ぽかぽかホリデー 〜夜の巻〜

庭にある露天風呂を堪能し、豪華な夕食を楽しむと、君島と遠野はまったりと部屋で休む。
いい時間になると、君島は布団を出すことを提案する。
「そろそろ布団を敷きますか。」
「あー、そうだな。」
合宿所にいるときの消灯時間よりはまだ早い時間だが、いつでも寝れるようにしておきた
いと考えてのことだ。高級旅館ということもあり、布団を出してみると、敷布団も掛布団
もかなり高級そうな感じであった。そんな布団の上に腰を下ろして、遠野は合宿所の布団
とは一味違うなといった感想を持つ。
「何か布団もすげぇな。」
「ぐっすり眠れそうじゃないですか。」
「もう寝るつもりかよ?」
「まさか。まだ夜は始まったばかりですよ?」
意味ありげな笑みを浮かべ、そんなことを言う君島に遠野はドキッとしてしまう。露天風
呂から上がったときに言われた言葉を思い出し、何となく顔が熱くなってくる。
「どうしました?遠野くん。」
「はぁ?別に何でもねぇよ。」
「少し顔が赤いようですが。温泉に入ってからはもうだいぶ経っていますし、のぼせてい
るというわけではないですよね?」
遠野がそわそわしていることに気づき、君島は遠野の目の前に座り、頬に触れる。君島に
触れられ、遠野の鼓動はさらに速くなる。
「な、何でもねぇって言ってるだろうが!つーか、勝手に触るな!」
「勝手にさわるのはダメなんですね。では、触れますよ、遠野くん。」
「っ!!」
恥ずかしさから怒る遠野に少しも怯みもせず、そんなことを言いながら君島はちゅっと触
れるだけのキスをする。顔を離せば、手の甲で口を覆い、耳まで真っ赤になり君島を見る。
そんな反応をする遠野が可愛くて仕方ないと、君島はさらに触れたくなってしまう。
「手で口を隠されたら、キス出来ないじゃないですか。」
「そんなこと言われてもよ・・・」
「そんなに嫌ならしませんよ。どうなんです?遠野くん。」
「う・・・」
恥ずかしいは恥ずかしいのだが、嫌か嫌ではないかと尋ねられれば嫌ではない。おずおず
と口から手を離し、君島から目をそらすようにうつむいた。
「それはしてもよいということですね?」
「好きにすればいいだろ。」
ぶっきらぼうにそう答える遠野に君島の胸は高鳴る。うつむいている遠野の顔を上げさせ
ると、君島は先程よりももっと深く濃厚な口づけを施す。唇が重なり、熱く赤い舌が絡み
合う。ぬるりとした感触に遠野の身体はゾクリと震える。
「んんっ・・・ふぅ・・・」
そんな遠野の反応を楽しみながら、君島はしばらく唇を重ねたままでいた。長く甘い口づ
けに満足すると、君島はゆっくりと遠野から離れる。長い口づけから解放された遠野の顔
は先程よりも赤く染まり、肩で大きく呼吸をしながら蕩けたような表情になっていた。
「ハァ・・・君島ぁ・・・」
「とてもいい顔をしてますね。ところで遠野くん。」
「何だよ・・・?」
「この続き、してもよいですか?無理矢理はしたくないので。」
「さっきも言ったけどよ・・・好きにすればいい。」
「それなら、お言葉に甘えて。」
遠野からの許しがもらえたので、君島はニヤリと笑って遠野の浴衣の帯をほどく。浴衣の
前が開き、遠野の肌があらわになる。そんな遠野の姿にゾクゾクしながら、君島はほどい
た帯を使って、遠野の両手首を後ろ手に縛る。
「ちょっ・・・何しやがる!!」
「おや、遠野くんはこういうのが好きかと思いまして。」
「はぁ!?そんなこと言った覚えはねぇ!!」
「今日は、どんな処刑法がいいですか?」
身動きの取れなくなっている遠野の耳元で君島はそんなことを囁く。その一言で遠野の鼓
動は跳ね上がり、ゾクゾクと身体の奥が痺れるのを感じる。
「何でお前が処刑する側なんだよ。処刑人は俺だ!」
「この状況でそんなこと言えるなんてさすがですね。でも、これ以上は文句は言わせませ
んよ?」
「どういう意味っ・・・!!」
言葉を言い終える前に、遠野の口は君島の首にかけられていた手拭いで塞がれる。遠野の
猿轡姿を見て、君島はニッコリ笑う。
「やっぱり似合いますね、遠野くん。」
「んーっ!!」
「さあ、処刑の始まりですよ。」
まるで遠野が言うようなセリフを君島は口にする。身動きがとれず、言葉も発せられない
状況、そして、君島のそんな言葉。そんな状況に遠野はひどく興奮してしまう。
