夏休みが近づく夏の日。忍術学園の近くの町では、何日間か祭りが行われる。ちょうど七
夕の時期に行われるので、竹飾りや短冊が飾られている。そんな祭りに忍術学園の生徒も
やってきていた。
「やっぱり、人すごいなあ。」
「そりゃそうでしょう。このへんでは大きなお祭りですから。」
いつもの忍術学園の制服ではなく、浴衣を着て人混みの中を歩いているのは、体育委員会
の六年生の七松小平太と四年生の平滝夜叉丸であった。せっかくのお祭りということで、
授業が終わった後、外出許可をもらい、二人で遊びに来たのだ。
「それにしても、滝夜叉丸、浴衣似合うなあ。」
「私は何を着ても似合いますから。」
「うんうん。きっと滝夜叉丸なら、女物の浴衣とか着物も似合うんだろうなあ。今度着て
みせてくれよ。」
「うっ・・・それはちょっと・・・」
「絶対滝夜叉丸なら似合うって!!顔もこんな綺麗なんだし、髪もサラサラだしな。」
本気でそんなことを言ってくる小平太に、滝夜叉丸はいつものうぬぼれを忘れ、照れたよ
うに真っ赤になる。女装をするのはどうかと思うが、小平太に褒められるのは素直に嬉し
い。しかし、素直に嬉しそうな顔をするのは何だか悔しいと、滝夜叉丸は、ぷいっと小平
太から顔を背ける。
「何で褒めてんのに、拗ねるんだよ?」
「別に拗ねてなんかないです。」
「滝夜叉丸〜、こっち向けよー。」
膨れている滝夜叉丸の頬をぷにっと指でつっつきながら、小平太はそんなことを言う。ち
らっと視線だけを向けると、小平太はいつもの明るい笑顔を浮かべていた。
(うう、この笑顔には敵わない・・・)
「じゃあ、もう変なこと言わないで下さい。」
「別に変なことなんて言ってないぞ。ただ滝夜叉丸は可愛いなあって褒めてただけだ。」
「だーかーらー、そういうことをこんなところで・・・」
「何で?滝夜叉丸はいつも自分からそう言ってるじゃないか。」
「た、確かにそうですけど・・・」
(七松先輩に言われると、何故だか分からないが恥ずかしくてたまらないんだよなあ。)
「・・・・か、可愛いは言ってません。」
やっと出た反論の言葉がそれであった。確かに自分に自信はあるが、実際に褒められるよ
うにそう言われると、くすぐったいような恥ずかしいような気分になる。しかも、大好き
な先輩に言われるとなれば尚更だ。
「やっぱ、滝夜叉丸、可愛いー。」
「な、七松先輩っ!!」
「あはは、ほら、そんなぷりぷり怒ってないで、何か食べようぜ。今日は私の奢りだ。」
「えっ!本当ですか!?」
「もちろん。こういうときは、上級生が買ってあげるのが当然だろ?」
ニッと笑いながら、そんなことを言う小平太の言葉を聞いて、滝夜叉丸の機嫌はよくなる。
何を買ってもらおうかと、出店をぐるりと見ていると、小平太の手が滝夜叉丸の手を捉え
た。
「この人込みだ。はぐれたら大変だろ。」
「私は三之助のように、迷子になんかなりません。」
「なら、前言撤回。せっかくの祭りなんだから、手ぐらい繋ぎたい。」
「・・・べ、別に構いませんけど。」
ツンツンとしたセリフでありながらも、自分のすることを拒まない滝夜叉丸に、小平太は
思わずニヤけてしまう。手を繋いだまま、歩いていると、滝夜叉丸が突然立ち止まった。
「どうした?」
「あれ、美味しそうだなあと。」
「どれ?」
「あれです。」
滝夜叉丸が指差す先には、真っ赤なりんごに棒が刺さっている食べ物があった。気になる
