Various races World 〜君篤続き〜

大曲や種ヶ島、越知や毛利とのバーベキューを終えると、遠野は約束通り、新鮮なレバー
と熱々のアップルパイを君島からもらう。バーベキュー中、肉を焼くことに集中していた
遠野は好物のそれらをお腹いっぱい食べた後、満足した様子でくつろいでいた。
「遠野くん。」
「おっ、どうした?」
君島の部屋のソファで処刑関連の本を読んでいると、片付けを終えた君島が戻ってくる。
「また、処刑の本を読んでいるのですか?」
遠野の隣に腰を下ろしながら、君島はそう尋ねる。
「まあな。」
ちらりと遠野の読んでいる本に目をやると、目を覆いたくなるようなことをされている挿
し絵が描かれている。
「そんなものが好きだなんて信じられませんが・・・」
「何だぁ?ケンカ売ってるのか?」
「遠野くんにとっては、それが気持ちよさそうに見えるんですから仕方ないですよね。」
「なっ!?」
バーベキュー中に種ヶ島が言っていたことを思い出し、君島はからかい口調でそんなこと
を言う。
「そ、そんなわけねぇだろ!!」
「おや、だったら試してみます?」
そう言いながら、君島は本を持っている遠野の手に触れる。君島に触れられると、遠野は
ヘビモードからリンゴモードに変化する。
「バーベキュー中にも思いましたが、遠野くん、私が触れるとリンゴモードになりますよ
ね?」
「だ、だって、お前、ヘビ嫌いなんだろ?嫌いなもんに触るのは嫌かと思って・・・」
まさかそんな理由でモードを変化させているとは思っていなかったので、君島は図らずも
キュンとしてしまう。
「私のためだったんですね。ありがとうございます。これから試すことは、きっとヘビモ
ードよりリンゴモードの方が都合がいいので、そのままでいてください。」
「お、おう。」
遠野の手に触れたまま、君島は遠野の耳に口を近づけ妖しく囁く。
「遠野くんはリンゴなので、皮を剥いても美味しそうですよね。」
「はあ?」
「『野ウサギ』きっとその本にも載ってますよね?そのページを開いてください。」
処刑法や様々な拷問が載っているような本なので、君島の言う『野ウサギ』も当然載って
いた。遠野がそのページを開くと、君島は言葉を続ける。
「その『野ウサギ』を自分が受けていると、リアルに想像してください。遠野くんなら出
来ますよね?」
「そんなこと・・・」
ヘビモードであれば、そんなことはしないと一蹴出来るが、リアルに痛みを快感と捉えて
しまうリンゴモードでは、君島のその提案は非常に魅力的なものに感じられた。『野ウサ
ギ』の説明を目で追いながら、遠野はそれを自分自身が受けていると想像する。
「ハァ・・・んっ・・・」
明らかに興奮しているような様子になった遠野を見て、君島は思った通りだと口元を緩ま
せる。
「何度も何度も車輪が回って、遠野くんの綺麗な紅い蜜が飛び散ってますよ。」
「あっ・・・んんっ・・・!」
君島の言葉に遠野はビクビクとその身を震わせて呼吸を乱す。ここまであからさまに反応
してくれるとは予想していなかったので、君島自身も興奮し、楽しくなってきてしまう。
「皮を剥いたら、細かく切った方が食べやすいですよね。『凌遅刑』のページ開いてくだ
さい。」
「・・・・・。」
呼吸を乱したまま、遠野は君島が指示するページを開く。遠野の開いたページを見て、な
かなかひどい処刑法だと思いながらも、君島は先程と同じように遠野の耳元で囁く。
「今度は『凌遅刑』を受けてもらいますよ、遠野くん。」
「んあっ・・・!!」
『凌遅刑』という言葉にゾクゾクしながら、遠野は本に書かれている文字を追う。
(こんなの・・・痛いとか痛くねぇの問題じゃねぇのに・・・)
