金太郎×白石
金太郎Side
1.朝
金太郎「おはよう!」
白石 「金ちゃん、おはようさん。ん?なんか肩についとるで。」
金太郎「ん?なんかワイの肩についとるって?」
白石 「なんや毛?みたいなのがぎょーさん・・・」
金太郎「あっ、わかったでぇ。これ、うちの犬の毛や!」
白石 「ああ、金ちゃんち犬飼っとるもんな。」
金太郎「アイツら、家出る前に撫でたったらワイにすりすりしてきてん。」
白石 「なるほどな。あっ、腕のとこにもついとるで。」
金太郎「あり、腕のとこにもついとる?みんな、めっちゃ寄ってきたもんなぁ。」
白石 「こりゃいろんなとこについてそうやな。背中とかにもついてないか確認した方がよさそうやな。」
金太郎「・・・背中にもついてへんか見てくれるん?おおきに!ほなっ、くるって回るから頼むでぇ。」
白石 「はは、ついとったら取ってやるからしっかり確認させてもらうで。」
2.夕方
金太郎「あり、何してるん?まだ帰らへんの?」
白石 「金ちゃん。なんやちょっと空眺めてぼーっとしとったわ。」
金太郎「空眺めて、ぼーってしとった?へぇ〜・・・」
白石 「試しに金ちゃんもやってみたらどうや?結構ええ気分やで。」
金太郎「・・・・・」
白石 (こう素直にやってくれるんは、さすが金ちゃんって感じやな。)
金太郎「ホンマや。なんやええ匂いするし、ええなぁ、ぼーってするって。」
白石 「せやろ?夕焼けも綺麗やし、空が変化していくのがおもろいねん。」
金太郎「うん。よう見たら、雲ってあんなにゆーーっくり、動いとるんやなぁ。」
白石 「のんびり雲見るんも楽しいもんやで。」
金太郎「あっ、あの丸い雲、タコヤキに似とる!ほら、向こうに浮かんどるヤツみてみぃ。」
白石 「ホンマやな。ほんならあの雲は・・・」
金太郎「なんやめっちゃ腹減ってきたわぁ。」
白石 「はは、金ちゃん、どの雲も食べ物に似とるって言うとったからな。」
金太郎「なぁなぁ、タコヤキ食べに行こうや。この辺に美味しいトコあるねん。」
白石 「行きたいのは山々なんやけど、これから塾やねん。堪忍な。」
金太郎「もうすぐ塾なん?せやったら、また今度食べよなぁ。」
白石 「ああ、楽しみにしとるで。」
金太郎「ほなワイ、行ってくるわ。また明日なぁ。」
白石 「ほな、また明日な、金ちゃん。」
3.休日
金太郎「わー!休みの日やのに会えたぁ!」
白石 「おっ、偶然やな、金ちゃん。」
金太郎「あり?荷物ぎょうさん持っとる。何買うたん?」
白石 「あー、この前ちょっとおもろいマンガ借りてな。途中までしか読めへんくて、気になるからついまとめ買いしてもうたわ。これなんやけど・・・」
金太郎「・・・あ、それワイも知ってるマンガや。めっちゃオモロイよな!一気に読みたなるんわかるでぇ。」
白石 「ちょっと買い過ぎた感あるけどな。」
金太郎「マンガ読むんやなぁ。どんなんが好きなん?」
白石 「金ちゃんが好きなようなマンガも結構読むけど、ラブストーリーのマンガとかもわりと好きやで。」
金太郎「らぶ・・・小春から聞いた事あるでぇ。なんやトキメキ?がいっぱいでめっちゃオモロイんやろ?」
白石 「せやな。俺はおもろいと思うで。」
金太郎「ワイも読んでみたいわぁ。オススメのもんあったら教えてな。」
白石 「ええで。今度一緒に読もうな。」
金太郎「この荷物持って、もう帰るん?」
白石 「せやなぁ。もう買いたいものはだいたい買えたし。」
金太郎「そうなんや。せやったら、ワイが家まで持ったるでぇ。」
白石 「ホンマに?そりゃ有難いけど・・・」
金太郎「だって、めっちゃ重そうにしとったやん。ワイ、力持ちやし任せとき!」
白石 「おおきに。助かるわ。」
金太郎「ほな出発やぁ。ついていくから道案内してな。」
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白石Side
