キミにとって

メノアの一件の後、一度は別れを経験したヤマトとガブモンであったが、しばらくの時間
を経て、再び出会うことが出来た。一人暮らしをしているヤマトの家で、離れていた間の
話をする。デジタルワールドでどんなふうに過ごしていたのか、今のヤマトの夢は宇宙に
行くことで、そのためにどんな勉強をしているのか・・・離れていた時間を埋めるかのよ
うに二人は夜が更けるまで話し込んだ。
「もうこんな時間か。」
「やっぱりヤマトと一緒だと、時間が経つのが早いなぁ。」
「そうだな。」
穏やかに微笑みながら頷くヤマトの顔を見て、ガブモンはドキッとしてしまう。別れた時
よりもまた少し大人になったヤマトの顔。ドキドキと胸が高鳴ると同時に、一瞬体が光り、
その姿が変わる。
「あれ?」
「昔からたまになるけど、それはどういうときになるんだろうな?」
人のような姿になったガブモンを見て、ヤマトはふっと笑う。詳しいことは分からないが、
どういうときになるかはガブモンは何となく分かっていた。
「よく分からないけど、この姿だとヤマトといろんなこと出来るから、わりと好きかな。」
「いろんなことって・・・まあ、確かにそうかもしれないけど。」
ガブモンの言ういろいろなことを思い出して、ヤマトの顔はほんの少し赤く染まる。そん
なヤマトを見て、ガブモンはそのいろいろなことをしたくなってしまう。
「ねぇ、ヤマト。」
「何だ?」
「キス、してもいい?」
「・・・別に、構わない。」
もう大人なので、キスの一つくらい恥ずかしがることもないのだが、いつもとは違う姿の
ガブモンにそう言われるのはどこか恥ずかしくて、ヤマトは目をそらしながらそう答える。
成長期であるガブモンは子供のような姿ではあるが、座っているので少し近づくだけで、
唇を重ねるのは可能であった。ヤマトの膝に手をつき、ガブモンは優しくヤマトにキスを
する。
(何か久しぶりすぎて、すげぇドキドキする。)
顔が熱くなっていくのを感じながら、目を閉じてヤマトはガブモンのキスを受け取る。し
ばらくの間、唇を重ねたままでいると、一瞬目の前が光ったような気がした。ガブモンが
離れたのを感じ、ゆっくり目を開けると、そこには自分と同じかもう少し若いくらいの青
年の姿があった。
「ガルル・・・モン?」
「うわっ、本当だ!進化してる!」
「もう進化出来ないんじゃなかったのか?デジヴァイスもないし。」
「この姿だと進化の条件違うのかも。でも、この姿の方が都合がいい。」
そう言いながら、ガルルモンはヤマトをひょいっと抱き上げる。
「うわっ!!ちょっ、何すんだよ!?」
「せっかくこの姿になれたんだし、ヤマトともっとイチャイチャしたい。ここよりベッド
の方がいいでしょ?」
「自分で歩ける!」
「俺がこうしたいの。」
もともとヤマトを背中に乗せて走れるガルルモンは、人の姿になっても軽々とヤマトを抱
き上げ、運ぶことが出来る。ヤマトの寝室へ移動すると、ポスンとベッドの上へヤマトを
優しく下ろした。そして、そんなヤマトに覆いかぶさるように四つん這いになり、ヤマト
の顔の横に手をつく。
「どうしよう、すごいドキドキしてきた。」
「それはこっちのセリフだ。」
「しても、いいよね?」
「・・・ああ。」
念のため確認をとると、ヤマトは恥ずかしそうに頷く。その表情がたまらず、ガルルモン
はゾクっと身体の奥が疼くのを感じる。
「ヤマト、本当に可愛い。大好き。」
そう言いながら、ガルルモンはもう一度ヤマトにキスをする。先程とは違う大人なキス。