自分の皮膚に小刀が立てられているところを想像し、遠野はあまりの興奮に口元を押さえ
る。熱い吐息が手の平にかかり、堪えきれない声が漏れる。
「ふー、ふー・・・あっ・・・」
「ふふ、遠野くんの果肉はどこもきっと綺麗な色をしているんでしょうね。」
本の挿し絵に描いてある描写を真似、君島は遠野の太腿をつーっとなぞる。挿し絵ではそ
の部分の肉が切られている状態になっているため、その感覚を想像してしまい、遠野はビ
クンと脚を震わせる。
「ああぁんっ・・・!!」
自分が処刑されている状況を想像し、ひどく感じるような姿を見せる遠野に、君島は非常
に高揚した気分になる。
「仕上がってきてますね。次は・・・そうですねぇ、『火炙り』なんていいんじゃないで
すか?遠野くんが好きなアップルパイも、リンゴが火炙りになっているようなものですか
らね。」
遠野の手が震えているので、君島は代わりにページをめくってやる。かなりメジャーな処
刑法のため、内容を見なくても分かると、君島は遠野が想像しやすいように火炙りの状況
を耳元で囁いてやる。
「ほら、遠野くんの足元に火がつきましたよ。じわじわ燃えて、だんだんと炎が上に上が
ってきています。」
「やっ・・・あ・・・ハァ、ハァ・・・」
「腰や胸のあたりにも火が迫ってますよ。」
「あっ・・・んんっ・・・」
「ついに、この綺麗な髪にも火がついて・・・」
「あああぁっ!!」
足元からだんだんと快感が昇っていくような感覚に遠野はビクビクと震え、甘い悲鳴を上
げる。ソファの背もたれに身体を預け、激しく呼吸を乱している遠野を見て、君島はこれ
はこのままイかせられるのではと考える。
(そうなると、分かりやすいのはアレだな。)
「次で最後にしてあげます。」
「・・・・?」
「『串刺し』のページ開けますか?」
「っ!!」
(この状況でそれはヤバイ。それは冗談抜きで・・・)
遠野がページをめくらないので、君島は遠野から本を取り上げ、パラパラとページをめく
る。そして、ソファから下りると、遠野の脚をぐっと大きく開かせる。
「き、君島・・・?」
「ちゃんと想像してくださいね?『串刺し』は遠野くんのココに、大きな楔を打ち込むん
ですよ。」
分かりやすいようにと、君島は服の上からぐっとその部分を指で押し上げ、あからさまな
刺激を与える。ひどく興奮している状態で、それほど強くないながらも直接的な刺激を与
えられ、遠野は大きく下肢を痙攣させ達してしまう。
「やあっ・・・あああぁんっ!!」
遠野が達すると、甘く濃いリンゴの香りがふわっと広がる。
「こんなにいい香りをさせながら達して、やっぱり処刑法や拷問法を気持ちよさそうだと
思ってるじゃないですか。」
「ハァ・・・ハァ・・・」
「遠野くんが気持ちよさそうな姿を見て、私もしたくなってきてしまいました。」
「ハァ・・・お前も処刑されたいって?」
「まさか。まあ、遠野くんに対して処刑の真似事をするのは構わないですよ?」
思ってもみない形で君島にイかされた遠野であるが、軽口を叩くようにそんなことを言う。
結構余裕があるのだなと思いながら君島はふっと笑い、遠野をベッドへと誘った。

すっかりその気にさせられてしまった遠野は、ベッドの上に上がる前に服を脱ぐ。一糸纏
わぬ姿になった遠野を見て、君島はその艶美さに見惚れてしまう。
(こうして見ると、本当に遠野くんはどこもかしこも綺麗なんですよね。)
「君島、何ぼーっとしてやがる。」
「別に何でもありませんよ。そういえば・・・」
遠野に声をかけられて、君島もベッドに移動する。ベッドに移動する前に、遠野のために
準備していたものを君島は手にする。
「何だ?その袋は。」
