お出かけバレンタイン
〜Before Valentine〜(U−17)

越知×毛利

越知Side

1.昼
越知「・・・お前か。」
毛利「何度か声かけとったんですよ。」
越知「気づくのが遅れてすまない。あまりの寒さに注意散漫になっていた。」
毛利「確かに今日はいつも以上に寒いですもんね。テレビ見とったら、今季で一番の冷え込みって言うてましたわ。」
越知「今季で一番の冷え込み?・・・ああ、ニュースで言っていたか。」
毛利「月光さん、寒いの苦手ですし、今日はホンマに辛いんとちゃいます?」
越知「身を切るような寒さとは、まさにこういうものなのだろうな。」
毛利「ちゃんと暖かくしてくださいね。」
越知「お前も風邪を引かないように気をつけるといい。」
毛利「はい!あ、俺、これから買い物行かなアカンくて。また後でお話しましょ。」
越知「ではな。」

2.夕方
越知「・・・おい。」
毛利「あっ、月光さん。どないしたんです?」
越知「足元に氷が張っている。ぼんやりしたまま歩くと転ぶぞ。」
毛利「わ、ホンマや!ありがとうございます!」
越知「・・・たまたま気づいたから声をかけただけだ。」
毛利「いや、でも、俺は気づかんかったし、月光さんの言う通り、そのまま歩いてたら転んでたかもしれんです。教えてくれてありがとうございます。」
越知「礼を言われる程の事ではない。」
毛利「月光さんは散歩中ですか?」
越知「ああ。」
毛利「このあたりでも散歩するんですね。」
越知「ここは人通りもさほど多くない。ゆっくり歩くのにちょうどいいからな。」
毛利「確かにそうですね。」
越知「もう少し先まで行けば見事な寒椿が見られるがお前は・・・」
毛利「はい。俺がどうしました?」
越知「いや、なんでもない。」
毛利「えっ、メッチャ気になるんですけど。」
越知「鼻の頭を赤くしている相手を引き留めてまで話すことではないだろう。」
毛利「うわ、ホンマですか!?確かに今日は寒いんでちょっと赤くなっとるかも・・・恥ず〜。」
越知「またの機会にな。それじゃ。」
毛利「はい、また後で。月光さんも冷える前にちゃんと帰ってきてくださいね。」

3.休日
毛利「月光さん!」
越知「・・・こんなところで、急に声をかけられるとは思わなかった。」
毛利「ちょっと用があって出かけとったんですけど、月光さん、背高いんで遠くからでもすぐ見つけられましたわ。」
越知「背が高いから遠目でもわかった?」
毛利「はい。俺もまあ、高い方ですけど月光さんほどではないですし。」
越知「そうか。お前に見つけやすいと思われるなら背が高いのも悪くない。」
毛利「へっ?」
越知「・・・いや、こちらの話だ。今日は買い物か?」
毛利「はい、お菓子作りの材料を買いに来とったんです。」
越知「お前は菓子作りもするんだな。」
毛利「まあ、こんな時期ですし、作ってみてもええかなーって。あ、月光さんはこのお菓子が好きとか嫌いとかあります?」
越知「・・・菓子の好き嫌い?特にはない。この答えで良かったのならいいが。」
毛利「了解です!ありがとうございます。」
越知「お前の話をもう少し聞いていたいが・・・」
毛利「俺は全然大丈夫ですよ。まだ時間ありますし。」
越知「あいにく、このあと予定が入っている。」
毛利「あー、そうなんですね。残念ですけど、まあ、合宿所で話せばええか。」
越知「また今度ゆっくり話そう。」
毛利「はい!じゃあ、また。」
越知「ではな。」

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毛利Side

1.昼
毛利「おーい!」
越知「毛利か。どうした?」
毛利「そこの店から出てくるんが見えたから、つい声かけてもうたわ。」
越知「なるほど。」
毛利「ん?手に持っとるその紙は・・・」
越知「ああ、スタンプラリーをやっているらしくてな。今しがた入った店で貰った。」
毛利「スタンプラリーのシート?」
越知「見てみるか?」
毛利「へぇ、対象の店で買い物してスタンプ集めたら、うさいぬのグッズもらえるんやね。」
越知「お前はスタンプラリーが好きだっただろう?やってみたらどうだ?」
毛利「ええ事聞いたわ。俺も早速スタンプシート貰ってこよ。ほなな。」
越知「ああ。俺も集めてみるつもりだが、お前も集められるとよいな。」

