倉庫で××× −義丸×鬼蜘蛛丸−

朝鮮の民族衣装を身につけたまま、義丸と鬼蜘蛛丸は再び輸入品のチェックを始める。少
し奥の方にあるものを見ていると、義丸は変わったものを見つけた。
「何だろう?これ・・・」
何かを思い出させるようなその形に、義丸を興味を持つが、どんなことに使うものなのか、
それが何なのかは全く分からない。それを手にしながら、うーんと考えていると、鬼蜘蛛
丸がひょこっと顔を出し、声をかける。
「何か面白いものでもあったのか?義丸。」
「これなんだけど、何かに似てるような気がするんだけどな、全然思い出せなくて。何だ
か分かるか?」
「どれどれ・・・」
鬼蜘蛛丸なら分かるかもしれないと、持っていたそれを義丸は手渡す。義丸から受け取っ
たものに目を落とすと、鬼蜘蛛丸は何故かカアァと顔を赤く染めた。
「どうした?」
「い、いや・・・えっと・・・」
「知ってるのか?これが何か。」
「し、知ってるは知ってるけど・・・」
何故だか顔を真っ赤にし、慌てている様子の鬼蜘蛛丸を見て、義丸は首を傾げる。そんな
反応をされれば、よりそれが何なのかが気になってしまう。
「何なんだよ?すごく気になるんだけど。」
「あ・・・えっと・・・これは・・・」
顔を真っ赤にしたまま、鬼蜘蛛丸はそれが何かを義丸に説明した。その説明を聞いて、義
丸は何に似ているかを理解し、それはごく当然のことだと納得する。
「ああ、なるほど。そういうことに使うのか。でも、どうしてそんなことを鬼蜘蛛丸が知
っているんだ?」
義丸が見つけたそれとは、南蛮渡来の『張り型』であった。見かけと使い方に納得した義
丸であったが、鬼蜘蛛丸がそのことを知っていたのは、実に意外で、不思議に思うところ
であった。
「た、たまたま、読んでいた本に載っていただけだ。」
「へぇ、本に載っていたのか。鬼蜘蛛丸、どんなやらしい本読んでるんだ?」
ものがものなので、義丸はニヤニヤしながら、そんな言葉を鬼蜘蛛丸にかける。本に載っ
ていたのは確かだが、内容はそんなにいやらしいものではない。しかし、それを知ってい
たという事実が恥ずかしくて、鬼蜘蛛丸は、義丸の言葉に何も返さず、黙ってうつむいて
いることしか出来なかった。
「鬼蜘蛛丸。」
義丸に名前を呼ばれ顔を上げると、驚く程近くに義丸の顔があった。あまりに近すぎるそ
の距離に、鬼蜘蛛丸の心臓はバクバクと大きな音を立て、いつもよりかなり速いスピード
でリズムを刻む。
「ち、近いっ!そんなに顔近づけるなよ!」
「あんな話聞いたら、したくなっちまって。いいだろ?鬼蜘蛛丸。」
いつもとは一味違う格好をした義丸に迫られ、鬼蜘蛛丸はドキっとしてしまう。自分から
あんな話をしてしまった手前、何となく断りづらく、鬼蜘蛛丸はしばしどう反応しようか
悩む。そんなふうに鬼蜘蛛丸が悩んでいる間に、義丸は鬼蜘蛛丸の着ているチマチョゴリ
の裾をめくりあげる。
