滝の音が響く川岸の岩窟に財前はホタルモードでやってきた。入口は狭いが中からは、月
明かりのような淡い光が漏れている。特に扉などはついていないが、財前はそこにいるは
ずの銀に声をかけた。
「師範、入ってもええですか?」
外から聞こえる財前の声に気づき、銀は入口に移動し、財前を迎え入れる。
「よう来たな、財前はん。入りや。」
「お邪魔します。」
入口は狭いものの中に入るとそれなりの広さがある。燈火で照らされてはいるものの、そ
の灯りは淡く、仄明るいという言葉がふさわしい雰囲気だ。
「やっぱ、師範の寝床は落ち着きますね。」
「はは、何だかんだで毎晩来とるもんな。」
「俺は特に決まった寝床とか家みたいなのないんで。師範の隣が俺の寝床みたいなもんで
すわ。」
人族以外は決まった家や寝床を持たない者も多く、財前もその一人だ。銀は家というより
は巣穴に近い形で日が暮れると基本的にはこの場所で過ごしている。寝床は持たないもの
の財前は毎晩のように銀のもとへ訪れる。ホタルモードの財前もオオサンショウウオモー
ドの銀もどちらかと言えば夜行性だ。単に寝るためではなく、他の目的のために財前は銀
を訪ね、銀もそれを歓迎していた。
「財前はん。」
「はい。」
「こっち来ぃや。」
入口から離れた岩窟の奥の方に銀は座り、穏やかに微笑みながら財前を招く。それは二人
の中で一つの合図であった。ドキドキとしながら、財前は銀のすぐ側まで移動する。
「今日も・・・ええですか?」
「ええで。ワシも毎日楽しみにしとるからな。」
「ホンマですか?」
「ああ。せや、今日はちょっとしてみたいことがあるんやが。」
「何です?師範がしたいことやったら何でもええですよ。」
どちらも想いは伝え合っている関係なので、夜には契りを交わすことも多い。財前が毎日
訪れるようになってからは、さらに頻度が高くなった。
「最近、財前はんはかなり感じやすくなっとるやろ?」
「っ!!ま、まあ、そうかもしれんです・・・」
「せやから、今日は時間を決めて財前はんの弱いとこ責めてみたいなあと思うて。」
「師範がそうしたいなら構いませんけど・・・何で時間を決めてなんですか?」
「いろいろしたいというのと、財前はんに負担かけすぎないようにというのが理由やな。」
「分かりました。ええですよ。やっぱ、師範優しいですね。」
こういう責め方をしたいとしつつも、自分のことを考えてくれている銀に、財前はときめ
いてしまう。
「服、どうしましょう?自分で脱いだ方がええですか?それとも師範が脱がせます?」
やる満々な財前は、少し恥ずかしそうに銀にそう尋ねる。少し考えた後、銀は財前の腕を
引き、ふわっと自分の腕に収める。
「ワシが脱がしてもええやろか?」
「もちろんです。」
財前が頷くと、銀はまずはシャツに手をかける。ゆっくりボタンを外し、完全に脱がすこ
とはせず、はだけさせるにとどめる。その後、下に穿いているものは全て脱がしてしまう。
「ええ格好やな。」
「ちょっと恥ずかしいです・・・」
「ほんなら、ここに座ってもらおうか。」
胡坐をかいている膝をポンポンと叩き、銀は財前にそう言う。言われた通りに財前は銀の
膝の上に座る。財前が膝の上に乗ると、銀は後ろから財前を抱き締める。
「あ、あの・・・時間決めるって言うてましたけど、時計とかないのにどう計るんスか?」
「ああ、そこに水を流すための鹿威しみたいなのがあるやろ?あれが動く間隔がだいたい
5分くらいやねん。」
「なるほど、そうなんっスね。」
滝の近くにあるためか、岩窟の中に一部水がポタポタと落ちている箇所がある。その下に
竹で作った鹿威しを置いて、水を流すような仕組みになっている。そこに水が溜まり、水
を流すために動くのが5分間隔であることを聞いて財前は納得する。
「ほんなら、次あれが動いたら始めるで。まずは耳舐めからするつもりや。」
「わ、分かりました。師範の好きなようにしてくれてええんで。」