のだったら行ってみようと、人込みをかき分け、小平太は滝夜叉丸の手を引いて進む。
「わわっ・・・」
「私の手、離すなよ。」
「握ってるのは七松先輩の方じゃないですか。」
「あー、そうだったな。」
けらけらと笑って滝夜叉丸の手をしっかりと握りながら、小平太はりんご飴の売っている
出店の前までやってくる。飴で覆われたりんごを見て、滝夜叉丸は目を輝かせた。そんな
滝夜叉丸の様子を見て、小平太は店のおじさんに声をかける。
「これ、一本ください。」
「へっ?」
「あいよ。好きなの持っててくれ。」
代金を払うと、小平太はぽんっと滝夜叉丸の頭に手を置いた。
「好きなの持ってっていいってよ。」
「私、まだ買うって・・・・」
「でも、食べたいんだろ?ほら、お前が一番美味しそうだと思う奴選べよ。」
「はい。」
小平太にそう言われ、滝夜叉丸は一際赤いりんご飴を手に取り、小平太を見た。そして、
代金を払うために一度は離された手を、今度は滝夜叉丸の方から握る。
「ありがとう・・・ございます。」
「おう!食べたいもんや欲しいもんがあったら遠慮せず言えよ?」
「はい。」
滝夜叉丸から手を握ってきてくれたことが嬉しくて、小平太はご機嫌な様子でぐりぐりと
滝夜叉丸の頭を撫でる。それが少し恥ずかしくて、滝夜叉丸はほんの少しうつむきながら、
小平太に買ってもらったりんご飴を口にした。
(甘い・・・)
口に広がる飴の甘さに滝夜叉丸は胸がきゅんとしてしまう。今の自分の気持ちに一番見合
う味。小平太と二人で居る時に感じられる何とも言えないときめきが、甘いりんごの飴の
味にそのまま溶けているように感じられ、滝夜叉丸の口には無意識に笑みが浮かんでいた。
「美味いか?それ。」
「あっ、はい。甘くて美味しいですよ。」
「ふーん、ちょっと味見させて。」
繋いでいる手とは逆の手で、小平太は滝夜叉丸の持っている棒の部分を掴み、今しがた滝
夜叉丸が口をつけていた部分にかじりつく。しかも、自分の口元に向けて持っていたため、
小平太の顔が驚くほど滝夜叉丸の顔に近づいた。
(うわっ・・・)
そんな状況に滝夜叉丸は、心臓が止まるのではないかと思うほどドキッとしてしまう。
「本当だ。結構美味いなコレ。」
「な、何であえてそこを食べるんですか!?」
「んー、滝夜叉丸が食べてるところが一番美味しそうに見えたから。」
「だ、だからって・・・」
「なーに、照れてんだよ?今更間接チュウくらいで。」
「べ、別にそんなこと気にしてなんかいません!!」
真っ赤になっている滝夜叉丸をからかうように、小平太はにやにやしながらそんなことを
言う。普段は高飛車でうぬぼれ屋な滝夜叉丸が、こんなちょっとしたことで、赤くなった
り、取り乱したりしている姿が、小平太には本当に可愛く見えて仕方なかった。
「なあ、滝夜叉丸。」
「何ですか?」
「出店を一通り見て回ったら、ちょっと行きたいところがあるんだが。」
「行きたいところ?」
りんご飴をかじりながら、滝夜叉丸は首を傾げる。そんなちょっとしたことにきゅんきゅ
んしながら、小平太はあえてその場所をハッキリと伝えず、とりあえずいろいろな出店を
見て回った。
「ふー、結構いろいろ食ったな。」
「はい、もうお腹いっぱいです。あんなにたくさん御馳走してくれて、ありがとうござい
ます、先輩。」
「いいっていいって。滝夜叉丸が満足してくれたんなら、それで充分だ。」
出店を回り、いろいろなものを食べた二人は、祭りの中心となっているところから少し離
