Regulators of Ecclesia ��

大曲と種ヶ島が作ったお菓子をもらってからしばらく経った頃、いつものように越知、毛
利、大曲、種ヶ島、君島の五人は大曲の古書店に集まっていた。
「あれ?サンサン今日はアツと一緒やないん?」
いつも君島と一緒にいる遠野の姿がないので、種ヶ島は君島にそう尋ねる。
「最近忙しいらしくて。用が終わるとすぐに帰ってしまうんですよね。」
「まあ、何だかんだでアイツの店、結構繁盛してるっぽいからな。」
「遠野さんの店、ダークな服が多そうに見えて、子供服から女性物のドレスまでかなり幅
広く置いてありますもんね。」
表の職業である仕立て屋の仕事が忙しいのであろうと、大曲や毛利はそんなことを口にす
る。しばらく他愛もない話をしていると、五人がいる部屋の障子が開く。
「わりぃ、遅くなった。」
「おっ、アツ来たやん!お疲れ〜☆何やお店が忙しいらしいやん。」
「は?別に店はそこまで忙しくないぜ。いつも通りだな。」
「けど、君島が忙しそうだって言ってたし。」
覚えのないことを言われ、遠野は不思議そうに首を傾げる。それならば、何故そんなにす
ぐに帰ろうとしていたのだろうと君島は疑問に思う。
「最近遠野くん、私のところへ来てもすぐに帰ってしまったりしてたじゃないですか。店
が忙しいのでなければ、何なんです?」
「あー、最近ちょっと仕立てたいもんがあってな。それ作るために早めに帰ってた。それ
が今日できたから見せてやろうと思って持ってきた。」
「なるほど。服を作っとったってことですね!」
「へぇ、ちょっと気になるし。」
服を仕立てていたと言う遠野の話を聞き、そこにいるメンバーは興味津々とばかりに遠野
を見る。
「大曲、ちょっと隣の部屋借りてもいいか?せっかくだから、完成したそれを着たところ
見せてやるよ。」
「ああ、別に構わないぜ。」
「自分用の服なんやな!どんな服作ったのか見るの楽しみやわ。」
完成した服を着た状態で見せてくれるということを聞いて、種ヶ島や大曲は素直にわくわ
くとした表情になる。もちろん毛利も興味津々であり、特にコメントをしていない越知も
興味があった。
「じゃあ、ちょっと着替えてくるから待ってろよな。」
隣の部屋へ移動し、遠野は仕立て上がったばかりの服に着替え始める。隣の部屋からゴソ
ゴソと着替えている音が聞こえるのを聞きながら、待っているメンバーはどんな服かの予
想を立てる。
「アツの作った服、どんな服やと思う?」
「いつもの趣味からするとちょっとダークな雰囲気とかゴシック系とかそんな感じか?」
「確かにそないなイメージですね!月光さんはどう思います?」
「さして興味はない。」
「はは、ちょっとは興味持ってやりや。」
「大丈夫です。これでも月光さん、興味津々なんで!」
「そうは見えないですけどね。」
そんな話をしていると、バンッと障子が開き、着替えを終えた遠野が自信ありげな様子で
立っていた。
「チャラ〜ン♪見ろよ!大曲と種ヶ島からもらった菓子を食ったときに強制的に変わった
服、完全再現してやったぜ!」
自信満々にそう言いながら、遠野が身につけていたのはビリビリでボロボロの修道服であ
った。それを見て、君島の顔は赤く染まり、君島以外のメンバーはポカンとしていた。
「お前、何と戦ってきたんだよ?」
「修道服?ですよね?ホンマ何でそないにボロボロになっとるんです?」
確かにゴシック的な雰囲気はあるものの、これは完全に予想斜め上の服装だと、大曲と毛
利は思ったことを口にする。
「知らねぇよ。お前らの作った菓子食ったら、勝手にこの服装になったんだよ。まあ、悪