「まだ何もしていないのに、随分反応してるじゃないですか。」
「んんっ・・・うぅ・・・」
浴衣が開かれ、露わになっている下肢を見て、君島はそんなことを呟く。恥ずかしさから
遠野のそれは余計に反応してしまう。
「ふふ、遠野くんの身体は言葉と違ってとても素直ですね。」
つつっと胸のラインを指でなぞると、遠野の身体はビクンと震える。
「んぅっ・・・!」
「このあたりを責めるのは、ブレスト・リッパーでしたっけ?ああ、でも、こんなに平で
はあまり意味ないですよね。代わりにココを弄って差し上げますよ。」
「んっ・・・う・・んんっ・・・!!」
処刑具の名前を出しつつ、君島はその唇と指先で遠野の胸の突起を責める。抵抗すること
も拒否する言葉を上げることも叶わない。君島にされるがままに、遠野は言葉にならない
声を上げる。
(くそ、君島の奴、好き勝手しやがって・・・けど、それが別に嫌じゃねぇってのが腹立
つな。)
心の中でそんな文句を言いつつ、遠野は布越しに熱い息を吐く。敏感な突起は君島に弄ば
れるたびに、ジンジンと甘く痺れ、遠野の身体を熱くさせる。
「ふっ・・・んんっ・・・うぅ・・・」
布越しでも遠野が甘い声を漏らしていることはよく分かるので、君島はその声を聞いてと
ても良い気分になる。このまま胸を責めるのもよいが、もう少しあからさまな反応が見た
いのと自身も気持ちよくなりたいという思いから、別の部分を弄ることにする。こっそり
持ってきたローションを荷物の中から出してくると、遠野にそれを見せつけるようにして
手に垂らす。
「せっかくなので、今日は長く繋がっていたいですよね。」
「んん・・・」
「なので、ココをしっかりほぐしてあげますよ。ああ、処刑と関連させるならユダの揺り
籠かスペインのロバなど想像していたらいいんじゃないですか?」
そう言いながら君島は遠野の蕾を慣らし始める。ローションのおかげでそれほど痛くはな
いのだが、君島の放った『ユダの揺り籠』『スペインのロバ』という言葉が耳に残り、そ
れらで責められているのを何となく想像してしまう。
「うっ・・・ん・・・んんっ・・・ふっ・・・ぅ・・・・!!」
「随分とよさそうですね。まさか本当に処刑具を想像して感じてるんですか?」
「んんっ・・・」
ふるふると首を振る遠野だが、それが嘘であることを君島は分かっていた。一際奥まで指
を挿入すれば、遠野の身体はビクンと震え、布越しの声が大きくなる。
「ふっ・・・ぁ・・・んんんっ・・・!!」
「本当に可愛いですよ、遠野くん。」
遠野の反応に胸を高鳴らせながら、君島は口元を緩ませる。そんな君島を紅潮した顔で荒
い呼吸を吐き、潤んだ瞳で遠野は睨む。その表情がたまらないと、君島はさらに興奮する。
布越しの声も魅力的だが、そろそろそうではない遠野の声が聞きたいと、君島は遠野の猿
轡を外す。
「ふはっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「次の処刑では、いい声を聞かせてください。」
「次の処刑って・・・何だよ?」
「そうですねぇ・・・『串刺し』ですかね?」
そう言いながら、君島は慣らすのを止め、遠野の身体を反転させる。うつ伏せのような状
態にされるが、手は後ろ手に縛られたままのため、布団に手をつくことは出来ない。
「遠野くん、膝をついて腰を上げてください。」
「・・・・・。」
「いい子ですね。それじゃあ、挿れますよ。」
君島の愛撫ですっかりその気になっている遠野は文句も言わず、君島の言う通りの体勢に
なる。遠野の腰を掴むと、君島は大きな楔を遠野の双丘の中心に突き刺した。
「んあっ・・・ああぁっ・・・・!!」
「ハァ・・・どうですか?串刺しにされた気分は。」
「あっ・・・串刺しとかっ・・・言うな・・・・」
「だいぶ近いと思いますけどね。」
「るせ・・・んんっ・・・ああっ・・・!」
出てくる言葉は素直ではないが、あからさまに感じているような反応を示すので、君島は
容赦なく遠野の中を責める。
「あっ・・・あ・・ん・・・君島ぁ・・・」
「猿轡越しの声も素敵でしたが、ハッキリ名前を呼ばれるのも悪くないですね。」
「ハァ・・・君島っ・・・も・・・ヤバイ・・・」
「いいですよ。イキたいのでしょう?」
