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黒い蔓薔薇で覆われた閉ざされた教会の中、その教会の持ち主である宍戸は、礼拝堂の椅
子に腰かけうたた寝をしていた。外に出ることがなくなって、かなりの時間が経っている
が、宍戸は村人達と共に過ごしていたときの夢を見ていた。
「ん・・・」
「随分気持ちよさそうに寝てるじゃねぇの。」
寝息を立てている宍戸の横で、宍戸をこの教会に閉じ込めている悪魔の跡部は、宍戸の寝
顔を満喫していた。
「俺も・・・お前らのこと・・・・」
「お前ら?夢でも見てるのか?」
自分の夢を見ているのであれば、お前らにはならない。自分がここに来る前の夢を見てい
るのかと思うと、跡部の胸は何だかもやもやしてくる。
「・・・・好き。」
楽しそうな表情で、そんな寝言を放つ宍戸に跡部はカチンとくる。夢であろうと、自分以
外の者に好きと言うなど許せない。大きな舌打ちをすると、跡部はバサッと悪魔の羽を出
す。そして、眠ったままの宍戸を自由自在に形を変えられる羽で、動けないように拘束し
た。
「ちょっとお仕置きしてやらなきゃな。」
悪魔らしい笑みを浮かべ、跡部は教会内を全く違う景色に変える。いつもなら二人きりで
過ごせるような場所に変えるのだが、今回はそういう意図ではない。この村で一番人通り
が多く、一番人が集まりやすい場所へと教会内はその姿を変えた。ただ、あくまでも跡部
が作り出している景色なので、そこにあるもの存在する人物は全て偽物であった。その代
わりに、そこに見えるものは全て跡部が思い通りに動かすことが出来る。
「さあ、楽しませてもらうぜ、宍戸。」
自分と宍戸を中心に周りに人を集める。宍戸の記憶から見知った顔を宍戸からよく見える
場所に配置する。準備が整うと跡部は宍戸に声をかけた。
「起きろ、宍戸。」
耳元で跡部の声が響くのに気づき、宍戸は目を覚ます。ぼんやりとした意識の中、ゆっく
りと目を開けると、そこにはいつもいる教会ではない景色が広がっていた。
「なっ!!」
宍戸にとって、そこは見慣れた場所であった。教会内ではない場所で話をするときは、必
ずと言っていいほど使う場所であった。しかも、よく知った村人達の顔が目の前にあるこ
とに宍戸はひどく困惑する。
「ど、どうして・・・」
「お前が寝言で村人達と楽しくしてるみてぇだったからな。言っただろ?悪魔は嫉妬深い
んだって。」
「えっ・・・」
次の瞬間、ビリビリと大きな音を立て、宍戸の着ていた服が破れる。既にしっかり拘束さ
れてしまっているため、人には晒してはならない部分をその手で隠すということは不可能
であった。
「うわああっ!!あ、跡部っ!!何して・・・っ」
「こいつらに、お前は俺様のものだっていうのを分からせてやるんだ。」
「嫌だっ・・・いやっ・・・・!!」
抵抗する宍戸を黙らせるかのように跡部は自分の唇で宍戸の口を塞ぐ。こんなにたくさん
の人が見ている中で、そんなことをされ、宍戸は若干パニックになる。
(どうして、こんなとこにいるんだよっ・・・みんな、知ってる人ばっかりだ・・・・ど
うしよう・・・こんなの・・・こんなの・・・・)
いつものように滋養成分と何度でも達することの出来る魔術を含めた状態で、跡部は自分
の唾液を宍戸に飲ませるが、今回は媚薬的な成分はあえて含ませなかった。この状態での
宍戸の素の反応を見たかったからだ。
「ふはっ・・・やっ・・・嫌だぁ・・・・」
「いい顔するじゃねぇか。ほら、ちゃんと前を見てみろ。お前のこと、みんな見てるぜ。」
強制的に前を向かされ、宍戸は少し離れた場所にいる村人達を見る。何とも言えない表情
でそこにいる村人達は皆宍戸に視線を注いでいた。ふと気づくと、跡部の羽によって脚は
大きく開かれ、大事な部分が全て丸見えという状態になっている。
(こんなの嫌だ・・・・恥ずかしい・・・見るな・・・俺を見るなっ・・・)