「普通にするのもよいのですが、遠野くんが好きそうなアイテムをいくつか用意しておい
たんです。まあ、遠野くんが興味がなければ使いませんけど。」
「俺が好きそうなって、どんなものだよ?」
好きそうなものと言われてしまっては、興味を持たないわけにはいかない。それならばと、
君島はすっと遠野の耳元でとある処刑法を口にする。
「『八つ裂き』・・・」
「っ!!」
先程のことを思い出し、遠野の身体はビクッと震える。
「って、処刑法あるじゃないですか。それをされる前って、四肢を伸ばした状態で拘束さ
れますよね?その状態を再現出来るようなものがまず一つ目です。」
そう言いながら、まずはそれを袋の中から出す。手枷と足枷にベルトが繋がっており、ベ
ッドに括りつけることで、今しがた説明したような状態にさせることが出来るアイテムだ。
「どうします?使ってみますか?」
あくまでも使用するかしないかは遠野に選ばせようと、君島はニヤリと笑いながらそう尋
ねる。迷いながらも十中八九遠野は使う方を選ぶだろうと思っていた。
「う・・・えっと・・・」
それだけであれば、別に痛いことなどないが、遠野にとっては『八つ裂き』直前の状態を
リアルに体験出来るということが魅力的だと感じていた。目の前に置かれた手枷と足枷を
見て、ドキドキしながら遠野は使いたいという意思を君島に伝える。
「つ、使ってくれ。」
「分かりました。それなら、両手両足を少し開いた状態で伸ばして、仰向けになってくだ
さい。」
「あ、ああ。」
君島に言われた通り、遠野は四肢を伸ばした状態で仰向けに寝転がる。そんな遠野の手首
や足首を枷で拘束し、そこから伸びるベルトをベッドの脚に括りつける。
(ヤベェ・・・すげぇドキドキしてきた・・・)
手足が動かせなくなった状態に遠野は非常に興奮してきてしまう。リンゴモードであるた
め、その興奮は遠野に甘く魅力的な香りを放たせる。
「遠野くん、とてもよい香りがしていますね。」
遠野が放つ芳醇な香りに君島はうっとりとした気分になる。もっと遠野に触れたいと、手
足を拘束された遠野に覆いかぶさるような形で、君島は両手と両膝を遠野の横につく。
「ハァ・・・君島・・・」
「キスしてもよいかな?」
「ああ。」
君島の顔が目の前にあることに胸を高鳴らせながら遠野は頷く。遠野の唇に自分の唇を重
ね、甘い蜜を味わうかのように舌を絡ませる。
「ふあっ・・・んぅっ・・・」
(甘い・・・もっとこの味を味わいたい。)
遠野の口内をゆるりとなぞり舌を擦るように舐めると、とめどなく蜜が溢れる。溢れた蜜
を溢さぬように君島はじゅるりとその蜜を啜り、喉を鳴らして飲み込む。
「んんんっ・・・んんっ・・・!!」
(キスされるの気持ちいい。君島にももっと気持ちよくなって欲しい。)
君島が与えてくれる心地よさにうっとりとしながら、遠野はそんなことを想う。その意思
を反映するかのように君島が口にしている蜜はより舌に心地よいものになり、媚薬のよう
に君島の心を夢中にさせる。
「ハァ・・・遠野くん。」
「んはっ・・・はぁ・・・ハァ・・・」
存分に遠野の蜜を味わい、ゆっくりと唇を離すと、銀色の糸が舌と舌を繋ぐ。口づけの後
の遠野の顔は先程よりも魅力的に見え、君島の鼓動を速くさせる。
「すごくドキドキしています。」
「俺も。なあ、この後は何してくれるんだ?」
今の状態では自分は何かをすることは出来ないので、期待に満ちた目で遠野は君島を見る。
「ココを責めるアイテムもあるのですが、使ってもいいですか?」
先程のキスでぷっくりと勃ち上がっている胸の飾りに触れながら、君島は遠野にそう問う。
「どんなのか見せてくれよ。」
「ええ。」
