Various races World 〜月寿続き〜

満月が昇り、月明かりが暗い森を照らす。昼間は野原で過ごしていたが、夜は森の中の方
が落ち着くので、越知と毛利は深い森の奥にいた。さすがに夜ともなると、人気は少ない
ので、今その場所にいるのは越知と毛利だけだ。月が昇ってからは、越知はマタタビモー
ドから月下美人モードに変わり、あたりには甘く魅惑的な香りが漂っている。その香りに
誘われるように、毛利もヤマネコモードからコウモリモードへ変化していた。
「月下美人モードの月光さんもメッチャええ匂いですね。」
「香りはおそらくマタタビモードよりも強いだろうからな。」
「何や腹減ってきましたわー。」
「それならば、『食事』にするか?」
「ええですか?」
「もちろんだ。おいで、毛利。」
毛利に向かって手を広げると、毛利は嬉しそうに越知の胸に飛び込んでくる。コウモリモ
ードの食欲をくすぐる甘い甘い花の匂い。虫族や毛利のような一部の獣族は、花族の蜜を
食事代わりにすることが出来る。花族の蜜とはすなわち体液だ。花族の蜜を摂取する側は
ある意味食事とも言えるが、花族にとっては本来受粉をするために蜜を提供しているよう
なものなので、生殖行為と言っても間違いではない。
「まずは口づけからでもよいか?」
「はい。月光さんとのキス、メッチャ甘くて美味くて大好きでっせ。」
「そうか。それなら、たくさん蜜を与えられるように時間をかけてしてやろう。」
期待に満ちた瞳で毛利が見つめてくるので、越知はふっと笑いながら毛利の頬に手を添え
る。そして、ゆっくりと毛利の唇に口づけた。

深い口づけを交わしながら、舌に絡む甘い甘い蜜を毛利は喉を鳴らして飲み込む。食欲を
満たしながら、その行為から性欲も高まっていく。
(月光さんの甘くてええ気分やあ。気持ちええ・・・)
「んっ・・・んむっ・・・」
うっとりとしながら、口づけを楽しむ毛利を、越知は薄目を開けて眺める。その表情に胸
を高鳴らせながら、越知は甘い口づけを続ける。胸が高鳴りが大きくなればなるほど、蜜
の味は甘くなっていく。
(甘ぁ・・・月光さん、ドキドキしとるんやろか?)
味の変化にドキドキにしながら、毛利は夢中になってその蜜を味わう。ある程度お腹が満
たされるタイミングで、越知はゆっくりと唇を離した。
「ぷあっ・・・」
「まだ、足りないか?」
「んー、わりとたくさん飲みましたけど、まだ足りひんです。」
「それなら・・・」
もう一度口づけをしようとする越知を毛利は止める。そして、恥ずかしそうに顔を赤らめ
ながら、越知のある部分へ目をやった。
「今度はこっちの蜜が飲みたいです。」
そう言いながら、毛利は越知の熱に触れる。一瞬戸惑うような反応を見せるが、いつも通
りの冷静な表情で越知は頷いた。
「構わないぞ。」
「わーい、ほんならいただきます!」
越知の雄しべとも言えるそれを出すと、毛利は何の躊躇いもなしにぱくっとそれを咥える。
その瞬間、ぴくっと越知の肩が震えた。
「毛利・・・」
脚の間にある毛利の頭に手を添え、越知は熱い息を吐く。そんな越知の様子を上目遣いで
ちらりと見上げながら、毛利は口の中にあるそれに舌を這わせる。コウモリモードは花の
蜜を飲むことに特化しているので、その舌の動きに越知の熱は次第に高まっていく。
(口ん中、熱ぅ・・・けど、甘い匂いでいっぱいで、ふわふわした気分や。)
「ハァ・・・月光さん、気持ちええ?」
「・・・ああ。」
「早う月光さんの蜜飲みたいです。もっと気持ちようなってください。」
舌を出しながら、ニッコリ笑ってそんなことを言ってくる毛利に、越知の心臓は壊れそう
なほど高鳴る。再びぱくっと熱を咥えられると、越知は腰のあたりに広がる大きな快感に
思わず毛利の髪を強く掴む。そんな越知の反応に、毛利は嬉しくなりもっと気持ちよくさ
せたいと、ちゅうっと熱を強く吸った。
「・・・っ!」