れたところで、一休みしていた。
「さてと、そろそろあそこへ移動するか。」
「ああ、さっき行きたいと言っていたところですか?」
「ああ、そうだ。ここからは少し離れているんだが、まだ祭りを楽しみたいと思うか?そ
れだったら、もう少しここにいても構わないんだが。」
「どちらでも構いませんよ。もう出店は十分に堪能しましたし。」
「そっか。なら、移動しよう。」
そう言いながら、何故か小平太は準備運動のような動きをする。それを見て、滝夜叉丸は
嫌な予感がする。
「食後の運動だ!!その場所までランニングするぞ!!滝夜叉丸!」
「ええぇ――っ!?そ、そんなあ・・・」
「いけいけどんどーん!!」
「な、七松せんぱーい。」
まさかこんなところで、委員会と同じようなことをするとは思わなかったので、滝夜叉丸
は絶句してしまう。しかし、小平太がその気なら仕方がない。全力疾走する小平太を走り
にくい浴衣で滝夜叉丸は必死で追いかけた。
「ハァ・・・ハァ・・・・せ、先輩?」
「よーし、着いたぞ。」
小平太が止まったので、滝夜叉丸はその場にへたり込む。そこはたくさんの背の高い竹が
生えている竹林であった。どうしてこんなところに連れてこられたのだろうと不思議に思
いながら、滝夜叉丸は走って疲れた体を休めた。
「こんなところで、何するんですか?」
「あの祭りって、どんな祭りだか知ってるか?」
「この時期ですから・・・えっと・・・・」
滝夜叉丸がその答えを口にする前に、小平太はその答えを言ってしまう。
「七夕祭りだ。知ってるだろ?七夕伝説。」
「七夕って、明の国の織姫と彦星の話ですよね。」
「ああ。七夕にはな、短冊に願いごとを書いて笹につるして飾ると、その願いが叶うと言
う話がある。」
「私もその話は聞いたことあります。実際にしたことはないですけど。」
「だから、今日はそれをやってみようと思ってな。どうせ飾るんだったら、小さな笹より
背の高い竹の上に飾った方が願い事も叶いやすいだろうと思って、ここに来た。」
「あー、なるほど。」
それでわざわざこんな場所に来たのかと、滝夜叉丸は納得する。しかし、自分は短冊など
持ち合わせていない。どうしようかと思っていると、小平太が懐から短冊と筆を出し、滝
夜叉丸に手渡した。
「ほら、これ、滝夜叉丸の分。」
「えっ・・・?」
「滝夜叉丸も願い事するだろ?」
「あっ、はい。」
本当にそのつもりで来たのだなあと、小平太の用意周到さに滝夜叉丸は感心する。しかし、
いきなり願い事を書けと言われても、なかなか思いつかない。
(うーん、七夕の願い事かぁ。どんなものがいいのだろう・・・)
どんな願い事を書こうかと考えながら、滝夜叉丸はちらっと小平太の方を見た。小平太は
もともと願い事を決めてあったようで、すらすらと短冊にその願い事を書いてゆく。
「よし!」
「どんな願い事書いたんですか?先輩。」
「私の願い事か?私の願い事はこれだ。」
楽しそうに笑いながら滝夜叉丸に見せた短冊には、小平太らしい豪快な字で願い事が書い
てあった。その願い事を見て、滝夜叉丸はドキッとしてしまう。
『滝夜叉丸が私のお嫁さんになってくれますように。』
冗談なのか本気なのかよく分からないその願い事に、滝夜叉丸の胸は高鳴る。お嫁さんと
いう表現がまた小平太らしいというか、実に率直で、滝夜叉丸の心をがっちりと捉えた。
「お嫁さんって・・・・」
「滝夜叉丸が私のお嫁さんになってくれたら、本当毎日が楽しいと思うんだよな!!」
