夕食を食べ終えた跡部と宍戸はそのまま寝室に向かった。その部屋にはダブルサイズどこ
ろかキングサイズのベッドが置かれている。
「さあて、デザートを食べるとするか。」
その大きなベッドに宍戸を押し倒す。ふかふかで柔らかい布団なのでそうされても全く痛
くはない。
「亮、そのままじゃ食べれないぜ。」
「分かってるよ。俺はどっちでもいいぜ。自分で脱いでも景吾が脱がせても。」
「じゃあ、自分で脱げ。俺はちょっと取ってくるもんがあるからさ。」
「ああ。」
そう言って跡部は一度寝室から出て行った。宍戸はまさにこれからしますといわんばかり
に着ていたものを全て脱いでいく。
最近、景吾とするの楽しいんだよなー。気持ちイイし、愛されてるって感じするし。それ
にしても何取りに行ったんだろ?景吾の奴。
全裸になり、布団を軽くかぶりながら跡部を待つ。しばらくすると何かが入ったビンを持
って跡部は戻って来た。
「待たせたな。」
「何持って来たんだ?」
「これだよ。」
跡部が宍戸に見せたものは少し金色がかった透明なトロッとした液体だ。宍戸にはそれが
何だか分からず首をかしげながら跡部に尋ねた。
「何だよそれ?あっ、まさか変な薬じゃねぇだろうな。」
「違げーよ。今日、取り引き先の会社からもらったんだ。ただのハチミツだよ。」
「ハチミツ?」
「ああ。でも、買ったら結構高価な種類だぜ。」
「で、それをどうすんだよ?」
「どうするって使うに決まってんだろ。」
「はあ!?」
使うと言われてもどう使うのか宍戸は全く見当がつかない。まあ、跡部のことなのでろく
なことでないのは確かだ。服が汚れると跡部も宍戸と同じように服を全部脱いでしまった。
「じゃあ、始めるか。」
「ああ。」
まずは軽くキスを交わして、跡部は持ってきたハチミツの瓶の蓋を開ける。トロトロのハ
チミツをたっぷり指につけて宍戸の体のいたるところに塗りたくった。
「そんなことしたらベタベタしねぇ?」
「大丈夫だ。どうせほとんど俺が舐め取っちまうしな。」
「うあっ・・・あっ・・・」
ハチミツがつけられている部分を跡部は丁寧に舐めていく。耳から首筋に舌を這わせてい
くと宍戸はピクンっと反応して高い声を上げた。
「このハチミツなかなか美味いな。」
「いいなあ、俺にも少しくれよ。」
「もう少ししたらな。」
そう言って跡部は宍戸のいろんな部分をに口をつけてゆく。敏感な部分ばかりするので宍
戸の息はしだいに荒くなっていった。
「ハァ・・・あっ・・・景吾っ・・・・」
「ホントにデザート食ってるみてぇ。甘くて最高だぜ?」
「やっ・・・・あぁ・・・」
「今日はじっくり慣らすからな。覚悟しとけ。」
覚悟しとけってどういう意味だろ?じっくり慣らすんだったら別に痛いとかそういうこと
はないはずなのになあ。
熱くなっていく身体とは裏腹にまだ意識はしっかりしているので、こういうことを考える
余裕もあった。だが、下の方を慣らされ始めるとそんな余裕はだんだんとなくなっていく。
ハチミツを使って慣らされるのでいつもより簡単にソコは跡部の指を受け入れることがで
きた。
「う・・・くぅんっ・・・」
「ハチミツにはさあ、殺菌効果とか粘膜や皮膚の細胞を活性化させる作用があるらしいぜ。」
「あっ・・・だから・・・何だよ・・・」
「こういうことに使うにはもってこいだよな。」
「何・・だよ・・・・それ・・・やぁ・・・あんっ・・・」
話しながらも跡部はしっかりと指を動かしている。その上、胸についているハチミツを食
べ始めたので宍戸は相当感じていた。
「あっ・・はぁ・・・景吾・・・そんなにしたら・・・」
「そんなにしたらどうなるって?」
「出・・・ちゃう・・・」
その言葉を聞いて跡部は笑った。そして、今までしていた指の動きやハチミツを舐めとる
行為を突然止める。
「な・・・なんで・・止めちゃうんだよ・・・」
イキそうだったのにいきなり動きを止められ、宍戸は困惑した。嫌だとか言いながらもや
はりその瞬間は気持ちのよいものだ。そこまで達することができないので、中途半端な疼