2.夕方
毛利「あ、また会うたね。」
越知「そうだな。今日は別々に行動しているのによく会うな。」
毛利「あれからスタンプラリーの調子はどうです?」
越知「ぼちぼちと言ったところだな。」
毛利「俺も始めてみたんやけど、結構いろんな店行かなアカンやないですか。」
越知「ああ。」
毛利「練習の合間やから全部は行けへんし、どこを回るんがええかな思て。」
越知「それであれば、屋台はどうだろうか。」
毛利「屋台って・・・あそこにあるキッチンカーみたいなやつ?」
越知「ああ。スタンプシートを見る限りでは対象に入っているらしい。」
毛利「対象に入ってたんや。あれなら手軽に回れそうやしええね。」
越知「役に立つ助言が出来たようだな。」
毛利「せや、もし良ければ今度一緒に・・・」
越知「何だ?」
毛利「・・・・・・」
越知「どうした?」
毛利「やっぱりええです。一緒に行けたら思たけど店の前でばったり会うんもオモロそうやし。」
越知「なるほどな。」
毛利「ほな、今日はもう行きますわ。また。」
越知「ああ、また後でな。」

3.休日
毛利「・・・ん?」
越知「奇遇だな。」
毛利「うわ、偶然ですね。急に背中叩かれたから驚きましたわ。」
越知「お前の後ろ姿を見つけてな。声をかける前に背中を叩いてしまった。」
毛利「今日もスタンプラリーしとるんですか?」
越知「ああ。この間1日では集めきれなかったからな。」
毛利「あ、もうシート埋まっとるんですね。ラストはどこの店にしたんです?」
越知「隣の通りのスイーツショップだ。」
毛利「スイーツショップ・・・。それって、もしかしてチョコレート――」
越知「・・・チョコレート?」
毛利「いや、なんでもないです!別になんも言いかけとらんから気にせんといてください。」
越知「お前はスタンプラリー、全部集まったのか?」
毛利「俺も、さっき行った店でスタンプ全部埋まりました。」
越知「よかったな。」
毛利「景品もろたら画像送りますわ。」
越知「ああ。まあ、俺も貰う予定ではあるが・・・」
毛利「・・・いや、もらえるんは2人とも一緒か。って事はお揃いですね。」
越知「そうだな。」
毛利「そう考えるとなんや嬉しくなってきましたわ。ほな、また。」
越知「またな。」

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大曲×種ヶ島

大曲Side

1.昼
大曲 「おう。偶然だし。」
種ヶ島「竜次やん。こんなとこで会えるとはなぁ。」
大曲 「あー、見かけたから声かけただけだ。急いでんだろ、行っていいぞ。」
種ヶ島「えー、別に急いでへんで。」
大曲 「早歩きしてたじゃねーか。つい呼び止めちまったけどよ。」
種ヶ島「いやー、買い物するんに待ち合わせしとってな。ちょーっと、出るの遅くなってしもて、ギリギリになりそうやねん。」
大曲 「待ち合わせギリギリ?なら、なおさら早く行け。」
種ヶ島「ちゃーい☆竜次とのお出かけはまた今度やな。」
大曲 「遅れたら俺のせいにすればいいし。じゃあよ、転ぶんじゃねーぞ。」
種ヶ島「ほいじゃ、またな。」

2.夕方
大曲 「おい。」
種ヶ島「あっ、竜次。」
大曲 「やっぱお前か。もっと早く声かけりゃ良かったし。」
種ヶ島「すぐに声かけたわけとちゃうん?」
大曲 「呼ぼうか迷って、しばらく後を追いかけちまった。」
種ヶ島「見かけたんなら、すぐに声かけてもらってええんやで。」
大曲 「なかなか確証持てなかったからよ。似た別人だったら気まずいだろ。」
種ヶ島「俺と似たようなヤツなんてそんなおらへんって。意外と慎重なんやな。」
大曲 「意外とは余計だし。追いかけたと言っても、ほんの数歩――」
種ヶ島「数歩?」
大曲 「いや数十歩か?逆に怪しかったかもしれねぇな・・・」
種ヶ島「そこまでして俺に声かけたってことは、何か用でもあったん?」
大曲 「いや用ってほどのことはねーんだが、見かけたら挨拶くらいしたいじゃねーか。」
種ヶ島「あはは、ほんなら、こんにちは☆」
大曲 「こんにちは、って・・・そういう挨拶をしたいわけじゃなかったんだが・・・」
種ヶ島「あれ?違った?」
大曲 「まあ、それはそれでいいし。会ってないことにしたくなかっただけだからよ。」
種ヶ島「竜次はホンマ律儀やなあ。」
大曲 「変に時間とらせちまっな。次があれば、すぐ声かけるわ。」
種ヶ島「そうしてもらえると、俺も嬉しいで☆」