羞恥心から宍戸はボロボロと涙をこぼす。しかし、そんな羞恥心とは裏腹に宍戸の熱は雫
を滴らせんばかりに大きくなっている。
「嫌だとか言いながら、本当は見られて興奮してんだろ?」
「そんなわけねぇだろっ!!」
「だったら、どうしてもうこんなになってんだ?俺様はまだどこも触ってねぇぜ。」
「っ!?」
跡部に指摘され、宍戸は自分のモノに視線を落とす。そこにはふるふると震えながらも大
きくそそり勃っているそれがあった。
「ち、違っ・・・」
「違う?何がどう違うんだ?ほら、ここももうこんなに立ってるぜ。」
「ひゃあぁんっ!!」
ぷっくりと膨らんだ両方の胸の突起を強く抓まれ、宍戸は思わず声を上げる。口を塞ごう
にも手は後ろでに縛られているため、それは叶わない。くりくりとそこを弄られ、宍戸は
ビクビクと身体を跳ねさせる。
「あっ・・・ダメっ・・・ダメぇ・・・」
「乳首弄られてそんなに感じてんのかよ?やらしい牧師さんだなあ。なあ?」
周りにいる人に同意を求めるような跡部の言葉に、宍戸の顔は真っ赤に染まる。他の人に
見られているんだと再度意識した瞬間、宍戸の身体は電流が走っているかのように痺れる。
それと同時に、跡部は一際強く宍戸の突起を引っ張った。
「ひっ・・・やあぁぁっ!!」
胸への刺激だけで、宍戸は達してしまう。拘束された身体をビクビク震わせ、宍戸はあま
りの恥ずかしさに嗚咽を漏らす。
「ふっ・・ひっく・・・もう・・やめ・・・」
「アーン?まだ、始まったばっかだろ。それに、この程度でイクなんて、やっぱり見られ
て興奮してんだろ。」
「そんなこと・・・んっ・・・跡部っ・・・そこはっ・・・!!」
跡部の手が下肢に伸びてくるのに気づき、宍戸はビクッとする。抵抗するすべがないので、
どんなに嫌がろうと、跡部の行動を止めることは出来ない。
「お前のやらしいココもしっかり見てもらおうぜ。」
「嫌だ・・・跡部っ・・・ひぅっ・・・ああぁっ!!」
既にトロトロになっている熱とまだ閉じた蕾に同時に触れられ、宍戸は再び達してしまう。
あまりに敏感になっている宍戸に、跡部は口元が緩むのを抑えられないでいた。
(見られて恥ずかしいのに・・・どうしてこんな・・・・そうか、跡部が・・・全部跡部
の所為だ・・・・)
自分がこんなに感じやすくなっているのは、跡部がまた媚薬的な何かを自分に飲ませた所
為だと、宍戸は勝手に解釈する。そう思うとある程度仕方がないのではないかと思ってし
まう。
「今日は随分感じやすくなってるみてぇじゃねぇか。」
「それは・・・いつもみたいに跡部がっ・・・・」
「言っとくがな。」
「何だよ・・・?」
「今日は媚薬っぽい効果があるものは、何もしてないからな。」
「えっ・・・嘘だろ・・・?」
「嘘じゃねぇ。疲れないようにといくらでもイけるようにはしたけどな。」
「だって・・・っ」
それならば、何故こんなに感じてしまうのかと、宍戸は困惑した表情を見せる。答えは一
つだろと言わんばかりに、跡部はぐりっと宍戸の中を指で抉り、耳元で囁いた。
「大勢の奴に見られてるからだろ。やらしく何度もイってるところをよ。」
「―――っ!!」
再び見られていると意識させられ、宍戸はゾクリと身体の奥が震えるのを感じる。これで
は本当に見られていることで感じているみたいだと、宍戸はどうしようもなく恥ずかしく
なる。
「ひぅっ・・・違うっ・・・違うっ・・・!!」
そんなことは認めたくないと、宍戸は必死で首を振る。素直じゃないなあと思いつつ、跡
部はそんな宍戸にひどく心を奪われていた。
「強情だな。お前のここはもうこんなにほぐれてるのに。もっと大きいもの飲み込みたい
ってひくひくしてるぜ。」
「あっ・・・やだぁ・・・・」
「ほら、指を開けばこんなに広がる。目の前にいる奴らにもよく見えてると思うぜ。お前
のココが。」
周りの人に跡部によって広げられた秘部が晒されていると思った瞬間、宍戸は再び耐え難
い絶頂感に襲われる。