きだけが身体に残る。
「言っただろ?じっくり慣らすって。」
「で・・でも・・・・」
宍戸が困っている顔を見ながら、跡部は楽しそうな表情でいったん後ろから指を抜いた。
そして、顔を足の間にうずめるような形で宍戸を見る。
「簡単にはイカせねぇよ。じらして、じらして、それからイカせてやる。」
ハチミツと指ですでにトロトロになっているソコにさらに追い打ちをかけるように跡部は
舌を這わせた。さっきとは違う感触が宍戸の身体を襲った。
「やっ・・・はぁん・・・あっ・・・けい・・ご・・・」
まるで肉食獣がエサを貪っているかのようにピチャピチャと音を立てながら、跡部は宍戸
の一番敏感なところを舐め続ける。その耳につく音と身体に走る甘い痺れから宍戸は再び
絶頂をむかえそうになる。
「あぁ・・・景吾っ・・・もう・・・・」
だが、跡部はまたそこで動きを止めてしまった。なので、宍戸はまた達することができな
い。イキそうなギリギリなとこまで来るのにイカせてもらえないという状態をこの後しば
らく宍戸は跡部に与えられた。
「けい・・・ごぉ・・・・もうそろそろ・・・ちゃんとイカせてくれよ・・・」
あまりの辛さに宍戸はもう限界。涙声になって跡部に懇願する。それでも跡部はまだそう
いう気はないともう十分に慣らされているソコに自分のモノを入れようともしない。切な
いくらいの身体の疼きから宍戸はもう跡部が欲しくてたまらなかった。
「本当に・・・もう・・限界・・・お願い・・・景吾・・・・・」
「そんなに俺が欲しいか?」
「うん・・・これ以上じらされたら・・・俺・・変になっちまうよ・・・」
「分かったよ。実を言うと俺も結構もうそろそろ限界だったんだよな。でも、変になるの
は入れられようが入れられまいが変わんないんじゃねぇの?」
足を抱え、跡部は宍戸の中に入った。さっき言ったように跡部もかなり余裕がなかったの
で一気に奥まで貫く。
「うあっ・・・ああっ・・・!!」
入れられた瞬間、今まで出すことのできなかった熱を宍戸は一気に放った。じらされてい
た分、その快感はいつもとは比べものにならないほど大きかった。
「ハァ・・・あっ・・・ふ・・・あぁ・・・・」
「どうだよ、亮?じらされた後イクのもなかなかのもんだろ?」
「ああ・・・最高・・・・」
「そうだ。もうそろそろお前にもハチミツ味見させてやるよ。」
蓋の開けっ放しの瓶に指を入れ、さっきと同じようにたっぷりとつけた。そして、宍戸に
あげるはずなのだが跡部は自分の口へと運ぶ。
「な・・・何で・・・お前が食うんだよ・・・」
宍戸は少し怒り気味に言った。跡部は口にハチミツを含みながらそのまま宍戸にキスをす
る。
「んぅ・・・んくっ・・・んん・・・んっ・・・」
口移しでハチミツを口に入れられ、宍戸を少し苦しそうに喉の奥で喘いだ。だが、あっと
いう間に口いっぱいに優しい甘さが広がって息苦しさはすぐに消えた。
「ん・・・んん・・・」
柔らかい甘さのハチミツの味と跡部のキスで宍戸はもうメロメロ。跡部が口を離すと満足
そうな表情で目をトローンとさせていた。
「な、美味いだろ?」
「ああ・・・すっげぇ・・・美味い・・・」
亮の奴、すっげぇ色っぽい顔してんよな。それに月明かりがいい感じに入ってきてキラキ
ラしてるし。
「今気づいたんだけどさ、お前の身体ハチミツが月に照らされててキラキラしてんぜ。」
「へぇ・・・うあっ・・・景・・吾・・・いきなり動くな・・・っ・・・」
「いいじゃねぇか。俺も早くイキてぇ。」
「あん・・・・だからって・・・こんな・・・・ふっ・・・ああ・・・」
自分も早く宍戸の中で達したいと跡部は少々激しく宍戸を攻める。宍戸も再び熱が上がっ
ていくのを感じていた。
「はぁっ・・・あっ・・・・あ・・あぁ・・・」
「お前と繋がってんと嫌なこと全部忘れちまう。」
「俺も・・・お前のことしか見えなくて・・・・すっげー幸せ・・・」
「愛してるぜ亮。お前は俺だけのもんだ。」