3.休日
大曲 「おう。」
種ヶ島「あっ・・・」
大曲 「あっ、って何だよ。見つかりたくなかったみてーに。」
種ヶ島「別にそないなことあらへんで。てか、急に振り向くのずるいで。」
大曲 「ちょっと前から後つけてたろ。実は気づいてたんだけどな。」
種ヶ島「えー、そうなん?」
大曲 「声かけるのためらってんのかと思ってよ。こっちから声かけちまった。」
種ヶ島「せっかく驚かそうと思ってたのになー。」
大曲 「正直バレバレだったぞ。角曲がる時とか視界に入ってたからな。」
種ヶ島「はあー、残念。いけると思ったんやけど。」
大曲 「まあ、そういうチャレンジは嫌いじゃねーし。次はもっとうまくやれや。」
種ヶ島「ちゃーい☆ほんなら、次はバレんように頑張るで。」
大曲 「今日は・・・ああ、ショッピングモールで買い物か。すぐそこのだろ。」
種ヶ島「せやで。よう分かったな。」
大曲 「・・・ん?今その前を通って来たよな?」
種ヶ島「竜次を追いかけるのに夢中で通り過ぎてもうたわ。」
大曲 「追うのに夢中だったって・・・。そういうとこあるよな、お前。」
種ヶ島「まあ、まだ時間はあるから問題ないで。」
大曲 「じゃあ、そろそろ電車の時間だからよ。モールで迷子にならねーようにな。」
種ヶ島「あれ?竜次、もう帰るん?まあ、今日は一人で買い物したいからええか。ほな、また後でな。」

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種ヶ島Side

1.昼
種ヶ島「えぇ?なんで、おるん?」
大曲 「何だよ?俺がここにいちゃ悪いのか?」
種ヶ島「あーびっくりした。ここで巡り会う運命やったっちゅーことやな。」
大曲 「運命って・・・どんだけ大げさな表現だし。」
種ヶ島「大げさちゃうやろ。実際こないして会うてるんやし。」
大曲 「合宿所からの距離考えたら、別にそんなに珍しいことじゃねーし。せっかく会ったし、一緒にどこか行くか?」
種ヶ島「あー、せやけどこれから練習あんねん。格好見たらわかると思うんやけど。」
大曲 「いや、俺も一緒だし。今はその練習の合間の時間だろうが。」
種ヶ島「またの運命をお待ちしております。ほんならな。」
大曲 「運命言いたいだけじゃねーか。別に用事があるんだろ。じゃあ、後でな。」

2.夕方
種ヶ島「ちゃい☆今時間ある?」
大曲 「あぁ?」
種ヶ島「ははっ、怪しいヤツやと思たやろ。俺でした〜。」
大曲 「いや、最初の一言でお前なのは分かってたし。」
種ヶ島「え、最初の一言でバレとった?声色変えたつもりやってんけど・・・」
大曲 「声色も何もだろ。お前以外ありねーだろ。」
種ヶ島「せや、きっと以心伝心っちゅーやつやな。」
大曲 「以心伝心っつーかよ・・・ちゃい、のせいだろ。」
種ヶ島「あー、やっぱそっちやんな。つい言うてしまうんや。」
大曲 「まあ、お前の口癖みてぇなもんだからな。」
種ヶ島「せやけどそれでピンとくるんやったら、ある意味以心伝心やろ。・・・ちゃう?」
大曲 「勘弁しろし。」
種ヶ島「それで、こないな時間にどこ行くん?もうすぐ暗なってまうで。」
大曲 「どこ行くって、これから帰るとこなんだけどよ。」
種ヶ島「ああ。帰るとこやんな。それならええけど。」
大曲 「何だよ?帰るじゃなかったら、何か不都合なことでもあんのか?」
種ヶ島「怪しいヤツに声かけられても、スルーせなアカンで?」
大曲 「お前みてぇな?」
種ヶ島「俺みたいは余計やって。ほんならまたな。」
大曲 「おう。」

