去年は二人で過ごした10月4日。宍戸は昔からの友人を連れて、跡部の城へとやってき
た。跡部の誕生日をもっとたくさん祝いたいと思ってのことだ。
「跡部、来てやったやったぜ。」
「ああ、入っていいぜ。」
跡部に声をかけ、宍戸は跡部の部屋へと入る。そんな宍戸と一緒に宍戸に連れられてきた
メンバーも部屋に入った。
「うわあ、本当に城って感じだな。」
「魔王の城ってことやろ?けど、来た理由が戦うんやなくて、誕生パーティーってのもな
かなかおもろいけどな。」
「まあ、いいんじゃない。あれだけ魔王を倒したいって言ってた宍戸がこんなこと頼んで
るんだし。」
「そうですね。」
「ウス。」
「俺はとりあえず楽しけりゃい〜C〜。」
跡部の部屋に入ると、宍戸と一緒に来たメンバーは好き勝手に喋る。こんなにたくさんの
人が訪れてくるのは初めてであるが、跡部は特に戸惑う様子もなく、いつも通りの表情で
訪れたメンバーを見回した。
「随分たくさん呼んだんだな。」
「おう。一応今回もケーキとか買ってきたんだぜ。去年よりももっともっと大きいやつを。」
「まあ、この人数だしな。ここにいても何も出来ねぇし、とりあえず、食堂に移動するか。」
宍戸が誕生日パーティーをしたいということで、跡部は宍戸の誕生日と同じように食事を
用意していた。
「誕生日パーティーらしいからな。好きなだけ食ってけ。」
「すっごい豪華だC〜!!」
「予想以上やわ。」
「どれも美味そー。」
まさに晩餐会といった食堂の雰囲気に宍戸に連れられてきたメンバーは目を輝かせる。そ
こまで顔には出さないが跡部は嬉しそうであるし、招待したメンバーもはしゃいでいるの
で、宍戸は跡部の隣の席に座りながら、ふっと笑った。
「それじゃあ、跡部の誕生日パーティーを始めるぜ。いいよな、、跡部。」
「ああ、初めて会う奴ばかりだが、楽しんでいってくれ。別に毒なんて盛ってねぇから、
安心して食べていいぜ。」
『いただきます!』
宍戸の言葉と跡部の言葉を合図に、晩餐会もとい跡部の誕生日パーティーが始まった。用
意された食事を食べながら、宍戸に招待されたメンバーは自己紹介を始める。宍戸が勇者
なので、他のメンバーも同じようなものだと思っていたが、全員が異なる職業で話を聞い
ているだけでも、かなり個性的なメンバーであった。
「魔王って聞いて、来る前はちょっと怖かったけど、宍戸の言った通りそうでもないね。」
「宍戸にも話してるが、別に悪いことはしてねーだろうが。」
「確かになー。世界征服とか興味ねぇの?」
「興味ねぇ。何のメリットがあるか分からねぇし。」
「変わった魔王さんやな。じゃあ、何が目的でここにいるん?」
「なら、聞くが、お前は何のために生きている?そう聞かれて即答出来んのかよ?」
跡部に興味深々とばかりに、錬金術師の滝、冒険者の岳人、商人の忍足は跡部と話す。軽
い質問に哲学的な質問で返され、忍足は苦笑する。
「あー、それは確かに即答出来へんわ。」
「まあ、宍戸はそう聞いたら俺を倒すためだって、即答してくるんだけどな。」
「だって、本当のことだしよ。」
「さすがだねー。でも、倒したくても殺したくはないんだよね。宍戸も相当変わった勇者
だと思うよ。魔王の誕生日会したいとか言い出すし。」
「い、いいじゃねぇか。誕生日は祝われたら嬉しいだろ!」
滝にからかうようなことを言われ、宍戸はほんの少し顔を赤くしてそう言い返す。話を聞
いて何となく分かってはいたが、本当に宍戸は跡部のことが好きなんだなあと、一緒に来
たメンバーはほんわかとした気分になる。
「あー、ご飯は超おいしいけど、眠くなってきたー・・・・」
「ダメですよ、ジローさん。食べてるときに寝ちゃ。」
「ほっとけほっとけ。いつものことだし。」
「ウス。」
遊び人のジローは、いつでもどこでも眠ってしまう癖があるため、ここでもその癖を発揮