イキたいのならイカせてやろうと、君島は遠野の奥を突きながら、その身を前に倒し、遠
野の身体の横に手をつく。
「ああっ・・・あああぁ―――っ!!」
最奥で君島を感じながら、遠野は果てる。しかし、君島は遠野が達したからといって、そ
の動きを止めようとはしなかった。
「ひあっ・・・やっ・・・君島っ・・・うあっ・・・!!」
「私はまだイってないですからね。」
「ダメっ・・・イッてるのにっ・・・ひぅっ・・・そんな動かれたらぁ・・・」
「ハァ・・・遠野くんの中、ビクビクしていてとても気持ちいいですよ。」
「んっ・・あ・・・ああっ・・・ああぁ――っ!!」
一番感じている状態でさらに激しく責められ、遠野は甘い悲鳴を上げる。遠野の中の心地
よさと遠野の反応に君島の熱も高まっていく。
「遠野くん、あなたの中でイカせてもらいますよ。」
「んんっ・・・あっ・・・君島、君島ぁ・・・・っ!!」
「・・・・っ!!」
ドクンドクンと自分の中で君島が果てるのを感じ、遠野も再び達する。絶頂の余韻に恍惚
としていると、熱い吐息に混じって囁かれる愛の言葉。自分だけが聞ける君島の言葉に遠
野はほんの少しの優越感を感じながら、うっとりと目を閉じた。

後始末をし、もう一度外にある露天風呂で汗を流すと、君島と遠野は一つの布団に枕を二
つ並べ、横になっていた。
「普段は違う部屋で眠っているのに、こんなに近くで寝ているのは少し変な感じですね。」
「あんなことしといて、言うことかよ。」
「体を重ねているときの遠野くんは、本当に可愛らしくて綺麗で、とても魅力的ですよ。」
さらっとそんなことを言ってくる君島に遠野は軽く顔を染める。
「そんなこと言われたって嬉しくねぇんだよ。あ、でも・・・」
「何です?」
「お前があんなに処刑法をちゃんと覚えていたのにはちょっと感心したぜ。」
「まあ、嫌と言うほど聞かされてますからね。それに遠野くんは処刑法を出せば、興奮す
るじゃないですか。」
「そ、そんなことねぇ!!」
「図星だからそんなに全力で否定するのでしょう?」
「うるせぇな!違うったら違うんだよ!」
君島の言うことが間違ってはいないので、遠野は恥ずかしくなり君島に背を向け布団をか
ぶる。
「冗談ですよ。遠野くん。せっかく二人で眠るのに、背を向けられたら寂しいじゃないで
すか。」
「・・・・・。」
「遠野くーん。」
自分ばかりドキドキしているようで腹が立つと、遠野はしばらく黙っていたが、ふと思い
立ってぐるりと君島の方を向き、浴衣の襟を掴むと君島にキスをする。
「ふん、みんなのキミ様にキスしてやったぜ。こんなこと出来んのは俺だけだからな。」
予想外に可愛いことをする遠野に、君島はドキドキしながら顔を緩ませる。
「表向きは欲しいものはみんなの愛とか言っていますけど、私の本当に欲しいものは何だ
と思います?」
「さあな。そんなもん知らねぇよ。」
唐突な君島の質問に遠野はそう答える。少し間を置いた後、君島は言葉を続けた。
「スリルのある秘密の恋・・・なんて素敵だと思うんですけどね。」
「それが欲しいものなのか?そんなのもう手に入ってるじゃねぇか。」
君島の言葉に遠野はニヤリと笑ってそう返す。そして、君島の肩に頭を預けながら、ボソ
っと呟いた。
「好きだぜ、君島。」
その一言に君島の心臓はドキンと跳ねる。君島が動揺しているのを察して、遠野は嬉しく
なる。
「ほらな。」
「まったく、あなたには敵いませんね。」
嫌いな部分もあるが、圧倒的に好きな気持ちが大きいと君島は遠野に対する気持ちを再確
認させられる。触れ合うほどに近い距離のまま、二人はしばらく秘密の恋ゆえの胸のとき
めきを楽しんだ。

甘いフルーツとミルクの味がするキスを何度も重ね、大曲と種ヶ島はだんだんと気分が高
まっていく。キスをしながら大曲は種ヶ島の浴衣の帯をほどき、浴衣がはだけたところか
ら手を差し入れて褐色の肌に触れる。
「んっ・・・ぅ・・・」
大曲に触れられ、種ヶ島はピクンと身体を震わせる。脇腹や胸など種ヶ島の弱い部分に指
を滑らせると、種ヶ島の反応はより大きくなった。顔をしっかりと見たいと唇を離すと、
すっかり上気した顔で種ヶ島は大曲を見る。
「ハァ・・・竜次ぃ・・・」
「やらしい顔。」
「竜次のせいやで。」
「まあ、お前のそういう顔、嫌いじゃねぇし。」
