夜の顔はどんな顔? 〜君篤編〜

少し遅めの時間に入浴を終え、君島は一軍寮のはなれにある自室へ戻ろうとする。部屋の
前まで来ると、遠野が雑誌を見ながら待っていることに気づく。
「私の部屋の前で何をしてるんですか?遠野くん。」
「おー、君島。お前が帰ってくるのを待ってたんだ。」
「もう結構遅い時間ですけど、何の用ですか?」
「どうせ明日は休みだろ?種ヶ島のやつがこの雑誌を押しつけてきやがって、君島と一緒
に見ろって言うからよ。」
種ヶ島が渡した雑誌ならば、処刑などとは関係なくファッションか何かの雑誌だろうと君
島は推測する。それならば、特に問題はなさそうだと君島は遠野を自室に入れることを許
す。
「まあ、少しの時間ならいいですよ。」
「なら、少し邪魔するぜ。」
種ヶ島から受け取った雑誌を手に遠野は君島の部屋に入る。君島の部屋に入ると、遠野は
ソファに座って読み途中の雑誌を広げた。軽く飲み物を飲んだ後、君島は遠野の隣に腰を
下ろす。
「雑誌って、どんな雑誌を読んでるんですか?」
「何か面白い特集が載ってるから読めって言われた。『星座別恋愛傾向!好きな人に見せ
る夜の顔』って特集らしいぜ。お前が戻ってくるまで、ちょっと読んでみたけど、まあ、
確かに面白いっちゃ面白いんじゃねぇ?って感じだった。」
「それは確かに種ヶ島くんは好きそうな特集ですね。」
「大曲とか越知とか毛利とかと一緒に読んで結構盛り上がったって言ってたな。」
「そうなんですね。それは少し興味がありますね。」
種ヶ島だけでなく、大曲や越知までも盛り上がったということを聞いて、君島は興味を持
つ。
「なら、一緒に読んでみるか?君島は魚座だよなあ?魚座のページは・・・」
読む気があるなら、まずは君島の星座である魚座のページだろうと、遠野はペラペラとペ
ージをめくる。
「魚座は結構後ろの方だな。」
「一番最後の星座ですからね。というか、せっかく見るのであれば、私は牡牛座が見たい
です。」
「俺のも気になるって?まあ、それは後でな。」
魚座のページを見つけると、遠野はそこに書かれている内容を音読する。
「えっと、魚座のセックス傾向は・・・
『魚座は一見真面目そうに見えますが、実はいやらしいことが大好きです。妄想癖があり、
好きな人と過ごす夜のことを妄想しては、一人でにやけていることが多いでしょう。セッ
クスでは、「わけのわからない状態」になりたいという気持ちが強く、記憶がふっとぶく
らいのエクスタシーを得たいと思っています。日頃のストレスの一番の発散法はセックス
だと考えています。基本的には優しい魚座ですが、ベッドの中では相手を征服したい・支
配したいという欲求が溢れてしまい、Sの顔が表に出てしまいます。ベッドの中での主導
権を握りたがり、相手に快楽を与え続けて幸せを感じる傾向があります。また魚座は絶倫
の一面もありますから、回数も自然と多くなっていくでしょう。』
だってよ。フッ、結構当てはまってるんじゃねーのか?」
遠野が音読する内容を聞いて、君島自身も結構当てはまっていると思ってしまう。しかし、
それを素直に認めるのは少々恥ずかしく、誤魔化すような反応をしてみせる。
「どうでしょうね?まあ、あくまでも傾向ということですし。」
「俺はあってると思うけどな。お前、わりとそういうこと好きだし、ドSだし。」
「そんなことはないと思いますが。それよりも、次は牡牛座のページを見せてください。」
これ以上突っ込まれるのは恥ずかしいと、君島は遠野の星座である牡牛座のページを早く
読みたいと急かす。仕方ないなーと言った反応をしながら、遠野はページをめくり、牡牛
座のページを探す。
「お、牡牛座はこれか。ええと・・・