3.休日
種ヶ島「おっと、発見。通り過ぎてまうとこやったわ。」
大曲 「おう。偶然だな。」
種ヶ島「今日はなんとなーくジョギングコース変えてみたんやけど、正解やったな。」
大曲 「なんだよ、ジョギングの途中だったのか。」
種ヶ島「この辺、人通りが多いやろ?せやからいつもは避けるんやけど・・・」
大曲 「そうだな。ジョギングコースとしてはあんまり向かねぇかもな。」
種ヶ島「脳内で誰かが、駅に行け〜ってささやくねん。」
大曲 「フ、お前の好きな運命ってヤツじゃねーの?」
種ヶ島「あ、もしかして前に俺が言うたの覚えてた?『またの運命をお待ちしております』」
大曲 「まあな。まあ、ここで会ったのもそれじゃねーの?」
種ヶ島「ははっ、せやな。再びここで巡り会う運命やったのかもしれんな。」
大曲 「本当好きだな。そーいうの。」
種ヶ島「ところでどこ行くん?買い物?」
大曲 「まあ、そんなとこだし。」
種ヶ島「この時期買う必要あるもんと言えば・・・いや使い捨てカイロとかもそうやねんけど。」
大曲 「あぁ?別に使い捨てカイロは買う予定はねぇけどよ。」
種ヶ島「んー、まあええか。根掘り葉掘り聞くのもあれやし。」
大曲 「何の話だよ?」
種ヶ島「なんや迷ったら連絡してや。俺の味の好み?とか。ははっ。」
大曲 「味の好み?・・・まあ、考えといてやるよ。」

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君島×遠野

君島Side

1.昼
君島「こんにちは。」
遠野「なんだ、君島じゃねーか。」
君島「フフ・・・驚きましたか?私も見かけて驚きました。」
遠野「何でお前がこんなとこにいんだよ?」
君島「そこの店で買い物をしていたんです。仕事の差し入れにと思いまして。」
遠野「そこの店って、ケーキとか菓子が売ってる店だよなぁ?」
君島「ええ、すぐそこのパティスリーです。パンが美味しいんですよ。」
遠野「へぇ、パンも売ってるのか。」
君島「では、車を待たせているので行きますね。少しですが会えてよかったです。」
遠野「おう。せっかくだし、俺もちょっとそこの店寄ってみるか。」

2.夕方
君島「・・・?ああ、アナタでしたか。」
遠野「俺が声かけてやってるのに無視してやがるから、処刑してやろうかと思ったぜ。」
君島「ちょうど眼鏡を拭いていたタイミングだったので、気づくのが遅れました。」
遠野「ふーん。眼鏡外してるとそんなに見えねぇもんなのか?」
君島「そうですね。裸眼だと離れた場所にいる人の判別は少し難しいでしょうか。」
遠野「俺は目はいいから、その感覚はよく分からねーな。」
君島「これを機に、コンタクトを考えてもいいのかもしれないな。」
遠野「まあ、初めて会ったときはお前眼鏡してなかったし、コンタクトでもいいんじゃねーの?」
君島「フッ、まあどちらも似合ってしまうとは思うのですが・・・」
遠野「そうだろうな。」
君島「・・・冗談ですよ?真顔でうなずかれると、やや照れくさいですね。」
遠野「けど、最近のお前は仕事しててもずっと眼鏡じゃねぇか。そういうのって変えてもいいもんなのか?」
君島「今はテレビCMなんかも眼鏡で出ているので、眼鏡タレントの印象があるでしょうか。」
遠野「だよなぁ。」
君島「ですがコンタクトにしたらしたで、そちら方面のCMに出られるかも・・・」
遠野「それもありってことか。ま、俺はどっちでもいいと思うけどな。」
君島「なんて、可能性の話ですよ。誰にも言わないでくださいね?」
遠野「はぁ?別に誰かに話すつもりはねーけど、何でだよ?」
君島「噂はあっという間に広がりますから。ここだけの話ということでお願いします。」
遠野「それなら、それ相応の対価をもらわなくちゃだなぁ。期待してるぜ、君島。」

3.休日
君島「・・・こちらを熱心に見つめてくる方がいると思ったら、遠野くんでしたか。」
遠野「はあ?そんなに見つめてなんてねーし。ただ、いつもみてぇに名前呼んだらダメかと思ってよ。」
君島「周りに気づかれないよう、あえて名前を呼ばずにいてくれたんですね。素敵な配慮です。」
遠野「やっぱり気づかれたくはねぇんだな。」
君島「でも、こうして歩いていても案外気づかれないものなんですよ。」
遠野「へぇ、お前に気づかないなんて周りのヤツらもまだまだだな。」
君島「もちろん絶対ではないので、下手なことはできませんけどね。」
遠野「下手なこと?何だよ?例えば買い食いとかか?」
君島「フフ・・・、買い食いくらいならこっそりやることもありますよ。」
遠野「するのかよ。」
君島「食べるものは、多少選ぶかもしれません。一応イメージなどもありますしね。」
遠野「だったら、変装とかすればいいんじゃねーの?」
君島「・・・変装ですか?なるほど。その選択肢もあるにはありますが・・・」
遠野「何だよ?」
君島「どんな変装をしたとしても、内からにじみ出るオーラは誤魔化せないかもしれませんね。」
遠野「まあ、確かに君島は君島だもんな。」
君島「・・・アナタはすぐに素直に受け取るから、たまに反応に困るな。」
遠野「はぁ?何か不満でもあるのか?場合によっては、処刑しちゃうよ。」
君島「フフ・・・本当に困ってるわけじゃありませんよ。遠野くんはそのままでいてください。」

