ゲームセンターを後にした甲斐と平古場は、平古場の家に行き、平古場の部屋でくつろい
でいた。初めは二人でテレビゲームをして遊んでいたのだが、平古場の方が飽きてしまい、
今は甲斐だけがゲームをして遊んでいるという状態だ。暇になってしまった平古場はベッ
ドの上にある漫画を何冊か読んでいたが、それもすぐに読み終えてしまった。
「裕次郎ー。」
「ん?何、凛?」
いまだにゲームをしている甲斐に構って欲しいと、平古場は声をかける。しかし、返事は
するものの、甲斐はまだゲームに夢中になっている。何とか自分に意識を向けさせようと
平古場は、今日ゲームセンターで甲斐が取ったピンクのうさぎを抱きながら、甲斐の隣ま
で移動した。
「なあ、裕次郎ー。」
「だから、何?」
すぐ側に来ていたのは分かっていたので、甲斐は平古場の方を向く。横を向いて目に映っ
た平古場は、うさぎを抱いて、可愛らしく構って光線を放っている。そんな平古場に甲斐
は一発でやられた。あまりにも動揺しすぎて、甲斐はゲームで操作していたキャラクター
を自爆させてしまう。
「あーあ、ゲームオーバー。」
「別にもういいし。つーか、凛、それは反則だろ。」
「何が?」
「そのぬいぐるみ抱いて、隣に座られてたら、ゲームになんて集中出来なくなるさぁ。」
「だってよー、裕次郎がずっとゲームばっかしとるからさー。」
ちょっと不機嫌気味な口調で、平古場は言う。そんな平古場も可愛いと甲斐は胸をキュン
キュンさせる。
「わぁーった、わぁーった。それじゃ、今から凛と遊ぶさー。」
「本当か!?何して遊ぶ?」
やっと甲斐に構ってもらえると、平古場は嬉しそうに笑う。いまだにうさぎのぬいぐるみ
を抱いたまま、あからさまに喜んでいる平古場を見て、甲斐は若干ムラッときてしまう。
「そ、そうだなぁ・・・じゃ、とりあえず目つぶって。」
「何で?」
「いいから。」
よく分からないが、平古場は甲斐に言われた通り目を閉じる。無防備になった平古場を前
にし、甲斐は躊躇なしにその唇にちゅっと口づける。キスされたというのは、感覚的に分
かるので、平古場はパチッと目を開け、思ってもみなかった今の状況に驚く。
「っ!!??」
平古場が動揺してるのに気づき、甲斐はいったん唇を離す。いきなりキスされ若干パニく
っている平古場は、真っ赤になりながら甲斐に文句をぶつけた。
「い、いきなり何するばっ!?裕次郎っ!!」
「だって、凛があんまりにも可愛すぎるからさー。」
「だからって・・・・」
「なぁ、もっとしたい。させて、凛。」
いつになく真剣な眼差しでそう言われ、平古場は断れなくなってしまう。全く余裕がない
状態で頷いてしまうのは悔しいので、少し強がったようなことを平古場は言う。
「べ、別にちゅうくらい何ともないんだからな!!」
「はいはい。」
その言葉を肯定の言葉と捉えて、甲斐は再び平古場にキスをする。今度は軽く触れるとい
うようなものではなく、もっと深く大人のキスと言ってもよいようなものであった。そん
なキスに平古場はドキドキし、メロメロになってしまう。
「ん・・ぅ・・・ゆう・・じ・・ろ・・・」
「やっばい、今の凛、超可愛い。マジ我慢出来なくなっちまう。」
「へっ・・・?」
あまりに色っぽくメロメロな平古場を見て、甲斐は我慢出来なくなってしまう。火事場の
馬鹿力とも言えるような力で平古場をひょいっと持ち上げると、ベッドの方へ移動させた。
「えっ?何でベッド・・・?」
「ゴメン、凛。今日はホンットに我慢出来ない!!」
「わっ・・・ちょ・・・裕次郎っ!!」
我慢の限界を超えた甲斐の力に平古場は全く敵わなかった。甲斐に流され、そんな状況に
なってしまった平古場であったが、結局、自らもノリノリになってしまうまでそれほど時
間はかからなかった。