くないデザインだったからな。ちょっと再現してみたくなってよ。どうだ?似合うだろう?」
ドヤりながらそう言う遠野に、越知と種ヶ島が口を開く。
「まあ、似合ってはいるな。端から見れば、何に襲われたのかと心配になる格好ではある
が。」
「その格好が似合うのさすがアツって感じやわー。ちゅーか、サンサンとアツに作ったお
菓子の効果を考えると・・・なあ、竜次?」
そのお菓子を作った種ヶ島は、遠野が食べたお菓子の効果を理解していた。同じようにそ
の効果を知っている大曲に苦笑しながら視線を送る。
「ああ。それ、君島の好みの格好ってことだろ?」
「えっ!?そうなんですか!?」
「せやねん。アツと毛利用に作ったお菓子は、相手、つまりサンサンやツッキーの好みの
格好や姿になるって効果やったんやけど・・・」
「そりゃ間違いないと思うぜ!あのとき俺がこの格好になったのを見て、スゲェ興奮して
たからな。なあ、君島!」
遠野に声をかけられるが、君島はなるべく遠野の方を見ないようにしながら黙っている。
自分の方を見ず、声をかけても無視する君島にムッとしながら、遠野は君島の側に移動し、
君島の視界に入る形でしゃがむ。
「ちょっ!!」
「ほら、お前の好きな格好、バッチリ再現してやったぜ。嬉しいだろぉ?」
「そ、そんな格好でしゃがんだら、見えてしまいますよ。」
「別に今日は下着穿いてるから問題ねぇよ。つーか、鏡の前に座らせて、めくれって言っ
てたお前が言えることじゃねーだろ。」
「なっ!!」
遠野の言葉に他のメンバーは驚いたような顔を見せる。
「えー、サンサン、アツにそんなことさせてたん?鏡の前でってなかなかエグいプレイし
よるな。」
「さすがにそこまでの効果はつけてねぇから、君島がしたくてさせたってことだよな。」
「それはちょっと・・・いや、かなり恥ずかしいですよね。」
「・・・・・・」
まさかそんなことをしていると思っていなかった種ヶ島と大曲はニヤニヤしながらそんな
ことを言い、毛利は鏡の前でそういうことをするのを想像して赤くなり、越知は頭の中で
は様々な想像を巡らせながらノーコメントを貫く。
「毛利の言う通り、かなり恥ずかしかったから、俺は見たくなかったんだけどよ、君島が
見ろって言うし、鏡に顔を向けたまま顎を固定されるしで、強制的に見させられてたな。
でもまあ、おかげでかなり詳しくこの服の構造が理解できたから、再現はしやすかったぜ。」
それはさすがにドSが過ぎると、遠野以外もメンバーは君島を見る。遠野の言うことに反
論しないところを見ると、すべて本当のことなのだろうと、少し遠野に同情する。しかし、
当の本人はそれが嫌だったとは一言も口にしていなかった。
「と、とにかく、早く着替えて着てください!!」
顔を真っ赤にしながら、君島は遠野にそう訴える。しかし、自分の格好で君島がかなり困
惑しているのが面白く、遠野はしばらくそのままでいてやろうと意地悪く笑う。
「せっかく上手く作れたんだから、そんなすぐには着替えねぇよ。あ、あと、これも再現
してやったぜ。さすがにあの触手みてぇな玩具は無理だったけどな。」
そう言いながら、遠野は細い鎖とリボンが合わさった紐状のものを取り出す。
「っ!!」
「何ですか、それ?」
それが何か分からないと、毛利は首を傾げてそう尋ねる。
「何かは俺もよく分からねぇけど、これを使って、ココを縛られて、菓子の効果が切れて、
これが勝手に消えるまでイカせてもらえなかったな。」
ほんの少しだけ顔を赤らめながら、遠野は服の上からそこを指差し、妖しく笑いながらそ
んなことを言う。それを聞いて、どういうことかを理解した面々も思わず赤くなってしま
