目隠し遊び

134号室に戻った大曲と種ヶ島はそれぞれ自分の机の上に持っていた本や雑誌を置く。
「いやー、ツッキーも毛利も面白かったな!」
「越知とかあんまり興味なさそうな顔して、案外ちゃんと聞いてるしな。」
「ツッキーは毛利が絡むとアレやから。」
先程のことを思い出し、大曲も種ヶ島もくすくす笑う。そろそろ寝てもよい時間なのだが、
さっきのやりとりでどちらも少しそういう気分になっていた。
「なあ、竜次。もう寝る?」
「お前はどうするんだし?」
「えー、どないしよ・・・」
歯切れの悪い返事をする種ヶ島はそわそわとした様子を見せる。分かりやすいなあと思い
ながら、大曲はトンと肩に手を置く。
「っ!!」
「さっきの雑誌の内容、覚えてるよな?」
「そ、そりゃさっきの今やからな。」
「試してみるか?」
「えっ!?」
「まあ、玩具なんて持ってねぇから、試せて目隠しくらいだけどよ。」
大曲の提案に種ヶ島の心臓はバクバクと大きな音を立てる。素直にしたいというのはかな
り恥ずかしかったので、誤魔化すような態度をとる。
「試したいん?やっぱ、竜次はエッチやなあ。それに目隠しもないやろ?」
「うるせぇし。それに目隠しなら・・・・」
軽く舌打ちをしながら、大曲は頭につけているヘアバンドを外す。そして、それを種ヶ島
の頭に通し、一旦目を隠すくらいまで下げた後、目が見えるように上にずらす。
「これで十分だし。」
突然大曲のヘアバンドをつけさせられ、そんなことを言われる。まさかそんなことをされ
るとは思っていなかったので、種ヶ島は顔を真っ赤に染め大曲を見る。
「さあ、どうするよ?」
「・・・する。」
もともと種ヶ島もしたかったので断る理由はない。目隠しを試してみるということも興味
があった。
「ちょっと準備するから、先にベッドに入って服脱いどけ。」
「えー、恥ずかしい。」
「はあ?絶対そんなことねぇだろ。」
「ちゃい☆」
恥ずかしいのは本当だが、別にそうするのが嫌なほどではない。二段ベッドの下に入ると
種ヶ島は身に着けている服を一枚一枚脱いでいく。
(はあー、どないしよ。メッチャドキドキしとるわー。)
脱いだ服をベッドの外へぽいっと放ると、種ヶ島は一糸纏わぬ姿で布団の上に座り、大曲
が来るのを待つ。バスタオルやローションなどこの後使うものを手にし、大曲は種ヶ島の
待つベッドの方を振り返って見る。素直に服を全て脱ぎ、ベッドで待っている種ヶ島を見
て、大曲は想像以上の光景に言葉を失う。
(風呂でも見るし、別にこういう格好見るの初めてじゃねぇけど、そういう気分になって
るからかやべぇな。)
「何持ってきたん?竜次。」
「シーツ汚して洗濯するより、バスタオルの方が後処理が楽かと思ってよ。」
「なるほどな。」
「ちょっと敷かせろし。」
「おん。」
シーツの上に大きめのバスタオルを敷くと、そこに種ヶ島を座らせる。自身もベッドに入
ろうとすると、種ヶ島が不満げな表情で止める。
「何だし。」
「何で竜次は脱がんの?」
「どうせ目隠しすんだし、あんま関係ないだろ。」
「関係大ありや。しかも、目隠しするなら余計重要やで。」
「何がだし?」
「見えない分・・・素肌同士で触れ合ってたいやん?」
照れたようにそんなことを言ってくる種ヶ島に、大曲の胸は撃ち抜かれる。
「デカ勘弁しろし。」
そう言いながら、大曲は着ている服を脱いでいく。目の前で服を脱いでいく大曲をじっと
眺めていると、これからそういうことをするんだということを意識させられ、種ヶ島の鼓
動は速くなる。
「これでいいか?」
「お、おう・・・」
「なら・・・」
早速始めようと、大曲は種ヶ島の頭につけたヘアバンドを目を覆うようにずらす。
「ホンマに何も見えへんな。」
「目隠しってそういうもんだし。」
「メッチャドキドキするわ。」
「そうだな。」
大曲が同意するような言葉を言ってくれると思っていなかったので、種ヶ島は少し驚く。
「竜次もドキドキしとるん?」
「そりゃな。」
「そっかぁ。ちょい嬉しい。」
(可愛すぎかよ。)
目元は分からないが、口元は嬉しそうに緩んでいる。そんな種ヶ島を自分の前で抱えるよ