とりあえず使うか使わないかは物を見てからだと、遠野は君島にそれを見せるように頼む。
君島が袋から取り出したのは、万力モチーフのニップルクリップであった。モチーフとは
言えども、ネジを回すことで見た目通りそこを押し潰すように圧迫することが出来るよう
になっている。
「な、なかなかの見た目してんな。」
(ああ、でもこれで挟まれたら、スゲェ気持ちよさそう。)
予想以上に拷問器具感のある見た目に遠野はドキドキしてしまう。明らかに興奮している
ような遠野を見て、君島は口角を上げる。
「どうします?」
「使っていいぜ。」
「じゃあ、遠野くんのココにつけてあげますね。」
遠野もその気になっているため、君島はそのアイテムを遠野の胸の突起につける。さすが
に初めから強く締めつけるわけにはいかないので、軽く挟むくらいの力で取りつける。二
つのニップルクリップ同士はチェーンで繋がっており、遠野の胸を飾るその淫靡な装飾に
君島は倒錯的な興奮を覚える。
「んっ・・・はぁ・・・」
「これは・・・思ったよりも・・・」
「どうした・・・?」
「あまりにもこのアイテムが遠野くんに似合いすぎていて・・・今まで感じたことの感情
が湧き上がって、ちょっと戸惑っています。」
困惑しながらも顔を真っ赤にして興奮しているような君島を見て、遠野は恥ずかしさを感
じるよりも嬉しくなる。
「フッ、今の君島の気持ち当ててやろーか?」
「何ですか?」
「俺の胸につけたコレを使って、俺を虐めて悦ばせたい・・・だろ?」
「っ!?」
自分でもよく分かっていなかった気持ちを遠野が言語化したことで、自分がしたいと思っ
ていることを君島は自覚する。
「これじゃ物足りねーから、もっとギリギリまで締めて、俺のこともっともっと気持ちよ
くさせてくれ。」
遠野も君島と同じように興奮しているようで、そのセリフを口にした途端、ぶわっとリン
ゴの甘い香りが広がる。その強い香りと遠野の誘い文句に、君島は欲望のまま遠野のこと
を責めたくなる。
「分かりました。遠野くんのココ、私が存分に虐めてあげますね。」
嗜虐的な笑みを浮かべながら、君島は小さな万力のネジに手を伸ばす。いきなり強く締め
ることはせず、ゆっくりじわじわと締めつけが強くなるようにネジを回す。
「ひっ・・・ぅ・・・んあっ・・・ああぁんっ!!」
「こんなに痛そうなことをしているのに、本当に気持ちよく感じているのですね。」
「あっ・・・ん・・・君島ぁ・・・もっとぉ・・・」
強くなった刺激にビクビクとその身を震わせながら、もっとして欲しいと遠野はねだる。
そんな反応をする遠野がたまらないと、君島は遠野の望み通り、より強くそれを締める。
「やあぁんっ・・・ひっ・・・気持ちイイ・・・!!」
「こんなにも押し潰されて可哀想な状態になっているココに、キスしてあげますね。」
万力で強く挟まれているそこに君島はちゅっとキスをする。予想していなかった刺激に遠
野は違う方向からの快感を感じる。
「あああぁんっ・・・イ、イクっ・・・!!」
ビクンッとその身を震わせ、遠野は拘束されている足の間にある熱から白濁の蜜を放つ。
それと同時に、ギチギチに締めつけられた両方の胸の突起からピュピュッと透明な蜜が溢
れ、君島の顔を濡らす。
「えっ・・・?」
「ちょっ!?」
顔にかかった蜜を指で拭い、試しに君島はその蜜を舐めてみる。
「この蜜も甘いですね。他の体液よりは少しだけミルキーな気がします。」
「マジかよ・・・そんなん聞いてねぇし・・・」
「花族の特性としてですか?こんなこと普通はしないので、大半は気づかないままなんじ
ゃないですか?」
さすがにこれは恥ずかしいと、遠野は羞恥に顔を染める。恥ずかしがっている遠野も可愛
