「まったく伊作の奴、またどうしようもないことをしてくれたもんだ。」
少し不機嫌そうに仙蔵は、長次に向かってそう言い放った。仙蔵の言うどうしようもない
こととは、自分の身に、そして、長次の身に起こっている顕著な変化。今、仙蔵と長次の
身体は女の子の体になっていた。伏木蔵が女の子になってしまった一件で、伊作は六年生
のメンバー全員を女の子にさせてしまった。しかも、自分も含めてだ。
「たぶん・・・すぐ戻れるだろ。」
「けど、元に戻る方法はまだ分かってないのだろう?こんな状態じゃ、長屋や教室に居る
のも嫌になるよな。」
そんなことを漏らす仙蔵の言葉を聞いて、長次はすくっと立ち上がる。そして、壁に寄り
かかりながら座っている仙蔵に手を差し出した。
「長屋や教室に居るのが嫌なら・・・誰も人が入ってこない場所に行こう。」
「えっ・・・?」
静かにそう呟くと長次は仙蔵の手を取り、どこかへ向かって歩き出す。誰も入ってこない
場所とはどこだろうと、疑問に思いつつも、仙蔵は黙って長次について行った。
長次が仙蔵をつれてやってきた場所。それは、図書室の横にある持ち出し禁止の本が格納
されている書庫であった。この書庫は図書委員長である長次が管理しているため、長次自
身は自由に出入りが出来るのだ。
「ここなら問題ないだろ?」
「あ、ああ。」
書庫に入り、パタンと扉を閉めると、長次は鍵をかけた。まさに密室状態。そんな場所に
長次と二人きりという状況に、仙蔵は何だか胸がドキドキしてきてしまっていた。
「す、少し暗くないか?長次。」
「・・・そうだな。」
書物の劣化をさけるために、その書庫には窓がなく、外の光はほとんど入ってこない。し
かも、図書室に通ずる扉も閉めてしまったので、その書庫の中はギリギリものが見えるく
らいの暗さであった。さすがにそれでは、都合が悪いと、長次は書庫内にある灯りに火を
つけた。
「これならまだマシだな。」
「まだだいぶ薄暗いが・・・大丈夫か?仙蔵。」
「ああ。忍者がこのくらいの暗さでどうこう言っていたら問題だろ?」
「それなら・・・いい。」
そう言うと、長次は書庫にある一冊の本を取って、灯りの側で読み始める。そんな長次を
仙蔵は何も言わずに眺めていた。
(いつもの長次もカッコイイけど、女になった長次も色っぽくて綺麗だよなぁ。本読んで
る様もすごく様になってるし。)
女になっている長次はすごく美人だと思いながら、仙蔵はしばらく長次に見惚れていた。
すると、突然、長次が立ち上がり、仙蔵のもとへ動き出す。壁に寄りかかって座っていた
仙蔵は、目の前に立つ長次を見上げる。
「どうした?長次。」
「仙蔵・・・」
仙蔵の視線に合わせるように、長次はその場に腰を下ろす。そして、仙蔵を本棚に押し付
けると、長次は仙蔵の柔らかな唇に口づけた。
「んっ・・・」
驚く仙蔵ではあるが、いつもされていることなので、それほど嫌がることなくその口づけ
を受け入れていた。しかし、女になっていると、いつもはないお互いの柔らかな胸の膨ら
みが嫌でも触れ合ってしまう。
(どうしよう・・・いつもよりドキドキする・・・)
何度か口を離し、仙蔵の様子を見ながら、長次は繰り返しキスをする。完全に口を離した
頃には、仙蔵の表情はすっかりとろけたものになっていた。そんな仙蔵の表情にムラっと
し、長次は仙蔵の着ている制服を脱がそうとする。
「待っ・・長次、ダ、ダメだっ!!」
「何故だ・・・?」
「だって・・・今は、私もお前も女になって・・・・」
真っ赤になりながら、仙蔵がそう言うと、長次は先程まで自分が読んでいた本を仙蔵に見
せた。
「この本を読んで・・・やり方は分かってるから大丈夫だ。」
「えっ・・・?」
長次の差し出した本に目を落とすと、仙蔵の顔はさらに赤く染まる。長次の差し出した本
には女の子同士でのやり方が書いてあった。
「こ、こんなの・・・・」
「したい。仙蔵。」
いつもよりオクターブ高い声でそう囁かれ、仙蔵は抵抗する気力を失ってしまう。ぎゅう
