよね?」
「ああ。」
君島がリビングで寝たいということで、大曲と種ヶ島が来客用の部屋で、君島と遠野がリ
ビングに布団を敷いて寝ることになる。
「ほんなら、今布団持ってきますね!」
「あ、布団は一組でいいですよ。」
布団を取りに行こうとする毛利に君島はそう声をかける。
「えっ?せやけど、二人で寝るんですよね?」
「アツとくっついて寝たいってことやろ?サンサンがそうしたい言うとるんやからそれで
ええと思うで。」
種ヶ島の言葉を聞き、毛利は納得する。君島のリクエスト通り、毛利は一組だけ布団を持
ってくる。
「一応、俺や月光さんも寝れるサイズの布団なんで、二人で寝ても余裕があると思います。」
リビングにあるテーブルを端に寄せてスペースを作り、毛利はそこに持ってきた布団を敷
く。
「確かに普通の布団よりはだいぶ大きめですね。」
「これなら余裕で寝れそうだな。」
一緒に寝ることに対して遠野は何も文句は言わないのだなということに気づき、大曲や種
ヶ島はこの二人の積み上げられた年月を感じる。それは自分達も同じことかと考えている
と、早く二人きりになりたくなる。
「ほんなら、俺らもそろそろ移動するわ。」
「はい、おやすみなさい。」
「おー、おやすみ。」
自分達も来客用の部屋で休もうと、大曲と種ヶ島はリビングから移動する。寝室に入りな
がら、種ヶ島はこそっと大曲に声をかける。
「竜次、すぐ寝てまう?」
「いや、そんなすぐには寝ねぇと思うが。」
「せっかく二人きりになったし、ちょっとイチャイチャしよか。」
「フッ、他の部屋にアイツらいるのにかよ?勘弁しろし。」
そう言いながらも大曲の顔はひどく緩んでいる。大曲も乗り気であることを嬉しく思いな
がら、種ヶ島はドアを閉めた。
「俺も月光さん待っとるんで、もう行きますね。おやすみなさい。あ、その布団、使い終
わったらすぐ洗うんで、多少汚してまっても大丈夫ですからね!俺もこれから月光さんと
イチャイチャするつもりやし。」
そんなことを言いながら、悪戯な笑みを浮かべて毛利は越知の待つ寝室へ向かう。そんな
毛利を見送り、君島と遠野は苦笑する。
「最後のはどう考えても余計だろ。」
「寿三郎もあんなことを言うようになったのですね。」
毛利が寝室に入って行くのを確認すると、君島と遠野もリビングの電気を消し、布団に入
る。
「寿三郎もああ言ってくれたことですし、少しだけ触れてもいいですか?」
「飲みながらずっと触ってたくせに何言ってやがる。それにどうせ少しじゃ済まなく
なるだろ?」
「それは拒否されていると受け取っていいですか?」
「は?別に嫌だとは言ってねーだろ。好きにしろ。」
ニヤリと笑いながら、遠野は君島に触れる。こういうところが本当にたまらないと口元を
緩ませながら、君島も遠野に触れる。
久方ぶりの気の置けない仲間達との宴。宴が終わり二人きりになった後、どのペアももう
少し夜更かしをしようと考えながら、布団に潜り込むのであった。
END.