Luna

「宍戸、この前面白そうなとこ見つけたんだけど、今日の夜一緒に行かねぇ?」
帰りのHRが終わると跡部は俺に声をかけてきた。
「面白いとこ?で、何で夜行くんだよ。帰りにそのまま行ってもいいんじゃねぇの。」
「まあ、いろいろ用意したいことがあってな。それで、行くのかよ。」
「別に行ってやってもいいけど。」
「じゃあ、帰ってシャワー浴びてから俺んちに来い。時間は・・・そうだな、七時半くら
いに。」
「分かった。」
シャワーとか微妙に遅い時間とか気になることはいっぱいあったけど、まあ、跡部のこと
だから、またしょうもないこと考えてるんだろうな。でも、面白いとこってのは、やっぱ
気になるし・・・。別に行ってもいいだろ。
この時、宍戸は特に深く考えずに跡部の誘いに応じた。このことが後に大変なとになると
も知らずに・・・。

ピンポーン
「来たか。待ってたぜ宍戸。」
「どこ行くんだ?一応、親には跡部んちに泊まるって言ってきたけど。」
「なかなかいい感じの場所だぜ。こっからじゃ、ちょっと遠いけどな。」
「遠いんなら早く行った方がいいんじゃねぇ?」
「そう急がなくても大丈夫だって。」
宍戸の奴、何にも知らないで来やがった。まさか、この近くにあんなにいい場所があると
はねー。
跡部は顔をニヤつかせながら、目的地へと歩き出した。何も知らずに宍戸は跡部について
行く。真っ暗な道を歩いて行くが、今日は満月でその光が道を照らしていた。いつもとは
違う赤い月。それは少々不気味とも感じられるが、見ようによっては妖しくとても美しい
ものだった。
「着いたぜ。」
二人の目の前には、西洋の屋敷を感じさせるような建物が建っている。もう人は住んでい
ないようだが、見かけはそう古びてはいなかった。
「入るぞ、宍戸。」
「えっ・・・マジで・・・。」
真っ暗な西洋風の屋敷。怖がりな宍戸にとっては、とても入れそうにはない雰囲気だ。だ
が、そんなことは無視で跡部は宍戸の手を引き、重そうな扉を開けて建物内に入って行っ
た。跡部は持ってきたカバンの中から懐中電灯を取り出し、足元を照らした。
「あのさ、跡部・・・。」
「何だよ宍戸。」
「俺、すっげぇ怖いんだけど。」
「大丈夫だよ。ここはそういう系統のものは出ねぇから。」
「でも・・・」
「ほら、早く来いよ。」
「あっ、待てよ!跡部!」
何だよココは〜。真っ暗で何にも見えねーじゃねぇか。面白いとこってココのことかよ。
うー、苦手だ。こういうとこは。
何が出るか分からないような屋敷内をどんどん奥へと進んで行く。ある部屋の前で跡部は
立ち止まり、迷わずその部屋へと入る。そこはどうやら寝室のようで窓際にキングサイズ
のベッドが置かれている。この屋敷に住んでいた者はどうやらとても金持ちだったようだ。
「やっぱ、ここがいい。」
「?」
ふと呟き、跡部はそのベッドの方へと歩いて行った。ベッドの隣にある机には豪華な蝋燭
立てが置かれている。中途半端な長さの蝋燭は刺さったままだったので、跡部はそれに火
をつけた。
「なかなかいい雰囲気だろ?ここ。」
「いいのか。こういうとこ勝手に入って。」
