ゆめいろのへや

次の日が休日のある日、金太郎は白石の家に泊まりに来ていた。夕食や入浴は既に済ませ
ていて、そろそろ寝るにもよい時間になっていた。
「金ちゃん、そろそろ布団入るで。」
「えー、ワイ、まだ眠たないー!」
「布団入ったら眠たなるはずやから、とりあえず入っとき。」
まだ納得はいっていない様子だが、金太郎は白石のベッドに乗り、ゴロンと横になる。金
太郎がベッドに乗ったのを確認すると、白石は部屋の電気を常夜灯になるように消した。
そして、自身もベッドの上に横になる。
「白石は何で寝るとき、パンイチなん?」
「無駄ないやろ?余計なもんは身につけたくないねん。」
「ふーん、よう分からんけど、風呂でもないのに裸でおられると何やドキドキするな。」
「ん?」
今まで言われたことのないことを言われ、白石はあれ?っと首を傾げる。今まで何度も金
太郎を泊まらせたことはあり、そのときも眠るときは今と同じ格好であった。そんなこと
を言われたのは初めてだと、逆に自分もドキドキしてきてしまう。
「まだ、眠たないから、白石のことぎゅーってしとこ!」
「何や甘えん坊やなあ、金ちゃんは。」
「そんなんとちゃうで!白石が好きやからぎゅーってしたいねん。」
横になったまま、金太郎は白石のことを抱き締める。白石の方がまだだいぶ大きいので、
どうしても子どもが大人に抱きつくような感じになる。違うと言われてもやはり子どもっ
ぽくて可愛らしいなあと、白石は口元を緩ませた。ピッタリとくっついたまま、金太郎は
剥き出しの白石の肌に鼻をつけ、すんすんと匂いを嗅ぐ。
「わっ・・・何やねん、金ちゃん。」
「何や白石ええ匂いするな。」
「どんな匂いなんや?」
「んー、どんな匂い言われても説明しづらいんやけど、白石ー!って感じの匂いや。」
「何やねん、それ。」
全く説明になっていない金太郎の説明に白石は吹き出す。笑われていることなど気にせず、
金太郎はその良い匂いを嗅ごうと肩や首など少し場所を移動させ、くんくんと鼻をつける。
うなじに近い部分に顔を近づけられ、金太郎の鼻や唇が首元に当たる。くすぐったさに混
じったゾクっとする感覚。思わず声が漏れてしまいそうなのを必死で堪え、白石はドギマ
ギしながら、金太郎に声をかける。
「ちょっ・・・金ちゃん。くすぐったいで。」
「せやけど、このへんメッチャええ匂いするで。もうちょっと嗅がせてぇな。」
「金ちゃんは犬とかとちゃうやろ?ちゃんと言うこと聞き。」
「んー、せやったらちゅーさせて。したら、我慢する。」
「しゃーないなあ。ええで。」
「よっしゃー!」
白石からキスしてもよいという許可をもらえたので、金太郎は白石を仰向けに寝かせ、そ
の上に覆いかぶさるように四つん這いになる。
(あれ?この体勢はちょっとアカンのちゃう?)
