忍足は夕飯を食べ終えるとシャワーを浴び、岳人の待つ寝室へと向かった。濡れている髪
の毛を乾かし、部屋のドアを開けた。
「侑士ー!」
忍足を見つけると岳人は飛びつく。そのまま手を引いてベッドのところまで連れて行った。
「何や、岳人。えらくご機嫌やな。」
「だって、これから侑士とイチャつけるんだぜ。楽しみじゃん!」
「せやなあ。ここなら邪魔するもんも何もないし始めるか?」
「おう!!」
岳人は思いっきり忍足に抱きつき、まずその感触を楽しんだ。そのあと、忍足の眼鏡を外
し、瞼にそっとキスをする。そして、岳人はなんとなく耳に手を触れた。思ったより柔ら
かくそのふにふにした感じが妙に気持ちよくて、無駄に触りまくってしまう。
「が、岳人、くすぐったい。」
「侑士の耳たぶすっげー柔らかい。」
「ちょっ・・・ホンマにやめてぇな。」
「やだよー。もしかして、侑士って耳も弱いの?」
それを確かめるために岳人は軽く忍足の耳を噛む。その瞬間、忍足の身体がビクッと反応
した。
「んっ・・・!」
「やっぱ、弱いんじゃん。おもしろいからもうちょっとやろう。」
「うあっ・・・やっ・・・岳人っ・・・」
耳が敏感な部分だと知った岳人は舌で舐めたり、手でくすぐったり、さっきのように甘噛
みしたりといろんな方法で忍足を鳴かせる。
「あっ・・・ああっ・・・」
「侑士、ココだけでそんなに感じててどうすんの。」
「そないなこと・・・言われてもぉ・・・」
「ココだけしててもおもしろくないから他のところもやるからな。」
トレーナータイプのパジャマの裾から手を入れる。その中で手を動かし、一番感じるとこ
ろを見つけるとそこばかりを攻める。座ったままの状態ではやりにくかったので、岳人は
いったん忍足を仰向けに倒した。
「こうした方がやりやすい。」
「どっちでもええけど・・・っ!!」
ある部分に触れると忍足は一段と高い声をあげた。
「あっ・・・あぁん・・・」
「やっぱりここも弱いんだな。でもさ、こっちの方が感じるだろ?」
楽しそうに笑いながら、利き手の左手を使いズボンを脱がして直接一番熱くなっている部
分を触る。右手は胸の突起を弄っているままなので忍足はシーツを掴み、与えられる快感
に必死で耐えた。だが、耐えられるはずがない。しばらく触られ続けているとあっという
間に忍足は達してしまった。
「やぁっ・・・ああ――っ!!」
手についた白い蜜を舐めると岳人は忍足を見て、からかうように笑う。
「侑士、早ーい。」
「うっ・・・しょうがないやん・・・・こればっかりは・・・」
「まあね。よし、次は入れる準備しなきゃ。」
「そないなこと・・・普通に言わんといて・・・・恥かしいやん・・・」
平気でそういうことを言う岳人に忍足は顔を赤くした。岳人は忍足の口に自分の指を持っ
ていった。
「何や・・・岳人・・・」
「舐めてよ。濡れてた方が慣らしやすいじゃん。」
「何で俺に・・・させるんや・・・・」
「いいじゃん別に。大丈夫。あとで俺も舐めるからさ。」
あとで俺も舐めるって・・・そっちの方が俺だけが舐めるより恥ずかしいやんか。まあ、
岳人だから許すけど・・・。
納得いかないなあと思いながらも忍足は素直に差し出された指を舐める。ある程度濡れる
と今度は自分の口に入れてさらに濡らす。
「サンキュー、侑士。」
「ハァ・・・」
ニコッと笑顔で岳人は今度は下の口に指を持っていった。
「ああっ・・・・あんっ・・・・」
「痛い?」
「全然・・・痛くは・・・ない・・・」
「よかった。ちゃんと慣らしてから入れるから安心してね。」
「う・・・ん・・・」
忍足が不安にならないようにと岳人は何度もキスを繰り返す。そのキスはとても甘くて下
から来る気持ちよさとはまた別の心地よさがあった。
「んんっ・・・・んぅ・・・んっ・・・」
「はぁ・・・侑士、もういい?」
「あ・・ああ・・・ええよ・・・」
「じゃあさ、一回起き上がってくれない?」
「別にええけど・・・」
岳人は一度忍足を起き上がらせた。そして、自分の足をまたがせ肩につかまらせる。
「俺も手伝うからさ、自分で入れられる?」
「う〜・・・多分・・・大丈夫やと思うけど・・・」
忍足はなんとか自分で腰を下ろせた。少しずつだが確実に岳人のモノが自分の中に入って
いく。
「慌てなくていいよ、侑士。ゆっくりで。」
「んん・・・あぁっ・・・」
「いいよ。侑士の中、すっごく気持ちイイ・・・」
「あっ・・・はぁんっ・・・岳人ぉ・・・・」
「うあっ・・・すごい・・・全部入った。」
「くっ・・・ハァ・・・あっ・・・んん・・・」
岳人のモノが全部入ると忍足は思いっきり岳人にしがみつく。腕を背中に回し、パッショ
ンピンクの髪を掴み、服を握った。
「ああっ・・・がく・・とぉ・・・」
「侑士、俺ね結構身長伸びたんだよ。」
「・・・んんっ・・・」
「腕にも力ついたんだ。中学校のころとは比べものにならないくらい・・・。」
「ハァ・・・あっ・・・」
「だからね、今なら侑士のこと少し力を入れれば持ち上げられるんだよ。」
