子ども達を引き渡した後、君島は他の者がこの教会への出入りが出来ないように再度結界
を張り直し、遠野の待つ地下室へと向かう。
(あの感じだと、今日もしっかりとした浄化が必要そうだな。)
今日は一際多く因果の穢れを浴びているようだったので、君島は心の中でそう呟く。初め
こそ戸惑うことの多かった浄化の儀式も、慣れてしまえばそれなりに楽しめるものになっ
ていた。遠野がいる地下室の扉を開けると、ベッドに寄りかかって座っている遠野と目が
合う。
「おっ、戻って来たな。」
遠野の言葉に特に返事をすることなく、君島は遠野の前まで移動する。ベッドに寄りかか
りつつ、遠野は因果の穢れで汚れたシャツを軽く羽織っているだけで、他のものは全て脱
ぎ去っている状態であった。処刑の疲労感から少しぐったりとしている表情は、君島にと
ってはひどく色気を含んだ表情に見えていた。
「何て格好してるんですか。」
「どうせこの後、浄化してくれるんだろ?だったら、この方が都合がいいと思ってよ。」
「まあ・・・その通りですけどね。」
浄化される気満々の遠野に少しドキドキしながら、君島はそう答える。そこまでやる気な
らと、君島は浄化をしやすくするための体勢になるよう指示する。
「浄化の流れは分かっていますよね?だったら、しやすくなるようなポーズをとってくだ
さい。」
「ああ。」
軽く頷くと、遠野は腕を上げ、頭の上で手を重ねる。そして、大事な部分を君島に晒すか
のようにすっと脚を開く。
(ああ、こんなに素直に言うことを聞かれたら、余計にひどくしたくなってしまう。)
遠野を浄化するための力を君島は神や精霊との交渉の末に得ているのだが、その対価とし
て、君島が嫌いな暴力性を自分の中に発現させるという枷を負っている。初めは罪悪感も
あり、葛藤することも多かったが、何度もしているうちに、自分の中にある嗜虐性を認め、
今では唯一そういう自分を出せる場ということで、遠野とのこの時間を楽しむようになっ
ていた。
「一つ・・・蜘蛛の巣ように。」
君島がそう口にすると、どこからともなく蜘蛛の糸が現れ、遠野の体に巻きついていく。
頭の上に上げられている手首は、その両手を離れないようにするかのように縛られ、広げ
られた脚も閉じられないように固定される。そして、因果の穢れが纏わりついている首に
も君島の出した糸が何重にも絡みつく。
「くっ・・・んっ・・・」
君島の糸が絡みつき、抵抗出来ないよう拘束される感覚に、遠野はゾクゾクしてしまう。
この後に来る浄化の快感に胸を高鳴らせ、期待感に満ちた視線を君島に向ける。
「今日は首のあたりが特に汚れてますね。まずはそこから浄化してあげますよ。」
嗜虐的な笑みを浮かべ、君島はそう口にする。遠野に向けてすっと指を動かすと、首に巻
きついている糸が軽く締まる。
「んぐっ・・・!」
首に絡みついている糸は、どす黒い穢れを吸収し、真っ黒に染まる。しかし、それはすぐ
に浄化され、白銀の美しい糸へと変化する。
(首が絞まってる感じなのに、呼吸がしやすくなってやがる。訳分かんねぇ感じでたまら
ねぇ。)
首元の穢れが浄化されたことにより、首が軽く絞まっているにも関わらず、非常に呼吸が
しやすくなる。こういうところが君島のしてくれる浄化のいいところだと、遠野は口元を
緩ませる。
「随分と嬉しそうな顔してますね。縛られて悦んでいるのですか?」
「さあ、どうだろうな?それより、もっとキツく締めろよ。」
上気した表情でそうねだられ、君島は指を動かし、肌に食い込ませるように遠野を締め上
げる。
「んあっ・・・!!」
手首や足に蜘蛛の糸が食い込み、遠野は思わず声を上げる。首も苦しくなりそうなギリギ
リのところまで絞め上げられ、遠野は興奮し、熱の先から蜜を溢し始める。そんな遠野の
様子に気づき、君島は表面上は冷静を装いながらもひどく興奮していた。
(縛られて絞め上げられて、こんな反応をするのはずるい。もっとイイ顔をみたい。)
もっと先に進もうと、君島は次のリリックを口にする。
