今日の任務を終えると、越知と毛利は二人で住んでいる自宅へと戻る。まだ越知の体の調
子が戻りきっていないので、二人はそのまま寝室へと向かう。
「月光さんは、先にベッドで休んどってください。」
「ああ。」
まだ少し重い身体でベッドに乗り上げ、越知は布団の上に座る。上着をかけたり、荷物
を置いたりしている毛利を見ながら、越知は声をかける。
「毛利。」
「はい、何です?」
「この後、するだろう?服を脱いでいてもよいだろうか?」
「えっ!?あ、えっと・・・べ、別にええですけど・・・」
思ったよりもやる気満々な越知に毛利はドギマギしてしまう。上着を脱ぎ始めている越知
を横目で見ながら、毛利は越知にバレないように深呼吸をする。
(月光さんとあーいうことするんは、月光さんついた悪いもん消すためなんやから、こな
いにドキドキしとったらアカン・・・)
何とか心を落ち着かせようと、そんなこと考える毛利であるが、ベッドの近くまで移動し
てしっかりと越知を見ると、その色気に撃沈してしまう。
「やっぱり無理や!!脱いどる月光さん、メッチャかっこええ!!こんなんドキドキして
まうに決まっとるやん!!」
「・・・毛利。」
「あ、はい!何ですか?」
「全て口に出ている。お前が嫌なら無理強いはしない。少し時間はかかるが、休んでいれ
ば勝手に消えるからな。」
「いや、全然問題ないです!!」
したくないとは一切思っていないので、毛利は慌てて服を脱ぎ、ベッドに上がる。まさか
全裸になってベッドの上に乗ってくるとは思っていなかったので、越知はドキッとしてし
まう。
「えっと、あの・・・どうしましょう?」
ベッドに乗ったはいいものの、この後どうすればよいか分からず、恥ずかしそうに首を傾
げながら毛利は尋ねる。そんな毛利が可愛らしくて仕方ないと、越知は大きく腕を広げ、
もっと近くに寄って欲しいと頼む。
「もう少し側に来てくれ。」
「はい。」
毛利が手の届く場所まで近づくと、越知は毛利の体をその腕で捕らえ、ぎゅっと抱き寄せ
る。
「わっ・・・」
「ああ、やはりお前に触れていると安心する。もうしばらくこのままでいてもよいだろう
か?」
「も、もちろんです!」
悪意を一切持たず、高い浄化能力を宿している毛利に触れることは、越知にとって非常に
心地のよいことであった。しかも今は肌と肌が直接触れ合っている。ただ抱き合っている
だけでも、少しずつ『悪意』の残滓が消えていくのを感じていた。
(月光さん、安心する言うとったけど、メッチャドキドキしとる。)
直接触れ合っている肌からいつもより速い鼓動のリズムを感じる。そんな越知の鼓動を感
じ、毛利はよりドキドキしてきてしまう。
(裸で抱き合っとると、もっといろいろして欲しくなってまう・・・)
「あの・・・月光さん。」
「ん?どうした?」
「えっと、キス・・・して欲しいです。」
顔を上げながら、上目遣いでそんなことを言ってくる毛利に、越知はふっと口元を緩ませ
る。
「そうだな。今日はいつもより長めにキスをしたいのだが、よいだろうか?」
毛利の背中に回していた腕を解き、毛利の手に指を絡ませる。恋人繋ぎのような状態で両
手をぎゅっと握られ、毛利は越知のその言葉に頷くしかなかった。
「はい、ぎょーさんしてください。」
そう言った後、毛利はきゅっと目を閉じる。可愛らしいキス待ち顔を少しの間眺めた後、
越知は毛利の唇に自身の唇を重ねる。その瞬間、ピクンと毛利の肩が震える。
(レム状態ではない毛利の反応は、いまだに初々しくて愛らしいな。)
「んっ・・・」
軽く唇を舐めると、閉じていた唇が開かれる。その隙間から舌を差し込み、越知は毛利の
舌を捉える。
「んあっ・・・!」
舌が触れると、毛利もおずおずと舌を動かす。先程レム状態でしてきたキスとは全く異な
るその控えめな動きに、越知の胸はキュンとときめく。
(愛らしいな。)