っと長次の首に腕を回すと、仙蔵は蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「長次だから・・・許すんだからな・・・」
「・・・ああ。」
そんな仙蔵の言葉を聞き、長次はふっと口元を緩ませる。そして、本格的に仙蔵の制服を
脱がしにかかった。
あらわになったたわわな胸を長次は、強く優しく揉みしだく。普段は絶対に味わえない感
覚に、仙蔵はふるりとその身を震わせ、甘い吐息を漏らす。
「んっ・・・ふ・・ぅ・・・」
「仙蔵の・・・柔らかくて、気持ちいい。」
「やっぱり、女の子の体の方が好きなのか?」
胸を揉みながら、そんなことを長次が言うので、仙蔵はほんの少し不安になりながら、そ
う尋ねる。仙蔵が何を聞きたいの気づき、長次はきゅっと胸の先の突起を抓みながら、答
える。
「あっ・・・ん・・・」
「仙蔵だから・・・気持ちいいんだ。」
「私・・・だから・・・?」
「ああ。ここを弄った時の反応も、肌に触れてる時の反応も、仙蔵だから・・・可愛いと
思うし、触れていて気持ちいいと思う。」
そんな長次の言葉に、仙蔵はの胸はきゅーんとときめく。女の子の体だからではなく、自
分だから気持ちいいと言ってくれている。それが嬉しくて、仙蔵の顔にはふっと微笑みが
こぼれた。
「私だからか。」
「触った感じがどんなのか気になるなら・・・私のを触っていいぞ。」
「いいのか?」
「ダメって言ったら、不公平だろ?」
確かに女の子の胸がどんな触り心地なのかは、仙蔵も気になっていた。長次は、自ら自分
の制服を脱ぎ、仙蔵の前にそのたわわな胸を晒した。自分より二回りほど、大きな胸を見
て、仙蔵の心臓はドキドキと速くなる。
「何か・・・すごい変な感じだな。」
「私は、その体の仙蔵も可愛いと思うけどな。」
「わ、私だって・・・その・・・女の子になってる長次は、すごく美人だと思う。」
「そうか。」
仙蔵に美人だと言われ、長次は少し照れくさいなあと思いつつも、素直に嬉しいと思う。
いつもとは違う長次の微笑みに、仙蔵はすっかりやられていた。
「触ってもいいか・・・?」
「ああ、もちろんだ。」
目の前にある豊満な胸に仙蔵はおずおずと手を伸ばす。恐る恐るその膨らみに触れ、しっ
かりとその感触を確かめる。まるでマシュマロのような柔らかさ。そんな感触を手の平全
体で感じ、仙蔵の胸は激しく高鳴った。
「柔らかい・・・」
「だろ?」
「確かにこれは、気持ちいい手触りかも・・・」
「仙蔵のもそうなんだぞ。私の言ってたこと、分かっただろ?」
「ああ。」
自分の手で実際に、胸の柔らかさを確かめたことで、仙蔵は先程長次が言っていたことを
理解した。しばらくお互いの胸を揉み合い、二人は普段だったら味わえない特別な感覚を
十分に堪能する。ふとした瞬間に、長次は左手で仙蔵の胸に触れながら、右手をすっと下
肢の方へと滑り込ませる。
「ひあっ・・・!?」
褌の内側へ触れられると、仙蔵は何とも言えない痺れが走るのを感じる。その反応に味を
しめた長次は、いつもとは違うその部分を器用に弄る。
「やっ・・・あぁ・・ん・・・・ちょ、長次ぃ・・・・」
「仙蔵のココ、すごい濡れてる。」
「そんなこと・・・言うなぁ・・・・」
長次の言葉にそう返す仙蔵であったが、決してやめろとは言わなかった。袴も褌も邪魔だ
と、長次はするりとそのどちらをも脱がせてしまう。より触れやすくなったそこに指を這
わせると、仙蔵の中から溢れてくる蜜が自然と指に絡んできた。
「女の子の場合は、ここを触られると気持ちイイんだろ?」
「あっ・・・!!んっ・・・あぁっ・・・!!」
濡れた指で、長次は女の子の体で特に敏感な場所に触れる。それはあたかも勃ち上がって
いる熱に触れられているかのような感覚を呼び起こし、仙蔵はビクビクとその身を震わせ
た。
「んっ・・・そこ・・・やぁんっ・・・!!」
「でも、さっきより濡れてきてるぞ。」
「あっ・・・だってぇ・・・・」
あまりの気持ちよさに、仙蔵は小刻みに体を震わせ、息を弾ませる。そんな仙蔵はどうし