そんな刺激に耐えられず、越知は毛利の口の中に熱い蜜を放つ。
(わあ、熱くて濃くて甘くて最高や・・・)
越知の放った濃い蜜を毛利は嬉しそうに喉を鳴らして飲み込んだ。花族の精液は文字通り
の蜜なので、花の蜜を食事に出来る種族にとっては最高の御馳走だ。ちゅっと音を立てて
越知の熱から口を離すと、毛利はペロッと唇を舐めながら、満足気な表情で笑う。
「ごちそうさまでした、月光さん。」
「食事はある程度満足したか?」
「はい♪」
「それならば、今度はこちらが満足させてもらう番だ。」
月下美人モードの越知は独特の色香を放ちながら、毛利を見下ろす。妖しい魅力のある視
線に射抜かれ、毛利はぞくぞくしてしまう。今日はどんなことをされるんだろうと、ドキ
ドキしながら、毛利は越知をじっと見上げていた。
「毛利・・・」
ゆっくりと毛利の体を押し倒すと、越知はそのままぐいっと毛利の脚を持ち上げ、するり
とズボンを取り去ってしまう。毛利の膝を肩にかけるほどに持ち上げると、目の前にある
双丘に軽く口づけ、毛利に話しかける。
「コウモリモードのお前ならば、この体勢もそこまで苦ではないだろう?」
「それはまあそうですけど・・・」
(体勢的には全然余裕やけど、この格好かなり恥ずかしいやん。)
脚を抱えあげられているため、毛利自身からも大事な部分が丸見えであった。恥ずかしが
っている毛利に構わず、越知は毛利の双丘の中心にある蕾に舌を這わせる。
「ひゃっ・・あっ・・・!?」
「きちんと慣らしてやるから、安心しろ。」
「やっ・・・月光さん・・・」
あまりに刺激的な光景に毛利はひどく興奮し、越知の顔から目が離せなくなる。越知の舌
が秘部に触れ、その蕾が滑りのある蜜で濡れていく。当然のことながら、その行為に越知
自身も興奮し、その影響で唾液の成分も少しずつ変わっていく。
「あっ・・・んっ・・・んんっ・・・」
(月光さんに舐められてるとこ、ジンジンして熱うなったきた・・・このムズムズする感
じたまらん・・・)
毛利を気持ちよくさせたいという越知の想いが、越知の体液に媚薬的な効果をもたらす。
そんな効果のある蜜が少しずつ滲み込み、敏感な蕾はだんだんとほこんでいく。開きかけ
た蕾をより開かせようと、越知はほんの少しのほころびから舌を挿入させる。
「んあっ・・・あんっ・・・!!」
越知の舌が内側を舐める感覚に毛利はぶるりと身体を震わせる。越知の唾液が直接内側に
滲み込むと先程とは比べ物にならないほど、媚薬的な効果が表れる。越知の舌がそこを犯
すたび、甘く痺れるような快感が全身に広がっていく。
「あっ・・・月光さんっ・・・それ、アカン・・・です・・・・」
顔を赤く染め、激しく呼吸を乱しながら、毛利は越知に訴える。しかし、越知はちらりと
毛利を見るだけで、全く止めようとはしない。
「ひあっ・・・やっ・・・月光さ・・・あっ・・・ああっ・・・!!」
内側が越知の蜜で濡れていくのを感じながら、毛利は甘い声を上げ続ける。すっかりそこ
がトロトロになる頃、毛利の絶頂感も限界まで高まっていた。
「月光さんっ・・・も・・・あっ・・・ああぁ――っ!!」
ビクビクと一際大きく身体を震わせると、毛利は熱い飛沫を放つ。コウモリが逆さまに止
まっているような体勢のため、放った飛沫は毛利の顔を汚す。越知の蜜ではなく、自分の
モノが顔にかかることはそう滅多にないため、毛利はその状況にドキドキと胸を高鳴らせ
ていた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「少し汚れてしまったな。」
脚を下ろし、毛利の身体を起こしてやると、越知は毛利の顔についた雫を舐め取るように
キスをする。越知の与えてくれる気持ちよさにメロメロになっている毛利は、越知の首に
腕を回し、甘えるような口調でおねだりをする。
「月光さんにされること・・・全部気持ちええです。月光さんに舐められたとこ、熱くて