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遠野Side

1.昼
遠野「おい、なんか用かよ。さっきからチラチラこっちを見てたろ。」
君島「いえ、たまたま遠野くんを見かけたので、話しかけるかどうか迷っていただけです。」
遠野「話しかけようか迷ってた、だと?」
君島「ええ。」
遠野「別に迷う必要なんかねぇだろ。俺と話がしたいなら普通に声かけりゃいい。」
君島「遠野くんは下手に声をかけると、少々面倒・・・いや、なんでもないですよ。」
遠野「・・・ま、話の内容によっちゃ、お前を処刑しちまうかもだけどなぁ?」
君島「そういうところです。」
遠野「ひゃっひゃっひゃー!!」
君島(全く話を聞かないというかなんというか・・・まあ、いつものことなんですけどね。)

2.夕方
遠野「なぁ、同じ事を2度言わせんじゃねーぞ。」
君島「なんですか?藪から棒に。」
遠野「またこっちを見てただろ。話したいなら声かけてこいっての。」
君島「遠野くんに話しかけると、すぐに処刑だなんだ言ってくるじゃないですか。」
遠野「・・・俺に処刑されるかもしれないから迷った?それは内容によるって言ったはずだ。」
君島「どんな内容なら問題ないか、私には分かりかねるので。」
遠野「んじゃ俺とのトークタイム開始ぃ!お前がどんな話題を出すか楽しみだなぁ?」
君島「誰が話すと・・・ハァ、そうですね・・・今日は、いい天気でしたね。」
遠野「朝からずっと晴れてたせいか、血みたいに赤い夕焼けだな。見てるとテンション上がってくるぜ。」
君島「ああ、確かに今日は綺麗な夕焼けですね。気づきませんでした。」
遠野「お前もそう思うのかよ。なんだ、案外気が合うじゃねーか!」
君島(どうでもいい天気の話から、ここまで話が盛り上がるとは。遠野くん、トークの才能ありますね。)
遠野「随分長い事話したな。」
君島「そうですね。結局、処刑されずに済みましたし。」
遠野「・・・処刑されなくてよかった?実は何度か処刑してやりたくなったが・・・」
君島「おや、そうなんですか?」
遠野「お楽しみは先にとっておこうと思ってな。まだ泳がせておいてやるだけだ。」
君島「なるほど。まあ、私としてはそれなりに楽しかったので、話せてよかったですよ。」
遠野「クークックッ!またな!」
君島「確かにそろそろ帰った方がよい時間ですね。それではまた。」

3.休日
遠野「どうしたんだよ、いきなり走ってきやがって。」
君島「遠野くんを見かけたので、今日は迷わず声をかけてみたんですよ。」
遠野「今日は様子を伺わないで声をかけてみた?フン、少しは成長したじゃねーか。」
君島「それで、今日は遠野くんは何をしているんですか?」
遠野「・・・俺か?買い物中だったぜ。欲しいジャケットがあってよ。」
君島「買い物中でしたか。」
遠野「そういえばお前の今日の服・・・いつもとは印象が違って悪くねーな。」
君島「本当ですか?遠野くんにそんなこと言ってもらえるとは思えませんでした。」
遠野「お前に嘘ついたって仕方ねぇだろ。素直に受け取れ。」
君島「それもそうですね。」
遠野「フッ・・・ニヤニヤしやがって、随分と嬉しそうだなぁ?」
君島「センスのいい遠野くんに服を褒められるのは、素直に嬉しいですよ。買い物の邪魔しては悪いですし、私はもう行きますね。」
遠野「・・・そろそろ行く?わかった、じゃあな。」
君島「遠野くん。」
遠野「なんだ、まだ言いたい事あんのか?」
君島「この間も、今日も・・・遠野くんと話せてよかったです。少しの時間でも会えて、話せるのは嬉しいですね。」
遠野「・・・話せてよかったって・・・。ったく、調子のいいヤツだな。」
君島「おや、遠野くんも随分嬉しそうですが?」
遠野「まあ俺もお前のセンスをチェックしてやるいい機会にはなったぜ。そんじゃあな。」
君島「それじゃあ、また。帰ったら、今日買ったジャケット見せてくださいね。」

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