していた。ヒーラーの鳳と精霊使いの樺地は、他のメンバーより年下で真面目で、年上メ
ンバーに振り回されることも多々あるが、それが迷惑だとか嫌だとは全く思っていなかっ
た。
「こんなにたくさんの奴と一度に喋るなんて初めてで、ちょっと変な感じだが、悪くはね
ぇ感じだな。」
「そうか。それならよかった。みんなお前へのプレゼント用意してるから、ちゃんと受け
取っとけよ。」
「ああ。」
予想以上にいろいろなメンバーと話すのが楽しいと、跡部はこっそり宍戸に話す。跡部が
喜んでくれているような言葉を聞いて、宍戸も嬉しくなった。
たくさんのご馳走と大きなケーキを全員で食べ終えると、それぞれ跡部に用意してきたプ
レゼントを渡す。その時点でいい時間になっていたので、プレゼントを渡した後、宍戸以
外は帰って行った。残された宍戸は残りの時間を跡部と二人で過ごそうと、他のメンバー
を見送った後、跡部と一緒に部屋へと戻る。
「いきなりあんな大人数で押しかけちまって悪かったな。」
「いや、思ったより楽しかったし、誕生日を祝われるのが二回目にしてはかなり豪勢な感
じだったと思うぜ。」
「迷惑ではなかったか?」
「もちろんだ。お前と二人で過ごす時間がちょっと少なくなっちまったのが残念だけどな。」
「でも、まだ跡部の誕生日終わらねぇし。」
「そうだな。」
これから二人の時間を過ごそうというオーラを出している宍戸に、跡部は嬉しくなる。
「跡部、今日はどうしたい?」
「何でもしていいのか?」
「ま、まあ、今日は跡部の誕生日だから、出来るだけ跡部がしたいようにすればいいかな
って・・・思ってはいるけどよ。」
「だったら・・・」
いつもの戦う雰囲気とは異なる雰囲気で、跡部はベッドに腰掛ける。そして、着ている服
を緩めると、宍戸に向かって手を伸ばした。
「今日はお前が来いよ。いつもは俺が無理矢理するみてぇになってるからな。」
「えっと・・・」
「今日は戦う感じじゃなくてもいいぜ。」
「お、おう・・・・」
ドキドキしながら、宍戸は跡部に近づく。自分も軽く服を緩めると、跡部の足を跨ぐよう
にベッドに膝を乗せ、跡部の首に腕を回した。
「何かすげぇ恥ずかしい・・・」
「俺はすげぇイイ気分だぜ。」
宍戸の顔に手を添え、頬や額に口づける。唇以外の顔の各パーツにキスをすると、跡部は
その唇を宍戸の耳元に持っていった。
「服、脱げよ。」
「っ!!」
耳元で囁かれ、宍戸はビクっと体を震わせる。心臓をバクバクさせながら、服に手をかけ
跡部に言われた通り、上半身に身に着けていた服を脱いでいく。あらわになった首筋に唇
を押しつけ、そのまま下へと下がっていく。
「んっ・・・」
「腕、後ろにやっとけよ。」
腕を後ろで組むように指示し、胸を強調させるような体勢にする。突き出された胸をなぞ
るように舐め、両側にある突起の一方をちゅっと口に含んだ。
「あっ・・・!」
「お前のココは敏感でいいな。ちょっと刺激するだけでも、こんなになるんだもんな。」
「やっ・・・跡部っ・・・」
口に含んだまま、舐めたり甘噛みをしたりを繰り返すと、宍戸の突起は赤く充血し、先程
よりも硬くなる。切ないような痺れるような感覚に、宍戸の顔は赤く染まり、呼吸も乱れ
てきている。
「こっちもして欲しいか?」
まだ弄ってない方の突起に軽く指を触れ、跡部はそう尋ねる。そんな跡部の問いに宍戸は
こくこくと頷いた。
「んっ・・・あっ・・・ああっ・・・!!」
触れてほしくて仕方がなかったそこを吸われ、宍戸はビクビクと大きな反応を見せる。胸
だけでこんなによくなってしまったら、この後どうなってしまうのだろうと宍戸はいけな
い期待感に胸を高鳴らせていた。
(こんなんじゃ、胸だけでイッまいそう。気持ちいい・・・)
「跡部っ・・・」
「すげぇエロい顔してるな。その顔好きだぜ。」
「そんなこと言うなっ・・・」