いつ鹿威しが動くのだろうと、財前はドキドキしながらそれを見つめる。体感で1、2分
経ったところで、水の溜まった鹿威しが傾いた。
カコーン・・・
岩窟の中に澄んだ鹿威しの音が響く。ぎゅっと財前の体を抱き締め、銀は耳元で囁いた。
「始めるで。」
「はい・・・」
手始めにと言わんばかりに、銀は財前の耳に息を吹きかける。
「んあっ・・・」
「ええ反応やな。財前はんのココ、ゆっくり舐めてやるからな。」
耳元で響く低い声に、財前の鼓動は速くなる。耳の形をなぞるように銀は舌を這わせる。
「んぁあんっ・・・」
ゆっくりとその形を舌でなぞりながら、銀は財前の反応を見る。耳の穴の近くを舐めると
ピクンと肩が震える。
「うっ・・・あんっ・・・」
そこよりももう少し外側に舌が触れると、濡れた吐息が漏れる。
「ふっ・・・ぅんっ・・・」
と、銀はあることに気づく。
「そういえば、今はピアスしとらんのやな。」
「寝るときはさすがに邪魔なんで、師範のとこに来る前に外してきました・・・」
「なるほどな。」
三つのピアスの穴が並んだ耳たぶの端を舐めると、財前の身体はビクンと跳ねる。
「ふあぁぁんっ・・・!」
「ここ舐められるん気持ちええのか?」
財前が大きな反応を見せるので、銀はドキドキしながらもそこを何度も舌でなぞる。ピア
スの穴に銀の舌が触れるたび、下腹の奥がきゅんきゅんと疼き、言いようもない快感がと
めどなく湧き上がる。
「あんっ・・・ああっ・・・そこ、アカンです・・・」
「ほんなら、ここをしばらく舐めといてやるな。」
「やんっ・・・気持ちええ・・・ふあっ・・・ああぁんっ!!」
ビクビクと震えながら、財前は甘い悲鳴を上げる。
(アカン・・・ホンマに気持ちええ。このままやとイってまうかも。)
耳たぶの表だけでなく、穴の裏側も銀は舐める。その瞬間、身体の内側で何かが弾けるよ
うな快感が生まれ、財前は達する。
「んあっ・・・ああぁぁんっ!!」
達したと言っても、まだその熱から雫は溢れていない。だだ、達した瞬間、財前の臀部が
ホタルの光のように明るく光った。
(ちょっと前から気づいとったけど、財前はん、達すると尻のあたりが光るんやな。)
何とも分かりやすいと、銀は思わず口元を緩ませる。ここは薄暗いので、光ればすぐに分
かる。今日はどれだけ光るかを数えてみようと銀は心に決めた。
「ハァ・・・師範・・・」
「こないに感じやすい穴を自分で増やしとるなんて、財前はエッチやなあ。」
「やんっ・・・そんなこと言わんといてください・・・」
「ここ、どうして欲しいんや?」
「もっと・・・舐めてください・・・」
「ええで。」
恥ずかしいと思いつつも、一度そういう気分になってしまうともっとして欲しいという気
持ちが抑えられない。財前の愛らしいおねだりを受け、銀は感じやすい三つの穴を丁寧に
何度もなぞる。
「んっ・・・ああぁんっ!!」
(コレ、ホンマにアカン。気持ちよすぎて、またすぐ・・・)
「師範・・・ぁんっ・・・ああぁあっ!!」
再び身体が震えると同時に腰の下あたりが光がぴかっと光る。感じやすくイキやすくなっ
ている財前を心の底から愛らしいと思いながら、銀は鹿威しの次の音が鳴るまで続ける。
「はあっ・・・ああぁぁんっ!!」
「ホンマに可愛らしいで。」
「あんっ・・・師範・・・ふあっ・・・ぁんっ!」
「気持ちええなら、何度でもイったらええで。」
「はい・・・んぁ・・・くうぅんっ!!」
財前の耳を舐めながら、銀は財前の臀部が光る回数を数えていた。
カコーン・・・
腕の中で乱れている財前を抱く銀の耳に鹿威しの音が響く。ちゅうっと耳たぶを食んだ後、
ゆっくりと口を離す。
「んぅっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「どうやった?」
「はあ・・・メッチャ気持ちよかったです・・・」
蕩けるような表情で、銀に寄りかかりながら財前はそう答える。
