「いいな〜。」
テレビを見ながら、宍戸は呟く。跡部はそれを傍らで聞き、顔は向けずに何がいいのかと
尋ねた。
「今さ、テレビで温泉の特集やってんだけど広い風呂とかいろんな風呂があって、入って
みたいなあと思ってさ。」
「風呂ねぇ・・・。」
興味なさげに読んでいる雑誌のページをめくる。宍戸は聞いたくせに何だよという表情を
見せながら、またテレビに目を移す。しばらく沈黙があった後、跡部がポツリと言葉を漏
らした。
「そんなにいろんな風呂に入りたいか?」
「は?」
「だから、そんなに広い風呂やいろんな風呂に入りたいのかって聞いてんだよ。」
「あ、ああ。まあ、入れるものなら入りてぇな。」
いきなり何を言い出すんだと戸惑いながら、宍戸は返事をする。それを聞くと跡部は携帯
電話を手に取り、どこかに電話をし始めた。宍戸はそれをハテナを頭の上に浮かべたよう
な顔で眺める。
「じゃあ、そういうことだから。分かったな。」
「跡部、どこに電話してたんだ?」
「明日、入らせてやる。」
「はあ!?」
「入りてぇんだろ?いろんな風呂に。」
「そうだけど、明日学校だぜ。」
「一日くらい問題ねぇよ。それにもう電話しちまったしな。」
跡部が電話していたのは、跡部の家で経営している大きな温泉センターだ。温泉センター
といっても温泉だけがあるというわけではない。ミルク風呂やジャグジー、泡風呂など様
々な変わった風呂が完備されているのだ。宍戸の一言があっという間に実現されてしまう。
普段は年中無休なのだが、さっき電話をしたことで明日だけは貸し切りとなった。
「それマジで言ってんのか?」
「当然だろ?それともお前は俺様がせっかく気をきかせて行かせてやろうと思っているの
に断るってのか、アーン?」
「べ、別にそんなこと言ってねぇだろ!でも、本当にいいのか?迷惑じゃねぇ?」
「ああ。もともとうちのものだしな。たまには一日中風呂で遊ぶってのも楽しいんじゃね
ぇの?」
笑いながらそう言う跡部の顔を見て、宍戸も笑った。当然のことだが、跡部が何の下心も
なしにそんなことをするはずがない。しかし、宍戸はそんなことには全く気づいていない
のだった。
「うわあ・・・」
宍戸は跡部に連れて来られた建物を見て驚きを隠せない。想像以上に大きな建物で、二人
の貸し切りにしてしまうのはかなり気が引けるような代物だった。
「これ・・・マジで貸し切りにしちゃったのか?」
「ああ。気が済むまでいくらでも入れるぜ。」
「すげぇ・・・」
あまりの驚きに宍戸は感嘆の声しかあげることが出来ない。そんな宍戸を尻目に跡部はさ
っさとその建物の中に入っていく。宍戸もおいていかれまいとそのあとを追った。受付で
タオルをいくつかもらうとさらに奥へと進んでいく。五階建てのこの建物は階ごとに備え
付けられている風呂や種類が違い、三階あたりには軽食がとれる場所もある。二人はまず
二階にある温泉ゾーンに入ることにした。
「脱衣所も随分広いんだな。」
「まあな。一度に数十人は入れるぜ。」
「激広い・・・。あっ、それより跡部、タオルってやっぱ巻く?」
「あー、どっちでもいいんじゃねぇ。俺らしかいないんだし。」
「一応、初めは巻いておくか。」
別に巻かなくてもいいかと思いつつも念のため腰にタオルを巻く。跡部も宍戸が巻くのだ
ったらと、同じように巻いた。脱衣所を出て、大浴場へ入ると目の前にいくつかの大きな
浴槽が広がる。洋風なデザインのものもあれば、かなりの和風デザインなものもある。宍