「ちょっ・・・義丸!俺はまだいいって言ってな・・・」
鬼蜘蛛丸の言葉を最後まで聞かず、義丸はちゅうっと言葉を紡いでいた唇に口づける。言
葉を遮られ、少々ムッとする鬼蜘蛛丸であったが、あっという間に、義丸の上手すぎるキ
スに落ちてしまう。
「ん・・・んぅ・・・」
(ああ、ダメだ。やっぱり流される・・・)
次に言葉を紡げるようになったときには、鬼蜘蛛丸はすっかりとろけてしまっていた。そ
の絶妙なタイミングで、義丸はもう一度同じことを尋ねる。
「していいよな、鬼蜘蛛丸。」
「・・・ああ」
今度は素直に頷いてくれる鬼蜘蛛丸に、義丸は顔を緩ませる。ちゅっちゅっと、化粧の施
された顔のいたるところにキスをしながら、義丸はあることを囁く。
「さっきの使っていいか?」
「さっきの・・・?」
「これだ。せっかくあるんだから、使ってみるのもいいかなあと思うんだけど。」
張り型を使っていいかという義丸の言葉に、鬼蜘蛛丸はぶんぶんと首を横に振って、嫌だ
という意思を表す。それならば仕方がないかと、義丸は意外にあっさりそれを使用するこ
とを諦めた。
「嫌なら仕方ないか。そんなに無理矢理使いたいというわけでもないしな。」
今日は素直だなあと思いながら、ぼーっと義丸の顔を眺めていると、突然ひんやりとした
感覚が、双丘のちょうど中心あたりに走る。
「ひゃっ!な、何っ?」
「ああ、さっきのと一緒に箱に入ってたんだよ。ここを慣らすのにちょうどいいかなあと
思って。」
そう言いながら、義丸が鬼蜘蛛丸に見せたのは、桜色の陶器に入った軟膏のようなもので
あった。その中身も入れ物と同じような濃い桜色で、甘い花のような良い香りを放ってい
た。
「何だよ・・・?それ。」
「さあ、よく分からないけど、匂いや触った感じでは、そんなに害のあるようなものじゃ
ないと思うから大丈夫だろ。こういうの使った方が、鬼蜘蛛丸も辛くないと思うし。」
「そっか・・・」
自分のことを思って使ってくれているのなら、そんなに問題はないだろうと、鬼蜘蛛丸は
軽く息をつき、しばらく義丸のしたいようにさせる。
(確かにいつもよりは、全然きつくないかも・・・)
何もなしで慣らされるのは、痛いとまではいかなくとも、多少の違和感を感じる。しかし、
今回はその軟膏のおかげもあってか、いつもは感じる違和感はほとんど感じられない。
「んっ・・・あっ・・あ・・・」
「大丈夫か?鬼蜘蛛丸。」
「ん・・・平気・・・いつもより楽だし・・・」
「そうか。そりゃよかった。」
軽く呼吸を乱しつつも、それほど辛そうではない鬼蜘蛛丸を見て、義丸も安心する。もう
少しじっくり慣らしておこうと、陶器の中から桜色の軟膏を掬い取ると、義丸はそれを鬼
蜘蛛丸の蕾の入口と内側にたっぷりと塗りたくった。しばらくは義丸の与えてくれる心地
よい感覚に浸っていた鬼蜘蛛丸であったが、ふとした瞬間から、少しの異変を感じ始める。
(あれ・・・?何か中が熱い・・・?)