「空き家なんだから大丈夫だろ。ちゃんと確かめたし。」
何をだ!?と宍戸は心の中で叫んだ。蝋燭の灯はベッドのまわりだけを淡く照らしている。
赤い月の光も窓から差しこみ、どこか妖しげな雰囲気を醸し出していた。
「ここで何するんだよ。って、まあ、聞かなくても分かるけど。」
宍戸は溜め息をついて、ベッドに腰かけた。跡部はカバンの中からいろいろなものを取り
出す。
「こういうとこでするんだ。ただ犯るだけじゃつまんねーだろ?だから、今日はちょっと
いつもと違うことをしようと思ってな。」
「なっ!?」
カバンから出されたものを見て、宍戸は驚きの声をあげた。鎖に縄、首輪のようなものに
目隠しか猿轡に使うような白く細長い布・・・明らかにこの道具は普通にプレイする時に
は使わない。宍戸は思わず後ずさった。
「SMかよ・・・。」
「まあな。でも、そんなにマジにする気はないし。軽く縛って、目隠しして犯るみたいな
感じ。たまにはいいだろ?」
「・・・嫌だ。」
「へぇ、嫌か。じゃあ、俺、お前この部屋に置いて帰るから。中から開かないようにして
閉じ込めてやるよ。」
「ふざけんな!!それはもっと嫌だ!!」
「じゃあ、俺に従うんだな。」
くそー、跡部の奴。初めからこういうつもりだったんだな。俺が怖がりなの知っててやっ
てやがる。確かにのこのこついてきた俺も悪いけど・・・。
「で、お前、鎖と縄どっちがいい?」
「はあ!?何言ってんだよ!」
「どっちがいいかわざわざ聞いてやってんじゃねぇか。早く答えろよ。」
むかつく〜。そんなんどっちだっていいじゃねぇか!って、あんましよくないか・・・。
鎖と縄ったって、どっちがいいかなんて分かるわけねーだろ。
「あー、じゃあ鎖。そっちの方が跡つかなさそうだし。」
「分かった。じゃあ、首輪はフェザーとレザーどっちにすんよ?」
「フェザーとレザー?何だそれ?」
「フェザーが羽で、レザーが革だ。」
「じゃあ、フェザーがいい。」
同じことをするにも素材が変われば、だいぶ雰囲気も変わる。二種類あるものは宍戸に自
分で選ばせた。
「あっ、それから宍戸。これから、抵抗したり、手の鎖解いた時に目隠し取ったり、言う
こと聞かなかったりしたらさっきのこと実行するからな。」
「マジかよ・・・。」
じゃあ、何だ。どういうことされても俺は文句も言えないし、抵抗も出来ないってことか
よ。ホントに性格悪ぃよな跡部のヤツ。
跡部は細いがいかにも丈夫そうな鎖で宍戸の手首を後ろ手にして縛った。真っ白なフェザ
ーの首輪を首につけて、それから出ている紐をベッドの上の方にくくりつける。これで、
宍戸は完璧に逃げられなくなってしまった。
「後は目隠しだな。」
「目隠ししたら何にも見えなくなっちまうじゃねぇか。」
「何、当たり前のこと言ってんだよ。バーカ。」
目隠しも装着させると跡部は宍戸の服のボタンを上から順番に外していく。外し終わると
そのまま縛られた手首のところまで上着を下ろす。思っていたよりもヤラシイ感じになっ
たので跡部は満足そうな笑みを浮かべる。
なかなかイイじゃねーの。こんなにうまくいくとは思わなかったぜ。まずは何してやろう