ジンジンして、もっとぎょうさん弄って欲しいです。」
「具体的にはどうして欲しいんだ?」
「月光さんの雄しべ、俺ん中に入れてください・・・」
とろけた表情でそんなことを言ってくる毛利に、越知の胸は射抜かれる。そこまで率直に
ねだられては、そうしないわけにはいかない。毛利の望みを叶えてやろうと、越知は大き
く硬くなったそれを毛利の蕾を咲かせるように突き刺した。
「ああっ・・・ああぁ―――っ!!」
越知の唾液でひどく疼いていたそこに熱く大きな楔を突き立てられ、毛利は歓喜の悲鳴を
上げる。越知と一つになる感覚。越知としか味わえないその感覚が毛利は大好きであった。
「んっ・・・月光さぁん・・・あっ・・・」
「苦しかったり、痛かったりはしないか?」
「大丈夫です・・・メッチャ気持ちよくて、繋がってるとこ・・・溶けてしまいそうや。」
「そうか。俺も・・・」
「月光さんも・・・気持ちええですか・・・?」
「ああ。お前とこうしていると、全てが満たされる心地がして、このまま時が止まってし
まえばいいと思うほどだ。」
「へへ、嬉しいです・・・俺もずぅっと月光さんと繋がってたいです・・・」
嬉しそうに目を細め、毛利はそう口にする。そんな毛利が愛しくて、越知もふっと口元に
笑みを浮かべる。もっともっと互いに気持ちよくなろうと、越知は毛利の腰を支えながら、
熱に絡みつく内壁を擦り上げる。越知の熱が入口から奥にかけてを行き来するたび、毛利
はあまりの気持ちよさに意識を手放しそうになる。
「ふあっ・・・月光さ・・あっ・・・・はぁ・・・んっ・・・!」
「ハァ・・・毛利っ・・・」
「月光さんの・・・気持ちよすぎてっ・・・もう・・・イッてまう・・・」
「ああ。俺もそろそろ・・・・」
乱れた呼吸の音が辺りに響き、どちらも限界であることを伝え合う。なるべく身体の奥で
自身を受け止めて欲しいと、越知は一際深く毛利の奥を突いた。その先からは熱く甘い媚
薬のような蜜が溢れ出る。越知を最奥で受け止め、内側が越知で満たされる感覚に毛利も
絶頂を迎えた。
「・・・・っ!!」
「ああっ・・・月光さんっ・・・!!」
ドクンドクンと脈打つ熱が二人の鼓動を早くする。絶頂の余韻に浸る暇もなく、毛利はあ
ることで頭がいっぱいになる。
(まだ、月光さんと繋がってたい。もっと気持ちええことずっとしてたい。)
「月光さん・・・」
「・・・毛利、もっとしても構わないか?」
今自分が言おうとしていたことを越知が口にするのを聞いて、毛利は驚く。自分もまだし
たくてたまらないのだから、断る理由など何一つない。まだ、越知と繋がっていられるこ
とが嬉しくて、毛利は満面の笑みを浮かべながら越知の言葉に頷いた。
「はい!もっとたくさんしてください。」
そんな毛利の言葉と態度が嬉しくて、越知が放つ香りは一層強くなる。
「今宵は満月が沈むまで、ずっと繋がっていよう。」
「メッチャ嬉しいです!大好きです、月光さん。」
「毛利・・・」
あまりの愛しさに越知は言葉を詰まらせる。しかし、この想いは伝えなければならないと、
越知は毛利の体を抱き締め、ハッキリと耳元でその言葉を伝えた。
「愛している。お前とこうしていられることが何よりも幸せだ。」
「っ!!」
越知が紡ぐ愛の言葉に、毛利は胸の奥が熱くなり、どうしようもない幸福感で心も体も満
たれるのを感じる。
(ヤバイ、メッチャ幸せや・・・)
心も体も越知と繋がっているという幸福感に毛利はうっとりと酔いしれる。越知が放った
言葉通り、二人は満月が沈むまで体を重ね、甘く魅惑的な香りを辺りに放ち続けていた。

「んっ・・・んん・・・・」
毛利が目を覚ましたのは日が高く昇ってからであった。越知はマタタビモードになり、眠
っている間に毛利もヤマネコモードに戻っていた。
「おはよう、毛利。と言ってももう昼だがな。」
「あ、おはようございます、月光さん。」
寝ぼけ眼で毛利は越知に挨拶をする。そんな毛利の頭を優しく撫でてやると、甘えるよう
