133号室に戻ると、越知はラケットをしまい、部屋の鍵を閉める。先程大曲や種ヶ島と
したやりとりや毛利の少しエッチで可愛い反応を思い出し、越知は少々ムラムラしていた。
とは言えども、率直に誘うということは越知にとっては簡単なことではない。どしようか
と考えていると、いつもとは少し様子の違う越知に気づいた毛利が声をかける。
「どないしました?月光さん。」
首を傾げて上目遣いでそう尋ねてくる毛利の姿に、越知はいろいろと我慢が出来なくなっ
てしまう。言葉では上手く伝えられないので、行動で示そうと越知は唐突に毛利を抱き上
げる。
「ええっ!?つ、月光さん!?」
突如としてお姫様抱っこをされ、毛利はかなり混乱する。しっかりと抱き上げられている
ものの、そのままだと越知の腕に相当な負担がかかってしまうので、毛利は慌てて越知の
首に腕を回す。完全にお姫様抱っこの状態で、越知はゆっくりと移動し、毛利を二段ベッ
ドの下に連れ込んだ。ベッドの中に入ると、毛利をそっと布団の上に座らせるように下ろ
し、二つの枕を毛利の背中の後ろに置くと、軽くそこへ寄りかからせる。
「えっ・・・あの・・・月光さん?」
何も言われずともこの状況がどんな状況であるかは、さすがの毛利でも分かる。ドギマギ
しながら越知の顔を見上げると、非常に熱を持った視線を向けられる。
「毛利・・・」
名前を呼ばれるだけで、ぞくぞくしてしまう。ハッキリとしたことは言われていないが、
毛利は越知のしたいことを理解し、それに応えるような言葉を口にする。
「俺も・・・したいです。」
何も言わずとも自分の言って欲しいことを口にする毛利に越知は感動し、愛しさで胸がい
っぱいになる。ぎゅっと毛利を抱きしめると、越知はボソッと毛利の耳元で囁く。
「今日はお前を、たくさん気持ちよくさせたい。」
「っ!!」
想像以上に直接的な言葉に、毛利は一気に顔が熱くなっていくのを感じる。ドキドキと胸
を高鳴らせていると、いつの間にか下に穿いていたものが全て取り去られていた。
(うわあ、月光さんいつの間に取ったん?ドキドキしすぎて、反応してしまうわ。)
すっと越知が離れたかと思うと、越知の頭が下の方へと移動する。何をしているのだろう
と不思議に思いながら眺めていると、ぐいっと膝を割られ開かされる。そこで越知が何を
しようとしているかに気づき、毛利は焦るような素振りを見せる。
「わあっ、月光さん!!ちょっ・・・そこはっ・・・!!」
「先程の話では、口でされるのが好きというようなことだったが?」
「それは、傾向の話で・・・・」
「嫌なのか?」
「うっ・・・嫌やないですけど・・・・何や恥ずかしいし、月光さんに口でなんてされた
ら・・・・」
「それならば、問題はない。」
嫌でなければ何の問題はないと越知は毛利の熱を口に含む。越知の唇が舌が敏感な部分に
あたり、言いようもない快感が毛利の下肢を震わせる。
「ひゃあっ・・・ああぁん・・・!!」
思ったよりもよい反応を見せる毛利に、越知は嬉しくなる。毛利の熱を口に含んだまま頭
を動かし、吸うような刺激を与える。
「やっ・・・ああ・・・月光さん・・・ああぁんっ・・・!!」
実際口でされることには弱いようで、手で触れたりするよりも毛利は大きな反応を見せる。
(あの雑誌に書いてあったことはそこまで間違ってはいないようだな。)
少し奥まで咥えてやると、毛利はビクンと一際大きく跳ねる。
「んあっ・・・やっ・・・月光さ・・・も・・アカンっ・・・!」
まだそれほど時間は経っていないが、毛利は今にも達してしまいそうな声を上げる。
「月光さ・・・もぉ・・・出てまう・・・離してください・・・・」
越知の口に出すのは申し訳ないと離してもらおうとするが越知は全く離そうとしない。そ
れどころか、少しも溢すまいとしっかりと口を閉じ、吸い上げるような動きを見せる。
「ああぁ――っ!!」
そんな刺激に耐えられず、毛利は越知の口の中へ吐精する。随分早いなあと思いつつも、
それだけ感じてくれていたということが嬉しくて、越知のやる気は俄然上がる。