デジモンのときの面影として人にはない牙があり、舌がその牙に触れるとガルルモンとキ
スをしているということをありありと感じさせられ、ヤマトの胸は熱くなる。
「ん・・・んんっ・・・」
キスの合間に漏れるヤマトのくぐもった声にガルルモンは興奮してきてしまう。唇を離す
と、ヤマトの顔はひどくとろけたようなものになり、呼吸もいくらか速くなっていた。そ
んなヤマトを見て、もっと触れたいと思ったガルルモンは、ヤマトが着ていたシャツを脱
がせる。
「ちょっ・・・」
「昔からだけど、ヤマトって結構細いよね。さっき抱き上げたときも軽かったし。」
「そんなに見るなよ・・・」
裸を見られるのが恥ずかしく、ヤマトはそっぽを向きながらそう呟く。そんな態度を取る
ヤマトにきゅんとしてしまい、ガルルモンは噛みつくようにヤマトの首元に顔を埋める。
「あっ・・・」
首の付け根にキスをされ、痛くない力で甘噛みをされ、ヤマトは思わず声を上げる。ヤマ
トのそんな声がもっと聞きたいと、ガルルモンはヤマトの体に跡をつけるように柔らかな
肌を吸う。
「んっ・・・ガルルモン・・・・」
「ヤマトはくすったがりだから、どこにキスしても可愛い反応してくれるね。」
「しょ、しょうがないだろっ・・・」
「ココとかも弱いよね?」
小さな胸の突起に口づけ、ガルルモンはそこをちゅっと吸う。
「ああっ・・・!!」
ビクンとその身体を仰け反らせ、ヤマトは甘い声を上げる。予想以上の反応にガルルモン
は嬉しくなり、しばらくその突起を口と舌で弄る。
「んっ・・・あん・・・やぁ・・・・」
「嫌?嫌ならやめるよ、ヤマト。」
「ずるいぞ・・・分かってるくせに・・・」
「ヤマトの嫌がることはしたくないし。」
「・・・嫌じゃない。」
「それならもうちょっと弄っててあげる。」
にっと笑ってガルルモンはそれを続ける。ジンジンと胸の先が甘く痺れるような快感にヤ
マトは普段よりだいぶ高く色を含んだ声を上げ続ける。そろそろ終わりにしようと、ガル
ルモンが口を離すと、ヤマトは物足りないというような眼差しをガルルモンに向けた。
「足りない?」
「そ、そんなこと・・・ないし・・・」
「今ので結構ココきつそうになってるね。今度はココを気持ちよくしてあげる。」
ズボンと下着を押し上げている熱に視線を向けながら、ガルルモンはそんなことを言う。
邪魔なズボンと下着を脱がしてしまうと、ガルルモンはヤマトの足を開かせ、だいぶ大き
くなっているそれに口づける。
「うあっ・・・ガ、ガルルモン・・・っ!」
「顔とか体も大人になったなーって思ってたけど、ここも大人になったね。」
「う、うるせぇ!!そういうこと言うなよ!」
「ふふ、ヤマト可愛いー。たくさん気持ちよくさせてあげるから任せて。」
パクっとそれを口に含むと、ガルルモンはヤマトの様子を見ながら、口と舌を使って刺激
を与える。ヤマトのことは知り尽くしているので、ヤマトが一番気持ちいいと思う方法で
そこを責める。
「んっ・・・あっ・・ん・・・・あ・・ああっ・・・・」
(ヤマト気持ちよさそう。気持ちよさそうにしてるヤマトの顔、好きだなぁ。)
「ガルル・・・モンっ・・・・あっ・・いっ・・・」
熱い口に含まれ、濡れた舌が絡む。じゅっと音を立てて吸われれば、腰が抜けそうなほど
の快感が生まれ、すぐにでも達しそうになる。しかし、そうすぐには達することが出来な
いようにガルルモンは刺激の仕方を調整し、なるべく長くヤマトが気持ちイイ状態でいら
