義丸と鬼蜘蛛丸が自分の部屋に戻ると、文次郎と伊作は用意された寝間着に着替える。着
替えると同時に、文次郎は髪を下ろし、伊作は低い位置で結び直した。
「まさか水軍館に泊まることになるとは思わなかったね。」
「これもお前の不運がなせる技か。」
「そんなことないよー。それにこんなふうに文次郎と同じ部屋に泊まれるのは、不運なこ
とだと思ってないし。」
この状況を冗談っぽく不運のせいと口にする文次郎に、伊作はそう返す。ほんの少し照れ
た様子の伊作を見て、文次郎はきゅんとしてしまう。
(さっき、あんな話をしていたからか、いつもより可愛く見えるな。)
「文次郎。」
「どうした?」
「さっき義丸さんや鬼蜘蛛丸さんと話していたこと、本当に文次郎はそう思ってくれてる
のかな?」
「さっき話してたことって、どの部分の話だ?」
いろいろな話をしていたので、伊作が聞きたい部分がどの部分かはすぐには理解出来なか
った。聞き返すと、伊作は真面目な表情で答える。
「ぼくの存在が、文次郎の邪魔になっていないかって話。」
「そんなの当たり前だろ。さっきも言ったように、お前を守りたいって気持ちもあるから、
もっと強くなりたいと思うし、それに俺がどんなにギンギンに鍛錬をして怪我をしても、
お前が手当てしてくれるからまた頑張れるところもあるし。とにかく、お前のこと邪魔だ
なんて思ってないし、思ったこともない。」
「本当?」
信じられないわけではないが、やはり不安で再度聞き直してしまう。そんな伊作の手を取
りしっかりと握ると、文次郎はきっぱりと自分の想いを口にする。
「嘘じゃねぇ。俺にはお前が必要だ。」
真っすぐに伊作の目を見つめ、真剣な声色で文次郎はそう伝える。そんな文次郎の言葉に
伊作は目を潤ませ、嬉しそうに笑う。
「ありがとう文次郎。」
「べ、別に礼を言われることじゃねぇよ。」
「ぼくはすごく不運だし、戦いも苦手だし、文次郎に迷惑かけてることもたくさんあると
思う。でも、文次郎が必要としてくれているなら、ぼくは文次郎がどんなに怪我しても、
病気をしても必ず治せるようになるよ!それがきっとぼくに出来ることだから。」
「はは、それは頼もしいな。」
自分の強みを活かして文次郎のためになることをするという伊作の宣言に、文次郎は心か
ら伊作のことを頼もしいと思う。どんな怪我でも治してくれるというのは、時に危険と隣
合わせの忍者にとっては、この上なく心強い存在だ。
「伊作。」
「何?文次郎。」
「お前のこと守りたいとか言っているが、俺はお前のこと弱いヤツだなんて微塵も思って
ないからな。人一倍あきらめない心を持っているし、誰にでも分け隔てなく優しくして、
危険な場所でも手当てが出来るというのは、精神的に強い証拠だ。お前は弱くなんかない。
誰よりも強い心を持ってる。だから、もっと自信を持て。」
真面目で強くて憧れているところをたくさん持っている文次郎にそんなことを言われ、伊
作の胸は熱くなる。
「ちょっと、泣きそうかも・・・」
「えっ!?何でだよ!?」
「だって、文次郎にそんなこと言われるなんて思ってなかったんだもん。だから、すごく
嬉しくて・・・」
そう言いながら、伊作はポロポロと涙を流す。そんな伊作をぎゅっと抱き寄せ、文次郎は
ポンポンと背中と頭を撫でた。
「全く、お前は本当泣き虫だな。」
「こんなぼくは嫌い?」
「は?好きに決まってるだろ。」
「ふふ、ぼくも文次郎のこと大好き。」