そう知覚した瞬間、火がついたように義丸に弄られている部分が疼き出す。
「ひあっ・・・!ああぁっ・・・!!」
「どうしたんだ?いいところにでもあたったか?」
突然大きな反応を見せる鬼蜘蛛丸に、義丸は口元を緩ませながらそんなことを尋ねる。ぐ
るりと中に入れている指を回し、内側の壁をやんわりと撫でてやると、鬼蜘蛛丸はビクビ
クとその身を震わせ、声を上げる。
「んんっ・・・ひぅ・・・ああぁっ・・・!」
(何だ!?急に身体が・・・あっ・・・何だコレ?中が・・・中がっ・・・)
「あっ・・・ああっ・・・ヨシ、義丸っ・・・!」
突然自分の身体に訪れた激しい変化に、鬼蜘蛛丸は怖くなり、義丸に縋ろうとする。さす
がに少しおかしいと感じた義丸は、いったん中を弄るのを止め、どうしたのかと鬼蜘蛛丸
に尋ねる。
「どうしたんだよ?」
「急に・・・おかしい・・・中が熱くて・・・あっ・・・」
義丸が中を弄るのを止めたことで、鬼蜘蛛丸を耐えられない程の疼きが襲う。何でもいい
から、疼くそこを弄って欲しい。そんな感覚がいつもは冷静な鬼蜘蛛丸の意識を支配して
しまう。
「やっ・・・義丸っ・・・なか・・・中、弄って・・・」
「えっ?大丈夫なのか?」
「お願いだ・・・早く・・・あっ・・・ああっ・・・!!」
そこまで言われてしまっては、弄らないわけにはいかない。再び指を鬼蜘蛛丸の中へ入れ
ると、義丸はくちゅりと音を立てるように、そこを弄り始めた。
「あっ・・・ああぁんっ・・・ひあっ・・・ああぁ――っ!!」
「本当急にどうしたんだ?鬼蜘蛛丸。」
あまりの急激な変化に少々心配になり、義丸はそう問う。そんな義丸の問いに、鬼蜘蛛丸
は激しく息を乱しながら答えた。
「分からない・・・分からないけど・・・弄られてないと、そこが疼いて・・・切なくて、
どうにかなっちまいそうだ・・・」
鬼蜘蛛丸のその言葉を聞いて、義丸はピンとくる。似たような台詞を、以前読んだことの
ある本で見たことがあった。その台詞が出てきた状況。それは、『媚薬』という特別な何
かを使われたときであった。
「ここを慣らすのに使った軟膏に、そういう感覚を高める効果があったみたいだな。まあ、
あれと一緒に入っていたものだし、そういう効果があってもおかしくないかもしれないな。」
いつになく冷静に分析している義丸だが、内心はこんなおいしいチャンスは滅多にないと、
胸が躍るのを抑えられないでいた。こんな状況であれば、先程見つけたアレを使わせてく
れるかもしれないと、義丸はぐちゅぐちゅと中を掻き回しながら、鬼蜘蛛丸の耳元で囁く。
「ここに、もっと大きなモノ入れて欲しくないか?」
「えっ・・・?」
「さっきのアレ、入れたらきっとすごく気持ちいいと思うぞ。」
「アレを・・・入れる・・・」
義丸の囁きを聞いて、鬼蜘蛛丸は先程手にした張り型が、自分の中へ入れられるのを想像
する。そんなことを想像するだけで、胸はひどく高鳴り、何とも言えない高揚感が鬼蜘蛛
丸の心に生まれた。
「どうする?鬼蜘蛛丸。」
「あっ・・・」
「コレを、ココに、入れて欲しい?」
妖しい義丸の囁きに、鬼蜘蛛丸はどうしようもなくその大きなものを入れて欲しくてたま
らなくなる。
「・・・れ・・て・・・・」
「何だって?もっとハッキリ言ってくれねぇと。」
「それ・・・入れて・・・欲しい・・・」
ハッキリと入れて欲しいという鬼蜘蛛丸の言葉を聞いて、義丸はひどく興奮する。鬼蜘蛛
