寝室に連れてこられた宍戸は、ゆっくりとベッドの上に下ろされる。毎回のことで慣れて
はいるのだが、やはりこの雰囲気はドキドキする。そんなドキドキ感を楽しみつつ、宍戸
は跡部の顔を見上げた。
「何、笑ってやがる。」
「いや、別に。何か楽しいなあと思ってさ。」
「まだ何もしてないぜ?」
「してないけどよ、これからするだろ?これからするっていうわくわく感っつーか、とに
かくすげぇ心臓がドキドキして、勝手に顔が緩んじまうんだ。」
「ほぅ。そんなに俺とするのが楽しみなのか?」
「おう!」
素直に頷く宍戸に、跡部は少し驚きつつも口元を緩ませる。そんなことを言われて嬉しく
ないわけがない。宍戸の顔を上げ、上から接吻を落としてやると、跡部はニッと笑った。
「俺も楽しみだぜ、宍戸。」
跡部のそんなセリフにドキンと心臓が高鳴る。緊張と嬉しさの入り混じった気持ちが、顔
を火照らせた。何となく赤く染まっている宍戸の顔を見て、跡部の期待感はさらに増す。
「だったらさ、さっさと始めようぜ?」
跡部の服の裾をきゅっと掴みながら宍戸は言う。誕生日だからなのか、宍戸はいつもより
積極的だった。そんなお誘いを受けては、始めないわけにはいかない。跡部は宍戸の髪を
くしゃっと撫で、その髪にちゅっとキスをしてやった。
ベッドの端に座っている宍戸は、下は何も身につけず、上もシャツのボタンを全開にして
いる。そんな格好で、目の前に立っている跡部の熱を一生懸命にしゃぶっている。
「ん・・ぁむ・・・んっ・・・ぅ・・・」
始めた途端、跡部のがしたいと言い出し、宍戸は何の躊躇いもなしにこういうことを始め
た。宍戸の誕生日のはずなのに、自分がサービスされているようでちょっと不思議な気分
だが、跡部は嬉しげに宍戸の口での愛撫を受ける。
「テメェ、本当上手くなったよな。」
「ぷは・・・そうか?」
「ああ。すげぇ気持ちイイぜ。」
「へへ、跡部に褒められた。ま、俺も今日で21だし?少しは成長してんだろ?」
「ああ。」
「じゃ、続きするな。」
少し会話を交わした後、宍戸は再び跡部のを咥える。熱い吐息を漏らしながら、丁寧にそ
れを舐め上げる仕草、時折様子をうかがうように自分の顔を見る視線、そして、奉仕しつ
つだんだんと勃ち上がってきている宍戸自身の熱。宍戸の全てを五感で感じ、跡部はそれ
だけでもう達してしまうのではないかと思うほど興奮していた。
「ハァ・・・ぅ・・・」
思わず漏れてしまう荒くなる呼吸音と小さな喘ぎを宍戸は聞き逃さない。跡部が自分がす
ることで、感じてくれていることを嬉しく思いつつ、もっともっと気持ちよくさせてやり
たいと、口に入るだけそれを奥まで含む。
(跡部の、すげぇ熱ぃ。俺の方が口ん中犯されてるみてぇ・・・)
息苦しさよりも跡部自身が自分の口の中にあるという恍惚感の方が先に立ち、宍戸は夢中
になってそれを、舐め、吸い、味わおうとする。それはもちろん跡部にとっては、果てし
ない快感になる。
「くっ・・・ぅ・・・宍戸っ・・・」
「ふっ・・・んんっ・・ん・・んっ・・・」
「ハァ・・・くそ、もうっ・・・」
もう少し宍戸の口の中の気持ちよさを味わっていたかったが、もう限界であった。宍戸の
髪をぎゅっと掴み、跡部は宍戸の口の中で達する。喉の奥に直接熱を放たれる感覚に、宍
戸はむせそうになるが、ぐっとそれを堪え全てを飲み込んだ。
「んぐっ・・・んっ・・・・」
苦しげな表情でありながらも、跡部が全て出し終わるまで決して離そうとしない。一滴も
残さず自分の中に跡部の蜜を取り入れると、宍戸は満足した様子で口を離した。
「今のは少しキツかったんじゃねぇか?」
「いや、全然平気だぜ。だって、跡部のだし。溢しちまうのもったいねぇじゃん。」
「ふん、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。次は俺の番だぜ。おら、もっとちゃんとベ
ッドに乗れ。」
「おう。」
端に座ったままでも出来なくはないが、自分も宍戸と同じベッドに乗りたいと跡部は、し
っかりとベッドに乗るように宍戸に促した。脚を広げたまま、その間に手をつき、ペタン