に足に擦り寄ってきた後、大きな瞳をパチッと開き、毛利は越知の顔を見る。
「やっぱ、マタタビモードと月下美人モードは雰囲気全然ちゃいますね。」
「そうか?」
「匂いも全然ちゃいますし・・・って、あれ?」
くんくんと越知の匂いを嗅ぎにいって毛利はあることに気がつく。いつも通りマタタビの
よい香りはするのだが、それとは別のしかし大好きな香りが鼻をくすぐる。
「どうした?」
「何やろ?今の月光さん、マタタビモードなはずやのに、月下美人の匂いがするんです。
そないに強くしとるわけやないんやけど・・・」
「それはお前から香っているのではないか?」
「へっ!?何でですか?」
自分は獣族なので、そんなはずはないと毛利は驚いたような反応を見せる。しかし、越知
はそんなに不思議なことではないと言わんばかりの表情で、そのからくりを説明する。
「昨夜から今朝にかけて、あれだけ体を重ねていたんだ。匂いが移っても何もおかしくな
いと思うが?」
「っ!!」
そういうことかと毛利は顔を赤く染め、匂いの正体を理解する。試しに越知ではなく自分
の匂いを嗅いでみると、確かに越知の言う通り、自分の体から月下美人の匂いがしていた。
「うわー、ホンマや・・・。月下美人モードの月光さんの匂いがする。」
「ヤマネコモードでは、あまり好ましくないか?」
「そないなことないです!マタタビモードの月光さんの匂いも月下美人モードの月光さん
の匂いもどっちも大好きでっせ。」
「そうか。」
どちらの匂いも大好きだと言われ、少々照れながら越知はそんな言葉を返す。マタタビモ
ードの越知と月下美人の匂いがする自分の匂いを交互に嗅ぎ、毛利はふにゃっとした笑顔
を見せる。
「同時にマタタビモードの月光さんの匂いと月下美人モードの月光さんの匂いが嗅げるな
んて、メッチャ贅沢ですね!好きな匂いに囲まれて、ええ気分ですわ。」
「それなら、もっと近くに来たらいい。」
あまりに毛利が可愛いので、その体を抱きしめたいと越知はそんなことを言い、毛利をさ
らに自分に近づかせる。嬉しそうな表情で、毛利が近くに寄ってくると、越知はその体を
ぎゅっと抱きしめた。
「月光さん?」
「お前は本当に愛らしいな。」
「そうですか?」
「ああ。こんなにも一緒にいて、昨夜のようなことも何度もしているのに、お前の笑顔を
見るたびに、恋に落ちるような気分になる。」
「何やちょっと恥ずかしいです。」
越知にそんなことを言われ、毛利は照れ笑いを浮かべる。恥ずかしさはあるが、圧倒的に
嬉しさが勝る。
「毛利。」
「はい、月光さん。」
「好きだ。」
「っ!!俺もです!」
当たり前のように触れ合いながら、二人は想いを伝え合う。その言葉とぬくもりが心を満
たしていく。
「月光さん、また早く満月になって欲しいですね。」
「それはそういうことをしたいという意味か?」
「そ、そういうわけやないですけど・・・まあ、半分は当たりですわ。」
昨日の今日でそんなことを言う毛利に越知は思わず口を緩ませる。
「別に満月でなくとも、お前がしたければいくらでも相手になるぞ。月下美人モードでは
ないがな。」
「そないなこと言われたら、期待してまうやないですか。」
「お前がどんな期待をしてるかは知らないが、その期待には応えてやるつもりだ。」
交わること前提の話をしているのに、どこか真面目な口調で言葉を返してくる越知に毛利
は思わず笑ってしまう。
「ほんなら『食事』がしたくなったら、頼んます。」
「ああ。いつでも構わないぞ。お前が満足するまで、付き合ってやろう。」
越知の返す言葉一つ一つが嬉しくて、毛利は胸はきゅんきゅんとときめく。大好きな相手
と過ごす日常。それが当たり前になっていることに幸せを感じながら、二人は今日も甘く
心地の良い時間を過ごすのであった。

                                END.

戻る