「・・・・・っ!!」
そう言うと岳人は忍足の足を掴み、軽く持ち上げた。そして、そのまま下にさげる。
「うあっ・・・ああっ・・・」
「くっ・・・」
思った以上の衝撃で岳人も思わず声を上げた。忍足はそれ以上に感じている。
「やっ・・・がくと・・・・俺・・もう・・・溶けそうや・・・」
「溶けちゃいなよ。一緒に溶けて一つになっちまおうぜ。」
「んくっ・・・あっ・・・もう・・・アカンっ・・・」
忍足の腕に力がこもった。それと同時に岳人も忍足のことをさらに強く抱きしめる。忍足
の鼓動が岳人のものと重なると二人は声を上げ、お互いの熱を絡ませた。
「侑士っ・・・!!」
「あっ・・・ああ――っ・・・がく・・・とぉ・・・!!」
ドキドキとした感覚とふわふわと体が浮くような感覚が二人を包み込んだ・・・。
「大丈夫?侑士。」
「んー、大丈夫やで。」
シャワーを浴び直し、布団に入りなおす。適度な疲労感と満足感がどちらにも心地よさを
生んでいた。
「やっぱ、疲れるよな、コレやると。」
「せやなあ。明日、大丈夫かいな?」
「当然。それだったら侑士の方が疲れてるだろ?」
「俺は平気やで。だって、岳人のこと大好きやからな。」
「うれしいぜ、侑士!」
照れながら忍足が言うと岳人はぎゅうっと忍足を抱きしめる。
「岳人、そないにしたら苦しい。」
「ゴメーン。うれしいからつい。」
「それにしても、ホンマに岳人身長伸びたなあ。」
「でしょ?侑士に追いつくってのはできなかったけどさ、差は結構縮まったと思うぜ。」
実際、中学の時には20センチも差があった身長差も今では10センチ程度に縮まった。
全身を使うアクロバティックなプレイスタイルが身長を伸ばす手助けをしたのだろう。
「でも、この身長差は俺気に入ってるんだぜ。」
「何でや?」
「俺な、侑士のその伏せた目好きなんだ。もちろん上目使いも好きなんだけど。」
「そうか。俺も岳人のその上向き加減の目好きやで。特に下からキスされる瞬間とか好き
やな。」
「本当?」
首を傾げて聞き返す岳人の顔はさっき忍足を攻めていた顔つきとは全く違う。そんな岳人
に忍足はドキドキさせられっぱなしだった。うれしそうにニコッと笑って岳人は忍足に口
づけをする。
チュッ
本当に軽いキスだったが忍足にとってはとても癒されるものだった。ふぅっと溜め息をつ
いて忍足は枕に突っ伏す。
「もう寝るの?」
「ああ。明日寝坊したらアカンからな。」
「そうだね。じゃあ、俺も寝よーっと。」
「オヤスミ、岳人。」
「うん。オヤスミ。」
やはり疲れていたのか目を閉じると二人ともすぐに眠ってしまった。その寝顔は大人にな
ってもまだ幼さが残っている。どちらも幸せいっぱいの夢を見るのであろう。
「いってきまーす!!」
今日もいつものように元気いっぱいで岳人は家を飛び出す。昨日の疲れはすっかりとれて
いるようだ。
「いってらっしゃい。せや、今日は燃えるゴミの日やったな。」
岳人を送り出すと今日がゴミの日であることを思い出し、忍足は台所や部屋のゴミを一つ
にまとめて、外に持って行った。岳人はまだ見えるところにいるので振り返り忍足に向か
って大きく手を振る。
岳人は朝から元気やなあ。俺も見習わんとな。あれ?宍戸とか滝も今日は外に出て来とる
んやな。
「おはようさん、滝。」
「ああ、おはよう忍足。」
「今日は何で外にいるん?」
「なんとなくだよ。忍足は?」
「今日はゴミの日やからな。出しに来たんや。」
「そっか。忘れてた。あとで出さなきゃ。」
滝は今日がゴミの日だということを忘れていた。毎日主婦は大変だ。宍戸は跡部を送り出
している最中だ。
「あっ、おはよう滝、忍足。」
『おはよう、宍戸。』
「じゃあ、いってくるぜ。」
「ああ、いってらっしゃい。」
隣で跡部に手を振る宍戸から何か甘い匂いが香ってくるのを忍足は感じた。
「なあ、宍戸。」
「何だよ忍足?」
「何や自分甘い匂いせぇへん?」
「えっ・・・!?」
滝も宍戸についてあることに気がついた。
「何かいつもより髪の毛もつやつやしてるし肌もキレイだよね。」
このセリフを聞いたあと跡部が放ったセリフに忍足も滝も大爆笑。どうしてそんなくさい
ことが言えるのかと不思議でたまらない。それを聞いた宍戸のリアクションもなかなかお
もしろいものだった。跡部達が行った後、残った三人は笑いながら話す。
「宍戸、そんなに怒ったふりしとるけどホンマは跡部にああいうこと言われてうれしいん
やろ?」
「なっ!?違ぇーよ!!」
「赤くなっちゃって。はあー、今日は何しようかなあ。」
「俺はデパートに行くつもりだけどな。」
「何でや?」
「内緒。」
「えー、何だよー、教えろよ宍戸。」
「やだねー。」
「あっ、それじゃあ、俺もデパート行こう。」
「じゃあ、俺も。宍戸が何するんか知りたいもんな。」
「来んな!」
宍戸の秘密は何だか知らないが三人は今日も仲良くお出かけするようだ。何だかんだいっ
てこの三人はとても仲がよいのである。
END.