「一つ・・・城壁のように。」
君島がそんな言葉を紡ぐと、その手に黒い手拭いのような布が現れる。その布を使い、君
島は遠野の目を覆い、目隠しをする。
(視覚が奪われると、他の五感で君島をより強く感じられるからな。この感じ、嫌いじゃ
ねぇ。)
蜘蛛の巣で身体の自由を奪われ、城壁の中に閉じ込められるように視覚を奪われる。しか
し、遠野はそんな不自由さを嬉々として受け入れていた。
「本格的な浄化を始める前に、私を楽しませてください。」
遠野には見えていないものの、君島は妖しげな笑みを浮かべ、遠野の頬を指先で撫でる。
そして、その指で遠野の唇に触れ、口を開けるように促す。
「遠野くん、口を開けて。」
君島にそう言われ、遠野は大きく口を開ける。カチャカチャとズボンに手をかけ、既にあ
る程度の大きさになっている熱を出す。遠野の髪を掴み、遠野の口元に近づけると、遠野
がひどく呼吸を乱し始めていることに君島は気づく。
(さっきの服の音に、君島がさっきよりも近づいてる気配。それに、君島のニオイ・・・
ああ、君島のがすぐ近くにある。)
「見えていないのに、興奮してるんですか?本当やらしいですね。」
「ハァ・・・早く口の中に挿れろよ。」
「そこまで分かっているのはさすがですね。お望み通り遠野くんの口、犯してあげますよ。
ああ、この場合は浄化かな?私の出すものにはちゃんと浄化の効果をつけておくので、残
さず飲み込んでくださいね。」
遠野の髪を掴んだまま、君島は遠野の口に自身を捩じ込む。
「ぐっ・・・んんっ・・・」
「縛られて、目隠しをされて、無理矢理口の中に挿れられて・・・こんなひどいことをし
ているのに、感じているのですね。」
目隠しのため、目元がどうなっているのかは分からないが、遠野の顔は赤く染まり、ビク
ビクとその身を震わせ、すっかり勃ち上がっている熱からは先程よりも多くの透明な蜜が
溢れている。そんな遠野をもっと悦ばせてやろうと、君島は腰を動かす。
「んんっ・・・んっ・・・ぐっ・・・」
(口の中を君島のが出たり入ったりしてる。君島のカタチにニオイに味。いつもよりハッ
キリ分かってたまらねぇ・・・)
君島に口の中を犯されながら、遠野は恍惚とした表情になる。そんな遠野を眺め、君島は
直接的な気持ちよさと興奮に笑みを浮かべる。
「遠野くんの口、すごく気持ちいいです。」
「んんっ・・・んっ・・・」
少し呼吸が荒くなっている君島の声を聞き、遠野はゾクゾクとその身を震わせる。遠野の
口を堪能しつつ、君島の熱は昂ぶっていく。
「遠野くん、そろそろイキそうです・・・」
「んんんっ・・・」
「んっ・・・遠野くん!!」
「ぐっ・・・んんんっ!!」
口の中に君島の蜜が放たれ、遠野はそれを喉を鳴らして飲み込む。それと同時に遠野も熱
の先から濃い白濁の蜜を放つ。君島の出したものを飲み込むと、先程までの疲労が消え去
り、一気に身体が楽になる。
「はっ・・・ハァ、ハァ・・・」
口を開き、口の端から雫を垂らしながら肩で息をしている遠野を見て、君島はその艶やか
さに心を奪われる。
「ちゃんと全部飲み込みましたね。」
「ハァ・・・ああ。浄化の効果だけじゃなくて、回復の効果もつけてくれたんだな。一気
に身体が楽になったぜ。」
「この後の本格的な浄化のことを考えると、その方がいいでしょう?」
君島のその言葉に遠野はゾクッとする。君島がしてくれる本格的な浄化こそ、遠野が心か
ら求めていることであった。
(ああ、早く浄化されてぇ。)
再び興奮しているような態度を見せる遠野に、君島もその気になる。蜘蛛の糸での拘束と
目隠しはそのままに、君島は遠野の身体で一際穢れが多くかかっているところに手を触れ
る。
「一つ・・・水面のように。」
君島がそう口にすると同時に、君島の手の平から眩い光が放たれる。その光は遠野の身体
についている穢れを抉るように消し去り、波紋のように円を描いて遠野の肌に広がってい
く。
「いっ・・・あああぁっ!!」