戸はまず一番近くにあったそんなに大きくない風呂に入りたいと言った。
「跡部、まずこれに入る。」
「入る前に一応体とか洗った方がいいんじゃねぇの?」
「あっ、そっか。」
跡部に言われ、宍戸はテキパキと髪や体を洗い始める。洗い終えると跡部の手を引っ張り、
初めに目をつけた風呂に入った。
「うひゃあ、熱っちー。」
「温泉だったら、このくらいは普通だろ?」
「あー、でも、気持ちいいな。久々に温泉に入ったって感じ。」
「この湯は肩こり・打ち身・筋肉痛・腰痛とかにいいらしいぜ。お前はしょっちゅう打ち
身とか作ってるからちょうどいいんじゃねぇの?」
「へぇ、そうなんだ。ふぅ〜、それにしてもマジ熱いな。他のとこにも入りてぇんだけど、
いいか?」
「ああ。じゃあ、ここは出るか。」
あんまり入っているとのぼせてしまい、他のところに入れなくなってしまうので、早々に
出て次の風呂に移った。このゾーンの風呂を大体入り尽くすと二人は三階に上がる。いち
いち着たり脱いだりするのは面倒だということで、浴場からそのまま上へと上がることの
出来るエレベーターがついている。それに乗り、二人は軽く食事が出来ることも出来る三
階へと向かった。
「ここやけに涼しいな。」
「温泉は結構体温が上がるからな。ここでいったん休んで、それから上に行くぞ。」
「あれ?ここって何か食えるのか?」
「まあな。何か食いたいのか?」
「うーん、じゃあサンドイッチとか。」
「分かった。サンドイッチだな。俺はコーヒーとパンでも頼むか。」
たくさんの温泉に入って汗をかき、小腹が空いてきたので二人は軽く何かを食べようとそ
れぞれ食べたいものを頼む。裸のまま食べることになるが、頼んだ品は小さな食品用エレ
ベーターに乗って運ばれてくるので、何の気兼ねもなしにオーダーし食べることが出来る
のだ。
「来たぜ。お前も飲み物が必要だと思ってジュースを頼んでやったがよかったか?」
「ああ。サンキュー跡部。」
運ばれてきたサンドイッチやパンを食べ、食べながらコーヒーやジュースを飲む。ほどほ
どに満腹になって、宍戸は満足気な溜め息を漏らし、クスクスと笑った。
「何笑ってやがるんだ?」
「何かおかしくねぇ?こんな格好で普通にもの食うなんてあんまりないじゃん。」
確かに素っ裸で、こんなふうに二人でものを食べるというのはそうそう経験出来ることで
はない。宍戸にとってそれはとても新鮮で、楽しいことだったのだ。
「まあ、確かにな。さてと、もう少し休んだら上に行くぞ。」
「上ってどんな風呂があるんだ?」
「それはついてからのお楽しみだ。結構楽しめると思うぜ。」
食べてすぐに入るのはあまりよくないので、十分に食休みをとってから二人は一つ上の階
へと向かった。跡部は宍戸に教えてはいないが、上の階には温泉とはまた別のいろいろな
種類の風呂がある。今度のお湯は白や赤の色がついていたり、泡や香りが楽しめるものだ。
「おー、ここもすげぇいっぱい風呂がある。」
「こっちは温泉ほど極端に熱いってのはねぇな。少しぬるめの湯に長くつかるって感じだ。」
「へぇー。跡部、確か今日は貸し切りで俺達以外は誰もいねぇんだよな?」
「ああ。そうだけど、それがどうした?」
「じゃあ、もうタオルいいや。何か濡れちゃってはりついてくんのが、気持ち悪ぃんだよ
な。」
濡れるタオルがはりつくのが気持ちが悪いと宍戸は腰に巻いていたタオルを外してしまっ
た。一瞬、跡部はドキっとするが、この程度のことでそこまで動揺する跡部ではない。