「ただ耳を舐めてるだけやのに、たった5分で16回くらいイっとたもんな。」
「ちょっ、何数えとるんですか!?ていうか、そんな細かくどうやって・・・」
「それは内緒や。せやけど、だいぶ正確やと思うで。今日はどれくらいイってくれるか楽
しみやな。」
「まあ、師範が楽しめるんやったら、別にええですけど。」
自分でもどれだけ達したかなど分からないので、銀の言葉に財前は驚く。状況が状況であ
り、自分では見えづらい場所が光っているため、財前自身はそのことに気づいてはいなか
った。
「それで、次はどんなことしてくれるんスか?」
あれだけ達しているにも関わらず、まだまだ余裕な財前に銀は感心する。しかし、それは
銀にとっては嬉しいことであった。
「今度はココを弄ってやるで。」
前が開いているシャツに手を入れるような形で、銀は財前の胸の辺りに手を持っていく。
次はどこを責められるかに気づいた財前は、期待感から胸を躍らせる。
「また鹿威しの音が鳴ったら始めるな。」
「何気に便利っスね。あの鹿威し。」
「せやろ?こういうことにも使えて、風流さも感じられて一石二鳥やな。」
どちらも鹿威しの音が鳴るのを楽しみにしながら、そのドキドキ感を楽しむ。それほど時
間を待たずして風流な音が岩窟内に響き渡った。
カコーン・・・
鹿威しの合図を聞くと、銀は財前の胸の突起に指を滑らせる。その指は潤滑油をつけてい
るかのようにぬるっとしており、財前は予想だにしていなかった感触にビクッとする。
「ひあっ・・・な、何で・・・?」
「ん?どないしたん?」
「師範の指、何でそないにぬるぬるしとるんスか?」
「ああ、これか。ワシの今のモードはオオサンショウウオモードやからな。オオサンショ
ウウオの能力で、皮膚から自由に粘液が出せるんや。この方がきっと気持ちええやろ?」
「せやけど、そんなんでココ弄られたら・・・」
乾いた指で触れられるよりは、絶対に今の状態の方が気持ちいいと財前は戸惑いつつも、
期待感を募らせる。そんな財前の期待に応えるかのように、銀は両手を使って胸の突起を
こねくり回す。
「ああぁぁんっ!!」
「ここもだいぶええ感じやな。」
「それ、メッチャ気持ちええです・・・!ゾクゾクして、すぐにでもイってまう・・・!」
まだ柔らかいそこをくりくりと弄っていると次第に硬くなっていく。ある程度の硬さにな
ると指の先で上下に弾く。
「ひぅんっ・・・それ、アカンっ・・・うあっ・・・ああぁぁっ!!」
あまりの気持ちよさにまたすぐ財前は達してしまう。一度達すると、可愛らしく立ち上が
った突起の感度はさらに上がり、光を放つ頻度を上げる。
「んああぁぁっ!師範っ・・・あんっ・・・あぁぁんっ!!」
「ホンマに気持ちよさそうやな。ええ顔になっとるで。」
「んぅ・・・師範っ・・・もっと、強くしてください・・・」
「欲しがりさんやなあ。」
ぬるぬるとした指先で、先程よりも強めに財前の突起を抓む。きゅっきゅっきゅと何度か
抓んでやると、一際大きく財前の身体は痙攣し、臀部の光も点滅するかのように数度光る。
「んんん――っ・・・ひあっ・・・ああぁんっ!!くっ・・・はあぁんっ!!」
(ホンマに可愛くてたまらんな。時間はまだもう少しあるし、もっともっとイかせてやら
んとな。)
時折連続で達し、そうでなくても10秒も間隔を開けずに臀部を光らせる財前に、銀はひ
どく興奮する。時間まで存分にその快感を味わわせてやろうと、銀は感じやすい胸の飾り
で遊ぶ。
「はぁんっ・・・しは・・んっ・・・もっと・・・」
「もっと何や?」
「もっとぎょーさん・・・弄ってください・・・」
「ふっ、財前はんのそないなとこ、ホンマ好きやで。」
胸を弄られながら乱れに乱れている財前に、銀は心を奪われる。ぬるぬるとした指で非常
に敏感になっているそこを抓み、弾き、擦る。
「あっ・・・あんっ・・・んぁぁああっ!!」
耳舐めのときよりも遥かに多い回数財前の臀部は光る。隠すことなく放たれる喘ぎ声と蕩