まるで押し倒された後のような体勢に、白石はドキドキと鼓動が速くなる。そんなことは
お構いなしに金太郎は白石の唇に口づける。柔らかく少し濡れた唇同士が触れ合い、胸が
ときめいていく。唇を離されると、ほぼゼロ距離な状態で金太郎が実に嬉しそうな顔で笑
っていた。
「へへ、白石にちゅうしたで!」
「・・・せやな。」
軽く体を起こそうとした金太郎は足が軽く白石の体に触れたことであることに気がつく。
「あり?」
「どないしたん?」
「白石、ちんちん硬くなっとるで。」
「えっ!?あっ・・・えーっと、これは・・・」
まさかそんなことになっているとは思っていなかったので、白石はかなり焦る。下着一枚
しか身につけていないので、今更誤魔化すのは不可能であった。金太郎がどこまでそうい
うことを知っているかも分からず、何から説明したらいいかパニックになっていると、飄
々とした顔で、金太郎が下着を取り去ってしまった。
「金ちゃんっ!?」
「こないになったときは、ちょっと擦ってやると気持ちよくなって、何か白いの出したら
楽になるで!!ワイが治したるわ!」
「ちょっ、ちょっ・・・金ちゃん、待っ・・・・」
白石が制止するのに耳を貸さず、金太郎は白石のそれをぎゅっと握る。
「んっ・・・ぁっ・・・・!」
この年頃になれば、自分ですることは当然のことながらあるのだが、人にそこを弄られる
のは初めてであった。しかも、好きだと思っている相手にされているのだ。恥ずかしさと
戸惑いと興奮と快感。様々な感情が入り乱れ、白石はそれ以上制止することも抵抗するこ
とも出来ず、金太郎にされるがままだった。
「あっ・・・ん・・・金ちゃ・・ん・・・っ!」
「どや?白石。気持ちええやろ?」
「んんっ・・・こんなん・・・アカンっ・・・・」
「アカン?もっと強くした方がええ?」
「ひゃっ・・・あっ・・・ああっ・・・!!」
強くなった刺激に白石はビクビクとその身を震わせ、堪えきれない甘い悲鳴を上げる。聞
いたことのない白石の可愛い声にひどくエッチな表情。白石の熱を擦りながら、金太郎も
白石と同じ場所が疼いていた。
「あっ・・・やっ・・・金ちゃんっ・・・もぉ・・・イクっ・・・!」
紅潮した顔に乱れた呼吸、潤んだ瞳で金太郎の姿を捉えながら、白石は白濁の雫を迸らせ
る。自分の手で白石が達したのを見て、金太郎の心臓はバクバクと速いリズムを刻み、ど
うしようもなく興奮していた。
「白石、メッチャかわええ。あっ・・・ワイも硬くなっとる。」
「ハァ・・・何やて・・・?」
「なあ、白石ぃ、コレ、どないしたらええ?」
自分も白石と同じような状態になってしまったと金太郎は少々困惑したような顔を見せる。
金太郎にイかされ、スイッチの入った白石はゆっくりと体を起こし、ベッドの下に隠して
いたローションを出す。
「ちょっと待っててな、金ちゃん。すぐ準備するから。」
「準備?何の?」
「そりゃ金ちゃんのを気持ちよくさせてやる準備やで。」
恍惚とした表情で、白石は指先に巻いてある包帯をほどき、ローションを指に絡める。そ
して、自らその指をまだ閉じたままの秘部に持っていき、その部分を抉じ開ける。その光
景を目の当たりにし、金太郎はそこから目が離せなくなる。
「んっ・・・ふっ・・・ぁ・・・・」
「し、白石、それ毒手・・・」
「ああ、大丈夫やで・・・これは金ちゃんが、メッチャ気持ちよくなるための・・・毒や
から・・・金ちゃんが俺のこと好きやと思ってたら、何の影響もないで・・・」
「ホンマ?ワイ、白石のことメッチャ好きやで。そしたら、平気?」
「ああ、大丈夫や・・・ハァ・・・とりあえず、これくらいでいけそうか?」
ある程度その部分をローションを使ってほぐすと、白石は金太郎はベッドの上に仰向けに
させ、金太郎のズボンと下着を脱がしてしまう。触れずとも既に大きくなっている熱の上
に腰が来るように跨ぎ、白石は金太郎のそれにもローションを垂らす。
「うわあっ、冷たっ!!」