うにして、大曲はベッドの上に座る。背中と胸、腰と腹、臀部と下肢がぴったりとくっつ
くような体勢にどちらの熱も高まっていく。
「竜次。」
「何だし?」
「竜次の、もう結構勃ってるな。」
「しゃあねーだろ。オメェだって人のこと言えねぇし。」
「やって、裸で竜次とくっついとんのやで。こうなるの当然やん?」
どうしてこう嬉しがらせるようなことを言ってくるのかと、大曲は種ヶ島の視界が遮られ
ているのをいいことに口元を緩ませる。せっかくなら、今日はじっくり時間をかけてして
やろうと、大曲は前に回している腕で種ヶ島をぎゅっと抱きしめ耳元で囁く。
「今日はちょっと時間かけてもいいか?」
「えっ・・・?別にええけど。」
「ここらへんな、上手いこと開発出来るとすげぇ気持ちよくなるらしいし。本当はかなり
時間かけなきゃいけねぇらしいけど、お前もともとこのへん弱そうだし、いけんじゃねぇ
と思ってよ。」
脇と胸の間あたりから心臓に向かって大曲はつつっと指を滑らせる。そこまで大きな刺激
ではないが、くすぐったいようなむずむずするような感覚に種ヶ島はピクンとその身を震
わせる。
「んんっ・・・」
「入りは悪くねぇみてぇだな。」
胸の外側のラインを大曲は優しく愛撫する。じんわりとした気持ちよさと胸の奥が甘く痺
れるような感覚。そこまで大きな快感はないが、大曲に与えられる断続的な気持ちよさに
種ヶ島は次第に夢中になっていく。
「ハァ・・・竜次・・・・」
「どうよ?」
「んー、何やじんじん気持ちええ感じがずっと続いてる感じやな・・・他のもんが見えて
ない分、そっちの感覚に集中出来るっちゅうのもあるけど・・・」
「へぇ。もう少ししといてやるけどよ、ちょっとだけいいか?」
「何・・・?ひゃっ・・あ・・・!」
全く見えていないため、大曲が何をしているか分からないが、突然腰の下あたりが冷たく
濡れた感触で覆われる。
「えっ・・・!?な・・・何っ・・・?」
「ただのローションだし。ちょうどいい場所にお前のケツがあるからよ。こうした方がお
互い気持ちいいだろ?」
垂らされたローションは割れ目を伝い、蕾を濡らしていく。少しでも身をよじろうものな
らぬるぬると濡れた大曲のモノがあからさまにあたり、ぞくりと粟立つような快感が走る。
「うあっ・・・」
「これは動かれると結構ヤバイし・・・」
「ローション冷たいのに・・・竜次のあっつ・・・」
「俺がちゃんと感じられて悪くねぇだろ?」
普段は言わないようなセリフを言われ、種ヶ島の胸はキュンとときめく。
(今日は竜次もだいぶテンション上がってるなー。そんなん言われたら、メッチャ意識し
てまうやん。)
どちらもだいぶいい感じになってきたので、大曲は再び種ヶ島の胸のあたりを弄り始める。
先程とほとんど変わらない優しい愛撫なのだが、種ヶ島の反応は明らかに変化していた。
「あっ・・・んっ・・・んんっ・・・・」
「さっきよりだいぶ反応よくなってるじゃねぇか。」
「んっ・・・何やろ・・・急に何か・・・」
先程より呼吸を乱し、大曲が触れるたびにピクンと身体を震わせる。しばらくそのまま触
れ続けていると、さらに反応は大きくなっていく。
(竜次に触られてるとこメッチャ気持ちええ・・・あっ、ちょいヤバイかも・・・)
「ハァ・・・竜次っ・・・・」
「どうした?」
「何かちょいイキそう・・・かも・・・」
「へぇ、本当ここらしか触ってないのにな。」
そんな種ヶ島の言葉を聞いても大曲は特に刺激を強めるというようなことはせず、指先で
ふわっと触れるだけにする。しかし、そんな刺激でも種ヶ島にとっては、十分すぎるよう
で、大曲に寄りかかりながらビクッと震え、甘い声を漏らす。
「はぁっ・・・あぁ・・んっ・・・」
種ヶ島が身体を揺らすと、熱くなっているそこが種ヶ島の双丘に直接擦れるので、大曲も
感じてしまう。
(こっちも直接触られてるってわけじゃねぇけど、結構クるな。気持ちいいし。)
種ヶ島の反応と肌が触れ合う刺激に大曲の息は上がり、種ヶ島の首筋に熱い吐息がかかる。
視界を遮られている種ヶ島にとってはそんな刺激も十分すぎる刺激になり、高まる快感に
拍車をかける。
