少し遅めの仕事が終わった後、君島は外に出て空を見上げる。
(今日は思ったより時間がかかってしまったな。明日は久しぶりのオフ日だし、早く帰っ
て・・・)
休もうと思いかけて、君島はふとある人物が頭をよぎる。
(遠野くん・・・今、何をしているんだろう。)
一度よぎってしまうとなかなか頭から離れなくなってしまう。
「会いたいな・・・」
思わずそう呟くが、もうかなり遅い時間なので、さすがにそれは無理かと考える。現在、
遠野は東京で一人暮らしをしているので、会いに行こうと思えば行けてしまう。それが君
島を迷わせる。
(せめて声だけでも聞きたい。それも無理だったら、素直に帰ろう。)
そんなことを考えながら、君島は私用のスマホを出す。声が聞きたいと思いつつも、いざ
電話をかけようと思うと、何故だか緊張してしまう。
(3コールして出なかったら諦めよう。)
そう心の中で決め、君島は遠野に電話をかける。通話ボタンを押し、呼び出し音が一回鳴
った後、聞き慣れた声が耳に響く。
『君島、こんな時間にどうした?』
遠野の声を聞いて、トクンと胸が跳ねるのを感じつつ、いつもの口調で口を開く。
「随分出るのが早いのですね。」
『お前からの電話だしな。そりゃすぐに出るだろ。』
「そうですか。」
遠野の言葉にほのかな嬉しさを感じながら、君島は答える。
『で、何の用だ?』
「いえ、特に用はないのですが・・・」
『は?用もないのに電話してきやがったのか?』
「・・・少しアナタの声が聞きたくなってしまって。」
少しの沈黙の後、先程よりもかなり上機嫌な声が耳をくすぐる。
『普段は俺の声は耳につくって文句言ってくるのに珍しいな。』
「それは遠野くんが近くで大声をあげるからでしょう?」
『最近はそこまででもねーと思うけど?直接会うこともそんなにねーし。』
遠野のその言葉を聞いて、君島は先程感じていた欲求が一気に大きくなる。
「あの・・・こんなこと言ったら迷惑になるかもしれませんが・・・」
『ん?何だよ?』
「会いたいです。」
『っ!!』
電話越しに驚いているような息遣いが聞こえ、やはり無理かと君島は口を噤む。
『仕事はもう終わってんのか?』
「えっ?ええ、先程終わったところです。」
『こんな時間まで大変だな。今、お前がどこにいるかは知らねーけど、来れるんだったら
うちに来てもいいぜ。』
「いいのですか?」
『ああ。今のお前の言葉を聞いて、俺も会いたくなっちまった。どうする?』
「行きます。」
遠野のその質問に君島は反射的に答えていた。少しの間をおいて、嬉しさを隠しきれてい
ない声が電話口から聞こえる。
『じゃあ、そのつもりで待ってるな。』
「ええ、ここからならたぶん一時間以内で行けると思います。」
『分かった。じゃあ、後でな。』
電話を切った後、君島の胸はひどくときめいていた。
(ああ、この後遠野くんに会えるのか。すごく楽しみだ。)
まさか本当に会いに行けるとは思っていなかったので、君島の心は鮮やかにきらめく。早
く遠野に会いに行こうと、君島は軽やかな足取りでその場を後にした。
遠野の部屋の前まで行くと、君島はインターフォンを鳴らす。すぐにドアが開き、ゆった
りとした部屋着を着た遠野が出迎える。
「お疲れ。入れよ。」
「お邪魔します。」
そのままリビングに案内されると、君島はタオルと服を渡される。
「こんな時間まで仕事だったってことは、シャワーとかも浴びれてねぇんだろ?風呂準備
しといてやったから、入ってこいよ。」
「えっ!?急に押しかけて来てしまったのにそこまでしてもらうのは・・・」
