跡宍 テーマ:慣らす

(最近、どうしてこんなのばっかなんだ・・・・ってか、マジ、何考えてんだ!跡部の奴
!!)
跡部の家に遊びに来ている宍戸は、ただいま可愛らしい女の子の制服を身に纏っている。
最近跡部の家に来るたびに、こういう服を着せられ、帰るまではその格好で居させられ
る。初めは本気で嫌がっていた宍戸であったが、最近は抵抗するのももう面倒なので、素
直に渡された服を着るようになっていた。
「今日の格好も似合うじゃねぇか、宍戸。」
「そうかよ。」
「少し前まで、文句轟々だったのに最近はあんまり言わなくなったな。」
「だって、文句言ってもお前無理矢理着せるじゃねぇーか!抵抗すんのも疲れるんだぜ。」
大きな溜め息をつきながら、宍戸はソファに腰掛け、テーブルの上に置いてあるジュース
を口にする。そんな宍戸の隣に腰掛け、跡部はぐっと宍戸の肩を抱いた。
「っ!?」
「本気で嫌だったら、別にうちに来なくてもいいんだぜ。うちに来るからこういう格好さ
せたくなるんだからな。」
「べ、別にそこまで嫌だなんて言ってねぇじゃねぇーか!つ、つーか、耳元で喋んな!!」
耳元で喋る跡部は離そうとするが、力だけだったら跡部の方が俄然上なので、思うように
離すことが出来ない。とりあえず、睨むだけ睨んでみるが、跡部にはその程度の攻撃が効
くはずがなかった。
(はあー、マジで何で俺、こんな奴のこと好きなんだろう。こんなどうしようもない奴な
のに。)
そんなこと思いながら、宍戸は跡部の顔を見る。不敵な笑みを浮かべる跡部の目は、一直
線に宍戸の姿を捉えていて、その視線に宍戸はドキっとしてしまう。
「跡部のアホ。」
「アーン?いきなり何だ?」
「そんなの自分で考えろ!!」
「随分生意気な口利くじゃねぇーか。そんな口は塞いじまうぞ。」
「なっ・・・ちょっ、待てっ・・・んっ・・・」
文句を言ったら言ったで、口を塞がれ、宍戸はポカポカと跡部の背中を叩く。しかし、跡
部はそんな宍戸の攻撃には全く動じなかった。
「ぷはっ・・・マジ、信じらんねー。」
「いつも言ってんだろ?本気で嫌だったら、本気で抵抗しろって。」
「う、うるせーな。いきなりされると出来ねぇもんなんだよっ!!」
「そんなことだと、テメェは俺のすることにどんどん慣れてっちまうぜ。そういう格好さ
せられるのも、もう結構慣れちまってんだろ?」
ニヤニヤしながらそんなことを言ってくる跡部に、宍戸は返す言葉が見つからなかった。
確かにそうかもしれないと、そう思ってしまったのだ。
(ヤッベェ、跡部の言う通りかもしれねぇ!!初めは確かにありえねぇくらい恥ずかしか
ったけど、最近はそこまででもないんじゃねぇ?俺。うっわー、激ありえねぇし。)
跡部のすることに慣れてしまっては常人じゃいられなくなると思いつつ、同時にもう手遅
れかもしれないと宍戸は考える。しかし、そのまま認めてしまうだけでは悔しい。何でも
いいから、跡部に言い返せる言葉はないかと、宍戸は頭をフル回転させて考えた。
「た、確かに慣れてきちゃってるかもしれねぇけど・・・・俺が慣れちまったら、嫌がる
とか恥ずかしがるとかの初々しい反応は見れなくなるんだぜ。それでもいいのかよ?」
負け惜しみだと思いつつも、宍戸はそんな言葉を跡部に放つ。そんな宍戸の言葉に跡部は、
自信満々な態度で答えた。
「それなら、もっと激しいことをするまでだ。ま、俺はより激しいことが出来たらその方
が楽しいからな。どんどん慣れていっていいぜ、宍戸。」
それでは自分もどんどん変態になってしまうではないかと、宍戸は跡部のすることに慣れ
るのはダメだと自分自身に言い聞かせる。
「それなら、絶対慣れないようにする!!」
「そしたら、いつでも初々しい反応が見られるってことだな。」
「あうぅっ・・・どっちもダメじゃねぇか・・・」
「俺はテメェが慣れようが慣れまいが、どっちも大歓迎だぜ。まあ、方向的には慣らす方
向で行くけどな。」
もう自分がどうすれば分からないと宍戸は頭を抱える。しかし、跡部から離れるという選
択肢は初めから考えていなかった。どんなことをされようが、やはり跡部のことは好きな
のだ。それを分かっているが故に、跡部は楽しそうに笑いながら、宍戸のことをからかう
のであった。

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