と座っている宍戸は、それだけでもう誘っているかのように見える。
「俺のしてて、テメェも感じてたんじゃねぇの?もうすっかり勃ってんじゃねぇか。」
「跡部が気持ちよさそうにしてたら、何かこっちまで気持ちよくなっちまうんだよ。悪ぃ
ことじゃねぇだろ?」
「まあな。さてと・・・」
自分もさっきの宍戸と同じように口でしようと思ったのだが、何故か宍戸はそれを止める。
「ちょっと待った、跡部。」
「どうした?」
「口じゃなくてさぁ、今日は手でして欲しい。」
「何でだ?」
「されながら、キスしたりとか他んとこ弄ってもらったりしてぇから・・・」
恥ずかしそうにそう言う宍戸は、これ以上なく愛らしい。そんなおねだりを、もちろん跡
部は受け入れた。脚の間についている手をどけ、すっかり勃ち上がっているそれを掌で包
む。そして、フリーになっている唇は宍戸の唇に持っていった。
「んあっ・・・」
「さあ、何して欲しい?ずっとキスしてるか?それとも、耳元で何か囁いてやろうか?」
「ハァ・・・あっ・・・どっちもがいい・・・」
「ふっ、欲張りだな。でも、今日はテメェの誕生日だ。テメェのお望み通り、どっちもし
てやるよ。」
くちゅくちゅと宍戸の熱を擦りながら、跡部は何度も角度を変えてキスをしてやる。そし
て、その合間合間に耳元で甘い言葉を囁く。どちらも宍戸にとっては、たまらなく気持ち
がよいもので、身体中がとろけてしまうような快感が全身を巡る血液と一緒に巡っていた。
「跡部・・・はぁんっ・・もっと・・・キスして・・・・」
「ああ。」
「んんっ・・・はっ・・・」
キスされることと耳元で囁かれることで生まれる淡い快感と、感じやすい自身を弄られる
激しい快感があいまって、宍戸の身体は既に跡部を感じること以外のことをしなくなって
いた。跡部しか見えず、跡部の声しか聞こえず、跡部の体温しか感じない。それがまた、
宍戸の身体をどんどん敏感にさせていった。
「はあっ・・あっ・・・跡部っ・・・もう・・もうっ・・・」
一際身体を震わせ、宍戸は跡部にしがみつく。限界が近いのだということを悟り、跡部は
先端を爪の先でぐりぐりと刺激し、もう片方の手で根元から中にある蜜を全て搾り出すか
のように擦り上げる。そんな刺激に宍戸は意識が飛んでしまうかと思うほどの快感を感じ、
あっけなく果てた。
「ひっ・・あ・・・ああぁ――っ・・・!!」
全てを出しきってもまだ痙攣している熱が、その快感の強さを物語る。宍戸はビクビクと
身体を震わせたまま、跡部にしがみつき、激しく呼吸を乱していた。
「ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
「気持ちよかったか?」
「・・・すっげぇ・・・よかった・・・もう・・頭ん中溶けちまいそう・・・」
「でも、今のはまだ序の口だぜ?これから、もっともっと気持ちよくさせてやるんだから
な。今度は俺様ので何度もイカせてやる。」
そんな跡部の言葉を聞き、宍戸は期待感から胸を高鳴らせる。いまだに治まらない熱を持
て余している宍戸にとって、跡部のこの言葉は嬉しいこと以外の何ものでもない。
「その前に、しっかりと後ろの口を慣らしてやらねぇとなあ。」
今さっき宍戸が出した蜜でトロトロになっている指を、跡部は双丘の中心に持ってゆく。
物欲しげにヒクついているそこに白い蜜を塗りつけた後、ぐいっと指を差し込んでやれば、
宍戸は素直な反応を見せる。
「ひあっ・・ん・・・!」
「もっと解してくれって言わんばかりに、絡みついてくるぜ。」
「あっ・・・あ・・あんっ・・・」
ぐりぐりと中を刺激してやれば、それに合わせて宍戸の身体はビクビクと反応する。だん
だんと蕾は解れ、宍戸はすぐに指では物足りなくなってきた。
「ふっ・・うっ・・・」
「だいぶ解れたな。」
「あ、跡部ぇ・・・」
小さく震えながら宍戸は、跡部の耳元で吐息混じりの言葉を漏らす。蕾を解す手を止めず
跡部はニヤニヤと笑いながら返事をする。
「どうした?」
「もう・・・我慢出来ね・・・早く・・・」
