Snug Days ― おまけ(跡宍) ―

跡部の家でシャワーを浴びた宍戸は、跡部のパジャマを着て、タオルを首にかけ、跡部の
いる部屋に戻ってくる。
「跡部、シャワー浴びてきたぜ。」
「ああ。」
ベッドに座って本を読んでいた跡部だったが、宍戸が戻ってきたので読むのをやめる。自
分の家ではない緊張感からか、宍戸は少しドギマギしているようだ。
「ほら、そんなとこに突っ立ってねぇで、こっち来いよ。」
「お、おう。」
跡部に呼ばれ、宍戸はドキドキしながら跡部のベッドへ向かう。宍戸が手の届くところま
で近づくと、跡部は宍戸の腕を掴み、ぐいっと自分の方へ引っ張った。
「うっわ!!」
「まだ、髪濡れてるじゃねぇか。ほら、タオル貸せ。」
「う〜、いいー。自分で拭けるって。」
髪を拭いてもらうなんて子供みたいで嫌だと、嫌がる宍戸だったが、跡部は宍戸の首にか
かっていたタオルを奪いとり、わしゃわしゃと髪を拭き始める。そこまでされたら、もう
嫌がっても無駄だと、宍戸は抵抗するのをやめた。しっかり髪の毛の水気を取ると、跡部
は満足したかのように、使ったタオルをベッドの横の棚に置く。
「嫌だっつってんのに・・・」
「髪濡れたまま寝て、風邪引いちまったら困るだろ。」
「だから、自分で拭けるって言ったじゃんか。」
「俺様が拭きたかったんだから別にいいだろ。」
「ぶー。」
そう言われるとそれ以上文句は言えない。少し拗ねたような顔をして、宍戸は跡部の肩に
ボスッと顔を埋めた。その瞬間、ほのかにシャンプーの香りが髪の毛から漂ってくる。
「テメェ、すげぇいい匂いだぜ。」
「へっ?」
いきなり何を言い出すんだと宍戸は顔を上げる。その瞬間、額にちゅっとキスをされた。
してやったりと笑っている跡部の顔を見て、宍戸はかあっと顔を赤く染める。
「な、何しやがんだ!!」
「テメェがあまりにもいい匂いさせて、可愛い顔してやがるからよ。」
「いい匂いってシャンプーの匂いだろ!だったら、跡部だって同じ匂いじゃねぇか!!」
「アーン?匂いってのは、その人自身の匂いと混ざって若干変わんだよ。」
「じゃ、じゃあ、俺の匂いってどんなんなんだよ?」
そんな宍戸の質問に、跡部はニヤリと笑ってしばらく黙っている。そして、宍戸が痺れを
切らし、何かを言おうとするその瞬間に、耳元で囁いてやる。
「俺様を夢中にさせる最高にいい香りだぜ。今だってもうテメェにメロメロだ。」
「っ!?」
耳元でそんなことを囁かれ、宍戸はドキドキしすぎて腰砕け状態。どうしてこう恥ずかし
いことをポンポン言ってくるんだと思いながらも、何も言葉が出なかった。すっかり力の
抜けている宍戸の背中に腕を回し、跡部はぎゅっと宍戸を抱きしめた。
「あ、跡部?」
あまりのドキドキ感から宍戸の瞳は若干潤んでいる。そんな瞳で見つめられ、跡部の理性
は崩壊寸前だった。このままもう一度やってしまおうかなどと考えていると、ふと岳人か
らもらった薬のことを思い出した。
「なあ、宍戸。」
「へ?」
「今からテメェもメロメロにさせてやるよ。」
妖しげな笑みを浮かべ、跡部はポケットに入ったままになっていた薬を取り出し、自分自
身に吹きかけた。人間版マタタビをかがされ、宍戸はすっかりその薬に酔ってしまう。甘
えん坊の猫のようになった宍戸を相手に、跡部は夜の遊戯をして心行くまで楽しむのであ
った。

戻る