1.朝
白石 「おはようさん。」
金太郎「あー、白石やー!おはよう!」
白石 「なんや眠そうな顔しとるなぁ。昨日、夜更かしでもしたん?」
金太郎「オカンとオトンとな、外国のドラマ見てん。それが結構おもろくて止まらなくなってしもてん。」
白石 「・・・海外ドラマを見始めたら止まらなくなってもうた、と。」
金太郎「せやからちょっと寝不足やねん。」
白石 「あるあるやな。ちなみにどんなストーリーやったん。」
金太郎「えっとな、なんや毒草とか出てきてな、こう事件を解決してくーみたいな話やってん。」
白石 「え、毒草がキーになっとるサスペンス・・・?」
金太郎「そういうふうにも言えるかもしれん。」
白石 「ちょ、その話詳しく!学校向かいながら聞かせてや。」
金太郎「ええで。その話の主人公はぁ・・・」
2.夕方
金太郎「白石ー!!」
白石 「・・・?今、呼ばれたような――」
金太郎「もー、何回も呼んどるのに、なかなか気づいてくれへんやん!」
白石 「ああ、すまん。校内新聞の小説のネタ考えるのに夢中になってて気づかんかったわ。」
金太郎「それならしゃーないな。」
白石 「ていうか、これから帰るとこなん?」
金太郎「せやで。」
白石 「放課後になった途端、教室を飛び出してったからもう帰ったんかと思っとったけど・・・」
金太郎「あり?見てたん?今日なー、図書館に用事があってん。頼んどったマンガが来たでーって言われてん。」
白石 「なるほど、頼んでた本が入ったって図書の先生から言われたんか。」
金太郎「おん!はよ読みたいから急いで図書館行ったんや。」
白石 「そら、はよ読みたなるわけやな。その気持ち、めっちゃわかるで。」
金太郎「せやろー?」
白石 「あ、先生言うたら俺もオサムちゃんに用事あったんを思い出したわ。」
金太郎「そうなん?」
白石 「今やったら部室の方におるかな・・・」
金太郎「オサムちゃんなら、噴水のとこで見かけたで。さっき見たからまだいるかもしれん。」
白石 「噴水のとこで見かけた?目撃情報助かるで。」
金太郎「急いで行った方がええで。」
白石 「ちょっと学校戻るわ。また明日な。」
金太郎「またなー。」
3.休日
金太郎「あっ、白石!」
白石 「お、こないなとこで会うなんて偶然・・・」
金太郎「ん?どないしたん?」
白石 「って、なんや荷物多ない?」
金太郎「買い物行っとったからな!」
白石 「ああ、買い物帰りやったんか。少し持ったるから重いの貸してや。」
金太郎「そんな重くはないけどな。んじゃ、そこまで重くないヤツ持ってや。」
白石 「・・・っと、結構ずしっとくるやん。こんなに何買うたん?」
金太郎「いろんなもん売ってるお店で、いろんな形の型買ったで。型抜き?いうんやったっけ?」
白石 「型抜きの型ってお菓子の?」
金太郎「せやで。オカンがなんやお菓子作ってくれるんやって!せやから、ぎょーさん買ってきてん。」
白石 「へぇ、猫とか花だけやのうて、キャラクターものもあるんか。いろんな種類があってオモロイなぁ。」
金太郎「選ぶのめっちゃ楽しかったで!」
白石 「そういえばもうすぐバレンタインっていうか・・・」
金太郎「せやな。バレンタインにはチョコもらったりあげたりするんやろ?」
白石 「もしかして今日買ったものって、それが関係してたり?」
金太郎「そうかもしれへんな。せっかくやから、ワイも一緒に作ろうかな。きっと楽しいな!」
白石 「あー、やっぱそうなんや。ちなみに誰にあげるかは――」
金太郎「バレンタインは好きな人にあげるんとちゃうん?」
白石 「いや、変な事聞いたわ。今の話は忘れてや。」
金太郎「よう分からんけど、これでお菓子作ったら白石にもあげるな!」