ようもなく可愛いと、長次は少し激しめにそこを弄った。
「あっ・・・はぁっ・・・あっ・・あぁっ・・・」
「可愛い・・・仙蔵。」
「やっ・・・長次っ・・・そ・・んなに・・・弄られたらっ・・・」
ぎゅうっと長次にしがみつき、仙蔵は次第に高まってゆく快感に身を委ねる。一際強く長
次の指がそこを擦った瞬間、仙蔵は大きく背中を仰け反らせる。
「あっ・・・はあぁんっ!!」
甘い叫びと共に、仙蔵は長次の腕の中で達した。いつもより高い声に、長次の胸はひどく
高鳴る。
「大丈夫か?仙蔵。」
くたっと自分に寄りかかっている仙蔵に、長次はそう尋ねる。そんな長次の問いかけに、
息を乱しながらも、仙蔵はコクンと頷いた。
「ハァ・・・大丈夫だ。」
「それならよかった・・・」
「長次・・・」
「どうした?」
「私も長次を気持ちよくさせたい。」
顔を上げ、仙蔵はハッキリとそう言い放つ。そんな仙蔵の発言に、長次はドキっとしてし
まう。先程まで長次が読んでいた本をパラパラとめくりながら、仙蔵はどんなことをすれ
ばいいかを考える。
「決めたぞ。」
ふっと笑いながら、仙蔵は長次の顔を見る。どんなことをされるのかと、期待感に胸を膨
らませながら、長次は仙蔵が何をするかを待った。
「脱がすけど、いいよな?」
「あ、ああ・・・」
長次の了承を得ると、仙蔵は長次の穿いていた袴を脱がせ、褌も外してしまう。褌の下は
いつもとは全く違う様相で、不思議な感じはするが、仙蔵に躊躇いはなかった。ぐいっと
足を広げると、仙蔵はその間に顔を埋め、ペロペロと蜜の溢れる入口を舐め始めた。
「んっ・・・」
「長次だって、だいぶ濡れてるぞ。」
「仕方ないだろ。お前があまりにも可愛いから・・・」
長次のその言葉に、仙蔵はふっと嬉しそうな笑みをその顔に浮かべる。女の子になってい
るためか、長次の『可愛い』という言葉は、いつも以上に嬉しく感じられた。そんな嬉し
さを行動で表そうと、仙蔵は長次のそこへ優しく丁寧に舌での愛撫を施した。
(匂いも味も、いつもと全然違うけど・・・でも、長次の味だ。)
鼻をくすぐる蜜の匂いと、口に広がる長次の蜜の味。いつの間にか、仙蔵はそんな長次の
味に夢中になっていた。
「ハァ・・・仙蔵、気持ちイイ・・・」
思わず長次が漏らしたそんな一言に仙蔵の胸はきゅんとときめく。さっき自分が弄られて
いたところも舐めてやろうと、そこの部分に舌を這わせると、長次に体がビクンと跳ねる。
「んっ・・・く・・・・」
「ココ、気持ちイイ?」
「あ、ああ・・・」
「なら、もっとしてやる。」
長次の反応を見て、仙蔵は集中的にそこを責める。しばらくそこを舌で弄っていると、一
際大きく長次の体が跳ねた。
「・・・・っ!!」
声は出さないものの、長次がイったことに仙蔵は気づく。長次の匂いと味とその反応にす
っかり魅せられた仙蔵は、もう一度、あの気持ちよさを味わいたいと感じ始めていた。
「ハァ・・・なあ、長次。」
「どうした・・・?」
「もう一度、私のこと、気持ちよくさせて?」
恥ずかしそうにしかしハッキリとそう言う仙蔵に、長次の理性はどこかに飛んでいってし
まう。ぐいっと仙蔵の足を開かせると、蜜の溢れる中心の部分にぐっと指を差し入れた。
「んあっ・・あっ・・・!!」
「熱くて・・・トロトロだな。」
「んんっ・・・そんなこと・・・なっ・・・・」
「けど、指を少し動かしただけで、こんなに音が鳴るぞ?」
「ひあっ・・・あぁんっ・・・あっ・・・あっ・・・」
長次が指を動かすたびに、仙蔵のそこはくちゅくちゅと濡れた音を立てる。いつも弄られ
ている穴を弄られる時とは明らかに違う感覚。頭の中がかき回されるようなその感覚に、
仙蔵の肌は粟立ち、ビクビクとその体を震えていた。
「気持ちイイ・・気持ちイイよ、長次ぃ・・・・」
「可愛い。もっと鳴いて・・・」
「んっ・・・あぅっ・・・・ひあっ・・・!!」
仙蔵の漏らす言葉に気をよくした長次は、さらに激しく仙蔵の内側を弄る。指に絡みつい
てくる内壁の感覚に興奮しながら、長次はそっと仙蔵の唇にキスをした。内側を弄られる