れるようにしていた。
「ああっ・・・気持ち・・・いっ・・・ハァ・・・あっ・・・」
達する直前の快感が延々と続いているような感覚に、ヤマトはすっかりとろけていた。息
を乱し、ガルルモンが少し舌を動かせば、ビクビクと下肢を震わせる。そんな反応をひと
しきり楽しむと、ガルルモンは一際強くその熱を吸った。限界まで高まっていた熱はそん
な刺激に耐え切れず、ガルルモンの口の中へ熱い飛沫を放った。
「あっ・・・ああぁ――っ・・・!!」
長く続いた快感をさらに上回る快感に、ヤマトは甘い甘い多幸感に包まれ果てる。ヤマト
の放った蜜を飲み込むと、ガルルモンは身体の奥から力が湧き上がってくるような感覚を
覚える。絶頂の余韻の中、ヤマトがうっとりとしながらガルルモンに目をやると、ガルル
モンがまた別の姿になっていることに気がつく。
「ワーガルルモン・・・?また、進化したのか?」
「ヤマトの飲んだら進化しちゃったみたい。」
「・・・飲むなよ。」
「でも、今すごい力がみなぎってる感じがあって、すごくいい気分だよ。」
長めだった髪が短くなり、顔の模様も変わっている。ガルルモンよりいくらか大人びた顔
つきを見て、ヤマトはドキドキしてしまう。
「ヤマト。」
「うっわ・・・」
横になっていたヤマトの体を起こすと、その体をぎゅっと抱き締める。膝立ちのような状
態になっているヤマトの双丘の割れ目に指を滑り込ませると、ワーガルルモンは耳元でそ
っと囁いた。
「ヤマトのここに挿れたいから、ちゃんと慣らすね。」
ワーガルルモンの指が中に入っていくのを感じ、ヤマトはぎゅっとワーガルルモンにしが
みつく。
「ハァ・・・んっ・・・・」
「痛くない?」
「大丈夫・・・」
「ゆっくり慣らすから。痛かったら言って。」
どこまでも優しいワーガルルモンの言葉にヤマトはきゅんとしてしまう。言葉通り、ワー
ガルルモンの指はひどく丁寧に動き、優しく入口と内側をほぐしていく。
「ふっ・・・ぅ・・・んんっ・・・・」
(ヤバイ、指で弄られてるのメチャクチャ気持ちいい・・・)
じんわりと内側から腰へと広がっていく気持ちよさに、ヤマトは無意識に腰を揺らす。
「ヤマト、気持ちいい?」
「ん・・・気持ちい・・・・」
「中弄られるの好き?」
「好きぃ・・・」
快感でほとんど頭が回っていないヤマトは、ワーガルルモンの質問に素直に答える。そん
な言葉を口にしているヤマトにゾクゾクしてしまい、ワーガルルモンの熱も高まっていく。
「ねぇ、ヤマト・・・」
「何・・・?」
「そろそろヤマトの中に入りたい。いいかな?」
しがみついている腕を緩め、ワーガルルモンの顔を見ると、かなり余裕のなさそうな表情
になっていた。そんなワーガルルモンの顔を見て、ヤマトの心臓は高鳴る。
「ああ・・・いいぞ。」
「ありがとう、ヤマト。」
膨らんでいるズボンから熱を出すと、ワーガルルモンはヤマトの腰を抱き、自分の足を跨
ぐように頼む。言われた通りに動くと同時に、ヤマトはワーガルルモンのそれに目をやる。
(ワーガルルモンの思ったよりデカイ。これが入るとか、ドキドキしすぎてヤバイな。)
これからワーガルルモンのモノが自分の中に入るという緊張感と期待感から、ヤマトの心
臓はドキドキと速いリズムを刻む。ワーガルルモンに言われた通り、胡坐をかいている足
を跨ぐと、腰のあたりに絡めるように足を伸ばす。
「久しぶりだから、結構緊張するな。」
「ヤマトなら大丈夫。」