「もう準備しちまったからな。とっとと行ってこい。」
にっと笑って遠野は君島にお風呂に入ってくるように促す。戸惑いながらも君島は遠野か
ら受け取ったタオルと服を持ってバスルームへと向かう。
(シャワーは浴びたいと思っていたからすごくありがたいけど、ちょっと申し訳ない気も
するな。)
そんなことを考えつつも、せっかく遠野が準備してくれていたので、君島は素直に遠野の
好意に甘える。準備された良い香りの入浴剤入りの湯船を堪能すると、君島はお風呂から
上がり、遠野の用意してくれた部屋着を身につけリビングに戻る。
「お風呂ありがとうございます。」
「おー、おかえり。服はやっぱちょっとでかい感じだな。部屋着だからまあいいだろ。」
「これだけ準備してもらえたら十分です。」
リラックス出来るような服を貸してもらえた上、その服は遠野のものなので、ほのかに遠
野の匂いがしていた。ドキドキしつつも、どこか安心出来る匂いなので、君島にとってそ
れを嫌だと思う要素はどこにもなかった。
「こんな時間だし、ガッツリしたもんはさすがにと思って軽めにしてみたんだが、もし腹
減ってたら食っとけよ。」
「えっ?」
髪を拭きつつテーブルの上に目を移すと、そこには大きすぎず小さすぎない二つのおにぎ
りが用意されていた。
「これは、遠野くんが作ったのですか?」
「当たり前だろ。他に誰が作んだよ?」
「そうですよね。じゃあ、とりあえず一ついただきます。」
それほど空腹というわけではないが、遠野が作ったおにぎりということを聞いて、君島は
それに手を伸ばす。海苔の巻かれたそれを口に運ぶと、程よい塩味の優しい味が口の中に
広がる。
「美味しいですね。」
「そりゃそうだろ!俺が直々に作ってやったんだからな!」
「ありがとうございます。」
予想以上に美味しい遠野お手製のおにぎりを君島は二つとも食べる。そんな君島を遠野は
嬉しそうに眺めていた。
「ごちそうさまでした。」
ほどよくお腹が満たされ、君島はほっと一息つくような表情を見せる。
「こんな時間に来たってことは泊まってくだろ?明日の仕事は大丈夫なのか?」
「明日はもともとオフなので大丈夫です。」
明日が休みだと聞いて、遠野の顔はパァッと明るくなる。
「それなら少しくらい夜更かししても大丈夫だな。」
「ええ。とは言ってももう結構いい時間ですけどね。」
今夜だけでなく、明日もある程度君島と一緒にいられると知り、遠野はうきうきした気分
になる。あからさまに嬉しそうにする遠野を見て、君島は胸のあたりがふわりと温かくな
る。
「お風呂も入らせてもらって、軽食もご馳走になって、とてもありがたかったです。何か
お返し出来ることがあれば言ってください。」
「別にお返しされるほど大してことはしてねぇけどな。あっ、だったら・・・」
「何ですか?」
何かを思いついたような声を上げる遠野であるが、少しの間黙ってしまう。そして、ほん
の少し照れたような表情で君島を見ながら口を開く。
「・・・久しぶりに直接会えたし、エッチしてぇ。」
恥ずかしそうにしながらも素直にしたいことを口にする遠野がこの上なく可愛く見え、君
島は胸を撃ち抜かれる。君島が何も言わないので、余計に恥ずかしくなり、遠野は誤魔化
すような言葉を続ける。
「いや、こ、こんな時間まで仕事だったんだし、疲れてるよな!今のは聞かなかったこと
にしてくれ!」
「いえ、しましょう。」
「えっ!?けどよ・・・」
「私もしたいです。遠野くんの寝室でいいですよね?」
「お、おう・・・」
こんなにも可愛らしいお誘いを受けてしまっては断ることは出来ないと、君島は遠野の腕