けた表情。幾度も達するさまを見せられ、銀の鼓動はひどく高鳴っていた。
「こないに何度も簡単にイってまうなんて、財前はのココ淫乱すぎるで?」
「やあぁんっ・・・そないなこと言われたら・・・ああぁぁんっ!!」
「また、イってもうたんか?ホンマやらしいなあ。」
「んぅっ・・・しは・・ぁん・・・」
話しかけながらも、指を動かすのは止めない。そのおかげで、財前は何度も甘い甘い絶頂
へと到達する。そろそろだろうということに気づき、銀は一際強くそこを抓み、ぎゅっと
引っ張る。
「ひっ・・んっ!!ああぁぁあんっっ!!」
一際明るく光ったと同時に鹿威しの音が鳴る。
「ココはこれで終わりやな。」
「ハァ・・・ハァ・・・ホンマ、すごかったっス。」
「せやなあ。何回イったと思う?」
「そんなん分からんっスわ・・・」
「36回やで。単純計算で10秒しないでイっとる計算やな。」
たくさん達しているのは分かっていたが、まさかそこまでとは思っていなかったので、財
前は恥ずかしくなる。しかし、銀の手でそれだけ気持ちよくなれたと思うと、全く悪い気
はしない。
「そないにイカせてくれるなんて、師範流石っスね。」
「はは、そう言われるとは思ってなかったわ。」
「師範、ちょっとキスして欲しいです。」
存分に気持ちよくしてもらっているが、始めてからまだキスをしてもらっていないと、財
前は可愛らしくねだる。
「ええで。」
財前の身体を自分の方へ向け、頬に右手を添える。厚めの唇を財前の唇に重ね、ちゅっと
音を立てる。
「んぅ・・・」
優しい口づけに財前の胸はトクンとときめく。もっとして欲しい気持ちもあるが、それは
繋がるときの楽しみにとっておきたいと、財前は銀のしてくれた優しいキスに対して、嬉
しそうな笑みを浮かべ礼を言う。
「ありがとうございます。」
そうこうしているうちに鹿威しが一度傾く。その音を聞いて、財前は上目遣いで銀を見上
げながら尋ねる。
「次は何してくれるんです?」
「そろそろ繋がる準備をしようと思っとるで。」
「ええっスね。楽しみです。」
「ほんなら一旦ここから下りて、そこの壁に寄りかかってもらえるやろか?」
「はい。」
銀の膝から下りると、財前は銀の後ろにある岩の壁に寄りかかる。そんな財前と向かい合
わせになるように、銀は少し移動する。
「もう少し足を広げてもらえるやろか?」
そう言われて、財前はおずおずと足を開く。それではしたいことがしづらいと、銀は更に
開くように求める。
「もっと大きく開かなアカンで。」
「・・・はい。」
銀に言われ、財前は更に大きく足を開く。何度も達して濡れた熱もまだ閉じている蕾も丸
見えな状態に、財前は恥ずかしさを覚える。
「こ、これで、ええですか?」
「ああ、大丈夫や。さっきと同じように鹿威しが鳴って、もう一回鳴るまでしてやるな。」
先程の責めを思い出し、財前の下腹はきゅんきゅんと疼く。
カコーン・・・
鹿威しの音が鳴ると、財前は期待感に満ちた目で銀を見る。
「少しずつほぐしてやるからな。」
そう言うと、銀は指先を十分に粘液で濡らし、まずは一本財前の蕾に挿入する。
「あっ・・・あんっ・・・!!」
何度か出し入れをしていると、粘液の助けもあり財前のそこはすぐに柔らかくなってくる。
「柔らかくなってきたな。」
「師範の指・・・ぬるぬるしとって気持ちええです・・・」
「これからもっと気持ちよくしてやるで。」
既に蕩けた顔になっている財前にそう言うと、銀はそこに挿れている指をもう一本増やす。
「んあぁぁんっ・・・」
「何度かしてて気づいたんやけどな、財前はんはココをこういうふうにされるんが好きや
ないかと思うて。」
そう言いながら、人差し指と中指を第二関節くらいまで挿れ、入口を広げるかのように二
本の指の間を開く。一番気持ちいい場所に指先があたりつつ、無理矢理入口を開かれる。
今までの責めで非常にイキやすくなっている財前は、そんな刺激を受けあっという間に達