「けど、ここだけでイッちまいそうなんだろ?」
「ああっ・・・!!」
両方の突起を一度に責められ、宍戸は達してしまう。恥ずかしさから涙目になり、濡れた
服の不快感に足をもぞもぞさせる。
「下も脱いじまえよ。」
「・・・・・」
下に身に着けていたものも全て脱ぎ去ってしまい、一糸纏わぬ姿になる。そんな宍戸の腕
を引っ張りながら、跡部はベッドの上に仰向けに倒れる。跡部に引きずられるように倒れ
た宍戸は跡部を押し倒すような体勢で四つん這いになった。
「この体勢だと、お前の顔が近くにあっていいな。」
「跡部の顔が下にあると、変な感じだぞ。」
「このまま後ろを慣らしてやるから、いい顔みせろよ?」
跡部の両手は自分の顔に触れているのに、どうやって慣らすのだろうと不思議に思ってい
ると、双丘の中心にひたりと濡れた感触が走る。バッと後ろを振り返ってみるが、特に何
も見当たらない。感触はハッキリとあるのに、何もないという状況に宍戸はひどく困惑す
る。
「えっ・・・何?どういうことだ?・・・ひあっ!!」
入口を十分に濡らされた後、何かが中に入ってくる。しかし、やはりそこには何も見えな
い。
「な、なんか・・・入って・・・ああぁっ!!」
「俺には見えてるから、大丈夫だぜ。まあ、俺が操作してるわけだしな。」
「んんっ・・・コレ、結構デカイ・・・」
「お前にはちょうどいい大きさだろ?」
「そんなこと・・・んっ・・いっ・・・・」
透明な触手のような何かに内側を慣らされながら、宍戸は四つん這いのまま腰を揺らして
甘い声を上げる。初めはゆっくりと動いていたそれも次第に激しい動きになっていく。
「ああっ・・・んあっ・・・ああぁっ!!」
目の前で激しく喘ぐ宍戸の顔を見ながら、跡部はだんだんと興奮していく。もっとたくさ
ん鳴かせてやろうと、透明なそれをより大きく凸凹した形に変える。
「ひぅっ・・・ああっ・・・うああぁっ・・・!!」
「最高にいい表情だぜ。その悲鳴みたいな声もたまらねぇしな。」
「ハァ・・・跡部っ・・もう・・ダメっ・・・・イクっ・・・イクっ・・・―――っ!!」
ビクンと背中を仰け反らせ、宍戸は跡部の腹のあたりに熱いミルクをこぼす。透明な触手
を中から抜いてやると、宍戸はビクビクとその身を痙攣させたまま、跡部の肩に突っ伏し
た。
「ふぅっ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
「もうへばってるのか?」
「んなこと・・ねぇ・・・」
「だったら、顔を上げろ。」
挑発するような跡部の言葉に、まだ息を整えられていない状態で宍戸は顔を上げる。その
顔があまりにも扇情的な表情であったため、跡部は宍戸の頭を引き寄せ、少々激しめのキ
スをした。
「んむっ・・・んんっ・・・・」
今さっき出したものの跡部にキスをされ、宍戸の熱は再び硬さを取り戻す。
「ふはぁ・・・・」
「もう十分にほぐれてんだろ?今日はお前が自分で入れろよ。」
いつもは嫌がろうがどうしようが、跡部が無理矢理入れてくるので、宍戸自ら入れるとい
うことはほとんどなかった。しかし、今日は跡部の誕生日だ。跡部がそうして欲しいなら
と宍戸は仰向けになったままの跡部の腰のあたりに移動し、疼く蕾に跡部の熱を入れる。
「んっ・・・はあぁっ・・・・」
透明の触手で奥の奥まで慣らされた宍戸のそこは、いとも簡単に跡部の熱を飲み込む。宍
戸の内側の心地よい熱さとほどよい圧迫感に跡部は吐息を漏らす。
「ハァ・・・ちゃんと入れられたじゃねぇか。」
「当たり前だろっ・・・これくらい全然・・・余裕だぜ。」
「ここまでお前自ら動いてくれること滅多にねぇから、すげぇ嬉しいぜ。」
ふっと微笑みながらそんなことを言う跡部に、宍戸の胸はきゅんとときめく。もっと跡部
の顔を近くで見たいと思っていると、跡部の方が体を起こし、ぎゅっと宍戸の背中を抱い
た。