う。
「あー、なるほど。お菓子の効果のアイテムの一つってことやんな。」
「どんなのが出るのかは分からなかったが、そんなのが出たんだな。」
お菓子を作った大曲と種ヶ島は、何かしらのアイテムが出ることは分かっていたが、それ
によってどんなにアイテムが現れるかまでは把握していなかった。先程遠野が触手のよう
な玩具と言っていたのも踏まえると、お菓子の効果で現れたアイテムはそういうものだと
理解する。
「も、もういい加減にしてください、遠野くん!!そんな格好であのときの話をそんなに
事細かにされたら、耐えられないです!!」
「お、何だぁ?他の奴らもいるのに、俺のこの格好に興奮しちまってるのか?」
分かっていながら、遠野はからかうようにそんなことを言う。
「当たり前でしょう!服だけでなく、その鎖とリボンまで再現して・・・本当にもう勘弁
してください!」
さすがにもう耐えられないと、君島は赤くなったまま遠野に訴える。ここまで素直に反応
してくれるとは思っていなかったので、遠野は心底嬉しそうな顔で笑う。
「ヒャーッハッハ!!全くしょうがねーなあ。大曲、ちょっとトイレ借りるぜ。ほら、行
くぞ、君島!」
「ちょ、ちょっと遠野くん!!」
君島の手を引き、遠野は部屋から君島を連れ出す。遠野が何をしに行ったかを察した大曲
や種ヶ島はニヤニヤと笑いながら、二人を見送る。
「アツ、今日は絶好調やな!」
「君島の奴をあそこまで狼狽させるのはさすがだし。」
「それにしても、遠野さんホンマすごいですね!あの服の破れた感じ、あえて作っとるっ
てことですよね?」
「そうなんちゃう?まさかサンサン好みの服があんな服とは思っとらんかったけど。」
「だな。神父のくせにアレに興奮するって普通にヤベェだろ。」
「はは、まあ服っちゅーより、アツに興奮しとる感じやったけどな。」
遠野が作った服について話していると、しばらくして君島と遠野が戻ってくる。遠野は先
程と変わらずご機嫌な様子で、君島は明らかに落ち着きを取り戻し、どこかスッキリとし
た雰囲気であった。
「戻ったぜ。」
「遠野くんにはこれ以上余計なことを話さないようによく言って聞かせたので、もう大丈
夫です。」
「さよか。俺ら的にはもっと詳しく知りたかったんやけどなー。まあ、そうすると、サン
サンまたアツにヌいてもらわないけなくなるからしゃーないわ☆」
「なっ・・・!?」
種ヶ島の言葉に動揺しながらも、君島は否定も肯定もせず、先程座っていた場所に座り直
す。
「遠野。」
君島の隣に座った遠野に声をかけたのは越知であった。
「何だよ?」
「猫耳や猫の尻尾をお前が着ている服のように再現することは可能だろうか?」
「は?まあ、カチューシャとか髪留め的に作るっつーんならできると思うけどよ。」
突然の越知の質問に驚きながらも遠野はそう返す。
「越知がそんなこと言い出すなんて珍しいな。」
「はは、ツッキーも毛利の猫耳姿えらい気に入ったんちゃうん?」
「えっ!?大曲さんと種ヶ島さん、何で俺に猫耳生えたって知っとるんですか?」
「まあ、そういうふうな効果にしたからな。サンサンの好きな服は分からんかったからそ
こはおまかせの効果にしたけど、ツッキーは猫耳限定でも喜ぶやろなーと思て。」
「どうやらビンゴだったみてぇだし。」
越知の言葉にふっと笑いながら、大曲と種ヶ島はそんなことを言う。
「せっかく作るなら、正確に再現したいからな。大曲と種ヶ島が言ってた通り、毛利につ
けてぇってことだろ?」
そう言いながら、遠野はデザイン用に持ち歩いている紙と色鉛筆を出し、ささっと毛利の
シルエットを描く。
