想ひ歌 〜文次郎×伊作〜


 
 不運ゆえ 贈るべきもの こはれども
      君ぞ笑ひて うれしといひける 
善法寺 伊作
  (不運のせいで、君に贈ろうと思っていたものは割れてしまったが、
                 君は笑って、嬉しいと言ってくれた。)
 想ひこめ 君の贈るる ものなれば
       如何なるものも 心ときめく 
潮江 文次郎
  (お前が想いを込めて贈ってくれたものであるなら、
       壊れていようが割れていようが、どんなものでも嬉しいと思うぞ。)
 
「うう、出られない〜・・・おーい、誰かー!!」
「こんなところで何やってんだ?伊作。」
「文次郎!!落とし穴に落ちちゃって・・・意外と深くて出られないんだ。助けてくれない?」
「全く、いつも通り不運な奴だな。よっと・・・」
「ありがとう、文次郎。あっ!そうだ!!それからこれ・・・あー、やっぱ壊れてる;」
「何だ?」
「今日はばれんたいんっていうのだって聞いて、文次郎におせんべい用意したんだけど、
 さっき穴に落ちたときに粉々になっちゃった・・・」
「不運なのはいつものことだろ。ほら、くれるんだったらさっさと寄こせ。」
「えっ!?でも、こんなに粉々になっちゃってるよ。」
「俺にくれるために用意したんじゃねぇのかよ?」
「そうだけど・・・こんなのもらって嬉しいの?」
「そりゃ・・・好きな奴が何かくれるっつーんなら、どんなものだろうと嬉しいだろ。」
「文次郎・・・」
「お、俺の部屋に饅頭が二つ残ってるんだが、これから食べに来ねぇか?」
「うん!!行く!!」
(こんな顔見せられちゃ、プレゼントが壊れてるとか本当どうでもよくなるよなあ・・・)
 



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