呼吸を速めながら、宍戸は跡部に懇願する。生理的な涙がつたう頬に手をあて、跡部はよ
り率直な言葉を求めた。
「早く、何だ?」
「早く・・・跡部の・・挿れて欲し・・・」
「どこにだ?」
「今・・跡部の指が入ってる・・・ココ・・・」
震える手で蕾を弄っている跡部の指に触れる。そこまで言えれば上等だと、跡部は内側か
ら指を抜き、宍戸の身体をくるっと反転させ、そのまま前のめりになるように倒した。そ
して、両腕を後ろでクロスさせ、しっかりと自分の手で押さえてしまう。
「えっ・・・な、何っ?」
身動きの取れなくなった宍戸は、困惑した表情で後ろを振り返りながら跡部を見る。
「お望み通り、俺様のコレをテメェの中に挿れてやるよ。」
腰だけを高く突き上げ、顔はシーツに押しつけられるという体勢のまま、跡部の熱が内側
に入り込んでくる。指とは比べ物にならない質量とその熱さに宍戸は、声にならない声を
上げる。
「くぅ・・・んんっ――っ!!」
全身の毛穴が開くような快感が体中を駆け巡る。ずぶずぶと跡部のモノが奥まで入る感覚
に宍戸の茎の先端からはじわじわと透明な蜜が溢れ出していた。
「全部、入ったぜ。」
「んっ・・・あ・・・跡部・・・」
「なあ、宍戸。もっとよくなりてぇだろ?」
「う・・ん・・・・」
「だったら、そのまま自分で動いてみろよ。」
跡部の言葉に驚く宍戸だが、身体はより強い刺激を求めている。返事をする前に身体は勝
手に動いていた。
「んっ・・・あっ・・ふあっ・・・」
腰を引き、跡部のモノが抜けそうになるところで、再び奥へ押し戻す。そんな動作を宍戸
は自ら腰を動かし、繰り返し行った。その度にぐちゅぐちゅと粘液質な音が響く。
「すっげぇヤラシイ音してるぜ。聞こえるか?」
「ウ・・ルセ・・・そんなこと分かってんだよっ・・・!」
「だが、少し動きが鈍いな。それに、テメェが一番感じるのはココなんだろ?」
まだ抵抗があるのか、宍戸の動きはぎこちない。一生懸命に腰を揺らす宍戸を見るのも楽
しいが、跡部としてはやはり刺激が足りなかった。宍戸の腰を掴み、一番感じる部分を軽
く弾みをつけて突いてやる。
「ひっ・・あ・・・っ!!」
不意打ちでスイートポイントを突かれ、宍戸は思わず達してしまう。しかし、跡部は容赦
なくその部分を何度も何度も楔の先で突き続けた。宍戸の熱の先からは、ドクドクと白い
ミルクがそのリズムに合わせて溢れる。
「んあっ・・あっ・・あ・・あっ・・・」
途切れない絶頂感に、宍戸は下肢をガクガクと震わせる。まだ、全てを出し終えていない
というところで、跡部がそれをぎゅっと握り、突然動くのをやめた。そうされれば、否が
応にでも、絶頂感はせき止められる。
「う・・・あっ・・・・」
「もっと気持ちイイ状態を続けたいだろ?この体位も悪くねぇんだが、やっぱ、テメェの
悦んでる顔がちゃんと見てぇ。」
そう言うと跡部は掴んでいた宍戸の腕を離し、繋がったままゴロンと反転させる。そんな
小さな刺激でも、宍戸にとっては、大きな快感になった。
「くっ・・ぅんっ・・・!」
「すげぇ感じやすくなってんな。」
「ふっ・・・ぅ・・だって・・・」
「それだけ俺も楽しめるってことだ。動くぜ、宍戸。」
今度は宍戸の手に指を絡ませ、跡部はさっきと同じあたりを中心に、宍戸の内側を攻めま
くる。繰り返し突かれれば、感度は落ちるどころか良くなる一方だ。当然、宍戸が感じれ
ば、蕾は激しい収縮を繰り返すので、跡部にとってもこの上もない刺激となる。
「あっ・・・跡部っ・・・はっ・・あ・・・」
「ハァ・・・宍戸、テメェ・・・ちゃんと感じてるか?」
「うんっ・・・気持ちい・・・身体ん中全部、跡部でいっぱい・・・」
「俺も、今はテメェしか感じられねぇ・・・テメェん中、熱くて・・・溶かされちまいそ
うだ・・・」
「なあ・・・今日は、俺の誕生日だぜ・・・・」
「ああ。分かってる。」
「だから・・・俺ん中に・・・もっともっと跡部をたくさん・・ちょうだい・・・・」
とろけるような表情で、ニッコリ笑いながら宍戸は言う。そんな表情に跡部は撃沈だった。
熱が一際内側に大きくなるのを感じ、宍戸はビクンと身体を震わせながらも悦ぶ。