丸がそう望んでいるのなら、喜んで入れてやろうと、先程の軟膏を存分にその張り型に塗
りたくり、中を弄っていた指を抜いて、ひくつくそこへ押し当てた。
「んんっ・・・!」
「入れるぞ。」
くちゅっと濡れた音を立て、鬼蜘蛛丸のそこは大きな張り型をのみ込んでゆく。かなりの
大きさのそれは、鬼蜘蛛丸の内側を余すことなく擦り上げる。熱く敏感になっているその
部分への刺激は、鬼蜘蛛丸の理性を一瞬で奪った。
「ひあっ・・・!!あっ・・・あ・・・ああぁ――っ!!」
「こんな大きいのに、簡単に入ったな。」
「あっ・・・ふあっ・・・あ・・はぁっ・・・・」
「どうだ?鬼蜘蛛丸。張り型を入れられた感想は。」
「気持ち・・・いっ・・・あっ・・・ああぁっ・・・」
中を埋めつくすそれは、動かなくとも鬼蜘蛛丸に大きな快感を与える。それに触れている
部分が、ドロドロにとけてしまいそうな気持ちよさを感じながら、鬼蜘蛛丸は色めいた声
を上げ続け、小刻みに身体を震わせる。
「入ってるだけで、そんなに気持ちいいのか?」
「ああ・・・すごく・・・気持ちいい・・・」
「だったら、これを動かしたりなんかしたら、もっと気持ちよくなれるかもしれねぇな。」
そんな妖しく魅力的な義丸の提案に、鬼蜘蛛丸の胸はドキンと跳ねる。どこに触れられて
も敏感に反応してしまう内側を、この大きなもので擦られる。そうされたならば、どれだ
け気持ちよくなれるのだろう。そう考えただけで、鬼蜘蛛丸はぞくぞくと何とも言えない
甘い痺れが、全身を駆け抜けるのを感じた。
「義丸・・・」
「何だ?」
「これ・・・動かして・・・」
「ああ、いいぞ。」
期待していた通りの言葉を鬼蜘蛛丸が言ってくれたので、義丸はニヤリと笑って、外に出
ている部分をしっかりと握る。そして、ぐっと引き抜くように引っ張り、抜けるギリギリ
のところで再び中へと押し込んだ。
「ふああぁ・・・ああぁんっ!」
「いい声で鳴くな。もっと聞かせてくれ。」
「ああっ・・・ひああっ・・・あっ・・・ああぁ――っ!!」
抜いても入れても悦ぶような声を上げる鬼蜘蛛丸に、義丸は、身体が熱くなってゆくのを
感じる。媚薬の影響だとは言えども、普段よりも何倍もよい反応を見せる鬼蜘蛛丸の様子
を見て、普通でいられるわけがなかった。
「鬼蜘蛛丸のココ、ぐちゃぐちゃだぞ。こんなものを咥えて、いやらしく腰を振って、し
かも、こんな格好で。」
「やっ・・・ああっ・・・ああぁん・・・!」
「けど、そんなお前にこんなにも魅せられてる。俺にとっては、鬼蜘蛛丸自身が媚薬みた
いなもんだな。」
いつもとは違う鬼蜘蛛丸に魅せられ、義丸はそんなことを口にする。それを聞いて、鬼蜘
蛛丸は媚薬の効果とは別の熱さを感じる。内側の疼くような熱さと、義丸に焦れる胸の熱
さ。そんな身体と心を犯す熱が混じり合い、鬼蜘蛛丸を一気に絶頂の高みへと押し上げる。
「あっ・・・ひあっ・・・あ・・・ああぁ・・・!!」
がくがくと下肢を痙攣させ、明らかにさっきとは違う反応をするようになった鬼蜘蛛丸の
様子を見て、義丸は鬼蜘蛛丸がそろそろ限界であることに気付く。
「そろそろイキそう?鬼蜘蛛丸。」
「ああっ・・・ふあっ・・・もう・・・ダメっ・・・イっちゃ・・・」
「なら、俺の名前を呼んで、ちゃんとイクって言ってくれ。」
そう言いながら、義丸は張り型を先程よりも大きく激しく動かす。限界ギリギリなところ
で、そんな刺激を与えられ、鬼蜘蛛丸はビクンっと大きくその身を震わせた。