「ハァ・・・ハァ・・・すんません、月光さん。」
「何故謝る?」
「やって、月光さんの口に・・・その・・・」
「さして問題はない。随分早かったが、そんなによかったのか?」
「・・・はい。月光さんの口、メッチャ気持ちよかったです。」
いまだに呼吸を乱しながら、恥ずかしそうに頷く毛利に越知の胸は高鳴る。
「そうか。それならば、もっとしてやろう。」
「えっ!?ちょっ・・・待っ・・・月光さっ・・・!!」
先程達したばかりでいまだに絶頂の余韻が残っている毛利の熱を再び咥える。敏感になっ
ているそれを口に含まれ、先程より少し激しく舐められ吸われる。
「やっ・・・ああぁ――っ・・・ひあっ・・・あぁんっ・・・!!」
強すぎる快感に毛利はビクビクとその身を震わせ、甘い悲鳴を上げる。イっているのと同
じほどの気持ちよさだが、先程達したばかりなので、そうすぐにはイクことが出来ない。
「月光さんっ・・・あっ・・・やぁ・・・ダメぇ・・・・っ!!」
拒否するような言葉を放つ毛利だが、その声色は全く拒否する感じではない。上から降っ
てくるように聞こえる毛利の甘く乱れる声。もっとその声を聞いていたいと、越知はしば
らく口の中で毛利の熱を弄ぶ。
「月光さんっ・・・ひぅ・・つき・・・さ・・・・」
息も絶え絶えになりながら、毛利はいつまでも続く強い快感にすっかり思考を奪われる。
ただただ越知の名前を呼び、越知に与えられる快感に溺れていく。限界まで感じやすくな
った熱の先をちゅっと吸われると、毛利は声にならない悲鳴を上げ再び果てた。
「――――っ!!」
再度放たれた毛利の蜜を越知は喉をならして飲み込む。毛利の可愛く乱れた姿を存分の堪
能出来たと、越知は満足気な表情で唇をぬぐう。完全にとろけた顔でくったりとしている
毛利の頬を撫で、越知は優しくキスをする。
「可愛いな。」
「月光さん・・・」
「今日はいろいろなところにキスしてもよいか?」
「月光さんになら・・・どこにされてもええです・・・・」
「そうか。」
自分が何を言っても何をしても嫌がらない毛利を越知は心から愛しく感じる。先程種ヶ島
が読んでいた雑誌の内容を思い出し、越知は足の指から順番に毛利の関節部分にキスをし
ていく。
「んっ・・・そないなとこ、ええんですか?」
「何がだ?」
「足とかあんまり綺麗やないやないですか。」
「そんなことは気にしない。お前が心地よいと感じてくれるならそれでいい。」
足の指にキスをしながら、そんなことを言う越知の言葉に毛利はきゅんとしてしまう。足
の指が終わると、足首、膝、手首、肘とキスをする場所を移動させていく。軽く触れるだ
けのキスもあれば、甘噛みをしたり少し舐めたりするようなキスもある。いずれにしても
先程存分に気持ちよくさせられた余韻が残っているため、どこにキスをされてもどんなキ
スをされても毛利にとっては、心地よくて仕方がなかった。
(月光さんにキスされてるとこ、全部気持ちええ・・・・やっぱ、関節が性感帯ってのは
間違ってないんやろか。)
身体の下の方から上の方に向かってキスをしている越知の顔が、だいぶ自分の顔に近づい
てくる。越知の唇が肩に触れる。次の瞬間、ガブっと軽く噛まれるようなキスをされ、毛
利は思わず声を上げる。
「ひゃっ・・ああっ・・・!!」
痛いときに上げる声ではないと判断し、越知は跡がつくかつかないかくらいの力で、何度
か毛利の肩に噛みつく。そのたびに毛利は甘い声を上げ、ビクンと身体を震わせる。
「あっ・・・月光さんっ・・・んっ・・・やぁ・・・・」
「お前は本当に関節が弱いようだな。」
「そうかもしれんです・・・知らんかったですけど・・・」
「また一つお前のことが知れてよかった。」
この状況でそんなことを言ってくる越知に毛利はときめいてしまう。気持ちよさとときめ
きで毛利の体温は急上昇し、全身を桜色に染めていく。残りの関節である首と顎の付け根
あたりにキスをすると、越知はぎゅっと毛利を抱きしめた。
「そろそろここに触れてもよいか?」
毛利の足を割り開くようにし、再び蜜を溢し始めている熱のさらに下の蕾に越知は触れる。