穢れの中心に光が当たると、まるで刃で刺され抉られているような激しい痛みを感じる。
それゆえ、遠野は痛みに顔を歪め、悲鳴を上げる。しかし、遠野はこの痛みが好きであっ
た。穢れが浄化され、光が波紋のように広がるとき、その痛みを凌駕する快感が光の波紋
に合わせて広がるのだ。
「んああぁんっ!!今日の・・・スゲェ・・・!」
痛みが強ければ強いほど、その後に来る快感が大きくなることを遠野は知っていた。だか
らこそ、遠野にとって浄化の際に感じる強い痛みは、果てしなく大きな快感を迎えるため
の合図になっていた。
「このへんもかなり汚れていますね。」
また違う場所に手をかざし、君島はその部分を浄化する。
「うあああっ・・・痛ってぇ・・・!!」
激痛に悲鳴を上げる遠野であるが、その口元は緩んでいる。君島の放つ光が広がると、遠
野は甘い悲鳴を上げ、君島の名を口にする。
「あああぁんっ!!君島ぁっ!!ひっ・・・気持ちいい・・・!!」
苦痛に顔を歪ませた後、一気に快感に溺れるような表情に変わる。そんな遠野の反応が君
島を楽しませる。
「今日はいつもより穢れがたくさんかかっていますね。少し時間をかけて浄化しますよ。」
「あっ・・・そうこなくちゃな・・・わざとたくさん浴びた甲斐があったぜ・・・」
「えっ?」
目隠しで目元は分からないものの口元は明らかに笑っているような雰囲気で、遠野はボソ
っとそう口にする。あまりハッキリとは聞こえなかったので、その場ではスルーする君島
であったが、遠野のその言葉は君島の心に引っかかる。
「因果の穢れ・・・お前のその手で、全部浄化してくれ・・・」
「ええ。」
遠野の誘いに頷くと、君島は遠野の身体から因果の穢れを全て消すために浄化を続ける。
君島の放つ光の波紋は重なれば重なるほど、大きな快感を生み出す。
「んああっ・・・そこ、気持ちいいっ!!ぐっ・・・痛っ・・・あ、あああっ!!」
君島が与える痛みと快感の波に遠野は夢中になる。目隠しをされているがゆえに、君島の
浄化の光がどう広がるかは予測出来ず、予想外の場所が気持ちよくなる。因果の穢れが消
え去り、全身が光の波紋で覆われると、遠野は極上の絶頂感にその身を焦がす。
「んああぁっ・・・ひっ・・・イッ・・・クっ・・・あああぁっ!!」
君島の光に包まれ、遠野は深く達する。自分の手で遠野がより魅力的で美しい姿になって
いることに君島はひどく高揚する。
「少し時間はかかりましたが、遠野くんの外側はしっかり浄化出来ましたよ。」
「ハァ・・・君島・・・」
「今度は遠野くんの内側を浄化してあげますね。」
興奮した様子でにっこりと笑いながら、君島は自身の熱を遠野の開かれた脚の中心にあて
がう。
「君島・・・」
「どうして欲しいですか?」
「早く・・・俺の中も、浄化してくれ・・・」
「いいですよ。繋がるときは、蜘蛛の巣も目隠しも外してあげますね。」
ズブっと遠野の中に自身を埋めると、君島は次のリリックを口にする。
「一つ・・・湖面を飛び立つ白鳥のように。」
次の瞬間、遠野のを縛っていた蜘蛛の巣は消え、視覚を奪っていた目隠しもハラリと落ち
て消える。その代わりに遠野の身体はふわっと浮かぶ。
「んあっ・・・あああぁっ!!」
浮遊魔法を遠野にかけ、君島は遠野の奥を穿つ。縛られて身動きが取れなかった状態から
一転して、何も支えがなくなった遠野は君島に縋りつくように腕を伸ばす。
「そんなにしがみつかなくても落ちませんよ?」
「んなこと言われても・・・こんなふうに浮かされたら・・・」
「白鳥が飛び立つように浮いた状態で、存分に私を感じてください。」
先程までは隠されていた遠野の目を見据え、君島は浮遊魔法で遠野の身体を操作し、より
深く繋がるように遠野の腰を軽く下げる。
「ああぁんっ・・・深いっ・・・!!」
「これくらい深く繋がるのが、遠野くんは好きでしょう?」
「んっ・・・好きぃ・・・」
素直にそう答える遠野の言葉に、君島の口元は緩む。