「ああ・・・んっ・・・竜次っ・・・も・・・イクっ・・・!!」
そこまで刺激を強めるようなことはしていないのだが、種ヶ島はビクビクとその身を痙攣
させ、達したような反応を示す。しかし、大曲はあることに気づき、その疑問を素直に種
ヶ島にぶつける。
「お前、今イったのか?」
「ハァ・・・ん?それ、どういう意味なん・・・?」
「いや、すげぇそういうふうに見えたんだけど、見た目イってるようには見えねぇなあと
思って。」
大曲が何を言っているのかさっぱり分からず、種ヶ島は首を傾げる。目隠しをしているせ
いか自分の伝えたいことが伝わっていないと気づいた大曲は、種ヶ島の手を取り、それが
ハッキリと分かる部分に触れさせる。
「ほら、自分で触って分かんだろ?イったように見えたんだけどよ、出てなくね?」
大曲の言う通り、自分の熱に触れると多少濡れてはいるものの、本来出ているべきもので
濡れているといった感じはない。明らかに達した感覚はあったにも関わらず、そうなって
はいない状況に種ヶ島は混乱する。
「えっ・・・何?どういうこと・・・??やって、今、絶対イった感じあったで・・・?」
種ヶ島自身もよく分かっていない状況だが、大曲はピンとくることがあった。それを確か
めてみようと、大曲は先程まで触れていた場所にもう一度触れてみる。ほんの少し肌に指
を滑らすようにしただけなのだが、種ヶ島は再び大きな反応を見せる。
「ひぅっ・・・ああぁ―――っ!!」
感覚としては完全に達している状態なのだが、高まっている熱の先から何かが出ることは
ない。そのせいで、一度果てたらしばらくは落ち着くはずの絶頂感は治まることはなく、
何度も繰り返しその感覚が襲う。しかも、大曲がしているのはただ軽く胸の周りを撫でる
ことだけだ。
「ひっ・・・やぁっ・・・竜次っ・・・ああぁんっ!!」
「お前、メスイキ出来るようになってるんじゃね?」
「何やそれ・・・?」
「男でも射精なしでイけるようになることがあるらしいし。」
「ホンマに?うわあ・・・どないしよ・・・」
「すげぇエロい。最高だし。」
まさかそこまで開発出来ると思っていなかったので、大曲は胸の高鳴りとゾクゾクわくわ
くする感じを抑えられず、素直に思ったことを口にしてしまう。種ヶ島はというと、初め
ての体験に尋常じゃなくドキドキしながらも、これは大曲との行為をもっと楽しめるので
はないかという期待感に胸を躍らせていた。
「なあ、竜次・・・」
「何だし?」
「もっと、触って?」
ヘアバンドで目隠しされているため、表情は半分しか分からないが、紅潮した頬に甘い吐
息を漏らす唇。甘えるような声色でそんなことを言われてしまっては、断ることなど不可
能だ。種ヶ島に言われるまま、大曲は再び感じやすくなっている種ヶ島の胸を撫でる。
「ふあっ・・・ああぁっ・・・・!」
「ハァ・・・本当、お前がそうなるのたまんねぇし。見ててすげぇ興奮するし、結構直に
あたってるから普通に気持ちいいし。」
「竜次っ・・・んっ・・・ああっ・・・・」
どちらもそこまで大きな刺激を受けているわけではないが、いつも以上に感じている。し
ばらく夢中になってその気持ちよさを味わっていたが、どちらもある欲求で頭の中がいっ
ぱいになる。
(これはこれですげぇ気持ちイイけど・・・)
(もう何回イったか分からないくらいやけど・・・・)
(早く入れてぇ。)(早く竜次の入れて欲しい。)
一旦手を止め、大曲は種ヶ島を抱きしめる。そして、今したくてたまらないことを口にす
る。
「もう入れたくて仕方ねぇんだけどよ。」
「ええタイミングやで・・・竜次。俺も入れて欲しいと思ってたとこ☆」
「けど、全然慣らしてねぇし。」
「こんだけローションでぐちゃぐちゃなってたら大丈夫やろ。なあ、もう入れて・・・我
慢できひん。」
「勘弁しろし・・・」
そんなことを言われてしまっては、こちらも我慢出来なくなってしまうと、大曲はいつも
のセリフを口にする。少しだけ種ヶ島の腰を浮かせると、ローションでぬるぬるになった
蕾に自身をあてがう。そして、そのまま種ヶ島の腰を下ろすようにして中に入れる。いつ
もよりかなりきつい感じではあるが、種ヶ島のそこはしっかりと大曲を受け入れた。