『牡牛座は表面上は真面目に見え、それほどセックスには興味がなさそうですが、実はセ
ックス大好きのむっつりスケベです。セックスはゆったりと気兼ねなく楽しみたいので、
翌日が休みの日は積極的に誘ってくるでしょう。牡牛座は五感が鋭く、五感を使って執拗
に快楽をむさぼり、存分にセックスを楽しもうとします。牡牛座にとってセックスは究極
の癒しです。心が通じ合い安心感を得られる相手としかしたいと思いません。じっくり前
戯をするのが好きで、興奮度が高まるのも遅めです。先を急がず、ゆっくりじっくりと責
められるのが好きです。』
あー、気兼ねなくゆっくり楽しみたいってのは、分かる気がするな。」
「確かに遠野くんが誘ってくるのは、私が次の日オフの日とかが多いですもんね。そうい
う理由だったんですね。それにしても、遠野くんにとって、セックスは究極の癒しなんで
すね。」
それはなかなかいいことを聞いたと、君島はからかうような笑みを浮かべてそんなことを
言う。
「お前だって、日頃のストレスの一番の発散法はセックスなんだろ?芸能人はストレス結
構溜まりそうだもんなあ。そういうことが出来る俺がいてよかったな。」
負けじと遠野もそう返す。どちらも少しドキドキしながら、お互いの顔を見る。他に何か
面白いことは載っていないかと、遠野は適当にページをめくる。
「お、星座別の性感帯ってのが載ってるぜ。」
「それは気になりますね。遠野くんは・・・『首』ですか。」
「君島は『足の指』だってよ。へぇ、それは知らなかったな。」
一覧を見た後、遠野はより詳しくどう責めるのがよりよいかが書かれている内容に目を通
す。遠野は気づいていなかったが、君島も牡牛座に関してそれが書かれている場所をしっ
かりと目に焼きつけていた。
「他に何か面白いことは載っていないんですか?」
「何だかんだで君島も興味津々じゃねーか。そうだな・・・」
さらにページをめくっていると、少し気になる項目を見つける。
「どんなところでするのが好きかとか載ってるぜ。」
「なるほど。確かにそれは気になる項目ですね。」
「えっと、牡牛座は・・・『ラブホ』か。行ったことねーし、結構あからさまだな。魚座
は『水のある場所』だってよ。フッ、魚だからか?」
「どちらもちょっと難しいですね。」
「まあ、参考までにってことじゃねぇか?」
その後も軽くページをめくりいろいろ読んでみたが、だいたい満足してしまい、遠野は雑
誌を閉じる。
「種ヶ島の言った通り、確かに悪くはなかったな。」
「そうですね。なかなか興味深かったです。」
「お前がそんなこと言ってくるのは珍しいな。」
雑誌を机の上に置くと、遠野はあることを試してみたくなる。
「君島、まだこの後時間あるか?」
「明日は休みですし、後は眠るだけなので、特に用はありませんが。」
「だったら、もう少し付き合え。さっきの内容見て、ちょっと試したいことが出来た。」
わくわくとした様子で、遠野はそんなことを言う。正直、先程の雑誌の内容を読み、若干
ムラムラしている君島は、もう少し遠野と一緒にいたいと思っていたので、遠野の誘いに
頷く。
「別に構いませんよ。」
「だったら、ベッドに座って待ってろよ。ちょっと準備してくるから。」
「ええ。」
そう言いながら、遠野は一旦自分の部屋へ戻る。しばらく待っていると、大きめの洗面器
のようなものと数枚のタオルを持った遠野が戻って来た。
「待たせたな。」
「何を持ってきたんですか?」
「ちょっとイイコトしてやるから、ズボン脱いでベッドに座ってろ。」
「は?」
何をされるのだろうとドキドキしながらも、君島は言われた通りズボンを脱ぎ、ベッドに