「それじゃあ、俺もとっちまうか。」
「えっ!?」
「何でそんなに驚くんだよ?お前が外したんだから別に俺が外したって問題ねぇだろ。」
「そ、そうだけどよ・・・。」
跡部が外すのをまともに見れず、宍戸は軽く頬を赤く染めて目を泳がせる。そんな反応を
する宍戸がおもしろく可愛いなと思いつつ、跡部は一つの浴槽へ向かう。その浴槽には溢
れんばかりの泡が表面を覆っていた。
「まずは泡風呂あたりからいくか。」
「すげぇ!!泡だらけだこの風呂!!」
「入るとまたいい感じだぜ。ほら、入るぞ。」
「おう!!」
二人か三人が余裕で入れるくらいの大きさの浴槽に二人はそろって入った。入った瞬間キ
メの細かい泡が体中にくっついてくる。宍戸はそんな泡風呂の中で大はしゃぎだ。
「泡おもしれー!!体中泡だらけだ!」
宍戸は手に泡を乗せ、息を吹きかけ泡を飛ばす。宍戸は気づいていないがその飛ばした泡
が跡部の顔にかかっている。
「・・・・宍戸。」
「ほえ?どうした跡・・・」
泡だらけの顔をした跡部の顔を見て、宍戸は固まる。かなりご立腹の跡部はあからさまに
宍戸に泡をかけた。
「テメー、ケンカ売ってんのか?アーン?」
「ぶはっ!!そんないっぱいかけてねぇだろ!?」
「どっちだって同じだ。」
「くそー、だったらこっちだって。」
どちらも引かず、泡かけ合戦が始まった。髪も顔もつかってない部分も全て泡だらけにな
ってしまう。気が済むまでそんなことをしてると、何でこんなことをしたのか分からなく
なり、二人はお互いの顔を見て笑った。
「あはは、すっげぇ、跡部、頭まで泡だらけだ。」
「ふっ、テメーだって変わらないぜ。これじゃあ、他の風呂に入れねぇよ。シャワーで流
さないとな。」
遊びすぎて泡だらけになった体をシャワーで流すと二人は他のいろいろな風呂に入る。真
っ白なミルク風呂、よい香りのするはちみつ風呂、花びらが浮かぶバラ風呂やぶくぶくと
空気の泡が出るジャグジー風呂など様々な風呂を堪能したあと、二人は一番奥にある一際
大きな風呂に向かった。そこに溜められているお湯は鮮やかな赤で、フルーツのような花
のような不思議な香りが漂う。
「うわあ、何だコレ?激赤じゃん。」
「ワイン風呂だ。キレイな色だろ?」
「おう。いい匂いだな。ワインなのに全然酒くさくないし。」
「だろ?早く入ろうぜ。」
「ああ。」
真っ赤なお湯に足からつかる。温度はそんなに高くない。入った瞬間、香りがさらに鮮明
に感じられる。
「はあ〜、気持ちいいー。いいなこの風呂。」
「俺もこの風呂はお気に入りだ。この色も香りも好きだぜ。」
片手でお湯を汲み、指の間からこぼす。ほのかに微笑んでいる跡部の表情に宍戸はドキド
キだった。
「どうした?宍戸。赤くなって。この風呂そんなに熱くねぇからそう簡単にはのぼせねぇ
と思うけど。」
「お、お湯の色が映っちまってんだよ!!」
「ふーん。なあ、一応さ、ここの風呂ってコレで最後なんだよ。」
「だから?」
こんな状態で跡部がこのあとどういうことを言うかなど、宍戸にとっては分かりきってい
ることだ。だが、あえてそれに気づかないふりをしてみる。跡部はそのことに気づいてい
るのか気づいていないのか、宍戸にスッと近づき、腕を掴んだ。
「分かるだろ?」
「・・・・分かんねぇって言ったら?」
「嘘つけ。こんなに心臓バクバク言ってんのに分かんねぇわけがねぇだろ。」
風呂に入っているのだから当然何も着ていない。そんな状態で胸に手をあてられ、宍戸の