「ああぁ――っ・・・義丸っ・・・も・・・イクッ・・・イク・・・あああぁ――っ!!」
義丸が望んでいた通りの言葉を放ち、鬼蜘蛛丸は熱い白露を迸らせた。その身を激しく震
わせながら、艶やかに達する鬼蜘蛛丸を前に、義丸も何とも言えない甘美な快感を覚える。
これから、このとろける程に熱くなったそこへ、自身を入れるのかと思うと、義丸の胸は
ひどく高鳴った。
「鬼蜘蛛丸・・・」
「ふあっ・・・あ・・・あっ・・・・」
達した余韻に息を乱しながら、鬼蜘蛛丸はうっとりとした表情で義丸を見上げる。朦朧と
する意識の中、内側にあるものの心地よい感覚に浸っていると、突然それが引き抜かれた。
「あっ・・・ああっ・・・!!」
早く自身を入れたいと思い、義丸が抜いたのだが、それが抜かれた瞬間、再び激しい疼き
が鬼蜘蛛丸を襲う。
「いやっ・・・ああっ・・・ダメっ・・・抜いちゃ・・・やだぁ・・・!」
「抜かないと、俺のが入れられないだろ。」
「ダメ・・・ダメぇ・・・早くっ・・・・あっ・・・ああぁっ・・・!」
切なく疼く感覚に耐えられず、鬼蜘蛛丸は駄々っ子のようにわめき、義丸にしがみつく。
これはこれで可愛いと思いながら、義丸は意地悪く笑い、鬼蜘蛛丸の頬に手を添える。
「入れて欲しいなら、ちゃんとおねだりしなきゃだろ?そうしたら、奥の奥まで鬼蜘蛛丸
の中を貫いてやるよ。」
「あっ・・・早く・・・早く・・・義丸の・・・俺の中に・・・入れて、ぐちゃぐちゃに
・・・掻き回してぇ・・・」
「了解。」
実に率直な鬼蜘蛛丸のおねだりを聞き、義丸はニヤリと口元を緩ませ、すっかり高まって
いる自身の楔を鬼蜘蛛丸の中へ突き入れる。張り型で存分にほぐされているそこは、義丸
の熱を一気に奥まで受け入れ、ほどよい力で中に入ってきた熱を締めつけた。
「ひぅっ・・・ああぁんっ・・・!!」
「ハァ・・・最高だな、鬼蜘蛛丸の中は。」
「あっ・・・あはっ・・・義丸っ・・・ひあっ・・・ああぁんっ!!」
「異国の着物の着て、大きく足を広げて、俺のモノをこんなにも奥まで咥え込んでいる。
本当、最高の眺めだ。」
鬼蜘蛛丸の中に入れながら、義丸の視点から見える鬼蜘蛛丸の姿は、実に艶めかしく、と
ても海賊とは思えない程の美しさを纏っていた。
「綺麗だぞ、鬼蜘蛛丸。」
「んっ・・・ヨシ・・・」
「でも、もっともっと気持ちよくさせて、もっともっと綺麗にさせてやるよ。」
ふっと軽く微笑むと、義丸は大きく動き、鬼蜘蛛丸の中をその熱棒で激しく擦る。張り型
とは違い、熱を持ち、脈打ち、繋がっているという感覚を生み出してくれる義丸の熱い楔。
そんな楔が自分の中を出たり入ったりする感覚に、鬼蜘蛛丸は今まで以上に大きな快感を
感じていた。
「あっ・・・ふあぁんっ・・・いっ・・い・・・!!」
「どこがいいんだ?」
「んんっ・・・全部・・・イイっ・・・義丸の・・・が・・・あれよりも・・・何倍も何
十倍も・・・気持ち・・・いっ・・・」
「俺も今日は、いつもより気持ちいいぞ。鬼蜘蛛丸の内側の壁が俺のモノに絡み付いて、
締めつけて・・・本当、たまらない。」
「なぁ・・・もっと、奥の奥まで突いて・・・もっとたくさん動いてくれよ・・・」
「もちろん。一緒にもっとたくさん気持ちよくなろうな。」
媚薬の効果とお互いを想う気持ちが重なり合い、身体を重ねる快感をより大きなものにす
る。義丸が中を穿つのに合わせ、鬼蜘蛛丸も腰を揺らす。熱と熱とが擦れ合い、そこに生
まれる甘い甘いとろけるような心地よさ。そんな心地よさを夢中になって求め、二人は激