「別にお嫁さんじゃなくてもいいじゃないですか。」
「いーや、お嫁さんがいいんだ!あっ、でも、可愛い奥さんとかでもいいかな?」
「先輩っ。」
男なのにお嫁さんとはどうかと思いつつ、滝夜叉丸は小平太のその願い事がとても嬉しい
と思ってしまう。小平太がこんな願い事を書いたのならと滝夜叉丸は、渡された短冊にす
らすらと願い事を書いた。
「私も出来ましたよ。」
「本当か!?どんな願い事だ?」
滝夜叉丸の願い事が気になると、小平太は滝夜叉丸の持っている短冊を覗きこむ。そこに
はこんなことが書かれていた。
『体育委員会での七松先輩が、体力バカじゃなくなりますように。』
「体力バカって失礼だな!」
「だって、本当のことじゃないですか。」
「滝夜叉丸〜。」
「わわ、ちょっ、七松先輩っ!」
期待していた願い事と違って、小平太は冗談っぽく滝夜叉丸のことを羽交い締めにする。
冗談でやられていても、小平太は馬鹿力なので、滝夜叉丸はバタバタと暴れた。
「まあ、いいや。とりあえずコレ、竹の上の方につけてくるな。」
「えっ?この竹に登るんですか?」
「もちろん。高いとこにつけた方が叶う気がするだろ?」
「まあ、確かにそうですけど・・・・気をつけてくださいね。」
「私を誰だと思っている。委員会の花形、体育委員会の委員長、七松小平太だぞ。」
「そりゃ分かってますけど。」
「よーし、行くぞー!いけいけどんどーん!!」
いつものかけ声と共に、小平太はするすると竹に登ってゆく。かなり上の方まで登った
小平太を見ながら、滝夜叉丸はハラハラしていた。
(絶対落ちないとは思うけど、あんなに高いとこに登られるとドキドキするなあ。)
そんな滝夜叉丸の心配をよそに、竹の上に辿り着いた小平太は、持っていた二人分の短冊
を竹の葉にくくりつけていた。
「これだけ高いところに飾ればいいだろ。」
満足気にそんなことを呟いていると、そよ風が吹き、自分と滝夜叉丸の短冊がくるくると
回った。くるくると回る短冊を見て、小平太はあることに気づく。
「あれ?」
パシッと滝夜叉丸が書いた方の短冊を手に取り、その動きを止める。そして、今気づいた
ことを確認するかのように、その短冊の両面を眺めた。表の方には先程見せてもらった願
い事が書いてあるのだが、裏側にも何かが書かれている。
『七松先輩と一緒の時間がずっとずっと続きますように。』
あまりにも可愛らしいその願い事を見て、小平太の顔は真っ赤になる。
「これは・・・反則だろ。」
滝夜叉丸の本当の願い事に小平太は撃沈する。もう居ても立っていられないと、物凄い勢
いで竹を下り、滝夜叉丸の前に飛び降りた。
「わっ!!」
「滝夜叉丸っ!!」
滝夜叉丸の前に立つと、小平太は力強く目の前にある体を抱きしめる。いきなり何なんだ
と、滝夜叉丸は困惑するような声を上げる。
「ちょっ・・・七松先輩っ!?」
「もうすっげぇ好き!!滝夜叉丸〜っ!!」
「な、何なんですか!?いきなり〜!!」
「お前がそうして欲しいなら、私はずっとずっとお前の側にいるぞ!」
「なっ・・・なっ・・・!」
小平太の言葉で、裏に書いた本当の願い事が読まれていることに気づき、滝夜叉丸は火が
ついたように顔を真っ赤に染める。もう恥ずかしすぎて言葉が出てこない。小平太に抱き
しめられたまま、滝夜叉丸がうつむいていると、小平太がその顔をぐいっと上げる。
「な、七松先輩・・・・」
(ヤバい・・・滝夜叉丸、可愛すぎっ!!)