「くっ・・・!」
「ああぁ―――っ!!」
狭い壁をぬるぬるとした大曲の熱で擦られる感覚に種ヶ島は達する。さすがに大きな刺激
が加わったため、種ヶ島は溜まっていた熱い蜜を放った。ただでさえキツイ内側が達した
ことによりぎゅうぎゅうと収縮し、大曲の熱を強く締めつける。そんな刺激に耐えられず、
大曲も種ヶ島の中で達してしまう。
「ハァ・・・竜次、すぐイったやん・・・・」
「オメェだってそうだろ・・・・」
「けど、これでそんなに慣らしてなくても・・・たくさん動けるようになったな。」
「まあな。」
どちらも達しはしたが、まだ止める気などさらさらない。熱く濡れた種ヶ島の中は、まだ
少し狭いが先程よりも明らかに動かすことが容易になっていた。種ヶ島の腰から前に腕を
回すようにして抱き、首筋から肩にかけてのラインに口づける。そして、中の心地よさを
存分に味わうかのように大曲は動き始めた。
「あっ・・・はぁ・・ん・・・竜次ぃ・・・・」
「目隠ししてると、やっぱ入ってる感じとかも違うのか?」
「んっ・・・いつもより、竜次の形とかハッキリ感じられるかも・・・?」
「へぇ。だったら・・・」
種ヶ島のそんな言葉を聞き、大曲は一際奥を穿つように自身を深く種ヶ島の中に埋める。
「ああぁんっ!!」
「見えないでしっかり感じられる分、ちゃんと俺の形覚えておけよ?」
「んんっ・・・そないなこと言われたら・・・・もうそのことしか、考えられなくなるや
ん・・・」
「いいんじゃね?俺のことだけ考えてればいいし。」
種ヶ島と繋がっていることで多少ハイになっている大曲は、種ヶ島の耳元でそんなことを
囁く。耳元で響く大曲の声、肌に触れる指先、そして、中でその存在を主張してくる熱の
塊。視覚を奪われているため、それらはいつもよりハッキリと強く感じられる。
(言われなくてももう竜次のことしか考えられへんし。やっぱ、竜次と繋がってるときが
一番気持ちええな。)
「なぁ・・・竜次・・・・」
「何だし。」
「このまま・・・また、胸のあたり・・・触って?」
今の種ヶ島にとって、そこに触れるということは、またあのイキ方をしたいと言っている
のと同義だ。この状態でそうなったらどうなってしまうのだろうと、大曲も種ヶ島もドキ
ドキと胸を高鳴らせる。熱くなる指ですっと脇から胸のラインをなぞる。ソコでイクこと
を覚えた種ヶ島の身体は、たったそれだけの刺激でビクンと跳ねる。
「はぁ・・・ああぁ――っ!!」
「うぁっ・・・」
ほぼイっているのと同じ状態のため、種ヶ島の中はビクビクと大きく収縮し、大曲のそれ
に大きな刺激を与える。予想以上の刺激に大曲は思わず声を漏らす。
(これは想像以上にヤバイし・・・)
触れていれば、ずっとイキ続けているような感じになるので、種ヶ島は甘い悲鳴を上げな
がら大曲の名を呼ぶ。その声を聞いているだけでも、大曲は頭の中がとけてしまいそうな
ほど気持ちよくなっていた。
「ああぁっ・・・竜次・・・竜次っ・・・・!」
「マジでよすぎるし・・・」
「俺も・・・ひあっ・・・メッチャ気持ちよくてっ・・・・あぁ・・んっ・・・・」
「なあ、少しだけこっち向けし・・・」
軽く身体をひねらせ、種ヶ島の顔を自分の方へ向かせると、大曲は吐息混じりの声を漏ら
すその唇に口づけた。身体中で感じているところに、大曲からのキス。気持ちのいいとこ
ろに愛されている感が加わり、種ヶ島の胸は幸せな気分でいっぱいになる。
(ヤバイ、メッチャ幸せや・・・竜次、好き、大好き・・・)
キスをされたまま、種ヶ島は再度熱い想いを放って果てる。そんな種ヶ島を腕に抱いてい
る大曲も、一番弱い部分を種ヶ島にしっかりと包まれているため、種ヶ島が果てると同時
に達した。絶頂の余韻に浸りながら唇を離し種ヶ島の顔を見ると、目隠しをしていても分
かるほどに蕩けた顔をしている。そんな種ヶ島を非常に愛しく感じた大曲は、敏感になっ
ている耳元で、普段はあまり口にしない名前を呼び、愛の言葉を囁いてやった。

事前に工夫をしていたこともあり、後処理はそれほど時間かけずに終えることが出来た。