毛利の両手をぎゅっと握りながら、越知は少し激しめにその口内を弄る。
「んっ・・・んぁっ・・・んんんっ!!」
急に激しくなった越知のキスに、毛利はビクビクとその身を震わせる。
(アカン、こんなんメッチャ気持ちよくなってまう。)
毛利が気持ちよくなると、毛利の中の浄化能力は一層強まる。自分の中の残滓が次々に消
えていく感覚に、越知は言葉に出来ない心地よさを感じる。
「・・・・っ」
「あっ・・・んんっ・・・んっ・・・!」
もっともっと浄化の心地よさを味わいたいと、越知は夢中になって毛利の舌を食む。毛利
の口から溢れ、自身の口の中に流れ込んでくる唾液を越知は喉を鳴らして飲み込む。それ
は甘露を飲み込むときの心地よさに似ていた。
「ハァ・・・毛利。」
「ふあっ・・・はぁ、はぁ・・・」
口を離すと、毛利は蕩けたような表情で越知を見つめ、肩で息をしていた。どちらも服を
脱いでいるということもあり、毛利はあることに気づく。
(月光さんの、メッチャデカくなっとる。)
「あの・・・月光さん。」
「どうした?」
「月光さんはまだ完全には回復しとらんと思うんで、仰向けに寝とってください。」
毛利がそう言うならばと、越知はベッドに仰向けになる。越知が仰向けになると、毛利は
越知の体を跨ぎ、ベッドに膝をつく。そして、越知の肩の横あたりに手をつき、四つん這
いのような体勢になる。
「えっと、俺のココで、月光さんのちょっと擦ってもええですか?」
片手で自身の双丘に触れながら、毛利は越知にそう尋ねる。そんな毛利の質問にドキドキ
しながら、越知は頷いた。
「あ、ああ。構わない。」
「ほんなら・・・」
越知の大きな楔を双丘の割れ目で挟むようにして、毛利はゆっくりと腰を上下に動かす。
「んあっ・・・あんっ!!」
「・・・っ!!」
(あ、これ、俺も結構気持ちええかも・・・)
予想以上に自分も気持ちよいので、毛利は積極的に腰を動かす。越知の熱の先からは透明
な蜜が溢れ、触れている毛利のそこを濡らしていく。だんだんとヌルヌルしてくると、毛
利は腰を動かすスピードを上げる。
「あっ・・・あぁんっ・・・んあっ・・・!!」
「ハァ・・・毛利っ・・・」
「これ、どうです?気持ちええですか?」
「ああ、すごく、気持ちいい・・・」
「よかったです。んっ・・・俺も、気持ちええ・・・」
嬉しそうに微笑みながらそんなことを言ってくる毛利の顔を至近距離で見つめながら、越
知はその何とも言えない気持ちよさを堪能する。
(すごく気持ちいい。気持ちよいが・・・)
敏感な熱を毛利の双丘の間で擦られることは間違いなく気持ちいいのだが、越知の中に別
の欲求が芽生える。
「毛利・・・」
「ハァ・・・何ですか?」
腰を動かしたまま、毛利は答える。毛利の腰を両手で掴みながら、越知はしたいことを素
直に口にする。
「ん・・・そろそろお前の中に、挿れたい・・・」
越知の言葉を聞いて、毛利はピタッと腰の動きを止める。そして、体を起こし、膝立ちの
ような体勢で少しだけ後ろに下がる。
「月光さんのでヌルヌルになっとるんで、たぶん大丈夫だと思いますわ。」
「ああ。もう一つお願いがあるのだが・・・」
「何です?」
越知がそのようなことを言ってくるのは珍しいので、毛利は自分に出来ることなら何でも
してあげようといった心持ちで聞き返す。
「膝をつくのではなく、膝を立てるような形で挿れてくれるか?」
「分かりました。」
越知がそう言うならばと、毛利は膝を立てるような状態で、越知の熱を自分の中へと挿れ
る。
(あっ、月光さんの言うとったこの体勢、体が上手いこと支えられんくて・・・)
膝立ちよりもバランスが取りづらく、毛利の体重は結合部に大きくかかることになる。そ
れゆえ、予想以上に一気に奥まで入ってしまう。
「んあああぁんっ!!」
「くっ・・・!」
足を大きく開いている状態で膝を立てているため、越知からは結合部がよく見える状態に