しく動き続けた。
「ああっ・・・はあぁんっ・・・!!あっ・・・ああぁ――っ!!」
「ハァ・・・鬼蜘蛛丸っ・・・」
「ヨシっ・・・あっ・・・また・・・イ・・・イキそ・・・ふあっ・・・!」
「俺もそろそろ・・・」
「んっ・・・くっ・・・あっ・・・も・・・もう・・・ひぅっ・・・!!」
「くっ・・・ぅ・・・!」
「ひっ・・・あ・・・あああぁ―――っ!!」
擦れ合った敏感な部分が果てしない絶頂感を生み、二人を快楽の高みへと運んでゆく。放
たれる熱は、身体と心、その双方を満たし、心地よい脱力感をもたらす。そんな絶頂の余
韻に浸りながら、義丸と鬼蜘蛛丸は深い口づけを交わした。
「んぅ・・・ふあっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「すごく気持ちよかったぞ、鬼蜘蛛丸。」
「ああ・・・俺も・・・すごく気持ちよかった・・・」
張り型で達したときとは、全く違う幸福感を伴った絶頂に鬼蜘蛛丸は素直にそう口にする。
確かに十分に気持ちよくなれたのだが、媚薬の効果がまだ切れていないのか、鬼蜘蛛丸は
どこか物足りなさを感じてしまう。
「なあ、義丸・・・」
「何だ?」
「もっと・・・して欲しいんだけど・・・」
効果が切れていないと言っても、完全に残っているわけではないので、今の鬼蜘蛛丸には
多少恥じらいの感情が戻ってきていた。そのため、そう口にする鬼蜘蛛丸の顔は羞恥で赤
く染まっている。
「媚薬の効果、まだ切れてないのか?」
「そうらしい・・・いいか・・・?」
「もちろんいいぞ。鬼蜘蛛丸とだったら、何百回としていいと思ってるからな。」
「何百回は無理だなあ・・・けど、後数回はして欲しいかも。」
普段はそんなことを絶対言わないので、義丸は鬼蜘蛛丸のその言葉にひどくときめいてし
まう。鬼蜘蛛丸相手なら絶倫同然な義丸は、中に入っているモノを抜くことなく、二回目
を始める。義丸の放った熱が内側で掻き回されるという、さっきとは少し違った感覚に、
鬼蜘蛛丸は先程とは一味違った快感を感じる。一度は落ち着いた興奮も、もう一度それを
始めたことにより再び一気に高まった。何度交わしても飽くことのない契り。今日はとに
かく満足いくまで何度もしてやろうと、二人は異国の着物に身を包み、桜色のときめきを
繰り返し繰り返し味わうのであった。

何度も身体を重ね、存分に満足したと思えるくらいになったころには、すっかり媚薬の効
果はなくなっていた。いつも以上に疲労感と脱力感を感じつつも、心は幸せな気分で満た
されていた。そんな気分に浸りつつ、二人はいつもの着物に着替え、辺りを見回す。
「だいぶ汚れちまったな。後で洗濯しなきゃだめだな」
激しい行為の所為で、着ていた着物はすっかり汚れてしまっていた。
「まあ、あれだけすれば仕方ないよな。」
「だよなぁ。とりあえず、このへん片付けて掃除するか。」
かなりの回数したにも関わらず、鬼蜘蛛丸はまだ体力が残っているようで、テキパキと散
らかした輸入品を片付け、自分と義丸の放ったもので汚れた床を掃除する。さすがこうい
うところは、海賊の中でも上の方の役職に就いているだけあるなあと、義丸は感心する。
「義丸も手伝えよ・・・うっ!」
と、突然鬼蜘蛛丸は口を手で覆い、掃除していた手を止める。している間は全く大丈夫で
あったのだが、少し落ち着いたために、陸酔いがぶり返してしまったのだ。
「陸酔いか?」