感覚と優しいキス。そんな刺激が合わさり、仙蔵の快感は一気に跳ね上がる。
「んんっ・・・ふぅっ・・・あっ・・・ああっ・・・・」
「仙蔵・・・」
「長次っ・・・もうっ・・・もう・・・イッ・・・」
「大好き、仙蔵。」
耳元でそう囁かれ、仙蔵は体の奥で何か熱いものが込み上げてくるのを感じる。
「あっ・・・ああぁ―――っ!!」
長次の指を締めつけながら、仙蔵は先程よりも大きな快感を感じながら達する。自分の腕
の中で、絶頂を迎える仙蔵の姿を見て、長次も言葉に出来ないような恍惚感を感じていた。
女の子の体でエッチなことをしてしまった二人は、少しの恥ずかしさとそれに勝る満足感
を感じながら、その場に横になっていた。着物を着直すのが億劫で、裸のまま寝ていると、
汗が引いて体が冷えたのか、二人そろってくしゃみをしてしまう。
「っくしゅっ!!」
「ハックションっ!!」
「ははは、同時にくしゃみするなんて・・・・あ、あれ・・・?」
「どうした?」
長次の体を見て、仙蔵は重大な変化に気づく。がばっと体を起こし、自分の体もそうなっ
ているか確かめてみた。
「戻ってる・・・戻った!!戻ったぞ、長次!!」
「えっ・・・?」
仙蔵に言われ、長次は仙蔵の体に目をやった後、自分の体にも目を落とした。そこには先
程まであった胸の膨らみはなく、下肢には本来ついているべきものがついていた。
「戻ったな・・・男に。」
「よかったー。そうか、男に戻るきっかけはくしゃみだったのか。」
「そうみたいだな。」
くしゃみをした瞬間、男に戻ったので、元に戻るきっかけはくしゃみだっということに二
人は気づく。
「これなら、もう長屋に戻っても問題ないな!!」
「そうだな・・・」
「おっと、戻る前にちゃんと服を着ないと・・・」
いまだに素っ裸な状態なので、仙蔵はそのへんに脱ぎ捨ててあった着物を取り、しっかり
と身につける。仙蔵が着替えるのに合わせて、長次もきちんと着物を身につけた。長屋に
戻る準備が終わると、長次は図書室に続く扉の鍵を開ける。
「長次。」
その扉を開けようとするのを止め、仙蔵は長次に声をかけた。
「何だ?仙蔵。」
長次が振り向くのと同時に、仙蔵は長次の唇にキスをする。そして、満面の笑みを浮かべ
ながら、言葉を放つ。
「女になってても、お前とするのはすごく気持ちよかった。やはり、長次は私の最高の恋
人だな。」
まさかそんなことを言われるとは予想してなかったので、長次の顔はボッと赤くなる。そ
んな長次を見て、仙蔵はしてやったりという顔で図書室へと続く扉を開け、長次より一足
早く外へ出た。
「ほら、長屋へ戻るぞ、長次!!」
「あ、ああ・・・」
仙蔵の発言にドキドキしながら、長次は書庫を出る。二人そろって、長屋に向かって歩い
ていると、いまだに女の子の体のままの、六年生メンバーに偶然出くわした。
「あれ!?何で、仙蔵と長次、男に戻ってんの!?」
「ああ、いきなり戻った。な、長次。」
「ああ。」
「どうやって戻ったんだ!?教えろ!!」
「それは秘密だ。」
「秘密って、こんなに困ってんのに〜。」
「もとはと言えば、お前の所為だろうが、伊作。せいぜい戻れるように頑張るんだな。」
ふっとバカにしたような笑みを浮かべ、仙蔵はひらひらと手を振って、長屋に向かって歩
き出す。
「長次なら、教えてくれるよな!」
仙蔵がそういう態度なら、長次に頼るしかないと、小平太はそう言ってみる。しかし、長
次はハッキリとその方法は口にしなかった。
「あー、もうどうして教えてくれないんだよ〜!!」
「教えろ!!仙蔵、長次!!」
「もうこんな体嫌だあー!!」
「仙蔵、長次〜!!」
あまりに必死な他のメンバーがおかしくて、仙蔵は声を上げて笑う。それにつられて、長
次も笑い出した。
「あはは、それは自分達で頑張って見つけるんだな。行くぞ、長次。」
「ああ。」
だいぶ夜が更けているにもかかわらず、六年長屋に続く廊下では、六年生達のいつもより
少し甲高い声と仙蔵と長次の笑い声がいつまでも響いていた。
END.