らしいと、君島はご機嫌な様子で遠野にキスをする。
「遠野くんのここの蜜が飲めるのは、私の特権ということですね。」
「お前以外に知られてたまるか。」
遠野があまりにも愛らしい態度を見せてくるので、君島はいろいろと我慢が出来なくなっ
てしまう。早く自分自身を挿れたいと、遠野にそうしていいか確認を取る。
「そろそろ遠野くんと繋がりたいのですが、いいですか?」
「っ!!べ、別に構わねぇけど・・・」
「それなら、このままだと少しやりづらいので、足の方の枷は外してしまいますね。」
足枷を外す君島を見ながら、遠野は君島に対してこうして欲しいという欲求が生まれる。
「な、なあ、君島・・・」
「何ですか?」
「その・・・君島のを挿れるとき、君島も全部脱いでて欲しい・・・」
そんな遠野のお願いに少し驚いたような顔を見せる君島だが、すぐに笑顔になり頷く。
「いいですよ。」
足枷を外し終えると、君島は着ているものを全て脱ぎ、脱いだものをベッドの下に落とす。
自由に動かせるようになった遠野の足を抱えると、ぐいっと膝を曲げさせ、その中心に自
身の熱を押し当てる。
「慣らしてないですけど、今の遠野くんは痛いのも気持ちいいので平気ですよね?」
「知るか。さっさと挿れればいいだろ。」
「それならお言葉に甘えて・・・」
早く遠野の中を堪能したいと、君島は一気に腰を進める。服の上から以外は少しも触れて
いなかったにも関わらず、そこは花族特有の蜜で十分に濡れており、いともたやすく君島
の熱を根本まで飲み込んだ。
「んああぁんっ!!」
「んんっ・・・!」
ぬるぬるとした内壁に余すことなく熱を包み込まれる感触に、君島は想定していた以上の
快感を感じる。
「こんなに濡れているなんて、想定外なんですけど。」
「き、君島が・・・気持ちイイこといっぱいしてくるから・・・仕方ねぇだろ!!」
「気持ちいいことって、例えばこういうことですか?」
小さな万力で挟まれている胸の突起に、君島は指の先で軽く触れる。触れられたことで、
強い刺激を受け続けているそこに意識が向き、遠野は素直にその刺激に反応する。
「あああぁんっ!!」
「くっ・・・すごい・・・」
遠野が感じることで内側は大きく収縮し、君島の熱を心地よく締めつける。その極上の快
感に君島の呼吸は乱れ、その心地良さに心を奪われる。
「ハァ・・・動きますよ。」
「んっ・・・君島ぁ・・・」
より共に気持ちよくなりたいと、君島は遠野の体の横に手をついて、深く激しく遠野の中
を穿つ。気持ちよくなればなるほど遠野の蜜は溢れ、ぐちゅぐちゅと濡れた音が二人の耳
に響く。
「ハァ・・・んっ・・・あっ・・・」
「あっ・・・んあぁんっ!!君島っ・・・ああぁっ!!」
(スゲェ気持ちいい・・・けど、もっと・・・)
このままでも十分に気持ちいいのだが、遠野の身体はもっと嗜虐的な刺激を求めていた。
「ハァ・・・なぁ、君島っ・・・」
「んっ・・・どうしたんですか?」
「俺の首・・・リンゴを齧るみてぇに、噛みついてくれ・・・」
「えっ!?」
「な、なあ・・・早く・・・」
あまりにも煽情的に遠野が煽ってくるので、君島は言われるまま大きく口を開け、遠野の
首筋に歯を立てる。ガブリッと遠野の皮膚に歯が食い込むと、遠野の身体はビクンと跳ね、
甘い悲鳴が君島の耳に響く。
「いっ・・・あああぁんっ!!」
遠野に噛みつきながら、君島は今まで知らなかった自分の中にある嗜虐心が心地よく満た
されていくのを感じる。
「君島っ・・・もっと強く・・・血が出るくらい噛んでくれ!!」
グッ・・・
「ひゃああぁっ・・・イッ・・・んああぁ――っ!!」
(君島、好き・・・好き、好き、好き!!)