座る。君島が座った足元に、遠野は持ってきたものをセットしていく。大きめのタオルを
敷き、その上にお湯の入った洗面器を乗せる。そのお湯の中に君島の足をゆっくりとつけ
させる。
「これは・・・フットバスですか?」
「ああ。お前が好きだろうと思って、ローズのアロマも入れといてやったぜ。」
「どうしてこんなものを遠野くんが?」
「膝のリハビリしてるときにオススメされてよ。俺の部屋も一人部屋だし、気持ちいいか
ら定期的にしてるんだよな。」
「なるほど。」
遠野の言う通り、足元からは甘い薔薇の匂いが香る。これは素直に心地がいいと君島は少
しリラックスした気分になる。君島が嫌そうな反応をしていないことを確認すると、遠野
は腕まくりをし、少し熱めのお湯に手を入れ、君島の足に触れる。
「な、何ですか?遠野くん。」
「ちょっとマッサージしてやろうと思ってよ。大サービスだぜ。」
「そ、そうですか。」
お湯の中の足を両手を使って遠野はゆっくりとマッサージする。足の裏に触れられると少
しくすぐったさを感じるが耐えられないほどではない。しかし、遠野の指が足の指の間に
触れた瞬間、ゾクゾクとした甘い痺れが君島を襲う。
「んっ・・・」
「どうした?」
「い、いえ、何でもありません!」
先程読んだ雑誌に書いてあったことは嘘ではないのだなと遠野は感心する。何も気づかな
いふりをして、遠野は君島の足の指を念入りにマッサージする。
(足の指がこんなに感じるだなんて・・・)
足の指に触れるたびに君島の足はビクッと震え、時折堪えきれていない声が頭の上から聞
こえる。ちらりと君島の顔を見ると、顔は赤く染まり、呼吸が荒くなっている。そんな君
島を見て、遠野は興奮してしまう。
(予想以上だな。これはこの後することもどうなるのか楽しみだ!)
再度足の裏をマッサージした後、遠野は君島の足をフットバスから出し、もう一枚用意し
ていていたタオルで丁寧に拭く。
「どうだ?悪くなかっただろ?」
「そ、そうですね。」
「さてと、ここからが本番だぜ。」
「えっ・・・?」
ニヤリと笑うと遠野は今しがた綺麗に拭き終えた君島の足をぐっと掴み、踵から爪先に
向かって、ゆっくりと舌でなぞる。敏感になっている足を舐められ、君島は素直に反応
してしまう。
「うあっ・・・!」
「魚座が足の指が感じるって本当みてぇだな。足の裏より、ココを舐められたいだろ?」
ちゅぷっと足の親指を咥え、舌で舐める。一本一本味わうように足の指を舐めていくと、
君島はビクビクとその身を震わせ、あからさまに感じているような反応を示す。
「と、遠野くんっ!ダメです!」
「足の指、気持ちいいんだろ?」
「くっ・・・そんなことは・・・・」
片方の足を舐め終えると、もう一方の足を手に取り、ちゅっと指先に口づける。そして、
君島の顔を見上げながら、見せつけるようにその指を口に含む。
「ああっ・・・!!」
ぎゅっとシーツを握り、堪えきれない声を上げるの聞いて、遠野は非常にいい気分になる。
そして、雑誌に書いてあった一文を思い出し、それを実行してみせる。
「君島の足、すげぇイイ匂いだぜ。入れてやったアロマの薔薇の匂いが移ってる。これな
らいくらでも舐めてやれるぜ。」
うっとりとした表情で、遠野はまるで美味しいものを食べているかのように君島の足の指
を舐める。それを聞いた君島は、今までに感じたことのない興奮と快感を感じ、図らずも
達してしまう。
「んっ・・・遠野くんっ・・・!!」
まさか達するとは思っていなかったので、さすがに遠野は驚いたような表情を見せる。し
かし、そこまで感じてもらえたことが嬉しくて、遠野は嬉しそうな表情で君島の下着を脱
がし、放たれた蜜を掬ってぺろりと舐める。