疲労感からベッドに横になっている種ヶ島に大曲は飲み物を渡してやる。
「喉乾いただろ?ちょっと飲んどけ。」
「おー、おおきに。」
大曲から渡された飲み物を飲むと、種ヶ島はふうっと溜め息をつく。ずっと目隠しをして
いこともあり、先程のことに現実感が伴っていなかった。
「どうしたよ?」
「何かさっきのがあまりにも夢みたいやなーと思て。」
「夢じゃねぇし。よかったんだろ?」
「メッチャよかったで。竜次に開発されてしもたし、もうどうしてくれるんって感じや。」
「するときの楽しみが増えていいだろーが。それとも、何か不満でもあんのか?」
当然のようにそんなことを言ってくる大曲に、種ヶ島は赤くなってしまう。
「ホンマ竜次はエッチやなー。まあ、竜次に開発されるんは、何や竜次と俺との秘密みた
いな感じでええんやけどな。」
「お前だって、結局そういうこと興味あるんじゃねーか。」
「そりゃ好きな奴とぎょーさん気持ちよくなれるんやったら、それに越したことはないや
ん?」
しれっとそう言う種ヶ島に大曲は若干ムラっとしてしまう。そんなことを言われてしまっ
てはもっといろいろしたくなってしまう。
「だったらよ・・・」
「んー、何?」
「今度一緒に玩具でも買いに行くか?」
「へっ!?」
「何だかんだお前も興味あんだろ?」
「い、いやー、ない言うたら嘘になるけど・・・けど、そういう店ってまだ入ったことな
いし、てか入ってええんやっけ?」
「俺らもう18だし。問題ねぇだろ。」
「あ、あー、そか。せやな。」
思ってもみない大曲の誘いに種ヶ島はドギマギしてしまう。なかなか初々しい反応を見せ
てくれるなあと、大曲はつい口元が緩んでしまう。
「まあ、嫌なら俺だけで行ってくるから別に無理強いはしないし。ただ、せっかくならお
前が好きなの買った方がいいと思ってな。」
「そんなん言われたら断れへんやん。行く!」
「じゃあ、今度の休みにでも行ってみるか。」
「お、おん。」
多少強引ではあるが、そんな約束をとりつけ、大曲は内心非常にわくわくしていた。少し
恥ずかしいと思いながらも、種ヶ島も場所はさておき大曲と出かけられるということが楽
しみで仕方なかった。
「もうだいぶ遅い時間になっちまったし、そろそろ寝ねぇとな。」
「せやな。」
大曲が寝る準備をするのを見て、種ヶ島は今どうしてもして欲しいと思うことを口にする。
「竜次。」
「何だし?」
「今日は竜次と一緒に寝たい。さっきまでずーっとくっついとったから、一人で寝るの寂
しいねん。」
種ヶ島の可愛らしいおねだりに大曲の胸はかき乱されまくりだ。照れ隠しに頭を掻いた後、
いつもの一言を言って種ヶ島の横になっているベッドへ入る。
「しゃあねーなあ。」
「わーい、竜次と一緒やあ。」
「ガキかよ。」
「やって、竜次と一緒に寝れるの嬉しいやん。」
「さっさと寝とけ。」
「ちゃい☆」
種ヶ島の一挙一動が可愛くて仕方ないと感じ、これ以上そういう態度をとられると困るの
で、大曲は種ヶ島を早く寝かしつけようとする。向かい合わせで横になっていると、種ヶ
島は大曲の手をぎゅっと握った。
「何だし?」
「こうしとったら、夢ん中でも竜次とおれるかなあと思て。」
「・・・勘弁しろし。」
「んじゃ、おやすみ☆竜次。」
「ああ、おやすみ。」
(マジで可愛すぎかよ。デカ勘弁しろし。)
おやすみを言った後、素直に目を閉じ、睡眠モードになる種ヶ島を眺めつつ、大曲はすぐ
には眠れないくらいに胸が高鳴っていた。種ヶ島に握られた手は次第に熱を帯びていく。
(しばらく眠れなさそうだし。)
疲れてはいるが、このドキドキ感が治まらない限りは眠れないなあと思いながら、大曲は
小さく溜め息をつき種ヶ島の顔に目をやる。いつの間にか種ヶ島はスースーと寝息を立て
ていた。そんな種ヶ島の髪にそっとキスをし、もうしばらくこの可愛い寝顔を見ておいて
やろうと、大曲は種ヶ島の手を握り返し、じっと目の前の顔を眺めるのであった。

                                END.

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