頬を涙で濡らしながらも、顔を上げて笑顔で伊作はそう口にする。あまりに可愛らしい伊
作の表情に、文次郎はムラっとしてしまう。
「なんか文次郎にぎゅっとされてたら、したくなってきちゃった。」
「お前・・・まあ、その気持ちは分からなくはねぇけど。」
文次郎の背中にぎゅっと手を回しながら、伊作は文次郎の顔を見る。照れたように目を逸
らしながらも同意するようなことを言う文次郎に、伊作はきゅんきゅんしてしまう。
「ダメかな?」
「まあ、遠回しにしてもいい的なこと言ってたからなー、義丸さん。」
「なら、しちゃう?」
悪戯っ子のような言い回しで誘ってくる伊作に、文次郎は我慢ならなくなる。自分達の想
いも決して『色』に収まるものではない。そう考えたらまあ許されるだろうと、今日ばか
りは自分と伊作を甘やかすことにする。
「たぶんバレはするだろうけどしちまうか。」
「やったー!」
「そんなに喜んでんなよ、ったく。」
素直に喜ぶ伊作に苦笑しながら文次郎はそう漏らす。期待感たっぷりの瞳で見つめてくる
伊作の唇を捉え、文次郎は伊作の寝間着の帯に手をかけた。
軽い気持ちで口づけをした文次郎であったが、伊作の愛らしい反応とその心地良さになか
なか離せなくなってしまう。
「は・・・んっ・・・んん・・・・」
(口吸いしてるときの伊作、本当可愛いんだよなあ。つい長めにしたくなっちまう。)
頬を染め、小さく息を乱しながら、必死に舌を絡めてくる。そんな伊作が可愛らしくて仕
方ないと、文次郎は口づけたまま伊作の様子をしばらく眺めていた。
(文次郎とこうしてるのすごく気持ちいい。でも、ちょっと息が上がってきたかも・・・)
ほんの少し苦しそうな表情になっていることに気づき、文次郎は口を離す。
「大丈夫か?伊作。」
「ハァ・・・うん、平気。文次郎とキスしてるのが気持ちよくて、夢中になりすぎちゃっ
た。」
呼吸を乱しながらも、嬉しそうに笑いながらそんなことを言ってくる伊作に、文次郎の胸
はドキンと高鳴る。
「ねぇ、文次郎。」
「何だ?」
「文次郎の、ここでしてもいい?」
自分の口を指差しながら、伊作はそう尋ねる。今日の伊作はえらく積極的だと思いながら
もそれが嫌だとは思わない。
「べ、別に構わねぇけどよ。いいのか?」
「うん。ぼくがしたいと思ってするんだから、気にしないで。」
文次郎から了承を得ると、伊作は文次郎の下帯に手をかけ、しゅるりと外す。
(文次郎の口でするの久しぶりだからドキドキするなあ。)
それなりの大きさになっている文次郎の熱を前に、伊作は胸を高鳴らせる。愛おしげに手
を添えると、その形を触覚と視覚で楽しみ、大きく口を開けパクっと咥える。
「・・・・っ!」
伊作の唇と舌がそこに触れ、文次郎はビクッと肩を震わせる。声を上げるほどではないも
のの文次郎が反応してくれていることを嬉しく思い、伊作は嬉々として口を動かした。
「伊作っ・・・」
口の中で大きさを増す文次郎の熱に、伊作はゾクゾクしながらも嬉しくなる。もっと文次
郎に気持ちよくなって欲しいという想いを込めて、より深くまで咥え込む。
「んっ・・・ぅ・・・」
「くっ・・・そんなに奥まで咥えられたら・・・」
ゾクゾクとした甘い痺れが文次郎の下肢を包む。伊作の唇が舌が敏感な熱をなぞり、この
上ない快感を生み出す。もう少しこの絶妙な心地よさを感じていたいという気持ちと早く
もっと大きな快感を得たいという気持ちがせめぎ合う。そんな文次郎の気持ちを知ってか
知らずか、伊作を緩急織り交ぜた妙技で文次郎を翻弄する。