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銀×財前
銀Side
1.朝
銀 「財前はん、立ち止まって何を見とるんや?」
財前「あ、おはようございます、師範。あそこの木の鳥見とりました。」
銀 「・・・ああ、あの木に留まっとる野鳥達か。2羽でお互いの羽根を羽繕いしとるんやな。」
財前「ちょっとええなあと思て。ブログのネタにもなりそうやし。」
銀 「フ・・・えらい可愛いもんや。ずっと見ていたくなるわ。」
財前「ほんなら、もうちょい一緒に見ときます?」
銀 「せやけど、先生に頼まれた用事があってな。ワシはもう行かなアカンねん。」
財前「それならしゃーないっスわ。」
銀 「ほな、また教室でな。あの野鳥達がおるとおぬしが教えてくれたお陰で、朝から癒されたで。」
財前「教室じゃないのとちゃいます?まあ、ええですけど。」
銀 「はは、間違えてしもたわ。それじゃあな。」
2.夕方
銀 「ああ、今帰りか?少し話したいんやが・・・」
財前「師範も今帰りなんスね。ええですよ。何か用っスか?」
銀 「いや、用は特にないんや。ただ、元気がないように見えてな。」
財前「あー、別に元気がないわけちゃいますけど・・・今日、小テストがあったんスよ。あんま勉強しとらんかったんで、一夜漬けで勉強して、それで眠いだけっスわ。」
銀 「今日の小テストのために昨日一夜漬けしたから眠いだけ・・・やって。」
財前「はい。」
銀 「そらアカンわ。ちゃんと寝な、体にようないで。」
財前「はい・・・すんません。」
銀 「いや、責めとるわけとちゃうねん。無理をしてほしくなくてな。」
財前「心配してくれとるんですよね。ありがとうございます。」
銀 「せやけど、一生懸命頑張ったんやな。おぬしのそないな部分は尊敬するで。」
財前「そないに褒められるとちょっとくすぐったいっスわ。」
銀 「つい心配になって、お節介な事をいろいろ言うてしもうたわ。」
財前「師範の言うことは正しいんで、全然お節介なんて思ってないっスよ。」
銀 「今日は帰ったらゆっくり家で休むんやで。夜更かしせんと、早よ寝えや。」
財前「フ・・・また師範の心配性なとこが出とりますね。」
銀 「・・・また心配性が出てる、やて?ホンマや、やってしもうたな・・・」
財前「師範のそういうとこ、俺は嫌いやないですよ。」
銀 「ほな、これぐらいにしとこか。また明日。」
財前「はい。また、明日。」
3.休日
銀 「ああ、財前はんか。ここで会うとは奇遇やな。」
財前「師範、こんにちは。師範は今日は何しとるんですか?」
銀 「何しとるやて?ワシはこれから、みんなと待ち合わせてお笑いライブに行く予定でな。」
財前「あー、俺も誘われたけど断りましたわ。」
銀 「うちの学校はお笑いの勉強も大事やろ?ライブを楽しみながら、いろんなお笑いを勉強してくるつもりなんや。」
財前「さすがっスね。」
銀 「財前はんもこの後、用事あるんか?」
財前「特に用事はないですけど、適当にブラブラするつもりっスわ。」
銀 「そういった事も、気分転換になってよさそうやな。」
財前「適当に歩きながら、ブログのネタでも探すつもりっス。」
銀 「帰りは遅くならんように気をつけるんやで。」
財前「はい。」
銀 「フ・・・今日はええ日や。」
財前「何でです?」
銀 「財前はんとこないして、休日に会えるやなんて嬉しゅうて・・・」
財前「えっ?」
銀 「あっいや・・・これからええ日になる、やな。お笑いライブ、オモロイやろうし。」
財前「俺の分まで楽しんで来てください。」
銀 「ほな、行ってくるわ。また学校でな。」
財前「はい。じゃ、また学校で。」
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財前Side
1.朝
財前「・・・ん?ああ、おはようございます。」