を掴んで寝室へと移動する。予想以上に君島がノリ気になってくれたことにドキドキしな
がらも、遠野は君島にバレない程度に口元を緩ませた。
遠野の寝室のベッドに乗り上げると、君島は座っている遠野の後ろに回り、後ろから前に
手を回す。
「遠野くん、下に穿いているものを下ろしてください。」
君島にそう言われ、遠野はおずおずと穿いていたハーフパンツと下着を膝のあたりまで下
ろす。あらわになった遠野の熱を見て、君島は口元を緩ませる。
「ふふ、まだ触れてもないのに勃ってますね。」
「しょ、しょうがねーだろ!久しぶりに君島と出来ると思ったら興奮して・・・」
「可愛いですね。ココに触れてもいいですか?」
「好きにしろ。」
「それなら、好きにさせてもらいますね。」
前に回している右手を遠野の下腹部の下の移動させ、軽く握るように遠野の熱に触れる。
「んあっ・・・!!」
「擦りますね。」
遠野の反応を確認しながら、君島はゆっくりと右手を動かす。
「あっ・・・んあっ・・・ああっ・・・!」
「せっかくなので、ココも弄ってあげますよ。」
「あっ・・・そこは・・・!!」
裾から左手を滑り込ませ、勃ち上がりかけている胸の突起をきゅっと抓む。
「ああぁんっ!!」
「いい反応ですね。しばらく一緒に弄ってあげます。」
そう言いながら、君嶋は遠野の熱を右手で擦り、胸の突起を左手で弄る。君島が与えてく
れる刺激は格別で、遠野は蕩けたような表情で君島にもたれかかる。
「はぁ・・・んっ・・・気持ちいい・・・」
(遠野くんのこの表情、本当たまらないな。遠野くんは直接的な刺激にも弱いけれど、そ
れ以上に・・・)
そんなことを考えながら、君島は胸を弄っている手をするりと下腹部のあたりに移動させ
る。
「んっ・・・」
「遠野くん。」
「ん・・・何だよ?」
「今、私の左手で触れている部分。この中に何が欲しいですか?」
「っ!!」
妖しく耳元でそう囁かれ、遠野は君島に触れられている部分がゾクゾクと甘く痺れるのを
感じる。
「あっ・・・あ・・・」
「答えてください。それとも何も欲しくないですか?」
「あっ・・・き、君島の・・・」
「私の何が欲しいんです?」
遠野が言葉を紡ぐたびに君島の右手の中のそれはビクビクと震え、ひどく興奮しているこ
とが君島に伝わる。
「ハァ・・・君島の・・・せーえきが、欲しい・・・」
顔を真っ赤にして、遠野はそう口にする。そんな遠野の言葉と表情が堪らず、君島はぐっ
と左手に力を入れ、熱の先端を強めに擦りながら耳元で囁く。
「お望み通り、遠野くんのこの中に、私の精液をたっぷり注いであげますよ。」
「っ!!イ、イクっ・・・んああぁっ!!」
今の段階では本当にそうされてはいないにも関わらず、君島の言葉を聞き、そのことを想
像して遠野はビクビクと下肢を震わせながら果てる。熱い蜜で濡れた指を舐めながら、君
島は遠野を優しくベッドに寝かせる。
「ズボンと下着は邪魔なので、脱がせてしまいますね。」
膝に引っかかっていたハーフパンツと下着を完全に脱がせてしまうと、君島はそれらをベ
ッドの下に落とす。遠野を仰向けにさせ、大きく脚を開かせると、君島は自身の熱を遠野
の入口にあてがう。
「んあっ・・・い、いきなり挿れるのか?」
「そんなに急いでは挿れませんよ。まずは軽くココを擦るだけです。」
そう言うと、君島はゆるゆると前後に動かし、遠野の蕾を雫の滲む熱で擦る。
「あっ・・・んっ、んあっ・・・・」
「遠野くんのココ、すごくヒクヒクしていますね。」
「くっ・・・んっ・・・ぁ・・・」
「擦るだけでもかなり気持ちいいです。」