「跡部の・・・また大きくなりやがった・・・・」
「そんなこと言われりゃ当然だろ。そんなに俺が欲しいなら、テメェが満足するまで、く
れてやるよ。」
「おう・・・もうテメェのが空っぽになっちまうくらい・・・俺ん中に出して・・・」
宍戸のおねだりは尽きることがない。そんな宍戸の望み通り、跡部は何度も宍戸の中に熱
い蜜を注いでやった。その度に宍戸は嬉しげな嬌声を上げ、自分自身も果てる。お互いが
満足するまで、そんなことを繰り返しているうちに、夜はゆっくり更けていった。
ある程度の後始末が終わると、二人は衣服を身につけ、心地よい疲労感に浸る。ベッドの
頭の部分に寄りかかって座っている跡部の足を跨ぐようにして、向かい合わせで宍戸は跡
部に寄りかかる。
「何かすげぇたくさんやったって感じだな。」
ぐったりと跡部に体を預けながら、宍戸は呟く。そんな宍戸の体を優しく抱き締めながら、
跡部は答えた。
「そうだな。でも、すげぇよかったと思うぜ。」
「それは俺も思う。体ん中が跡部でいっぱいになって、それがメチャメチャ気持ちよかっ
た。」
「そうか。」
「跡部は?」
跡部の反応が薄かったので、何だか物足りなさを感じ、宍戸は即座に聞き返す。
「そんなんテメェと同じに決まってんだろ?俺をここまで満足させられるのは、宍戸、お
前だけだぜ。」
額にキスをされながら、そんなことを言われ、宍戸は恥ずかしさと嬉しさで顔が赤く染ま
った。しかし、恥ずかしさよりも嬉しさの方が上に立ち、顔は勝手に緩んでくる。
「なあ、跡部。」
「アーン?」
「跡部の誕生日にも、今日と同じくらいいっぱいしような。」
意外な宍戸の言葉に跡部は、しばし固まる。しかし、宍戸からこんなことを言ってくれる
ことはそう滅多にない。
「ふん、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。そんなこと言って後悔するなよ?俺様がそ
の気になったら、一晩中でも一日中でもやるぜ。」
冗談めいてそんなことを言うと、宍戸はちょっと驚き困ったような顔をするが、すぐにま
た笑顔に変わり、その言葉に答える。
「跡部がそうしたいなら俺は別に構わねぇぜ。何たって跡部の誕生日なんだからな。俺、
跡部のこと激好きだし、跡部とそういうことすんのもすげぇ好きvv」
「・・・・テメェ、俺を萌え死にさせる気か?」
宍戸の可愛らしい笑顔と嬉しい言葉に、跡部はもうやられまくり。本当に幸せすぎると、
胸をキュンキュンさせていた。
「へ?」
「ま、まあ、いい。その言葉、忘れんじゃねぇぞ。」
「おう。・・・なあ、跡部。」
「今度はどうした?」
「まだ俺の誕生日終わってねぇじゃん?俺な、跡部に言って欲しいことがいっぱいあんだ
よ。」
「何だ?」
「好き、大好き、愛してるvv」
自分に対して言ったのかと思い、跡部はドキンとする。しかし、今の会話の流れから考え
ると、これは宍戸が自分に言って欲しい言葉ということになるだろう。
「それを言って欲しいのか?」
「ああ。言葉がなくても跡部が俺を好いてくれてんのは、すっげぇすっげぇよく分かるん
だけどよ、やっぱ、誕生日くらいいっぱい言って欲しいんだよな。」
「そんなのお安い御用だぜ。一つ一つの言葉に、ちゃーんと心を込めて言ってやるよ。」
おそらくこの日の中で最後になるだろうと思われるおねだりを、跡部はきっちり叶えてや
る。抱き合ったままの体勢で、跡部は、一言一言ゆっくりと、宍戸の耳元で愛の言葉を囁
いてやった。
「好きだぜ、宍戸。」
「うん。」
「大好きだ。」
「うん。」
「世界中の誰よりも・・・愛してる。」
「・・・うん。」
耳元で囁かれる言葉は、宍戸の心を満たしてゆく。宍戸がいいと言うまで、跡部は繰り返
しその言葉を囁き続ける。それは、まるで呪文のようで、それを聞いている宍戸も、それ
を囁いている跡部も、相手を好きだという気持ちがより高まり、幸福感で胸がいっぱいに
なった。そんな甘い雰囲気の中、二人は何度も繰り返される愛の言葉に酔いしれるのであ
った。
to be continued