「嫌いじゃないっちゅーことは・・・?」
別の言葉に言い換えさせようと、種ヶ島はそんなことを言う。何を言わせたいか察した大
曲は、ふっと笑いながら種ヶ島の期待している言葉を言ってやる。
「お前のそういう顔、好きだし。」
その言葉を聞いて、種ヶ島の胸はきゅーんとときめく。
「竜次に好きって言われるの・・・メッチャたまらんな。」
「そうかよ。ま、ココもこんなになってるしな。この言葉に嘘はなさそうだし。」
下着を押し上げているそれ見て、大曲は呟く。中にあるそれが少し苦しそうだと、種ヶ島
の下着を大曲は脱がした。
「わー、竜次のエッチぃ。」
「はあ?それはどっちだし?そんなこと言ってると、これ食っちまうぞ。」
「えっ・・・!?わっ・・・ちょい待ち・・・ひゃっ・・あ・・・!!」
すっかり勃ち上がっている種ヶ島の熱を大曲はパクっと口に含む。直接的な刺激に種ヶ島
はビクッとその身を震わせる。
「んんっ・・・やっ・・・竜次ぃ・・・・」
先程までの余裕を失った甘い声。耳に心地よいその声を聞きながら、大曲は丁寧且つ大胆
に口の中の熱を責める。
(竜次に口でされるの、メッチャ気持ちええ・・・ホンマ竜次にはキュンキュンさせられ
っぱなしや・・・)
「ハァ・・・うあっ・・・あ・・ん・・・・」
素直に感じるような反応を見せる種ヶ島に大曲は気をよくする。ついでなので、後ろも慣
らしてやろうと、軽く指を濡らし、大曲は今口で咥えているものより少し下の方にある穴
にその指を入れる。
「ひっ・・あっ・・・!!」
ビクンと震える足を押さえつつ、大曲はその口と指で種ヶ島の感じやすい部分を同時に弄
る。下肢全体が蕩けるような快感に包まれ、種ヶ島は堪えきれない声を上げる。
「あっ・・んんっ・・・竜次っ・・・ああっ・・・」
だんだんと大きくなる反応に、大曲は種ヶ島がそろそろイキそうであることを悟る。だっ
たらすぐにでもイカせてやろうと、大曲はじゅっと音がなりそうなほどに種ヶ島の熱を強
く吸い、少し奥まで指を入れる。
「―――っ!!」
あまりの快感に声にならない悲鳴を上げ、種ヶ島は大曲の口の中に濃い蜜を溢れさせ、中
にある指をぎゅうぎゅうと締めつける。
「あっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「随分と派手にイったじゃねぇか。」
唇についた種ヶ島の雫を舐め、親指で拭うと、大曲はニヤリと笑って種ヶ島を見る。そん
な大曲にドキドキしながら、種ヶ島は体を起こす。そして、大曲にちゅっと軽くキスをし、
大曲の体を押し倒した。
「何だし?」
「今度は俺が竜次を気持ちよくさせる番やで☆」
「何するつもりだ?」
「そんなん決まってるやん。こうするんやで。」
大曲の浴衣の帯をほどき、下着から既に大きくなっている熱の塊を出す。浴衣の裾を上げ
ながら、大曲の体を跨ぐ。そして、大曲の熱を自分の中へと挿れるように腰を落とした。
「あっ・・・んんっ・・・・」
「少し急ぎすぎてねぇか・・・?」
「ん・・・だいじょーぶ・・・・」
「それならいいけどよ。」
感覚的には大丈夫そうだと思っていたが、念のため種ヶ島に尋ねる。種ヶ島の口から大丈
夫だという言葉を聞いて、まだ最後まで入りきっていないそれを下から突き上げるように
して、奥まで挿入する。
「ひあっ・・・あんっ・・・!」
大曲のモノが奥まで入る感覚に種ヶ島は身体の内側から言葉では言い表すことの出来ない
心地よさを感じる。もっと大曲を感じていたいと、種ヶ島はゆるゆると腰を動かし始める。
「そんな緩い動きでいいのかよ?」
「んっ・・・だって、竜次のが入ってるだけで・・・・メッチャ気持ちイイから・・・」
「けど、ちゃんと動かした方がもっと気持ちイイだろ?」
そんな動きでは物足りないと言わんばかりに、大曲は種ヶ島が動くのを手伝う。下から突
き上げるたび、ビクビクとその身を痙攣させ、とろけたような声を漏らす。そんな種ヶ島
を見上げながら、大曲は身体を繋げている心地よさに浸る。
(すげぇ気持ちいいし、浴衣が着乱れてるのもエロい声も顔も、どれも最高だし。本当い
い眺めだし。)
「はっ・・・あ・・・竜次ぃ・・・・」
「どうしたよ?」
「この位置から見る竜次・・・浴衣はだけてんのがメッチャやらしくて、エッチな顔して