心臓はさらに高鳴った。のぼせているわけでもないのに、顔が紅潮してくるのが分かる。
跡部の左手が頬にあてられると、宍戸は無意識に目をつぶっていた。それを合意の合図だ
として跡部は唇を重ねる。ずっと風呂に入っていたために潤った唇は、柔らかくほのかな
甘さを帯びていた。
「ふ・・・ぁ・・・」
「何だよ宍戸。分かんねぇとか言いながら本当は期待してたんじゃねぇのか?」
「そ、そんなことね・・・んぅ・・・」
宍戸が抵抗しないのを嬉しく思いながら、跡部は何度も唇を重ねる。アルコールを含んだ
花のような香りと目に映る赤の所為で、宍戸もかなりそういう気分になっていた。跡部は
いったん宍戸を湯船に入るときの踏み台のような段差の部分に宍戸を座らせる。
「このぐらいの温度の風呂は半身浴もいいんだぜ。」
「な、何する気だよ?」
「別に。せっかくだから気持ちよくさせてやろうと思ってな。」
半身浴状態になった宍戸の上半身に跡部はキスを落としていく。首筋や鎖骨、胸の飾りな
ど感じやすい部分は念入りに口づける。くすぐったいような痛いような感覚に宍戸は耐え
切れず声を上げた。
「ん・・・あっ・・・」
「ミルク風呂とかはちみつ風呂に入った所為で、甘くなってるぜお前の体。」
「そ・・そんなわけあるか・・・!!」
「本当だぜ。この風呂の匂いも混ざってすげぇ美味い。」
好きなお菓子を食べているような表情で跡部は宍戸の顔を見る。軽く舌を出したその表情
は子供っぽくもあるが、それ以上にやらしさを帯びている。しばらく上半身を味わったあ
と、跡部は再び口へのキスを始め、フリーになっている手を使って赤い湯の中にある熱の
塊を弄り始めた。
「んっ・・・んん・・・ぁ・・・」
ビクビクと体を震わせながら、宍戸は跡部の首に腕を回す。自然に動いてしまう足と腰が
水面にパシャパシャと波を立たせた。跡部がキスをやめると宍戸は息を乱し、名残惜しそ
うな瞳で跡部の顔を見る。
「ハァ・・・跡部・・・」
「どうだ?こういうとこでやるのも悪くねぇだろ?」
「ん・・・やっぱ・・・恥ずかしい・・・」
「そう言ってるわりには、ここはしっかり俺の手の中で熱くなってきてるぜ。」
「やっ・・・ぁ・・・しょうがねぇだろっ・・・跡部が・・・触ってくるから・・・」
跡部が触るからこうなるんだと涙目で訴えられ、跡部はドキドキしながらも何となく嬉し
くて笑った。このまま一回くらいイカせてやろうかとも思ったが、一緒にイクのがいいの
ではないかと考えいったんそこで触るのをやめてしまう。
「宍戸、今日は水の中だし、慣らさなくてもたぶん平気だよな?」
「はあ!?・・・そんなの、無理!!」
「じゃあ、慣らすか?」
「・・・そのほうが・・俺はいい。」
それじゃあと跡部は宍戸を段差の部分に膝をつかせ、四つん這いに近いような格好をさせ
た。そのままの状態でこれから入れるべき場所を慣らし始める。お湯ですっかり濡れてい
る指はそこにすんなりと入っていった。
「くっ・・ぅん・・・」
「ちゃんと入るじゃねぇか。ホントこれなら少し慣らすくらいで大丈夫だな。」
「あっ・・・ぅ・・・跡部っ・・・」
「まだイクなよ。今日は俺と一緒にイクんだからな。」
「なっ・・・何勝手に決めて・・・はっ・・あん・・・」
文句を言おうにも跡部に触れられている部分から伝わる刺激が頭の中を占領して、うまく
言葉にならない。これ以上やられると達してしまうと宍戸は自ら跡部の手を止めた。
「も・・ヤバイ・・・だから・・・」
「ああ、そうだな。じゃあ、俺がここに座るからお前は俺の膝に座るような形で入れろよ