「ああ・・・俺も・・・景吾のこと・・・愛してる・・・」
「じゃあ、一緒に行こうぜ。俺達だけの桃源郷にな。」
そう言った瞬間、宍戸の身体が大きく震えた。跡部も宍戸を抱きしめながら快楽の高みに
達する。
「けい・・・ごっ・・・ああ――っ!!」
「くっ・・・亮っ・・・!!」
ほぼ同時に声を上げると、二人は呼吸を整えられないままベッドの布団の上に崩れ落ちた。
「うわあー、髪も体も激ベタベタだ。」
ハチミツの所為で体中ベタベタになってしまった二人はもう一度風呂に入ろうと考えてい
た。もちろんシーツもすっかり汚れてしまった。
「シーツも大分汚れちまったな。」
「ホント、ホント。洗うの大変そう。」
「何か体液で汚れてんだかハチミツで汚れてんだか分かんねぇな。」
「そ、そういうこと言うな!!」
あまりに率直な跡部の言葉に宍戸は恥かしくなり、跡部を怒鳴った。跡部はクックッと笑
いながらシーツを派手にベッドから外す。
「シーツを洗うのは明日にしてよ、さっさとシャワー浴びてきちまおうぜ。」
「そうだな。」
二人は再びシャワーを浴びようとバスルームへ向かった。簡単に体を洗い、ベタベタを全
て流す。あとは眠るだけなのでパジャマに着替えて寝室へ戻った。新しいシーツはまだ敷
かれていないので、まずはそれをやってから一緒に布団に入る。メインの照明は消し、枕
元のスタンドの灯りだけを灯す。
「真っ暗にした方がいいか?」
「ううん。このくらいの方がいい。そうじゃないと景吾の顔見えなくなっちまう。」
「そうか。明日も早い。もうそろそろ寝るか。」
「ああ。・・・なあ、景吾。」
「何だ?」
宍戸は跡部の頬に触れ、唇を重ねた。あまり宍戸からすることはないので跡部はうれしそ
うにその感触を楽しんだ。宍戸が唇を離すと跡部は優しく長い黒髪に手を絡める。
「どうした?亮。」
「まだハチミツの味するかなあと思って。」
「で、したのか?」
「少しだけな。なあ、もっと強く抱きしめてくれよ。」
背中の部分のパジャマをぎゅうっとつかみ、宍戸は甘えるように言った。
「甘えんぼうだなお前。」
「そんなことねーよ。でも、今はちょっと甘えたい気分かも。」
上目使いで跡部を見て、そっと胸に顔をうずめた。大人になってもこういうくせは変わら
ない。行為が終わって眠ろうとすると必ず跡部に甘える。跡部はそんな宍戸が大好きだっ
た。言われた通りにさっきよりも強く抱きしめると宍戸はほっとしたような吐息を漏らし
目を閉じた。
「おやすみ・・・景吾。」
「ああ。おやすみ。」
宍戸はすぐに眠りについた。だが、跡部はしばらく起きている。何度か髪を撫でたあと、
額にキスをし目をつぶる。
「まだ、ハチミツの匂い・・・残ってやがる。」
ほのかに香る甘い匂いを嗅ぎながら、跡部も夢の中へと落ちていった。
次の日、またいつものように一日が始まった。跡部を送り出すために外へ出るとたまた
ま忍足と滝に会う。
「じゃあ、いってくるぜ。」
「ああ。いってらっしゃい。」
「なあ、宍戸。」
「何だよ忍足?」
「何や自分甘い匂いせぇへん?」
「えっ!!」
「何かいつもより髪の毛もつやつやしてるし肌もキレイだよね。」
どうやら昨日のハチミツの効果で体にいろいろといい変化が出たらしい。すると、少し
歩いていた跡部が振り返って不敵に笑いながら言った。
「当然だろ?亮は俺のHoneyだぜ。」
その言葉を聞いて忍足と滝は唖然としたあと、大爆笑した。
「あははは、何それ跡部ー。」
「おい!景吾、何言ってんだよ!?」
「ホンマに跡部は言うこと違うなあ。おもしろすぎや。」
「そんなに笑うな!」
跡部にそう言われた恥かしさと忍足達に笑われた恥かしさが重なって、宍戸はみるみる
顔を赤く染めていった。跡部は笑って手を振り会社に向かう。
「あはは、じゃあな。行って来るぜ。」
「もうっ、余計なこと言うんじゃねぇ!!」
なんとも騒がしい朝だがこんなことは日常茶飯事。今日は一体どんなことが起こるので
あろうか?いずれにせよ楽しいことばかりだろう。
END.