なっていた。根本まで毛利の中に包まれている快感と視覚的な興奮で、越知の呼吸は乱れ
る。
(ああ、この光景たまらないな。)
「あっ・・・月光さんっ・・・あんっ!!」
「ハァ、ハァ・・・大丈夫か?」
「んっ、だ、大丈夫でっせ・・・あっ、せやけど、月光さんのが奥まで届いて・・・」
越知で内側が埋め尽くされている感覚がたまらないと、毛利は内側と入口をヒクヒクと収
縮させ、大きすぎる快感に息を乱す。
「動けそうか?」
「ハァ・・・んっ・・・ちょ、ちょっと待ってもらってもええですか?もぉ、入っとるだ
けで気持ちよすぎて・・・」
「急がないで大丈夫だ。」
ビクビクと下肢を震わせ、毛利は少しでも落ち着こうと大きく息を吐く。
(どこもかしこも丸見えで興奮する。動かれなくとも気持ちいいな。)
しばらくお互いの荒い息遣いだけが響き、時間だけが過ぎていく。
(そろそろ動けそうかも・・・)
だいぶ越知の熱が自分の中に馴染んできたのを感じ、毛利はゆっくりと腰を上げてみる。
越知の熱が内側の襞を擦り、ゆっくりと抜けていく感覚に、腰が砕けてしまいそうなほど
の快感を覚える。
「あああぁんっ!!」
「くっ・・・毛利っ!!」
「あっ・・・はぁ・・・アカン、気持ちよすぎる・・・!」
「ああ、確かに今日はいつもよりも気持ちいい・・・」
「ハァ、ハァ・・・んっ!!」
抜けきってしまいそうになる直前で、毛利は腰を落とそうとする。下がる動きはあまり調
整することが出来ず、勢いよく奥まで入ってしまう。
ズプッ・・・
「ひゃああぁんっ!!」
「うあっ・・・」
「月光さんの・・・奥に当たるんたまらん・・・もっと・・・」
「毛利・・・」
一度その快感を味わってしまうともう止められなくなってしまう。ゆっくりと抜き、勢い
よく奥を突く。そんな動きを毛利は夢中になって繰り返す。毛利が腰を上げるたびに、自
分の太い楔が見え、次の瞬間、極上の快感と共に毛利の中にそれが入る様を越知はじっと
眺めていた。
(毛利が気持ちよくなってくれているおかげで、ほぼ『悪意』の残滓の影響は消えている
な。)
「ああぁんっ・・・月光さん!!気持ちええ・・・あっ、あんっ・・・!!」
「ハァ、ハァ・・・毛利っ・・・」
「あっ・・・月光さん、もぉ、イッてまいそうです・・・!!」
「俺も・・・」
「月光さん、手ぇ、握っとってください!!」
先程よりも激しく腰を動かしながら、毛利は両手を越知に向かって差し出す。言われるま
ま、越知はその手に自身の指を絡め、強く握る。
「んあああっ・・・も、イクっ!!ひゃああぁんっ!!」
「ぐっ・・・毛利っ!!」
お互いの手を強く握りながら、越知も毛利も達する。越知の熱を根本まで咥え込み、ピッ
タリと双丘を越知の下腹部にくっつけながら毛利は全身を痙攣させ、熱の先端から熱い蜜
を溢す。毛利の内側では、ビクビクと越知の熱が震え、毛利の最奥をドロッとした雫で濡
らす。存分に想いを放ち合うと、二人は強く握っていた手の力を緩める。
「ハァ、ハァ・・・ハァ・・・」
「ハァ・・・お前のおかげで、『悪意』の残滓は全て消え去ったようだ。」
越知の言葉を聞いて、毛利は越知の上に乗ったままにっこりと笑う。
「そりゃよかったです!俺はこないなことでしか、月光さんの役には立てへんから、そう
言ってもらえるとメッチャ嬉しいです!」
まだ絶頂の余韻が残っているその表情に越知は胸を撃ち抜かれ、ムラッとしてしまう。寝
ていた体を起こし、毛利の腰を支えながら反転すると、先程まで自分が寝ていた場所に毛
利を仰向けにさせる。
「んあんっ・・・つ、月光さん・・・?」
「お前のおかげで、身体も自由に動くようになったからな。浄化としての交わりはもう十
分だ。ここからは浄化のためではなく、純粋に愛し合うための行為だ。」
越知のその言葉に毛利の胸はキュンキュンとときめく。
(アカン、月光さんかっこええ〜!!)