「伊作、そろそろっ・・・」
切羽詰まったような声と荒くなった呼吸が頭の上から聞こえ、伊作はぎゅっと口を閉じる。
伊作の髪を掴むと文次郎は伊作の口の中に濃い蜜を放つ。文次郎がしっかり出し切るのを
待ち、口の中のそれを溢さないように熱から口を離すと、伊作は文次郎の顔を見ながらゴ
クンとそれを飲み込んだ。
「えへへ、飲んじゃった。気持ちよかった?」
「そんなに嬉しそうな顔してんなよ。まあ、気持ちよかったけどよ。」
ニコニコとしている伊作を直視出来ないと、目を逸らしながら文次郎はそう呟く。文次郎
が気持ちよくなれたなら何よりだと伊作は嬉しそうに笑っている。
「次は俺の番だな。」
そう言いながら文次郎は布団の上に伊作を仰向けに倒す。もともと寝間着の帯は外されて
いるので、仰向けになったと同時に寝間着は大きくはだける。その中心が押し上げられて
いる下帯を外してしまうと、文次郎は伊作の足を開かせ、利き手の指を口に含んで濡らす。
「お前も結構キてるじゃねぇか。」
「しょうがないだろ。こんな状況だし。」
「はは、まあそうだな。こっちは後にして、まずはこっちをしてやろうと思うんだが、い
いか?」
「う、うん、」
濡れた指で後ろの方に触れられ、伊作はビクッと腰を揺らす。しかし、嫌だとは全く思っ
ていない。期待に満ちた目で文次郎を見つめ、ドキドキしながらそのときを待つ。文次郎
の指が入口をなぞり、つぷりと中に入ると、伊作は甘い声を漏らす。
「あっ・・・ん・・・」
「ここ慣らしてる間、こっちも弄っといてやるよ。お前好きだろ?」
ぐりぐりと中をほぐしながら、文次郎は伊作の胸の突起に口づける。異なる場所での種類
の違う刺激は、伊作が感じる快感をより大きなものにする。
「ひあっ・・・ああっ・・・!!」
いい声で鳴くなあと思いつつ、文次郎はさらに奥まで指を挿れ、伊作の好きな場所を探る。
文次郎の指が中で動くたび、唇が舌が突起に触れるたび、蕩けるような快感が伊作の身体
を駆け巡る。
「ひぅっ・・・あっ・・・あんっ・・・!」
「随分良さそうだな。」
「んっ・・・気持ちいい・・・」
素直な伊作の感想に文次郎の熱はあからさまに反応する。しかし、まだ挿れるのは早いと
もう少し伊作の中を弄る。
(どうしよう・・・なんかいつもとちょっと違う感じで気持ちいい・・・)
文次郎が触れることで、ゾクゾクとした気持ちよさが高まっていく。腹の奥がむずむずと
疼くような感覚が少しずつ大きくなり、それが大きな何かに変わる予感を伊作にもたらす。
「あっ・・・文次郎っ・・・なんか・・・っ・・・」
「これだけでもう達きそうなのかよ?」
「分かんない・・・でも・・・んっ・・・!」
切羽詰まっている伊作の様子を見て、文次郎は悪戯心に火が灯る。中にある指を動かし、
伊作の一番弱い部分を強く押す。突然の大きな刺激に伊作の身体はビクンと跳ねる。
「ひあっ・・・ああぁ―――っ!!」
ビクビクと下肢が震え、中の指もぎゅうぎゅうと締めつけられる。伊作自身も間違いなく
達したと思っていた。しかし、伊作の熱はその硬さを失っておらず、白い雫で濡れている
こともなかった。
「ん?」
「ハァ・・・どうしたの?」
試しにと文次郎はもう一度同じ場所に触れてみる。先程と同じように伊作の身体は大きく
跳ね、達するような反応を見せる。
「あっ・・・ああぁんっ・・・!!・」
「お前、出さないで達けるんだな。」
自分の身に起こっていることが理解出来ず、頭にたくさんのハテナを浮かべながら、伊作