「足舐められて、イクほど気持ちよかったのか?やっぱ、エッチだな君島は。」
「ハァ・・・うるさいですよ、遠野くん。」
自分でも信じられないと思いつつ、どうしようもなく気持ちよかったのは確かなので、遠
野を睨みながらそんな言葉を放つ。やられっぱなしでは悔しいので、君島は遠野をベッド
の上に引っ張り上げ、布団の上に押し倒す。
「今度は私が遠野くんを気持ちよくさせる番です。」
「そりゃ楽しみだな。」
「そんな軽口を叩けるのも今のうちですよ。」
まだまだ余裕がある遠野の服を脱がしてしまうと、君島はそれらをベッドの下の落とす。
もともとやる気だったので、遠野は君島がすることに一切抵抗はしなかった。
「遠野くんの弱いところは首でしたっけ?」
「傾向としてはそうみてぇだな。」
「だったら、今日はこの首を私に差し出してください。」
片手でぐっと首を掴みながら君島はそんなことを言う。別に強く掴まれているわけではな
いが、一瞬首を絞められるかと思い、遠野はゾクゾクしてしまう。首を差し出せという言
葉にも遠野は興奮していた。
「ココをこう切り裂いて、舌を出すのはコロンビア・ネクタイでしたっけ?」
遠野の喉にすっと爪を立て、横になぞりながら君島はそう問う。首をなぞられる感触と君
島の口から発せられる処刑法に遠野はドキドキしてしまう。
「んあっ・・・!」
「ふふ、これだけでそんな反応を見せられるとこの後が楽しみです。」
まずは指先で触れてやろうと、君島は遠野の首をゆっくりと撫でる。指先でなぞるだけで
なく、たまに爪を立て引っ掻くように指を滑らせる。
「ひあっ・・・ああっ・・・!!」
「おや、随分と感じているみたいじゃないですか。」
「ハァ・・・ハァ・・・別に・・・」
「先程の遠野くんのように今度はたくさんキスして舐めてあげますね。」
楽しげな笑みを浮かべて、君島は遠野の首にキスをする。ちゅっちゅと小鳥が啄むように
首のいたるところに口づけた後、首のラインをじっくりと舐める。
「ああぁんっ!!」
一番感じる部分を責められているような快感に、遠野は素直に甘い声を上げる。ここまで
集中的に首を責められたことは今までなかったので、あまりの気持ちよさに遠野自身驚い
ていた。
「んっ・・・君島ぁ・・・」
「どうです?牡牛座の性感帯を責められた感想は?」
「スゲェ気持ちいい・・・」
快感にとろけた表情で素直にそう口にする遠野に、君島はぞくっとしてしまう。その言葉
に嘘はないようで、もっとしてくれと言わんばかり顎を上げ、首を君島の前に晒す。
「確かにそうみたいですね。ほぼ首にしか触れていないのに、ココはこんなにトロトロに
なってますよ?」
あまりの気持ちよさに遠野の熱は先走りの蜜でトロトロになっていた。
「し、仕方ねぇだろ・・・!」
「別に悪いだなんて一言も言ってませんよ。せっかくなので、繋がる準備をしながら、も
っと首を責めてあげますよ。」
遠野の蜜を軽く指に絡めると、君島はその指で遠野の入口を慣らし始める。そして、その
まま遠野の首に唇をつける。
「ああぁっ・・・!!」
可愛らしい声を上げる遠野がたまらないと、君島は遠野の中を弄りながら、跡がつくほど
に強く首を吸う。
「んあっ・・・ああっ・・・君島っ・・・!!」
「唇をつけるたびに中がぎゅうぎゅうと締まりますね。」
「ハァ・・・んっ・・・あああっ・・・!!」
「本当可愛らしいですね。」
愛らしい声を聞きながら、君島はご機嫌な様子で愛撫を続ける。君島が弄りやすいように
遠野は無意識に膝を立て足を広げていた。
(気持ちイイ・・・結構イキそうかも・・・)
遠野の反応を見て、君島はそろそろ限界であることに気づく。それならばと、君島は遠野
の喉仏のあたりを甘噛みする。