「大きさ、色、雰囲気がどういう感じだったか説明しろ。メモっていくから。」
「大きさは大きすぎず小さすぎず、スタンダードな猫耳だった。色は二種類あり、一つ目
は明るいオレンジ色に近い茶色、二つ目は白に青メッシュな雰囲気だ。尻尾はいずれも細
長くしなやかな感じだったな。」
「二種類あるのか。差分は軽くこっちに描いとくか。白に青メッシュって、お前の髪みて
ぇなイメージか?」
「ああ。」
越知の話を聞きながら、遠野は毛利をベースにした絵に、猫耳と尻尾を描き込み、色を塗
っていく。
「おー、アツやっぱすごいなあ。俺らは全く見とらんけど、こないな感じやったんやなっ
てのが、よう分かるわ。」
「越知の好みはこういう感じなんだな。」
「どうだ?越知。こんなイメージで合ってるか?」
「ああ。完璧だ。可能であれば、感情に合わせて動くようにして欲しいのだが・・・」
「それは難しいな。機械的な要素をつけるのは、あんまり得意じゃねーから。」
真剣に話し合っている越知と遠野を見ながら、毛利はドキドキしつつも口元が緩むのを抑
えられないでいた。恥ずかしいは恥ずかしいのだが、越知がこんなにも欲求をあらわにし
ているのが珍しく、しかもそれが自分に向けられているという事実が嬉しくてたまらなか
った。
「動かすのは機械的にではなく、魔法で付与したらいいんじゃないですか?それなら遠野
くんでもできるでしょう?」
「なるほど、確かにそれならいけそうだな。とは言っても、俺は大曲とか種ヶ島みてぇに
自由にいろんな効果をつけれるわけじゃねぇから、そこは勘弁な。」
「いや、無理を言っていることは承知している。さして問題はない。」
「ツッキー、メッチャしっかり注文しよるやん。」
「俺らが予想していた以上に、気に入ったみてぇだな。」
普段クールな越知がここまで真剣に遠野に注文しているのが面白く、種ヶ島と大曲は楽し
げに笑う。
「作るのは全然構わねーんだけどよ、まだコイツらからもらったお菓子残ってんだろ?俺
らのも結構残ってるし。さっき効果は猫耳に限定したって言ってたし、また食わせればい
いんじゃねーの?」
その方が再現率は高いだろうと、遠野はそんなことを尋ねる。
「確かにそうだが、お菓子の効果は毛利がイクと消えてしまい、そのたびにお菓子を食べ
させなければいけなくなってしまう。それは毛利に負担をかけることになるし、俺として
はそんな手間をかけずに愛らしい猫耳姿の毛利をもっと愛でていたい。物理的に作っても
らったものであれば、たとえ毛利がどれだけイこうとも消えることはないだろう?」
「ちょっ、月光さん!?何言うとるんです!?」
想像以上に越知がすごいことを言ってくるので、毛利は真っ赤になりながらツッコむ。
「えっ、ちなみに猫耳毛利はどんなところが可愛かったん?」
越知が淡々と毛利について語るのがツボで、種ヶ島はわざとそんなことを聞く。
「そうだな・・・猫耳と尻尾の生えたその姿は非常に愛らしく、魔法的効果のためか、触
れてやったり撫でてやったりすると、本物のそれに触れているように反応したまらなかっ
た。殊に尻尾はかなり敏感で、握って擦ってやると、まるで一番感じるそれに触れている
かのように・・・」
「うっわー!!月光さん!!ちょおやめてください!!そないに詳細に説明せんといてく
ださい!!」
越知が事細かにそのときのことを話し始めるので、毛利はあまりの恥ずかしさから慌てて
止める。
「越知、ここに来る前にあのときあげた菓子食ってきたのかよ?」
あまりに饒舌に毛利のことを話すので、大曲は思わずそう尋ねる。
「いや、食べてはいないが・・・」
「素でそれって、ツッキーホンマ毛利のこと大好きすぎやん!」