「俺も・・・気持ちいい・・・」
うっとりとそんなことを呟く遠野の言葉に君島の胸は跳ねる。
(本当可愛いな。)
そんな気持ちを反映するかのように、君島は先程よりも激しく小刻みにそこを擦る。
「ひゃっ・・・あんっ・・・君島ぁっ・・・!」
「ハァ・・・だいぶ柔らかくなってきていますね。」
「あっ、あんっ・・・そんなにされたら、入っちまう・・・!」
「入ってしまったらしまったでいいんじゃないですか?」
「んああっ・・・君島っ・・・あ、あっ・・・!!」
遠野の蕾は君島の蜜で濡れていることで開きかけ、君島の熱は遠野のそこに触れ合う心地
よさからより多くの蜜を溢す。濡れた音が分かりやすく響き始めると、君島の熱は遠野の
中へと取り込まれる。
「んっ・・・!」
「あああぁんっ!!」
「ハァ・・・入ってしまいましたね。」
「あっ・・・はぁ・・・君島ぁ・・・」
「遠野くんのココ、ぎゅうぎゅう締まっていて、すごく気持ちいいです。」
軽く息を乱しながら口元に笑みを浮かべ、色気たっぷりの表情でそう言う君島の言葉を聞
き、遠野の胸はキュンキュンと高鳴る。
「んっ・・・君島・・・」
「どうして欲しいですか?」
「あっ・・・動いてくれ・・・」
「おねだり上手ですね。」
遠野の言葉に応えるように、君島は遠野の中を堪能するかのように動き出す。引き抜こう
と腰を引けば、遠野の襞で熱の表面をなぞられ、奥まで挿れれば、離すまいとその襞が絡
みつく。その感覚が堪らず、君島は何度も遠野の中を穿つ。
「んあっ、あんっ・・・あっ・・・ああっ!!」
「気持ちいいですか?」
「あっ・・・スゲェ、気持ちイイ・・・!!」
「遠野くんはこのあたりをこうされるのも好きですよね。」
奥まで挿れて小刻みなピストンをすると、遠野の下腹部がビクビクと震える。
「やあぁんっ・・・それ、ダメだっ!!」
「ダメじゃないでしょう?ちゃんと正直に言ってください。」
遠野を煽るように君島はさらに激しくそこを責める。
「あっ・・・んあっ、あっ、そこ、気持ちい・・・それ、好きぃ・・・」
軽く腰を浮かせながらビクビクと痙攣し、遠野は甘い声で答える。気持ちよさそうな遠野
が可愛らしいことこの上ないと、君島はゾクゾクしながら笑みを浮かべる。
「ふふ、可愛いですね。ご褒美にキスしてあげますよ。」
奥を責めるのはそのままに、君島は遠野の口を塞ぐ。お互いの舌が絡むと、ゾクリとする
快感が下腹部に生まれ、繋がっている部分の感度を上昇させる。
「んぁっ・・・んんっ・・・んんんっ!!」
(キスしてると気持ちよさが強まるな。遠野くんの中もビクビクしててすごく気持ちいい
し、そんなにもたないかも・・・)
(弱いところ責められて、キスされてるのマジでたまんねぇ。結構イキそうかも・・・)
どちらも激しい口づけに夢中になりながら、高まる絶頂感に腰を揺らす。限界が近づくと
お互いの手をぎゅっと握り合い唇を離す。
「あっ・・・君島、もうイクっ・・・!!」
「ハァ・・・私もイキそうです。」
「そのまま奥に出してくれ!!」
「んっ・・・イクっ・・・!!」
「あっ・・・んあああぁっ!!」
奥の弱い部分に熱い蜜をかけられ、遠野は熱を擦られて達するときとはまた別の極上の快
感を感じて達する。
「ハァ・・・ハァ・・・」
ピクピクと全身を軽く痙攣させたまま、遠野は蕩けたような表情で君島を見る。その視線
に君島は達したばかりではあるが、どうしようもなく興奮してしまう。
(ああ、遠野くんのこの顔、好きすぎる。)
蕩けた遠野の顔を眺めながら、君島は無意識に腰を動かす。遠野の中に出したものが熱に