「知ってる。」
「さすがヤマトだ。」
「大丈夫だから、挿れて・・・ワーガルルモン。」
紅潮した顔でそう言ってくるヤマトに、ワーガルルモンの心臓は大きく跳ねる。早く挿れ
たい気持ちを必死で抑えながら、ゆっくりとヤマトの蕾に熱をあてがい、ヤマトの腰を下
ろしていく。
「んんっ・・・ひっ・・あっ・・・・」
「ハァ・・・大丈夫?ヤマト・・・」
「大丈夫・・・大丈夫だから・・・もっと・・・」
慎重すぎるワーガルルモンを急かすようにヤマトはそんな言葉を紡ぐ。ワーガルルモンの
熱で狭い内側がゆっくりと広げられていく感覚に、ヤマトはどうしようもない快感を感じ
る。痛みなど一切感じない。ただワーガルルモンと繋がる快感だけが、ヤマトの身体を支
配していった。
「んっ・・・あっ・・・全部、入ったぁ・・・・」
「ヤマトの中、すごい気持ちイイ・・・」
「ああ・・・俺達は今繋がってるんだな・・・・」
そう呟くと、ヤマトはポロポロと涙をこぼす。突然泣き出すヤマトにワーガルルモンは狼
狽える。
「ど、どうしたの!?痛いの?苦しい?」
「バカっ・・・そうじゃねぇよ・・・・」
「だって、急に泣き出すから・・・」
「お前とこうやって・・・また一緒に居られて、こんなふうに繋がっていられて・・・・
二人でいい気分になってるのが、すごく嬉しいから・・・・」
「ヤマト・・・」
ヤマトの言葉を聞いて、ワーガルルモンの目にも涙が浮かび、つーっと頬を伝った。
「泣くなよ・・・」
「先に泣いたのはヤマトだろ・・・」
「俺にはやっぱりお前が必要だ・・・お前が俺の前から消えて、しばらくの間離れていて、
改めてそう思った・・・」
涙声でヤマトはそう口にする。それを聞いて、ワーガルルモンの胸は熱くなる。ぎゅっと
強くヤマトを抱き締め、その言葉に答える。
「ヤマトが必要としてくれるなら、俺はずっとヤマトの側にいるよ。俺はどこにいてもヤ
マトのことを想ってる。一時的に離れなきゃいけなくなっても、必ずヤマトのところに戻
ってくる。ヤマトのこと一人ぼっちにはさせない。だって、俺はヤマトのこと・・・」
「ワーガルルモン・・・」
「世界で一番愛してるから。」
ガブモンであれば『大好きだから』という表現をしただろうが、完全体であるワーガルル
モンはヤマトへの想いをそう表現する。そんなワーガルルモンの想いを聞いて、ヤマトは
胸がいっぱいになり、涙が止まらなくなる。
「ゴメンね、ヤマト。いっぱい泣かせて。」
「うるせぇ・・・」
「せっかく繋がってるんだから、もっとたくさん二人で一緒に気持ちよくなろう?」
優しくそう言うワーガルルモンの言葉にヤマトは頷く。ヤマトを存分に気持ちよくさせて
あげようと、ワーガルルモンはヤマトの弱い部分を重点的に責める。
「うあっ・・・あ・・・んっ・・・・あっ・・・!!」
「ハァ・・・ヤマト・・・・」
「ワーガルルモン・・・」
どちらもとろけるように甘い快感に溺れながら、お互いの顔を見つめる。自然に顔が近づ
き唇が触れ舌が絡む。口づけを交わすと、二人の身体を繋げている部分がより感じやすく
なる。
(キスしてると、中気持ちいい・・・ワーガルルモン、好き・・・)
(ヤマト、大好き・・・)
お互いへの想いが最大限に高まり、どちらも幸福感に包まれながら、熱い想いを迸らせる。
絶頂の余韻にうっとりとしながら唇を離すと、ヤマトは目の前の顔がまた変わったことに
気づく。
「マジかよ・・・」
「どうしたの?」
「この姿で究極体まで進化するって、すごいな。」