銀 「やっと気づいてくれたな。何度も声をかけたんやで。」
財前「何度も声をかけた?イヤホンで音楽聞いとったから聞こえへんかったです。」
銀 「何や怒っていて無視されてるかと思ったわ。」
財前「・・・すんません。ていうか無視してたわけとちゃいますし。」
銀 「はは、そこまで気にしてへんしな。音楽聞いとるのは気づいとったし。」
財前「許してくれるんスか?ふーん、チョロ。」
銀 「ほう、ちゃんと反省してへんようやな。」
財前「ちゃんと反省しろって・・・いやいや、今のは冗談やって。」
銀 「ほんなら、反省した様子見せてもらわんとな。」
財前「・・・ま、しゃーないっスわ。ほな反省の証に今度俺のプレイリスト、特別に聞かせたりますわ。」
銀 「そりゃ楽しみやな。財前はんのお気に入りの曲、心して聞かせてもらうで。」
2.夕方
財前「・・・あれ。もう帰れるんスか?」
銀 「財前はんも今帰りか。もう帰れるかって何でや?」
財前「廊下で先生になんか頼まれてたから、まだ残ってるんやと思てました。」
銀 「大した用ではなかったからな。見とったんなら声かけてくれてもよかったんやで。」
財前「声かけよかと思たけど、師範すぐにどっか行ってしもたし。」
銀 「ワシは気づいてなかったからなぁ。堪忍な。」
財前「ていうか、何の用事頼まれてたんスか?」
銀 「プリント運ぶのを頼まれてな。」
財前「へぇ、1人で運んだんスか?ああいうのってぎょうさん頼まれるやないですか。」
銀 「力には自信があるからな。プリントくらいやったら余裕やで。」
財前「まーええですけど、誰か呼んで手分けした方が効率よかったんちゃいます?」
銀 「そうかもしれへんな。それで、財前はんはこんなとこに立って何しとるんや?」
財前「なんでここに立っとるかって?先輩ら待っとるんスよ。ファーストフード食べに・・・」
銀 「それはええな。」
財前「あっヤバイ、来た。もう行かなアカンわ。」
銀 「そうか。もう少し喋ってたい気もするが・・・」
財前「こうやって喋ってんの見られたらからかわれそうやし。」
銀 「ほう、そうなんか。どんなふうにからかわれるんかちょっと気になるなぁ。」
財前「せやから、話の続きはまた明日で。ほな。」
銀 「ワシもこれから用事があるから帰らなアカンな。ほな、また明日な。」
3.休日
財前「・・・ちょお。さっきから何度も呼んどるのに全然気づかへんやん。」
銀 「ん?財前はんか。休日に奇遇やな。ちょっと音楽聞いとってな。お気に入りの演歌や。」
財前「音楽聞いとったんスか?なんや、こないだと逆っスね。」
銀 「休日にこないなとこで誰かに会うとは思わんかってな。ちょっと油断しとったわ。」
財前「休日ここで誰かに会うなんて思わんかった・・・まぁせやな。」
銀 「なかなか気づけんくて堪忍な。」
財前「あれ、お菓子の箱みたいなヤツ持ってますけど・・・なんか買ったんスか?」
銀 「これか?これは自分用に買ったチョコやな。店に並んどるの見とったら食べたくなってしもて。」
財前「自分用か。今スイーツのキャンペーンとかいろいろやってますもんね。」
銀 「誘惑に負けてしもてな。煩悩を払えんかったわ。」
財前「誘惑に負けてもた・・・って別にええんちゃいます?甘いもんはストレス解消とかにええって言うし。」
銀 「何個か入ってるようやし、財前はんにも分けたろか?」
財前「何個かあるから分けたろかって?・・・いや、今日はええっスわ。」
銀 「甘いもん嫌いやったやろか?」
財前「別に甘いもんが嫌いとかやないっスわ。」
銀 「まあ、確かに財前はんは白玉ぜんざい好きやし、甘いもんが嫌いなことはないな。」
財前「ただ・・・もし、くれるんやったら・・・」
銀 「くれるんやったら・・・何やろ?」
財前「いや、今の言い間違えたっちゅーか・・・。用事思い出したし、もう行きますわ。」