真っ赤に染まった滝夜叉丸の顔を見て、小平太はムラっときてしまう。思わず目の前にあ
る唇に自分の唇を重ね、しっかりとその頭を捉える。
「んっ・・・!?」
突然接吻され、滝夜叉丸は目を見開く。しかも、それはただ触れるだけのものではなく、
恋人同士がするような深く激しい接吻であった。
「んっ・・・んぅ・・・んむ・・・」
熱い小平太の接吻にすっかりメロメロになってしまった滝夜叉丸は、目をとろんとさせ、
小平太の浴衣をぎゅっと掴み、ふるふると震える。小平太が顔を離すとその顔は先程とは
比べ物にならないほど、艶めいたものになっていた。
「ハァ・・・七松・・・せんぱ・・ぃ・・・」
「うっ・・・」
その表情を見て、小平太はドキッとしてしまう。これ以上進む気はないが、このままでは
進んでしまいかねないと、小平太は滝夜叉丸の顔を見ないような形で、もう一度強く抱き
しめた。
「・・・滝夜叉丸っ。」
(七松先輩の心臓・・・すごくドキドキしてる・・・)
ピッタリとくっついた体から伝わる心臓の音に、滝夜叉丸もドキドキしてしまう。そうい
う気分が治まるまで、小平太は長い時間、滝夜叉丸の体を抱きしめていた。
だいぶそんな気分が治まってくると、小平太はゆっくりと腕を緩め、滝夜叉丸を解放して
やった。
「ゴメンな、滝夜叉丸。苦しかったか?」
「い、いえ・・・そんなことないです・・・・」
「そうか。」
落ち着いたとはいえ、まだ油断は出来ない。理性を必死に保ちながら、小平太はいつもの
笑顔で滝夜叉丸の頭を撫でた。
「そろそろ学園に帰るか。」
「・・・はい。」
これ以上、ここに居てもそういう気持ちが高まるだけだと、小平太はそろそろ帰ろうと促
す。来た時のように、滝夜叉丸の手を握ろうかとも思ったが、さっきの今でそんなことを
すれば、また妙な気分になってしまうと、差し出しかけた手をぎゅっと握り、滝夜叉丸の
前を歩き出した。
(こんなことを言ってしまっては迷惑かもしれないが・・・今、伝えないと・・・)
前を行く小平太を見ながら、滝夜叉丸はぐるぐると頭の中でどうしても言いたいと思うこ
とを考える。小平太のことを考えると、このことを言うのはもしかしたら迷惑になるかも
しれないと思ったが、伝えられずにはいられなかった。たっと駆け出し、小平太の浴衣の
袖を掴み、滝夜叉丸はその歩みを止める。
「な、七松先輩っ!!」
「どうした?」
「あ、あの・・・・」
ぎゅうっと袖を握りながら、滝夜叉丸は小平太の顔から視線をそらす。そして、覚悟を決
めたように視線を小平太に移すと、ハッキリと伝えたいと思っていたことを口にした。
「来年も・・・私と一緒に祭りに行ってくれませんか?」
来年には小平太はもう忍術学園を卒業している。だからこそ、このことを伝えるのに躊躇
いがあった。断られるのを覚悟で、その返事を待っていると、驚いたような顔をしていた
小平太の顔が本当に嬉しそうな笑顔に変わる。
「もちろんだ。忍術学園までちゃんとお前を迎えに行ってやるよ。」
「七松先輩・・・・」
一番欲しかった返事がもらえ、滝夜叉丸はその嬉しさから小平太の腕に抱きつく。その顔
には満面の笑みが浮かんでいた。
「ちょっ・・・滝夜叉丸っ!!」
「先輩、約束破ったら、針千本ですからね!」
「私が約束を破るわけないだろう。」
「絶対ですよ。七松先輩。」
「当然だ。来年も一緒に祭りに行った後、一緒にここに来ような。」
「はいっ!!」
天の川が夜空を流れている下で、小平太と滝夜叉丸は来年の逢瀬の約束を交わす。それが
二人の中で眩いほどの光となり、笑顔という名の灯りで辺りを照らし出すのであった。
END.