「堪忍な。せやけど、これできっとぎょーさん気持ちようなれるで。」
そう言いながら、白石はヌルヌルになった金太郎の熱を自分の内側へ挿れるように腰を落
とす。冷たいローションとは対照的に白石の内側はひどく熱く、柔らかい壁が敏感な楔に
ぎゅっと絡みついてくる。初めてのその感覚に、金太郎は戸惑いながらもこの上ない快感
を感じていた。
「くっ・・・白石ぃ・・・」
「あっ・・・ああっ・・・金ちゃんのが・・・中、入って・・・・」
「何やこれ・・・メチャメチャ気持ちええ・・・・」
「せやろ・・・?くっ・・・ぅんっ・・・俺もメッチャ気持ちええで・・・」
呼吸を乱しながら、白石はうっとりとした表情でそんなことを言う。白石の中の気持ちよ
さと見たことのない白石の表情に、金太郎はゴクリと唾を飲む。
(もっとキツイかと思うとったけど、予想より遥かに気持ちええな・・・あー、今、メッ
チャ金ちゃんにキスしたい・・・)
「金ちゃん・・・」
金太郎の手に自分の手を重ね、指を絡める。金太郎と繋がったまま上半身を倒し、そっと
唇を重ねる。ただ唇を重ねるだけでは物足りなくなり、白石は金太郎に唇を舐め、それに
驚いて小さく開いた唇の隙間から舌を差し込む。
「っ!?」
「んっ・・・ふ・・・」
「んぅ・・・っ・・・・」
初めてする大人なキス。ぎこちなく舌を絡め、お互いの唾液を貪り合う。本能的に気持ち
いいことと理解した金太郎は、白石の反応を見ながらどうすればいいのかを探っていく。
「ふっ・・・ぁ・・・・んっ・・・んんっ・・・!」
(普通のちゅうと違う感じやけど、これもメッチャええな!白石も気持ちよさそうやし、
もっとしてたくなるわー。)
金太郎と口づけを交わしたまま、白石は腰を揺らす。敏感な粘膜が擦られる快感に、金太
郎と深い口づけを交わしているという充足感。ほどなくして、どちらも絶頂が近づいてく
る。
「はっ・・・あぁ・・・金ちゃんっ・・・・」
「白石ぃ・・・ワイ、もう出そう・・・・」
「俺も・・・また・・・・」
どちらも激しく呼吸を乱し、お互いの手をぎゅっと握る。次の瞬間、弾けるように真っ白
な想いが溢れ出す。
「白石っ・・・!!」
「金ちゃんっ・・・・!!」
お互いの名前を呼び合い、ドクンドクンと熱が脈打つのを感じる。脱力したように白石は
金太郎の胸に自分の体を重ね、しばらく鼓動が重なるのをその胸で感じていた。
「よっし、覚えたで!」
「へっ!?何が!?」
「白いの白石ん中で出したけど、ワイのまだ全然治まらんねん。せやから、まだまだやる
でー!!」
まだまだ全然満足出来ていないと、金太郎は白石の体を起こし、一旦自身を抜くと、今ま
で自分が仰向けになっていた場所に白石を押し倒す。
「えっ、えっ・・・!?ちょっと待ち、金ちゃんっ!!」
「ちゃんと気持ちようしてやるから安心しぃや。白石がいろいろ教えてくれたから、大丈
夫やで。」
白石の膝を曲げ、脚を大きく広げさせると、金太郎は自身を再び白石の中に挿入する。
「ひあっ・・・ああっ・・・・!!」
「さっきよりヌルヌルしとって、挿れやすいで。」
「あっ・・・金ちゃん・・・・ハァ・・・・」
「さっきは白石の方が動いとったからちょっとアレやけど、白石はここらへんがええのと
ちゃう?」
「・・・・っ!!」
自分では上手く当てられなかった場所を金太郎はピンポイントで当ててくる。テニスに限
らず、金太郎はスポーツに関しては何でも器用にこなす才能を持っているが、こんなこと
にも発揮されるとは思っていなかった。
「へへ、白石の中、メッチャぎゅうってしとるで。気持ちええ?」
「あっ・・・うあっ・・・あっ・・・」
「答えられへんくらいええの?なあ、白石。」
そう言いながら、先程よりも強くその部分を金太郎は突く。そのあまりの刺激に白石の身
体はビクンと跳ねる。
「ひあっ・・・あぁんっ!!」
「気持ちよさそうな白石、ホンマかわええなあ。あっ、さっきのちゅうもちゃんと覚えた