義丸の問いに、鬼蜘蛛丸は顔を真っ青にしてコクコクと頷く。
「それなら、少し上を向いてくれ。また陸酔い止めの薬、飲ませてやるから。」
吐き気を堪えながら、鬼蜘蛛丸は義丸に言われるまま上を向く。小さく鬼蜘蛛丸の口を開
かせると、ここに入ったときと同じように、口移しで陸酔い止めの薬を飲ませた。
「んっ・・・んん・・・」
口の中に入れられた薬を鬼蜘蛛丸はゴクンと飲み込む。そうすぐには効かないので、しば
らくは軽い吐き気が続いていたが、それほど時間をかけずに、その吐き気も治まってゆく。
「ハァ・・・何とか治まったっぽい・・・」
「それはよかった。鬼蜘蛛丸は休んでろよ。あとの片付けと掃除は俺がやるから。」
「悪いな。」
薬は飲んだとは言えども、この疲れた身体で下手に動き回ると、また陸酔いがぶり返すか
もしれないと、鬼蜘蛛丸は義丸の言葉に従い、素直に休むことにする。ある程度は鬼蜘蛛
丸が片付けていたので、辺りの片付けと掃除はすぐに終わらせることが出来た。
「こんなもんだろ。あとはこの汚れた着物を洗濯しなくちゃだけど、今はいいか。」
「ああ。そうだな。」
「俺も結構疲れたから、少し休むか。」
そんなことを言いつつ、義丸は鬼蜘蛛丸の隣に腰を下ろす。義丸が隣に座ると、鬼蜘蛛丸
はコテンとその頭を義丸の肩に預けた。突然鬼蜘蛛丸がそんな予想外のことをしてくるの
で、義丸の心臓はドキンと跳ねる。
「お、鬼蜘蛛丸・・・?」
「疲れたから、少しこうしてていいか?」
「お、おう。」
甘えた様子の鬼蜘蛛丸に、義丸はドギマギしてしまう。
「義丸。」
「ん、何だ?」
「今日したことは他の奴らには内緒だぞ。」
「分かってるって。」
「あとな・・・」
「ああ。」
肩に頭を預けたまま、鬼蜘蛛丸は呟くように言葉を紡いでゆく。何か付け足したいことが
あるような言葉を言った後で、鬼蜘蛛丸はしばらく黙り込む。そして、すぐ側にある義丸
の手をぎゅっと握りながら、恥ずかしそうにボソボソと小さな声で何かを口にした。
「今日ああいうの使って、確かに気持ちよかったけど・・・やっぱり俺のことを一番気持
ちよくさせてくれるのは、義丸なんだなあって思った・・・」
そんな鬼蜘蛛丸の言葉を聞き、義丸の顔は真っ赤に染まる。
(そのセリフは反則だろう・・・)
あまりにドキドキしすぎて何も言えないと、義丸はしばらく言葉を口に出せずにいた。し
ばらく経って、やっと落ち着いてくると、義丸は大きく深呼吸をし、鬼蜘蛛丸に声をかけ
ようとする。
「鬼蜘蛛丸っ・・・あ、あれ・・・?」
ふと鬼蜘蛛丸の方に顔を向けると、鬼蜘蛛丸は気持ちよさそうな寝息を立てぐっすりと眠
り込んでしまっていた。この状況で、寝られるとは思っていなかったので、義丸は拍子抜
けしてしまう。
「全く・・・本当ずるいよなあ。」
苦笑しながら、義丸はそう呟く。鬼蜘蛛丸の一言一言、ふと見せる何気ない仕草、その全
てが義丸の心を夢中にさせていた。
「愛してるぞ、鬼蜘蛛丸。」
そう呟きながら、義丸は鬼蜘蛛丸の髪に優しくキスをする。先程とは全く違うひどく緩や
かな時間と穏やかな心地よさ。どんなことをしていても、鬼蜘蛛丸といるだけで、心が満
たされる。そんな感覚に酔いしれながら、義丸はこの幸せなひとときを存分に堪能するの
であった。

                                END.

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