してしまう。
「あぁっ・・・ああぁぁんっ!!」
「間違うてなかったみたいやな。」
財前がよい反応を見せてくれたので、銀はその方法で財前のそこをほぐすことにする。指
を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返していると、だんだんと入口の開き方が広がって
いく。一度だけでもすぐに達するような責めだ。それを繰り返されれば、当然のことなが
ら、財前の臀部は何度も光を放つ。
「あんっ・・・ふあぁあっ・・・師範っ・・・それ、すごいです・・・っ!!」
「気持ちよさそうやな。財前はんのココ、ずっとヒクヒクしとるで。」
「んっ・・・くうぅんんっ!!気持ちええ・・・あっ・・・はあぁんっ!!」
何度か達していると、財前のそこはくぱぁと大きく開くようになる。粘液が絡んでいるこ
ともあり、開いた指の間には何本も糸が引き、財前が光を放てばピンク色の襞が見え隠れ
する。そんな視覚的な刺激と絶え間なく響く財前の色めいた声が銀の心を昂らせる。
「入口もこないに柔らかくなって、財前はんの中、よう見えとるで。」
「やあぁんっ・・・見んといてくださいっ・・・!」
「ここに挿れたら、そりゃもう気持ちええんやろなあ。」
ぐぐっと指に力を入れ、限界まで広げてみる。そんな刺激と銀の言葉に財前の臀部は一際
明るく光る。
「しは・・んっ・・・ひっ・・・ああぁぁああっ!!」
「まだまだ時間はあるで。また何度もイクとこ見せてや。」
「ハァ・・・師範っ・・・んくっ・・・ああぁんっ!!」
水が溜まるまではまだもう少し時間がある。粘液を多めに指に絡め、くちゅくちゅと卑猥
な音を立てながら、銀は財前の蕾を更に開かせるように指を動かした。財前の内側を見つ
つ、放たれる光の回数を数え、その数の多さに銀は更に興奮する。おかげで、銀の熱の準
備もしっかりと整っていた。
カコーン・・・
「んっ・・・はあっはぁっ・・・」
「だいぶええ感じにほぐせたと思うで。」
「また、ぎょーさんイってまいました。」
「せやなあ。ホンマに可愛くて最高やったで。」
存分にほぐされたそこは、もっと大きなものが欲しいとヒクヒクと疼いている。
「師範、ここに座ってください。」
財前がいた場所のすぐ横にほんの少し高さがあり、椅子のように座れるような岩があった。
銀をそこに座らせると、銀の着ている着物の帯をほどいてはだけさせた後、既に充分な大
きさになっている熱を外に出す。そんな銀の足を跨ぐように財前はそこに立ち、その熱を
疼く蕾に押し当てゆっくりと腰を落した。
「はあっ・・・ああぁんっ・・・」
「んっ・・・」
「師範の・・・大きい・・・」
「財前はんの気持ちよさそうな姿をずっと見とったからな。」
「せやけど、俺にとっては・・・これくらいがちょうどええっスわ。」
「嬉しいこと言うてくれるな。」
「今度は師範が・・・俺の中でぎょーさんイッてください・・・」
銀の首に腕を回し、艶やかな笑みを浮かべながら財前はそう口にする。繋がっている部分
に重心をかけ、軽く足を浮かす。自身の重さで銀の熱は奥の奥まで入る。
「師範の・・・全部入りました・・・」
「ハァ・・・せやな。財前はんの中、ぬるぬるしとって温かくてええ気持ちや。」
「このまま・・・ぎょーさんキスしたいです・・・今度はもっとエッチな感じで。」
「ええんやないか。ほんなら・・・」
軽く呼吸を乱したまま、二人は唇を重ねる。お互いの唇の柔らかさを味わった後、口を開
きそのまま重ねる。唇が触れ合うと同時にどちらも舌を伸ばし、相手の舌を舐める。
「はぁ・・・んんぅ・・・」
くちゅくちゅと舌を絡ませ、唾液が混じる音を聞く。お互いの味が混じり合い、とめどな
く唾液が溢れる。それを飲み込めば、繋がっている部分がきゅんきゅんと疼き、言いよう
もない心地よさが溢れて止まらなくなる。
(そないに動いてないのに、メッチャ気持ちええ・・・)