で!してみてもええ?」
これ以上何かされたら、おかしくなってしまいそうだと思いながらも、金太郎のすること
を拒むことは出来なかった。白石が頷かなくとも金太郎はぐっと身を進めながら、白石に
キスをする。
「ふっ・・・ぅ・・・んんんっ・・・・!!」
(ちょっ・・・さっきの今で、金ちゃんどんだけレベルアップしとるん?キスも中突かれ
るんも、メッチャ気持ちええ・・・飲みこみ早すぎて末恐ろしいわ。)
先程は白石からしかけた大人なキスも、あっという間に自分のものにして、白石を翻弄す
るくらいに金太郎は上手くなっている。舌をなぞられ、上顎を舐められるとゾクゾクと体
の奥が痺れる。その痺れをさらに大きくするように、内側の一番感じる部分を熱い楔で容
赦なく擦られる。まるで甘い毒を盛られているような感覚になり、白石は金太郎に堕ちて
いく。
「ホンマ白石の中、メッチャ気持ちええで。どうして今まで教えてくれなかったん?」
「金ちゃんがまだ子どもやから・・・こないなことしたら、ホンマはアカンねん。それに
これは・・・好き合ってないとしちゃアカンのやで。」
「ワイが子どもやからってのはさておき、しちゃったもんはしゃーないな!ほんなら、こ
れはワイと白石の秘密や!」
「せやで。誰にも言うたらアカン。約束守れるか?」
「守れる!せやから、白石・・・」
「何や・・・?」
「また、してもええ?」
白石の顔を見下ろしながら、金太郎はそう尋ねる。子どもらしい笑顔とキラキラした瞳の
中に見え隠れする雄の顔。そんな金太郎の言葉に白石の心臓はドクンと高鳴り、一瞬呼吸
が止まる。それが善いことなのか悪いことなのか判断する暇もなく、白石は無意識に頷い
ていた。
「ええで。」
「おおきに!白石!!」
本当に嬉しそうに笑う金太郎を見て、白石の胸は金太郎が好きだという気持ちでいっぱい
になる。金太郎がまだ子どもであるとか自分達が男同士であることなどもうどうでもいい。
大好きだと思う気持ちをこの身を全て使って伝え合おうと、白石は金太郎に腕を伸ばした。
「どないしたん?白石。」
「もっと金ちゃんに、たくさん好きて伝えたいなーと思て・・・」
「ほんなら、ワイも伝えたる!むっちゃ好きやで、白石。大好きや。」
「俺も・・・金ちゃんのこと、大好きや・・・」
白石に好きと言われ、金太郎の熱は少し大きくなる。もっと大きな好きを伝えたいと、金
太郎は一生懸命言葉を考え、それを伝えようとする。
「えっとぉ、せや!」
「何・・・?」
「白石、愛してるで!」
「っ!!」
まさか金太郎にそんな言葉を言われると思っていなかったので、白石はひどくときめく。
その言葉に金太郎と繋がっている場所が甘く痺れるように疼き、極上の快感が白石の身体
を支配する。ぎゅんぎゅんと強く締めつけられるような感覚に、金太郎は嬉しそうに笑う。
「白石のココ、何や喜んでるみたいやな。」
「あっ・・・金ちゃん・・・」
「白石、好きとか愛してるとか言われると嬉しいん?」
「んっ・・・当たり前やん。」
「ほんなら、もっと言ったるわ。」
そう言いながら、金太郎は白石の中で熱を動かすのは止めずに、白石の耳元で何度も何度
も想いを紡ぐ。金太郎の声で繰り返される愛の言葉が白石の頭の中に刻まれていく。肉体
的にも精神的にも金太郎によって満たされ、白石は金太郎への想いで胸がいっぱいになる。
「んっ・・・あっ・・・金ちゃんっ・・・金ちゃん・・・・」
「ハァ・・・白石ぃ・・・」
「もう・・・気持ちよすぎて、アカンっ・・・」
「ワイもや・・・また、白石ん中で出してええ?」
「ええで・・・出して・・・」
金太郎の首に腕を回しながら、白石はそう答える。その表情と言葉に、ゾクっとしてしま
い、金太郎は白石の中に自身を放つ。
「うあっ・・・白石ぃ・・・っ!!」
「ふあっ・・・ああぁ―――っ!!」
金太郎が中に放ったと同時に白石も絶頂に達する。初めてでこんなにもお互いに気持ちよ