「やっぱりこのくらいの距離で顔が見れた方がいいな。」
かなりの至近距離に跡部の顔がある状態に、宍戸の鼓動は速くなる。
「この体勢だと・・・俺、そんなに動けないんだけど・・・」
「俺に任せとけ。いつも通り、最高によくしてやるから。」
宍戸の身体をしっかりと抱きしめながら、跡部は宍戸の中を穿つ。戦っているときとは全
く異なる無理矢理感のないピストンに、宍戸は頭から爪先まで甘く痺れるような快感を感
じる。
「あっ・・・んぅ・・・・」
「なあ、宍戸。」
「な・・に・・・?」
「この状態で、俺のことどう思ってるか言葉にしてくれねぇか?」
「俺の誕生日に・・・言ったみたいなことで・・・・いいのか?」
「ああ。」
自分の誕生日のときは、あまりの気持ちよさに意識が朦朧としていた状態であったので、
そこまで恥ずかしさは感じなかったが、ある程度冷静に頭が働く今の状態で、その言葉を
口にするにはほんの少し抵抗があった。しかし、跡部がその言葉を求めているならと、宍
戸は羞恥心を堪え、その言葉を口にする。
「好き・・・」
ぎゅっと跡部に抱きつきながら、宍戸は跡部の耳元で呟く。それだけでもう達してしまい
そうなほど、跡部はどうしようもない快感と興奮を感じていた。
「もう一回言えよ。」
「・・・・・」
「宍戸。」
「そんなに・・・何回も言うの・・・・恥ずかしい・・・・」
「今日は俺の誕生日だぜ?」
そう言われてしまっては、言わないわけにいかなくなってしまう。恥ずかしさを堪えるよ
うに跡部に抱きつく腕に力を込め、もう一度その言葉を口にした。
「跡部・・・好き・・・・」
宍戸の声で何度でも聞きたい言葉を聞くことが出来、跡部は満足そうに笑う。そして、宍
戸の顔を自分の正面に捉えると、ゆっくりと唇を重ねる。全身で繋がってる心地よさを感
じて、どちらもお互いへの想いを放った。
「・・・もう少し、繋がっててもいいか?」
ここで終わらせることも出来るが、跡部はもう少し宍戸と繋がっていたいとそんなことを
尋ねる。そんな跡部の問いに宍戸はコクンと頷いて答えた。
存分に甘く心地の良い時間を過ごすと、宍戸は横になりながらぼーっと跡部の顔を眺めて
いた。
「疲れたか?」
「いや、いつもに比べりゃそこまででもねぇんだけど、何か今日は変にぼーっとしちまっ
て。」
「俺様とするのが、良すぎたからだろ?」
「べ、別にそんなことねぇし。」
「素直じゃねぇなあ。」
こんなことで真っ赤になる宍戸が初々しくて可愛いと、跡部は顔を緩ませる。たくさんの
者に祝われ、宍戸と先程のような時間を過ごすことが出来、今日は本当にいい一日だった
と跡部は幸せな気分になる。
「跡部。」
「どうした?」
横になったまま隣に座っている跡部の手を握り、宍戸は跡部の名を呼ぶ。跡部が自分の方
を見ると、宍戸は言葉を続けた。
「誕生日おめでとう。」
改めてその言葉を言われ、跡部の胸は先程以上に満たされる。宍戸と出会うまでは、何の
感慨もなかった自分の誕生日。それが去年からは、こんなにも幸せを感じられる日になっ
ている。
「ありがとな。お前と過ごせる誕生日は、他のどんな日よりも最高の一日になってるぜ。」
「俺もな・・・」
「何だ?」
「今年は跡部に誕生日祝ってもらって、すげぇ嬉しかった。言われるまで忘れてたくらい
だから、いつもはそんなに特別な日って感じじゃなかったんだけどよ。」
「好きな奴に祝ってもらえる誕生日ってのは、いいもんだな。」
「ああ。それはすげぇそう思うぜ。」
お互いに誕生日を祝えたのがとてもよかったと、二人は笑い合う。
「来年もしっかり祝ってやるから、覚悟しとけよ?」
「こっちこそ。もっともっと豪華な誕生日パーティーにしてやるからな!」
誰もが一つ持って生まれた記念日を来年も祝う約束をし、跡部と宍戸はあと少しで終わる
跡部の誕生日という特別な日を幸せな気分で過ごすのであった。
END.