かな。コレなんかいいかもな。
まだまだ何か不思議なものが入っているカバンの中から、大きな羽の付いたペンを取り出
す。それを使って、軽く宍戸の体をなぞった。
「うあ・・・っ・・・・」
い、今の何だ!?指とか舌とかそういう感じじゃなかったぞ。目隠しってこういうのも分
かんなくなるのかよ。うわー、すげぇドキドキじゃねぇか。
跡部は宍戸の反応がなかなかのものだと分かると、羽ペンで体中を弄った。その度に宍戸
は色めいた声をあげる。
「あっ・・・や・・何・・・ソレ・・・」
「内緒。結構、感じんだろ?」
「う・・ん・・・っく・・あぁ・・・」
羽ペンって結構おもしれぇな。どこが一番反応がいいか探してみるか。
跡部は腕や胸、背中や足を余すとこなくなぞる。羽で足の指の間をくすぐると、宍戸は今
までにない反応を見せた。
「ふ・・あぁん・・・!!」
「お前、こんなとこが感じんのかよ。ズボンもきつくなってきてるぜ。」
「やあ・・・跡部・・・あっ・・・・」
見えはしなくとも、ズボンが下ろされたということはハッキリ分かった。次の瞬間、先程
よりももっと激しい刺激が宍戸の身体を駆け巡った。
「あっ・・ああっ・・・!!ヤダ・・・跡部・・!!」
マジで跡部のヤツ、何で触ってんだよー。こんなの初めてだぞ。思いっきり足の間に座っ
てるから足閉じらんねーし。このままじゃヤバイな・・・。
「あ、跡部・・・このままだとヤベー・・・」
「ああ。見てりゃ分かるぜ。コレでやるのも確かにおもしれぇけど、やっぱ、ここはこう
しないとな。」
持っていた羽ペンをベルトにさすと、勃ち始めている宍戸のモノを口に含む。乾いた羽の
刺激が、突然湿ったものに変わったので宍戸はすぐに跡部が自分のモノを咥えたとのだと
分かった。
「んっ・・・うあっ・・・口で・・すんなよぉ・・・・!!」
「ふーん。見えなくても分かるんだな。でも、いつもよりもっと感じてんじゃねーの。足
の震え方がいつもより激しいぜ。」
「だって・・・見えない分・・・肌が・・敏感に・・・・なってんだよ・・・」
「そうだよな。じゃあとことん肌だけで俺を感じな!」
「はぁっ・・・あん・・あっ・・・あぁっ・・・」
見えない分、敏感になってるねぇ。感度がいいのはイイことだよな。
「うっ・・・跡部・・もう・・・イキそ・・・」
宍戸はビクンッと身体を震わせると、跡部の口の中に熱を放つ。跡部は放たれた熱を喉を
鳴らし飲み込んだ。
「さあ、次行くぜ。」
「今度は何すんだよ・・・。」
息を乱す宍戸を尻目に跡部はまた新たな道具を出した。それは、もちろん宍戸には見えな
い。
「まずは軽く慣らすか。」
ローションをたっぷりと指につけると、跡部は宍戸の蕾を慣らし始める。ローションのお
かげで跡部の指は宍戸の中にすんなり入っていった。
「くっ・・・ぅ・・」
やっぱ、こういうのを使うと楽に入るな。これなら、コイツを挿れても大丈夫そうだな。
「んうっ・・・!!」
宍戸は自分の中に指とは明らかに違う、何か無機物のようなものが入ってくるのを感じた。
何だよ今度は・・・。絶対、今、何かヤバそうなの入れられたぞ。一体、何だ?