こんなにも極上の快楽を与えてくれ、全てを満たしてくれる君島のことを好きだという気
持ちが遠野の中で溢れる。血が滲むほどに首を強く噛まれた遠野は、果てしない絶頂感に
身を震わせ、激しく達した。それと同時に君島の口の中に遠野の血の味が広がる。遠野の
想いが深く染み込んだその紅い果汁は、この世のものとは思えないほど甘美で多幸感をも
たらす味であった。
「――――っ!!」
激しく収縮する遠野の中と口の中に広がる至福の味わいに、君島は意識が飛んでしまいそ
うなほどの快感を感じながら果てる。遠野が放つ罪の果実の異香に包まれながら、二人は
しばらく肌と肌を合わせ、繋がる心地よさに身を任せた。

ある程度落ち着くと、どちらも遠野の蜜塗れになった体を洗い流すためシャワーを浴び、
再びベッドに戻り体を休める。
「まだ、ココと首はジンジンしてるが、だいぶ落ち着いてはきたな。」
胸と首に手を当てながら、遠野はそんなことを言う。いまだにリンゴモードのため、君島
は違うモードになってみたらどうかと提案する。
「ヘビモードになったら、また違うのではないですか?」
「俺もそう思ってシャワー浴びた後、試しに戻ってみたんだけどよ、ジンジンするどころ
か思ったより痛くて無理だった。リンゴモードの感覚バグ、本当危ねぇよな。」
物心がつかない時期に呪いで抑えられていたのは正しかったと、遠野は実感する。
「その呪い、解けなかった方がよかったと思っていますか?」
図らずもその呪いを解いてしまったのは自分なので、君島はそんなことを尋ねる。
「解けた直後は戸惑ってたけど、今は解けてよかったと思ってるぜ。」
「何故です?」
「だって、呪いが解けたおかげで君島の側にいられるし、さっきみたいなメチャクチャだ
けど、スッゲェ気持ちいいコトも出来るしな!」
「煽ったのは私ですけど、今日のは流石に危なっかしいと思いましたね。本物の猟奇趣味
な人が相手であれば、殺さねかねない反応してましたよ。」
「そういうヤツだと、呪いは解けねぇから大丈夫だろ。最終的にはちゃんと俺のことを考
えてくれる君島だから、呪いは解けたんだろ?」
にっと笑いながら、君島を見て遠野はそう言う。その表情と言葉にドキドキしながら、君
島はわざと自信ありげな言葉を放つ。
「呪いを解いたのが私でよかったですね。」
「それは本当にそう思うぜ!君島が相手だから、安心してリンゴモードになれるし、一緒
にいて君島の知らなかった部分知るたびに、どんどん君島のこと好きになるしな!」
「なっ・・・!?」
少しも飾らず正直な気持ちを口にする遠野に、君島は動揺してしまう。ヘビモードへの生
理的な嫌悪感や処刑の話ばかりするところなど、苦手なところは多々あるが、一緒にいる
ことで好きなところも間違いなく増えている。
「ヘビモードの遠野くんは、まだ苦手なところがたくさんありますが・・・」
「それは仕方ねぇだろ。」
「リンゴモードの遠野くんは、綺麗で可愛くて、ドMでエッチで、ずっとよい匂いがして
どこもかしこも甘くて美味しくて・・・大好きです。」
「なら、今の俺は大好きってことだな。」
君島に大好きだと言われ、頬を染めて嬉しそうに笑いながら遠野はそんなことを言う。こ
ういうところも好きなところだと、君島はきゅんとときめく胸を押さえる。
「ええ。大好きですよ。」
そう口にしながら、君島は遠野に優しく口づける。そんな君島の行動に、遠野の胸は幸せ
な気分と君島を好きだという気持ちでいっぱいになる。
「フッ、本当に花族は分かりやすくていいですね。」
「はあ?何の話だよ?」
「遠野くんの匂い、感情によって結構変わるんですよ。どれもよい香りではあるのですが、
今は特によい香りになっています。」
「そ、そりゃ、お前に大好きって言われてキスなんかされたら、いい気分になるに決まっ
てるだろ!」
自分ではコントロール出来ない部分のことを言われ、遠野は照れたようにそう返す。そん
な遠野を可愛らしいと思いながら眺めていると、ぐいっと布団の上に倒され、ぎゅうっと
抱きつかれる。
「急にどうしたんです?」
「そ、そんなに俺の匂いが好きなら、もっと近くで嗅いでりゃいいだろ!」
「ふふ、そんなに甘えたいのですか?本当可愛らしいですね。」
「うるせー!お前がそういうことばっか言ってくるのが悪いんだ!!」
どうしようもなく君島とくっついていたくなってしまった遠野は、恥ずかしがりながらも
君島に抱きつく手を緩めようとしない。そんな遠野を抱きしめ返すと、君島はゼロ距離で
香る遠野の匂いを堪能する。先程とは打って変わって、強い刺激は伴わない淡く優しい幸
福感。そんな幸せな気持ちに包まれながら、二人は抑えられない胸のときめきをしばらく
の間楽しんだ。

                                END.

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