絡み、先程よりもぬるりとした感触が君島の熱を包む。達したばかりの内側を擦られて、
遠野の体はビクンと跳ねる。
「んあっ・・・き、君島・・・?」
「遠野くんが可愛すぎて、全然治まりません。」
「・・・もっとしたいか?」
「ええ。遠野くんが大丈夫であれば、もっとしたいです。」
そんな君島の言葉に遠野はドキドキしながらも嬉しくてたまらないといった気分になる。
「いいぜ。俺もまだ続けて欲しい。」
「それなら、続けますね。」
もっと深く繋がりたいと、君島は遠野の脚を肩にかけさせるようにして、屈曲位の体位で
ぐっと腰を進める。
「ああぁんっ・・・深い・・・!!」
「ハァ・・・中、ぬるぬるですね。」
「お前が中出ししたからだろ・・・」
「遠野くんが欲しいって言ったからですよ?」
「それは・・・そうだけど・・・」
そう言われるのは恥ずかしいのか、遠野は真っ赤になりながら目を逸らす。その反応は反
則だと、君島は軽い抗議の意味を込め、激しめに遠野の中を突く。
「あっ、ひあっ・・・君島っ・・・!!」
「この体位、本当奥まで入っていいですね。」
「ああぁっ・・・激し・・・んあんっ!!」
君島の体に押され、ぐっと腰が上がった瞬間、遠野は自分の内側で君島の出した蜜が大き
く動くのを感じる。
(あ、君島の出したやつが奥に・・・)
そんな遠野の状況に君島が気づけるはずもなく、激しめのピストンが続けられる。遠野の
奥に流れる蜜は君島の熱でさらに押し込められ、自分の奥の奥に君島が入ってくる感覚に
遠野はひどく興奮してしまう。
「やっ・・・あああぁん!!」
遠野のその反応と中に入っている熱がぎゅうぎゅうと締めつけられていることで、君島は
遠野が達していることに気づく。
「急にどうしたのですか?」
「あっ・・・んああっ・・・き、君島、一旦止め・・・」
君島が動いているとイクのが止まらないので、遠野は激しく呼吸を乱しながら、君島の動
きを止めようとする。ひとまず遠野の話を聞こうと、君島は動きを止める。
「ハァ、ハァ・・・ハァ・・・」
「イイところに当たってました?」
「いや、その・・・」
「何ですか?」
「君島に出されたやつが・・・奥の奥に流れてきて・・・それで・・・」
「興奮してイッたのですか?」
君島の質問に遠野は黙って頷く。そんな遠野があまりにも可愛すぎると、君島はゾクゾク
しながら口元を緩ませる。
「ふふ、私の出したものが奥に流れてイクなんて、そんなに私のことが好きなんですか?」
「好きに決まってんだろ!悪いか!!」
「ホント可愛すぎです。」
からかうように発した言葉にキレ気味に答える態度も可愛すぎると、君島は我慢出来なく
なる。再び大きく動き出すと、遠野は先程よりも敏感に感じるような素振りを見せる。
「ふあっ・・・あっ・・・んあんっ・・・!!」
「今日はずっと気持ちよさそうですね。」
「あっ・・・お前だって・・・」
「ええ、気持ちいいですよ。」
高揚した様子で軽く息を乱している君島を見て、それが嘘ではないと遠野は悟る。その顔
でそんなことを言ってくるのはズルいと、遠野は胸がときめくのを抑えられずにいた。し
ばらく深いところで交わる快感に身を委ねていると、どちらも再び達きそうになる。
「んんっ・・・ふあっ・・・君島っ・・・!!」
「遠野くんの中が気持ちよすぎて、またイキそうです。」
「ハァ・・・俺も・・・」
「また、遠野くんの中に出していいですか?」
「ああっ・・・中に出してくれ・・・!」
「んっ・・・遠野くんっ!!」
「んああぁんっ!!」
君島の熱い蜜が再び最奥に注がれ、遠野は深い恍惚感を覚えながら果てる。自分の中でビ