て・・・かっこよくて・・・ホンマ俺の彼氏最高やって感じやで・・・☆」
「はあ?それはこっちのセリフだし。下から見るお前、マジでヤバイし。」
「それ、褒めてるん・・・?」
「当然だろ。浴衣で上に乗って喘いでるお前、本当エロくて可愛いし。」
大曲に可愛いと言われ、種ヶ島は嬉しさと恥ずかしさを感じつつ、顔を緩ませる。その表
情が大曲にとってはたまらず、思わず種ヶ島の中にある熱も大きくなってしまう。
「んんっ・・・!ちょっ・・・竜次・・・・」
「お前がそんな顔するから悪い。」
「えー・・・もー、竜次はホンマに俺のこと好きなんやな☆」
「そうだよ、悪いか。」
冗談っぽく放った言葉に大曲が素直な言葉を返してくるので、種ヶ島の心臓はドキンと跳
ね、顔に血がのぼるのを感じる。
「・・・ホンマ、竜次はずるいわ。」
「ああ?」
「何でもあらへん・・・なあ、竜次、もっともっといっぱいして、楽しもか。」
「ふっ、上等。」
お互いの魅力を再認識しつつ、二人はさらに激しく体を重ねる。騎乗位のまま一度果てた
後、今度は大曲が動きやすい体位になり、種ヶ島を責める。蕩けるような快感の中、幾度
も唇を重ね、全身で想いを伝え合う。
「ハァ・・・ぁ・・・竜次、好きっ・・・好きやで・・・」
「ああ、俺もだし・・・」
「ふふっ・・・メッチャ嬉しい・・・大好きやで、竜次・・・」
「お前、好きって言いすぎだし。」
そう言いつつも、大曲の顔は好きと言われる嬉しさで緩んでいる。
「あっ・・・ヤバっ・・・また、イキそ・・・」
言葉を紡ぎながらも激しく呼吸を乱し、種ヶ島はそう呟く。その言葉を聞いて、大曲の熱
も急に高まる。
「俺も・・・結構イキそうかも・・・・」
「あっ・・・なら、奥に出して・・・竜次の熱いの感じながらイキたい・・・」
「いいのかよ?」
「今更やろ?な、竜次。」
「しゃーねぇなあ。」
後処理は多少面倒になるが、種ヶ島がそう望むならと大曲は一際大きく中を穿つ。お互い
一番敏感な部分が擦れ合い、一気に絶頂の波が押し寄せる。
「ああぁっ・・・竜次っ・・・!!」
「―――っ!!」
脈打つ熱を身体の奥で感じながら種ヶ島は果て、最高に気持ちのよい状態を味わう。もう
少しこの感覚を味わっておきたいと、大曲はしばらく種ヶ島とその身を繋げたままでいた。

最低限の後始末を終えると、二人は再び庭にある露天風呂に浸かっていた。月明かりの下、
和の雰囲気に満ちた景色を見ながらの入浴は風流さが溢れている。
「終わってすぐ温泉に入れるのはええな。」
「そうだな。」
「お月さんも綺麗やし、景色も雰囲気があって最高やな☆」
露天風呂の中で大きく伸びをし、種ヶ島はそんなことを言う。種ヶ島ほど顔や言葉には出
してはいないが、大曲もかなりこの状況を満喫していた。
「こういう休日もありだな。」
「せやなー。ホンマ、サンサンに感謝やな。」
「まあ、アイツはアイツで楽しんでるんじゃね?」
「アツと一緒の部屋やもんな。そりゃ楽しむやろ。」
自分達の部屋とは少し離れた部屋に泊まっている君島や遠野のことを話しながら、二人は
くすくすと笑う。
「はあー、ちょい暑なってきたわ。」
「なら、そろそろ出るか?」
「いや、もうちょっと温泉堪能したいから・・・」
そう言いながら、種ヶ島は温泉に足だけつける形で、平らな石の部分に腰かける。
「これなら少し冷めるし、ええ感じやな☆」
「冷めすぎないように気をつけろよ。」
「分かっとるって。」
露天風呂の縁に座った種ヶ島を大曲はじっと眺める。月明かりに照らされた白銀の髪に、
雫をまとう褐色の肌。どれをとっても魅力的で、キラキラと輝いているように見え、大曲
は思わず見惚れてしまう。
「何や竜次?そんなじっと見て。ははーん、さては俺の裸に見惚れとるな☆」
「・・・うるせぇし。」
ほぼ間違っていないので、大曲は照れ隠しにそんな言葉を返す。
「素直に褒めてや。俺、褒められるの大好きやで☆」
「勘弁しろし。」
「照れ屋やもんなー、竜次は。」
種ヶ島がからかうようにそんなことを言ってくるので、大曲は少し悔しくなり、だったら
褒めてやろうと、ざばっと立ち上がり種ヶ島の隣に腰を下ろす。そして、種ヶ島の顔を自
分の方へ向かせた。
「この髪もこの肌も全然日本人っぽくねぇし、こんな和風の庭には不釣合いなんだけどよ、
