Under the Aurora 〜midnight〜

オーロラが消えたあと、跡部はそのまま宍戸をベッドに押し倒した。花嫁姿の宍戸は恥ず
かしさを顔に表し、跡部を見る。
「ちょっ・・・景吾、このままヤるのか?」
「ああ。特に問題ねぇだろ?」
「ないけど・・・」
このままの格好でヤルのはちょっと恥かしいよなぁ。なんかこれじゃあイメクラみたいじ
ゃん。
いつもとは違う格好で羞恥心でいっぱいの宍戸はいつもより体が火照っているのを感じた。
そんな宍戸に跡部は容赦なく唇を落とす。
「あっ・・・」
ドレスの形状からむき出しになっている肩にキスされ、宍戸の体は反応し始める。ゆっく
りと跡部はドレスを上から脱がしていく。肌の露出する部分が増えていくと、宍戸は思わ
ず自分の腕で露わになっている胸を隠した。
「何してんだよ?」
「なんか・・・今日・・すごい恥かしくて・・・・」
「今更だろ。でも、そのくらい恥かしがってくれると本当に初夜みたいでいいな。」
「な、それ違うだろ!?」
「まあ、お前が恥ずかしがろうがなかろうがやることは変わんないぜ。」
「んぅっ・・・」
恥かしがる宍戸を楽しそうな目で見ながら、跡部はまた口づけを施す。息ができなくなる
くらい深くされて、少し苦しいと感じながらも宍戸はそれに応えようと舌を絡ませた。ど
ちらのものとも分からない唾液が宍戸の口元に流れる。
「んん・・・ふぁ・・んっ・・・」
やっぱ、飽きねぇよなあ。こいつとキスすんのって。ドキドキするけど落ち着くっつーか、
とにかくやめらんなくなる味だな。
「・・・んっ・・・ふ・・・はぁ・・・・」
いったん跡部は離れるが、宍戸は足りないよーというような表情で跡部の髪を軽く掴む。
十分に濡れた唇は蝋燭の灯りに照らされ、キラキラと輝き、宍戸の表情をさらに艶っぽい
ものにしている。
「亮、髪掴むの一回やめてくれねーか?」
「何で?」
「動けねぇだろうが。」
「もっとキスして欲しいんだけど・・・」
「あとでしてやる。だから、今はちょっとだけ離せ。」
「・・・分かった。」
しぶしぶと宍戸は手を離した。跡部は自由に動けるようになると純白のドレスのスカート
をまくりあげ、邪魔な下着を剥ぎ取った。
「わっ・・・景吾・・何やって・・・・ふっ・・・あん・・・」
「もうこんなんなってんのか?ちょっと、触っただけで美味そうな蜜が溢れそうだぜ。」
「やだっ・・・・あっ・・・ああ・・・あぁんっ・・・・」
「ホント、美味そうだな。少し味見させてもらうぜ。」
しばらく指で先端を弄ったあと、跡部はそれを口の中に含む。じっくり味わおうと舌を使
って舐め回したり、口いっぱいに含んだりすることを繰り返す。宍戸はいやいやと首を振
り、長い黒髪でシーツを叩く。
「ああっ・・・けい・・ご・・・あぅっ・・ダメぇ・・・」
「・・・・・」
「うっ・・・あぁ・・あっ・・・ああっ・・・」
体を震わせながら、宍戸はシーツを掴み、跡部の愛撫の心地よさに溺れる。そのうち、耐
えられなくなり跡部の口へとそのまま熱いものを放った。
「やっ・・・ああっ・・・景吾っ・・・!!」
「・・・・・っ。」
一滴も逃すものかと跡部は宍戸のそれから決して口を離そうとしない。何度か喉を鳴らし、
宍戸の放った蜜を全て飲み干した。満足気な笑みを浮かべ、手の甲で口を拭う。
「ハァ・・・ハァ・・・・」
「やっぱ、お前の最高だぜ。極上の蜜だ。」
「んなわけねーだろ・・・!!」
「それよりここより先はその格好じゃやりにくいぜ。全部脱がしてもいいか?」
「勝手にしろよ・・・でも・・・だったらお前も全部脱げよな。」
「分かってる。」
自分だけが全裸になるのは嫌だと、跡部にも脱ぐことを強制する。だが、跡部はそれが宍
戸が自分と対等でありたいと思っている証拠だと素直に受け入れた。宍戸のドレスを取り
去ったあと、自分の着ているタキシードもズボンも全て脱ぎ去る。
「これでいいか?」
「ああ。・・・・あのさ、景吾。俺のお願い聞いてくれるか?」
「何だよ?」
「あのな・・・えっと、その・・・繋がる時・・・」
「ああ。」
「できれば正常位がいい・・・。その方が抱き合えるし、お互いの顔、見えるだろ?」