銀 「うむ。ほなまた学校でな。」
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千歳×橘
千歳Side
1.朝
千歳「おー、おはよ。」
橘 「ああ、おはよう。今、登校か。随分遅いんじゃなかね。遅刻ぎりぎりになるんじゃないか。」
千歳「・・・おはやくない?遅刻ぎりぎり?」
橘 「せっかくこっちに遊びに来てるから、弁当を作ったんだ。てっきりもう学校に着いていると思って、急いで走って来たんだが・・・」
千歳「だから、そぎゃん息切らして急いどるわけやね。」
橘 「お前はいつもこんなに遅い時間に登校してるのか?」
千歳「ばってん、俺にしては早か方ばい。」
橘 「つまり、いつもは遅刻ぎりぎりどころか、遅刻して登校してるってわけか。」
千歳「今日は天気もいいし、のんびり歩くのがよかね。」
橘 「フッ、お前らしいな。」
千歳「そぎゃんわけやけん、俺はゆっくり行くけん。教室でな。」
橘 「いや、教室までは弁当届けにいかんって。だったら、今渡しとくし、お前がゆっくり歩くのに付き合ってやるばい。」
2.夕方
千歳「そぎゃんところで何しよっと?」
橘 「あー、千歳か。あそこの木を見てたんだが・・・」
千歳「あそこの木ば見とったって・・・あー、猫がおったんやね。」
橘 「さっきから眺めているんだが、ずっとあそこから動かなくてな。少し気になって。」
千歳「もしかして動けんくなっとっとかな。ちょっと待っとって。」
橘 (あんなに簡単に猫を降ろして、さすが背が高いだけあるばい。)
千歳「下ろした途端、走ってったばい。やっぱり降りたかったんやね。」
橘 「助けてあげられて良かったな。」
千歳「ちょうど通りかかって良かったばい。」
橘 「俺もそこまで低い方ではないが、やはりそれだけの背があるのは少し羨ましいな。」
千歳「背が高くて羨ましい?はは、そぎゃんキラキラした目で言われると満更でもなかね。」
橘 「あまりちゃんとは確認しなかったが、さっきの猫は野良猫だったんかな。」
千歳「そういえば、前に公園で野良猫に餌ばあげた時に似たような柄のがおったような・・・」
橘 「なるほど、それなら・・・」
千歳「もしかしたら同じヤツかもしれん。」
橘 「なら、きっと大丈夫だな。」
千歳「気になると?だったら、今度見かけたら教えるばい。」
橘 「今度だと、東京に帰ってるかもしれないけどな」
千歳「それじゃ俺は散歩の続きばするけん、また明日。」
橘 「ああ、また空いてそうな時間にな。」
3.休日
千歳「・・・うーん。」
橘 「どぎゃんしたと?」
千歳「ああ、たいした事じゃなかばってん。」
橘 「結構悩んでるみたいだが。」
千歳「妹がチョコば作るごたって、どぎゃんものがよかか悩んどるらしゅうて。」
橘 「ああ、ミユキは今年もチョコ作る予定なのか。」
千歳「俺はこぎゃんとは詳しくなかけん、どぎゃんしたもんかと思っとったばい。」
橘 「うーん、それなら・・・チョコプリンなんてどうだ?簡単に作れるし、オススメだぞ。」
千歳「チョコプリンって、なんか難しそうやけど・・・」
橘 「いや、そこまででもないぞ。材料を揃えたら、レンジを使って作れるばい。」
千歳「材料揃えたらレンジで作れる?それなら出来そうばい。教えてくれてありがとう。」
橘 「デザートやお菓子なんかはそこまで得意ではないんだが・・・たまに杏が作れって言うからな。多少は作れるってだけだ。」
千歳「妹にはあとで返事を送っておくばい。」
橘 「ああ。ちなみに、お前はどんなチョコが好きなんだ?」
千歳「ん?俺が好きなチョコ?」
橘 「参考までに聞いておこうと思ってな。」
千歳「特にこだわりはないけん、なんでも食べるばってん・・・」
橘 「まあ、確かにあまりこだわりはなさそうだな。」