「確かに越知くんがここまで喋ることはそれほど多くはないですからね。」
「まだ、一割も話せていないが・・・」
「もうええですって!!これ以上話されたら、俺が恥ずかしくて耐えられへんです!!」
いつもと同じ表情と口調で、もっと語りたいといった雰囲気を出す越知に、毛利はやめて
欲しいと懇願する。さすがに毛利がそこまで言うならと、越知は少し残念そうな空気を醸
し出しながら口を閉じる。
「まあ、どれだけ作って欲しいかは伝わったからよ、リクエストされたやつ、作っといて
やるよ。」
「ああ、助かる。それと・・・」
「ん?何だよ?」
「作り終わった後でよいが、そのメモも一緒にくれないだろうか?」
遠野が描いた毛利に猫耳と尻尾がついているような絵も欲しいと、越知は遠野に頼む。そ
こまでかと、遠野は苦笑する。
「別に構わねぇけどよ。お前、涼しい顔して、ホンット毛利への執着ヤベェよな。」
「同感です。本当寿三郎は愛されてますね。」
「それ、嬉しいですけど、メッチャ恥ずかしいです!!」
嬉しさと恥ずかしさと困惑が混じった表情で、毛利はそう言いながら両手で顔を覆う。そ
んな仕草も可愛らしいと思いながら、越知は毛利を眺めていた。
「いやー、でも、ホンマ、サンサンもアツも、ツッキーも毛利も、お菓子の効果楽しんで
くれたみたいでよかったわ!」
「だな。まだ残ってるみてぇだし、あるだけ楽しめばいいし。」
四人の反応が思ったよりよかったので、そのお菓子の作成者である大曲と種ヶ島は満足気
にそんなことを言う。
「大曲くんと種ヶ島くんは、普段からあのようなお菓子を食べてしてるんですか?」
あの自分の意思では抗えない感じはなかなかだと、君島はそんなことを聞いてみる。
「せやで。負の感情を素材にしとるんやけど、素材の質は毎回違うから同じような効果に
しようと思っても結構変わるんやで☆」
「この前したときのは、なかなかよかったし。」
「なー!アレは素材がよかったよな。」
「ちなみにどのような効果をつけたのですか?」
日常的にする場合は、どのような効果をつけるのだろうと、純粋な興味から君島はそう尋
ねる。
「この前は、お互い三種類作って勝負したんやけどな。」
「そういうことなのに勝負なのかよ?本当お前らよく分かんねーことしてるよな。」
することがすることなので、勝負とはどういうことかと遠野は首を傾げる。
「一つ目のお菓子の効果は、俺が作ったのはいい意味での執着をつける感じで、竜次が作
ったのは甘えたがりになるって感じやったな。」
「なんや思ったより普通・・・って言っていいのかは分からんですけど、そないな感じな
んですね。」
それくらいであれば、自分達が食べたお菓子より全然問題なさそうな効果だと毛利はそう
口にする。
「二つ目は、俺が作ったのは羞恥心を高めて興奮させるで、修二が作ったのは支配欲、征
服欲を強めるって効果だったな。」
「おっ、急に風向きが変わってきたぞ!なかなかの効果のもん作ってるじゃねーか!」
だいぶ自分達が食べさせられたお菓子の効果に近づいてきたと、遠野は楽しそうにそんな
ことを言う。
「ていうか、そんな効果のもん食べさすなんて、ホンマ竜次はドSよな。」
「それを言うんだったら、オメェはあからさまにドMじゃねーか。支配欲、征服欲を高め
るってどんなだし。」
お互いに作ったお菓子の効果に対して、どちらもからかうように言い合いをする。そのや
りとりも実に楽しそうなので、他のメンバーはさすがだなーと二人を眺める。
「んで、三つ目がこれまたヤバくてな。俺が作ったのは、理性のリミッター解除。竜次が
作ったのは感度MAXにさせるって効果やったな。これがもう半端なくて。」