(あっ・・・俺のアソコが・・・見られてる・・・・見られて・・・・っ)
「あっ・・あああぁ―――っ!!」
跡部の指をぎゅうぎゅうと締め付けながら、宍戸はなくなることのない精を放つ。まさか
ここまでこの状況に宍戸が反応してくれるとは思っていなかったので、跡部のやる気は俄
然高まった。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「もうここは準備万端って感じだな。俺達が愛し合ってるってところ、しっかり見せてや
ろうぜ。」
「ああ・・・ダメっ・・・ひっ・・うああぁっ!!」
嫌がる宍戸の言葉を無視し、すっかり解れた宍戸の蕾に跡部は自身を奥まで埋める。周り
の人々に結合部が見やすいように柔軟な羽で宍戸の脚を持ち上げ、その腕でしっかりと宍
戸の身体を抱きしめた。
「あっ・・・うあっ・・・跡部ぇ・・・」
「全身ビクビクさせて、やっぱりいつもより感じてるじゃねぇか。」
「んんっ・・・違っ・・・・」
「お前が感じてくれてると、俺もいつもより気持ちいいぜ。」
吐息混じりの声でそんなことを囁かれ、宍戸の頭はあまりの気持ちよさでとろけそうにな
る。見られていることなど忘れそうになるほど、交わる心地よさに溺れていると、宍戸の
耳に聞き覚えのある声が響く。
『牧師さん。』
それは、宍戸がよく遊んでやっていた子供の声であった。その声を聞いて、宍戸はビクッ
となる。
「あっ・・・」
『牧師さん、大丈夫?』
心配そうにそう尋ねられ、宍戸は焦る。こんなことで、心配をかけるわけにはいかないと、
跡部と繋がる熱さに犯されながら、宍戸は必死で笑顔を作る。
「だ、大丈夫・・・だから、お前達は向こうへ・・・・」
こんな小さな子供にこんな光景は見せてはいけないと、自分から離れさせようとする。し
かし、先程とは別の子供が予想だにしていなかった言葉を口にする。
『悪い悪魔に犯されて、牧師さん、気持ちいいの?』
「―――っ!?」
『ねぇ、牧師さん。』
「ほら、お前の大好きな子供が聞いてるんだぜ?ちゃんと答えてやらなきゃだろ。」
「うっ・・・あっ・・・」
想定外のことに宍戸は言葉を失ってしまう。顔が熱くなり、心臓が壊れそうなほど速くな
る。
「宍戸、お前の感じてることを素直に口にすりゃいいんだぜ。」
「で、でも・・・っ」
宍戸がなかなか答えないので、跡部は宍戸の弱いところを中に入っている楔で抉ってやる。
「ひゃあぁぁんっ!!」
「俺様と繋がってて、どうなんだよ?」
「き、気持ち・・・いい・・・」
思わず口にすると、目の前にいた子供達がニコっと笑って宍戸の前から去って行く。普段
ならその行動に違和感を覚えるはずなのだが、今の宍戸にはそんなことを考える余裕はな
かった。
「ちゃんと言えたご褒美だ。お前の中にたっぷり俺を注ぎ込んでやるよ。」
「ふあっ・・・あああぁ―――っ!!」
「また、イッちまったのか?」
「うぁっ・・・跡部ぇ・・・」
「気持ちいいなら、何度でもイッていいんだぜ。」
跡部の熱い雫を中に受け、宍戸は何度も達する。薄ら目を開けると、そこにはたくさんの
人の姿。受け入れたくないことであったが、見られていると意識した方が圧倒的に感じや
すくなると宍戸は認めざるを得なかった。
(ダメだ・・・見られてると思うと、どうしようもなくなっちまう・・・・ああ、どうし
よう・・・また・・・っ)
「くっ・・・うぅんっ・・・!!」
「可愛いぜ、宍戸。なあ、こいつらにお前がどれだけ俺様のこと好きかって教えてやれよ。
中に出されて、イクのが止まらなくなるくらいイイんだろ?」
「あっ・・・ぅ・・・・」
ビクビクとその身を震わせて、宍戸はチラッと跡部の方を見る。悪魔らしい笑顔に妖しく
光る瞳。その瞳に射抜かれ、宍戸はあっという間に跡部に魅せられた。周りにいる人は先
程より多くなり、全ての視線が宍戸に注がれていた。
「俺は・・・」