な。」
「・・・自分でやらなきゃダメなのかよ?」
「入れる時だけだ。あとは俺にまかせろ。」
「分かった・・・。」
お湯の中にある跡部の熱を宍戸は自ら自分の中へと入れた。思ったより楽に入ったため、
宍戸はホッとする。しかし、跡部が軽く体を揺すり始めるとあっという間にビリビリと電
気が走るように体中に快感が駆け巡って、頭の中が真っ白になってしまった。
「あっ・・・あ・・ぁん・・・やっ・・あぁ・・・・」
「水の中って抵抗が少なくていいよな。すげぇイイぜ。」
「やっ・・何か・・・繋がってるとこ・・・ジンジンする・・・」
「あー、多分アルコールの所為だろ。痛むか?」
「ううん・・・でも・・変な感じ・・・・熱いっつーか・・・溶けそう・・・」
「じゃあ、問題ねぇな。さてと、お前にはもっと俺様の美技を味わってもらうぜ。」
そう言いながら跡部は、触るのを止めていたそれに手を触れ、さっきよりももっと激しく
擦ったり、弄ったりを繰り返す。当然宍戸は跡部の美技に酔いまくりだ。浴場に響く声が
一段と大きくなると、跡部にも限界が近づく。一際水面に立つ波が大きくなると二人は同
時に熱を放った。
「跡部っ・・・!!」
「・・・・っ!!」
余韻に浸りながら、跡部はゆっくりと宍戸から自分を抜く。すっかり力が抜けてしまい腰
の立たない宍戸は、そのまま赤い湯船に身を預ける。そんな宍戸の体をしっかりと支えな
がら、跡部は湯船の壁に寄りかかった。
「大丈夫か、宍戸?」
「ハァ・・・ハァ・・・まあ、何とか。」
「落ち着くまで、少しこうしてるか。」
「おう・・・。」
肩に頭を置くような状態で宍戸は跡部に身を預け、呼吸を整える。跡部も宍戸の体をしっ
かり抱きながら、体が落ち着くのを待った。
風呂から上がり、軽く事後処理をしたあと、二人は五階へと向かう。バスタオルで体を拭
き、バスローブを羽織って向かった先はマッサージルーム。たくさんの風呂を堪能したあ
とのマッサージはまた格別だった。
「はあ〜、このマッサージ機最高だな。激気持ちイイ。寝ちゃいそう。」
「風呂入るのって結構体力使うからな。」
「でも、こんなとこで寝たら風邪引くよなー。跡部、ここベッドとかはねぇの?」
「さすがにベッドまではねぇよ。でも、そんなに眠いんだったら別にもう帰ってもいいぜ。」
「それって一人で帰れってことか?」
跡部の言い方がそんなニュアンスに聞こえたので、宍戸はむっとしたような表情をして跡
部を見た。跡部はそんなことは言ってないと呆れたように言い返す。
「誰もそんなことは言ってねぇだろ。マッサージはもう満足だろ。さっさと下行って着替
えて帰るぞ。」
「帰るって跡部んちに?」
「お前、明日も学校なのにうちに泊まるのか?ま、別に泊まりたいならいいけどよ。」
「あっ、そっか。」
「下に車を呼んであるから、送ってってやるよ。」
「おう。あんがとな。」
マッサージルームをあとにすると、またエレベーターで一気に一階に下りる。外に出ると
既に跡部の家の車が迎えにきていた。二人はそれに乗り、自宅へと向かう。相当疲れてし
まったのか宍戸は跡部の肩に頭を傾け、眠ってしまった。
「これで宍戸も満足だろ。ま、俺もかなり楽しめたし、たまにはこういうところに連れて
来てやるのも悪くねぇな。」
満足気な笑みを浮かべ、跡部はささやかな幸せをかみしめていた。宍戸もかなり満足そう
な表情で眠っている。たくさんの風呂は体だけでなく心の中まで温めてくれたようだ。
END.