は文次郎の顔を見る。これは興味深いことになっていると、文次郎はドキドキを胸を高鳴
らせながら指を抜き、自身の熱をそこにあてがう。
「出してないってことは、すぐに何度でも達けるってことだろ?」
「・・・・?」
十分にほぐしたそこは、文次郎の熱を軽々と呑み込む。文次郎の熱が奥まで入ると、伊作
のそこはぎゅうぎゅうとそれを締めつけ、絶頂と同じ程の快感を脳に伝える。
「ああぁ―――っ!!」
「くっ・・・これはこれで悪くないんじゃねぇか。」
「ひあっ・・・文次郎・・・ダメっ・・・ふあっ・・・あんっ・・・!!」
いつまでも治まらない絶頂感に伊作はビクビクと下肢を痙攣させ、混乱したような反応を
見せる。
「ダメって言ったって、気持ちいいんだろ?たくさん達けてもそんなに出ないっていうな
ら、そこまで汚れないし、今日は都合がいいと思うぞ。」
「確かに・・・って、そういうことじゃなくて・・・〜〜〜っ!!」
伊作が話している間に文次郎は軽く動いてみる。それだけでも、伊作が背中を仰け反らせ、
空イキを繰り返す。伊作がイクたび中が大きく収縮するので、文次郎にとってもこの状況
はいつも以上に刺激的なものになっている。
(これはそんなにもたねぇかも。)
「ああっ・・・文次郎っ・・・んっ・・・くぅんっ・・・!」
大きく足を開き、ビクビクと身体を震わせながら、甘い声で名前を呼ぶ。あまりの快感に
顔は紅を施したように赤く染まり、目はひどく潤み、今にもこぼれてしまいそうな程にそ
の目尻には涙が溜まっている。そんな伊作の姿に文次郎が心を奪われないわけがない。
「可愛すぎか・・・」
「ふえっ・・・!?」
「ヤバ・・・声に出ちまった。」
唐突な文次郎の言葉に伊作はドキドキしてしまう。しかし、その言葉が嬉しくて思わず口
が緩む。
「その顔は反則だろ・・・」
「だって、ぼくは文次郎のこと好きだから・・・そういうこと言われたら、やっぱ嬉しい
と思うよ。」
「ったく、しばらく喋れないようにしてやる!」
「えっ・・・ちょっ・・・っ!!」
口に出してしまったことが恥ずかしく、それを誤魔化すかのように文次郎は伊作を激しく
責める。感じやすくなりすぎている身体はそんな責めを受け、甘い声しか出せなくなる。
「ハァ・・・伊作っ・・・」
「あっ・・・もんじろ・・・もう・・・ずっと気持ちいいの・・・治まらない・・・」
「そうみてぇだな。まあ、俺もそろそろ限界かもだけど。」
「なら・・・ここ、触って・・・?ぼくも・・・文次郎と一緒にイキたい・・・」
「ふっ、もうずっと達ってるみたいなもんじゃねぇか。でも、お前がそうして欲しいなら、
そうしてやるよ。」
さすがに直接触れられれば、いつもと同じように達することが出来るだろうと伊作は文次
郎にそう頼む。搾り取られそうな程にぎゅうぎゅうと締めつけられ、程なくして文次郎は
限界を迎える。
「伊作っ・・・!!」
頼まれていた通り、その瞬間に文次郎は伊作の熱をその掌で握る。文次郎が中に放ったそ
の感触と直接的な熱への刺激で、伊作も白濁の雫を溢れさせた。
「ふあっ・・・文次郎・・・―――っ!!」
あまりの極上の快感に一瞬意識を飛ばしかけるが、すぐに目を開け、伊作は文次郎に腕を
伸ばす。その誘いに応えるかのように文次郎は頭を下げ、繋がったまま、伊作の唇に口づ
けた。
「お前があんまり出さなかったから、寝間着や布団はほとんど汚れてねぇし、これなら手
拭いだけでどうにかなりそうだな。」