月の光に照らされて、水のしたたってる感じが、すげぇ絵になると思ったし。そんな姿見
せられて、見惚れないわけねぇだろ。」
『綺麗』や『可愛い』ではなく、『絵になる』という予想外の褒め言葉に、種ヶ島は真っ
赤になる。そんなことは言われたことがないと、胸の鼓動が速くなるのを感じる。素直に
褒めてやると、何も言えなくなり、ただただ赤くなるだけの種ヶ島を見て、大曲は心底可
愛いと思う。
「ほら、これで満足か?」
「・・・温泉浸かってないのに、のぼせそうや。竜次に褒められるんは、ヤバイな。」
「ふっ、そんなにかよ?」
そう言う大曲も、濡れた髪が月明かりに照らされキラキラと光を纏っているようで、種ヶ
島の目を釘付けにする。何て格好いいんだろうと思っていると、その顔が触れそうなほど
に近づいてくる。
『・・・・・』
大曲の唇が自分の唇に触れると、種ヶ島はぎゅっと目を閉じる。ほんの数秒の優しく触れ
るだけの口づけ。しかし、種ヶ島の胸はときめかせるには十分すぎる時間であった。
「湯冷めしちまうし、もう一度お湯ん中入ってから上がるぞ。」
「ん・・・」
大曲に促され、種ヶ島はもう一度お湯の中に体を沈める。内側からも外側からも体が熱く
なっていく感じに、種ヶ島は言いようもない心地よさを感じていた。
「なあ、竜次。」
「何だし?」
「今日、同じ布団で一緒に寝てもええ?」
もっと大曲と触れ合うほどに一緒にいたいと、種ヶ島はそんなことを頼んでみる。大曲自
身もそのつもりだったので、ふっと口元に笑みを浮かべながらいつものセリフを口にする。
「しゃあねーなあ。」
「おおきに、竜次☆」
まだまだ二人で過ごせることを嬉しく思いながら、大曲と種ヶ島は露天風呂から上がり、
一つの布団で眠る準備を始めるのであった。

大浴場から部屋に戻ると、越知と毛利は縁側に出て、空に浮かぶ満月を眺めていた。足湯
で温まった体には、ひんやりとした夜風が心地よく感じられた。しかし、冷え性な越知は
しばらくすると温かいものに触れたくなってくる。
「毛利。」
「はい、何です?月光さん。」
「ちょっとここに座ってもらえないか?」
長い脚を大きく開き、そこに出来たスペースに座って欲しいと毛利に頼む。足湯でも思っ
たが、その身長ゆえにかなり丈が短くなっている浴衣でそうされると、露出が多くなりす
ぎると、毛利はドキドキしながら越知の指定する場所に座った。
「こ、これでええですか?」
「ああ。」
頷きながら、越知は毛利の体を後ろから抱き締める。
(ああ、やはり毛利は温かいな。)
毛利の体温を心地よく思いながら、越知は再び体がポカポカしてくるのを感じる。突然後
ろから抱き締められた毛利は、その状況にドキドキしてしまい、温かくなるどころか体温
が上がり、暑くなってきていた。
「あ、あの・・・月光さん・・・」
「どうした?」
「・・・いや、何でもないです。」
足湯から戻ってくる前に言われたことを思い出し、毛利はそういうことを期待してしまう。
しかし、越知はそういうつもりはないようなので、毛利は口をつぐむ。しっかりと抱き締
めていることもあり、毛利がドキドキしているのも、体温が上がってきているのも、越知
は気づいていた。
「お前が嫌でなければ・・・」
「えっ?」
「先程の続き、してもよいか?」
「っ!?」
越知の言葉を聞いて、毛利の心臓はドキンと跳ねる。ここで自分が頷けば、今ここで、越
知とそういうことが出来る。断る理由など毛利には微塵もなかった。
「嫌やないです・・・してください。」
耳まで真っ赤になりながらそう呟く毛利に、越知はムラっとしてしまう。ここが縁側であ
ることなどお構いなしに、越知は毛利の浴衣の帯を少しだけ緩めた。

「んっ・・あ・・・月光さんっ・・・」
先程とほぼ同じ体勢ではあるが、越知の右手は毛利の熱を捉え、左手は浴衣の中の突起に
触れている。下着は取り去られ、多少着乱れてはいるものの、浴衣はほぼ身につけたまま
の状態で、敏感な場所を弄られる。越知に触れられているというだけでもたまらないのに、
感じやすい部分ばかり責められ、毛利はすっかりとろけていた。
「ハァ・・・月光さん・・・・」
「お前は本当に可愛らしいな。」
腕の中の毛利の反応を楽しみながら、越知は優しげな声色で囁く。大好きな声が耳元で響