「可愛いですね。素直に答えられたご褒美にもっと激しくしてあげます。」
遠野の腰を支えながら、君島は遠野の中が激しく擦れるように遠野の身体を操作する。
「ひあっ・・・あんっ・・・激しいっ!!」
「ハァ・・・遠野くんの中、柔らかくて私のモノに絡みついてきて、最高に気持ちいいで
すよ。」
「あっ・・・ああんっ!!気持ちいい・・・んあっ・・・!!」
君島にしがみつき、背中を仰け反らせながら、遠野は君島の与えてくれる快感を全身で受
け止める。
「遠野くん。」
「はっ・・・んっ・・・何だよ?」
「遠野くんの中に出すときに、水面でする浄化を遠野くんの中でしてあげますね。」
「なっ!?そんなことされたら・・・」
痛みと快感で何も考えられなくなるあの浄化を今度は内側からすると言う。それは耐えら
れる気がしないと、遠野は戸惑いと期待で心臓が大きく跳ねる。
「穢れはもう消えているので、痛みはありませんよ。遠野くんが感じるのは、極上の快感
だけです。」
遠野の顔に自身の顔を近づけ、妖しく笑いながら君島はそう口にする。
(そんなこと言われたら、そうして欲しくなっちまう・・・)
「・・・して。」
「ん?何です?」
「君島の言ったそれ・・・して欲しい・・・」
「いいですよ。遠野くんがそう望むなら、遠慮なくさせてもらいますね。」
遠野もその気になってくれたので、君島は遠野の中を浄化するために、好き勝手に動き出
す。君島の蜜で浄化される期待感に胸を躍らせ、遠野の快感は次第に高まっていく。
「ああっ・・・君島っ・・・ひあっ・・・ああぁんっ!!」
「ハァ・・・遠野くん、そろそろ最後の浄化をしてあげますね。」
あまりの気持ちよさに君島は激しく呼吸を乱しながらそう口にする。遠野の中でイキそう
になると、君島は浄化の力を一点に集中させる。
「くっ・・・出しますよ。」
その言葉に遠野はぎゅっと君島にしがみつきながら、その瞬間を待つ。君島の熱い雫が放
たれると同時に、遠野の腹部は真っ白な眩い光に包まれる。
(これは・・・マジでヤバイっ・・・)
痛みはなく、ただただ深く濃厚な快感が遠野の中で弾けて広がる。甘く蕩けるような浮遊
感に、全てが真っ白に染まり、柔らかな羽で包まれるような心地よさ。それはまさに湖面
を飛び立つ白鳥のような甘美で艶やかな絶頂であった。
「――――っ!!」
声にならない声を上げ、遠野は君島の腕の中で堕ちる。眩しいほどの浄化の光に包まれな
がら、二人はしばらくその身を繋げたままでいた。
浄化の儀式を終えると、遠野はベッドの上にあぐらで座り、君島はベッドの端に腰かけて
いた。因果の穢れが消え去り、ある程度の回復魔法をかけてもらった遠野は、浄化をする
前と比べて生き生きとし、かなり元気になっていた。
「やっぱ、浄化してもらった後はスゲェ気分がいいな。身体も軽いし、疲労感もなくな
ってる。」
「それが目的ですからね。きちんと浄化出来たようで何よりです。」
「君島は浄化の力使って、疲れるような状態になったりはしねぇのか?」
自分は処刑を終えた後は、疲労感でぐったりとしてしまうので、遠野は興味本位で君島に
そう尋ねる。
「特にならないですね。」
「さすがだな。」
「遠野くんの処刑ほど、激しいことはしないですし。」
「激しくねぇことはねぇと思うけど・・・」
浄化のときにされることを思い出し、遠野はほんの少し顔を赤らめながらそう返す。
「そんなことより、毎度納得いかないことがあるんですよね。」
「へぇ、何だよ?」
軽く流されているのは分かっているが、なかなか気になることを君島が言ってくるので、
遠野はそう聞き返す。
「遠野くんの処刑を受けた子ども達は、総じて遠野くんが夢に出てきて、優しく微笑んで
いて、すごく綺麗だったと言うんです。今日の子達は女神様みたいだったとまで言ってい
ましたね。」
「ほぅ、よく分かってるじゃねーか。」
そう言われるのは悪い気分ではないと、遠野はニヤリと笑いながらそんなことを言う。
「実際には激しい処刑をして、サディスティックに笑ってるわけじゃないですか。そんな