「ひっ・・・ああぁ―――っ!!」
中にある指を締めつけながら、遠野は達する。遠野の中から指を抜くと、君島は遠野の放
った蜜を掬い、嬉しそうに笑う。
「あの雑誌、嘘は書いていないようですね。」
「ハァ・・・そうかもな。お前も足舐められてイってるし。」
荒い息を吐きながらも、遠野はにやりと笑ってそう返す。
「否定出来ないのが悔しいですが、まあそうですね。」
「なあ、君島・・・」
「分かってますよ。早く繋がりたいのでしょう?後ろから挿れたいので、四つん這いにな
ってください。」
君島にそう言われ、遠野は素直に四つん這いになる。遠野が放った蜜を軽く熱に絡めると、
遠野の双丘の中心にそれを押しつける。
「んんっ・・・」
「挿れますよ、遠野くん。」
「あっ・・・君島っ・・・!!」
君島が中に入ってくるのを感じ、遠野はビクンと腰を揺らす。さらに奥まで腰を進めなが
ら、君島は遠野に覆いかぶさるように横に手をつく。
「ああぁんっ・・・!!」
「首が弱いということは、ココも感じるのではないですか?」
うなじにかかっている髪を横に流すと、あらわになったそこにちゅっと口づける。先程存
分に首を責められ敏感になっていることもあり、うなじもかなり感じやすくなっていた。
「ああぁっ・・・!!」
「予想通りですね。」
遠野が感じれば中がきゅんきゅんと締まり、君島としてもかなり気持ちのよい状態になる。
ゆっくりと中を突きながら、何度もうなじにキスをし、たまに吸ってみたりする。
「あんっ・・・君島っ・・・ふあっ・・・気持ちいっ・・・」
「私もすごく気持ちいいですよ、遠野くん。」
「んっ・・・もっと・・・」
「もっと欲しいんですか?仕方がないですね。」
もっと大きな刺激が欲しいと、遠野は腰を揺らしながらねだる。そんなリクエストに応え
るかのように、君島は先程よりも激しく中を穿ち、うなじを甘噛みする。
「ひっ・・・ああぁんっ・・・それ、たまらねぇ・・・」
「ふふ、気持ちよさそうな遠野くん。愛らしくて大好きです。」
「んんっ・・・!!」
君島に大好きと言われ、遠野の中はあからさまに反応する。それが心地良く、君島の熱も
さらに大きくなる。
(これは私もそこまでもたなそうだな。)
遠野もだいぶ限界に近づいているが、自分もそこまでもたないと君島は苦笑する。せっか
くなら、遠野を極限まで感じさせてやろうと君島は考える。
「ハァ・・・君島っ・・・俺、もう・・・」
ビクビクと腰を震わせ、限界を伝える遠野の言葉を聞いて、君島は口元を緩ませながら遠
野の耳元で囁く。
「介錯は私がしてあげます。」
「っ!?」
そう囁いたあと、血が滲むくらいの強さで遠野の首元を噛む。首に走る鋭い痛みが介錯を
連想させ、遠野はこの上なく興奮してしまう。目の前が真っ白になるくらいの絶頂感に遠
野は声にならない声を上げ、激しく果てる。
「―――――っ!!」
「くっ・・・!!」
もともとそこまで余裕がなかったこともあり、搾り取るような遠野の中の動きに抗えず、
君島も遠野と同時に達する。強すぎる絶頂感の余韻に浸った後、君島はゆっくりと遠野の
中から熱を抜く。支えを失った遠野はくたっとその身を布団に預けた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「大丈夫ですか?遠野くん。」
「ああ・・・最後の、マジでヤバかった。」
「それは良い意味でかな?」
「そりゃな。いや、マジで今日はずっと気持ちよくてたまんなかったな。」
とろんとした表情でそんな感想を口にする遠野に、君島はドキドキしてしまう。このまま
帰してしまうのはもったいないと君島はあることを提案する。