ドキドキしながら、毛利がそんなことを考えていると、越知は毛利に覆いかぶさるように
して、毛利の顔に自分の顔を近づける。
「っ!!」
「これからすることに関して、お前が望む方をしたいと思う。ゆっくりと穏やかに達する
ような交わりと数え切れないほど達するような激しい交わり、お前はどちらを選ぶ?」
どちらを選んでも越知は間違いなくその望みを叶えてくれる。ドキドキと胸を高鳴らせな
がら、毛利は自分の望む方を越知に伝える。
(そんなん決まっとろーが。)
「何回もイクくらい激しいのがええです。途中でアカンとかやめてとか言うてもやめへん
でください。」
「さすがにそれは・・・」
「お願いします!月光さんも満足するまでして欲しいんでっせ。」
「本当にいいんだな?」
「はい!」
予想以上の毛利のおねだりに越知は少し戸惑いつつも、いまだに毛利の中に入っている熱
は反応してしまう。
(毛利が望むなら・・・)
そう心の中で呟きながら、越知はぐっと腰を引き、入口からそこまで深くない場所を擦り
上げる。
「ひうっ・・・あっ、月光さんっ・・・そ、そこは・・・」
ビクンと毛利が反応すると、越知はそこを重点的に責める。
「ああぁんっ!!つ、月光さん・・・あっ・・・あんっ・・・!!」
(よく締まる。気持ちいい・・・)
軽く呼吸を乱しつつ、越知はさらにそこを責める。
「あっ・・・アカンっ!!ひっ・・・イク・・・っ!!」
大きく中が収縮し、ガクガクと痙攣している様子を見て、越知は毛利が達したことを悟る。
しかし、先程言われた通り、越知はそこでやめることはしなかった。
「次はもっと奥でイカせてやる。」
ぐっと腰を進めると、毛利はビクンと下肢を震わせる。
「ひうっ・・・奥、アカン・・・っ!!」
毛利が絶頂の余韻に蕩けているのを気に留めず、越知は激しいピストンで奥を穿つ。
「んああぁっ・・・奥、気持ちええっ・・・こんなんすぐ・・・!!」
達したばかりということもあり、毛利の内側はひどく敏感になっており、すぐに絶頂の高
みへと押し上げられる。
「月光さんっ・・・んああっ・・・また、イッ・・・―――っ!!」
先程よりも強い絶頂感に毛利は越知にしがみつき、ぎゅうぎゅうと越知の熱を締めつける。
「くっ・・・!!」
(今のは少し危なかった。)
「ハァ・・・ハァ・・・月光さん・・・んっ・・・あ・・・」
あまりの快感に毛利は目に今にも溢れんばかりの涙を溜めながら、越知に抱きついたまま、
ビクビクと全身を震わせる。内側の痙攣も治まらぬ状態で、越知は再び動き出す。
「んあんっ・・・ハァ、ハァ・・・月光さん・・・これ以上されたら・・・」
「俺はまだ満足していないからな?」
少し意地悪くそう言う越知の言葉に毛利の腹の奥はキュンキュンと疼く。
(ああ、もっと無理矢理イカされたい。)
そんな倒錯的な欲求を抱えながら、毛利は無意識に腰を揺らす。
(本当に大丈夫そうだな。)
毛利の身体はまだ自分を求めていることに気づき、越知は容赦なく毛利を責める。
「んあっ!!ひっ・・・あっ、ああんっ!!」
「ハァ・・・毛利・・・」
「ああっ・・・アカンっ・・・イ、イク・・・イクッ・・・んああぁっ!!」
毛利が何度達しようと、越知は動くのを止めず、ヌルヌルとしている毛利の中を堪能する。
(・・・そろそろ俺も限界だ。)
「ハァ・・・毛利、出る・・・!!」
「ひっ・・・あっ・・・――――っ!!」
声にならない声を上げ、毛利はもう何度目かも分からない絶頂を迎える。越知の熱い蜜で
溢れんばかりに中が満たされるのを感じ、毛利は多幸感に目を閉じた。
毛利が軽く気を失っている間に越知は後始末や片付けをする。下着やズボンを穿き直して
ベッドに戻ると、毛利がパチっと目を開ける。
「月光さん。」
「少し無理をさせてしまったな。大丈夫か?」
毛利の隣に座り、横になっている毛利の頭を撫でながら、越知は心配そうにそう尋ねる。
「はい。全然大丈夫でっせ!」
がばっと体を起こし、毛利も越知の隣に座る。多少の疲労感はあるものの、毛利が感じて
いるのは圧倒的に大きな満足感であった。毛利が隣に座ると、越知はゆっくりと口を開く。
「俺はお前にもらってばかりだな。お前がいなければ『悪意』を消す仕事は続けられない
し、先程のようなことも俺ばかりが気持ちよくなってしまって、俺はお前に何も返すこと
が出来ずにいる。」