「跡部・・・今・・何入れた・・・?」
「別に。大したものじゃねぇよ。」
「ヤバイものじゃ・・・ねぇよな・・・・」
「ヤバくはないと思うぜ。ただコレをこうするとな・・・」
跡部は、今、宍戸の中に入れたものにつながったコードの先にあるスイッチをONにする。
「うあぁぁっ!!」
その瞬間、今まで経験したことのない内側からの強い痺れが宍戸を襲う。
「やっ・・・あぁっ・・!!何だよ・・・コレ・・!!」
「ただのバイブだ。小型だからそんなにキツくはねぇだろ?」
「キツイと・・・か・・そういう・・問題じゃ・・・ねぇ・・・ん・・ぁ・・・」
うわあ〜、コレはマジでヤバイって。どうして跡部はこういうのを持ってんだよー。くそ、
メチャクチャ気持ちイイじゃねーか。
「でも、お前まだコレが一番イイところに当たってねぇんだろ。まだ、顔に余裕あるもん
な。」
目隠しで目が隠れていても、宍戸の微妙な表情の変化を跡部は見逃さない。跡部はコード
を動かし、中のバイブの位置を少し変えた。
「――――っ!!」
おっ、ビンゴかな。宍戸の表情が変わった。良すぎて声も出ねーみたいだな。
「どうした宍戸?声も出ねぇのかよ。」
「うっ・・・あ・・・ああっ・・・」
「コレさあ、まだ強く出来るんだぜ?してやろうか?」
宍戸は必死に首を振ったが、そんなのを跡部が気にするはずがない。一気に『弱』の振動
から『強』の振動にスイッチを動かした。
「ひあぁっ・・・あっ・・あぁっ!!・・・ダメッ・・・跡部ぇ・・・!!」
「相当、感じてるみてぇだな。また、イキそうなんじゃねぇの?」
「おねが・・い・・・跡部・・・コレ・・・抜いてぇ・・・・」
「どうすっかな。このまま俺の挿れるってのもアリだけど。」
「ホント・・・に・・お願い・・・跡部・・・跡部っ!!」
「しょうがねえな。分かったよ。」
あんなに色っぽい声で何度も名前呼ばれちゃあ、かなわねえよな。仕方ねぇ抜いてやるか。
跡部はスイッチを止めて、一気にそれを引き抜いた。その衝撃もかなりのもので、完全に
体の中から引き抜かれたと同時に、宍戸は再び達した。
「二回目。今日はやけに調子がいいな。」
「ハッ・・・ハァっ・・・何すんだよ、跡部・・・」
「いいじゃねぇか。なあ、宍戸、さっきお前の言うこと聞いてやったんだ。次はお前が俺
の言うこと聞く番だぜ。」
ずるいよな跡部。俺に断りもなしにいろんなことするくせにそういうこと言うんだもんな。
次は何させる気なんだよ!?
「鎖外すから、自分でやれ。」
「・・・・!?」
宍戸は耳を疑った。いくら何でもそれは出来ない。そう言おうと思ったがさっき跡部が言
ったことを思い出し、口を噤んだ。跡部は宍戸の手首に巻かれた鎖を解いた。
「ほら、やれ!」
「どうしても・・・やらなきゃダメか?」
「ああ。やらないと置いて帰るぜ。」
「うー、あんまり見んなよ・・・。」
さっき、ああいうこと言っといて正解だったな。一度やらせてみたかったんだよな。しっ
かりと見なきゃなあ。
「ふっ・・・うあ・・・・」
う゛ー、マジで恥ずかしい〜。でも、目隠しされてんのがせめてもの救いだな。これで目
の前がそのまんま見えてたら耐えらんねぇよ。って、跡部の声が聞こえねぇ!?まさか、
帰ったりしてないよな!?