「えっ!?俺、また進化した?」
「ああ、メタルガルルモンだろ?」
「本当だ。ヤマトへの想いが溢れすぎて、究極体になれちゃった。」
嬉しそうにそんなことを言うメタルガルルモンを見て、ヤマトはふっと笑う。もう進化は
出来ないということであったが、この姿ならここまで進化出来るのかと、驚くと同時に自
分への想いの強さを知って嬉しくなった。
「ヤマト。」
「何だよ?」
「このままもう一回してもいい?」
せっかく究極体になれたのだからと、メタルガルルモンはそんなことを頼む。
「仕方ねぇなあ。いいぜ。その代わり・・・」
「その代わり・・・?」
「顔の見える感じでしてくれよな。」
「分かった。」
メタルガルルモンはヤマトと繋がったままの状態で、ヤマトの体を布団の上に倒す。
「これならいい?」
「ああ。これならお前の顔もよく見えるし、またキスも出来るな。」
そう言いながら、ヤマトはすぐ真上にあるメタルガルルモンの顔に手を添える。ワーガル
ルモンよりもさらに大人になった姿。もう自分よりも年上に見えるその姿にヤマトはとき
めきつつ、愛しさを募らせる。
「動いてもいい?」
「ああ、構わないぜ・・・なあ、メタルガルルモン。」
「何?」
「その・・・メタルガルルモンにも、あの言葉、言って欲しいと思うんだけど・・・」
恥ずかしそうにヤマトはそんなことを言う。ハッキリとした言葉は言わないものの、メタ
ルガルルモンはヤマトが言って欲しい言葉を理解した。
「ヤマトが望むなら何度でも言うよ。ヤマト、愛してる。」
その言葉を聞いて、ヤマトの胸はきゅーんとときめく。メタルガルルモンと繋がっている
部分が甘く疼き、再び全身が心地よさに包まれる。
「俺もお前のこと・・・愛してる。」
「ヤマト・・・」
「メタルガルルモンでも、たくさん愛して?」
色気たっぷりの表情で、ヤマトはそんなことを言う。これはもう我慢出来ないと、メタル
ガルルモンは本能のままにヤマトの中を犯す。ワーガルルモンよりだいぶ激しい動きにヤ
マトはすぐに夢中になっていった。
「あっ・・・ひあっ・・・メタル・・・ガルルモンっ・・・あっ・・ああぁ・・・!!」
「ヤマト・・・ヤマトっ・・・」
「好きっ・・・メタルガルルモン・・・好き、大好きっ・・・」
「俺も・・・」
「な・・・もう一回、言って・・・ワーガルルモンで・・・言ってた・・・」
「ああ・・・俺はヤマトのこと、世界で一番愛してる。」
メタルガルルモンにもその言葉を言ってもらえ、ヤマトは心が満足感と幸福感で満たされ
るのを感じながら、心地よい絶頂を迎える。
「あっ・・・ああぁ―――っ!!」
「っ!!ヤマトっ!!」
それと同時にメタルガルルモンもヤマトの中で果てる。速いリズムを刻む鼓動が重なり合
う中、大好きなお互いの顔をしばらくの間眺め、二人は甘い甘い口づけを交わした。

究極体まで進化していたため、ツノモンにまで戻ると思っていたが、そんな予想に反して
メタルガルルモンはガブモンに戻った。いまだに人の姿を保っているので、二人は軽くシ
ャワーを浴びた後、シーツを変えたベッドに横になる。
「えへへ、またヤマトこんなふうに一緒に寝れるなんて夢みたいだ。」
「そうだな。」
「その返しはちょっと意外かも。子供じゃないんだからって言われるかと思ってた。」
自分の言葉にヤマトが素直に頷くのを聞いて、ガブモンは驚いたような顔でそう言う。
「別にいいだろ。俺だってお前と一緒に居られるのは嬉しいんだからよ。それに、さっき