表情はいつもと変わらないが、申し訳なさそうに越知はそう口にする。
「何言っとるんですか!全っ然そないなことないですからね!!」
「えっ・・・?」
かなり強めに否定され、越知は戸惑うような反応を見せる。
「俺はただの遊び人やし、月光さんや他の先輩らみたいにこの街のために出来ることなん
て何もあらへん。せやけど、月光さんはそんな俺のこと必要としてくれとる。それがどん
だけ俺にとって嬉しいことか分かっとります?」
「いや、しかし・・・」
「俺は月光さんのおかげで、この街にいる意味が出来ました。俺は月光さんのためなら、
何でも頑張ろうって思えるんです。昔の俺なら、全部適当でええやってなってました。」
確かに自分と出会う前は、遊び人らしくあまり何かに真剣に向き合うことはしていなかっ
たと、本人からも他のメンバーからも聞いていた。越知が何も言えずにいると、毛利はさ
らに言葉を続ける。
「せやけど、今は月光さんとおるこの生活が何よりも大切で、月光さんと離れるなんて考
えられないほど、月光さんが大好きです。せやから、月光さんがいてくれるだけで、俺は
最高に幸せなんです。」
「毛利・・・」
「俺は月光さんが思っとる以上に、ぎょーさんいろんなものを月光さんからもらってます
よ。」
毛利の言葉を聞いて、越知の胸は熱くなる。越知は『悪意』が見えるがゆえに、人間関係
を築くことが苦手であった。しかし、毛利には少しの『悪意』も感じられず、全く見えな
かった。そんな毛利と一緒にいられることは、越知にとっても非常に安心出来る幸せな時
間であった。
「俺も毛利が大好きだ。お前には少しの『悪意』も見えない。そんな人物はお前以外に会
ったことがない。だから、毛利の側だけが、俺の唯一安心出来る居場所だ。」
自分の想いが心からの言葉であることを表すために、越知は毛利をぎゅっと抱きしめる。
「月光さん・・・」
越知のその言葉と自分を抱きしめるその腕の強さに、毛利は自分の想いが一方通行ではな
いという安心感と嬉しさを感じ、甘えるように越知を抱きしめ返す。しばらくその心地よ
さに浸った後、毛利はふと浮かんだ疑問を越知に投げかける。
「俺には『悪意』がないって言うとりましたけど、大曲さんや種ヶ島さん、キミさんや遠
野さんはどんなふうに見えとるんですか?」
「アイツらの『悪意』がどう見えているかか。」
「やっぱりあるんですか?」
他のメンバーも街のためになることをしているので、『悪意』などないのではないかと毛
利は考えていた。少し考えた後、越知は順番にどう見えているかを説明する。
「大曲と種ヶ島は明確に『悪意』はある。但し、悪戯心が少し強すぎる程度のものだ。基
本的に『悪意』は黒いのだが、あの二人の『悪意』は非常にカラフルだ。」
「へぇー、『悪意』がカラフルやなんて、ホンマ大曲さんと種ヶ島さんっぽいですね!」
大曲と種ヶ島の『悪意』がカラフルだということを聞いて、それは実にあの二人らしいと
毛利は笑いながら納得する。
「そうだな。君島と遠野は・・・」
君島と遠野のことを話そうとして、越知は少し口ごもる。
「?」
「アイツらは正直ハッキリとした『悪意』は見えない。」
「えっ!?そうなんですか?」
「ああ。お前も知っていると思うが、遠野は因果を処刑というかなり暴力的な方法で消し
去るし、君島も遠野の浄化の際に、少し暴力的な方法を取ることがあると聞いている。」
「そうですね。」
「そのような方法を取るのに一切『悪意』が見えないというのは、俺には理解が出来ず、
少し怖いと感じる部分ではあるな。」
「あー、確かに。せやけど、キミさんと遠野さんっぽいいうたら、まあ、そうですよね。」
君島と遠野もなかなからしいと毛利は苦笑する。やはり、安心出来るのは純粋に『悪意』
がない毛利だけだと、越知は改めて実感する。
「やはり、俺を癒すことが出来るのは、毛利、お前だけだ。」
「えっへへ、それ聞いてメッチャ嬉しいです!俺は月光さんが俺を必要としてくれとる限
り、ずーっと側にいますからね!」
「ありがとう。助かる。」
お互いがお互いにとってなくてはならない存在だと再確認しながら、二人はぎゅっと抱き
合う。『悪意』が近寄ることが出来ないほどの幸せなオーラを放ちながら、二人はもうし
ばらくお互いの腕の中で、甘い言葉を交わし合うのであった。
END.