「あっ・・・はぁっ・・・跡部っ・・・跡部!!」
宍戸は思わず跡部の名前を叫んだ。居ることを確かめるために呼んだのだが、跡部からす
れば、まるで自分で抜いているように聞こえた。
「何?お前。俺で抜いてるわけ?」
「えっ・・・違っ・・声聞こえなかったから・・・帰っちゃったのかと・・思って・・・」
「こんなおいしい光景、見ないで帰るわけねーだろ。」
でも、絶対こいつ家では俺で抜いてるよな。恥ずかしい奴。
「お前さあ、そんなこと言っといて家では、俺でしてんだろ?」
「して・・ねぇ・・・」
「自分でやるのと俺がしてやるのとどっちがいい?」
「そんなの・・・お前がしてくれる方が・・・・イイに決まって・・・・」
流れで言ってしまった宍戸は、ものすごいことを言ってしまったと口を手で塞ごうとした
が、跡部に手を掴まれ止められた。
「おっと、ソレから手を離しちゃダメだぜ。」
「だって・・・ヤダ・・・もう跡部・・・・恥ずかしい・・・」
耐えられないほどの羞恥とさっき言ってしまったセリフで宍戸の顔は真っ赤に染まり、目
隠しのため落ちることのない涙がいっぱいにたまっている。
「じゃあ、足もっと開けよ。指一本分だけ手伝ってやる。」
ただでさえ恥ずかしいのに、手伝うってなんだよ。でも、このまま何にもされないのは俺
も結構ツライし、少しくらい・・・。
宍戸が足をさっきよりも大きく足を開くと、跡部は後ろに中指を差し入れた。さっきの行
為で濡れているソコはあっさりと指を受け入れる。
「はぁっ・・・あぅ・・跡部っ・・・・!!」
「自分でも手動かさなきゃダメだぜ。俺だけに任せてんじゃねぇよ。」
「う・・・くっ・・・あ・・あぁっ・・・」
何だよ〜、やっぱり跡部にやられる方が全然いいじゃねーか。ヤバッ・・・またイキそう。
何で今日はこんなに感じてんだよ俺ー。
「跡部・・・また・・・イキそう・・・・」
「いいぜ。もう何度でもイッちまいな。」
「くっ・・・あぁん・・・!!」
ホントに宍戸の奴、今日はやけに感じまくってんな。こいつこういうプレイの方が好きな
のか?でも、もうそろそろ俺もイカせてもらいたいね。
「もうそろそろ俺のもしてもらいたいんだけどいいよな?」
「それって・・・挿れたいってこと・・・だよな・・・?」
「ああ。いいだろ?」
「いいけど・・・じゃあ、目隠し・・・取って・・・・」
「何で?そのままでもいいじゃねぇか。」
「繋がってる時くらい・・・お前の顔、見させろよ・・・」
宍戸のこの言葉に跡部は本当にドキンッとさせられた。宍戸の言う通り目隠しを外す。そ
の瞬間、宍戸の目からたまっていた涙が一気に溢れた。
「何、泣いてんだよ。」
「しょうがねぇだろ、目隠しのせいでたまってたのに・・・流せなかったんだからよ。」
「でも、今のお前の顔、すっげー綺麗だぜ。」
宍戸が涙を流したのは確かに今言ったような理由もあるが、今まで見えなかった跡部の顔
を見て、心から安心したというのもあった。
「じゃあ、挿れるぜ。」
「ああ。」
手首の鎖も目隠しも外され、宍戸の身体はだいぶ自由になった。宍戸は自由になった腕を
跡部の背中に回し、挿れやすいように自ら足を開く。
「くぅんっ・・・あぁっ・・・・!!」
「ふっ、イイぜ宍戸。いい感じに締めつけてやがる。」
「やっ・・・あぁっ・・・・跡部っ!!」
その時、宍戸はあることに気づいた。目隠しをした時と全くまわりの明るさが違うのだ。
目隠しをされた時には確かについていた蝋燭の灯りが、もうすでになくなっている。今、
自分と跡部を照らしているのは、あの真っ赤な月の妖しい光だけだった。
「な・・んか・・・照明が妖しいな・・・・」
「いつのまにか、蝋燭なくなってたんだな。気づかなかった。」
「マジかよ・・・別にお前は目隠しとか・・してなかったくせに・・・」
「お前しか見てなかったからな。照明なんて全然気になんねぇよ。」
宍戸はほっとしたような、恥ずかしいような不思議な気持ちになった。跡部はそんな宍戸