潤んだ瞳が切実に訴える。宍戸がこういうことを言うのは珍しいことなので、跡部は快く
頷いた。
「いいぜ。お前の望むとおりにしてやる。」
「ありがと。」
照れながら宍戸は呟く。それを聞いた跡部はさっきの続きをするため、指を軽く濡らし、
まだ慣らされていない蕾にゆっくりと差し込む。
「んんっ・・・うあっ・・・・」
「もうちょっと足開けねーか?その方がやりやすいんだけど。」
「やだぁ・・・そんなの・・・恥かしい・・・・」
「でも、このままだとキツイのお前だぜ?」
そう言うと跡部はもう一本指を増やした。だいぶ解れ、開きかけている蕾を内側から刺激
し、受け入れる準備を促す。
「ひぁっ・・・あっ・・ああ・・・景吾っ・・・」
「大分濡れてきたな。三本目入りそうだぜ。」
「あっ・・・くぅ・・・」
三本目を飲み込むと自然と宍戸の腰が浮いた。もっと確かな刺激が欲しいと無意識に体が
反応しているのだ。
「そんなに腰揺らして、やっぱ体は正直じゃねぇか。」
「あっ・・・けい・・・ごぉ・・・そんなに指・・・動かすなぁ・・・」
「やだね。ちゃんと慣らしてやってんだ。文句言うんじゃねぇ。」
「だって・・・じゃあ・・・早く・・・・」
「早く何だ?」
「・・・んっ・・・言わなくても・・・分かるだろ・・・ひゃっ・・・」
「分かるけど、言わねぇとしてやんねー。その可愛い口でおねだりできたら、挿れてやる
よ。」
「んんっ・・・あっ・・・そんな・・・」
もう十分に解され、濡れているそこは跡部のものが欲しくてしょうがないらしい。だが、
言わなければ挿れてもらえない。宍戸の顔は再び羞恥の色に染まり、目は今にも涙がこぼ
れんばかりに潤んでくる。しばらく、そのままの状態が続いたが、さすがに我慢できなく
なって宍戸は跡部の腕に手を伸ばし、切れ切れにして欲しいことを言葉にした。
「けいご・・・もう・・・」
「何だよ?」
「あっ・・・もう・・・ダメぇ・・・挿れてぇ・・・・」
「言えるじゃねぇか。」
跡部はふっと微笑むと足を抱え、自分のもので宍戸の花弁を押し開いた。その感覚に宍戸
は高い濡れた声を発する。
「ああっ・・・ああ――っ!!」
「なかなか締まるな。いい感じだぜ。」
「やっ・・・景吾っ・・・はぁんっ・・・ああ・・・」
宍戸は腕を伸ばして、跡部を求める。跡部は宍戸に覆い被さるような体勢で顔を近づけた。
その瞬間、宍戸の手は跡部の背中に回される。直接肌が触れ合い、体が全て一つになるよ
うな感覚が二人を包んだ。
「お前のここ、熱くて柔らかくて最高だ。ずっと入っていてぇ。」
「お前なら・・・それでも・・・・いい・・・!!」
「うれしいぜ。俺達は二人で一つだ。分かるか?」
「あ・・ああ・・・すっげぇ・・・よく分かる・・・」
「愛してるぜ、亮。今も明日も明後日も・・・何十年後もだ。」
「俺も・・・景吾のこと愛してる・・・俺は全部・・・お前のもんだぜ・・・」
「当然だろ?俺以外にお前を最高に幸せにできる奴はいねぇ。」
「俺もそう・・・思うぜ・・・ふっ・・あっ・・・」
「くっ・・・すごい。これじゃあ、そんなにもたねぇ・・・」
「やっ・・・あぁ・・ん・・・け・・いご・・・・」
体中に走る甘美な痺れがあまりにも刺激的で、宍戸は金色の髪を掴み、ぎゅうっと跡部に
しがみついた。もう限界だと感じるともう言葉を紡ぐことも難しい中、宍戸は口づけを跡
部請う。
「けい・・・ごぉ・・・・もう・・・ダメぇ・・・」
「俺ももう限界かもな。」
「キス・・・してくれよ・・・・もっと・・・お前と・・深く繋がり・・・てぇ・・・」
「ああ。一つになってどこまでも堕ちちまおうぜ。」
「んぅ・・・んっ・・・ぁ・・ふ・・・」
どこもかしこも繋がり、二人は最高の快楽とこれ以上ない幸福感の中、お互いに溺れ、ど
こまでもどこまでも堕ちていく。体の一番奥に熱いものが放たれると同時に宍戸は自分の
望んでいたもので全てが満たされるのを感じた。うつろな意識の中目を開けるとそこには
ピンクがかった赤いオーロラが再び空を覆っていた・・・。

一通りの行為を終え、二人はただいまシャワー室。歩くのがツライと言う宍戸を抱いて、
そこまで跡部が運んだのだ。跡部はイスに座り、体をまかせるように宍戸は跡部に寄りか