き、毛利は胸の奥がきゅんとするのを感じる。
「んっ・・・んん・・・・」
「毛利、お前はどのようにされるのが好きなんだ?」
「そんなん・・・分からん・・ですぅ・・・・」
「ならば・・・」
いろいろ試してみて、一番反応が良いのがきっとそれだろうと、越知は様々な触れ方をし
て毛利の反応を見ることにする。焦らすように優しく触れてみたり、唐突にきゅっと力を
入れてみたり、緩急をつけて擦ってみたり・・・どれもそれなりによい反応を見せる毛利
であったが、越知が試していく中で一番反応が良かったのは、一歩力加減を間違えれば逆
に痛いのではないかと思うような触れ方をしたときであった。
「いろいろ試してみて分かったのだが・・・」
「ハァ・・・何です・・・?」
「お前はこうされるのが好きなのではないか?」
そう言いながら、越知はぎゅっと赤く熟れた胸の突起を抓み、むき出しの熱の先をぐりっ
と強めに擦った。
「ひゃっ・・・ああぁんっ・・・!!」
ビリビリと頭が痺れるような快感に、毛利はビクンっとその身を震わせる。思った通りだ
と、越知はしばらくその刺激を与え続ける。
「あっ・・・やぁ・・・月光さんっ・・・んあぁっ・・・!!」
「痛くはないか?」
「んんっ・・・」
越知の問いに毛利はこくこくと頷く。反応を見ていても痛がっているようには見えないの
で、越知はそのまま続ける。一番感じるような刺激を断続的に与えられ、毛利はほどなく
して限界を迎える。
「やぁっ・・・もぉ・・・アカンっ・・・!!」
一際大きく毛利の体は震え、越知の手に熱い雫を溢す。越知の腕の中、肩で大きく息をし
ていると、先程まで熱に触れていた手がその部分よりさらに下の蕾に触れるのに気づく。
「・・・っ!!」
「毛利、もう少し足を大きく開いてもらえるか?」
「う・・・はい。」
呼吸も整わないまま、毛利は越知の言葉に従い、縁側の縁に爪先を立てるように大きく脚
を開く。開いてから気づいたが、今自分がいる場所は部屋の外の縁側であり、目の前には
露天風呂のある庭が広がっている。下着を身につけないまま、外に向かって大事な部分を
晒しているという状況に気がつき、毛利は急に恥ずかしくなる。
「あの・・・ちょっ、月光さんっ・・・」
「どうした?」
「えっと・・・何やこの格好、外に向けて晒してるみたいで・・・・恥ずかしくて・・・」
「・・・・・。」
目の前の庭を見て、越知は確かにそうだと頷く。しかし、毛利の体勢を変える気も、これ
からすることを止める気もさらさらなかった。
「そうだな。」
そう言いながら、越知は毛利の蕾に指を入れる。
「うあっ・・・えっ・・・ちょっ・・・!!」
「外に向けて大きく脚を開いて、大事な部分を弄られて、確かに恥ずかしい格好だな。」
「やっ・・・ああっ・・・月光さん・・・!」
羞恥心を煽られるようなことを言われ、毛利は全身が熱くなりゾクゾクと身体の奥が痺れ
る。そんな毛利に追い打ちをかけるように、越知はその長い指で内側をぐりぐりとほぐし
ていく。
(恥ずかしいのに、月光さんに中弄られるん気持ちよすぎて、足閉じられへん。)
「んんっ・・・ふあっ・・・あ・・んっ・・・」
「毛利・・・」
耳元で囁かれる声は明らかに熱い吐息が混じっている。腰のあたりに触れているそれも既
にかなりの大きさと熱さになっており、毛利をより興奮させた。
「月光さんっ・・・俺、もう・・・」
「またイキそうなのか?」
「ちゃいます・・・月光さんのずっと当たってて・・・指やなくて、もうそれが・・・欲
しいです・・・」
切なげな声でそう訴えてくる毛利の言葉に、越知は我慢出来なくなる。
「外に向けては恥ずかしいのだろう?」
「・・・はい。」
「ならば、縁側から下りて、そこに手をついていろ。それならば、部屋の方を向くことに
なるし、後ろの方は俺の体で隠れるからな。」
それならばと、毛利は素直に庭に下り、縁側に手をつき腰を突き出すような体勢になる。
そんな毛利の姿を見て、越知の鼓動は一気に速くなる。自身も庭に下り、毛利の後ろに移
ると、毛利の浴衣を捲り上げた。ひやりと冷たい風が双丘に触れ、これから自分が『外』
でそういう行為をしようとしていることに毛利は気づいてしまう。
(あれ?月光さんの言う通りにしたけど、これって縁側でするより恥ずかしいことしよう
としてへん?)