くなれたこと、それを深く胸に刻み、二人はしばらく体を重ね合わせたままでいた。

事が終わると、金太郎はぐっすりと寝入ってしまう。そんな金太郎に白石はきちんと服を
着せ直し、ブランケットをかけてやった。
「あー、アカン。ついそういう気分になって、最後までやってもうた・・・」
先程のことを思い出し、白石は両手で顔を覆いそう呟く。掌にも下肢にも残る金太郎の体
温。一人でするのとは全く異なる二人で達したときの気持ちよさ。紛れもなく金太郎と最
後までしてしまったという事実に白石の心臓はいまだに速いペースでリズムを刻んでいた。
「・・・けど、金ちゃんとするの、思ってた以上にメッチャ気持ちよかったなぁ。」
気持ちよさそうに眠っている金太郎の寝顔をちらりと見ながら、白石はしみじみと口にす
る。金太郎にしてもらったこと、かけてもらった言葉を思い出していると、下腹部がむず
むずしてきてしまう。
「とりあえず、寝る前にトイレ行っとかんと。あっ、さすがに何か着とかんと怒られそう
やから適当に着てかんとな。」
姉や妹に廊下で会うとうるさいので、部屋着を出してそれを着ていく。幸い他の家族に会
うことはなかったが、さっきの今なので、少し部屋の外に出るだけでもドキドキしてしま
っていた。もう一度脱ぐのも面倒なので、白石は部屋着を着たまま、金太郎の隣に横にな
る。
「ふっ、ホンマに気持ちよさそーに寝とるなあ。寝てるとホンマ子どもっぽいのに、何な
んやろ。」
「ん〜・・・」
「あっ、起こしてしもたか?」
独り言を口に出しているので、金太郎を起こしてしまったかと思ったが、そんなことはな
かった。ぐっすりと眠っているのだが、もにょもにょと寝言を言っている。
「白石ぃ・・・好きやぁ・・・」
にへらっと笑いながら、金太郎はそんな寝言を言う。
「どんな夢見てるんやろな?寝てても好き言うとるなんて、どんだけ好きやねん。」
自分で言っていて少し恥ずかしくなるが、嬉しくて顔がニヤけてしまう。金太郎の方を向
いて横になると、白石は包帯を巻いていない方の手で金太郎の手を握る。
「おやすみ、金ちゃん。大好きやで。」
そう呟き白石はゆっくりと目を閉じる。金太郎の掌のぬくもりと心地よい疲労感。白石も
すぐに夢の中へと落ちていった。

明け方近くになって、ふと金太郎は目を覚ます。まだまだ眠たいのだが、ほんの少し目を
開けてみた。顔の横に置いていた右手が白石の右手でぎゅっと握られており、白石がすぐ
隣で穏やかな寝息を立てている。
「白石、ワイの手握って寝とる。えへへ、何や手繋いで寝とるみたいで嬉しいなあ。」
ニコニコしながら金太郎は白石の手を握り返す。目を覚ましたら白石が隣にいて、重なっ
た手から心地よいぬくもりが伝わり、胸がときめき心が弾む。
「何や今、メッチャ幸せや。きっと白石とおるからやろな。もっかい寝て、夢でも白石出
てきたらええなあ。」
この幸せな気分は白石と一緒に居るからだと、金太郎は考える。まだ起きるには早い時間
であり、もう少し白石と共に眠る時間を楽しみたいと、金太郎は二度寝をすることにした。
「あっ、もっかい寝る前に白石にちゅうしとこ!」
白石の手は握ったままで、金太郎は白石の頬にちゅっとキスをする。熟睡している白石は
それくらいのことでは起きなかった。ポスンと再び白石の隣で横になると、金太郎は白石
の方を向いて、両手で白石の手を握る。
「大好きやで、白石。ちゃんとワイの夢に出てきてな!」
ニっと笑いながら、金太郎はそう呟き目を閉じる。寝つきのよい金太郎はすぐにまた眠り
につく。向かい合って眠る二人の口元には笑みが浮かぶ。日が昇るまでの数時間、幸せ色
の部屋の中で、金太郎と白石は甘く楽しい夢を見るのであった。

                                END.

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