「確かにアレはいろんな意味でヤバかったな。」
そのときのことを思い出し、どちらもほんの少しだけ顔を赤らめながら、そんな話をする。
さらっと話してはいるものの、そんな効果のあるものを当たり前のように使っていること
に、大曲と種ヶ島以外のメンバーは少し引きながらドキドキしてしまう。
「日常的にそんなことしてるって、お前らヤベェな。」
「いや、でも、メッチャ気持ちええし、楽しいで!なあ、竜次。」
「まあな。魔法や能力の訓練にもなるし、していて困ることはねーな。」
「で、勝負としてはどっちが勝ったんだよ?」
「そんなんもうどーでもよくなるわ!まあ、強いて言うなら俺も竜次も同じくらい気持ち
よくなれとるから、引き分けちゃう?」
「勝負の意味ねーじゃねーか!!」
種ヶ島の言葉に遠野は思わず突っ込む。しかし、それが事実なのでそう言う他なかった。
「キミさんと遠野さんも鏡の前でとか言っとって、すごいなあと思いましたけど、大曲さ
んと種ヶ島さんもそれが日常やなんて半端ないですね!」
「ですね。まあ、あのお菓子をたまに食べてしたくなるのは事実ですけど。そんなにしょ
っちゅうするのは勘弁願いたいですね。」
「俺は毎日でも構わないぜ!」
「そんなことしたら、すぐになくなってしまうでしょう。」
何だかんだあのお菓子が気に入っているような発言をする君島に大曲と種ヶ島は吹き出す。
「あはは、そないに気に入っとるなら、いつでも作ったるで?」
「結構です。」
「遠慮せんでもええのに。」
「リクエストがあるなら、受けつけてやるし。」
「だから、いいですってば!」
「素直じゃねーなあ。なら、俺がリクエストしてもいいか?」
「ちょっと遠野くん!!」
「はは、大歓迎やで☆」
大曲と種ヶ島が作るお菓子を巡ってわちゃわちゃしている四人を見ながら、毛利はすすっ
と越知の近づき寄りかかる。
「月光さんももっとあのお菓子欲しかったりします?」
「そうだな。あのときのように非常に可愛らしいお前が見れるのであれば、別の効果のお
菓子も食べさせてみたいと思う。」
「月光さんがそうしたいなら、俺は全然構いまへんよ。ただ、他の先輩らに詳しく話すの
は恥ずかしいんで、なるべくならやめて欲しいです。」
恥ずかしそうに笑いながら、毛利は越知にそんなことを言う。そんな毛利にキュンとして
しまい、越知は毛利の頭を撫でる。
「恥ずかしがっているお前の顔も可愛くて好きなのだがな。しかし、お前が嫌と言うなら、
話すのはやめよう。その代わり、君島や遠野がしたと言っていた鏡の前でするのを試して
みてもよいだろうか?」
「ええっ!?」
越知の言葉に思わず大きな声を上げてしまい、他の四人が越知と毛利を見る。ピッタリと
くっつきながら、毛利の頭を撫でているのを見て、種ヶ島は思わずツッコミを入れる。
「俺らの見てないとこで、メッチャイチャイチャしよるやん!!ホンマツッキーは毛利の
こと可愛がりすぎやで!」
「そうですね。」
「まあ、俺に猫耳と尻尾作ってくれって頼むくらいだからな。」
「フッ、勘弁しろし。」
ツッコミ合い、からかい合うものの、誰もがそれぞれの関係をいいものだと思っている。
遠野が作ってきた服を着たことをきっかけに始まった大曲と種ヶ島お手製のお菓子の感想
会。いつもの集まりとはだいぶ違った雰囲気であったが、そこにいるメンバーは、その時
間を心から楽しむのであった。

                                END.

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