の今で子供じゃないんだからってセリフは無理だろ。」
ガブモンに戻っていたとしても、先程まで体を重ねていた相手だ。どちらかと言えば、メ
タルガルルモンの大人な印象が残っているため、ガブモンを前にしても子供っぽいとは思
えなかった。
「なあ、ガブモン。」
「何?ヤマト。」
「ちょっと変なこと聞くけど、お前にとって、俺はどんな存在なんだ?」
「ヤマトが俺にとって?」
しばらく考えた後、ガブモンはにっこり笑って答える。
「ヤマトは俺にとって、生きる意味かな。俺はヤマトに出逢うために生まれたし、ヤマト
がいるから、俺は存在してるんだもん。」
まさかそんな答えが返ってくるとは思っていなかったので、ヤマトは言葉を失ってしまう。
「あはは、ちょっと大袈裟だった?」
ヤマトが驚いた顔で黙っているので、ガブモンは茶化すようにそう口にした。
「そんなことない。」
「本当?ちょっと重いかなと思ったけど、俺はヤマトのパートナーだから。」
「お前はよく俺が必要としてるならって言うだろ?もし・・・もし万が一、俺がお前のこ
と必要ないって言ったら・・・どうするんだ?」
ガブモンの言葉を聞いて、何故かヤマトはメノアのことを思い出す。メノアのパートナー
デジモンはメノアがそのパートナーを必要としないという状況になったときに消えてしま
った。大人になったらパートナー関係が解消されるという話もそれと同じだ。
「ヤマトが必要ないと思ったなら、そのときはきっとサヨナラかな。俺がいない方がヤマ
トが幸せになれるっていうんなら、俺は喜んでヤマトの前からいなくなるよ。」
ほんの少し悲しい顔をしながらも、ガブモンはキッパリとそう言いきる。
「だって、ヤマトが幸せでいることが俺の幸せだもん。」
ヤマトのことを想いながら、ガブモンは笑顔を浮かべてそう続ける。そんなガブモンの言
葉を聞いて、ヤマトの目から涙がこぼれる。
「喜んでいなくなるとか・・・言うなよ・・・・」
「ちょっ・・・泣かないでよ、ヤマト。ヤマトが聞いてきたんだよ?」
「お前がいなくなって、幸せになれるわけないだろ。お前と一緒じゃなきゃ、俺は幸せに
なれない。・・・俺にはお前が必要だ。」
「ヤマト・・・」
泣きながらそう訴えるヤマトに腕を伸ばし、ガブモンはぎゅっとヤマトを抱き締める。
「大丈夫だよ。ヤマトが必要としてくれるなら、俺はヤマトを一人ぼっちにはさせないし、
ずっとヤマトの側にいるよ。約束する。」
何度も言われていることであるが、ガブモンにそう言ってもらえるたびに、ヤマトの心は
温かくなり、不安な気持ちが和らいでいく。ガブモンにずっと側にいてもらうために、ヤ
マトは以前ガブモンに言われたことを絡め、自分の夢を語る。
「俺はお前と一緒に宇宙に行くし、俺に子供が出来たら赤ん坊の世話させるし、オヤジっ
て呼ばれるくらいになったら一緒にサウナに行くし、ジイさんになったら一緒に散歩する
んだからな。だから、ちゃんとずっと俺の側にいろよ。」
「うん!もちろんだよ。」
一緒にしたいことがたくさんあるということを聞いて、ガブモンは嬉しそうにヤマトの言
葉に頷く。二人でこれからの未来を共に過ごしていく約束を心にとめ、二人は顔を見合わ
せ、一つの布団の中で笑い合うのであった。

                                END.

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