(財前はんの中も入口もヒクヒク動いとってたまらんな。)
「んはぁ・・・しは・・んっ・・・」
「財前はん・・・メッチャ気持ちええで・・・」
「もっと・・・ぎょーさんキスしましょ・・・」
「ああ。」
もっと口づけを交わし合っていたいと、何度も唇を重ね、お互いの舌を貪る。キスをしな
がら、財前は無意識に腰を揺らしていた。上の粘膜と下の粘膜が擦れ合い、果てしない快
感が生まれる。その快感に先に落ちたのは、銀の方であった。
「んっ・・・はぁ、財前はん・・・アカンっ!!」
財前の中にある熱がビクビクと震え、熱い雫が勢いよく放たれる。
「ふあっ・・・ああぁぁあんっ!!」
「ああ・・・まだ、出とる。」
「師範のが・・・俺の中に・・・あんっ・・・ああぁっっ!!」
熱い蜜を大量に出され、その興奮から財前も達する。財前の放ったもので臍のまわりが濡
れるのを感じ、銀の性感はより高まる。
「もっともっと師範の欲しいんで、今度はもっと動いたります。」
「財前はん・・・」
「はぁ・・・んっ・・・あっ・・・ああぁっ・・・!!」
岩の凹凸に足をかけ、財前は上下に腰を動かす。放たれた銀の蜜が塗り込まれるように壁
が擦られ、大きな楔が出入りするような感覚に財前の中はぎゅうぎゅうと収縮する。
「あぁんっ・・・気持ちええっ・・・中、よすぎて・・・止まらん・・・」
「ハァ・・・そないに擦られて締めつけられたら・・・っ!」
「ええですよ。もっとイってください・・・」
「くっ・・・ぅ・・・っ!」
「はあぁんっ・・・!!師範の・・・入ってくる・・・あぁんっ!!」
再び銀が達し中に出されると、財前は嬉しそうに喘ぎながらまた達する。銀が達するのが
この上ない快感だと言わんばかりの財前の態度に銀はドキドキしてしまう。
「はぁっはぁっ・・・財前はん・・・」
(もっと師範の中に欲しい。奥の奥までいっぱいにしたい。)
「んっ・・・」
一旦銀の熱を抜き、銀の膝から下りると、岩窟の床にペタリとうつ伏せになるように胸を
つけ、膝を立てて腰を高く上げるような体勢になる。ヒクヒクとヒクつく蕾を銀に晒しな
がら、財前は銀を誘う。
「師範・・・俺のココに、もっと師範を注いでください。」
「そないな誘われ方したら、手加減出来なくなってまうで。」
「手加減なんていらんっスわ。メチャクチャにしてください。」
いやらしすぎる財前の誘い方に銀は苦笑しながらも素直に興奮してしまう。財前の近くへ
移動し腰を掴む。まだ全く硬さを失っていない熱を財前の入口に押し当てると、一気にそ
の穴を貫いた。
「んああぁあんっ!!」
「ここからは、ワシが存分に動いてやるからな。」
「お願いします・・・!」
この体位であれば、ある程度思うように動けると、銀は先程財前が動いていたときとは比
べ物にならないくらい激しく財前の中を擦る。
「あんっ・・・ふあっ・・・ああっ・・・ああぁああっ・・・!」
「ホンマに今日はワシもアカンな。また、すぐにイってまいそうや。」
「んあっ・・・あぁんっ・・・師範っ・・・ああぁっ・・・!」
「くっ・・・イクっ・・・!!」
「あぁぁあんっっ!!」
ビュクビュクと銀の蜜が注がれ、財前は何度も臀部を点滅させる。腰を高く上げている体
位のため、銀の放ったものは腹の奥の奥へと流れていく。
(師範のが奥に入ってきとる!メッチャ気持ちええ。幸せや・・・)
「はぁっ・・・財前はん・・・」
「師範・・・」
「もっとしてもええやろか?」
「っ!!はい、もっとしてください・・・!」
まだ銀がしてくれるということで、財前は嬉しそうに頷く。それから何度か銀は財前の中
で果てる。こんなに達するとは思っていなかったが、銀にとってもそれはひたすらに心地
のよいものでしかなかった。
「んあぁんっ・・・中、師範でいっぱいや・・・はぁっ・・・あんっ・・・」
「すまんが、次で最後くらいかもしれへん。」
「ええですよ。もう十分もらいましたんで・・・」
「ハァ・・・財前はんっ・・・んっ・・・ああっ!!」