しかし、時既に遅し。次の瞬間、毛利の閉じた蕾は越知の大きな楔によって貫かれる。
「あっ・・・ああぁっ・・・・!!」
腕の中の毛利のやらしく可愛い反応を見続けていた越知は、自身を毛利の中に挿れたこと
で箍が外れる。毛利の腰を支えながら、越知は何度も腰を打ちつける。越知の大きな熱が
敏感な内側を擦り上げるたび、毛利は甘い悲鳴を上げ、ここが外であることも忘れ、その
快感に落ちていく。
「ああっ・・・月光さ・・・っ・・・あっ・・ああぁっ・・・!!」
「ハァ・・・毛利・・・」
「月光さんのっ・・・奥まできて・・・メッチャ気持ち・・い・・・・」
「ああ、俺も・・・」
「月光さん・・・もっとぎょーさん、突いてください・・・」
越知と繋がっていることにすっかり夢中になっている毛利は、無意識にそんなことを口に
する。そんな煽られ方をしたら、本当に止められなくなってしまうと越知は少々困惑した
表情を浮かべつつも、本能には勝てず毛利のおねだりを聞いてしまう。温泉旅館の部屋の
庭で、浴衣姿の毛利を後ろから激しく犯しているという状況に、越知はいつもとは一味違
った興奮と快感を覚えていた。それは毛利も同じであった。
「毛利・・・そろそろ・・・」
「ハァ・・・あっ・・・月光さんっ・・・俺も・・・んんっ・・・・」
「・・・・っ!!毛利っ!!」
「んっ・・ぁ・・・ああぁ―――っ!!」
奥まで入っている越知の熱からドクンドクンと熱い雫が放たれるのを感じ、毛利はその心
地よさに自身もパタパタと雫を溢す。しばらく毛利の中で余韻に浸った後、越知はゆっく
りと自身を毛利の中から抜いた。
「んんんっ・・・」
その感覚に毛利はぶるりとその身を震わせる。越知の熱が抜かれたことで、中にとどまっ
ていた白濁の雫がいくらか蕾から零れる。零れた雫は毛利の太腿をつたい、その扇情的な
光景に越知の心臓はドキッと跳ねた。
「外でするのちょい恥ずかしかったですけど、気持ちよすぎてそんなんどーでもよくなっ
てまいましたわ。」
恥ずかしそうに笑いながらそんなことを言う毛利の声を聞いて、越知はハッと正気になる。
このまま毛利の下肢を眺めていたら、またしたくなってしまうところだったと、越知は深
呼吸をして気持ちを落ち着かせる。そして、毛利の言葉に同意するような言葉を返した。
「たまには悪くないな。」
「月光さん、真面目でこういうこと興味なさそうに見えて、わりと好きだったりしよりま
すよね。」
「それは・・・お前が可愛すぎるのが悪い。」
予想外の越知の言葉を聞いて、毛利は驚きつつも嬉しそうに笑う。越知のこういう部分も
大好きだと思いながら、浴衣の裾を下ろし、毛利は越知の方を振り返った。
「えへへ、月光さんにそう言ってもらえると嬉しいです。」
「浴衣の下、まだ処理してないだろう。今、綺麗にしてやるから、少し待っていろ。」
「はい。」
ひとまず毛利の体を綺麗にしてやろうと、越知は部屋の中に手拭いを取りに行った。そん
な越知を待ちながら、毛利は先程のことを思い出し、顔を緩ませていた。

露天風呂のお湯と手拭いを使い、汚れた部分を綺麗にすると、二人は眠る準備をし始める。
二組の布団を出したが、毛利はそれを普通とは違う形で敷き始めた。一つは普通に敷き、
もう一つは先に敷いた布団の足元側に縦ではなく横にして敷いている。
「毛利、これはどういうことだ?」
「普通に布団敷くと、月光さんどうしても足が出てまうやないですか。こうやって敷けば、
月光さんは足出ずに寝れるし、俺は月光さんと同じ布団で寝れるから、一石二鳥やなあと
思て。」
「なるほどな。」
冷え性の越知にとっては、足が出ずに寝れるのはありがたいと、毛利の提案を快く受け入
れる。そろそろいい時間なので、部屋の灯りを消し、越知と毛利は布団に入った。同じ布
団に入り、触れ合うほどに近づく。無意識に越知はその手を毛利の背中に回していた。
(暖かい。これはよく眠れそうだな。)
そんなことを考えながら、越知は目の前にある毛利の顔を眺める。
「あの・・・月光さん。」
「どうした?毛利。」
「ちょっとお願いがあるんですけど、ええですか?」
「何だ?」
「さっきしてたとき、ずっと月光さん俺の後ろにいたから、あんまりキス出来なかったや
ないですか。せやから、寝る前に月光さんにちゅうして欲しいなあと思て。」
なんて可愛らしいお願いだと、越知の胸はときめく。背中に回していた手を頭に移動させ、
ふっと微笑む。
「するのは唇でいいのか?」
「えっと・・・はい。」
「目を閉じていろ。」
越知にそう言われ、毛利はぎゅっと目を閉じる。閉じた瞬間、越知の唇が自分の唇に触れ
る。触れるだけのキスであるが、越知はしばらくの間唇を重ねたままでいた。いつもより
長い時間唇が触れていることにドキドキしながらも、毛利は胸の奥がポカポカと温かくな
るのを感じる。
「これでよいか?いつもより少し長めにしてみたのだが。」
「はい!ありがとうございます。」
嬉しそうに笑う毛利を見て、越知の表情も柔らかくなる。ふわふわの髪を撫でると、優し
い声色で毛利に語りかける。
「今日はもう疲れただろう?ゆっくり眠るといい。」
「そうですね。ぎょーさん月光さんとイチャイチャ出来たし、おやすみのちゅうもしても
ろたんで、メッチャいい夢見られそうです。」
「そうか。夢の中でも共に過ごせるといいな。」
「はい!」
「おやすみ、毛利。」
「おやすみなさい、月光さん。」
暖かい布団の中、大好きな相手と一緒に眠る幸せを感じながら、二人はそろって夢の中へ
落ちていく。

どの部屋でも甘い時間を過ごしながら、ゆっくり夜は更けていく。いつもとは違う場所で
いつもと同じ相手と過ごす時間。誰もが最高の休日だと思いながら、その時間を楽しむの
であった。

                                END.

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