クビクと震える君島の熱を感じながら、遠野は君島にぎゅっと抱きついた。
事が終わると二人は部屋着を着直し、ベッドの上に並んで座っていた。何でもない日に君
島と一緒にいられて、先程のようなことが出来たので、遠野はひどくご機嫌であった。
「随分と嬉しそうですね。」
「そりゃお前といるからな。」
「本当遠野くんは正直すぎますね。」
昔はどちらかと言えばそれが苦手だと言わんばかりに言っていたその言葉も、今は嬉しさ
が滲む言葉になっている。ご機嫌な遠野の横顔を眺めながら、君島はふと思っていること
を口にする。
「前々から思っていたのですが・・・」
「ん?何だよ?」
「エッチしている最中の遠野くん、可愛すぎですよね。」
「なっ!?」
思ってもみないことを言われ、遠野の顔は赤く染まる。
「いつもまあそう思ってはいるのですが、今日は特にそう感じました。」
「そ、そんなことねぇだろ。」
「表情も声も仕草も態度も、どれも可愛すぎて今日は本当にたまらなかったです。」
そう言われてかなり恥ずかしいのだが、遠野が感じているのは恥ずかしさだけではなかっ
た。
(くそ、何でこんなに可愛いって言われて嬉しいと思ってんだよ・・・)
「そ、それはよ、俺が可愛いわけじゃなくて、お前がしてる最中の俺のこと、スゲェ好き
だと思ってるからじゃねーの?」
ギリギリいつもの自信満々な口調で遠野はそう返す。それを聞いて君島は腑に落ちたよう
な表情を見せる。
「なるほど。確かにそれはそうかもしれませんね。」
「フッ、納得しちまうのかよ?」
「あ、でも、している最中の遠野くんが可愛いのは紛れもない事実ですから。」
「それはもういいから!!」
やはり可愛いと言われるのは恥ずかしく、遠野は少し強めにそう言い放つ。そんな遠野の
顎を掴み、君島はその顔をじっと見据える。
「な、何だよ?」
「遠野くん、私に可愛いと言われて少し嬉しいと思ってますよね?」
「っ!!べ、別にそんなこと・・・」
「今の遠野くんもすごく可愛いですよ。」
妖しく楽しげな笑みを浮かべてそう言う君島の言葉に、遠野は図らずもときめいてしまう。
(あー、もう!!悔しいけど・・・)
「・・・正直、お前にそう言われるのは、悪い気はしねぇ。」
「ふふ、遠野くんのそういうところ大好きです。」
結局自分の正直な気持ちを口にしてしまう遠野を君島は心から愛おしく思う。そんな君島
を前に、遠野はからかい口調で言葉を返す。
「お前、本当昔から性格悪いよな。」
「おや、そんなことを言うのは遠野くんだけですよ?それに、遠野くんは私のそういうと
ころも含めて、好きなのでしょう?」
「まあ、キミ様のお前よりは何倍も好きだな。」
「そんなことを言うのも遠野くんだけですけどね。」
それを聞いて、遠野はニヤリと笑いながら、先程の君島を真似て言い返す。
「お前はそんな俺のことが大好きなんだろ?」
少し驚いたような反応を見せた後、君島はふっと笑う。
「ええ、そうですね。目の前にいる可愛らしい遠野くんが大好きですよ。」
「可愛いって言うな。本当ウゼェ。」
そんなことを言いながら、遠野は君島の首に腕を回してキスをする。軽口をたたきながら
やりとりをするのは昔のままであるが、そこに込められるお互いへの好意は、昔に比べて
かなり大きくなっている。そんなやりとりが楽しくて仕方がないといった雰囲気で、二人
はもう少し夜更かしをすることにした。
何でもない日に二人で過ごす夜更け。金平糖のようにトゲがありながらも甘い言葉がいく
つも飛び交い、二人の周りはパステルカラーの甘さで満たされていた。
END.