越知の指でそこを弄られる期待感から毛利のそこはひくんと震える。
「ええですけど・・・」
「何だ?」
「そこ慣らす間、口にキスしといてもらえませんか・・・?」
「分かった。」
身体中の関節にたくさんキスをされたが、口にはまだあまりされていないと、毛利はそん
なことを越知にねだる。可愛らしいことを言ってくれると、越知は毛利の頼みに快く頷い
た。長い指を咥えるようにして濡らす。濡れた指を毛利の双丘の間に持っていき、その蕾
をゆっくり慣らすように中へと挿入させる。
「ん・・あっ・・・ふっ・・・ぅ・・・・」
越知にしがみつきながら、毛利は越知の指を受け入れる。その反応も実に可愛らしいと思
いつつ、越知は毛利の希望通り吐息を漏らす唇に口づける。唇をついばみ、舌で歯をなぞ
る。小さく開いた口の隙間から舌を入れてやれば、おずおずと舌を絡めてくる。
(やっぱ、月光さんとキスするん好きやわ。ドキドキするし、メッチャ気持ちええ。)
深く甘い口づけを施しながら、越知は毛利の中を解していく。せっかくなので、空いてい
る左手で膝を撫でる。今回はくすぐったいというような反応は一切見せず、初めから感じ
ているような反応を示す。
「んんっ・・・んっ・・・んんぅ・・・・」
感じやすい膝を撫でられ、毛利はピクンピクンと肩を揺らす。口づけを交わしていること
も中を弄られていることも膝を撫でられていることも、毛利にとっては全てが心地よく、
再び熱が高まっていくのにそれほど時間はかからなかった。
「んっ・・・う・・・んんんっ・・・!!」
越知の指をぎゅうぎゅうと締めつけながら毛利は達する。だいぶ中も解れてきたので、越
知は指を抜き、唇を離す。越知のキスと敏感なところへの愛撫で毛利はすっかりとろけて
いる。そんな毛利を優しく押し倒し、越知は覆いかぶさるように手をついた。
「毛利。」
自分を求めるような越知の視線に毛利の心臓はドキンと跳ね、越知の顔から目を離せなく
なる。押し倒されたまま足の大きく開かれ、先程まで越知の指が入っていた場所に越知自
身を押しつけられる。
「あっ・・・月光さん・・・・」
「お前の中に入ってもよいか?」
ここまできてそんなこと尋ねてくる越知に毛利は胸をきゅんきゅんさせながら頷く。毛利
が頷くのを確認すると、越知は腰を進め毛利の中にゆっくりと入っていく。
「ひあっ・・・ああぁ――っ!!」
「・・・・っ。」
越知の熱もかなりの大きさになっているが、毛利のそこは難なく越知を受け入れる。越知
と深く繋がっていく感覚に毛利は先程とは比べ物にならないほどの気持ちよさを感じる。
「ふあっ・・・月光さん・・・ああっ・・・んんっ・・・・!!」
越知を存分に感じながらも毛利はふと部屋に帰ってくる前のことを思い出す。越知は背中
が弱ったことを思い出し、毛利は越知の背中に腕を回す。そして、越知が自分の中を穿つ
ような動きをするのに合わせ、わざと爪を立てるようにしがみついてみる。
「うっ・・・あ・・・・」
「ハァ・・・月光さん・・・あっ・・・・」
やはり背中は弱いようで、爪を立てた瞬間越知の身体はビクっと震え、中の熱も少し大き
くなる。そうなれば、毛利が感じる刺激も少し変わる。その感じがたまらなく、毛利は越
知の背中に強くしがみつく。
「あ・・んっ・・・月光さんっ・・・月光さん・・・!」
「ハァ・・・毛利っ、毛利・・・・っ!」
いつもより余裕のない表情を見せ、越知は毛利の与える快感に震える。より大きな刺激が
欲しいと越知は激しく毛利の中を穿ち、毛利は越知の背中に爪を立てる。痛みにも似た強
い快感に二人は溺れていく。
「はっ・・・ああぁんっ・・・月光さん・・・いっ・・・ああぁっ・・・・!!」
「毛利っ・・・くっ・・・ぁ・・・・」
どちらも激しく息を乱し、お互いを求め合う。どこまでも一つになれるような感覚に二人
はこの上ない心地よさを感じながら唇を重ねる。そして、決して尽きることなく、溢れ続
ける想いを迸らせた。
事が終わってももう少しくっついていたいと、二人はその身を布団の上で起こし、越知が
毛利を後ろから抱きしめるような形で座っていた。