の表情を見て可愛いと思い、少し激しく動いてみる。
「はぁっ・・・あんっ・・いきなり何だよぉ・・・・」
「お前、可愛いぜ。もう、メチャクチャにしてやりてぇ。」
「い、意味・・・分かんねぇ・・・・うあっ・・・」
急に何なんだよ。いつもメチャクチャにしてるくせに何言ってんだ。うわっ・・・今、ち
ょっと、イイとこに当たったかも・・・。
「うっ・・・く・・・!!」
「ふーん、ココか。じゃあ、ココを攻めるか。」
「やぁっ・・・うあっ・・・あっ・・はぁっ・・・・」
分かりやすいよな。弱いトコ突くとすぐに顔に出るから、すっげぇ攻めやすい。これで、
ねだられたりしたらもっとイイんだけどねぇ。
同じ場所を攻め続けていると、宍戸は自ら腰を動かし、他の感じるスポットを跡部に突か
せる。
「あ、跡部・・・ココも・・して・・・」
「ココか?」
「はぁんっ・・・ソコっ・・・イイッ・・!!」
「お前からねだるなんて、珍しいじゃねーか。」
「だって・・・今日・・メチャメチャ・・・・イイんだもん・・・どうせだったら・・・
もっと・・もっと・・・俺のこと気持ちよく・・・させてくれよ・・・跡部・・・」
「そんなに言うなら連れてってやるよ。最高の楽園にな。」
「ああっ・・・あっ・・あんっ・・・ああ――っ!!」
宍戸の誘い文句を聞いて、跡部はまるで獣のように激しく攻め続けた。深紅の月が媚薬の
ように二人に魔法をかける。果てる寸前、二人はお互いに舌を絡ませ、唇を重ねた。その
まま快楽の頂に達すると、その瞬間、本当に一つになったような感覚が二人の身体を包み
込んだ。

それから、しばらくしてまわりを片付けた後、二人は身に付けていたものを全部外して、
ベッドに横になった。
「なあ、跡部・・・。」
「ん、どうした宍戸。」
跡部の顔を目の前にして宍戸はほのかに赤くなりながら、ぼそっと呟いた。
「俺、やっぱマゾかも・・・。」
「何を今更。」
「だってな、今日のヤツすっげーよかったし、縛られたり、目隠しされたりしても・・・
怖いっつーより、正直わくわくして・・・その・・・楽しかった。」
「へぇ、そっか。でも、俺はそれでいいと思うぜ。まあ、俺はどちらかと言えばサドだか
らな。バランス取れていいんじゃねーの?」
「お前、どちらかといえばじゃなくて完璧にだろ!?」
「別にどっちでもいいじゃねーか。それより、もうそろそろ寝た方がいいんじゃねーの?
明日、早めに起きて家に帰んねーと学校に遅れるよな。」
「そうだな。・・・ん?あーー!!」
跡部の首に手を回そうとした時、宍戸は重大なことに気がついた。
「いきなり何だよ?」
「あ、跡部・・・どうしよう、手首にメチャメチャ鎖の跡ついてる・・・。」
「あー、本当だ。でも、あんなに縛ったんだから当然だろ。」
「鎖なら跡つかないと思ったのにー。明日、学校だぜ。どうしよう・・・。」
あまりにも不安気な宍戸の表情を見て、跡部はぎゅっと抱き締め、頭を撫でながら、まる
で子供をあやすように囁いた。
「大丈夫だ。明日、俺のリストバンド貸してやるよ。それなら、隠せるだろ?」
「バレないよな?」
「ああ。安心しろ。絶対バレねぇよ。それ以外は特に跡はついてないから。」
「よかったー。サンキュー跡部。」
ほっとして満面の笑顔を浮かべるとさっき伸ばしかけた手を、跡部の首に回した。跡部も
宍戸のことをさらに強く抱き締める。
「もう、寝ようぜ。明日は早いんだから。」
「ああ。オヤスミ跡部。」
「オヤスミ。」
二人はもう一度口づけを交わして、眠りに落ちる。月はいつもと同じ明るい黄金の光に変
わっていた。次の日、朝日が昇ると窓からその光が差し込み、二人の目を覚まさせる。爽
やかな朝焼けの中、二人は自分の家へ帰る。そして、いつものようにまた一日が始まった。

                                END.

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