Snug Days ― おまけ(滝鳳) ―

滝の家にやってきた鳳は、滝の部屋でくつろいでいた。そんな鳳のもとへ、冷たい飲み物
と美味しそうなお菓子をおぼんに乗せた滝が戻ってくる。
「お待たせ、長太郎。」
「あっ、滝さん。」
小さなテーブルの上に持ってきたものを置くと、滝は鳳の隣に座る。学校で見る服とは少
し違うラフな滝の格好に、鳳は新鮮さを感じていた。
「滝さん、そういう服も似合いますね。」
「そう?完璧家着って感じだから、あんまりオシャレな感じじゃないんだけど。」
「でも、すごく似合ってますよ。何かいつもと違う感じの滝さんが見れて嬉しいです。」
「長太郎にそう言ってもらえると嬉しいな。あー、でも、長太郎に合う服がなくてゴメン
ね。」
「いえ、いいですよ。俺が押しかけて来ちゃったんですし。」
滝の家には当然のことながら滝のサイズの服しかない。20cm近くの身長差がある鳳が
着れる服はさすがにないのだ。それでも、鳳は滝といられるのであれば十分だと言わんば
かりに笑ってそんなことを言う。
「押しかけてくるのは、俺的には大歓迎だけどね。」
「じゃあ、行きたくなったらまた来ちゃいますよ?」
「全然構わないよ。ただし、俺に何されても知らないよ?」
意味ありげに笑いながら、滝はそう鳳に返す。それはちょっと困るなあと思いながらも、
強がって大丈夫だというニュアンスを含んだ言葉を鳳は滝に向かって放った。
「た、滝さんになら・・・何されても大丈夫です!」
「おっ、言ってくれるじゃん。それじゃ・・・」
少し鳳のことをからかってやろうと、滝はその場に鳳を押し倒す。ああは言ったもののい
きなりそんなことをされれば、ドキッとしてしまう。ぎゅうっと目をつぶって体を強張ら
せていると、ふわっと銀色の髪に優しく手が触れた。
「あ、あれ・・・?」
ゆっくり目を開けると、滝が頭を撫でながらくすくす笑っている。
「そんなに心配しなくても平気だよ。今のは冗談。」
「た、滝さ〜ん。」
「ビックリさせちゃってゴメンね。でも、本当いろんなことしたくなっちゃうくらい、俺
は長太郎のこと好きだよ。」
そんなことを言いながら、滝はふわっとした微笑みを浮かべる。その言葉と笑顔に鳳は、
すっかりやられてしまった。
「こんな状況で、そんなこと言うなんてずるいですよ〜。」
「どうして?だって、本当のことだよ?」
「あう〜。」
あまりの恥ずかしさとドキドキ感で、鳳は真っ赤になって何も言えなくなってしまう。そ
んな鳳に滝はそのままの笑顔で尋ねる。
「長太郎は俺のこと好き?」
「・・・・好きです。」
「どこが一番好き?」
「滝さんは綺麗だし、優しいし、器用だし・・・でも、ちょっと意地悪なところもあって、
俺のことからかったりするけど・・・滝さんのどんなところも俺は大好きです。」
「そっか。ふふ、嬉しいな。俺もね、長太郎の全部が好き。照れ屋なところも、意地っ張
りなところも、ちょっと泣き虫なところも、みんな好きだよ。」
何度も好きと繰り返され、鳳はぽーっとしてきてしまう。そんな鳳の口に滝は持ってきた
お菓子を一つ咥えさせる。
「あむっ?」
「そのお菓子美味しいでしょ?俺が作ったんだ。せっかく冷たい飲み物もあるし、一緒に
食べよう。」
甘い雰囲気が突然味覚の甘さに変わり、鳳は目をパチクリさせる。口に入れられたお菓子
を食べ終えると、鳳は倒されていた体を起こし、しっかりと座り直す。
「このお菓子、すごく美味しいです。さすが滝さんですね!」
「まだまだたくさんあるからいっぱい食べてね。俺もちょっと小腹が減ってきたし、食べ
ちゃおーっと。」
持ってきたお菓子をつまみ、冷たいお茶を飲みながら、二人は二人きりの時間をじっくり
楽しむのであった。

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