「月光さん。」
「どうした?毛利。」
「今日もぎょうさん気持ちよかったです。」
照れたような笑みを浮かべて、毛利は先程の行為の感想を素直に口にする。嬉しいような
恥ずかしいような何とも言えない感情になり、越知は言葉を返す代わりに毛利のことをぎ
ゅっと抱きしめる。
「月光さんはどないでした?」
そう聞かれてしまっては、言葉で答える以外出来ない。しばらく考えた後、越知はゆっく
りと口を開く。
「いつもよりお前と繋がっている感じが強く感じられてとても気持ちがよかった。お前の
ことを心から好きだという気持ちで胸がいっぱいになり、とても幸せな気分だった。」
予想以上の越知の答えに毛利の顔は真っ赤に染まる。口数の少ない越知の口から出る言葉
は重みがあるのに、そんな言葉を言うのはずるいと毛利の胸は掻き乱される。
「俺も月光さんのことメッチャ好きです!」
赤くなる顔を両手で覆いながら、毛利はそう口にする。後ろからでもある程度顔を見える
ので、顔隠されるのは困ると、越知は顔を隠している毛利の手をはがす。そして、その手
を取ると、指の関節にちゅっとキスをした。
「っ!!」
越知の唇が関節に触れると、条件反射のように毛利の身体はビクンと跳ねる。その反応が
愛らしく越知は思わずその口元を緩ませる。
「お前は本当に関節が弱いんだな。」
「きゅ、急にこないなことされたら、誰だって・・・・」
「ならば、お前の指にキスしてよいか?」
「・・・はい。」
聞かれてしまったら、それはもう頷くしかない。毛利の掌と自分の掌と重ね、口元へと持
っていく。人差し指から小指まで一本一本丁寧に口づけると、毛利は真っ赤になりながら
小さく震える。
「嫌なら断ってもいいんだぞ?」
「嫌やないです。月光さんのしてくれることで、嫌なことなんてないですもん。」
「それは嬉しいことだが、さすがにそこまでだと心配になるぞ。」
「月光さん、俺の嫌なことせぇへんもん。」
そこまで信頼されているのかと越知は少し感動する。もう一度指にキスをすると、毛利は
嬉しそうにくすくす笑う。
「こないに手にキスしてると、何や月光さん王子様みたいやね。あ、修二さんの話やと、
月光さんは王様なんやったっけ?」
「どちらでもないと思うが。」
「せやけど、月光さん、俺がピンチになったらホンマ王子様みたいに助けに来てくれそう
やわ。」
「それは当然のことだろう?」
何を当たり前のことを言っているんだといったニュアンスで越知はそう返す。当然のこと
なのかーと毛利は嬉しさと恥ずかしさでくすぐったい気分になる。
「月光さんメッチャ強いからなー。ライオンとかにも勝てそうや。」
「それはどうかと思うが・・・だが、お前が危ないという状況だったら、どうにかするか
もしれないな。」
「さっすが月光さんやね♪メッチャかっこいいわ。」
ありえないような状況の話をしつつ、毛利は楽しそうにそう返す。もっと越知と話したい
気分であったが、先程の今でさすがに眠くなってくる。
「ふあ〜・・・・」
「眠そうだな。そろそろ寝るとしよう。」
「今日は上に行かないで、このまま月光さんと寝てもええですか?」
「構わない。」
「ありがとうございます!」
一緒に寝てもよいという許可を得ると、毛利はゴロンと越知の布団に横になる。そんな毛
利の髪に優しく触れ、越知は微笑む。
「月光さんはまだ寝んのですか?」
「お前が寝たらすぐに寝るつもりだ。」
「何ですぐには寝んのです?」
「もう少しお前の顔を眺めていたい。」
また恥ずかしくなるようなことをさらって言ってくるなあと毛利は頬を染める。しかし、
越知に見られながら眠るのも悪くないと毛利はすっと目を閉じた。
「月光さん。」
「どうした?」
「おやすみなさい。明日もよろしく頼んます。」
「ああ。おやすみ、毛利。」
目を閉じながらも毛利は実に嬉しそうな笑みを浮かべている。そんな毛利を見ながら、越
知は胸の奥がぽかぽか温まるような幸福感を感じる。愛しい毛利の穏やかな寝顔を眺めな
がら、越知はもうしばらくこの幸せな時間をゆっくりと味わうのであった。
END.