千歳「気持ちがこもったチョコだと嬉しかね。」
橘 「気持ちがこもったチョコ・・・か。それなら、そこまで難しくなかね。」
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橘Side
1.朝
橘 「おはよう。今日は晴れていていい天気だな。」
千歳「おはよう。いい天気やけん、散歩するにはちょうどいいばい。」
橘 「そういえば家庭科の調理実習があるな。確か大根とにんじんの味噌汁を作るんだったか。」
千歳「桔平は料理上手やけん、問題ないんじゃなか?俺だったら包丁を使うのも心配になるくらいばい。」
橘 「・・・包丁を扱うのが少し心配?慣れないうちはそうだろうが、大丈夫だぞ。」
千歳「さすが桔平ばい。」
橘 「もし難しければ俺が手本を見せてやる。それに、先生もいるからな。」
千歳「いや、さすがに俺は桔平の学校の授業には参加出来んて。部活ならいけるかもしれんばってん。」
橘 「気負わずに頑張ろう。」
千歳「そこまで言うなら、桔平の作った味噌汁食べに行くばい。」
2.夕方
橘 「あぁ、お前か。今帰りなのか?」
千歳「散歩したり観光したりして、これから帰ろうち思うとったところばい。」
橘 「俺は後輩達と約束があって、ここで待ってるんだ。」
千歳「へぇ。これからどこか行くとね?」
橘 「グリップテープやシューズを見るのに店についてきて欲しいと言われてな。」
千歳「なるほど。」
橘 「一緒に行くからには何かアドバイスをしてやるつもりだぞ。」
千歳「頼りになる先輩って感じばい。」
橘 「はは・・・そうかな。」
千歳「桔平のアドバイスなら間違いなさそうやけん、後輩達が羨ましかね。」
橘 「後輩達に合ったものが店にあればいいんだがな。」
千歳(本当はついて行きたいばってん、さすがにそれはダメやろなぁ。)
橘 「あぁ、後輩達が来たみたいだ。」
千歳「ばってん、あそこで止まってるように見えるばい。」
橘 「ん?アイツら、俺達が話してる途中だと思って遠慮してるのか?」
千歳「そうかもしれんね。んじゃ、そろそろお喋りはやめるばい。」
橘 「そんなに気を使わなくてもいいのにな。・・・それじゃ、行ってくる。」
千歳「おう。付きそいが終わりそうなくらいになったら、また連絡するばい。」
橘 「お前も気をつけて帰るんだぞ。」
3.休日
橘 「よう、休日にお前と会うなんてな。」
千歳「まあ、基本は桔平が学校にいるときに遊びに行くけん。ばってん、休日までこっちにいるって、知っとったやろ?」
橘 「今日は何か用事があるのか?」
千歳「実は塾で自習をしとって・・・」
橘 「・・・塾で自習してたのか。俺は、他校との練習試合の打ち合わせが終わった帰りなんだ。」
千歳「いや、そこはつっこむところばい!って、四天宝寺のノリをこっちでするのはよくなかね。そんで、桔平はこの後予定あるとね?」
橘 「この後?そうだな、少し街をブラブラしてから帰るつもりだ。」
千歳「寄りたいところとかあったりするとね?」
橘 「本屋に寄って時代小説の新刊を見に行こうかと思っている。今ドラマでもやってる作品の原作なんだ。」
千歳「あぁ、ドラマは見たことある気がするばい。」
橘 「・・・あぁ、ドラマは知っていたか。原作本も人物描写が細かくてなかなか面白いぞ。」
千歳「へぇ、それなら今度俺も原作読んでみようかね。」
〜〜〜〜♪
橘 「ん?悪い、電話がかかってきた。」
千歳「俺のことは気にせんで、出た方がいいばい。」
橘 「もう少し話をしたかったのに、残念だな。」
千歳「まあ、明日も放課後くらいに桔平の学校行くけん、その時に続きを話すばい。」
橘 「・・・続きは学校で?わかった、明日ゆっくり話そう。」
千歳「待ちきれんかったら、電話でもメッセージでも連絡してくれてよかよ。んじゃ、また。」
橘 「それじゃあ、また。」