かり膝で座っている。
「亮、腹の力抜け。」
「うん・・・」
「嫌なのは分かるけどよ、そんなにしがみつくな。」
「だってよー、これだけはどうしても慣れねぇんだよ。」
「しょうがねぇだろ。中に出したの出さないとお前が気持ち悪いだろ?」
「そうだけど・・・」
「ほら、キスしててやるからちょっとの間我慢しろ。」
「んっ・・・」
中出ししたため、中に出した精液を外に出さなければならないのだ。キスをしながら跡部
はまだ柔らかい宍戸の蕾に指を入れ、中のものを掻き出す。トロッとした白い液体が宍戸
の太ももを伝った。それを跡部はシャワーで丁寧に流していく。
「終わったぞ。」
「・・・サンキュー。少しは嫌な感じ抑えられてたと思う。」
「そうか。じゃあ、さっさとシャワー浴びて出ようぜ。」
「ああ。」
軽く体を洗い、二人はシャワールームをあとにした。シーツを替え、まっさらなベッドに
身を横たえ天井を見上げる。
「まだ、消えてないな。」
「そうだな。結構珍しいんだぜ。一晩にオーロラが二度も見られるなんて。」
「そうなのか?じゃあ、俺達ラッキーだな。」
「きっと、自然も俺達のこと祝福してんだ。だって、あんなにキレイなんだぜ?」
「何だよそれ。でも、確かにオーロラはすっげぇキレイだよな。俺、生では一生見られな
いと思ってた。」
「へぇ、じゃあよかったじゃねーか。あと三日あるし。もう一回くらい見られる可能性は
あるんじゃねぇ?」
「ホントか!?うっわあ、もう一回見れたらいいなあ。」
明るい声を上げ、宍戸は空を見上げる。赤い大きなカーテンの中小さな星々が瞬いて、ま
るでキラキラと光っているようだった。
「亮、明日どうする?」
「そっか。明日もあるんだっけ。そうだなあ・・・フィ・・ヨルドだっけ?あれ見に行き
てぇな。」
「分かった。じゃあ、明日はフィヨルド巡りだな。」
明日の予定を話している間にオーロラはだんだんとその姿を消してゆく。二人はそれを惜
しいなと思いながら眺めていた。
「もう消えちまいそうだな。」
「でも、俺は満足だぜ。たとえオーロラが消えたってお前がいなくなるわけじゃねーし、
二度も見れたんだから十分だ。」
「俺はもっと見てたかったなあ。」
残念そうに宍戸は呟く。
「欲張りな奴だな。オーロラがなくたって俺がいるんだからよ。俺だけ見てろ。」
「お前がオーロラの代わりか?」
「十分相等するだろ?」
「どうかな?それだったら俺だってそうじゃねぇ?」
宍戸も跡部に負けじと笑いながら言った。しばらくお互いに黙っているが、返答に困り、
声を上げて笑った。
「あはは、景吾ってホント自信過剰でナルシーだよな。」
「お前だって大して変わんねぇじゃんか。でも、まあ俺にとっちゃ、お前はもちろんオー
ロラ以上の存在だけどな。」
「本当か?」
「ああ。マジでそう思うぜ。お前はどうなんだよ?」
「決まってんだろ。景吾はオーロラよりも輝いてて、キレイで、何でもできて、俺を一番
大事にしてくれる最高の恋人だ。」
「うれしいこと言ってくれるじゃねーか。つまりお前にとっても俺はオーロラ以上の存在
ってことか。」
「そういうことだな。ふわあ〜、何か急に眠くなってきちまった。」
突然、睡魔が襲い、宍戸は大きなあくびを一つした。
「今日はいろいろ忙しかったもんな。明日のためにゆっくり寝ようぜ。」
柔らかな表情で跡部は微笑み、宍戸の髪を優しく撫でた。宍戸はその心地よさに目をつぶ
る。そして、跡部の手を取り、指を絡ませる。
「今日は手繋いで寝たい。いいよな?」
「いいぜ。朝まで離さないででいてやるよ。」
「へへ、サンキュー。じゃあ、オヤスミ。景吾。」
「ああ。オヤスミ。」
オーロラが完璧に空から消えたと同時に跡部も瞼を閉じた。カーテンがなくなった空には
満天の星が輝き始める。繋いだ手から伝わるぬくもりが跡部の心を満たしてゆく。宍戸も
幸せそうな寝顔で小さな吐息を何度も繰り返し漏らすのであった。

                                END.

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