状況を毎度見せられているので、個人的には納得いかないんですよね。」
「まあ、夢の中の話だしな。ちなみにお前は女神様のように優しく微笑んでる俺の方が好
みなのか?」
「そんなの・・・」
そっちの方がいいに決まっていると言おうとして、自分にとってどちらの方が好みなのか
を君島は改めて考えてみる。
(ビジュアル的には悪くないかもしれないけれど、それだと遠野くんらしさが半減してし
まうな。それはちょっと・・・)
遠野らしさが減ってしまうのは納得がいかないと、君島はいつもの遠野の方がいいと思っ
てしまう。
「・・・いつもの遠野くんの方がいいです。」
「へぇ、そうなんだな。てっきりガキの夢に出てくる俺の方がいいって言うのかと思って
たぜ。」
いつもの方がいいと言われ、遠野は嬉しそうな表情になる。そう思ってしまったことが少
し悔しくて、君島は遠野から目を逸らす。
「まあ、あんな暴力的なことをしながら、ひどく興奮して笑っているのは、さすがにと思
いますけどね。」
処刑中の遠野を思い出しながら、先程言ってしまったことを誤魔化すように、君島はそう
呟く。さすがにあれは理解出来ないと君島は本気で思っていた。
「アレはまあ処刑が楽しいっていうのもあるけどよ、興奮するのは処刑してるからだけじ
ゃないぜ。」
「えっ?どういうことですか?」
「因果の穢れを浴びれば、君島が必ず浄化してくれるだろ?穢れを浄化されるときのあの
痛みと快感。それが本当楽しみでよ。それを君島にしてもらえると思ったら、そりゃ興奮
するし、笑いも込み上げてくるってもんだ。」
妖しく笑いながらそんなことを言う遠野の言葉に君島の心臓は跳ねる。
(つまり、遠野くんが処刑中にひどく興奮するのは、その後の私との浄化の儀式を期待し
て・・・?)
そのことに気づき、君島の顔は赤く染まる。まさか処刑中にそんなことを考えているとは
思ってもいなかった。
「それを聞かされて、私はどんな反応をすればいいんですか?」
「知らねーよ。別に嫌ではねーだろ?」
「嫌ではないですけど・・・次からどういう気持ちで遠野くんの処刑を見てればいいか分
からなくなります。」
かなり困惑しているような君島に、遠野は悪戯っ子のように笑って言葉を返す。
「お前も俺を浄化するのを楽しみにしてればいいんじゃねーの?」
「なっ!?」
「だって、君島、俺を浄化するの好きだろ?浄化してるときのお前、スゲェ楽しそうに笑
ってるし。」
「そんなことは・・・」
ないと言い切れないと、君島の言葉は途中で途切れる。
「俺は悪い因果を処刑して、処刑をすることで出来る因果はお前が俺を痛めつけながら浄
化することで解決する。で、お前が俺を痛めつける因果はお前が嫌いな暴力性を自分の中
に顕在化させるってことでチャラになる。」
因果応報が自分達の中で巡り、何の問題もなくなっているようなことを遠野は口にする。
「確かにそうですが・・・」
「そして、俺とお前はその一連の流れを今は存分に楽しむことが出来る。悪いことなんて
一つもねぇ。むしろ、いいことずくめじゃねーか。」
楽しげにそう言う遠野の言葉に君島はしばらく黙る。外から見たら問題だらけかもしれな
いが、自分と遠野の中では確かに少しも悪いところはない。そうであれば、何も悩むこと
はないのではないかと君島も納得する。
「不幸な子ども達を救うことが出来て、私と遠野くんは浄化の儀式を楽しめる。確かに悪
いことはないですね。」
「だろぉ?だからこれからも、俺が処刑をするときはあの激しい浄化を頼むぜ。」
「本当遠野くんは、ドMで困った人ですね。まあ、子ども達を助けられるのは遠野くんの
処刑ありきですからね。仕方がないので協力してあげますよ。」
いかにも君島らしい言い回しだと、遠野は嬉しそうに口元を緩ませる。君島の抒情詩(リ
リック)による浄化という名の至福の時間。その時間を幾度も重ねるたびに、二人の倒錯
的な関係はさらに深く強固なものになるのであった。
END.