「そんな状態で自分の部屋に戻るのも大変でしょうし、今日は私の部屋に泊まってもいい
ですよ。」
「いいのかよ?」
「特別ですよ。」
それは普通に助かると思いながら遠野は君島の顔を見る。芸能人しているときとは少し異
なる嬉しそうな笑顔。そんな君島の顔を見て、遠野はふっと笑う。
「なあ、君島。」
「何です?」
「キスしてぇ。今日はお互い足とか首にばっかしてて、口にはしてねぇだろ。」
「確かにそうですね。これも特別ですよ。」
「おう。」
遠野のおねだりに、君島は口元を緩ませながら頷く。まだ行為の色香が残っている遠野の
唇に、君島は優しくキスをした。

次の日、あまりにも首に跡が残ってしまっている遠野は、君島に包帯を持ってこさせ、不
本意ながらもそれを巻いて朝食へと向かう。
「お、サンサンとアツやん。おはよーさん。」
「おはようございます。」
「ていうか、遠野その首どうしたよ?怪我でもしたのか?」
首に包帯が巻かれている遠野を見て、種ヶ島と一緒に朝食を取っていた大曲は心配そうに
尋ねる。
「あ?ちょっとな。まあ、半分くらいはそこにいるやつのせいだけどよ。」
「えー、俺?全く身に覚えがないんやけど。」
「ひどい怪我とかではないので、気にしないでください。」
「いや、結構後ろは痛いからな。つーか、お前が答えるのはおかしいだろ。」
包帯の上からうなじを押さえながら遠野はそう言う。君島と遠野のやりとりを見て、勘の
いい種ヶ島は何があったかに気がつく。
「あー、なるほどな。昨日、二人であの雑誌読んだんやろ?それでか。うんうん、分かる
わー☆ツッキーも次の日背中が引っかき傷だらけやったしな。」
「あー、そういうことかよ。そりゃ確かに半分はお前のせいだな。」
種ヶ島の言葉を聞いて、大曲も納得する。越知にもそれだけの影響を与えられるのなら、
自分達が影響を受けても問題ないだろうと君島と遠野は顔を見合わせる。
「あれ、結構当たってるよなー。サンサンやアツはどうやったん?」
「それなりに興味深い結果でしたよ。」
「そうそう、こいつは足の指が弱いって話だったんだけどよ・・・」
「ちょっと遠野くん!少し黙っててもらえますか!?」
昨日のあれを他の人に話されては困ると、君島は慌てて遠野の話を遮る。詳しい話は分か
らないが、なかなかのことがあったのだろうと、種ヶ島と大曲はニヤニヤしてしまう。
「ほんでアツは弱いとこが首やったって話やな。その包帯の下、さぞすごいことになっと
るんやろなあ。」
「どうだかな。ま、こうしなきゃならなくなったのは予定外だが、悪くはなかったぜ。」
「アツは正直でええなあ。アツからあの雑誌返してもらったら、牡牛座と魚座のとこチェ
ックしとこ☆」
「とりあえず、今日が休みでよかったな。」
自分達もあの雑誌に影響されたことを思い出し、大曲はそんなことを言う。それは確かに
そうだと君島と遠野は頷いた。
「今日はゆっくり休む予定ですよ。」
「確かに昨日は結構夜更かししちまったしな。」
「何だかんだで、サンサンとアツも仲良しやん。」
「はあ?こいつと仲良しごっこなんてするわけねーだろ。」
「同感です。」
「ふっ、お前ら似た者同士だし。まあ、お前らはお前ららしくイチャイチャしてればいい
んじゃねーの?」
「大曲くんまで何を言い出すんですか。」
種ヶ島と大曲の言葉に君島は呆れたようにそう返す。仲が悪そうに見えて、本当にお互い
のことを好き合ってるなあと、種ヶ島と大曲は二人のやりとりを面白がって見るのであっ
た。

                                END.

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