「今日はいつも以上に気持ちよかったけどね。今もすごくイイ気分♪」
寝間着を着直しながら、ご機嫌な様子で伊作はそう口にする。文次郎の出したものはほぼ
伊作の中に収まり、伊作は空イキが多かったので、拭わなければいけないものはそれほど
なかった。
「寝る前に一応厠行っとこうかな。」
「ああ、その方がいいかもな。」
「文次郎も一緒について来てくれる?」
「別に構わないぜ。いつもとは違う場所だしな。」
忍術学園ではないということもあり、伊作の頼みに文次郎は快く応じる。なるべく静かに
廊下に出て、音を立てないように厠に向かってゆっくりと歩く。厠に行くまでに、義丸と
鬼蜘蛛丸の部屋があるのだが、二人が起きている気配はあるものの、行きの段階では特に
声などは聞こえなかった。
「おまたせ、文次郎。」
用を足すと、伊作は厠の外で待っていた文次郎に声をかける。自分達の部屋に戻ろうと、
廊下を歩いていると、義丸と鬼蜘蛛丸の部屋から声が聞こえる。そういうときの声だとは
分かっているものの、年頃の好奇心から文次郎も伊作も足を止めてしまう。
「今の鬼蜘蛛丸さんの声だよね?」
「まあ、そうだろうな。」
「ちょっと気になるよね。」
「そうだが、さすがに見るのは出来ねぇだろ。」
小声でそんな会話を交わす二人だが、障子の端の方がほんの少しだけ開いていることに気
づく。少しだけならと、二人は気配を消してその隙間から部屋の中を覗く。
「わあー、何だろう?大人の色気ってやつ?すごいドキドキする!」
「確かに普段の義丸さんや鬼蜘蛛丸さんとだいぶ雰囲気違うよな。」
しばらく覗いていた二人であったが、ピカッと稲光が光り、大きな雷の音にビクッとして
しまう。さすがにそろそろ部屋に戻ろうと、そそくさとその場から立ち去った。
「なんか今日はずっとドキドキしっぱなしだね。」
「確かにそうかもしれねぇな。」
そんなことを話しながら、二人は部屋に入る。二つの布団が敷いてあるものの、文次郎と
一緒に寝たいと、伊作は文次郎の布団に入った。
「おい、何でこっちに入ってくるんだよ?」
「えー、だって、文次郎と寝たいから。ダメ?」
首を傾げてそんなことを言ってくる伊作に、文次郎は図らずもときめいてしまう。これは
断れないと一緒の布団で寝ることを許す。
「まあ、別にダメじゃねぇけどよ。」
「えへへ、なんだかんだ文次郎、甘いよねー。ありがとう。」
笑顔でお礼を言われ、文次郎は悪くはないなと思ってしまう。甘やかしている自覚はある
が、好きなのだから仕方ない。伊作の笑顔が見れるのはやはり嬉しいのだ。
「もう結構遅い時間だし、さっさと寝るぞ。」
「うん。」
頷きつつも、伊作は目の前にある文次郎の顔をじっと眺める。
「・・・何だよ?」
「おやすみのちゅうしよう。」
「なっ!?何言って・・・」
「お願いだよ、文次郎。」
この状況でそのおねだりはずるいと、文次郎は赤くなる。
「ったく、仕方ねぇなあ。」
甘やかしすぎだと思いながらも文次郎は伊作の唇にちゅっと軽く口づける。文次郎にキス
をしてもらい、伊作は嬉しそうに目を細める。
「ありがとう、文次郎。これでよく眠れそうだよ。」
「そうかよ。」
「おやすみ。」
「ああ、おやすみ。」
ドキドキしてまだ眠れなさそうだと思いながら、文次郎は眠る前の挨拶を口にする。先程
の疲れもあってか、伊作はすぐに寝息を立て始める。すぐには眠れなくても、この寝顔を
見ていられるのならまあいいかと、文次郎はくすっと笑った。
END.