「んあっ・・・ふああぁぁんっ!!」
さすがにそろそろ限界だと告げ、銀はもう一度大きく果てる。溢れんばかりに銀の精を注
がれた財前は、全てが満たされるような多幸感を感じ、銀と同時に達した。
岩窟の中にある水を使って軽く身体を清めると、銀はしていたときと同じ格好のまま財前
をぎゅっと抱えて横になる。
「服は着直さんでええんですか?」
「ええやろ。まだ肌と肌で触れ合っていたい気分なんや。」
「まあ、師範がそうしたい言うんならええですけど。」
銀は着物の前をはだけさせたまま、財前はシャツのボタンを開けて羽織っているような状
態のままで抱き合っている。
「というか、財前はん、中に出したの全然出しとらんけど大丈夫なんか?」
「ああ、平気っスよ。虫族だからか別にそのままでも腹壊したりはせんですし。」
「それならええんやが・・・」
「そないに心配せんでも大丈夫っスわ。それに、師範の出したのが腹にぎょーさん残って
て、ずっと師範の精子で犯され続けてる感じがして、なかなか悪くない気分っスよ?」
「また、財前はんはそないにやらしいこと言うて、ホンマ悪い子やな。」
平気な顔でそんなことを言ってくる財前に銀はドキドキしてしまう。コツンとおでこをぶ
つけるように叱ると、財前はくすくすと笑った。
「まあ、さっきの表現はさておき、師範でいっぱいになってるんはホンマにええ気分なん
で。ぎょーさんしてくれてありがとうございます。」
「ワシも存分に楽しませてもろたしな。ワシがしといてこないなこと言うのはアレやが、
あれだけ達しとるのに、全然余裕なのは流石やな。」
「師範、ホタルの交尾時間どれくらいか知ってます?」
「うーむ、予想もつかんな。」
「15時間くらいらしいっスわ。」
「そりゃえらい長いなあ。さすがにそこまで長く出来る自信はないで。」
「そんなに長いこと出来る虫のモードですし、そういうことに関する体力はあるんとちゃ
います?知らんけど。」
本当にそうかは分からないが、そういうこともあるかもしれないと財前は冗談めいた口調
で話す。いろいろな種族がおり、各々の種族で特殊な能力が使えるので、財前のその話に
銀は納得してしまう。
「まあ、そういうこともあるかもしれんな。」
「俺的には師範とあーいうことぎょーさん出来るんで、この体質ええと思ってますよ。」
「せ、せやな。」
終わってもどこか色香の残っている財前に銀はドギマギしてしまう。銀と肌を合わせなが
らただ話しているだけのこの時間も幸せだなーと思いながら、財前はぺったりと銀にくっ
つく。
「どないしたん?」
「師範、大好きっス。」
はにかむような笑顔で銀を見上げながら、財前はそう口にする。あまりに可愛すぎる財前
に銀の鼓動は速くなり顔は赤く染まる。しかし、そう思う気持ちは銀も同じだ。財前の頭
を撫で、穏やかな笑みを浮かべてその言葉に対する返事をする。
「ワシも財前はんのこと大好きやで。」
「ありがとうございます。」
(ホンマに可愛らしいなあ。こないな笑顔向けられるなんて、ワシは果報者やな。)
どちらも幸せを噛みしめながら、この穏やかな時間をかけがえのないものとして過ごす。
いい気分だと思いつつ、財前は一つ銀に伝えておきたいことがあった。
「師範。」
「ん?何や?」
「今日したみたいなこと、またしたいです。」
「はは、財前はんがしたいんやったら、いくらでもしてやるで。」
「師範も好きなことしてええですから。俺は師範されるんやったら、何でも嬉しいんで。」
「そりゃ嬉しいなあ。今度はどんなことしたらええか、一緒に考えような。」
「はい!」
今日はいつもとは少し違う趣向で事を行ったが、それが財前にとってはとても好いもので
あると感じられた。それは銀も同じであった。そんな約束をした後、二人はもう少し他愛
もない話をする。真夜中の薄暗い岩窟の中、二人の過ごす時間は、それはそれは甘く穏や
かで心地のよいものであった。
END.