震える声で宍戸は言葉を紡ぐ。宍戸の声で自分への告白が聞けると、跡部は胸を躍らせて
いた。
「こいつが・・・跡部のことが・・・・」
「いいぜ。続けろ。」
耳元で囁かれ、宍戸の頭は跡部のことでいっぱいになる。もう誰に見られようが、恥ずか
しい姿を見られようが構わない。そんなことを思いながら、宍戸は言葉を続けた。
「今は・・・一番・・・・好き・・・悪魔でも・・・いくらひどいことされても・・・・
俺は・・・跡部が・・・」
宍戸をその腕に抱きながら、跡部は宍戸の言葉を堪能する。乱れた呼吸の中、宍戸は大き
く吸い、一番重要な言葉を放つ。
「・・・大好き。」
強制的に言わせたにも関わらず、予想以上にハッキリと言葉にしてくれた宍戸に跡部はか
なり気をよくする。宍戸の一番弱いところを内側も外側も責めてやり、もう数えきれない
ほど達している宍戸を、さらに大きな絶頂へと導く。
「俺も愛してるぜ、宍戸。」
「ふあっ・・・あああぁぁんっ!!」
目の前が真っ白になり、身体も心もとろけるような絶頂感に宍戸は甘い悲鳴を上げる。跡
部もかなりの満足感を感じて、宍戸の中に再び熱を放った。

とろけるような恍惚感から覚め、意識がハッキリとしてから辺りを見渡すと、そこはいつ
もの教会の中であった。先程のことは夢であったのかと、首を傾げる宍戸だが、下肢に感
じる違和感や心地よい疲労感は到底夢とは思えないものであった。
「宍戸。」
すぐ側で名前を呼ばれ、宍戸はドキッとする。拘束は解かれているものの、いまだに宍戸
は跡部の腕の中にいた。
「あ、跡部・・・?」
「お前は、人に見られてするのが相当好きみてぇだな。」
ニヤニヤとした表情でそんなことを言われ、宍戸はカアァと顔を赤く染める。
「ふざけんなよ!!どうしてあんなこと・・・・」
「始めに言っただろ?お前が夢の中で他の奴らと仲良くしてんのが気に入らねぇって。」
「だからって・・・あんなたくさんの人の前で・・・・」
今にも泣きそうな表情をしている宍戸だが、先程のことを思い出すと身体が熱くなるのを
感じる。
「けど、ああいう状況でいつも以上に感じてたじゃねぇか。自分でも分かってんだろ?」
「それはっ・・・」
自覚があるので、宍戸はそれ以上何も言えなくなってしまう。恥ずかしがっている宍戸も
困り顔の宍戸もどうしようもなく可愛いと、跡部は口元を緩ませる。
「まあ、お前が俺様を一番好きだってことが分かったからな。今回ばかりは、許してやる
よ。」
「あーいうことしてる時点で、許してねぇだろうが!!本当、マジありえねぇ。」
半べそ状態の宍戸の頬に軽く口づけながら、跡部は少しだけネタばらしをしてやる。
「アレはココだ。俺様の能力知ってんだろ?」
「えっ・・・?」
「ヒントはここまでだ。まあ、お前にとってそこまでひどい話じゃねぇから安心しろ。気
づかない方が次も楽しめるかもしれねぇけどな。」
「は?ちょっ・・・意味分かんねぇんだけど。」
「気づけよ、バーカ。」
跡部にとって宍戸は一番なのだ。お仕置きであろうとも実際に宍戸の一番魅力的な部分を
他の者に見せたりはしない。自分の作り出した幻影だからこそ、先程のようなことが出来
るのだ。
「何かもう疲れた。もっかい寝る。」
「また、寝んのかよ。」
「お前が無理矢理起こしたんだろ。今度は起こすなよ。」
「なら、俺様の夢でも見とけよ。そしたら、起こすなんてしねぇから。」
「うるせー。何の夢を見ようが、俺の勝手だろ。」
そんな悪態をつきながらも、宍戸は跡部の腕に抱かれたまま目を閉じる。いまだにドキド
キは治まらないが、跡部と話している方がよりドキドキしてしまうので、少しでも落ち着
きたかった。こんな寝方では、本当に跡部の夢を見てしまいそうだなと思いつつ、宍戸は
再び夢の中へと落ちていった。

                                END.

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