水夫の面々が部屋に戻った後、舳丸と義丸はそれぞれのパートナーを愛でようとしていた。
酔いも入っているためか重は先程から泣きっぱなしだ。それを見て、鬼蜘蛛丸は何だか可
哀想になってしまい、舳丸に声をかける。
「舳丸。」
「何ですか?鬼さん。」
「重が可哀想だ。やるのは構わないが、せめて部屋に連れて行ってやったらどうだ?」
義丸に言われたならば、ちょっと反抗する気になるものの、鬼蜘蛛丸に言われてしまって
は、文句は言えない。少し考えた後、そうしたいか重に尋ねる。
「ここよりも部屋の方がいいか?重。」
舳丸の質問に、重は首を縦に振る。それなら仕方がないと、舳丸はひょいっと重を抱き上
げた。
「うわっ・・・」
「それじゃあ、鬼さん、義さん。おやすみなさい。」
「お、おう。」
「あんまりやりすぎんなよ。」
「義さんこそ。」
重を抱いたまま、舳丸は自分達の部屋に向かう。酔っぱらっている舳丸はちょっと生意気
な感じになるなあと、義丸は苦笑する。二人を見送った後、義丸はぎゅうっと鬼蜘蛛丸を
抱き締めた。
「ちょっ・・・義丸っ・・・」
「重が可哀想と言いながら、本当はまだ起きている二人をこの部屋から追い出したかった
んじゃないか?」
「違っ・・・」
「ココがもうこんなふうになってるの、弟分には見られたくないもんな。」
「うあっ・・・!」
今しがた義丸にちょっかいを出されていたせいで、鬼蜘蛛丸の熱は少し大きくなっていた。
袴の隙間から手を入れられ、ぎゅっとそれを握られる。あまりに直接的な刺激に、鬼蜘蛛
丸ビクンとその身を震わせた。
「やっ・・だ・・・」
「どうしてだ?ココはもっと触ってって言ってるみたいだぞ。」
「んあっ・・・んんっ・・・ぅ・・・」
一番感じるように触れられ、鬼蜘蛛丸は思わず声を上げる。しかし、あまり大きな声を出
すと、第三共栄丸や他の四功の面々が目を覚ましてしまうので、慌てて手で口を覆う。
「お頭達が起きたら起きたで、別にいいだろ?」
「んんっ・・・」
義丸の言葉に鬼蜘蛛丸は首を横に振る。声を必死で堪えている鬼蜘蛛丸もこの上なく可愛
いと、義丸はさらに興奮していた。焦らすように、しかし、確実に気持ちよくなれるよう
に、義丸は鬼蜘蛛丸の熱を弄る。
「ふっ・・ぅ・・・んっ・・・んんっ・・・!」
顔を真っ赤に染め、手の平で覆った口から甘い吐息を漏らしながら、鬼蜘蛛丸は義丸が強
制的に与えてくる快感に震える。強すぎず、弱すぎない刺激に、鬼蜘蛛丸の頭はだんだん
ととろけていった。
「んっ・・・んんん・・・」
うっとりとした表情で見つめられ、義丸の胸の鼓動はかなり高まっていた。空いている方
の手で鬼蜘蛛丸の手をどけ、あらわになった唇にキスをする。そして、今までより少し強
く鬼蜘蛛丸の熱を擦ってやった。
「んんっ・・・ん―――っ!!」
義丸の口づけに応えながら、鬼蜘蛛丸は熱い雫を放つ。手の平が熱く濡れる感触に、義丸
はゾクゾクする。そのまま後ろも慣らしてやろうと、手の位置を後ろに回すと、鬼蜘蛛丸
が何かを訴えるように義丸の着物をぎゅうっと引っ張った。
「どうした?」
「ハァ・・・これ以上は・・・ダメ・・・」
「鬼蜘蛛丸だけ気持ちよくなってずるいぞ。」
「もう・・・声我慢できないっ・・・続きしてもいい・・・でも、するなら、ここじゃや
だ・・・」
ハァハァと呼吸を乱しながら、鬼蜘蛛丸は必死で義丸に訴える。涙目でそんなことを言わ
れてしまえば、その頼みを聞かないわけにはいかない。とりあえず、手についた蜜を鬼蜘
蛛丸の蕾に塗りたくり、ほんの軽くだけ入口をほぐした後、その手を抜く。
「ひあっ・・・」
「そこまで言うなら仕方ないな。続きは部屋でするか。」
すっかり腰砕け状態の鬼蜘蛛丸をしっかりと腕に抱き、義丸は立ち上がる。そして、眠っ
ている年長メンバーを起こさないように、音を立てずにその部屋から出て行った。
自分達の部屋に戻ると、義丸はゆっくりと鬼蜘蛛丸を下ろし、バサッと布団を敷く。一組
だけ敷かれた布団の上に鬼蜘蛛丸を移動させ、しっかりと障子を閉めた。
「これで、続きしても構わないよな?」
鬼蜘蛛丸の目の前に腰を下ろし、義丸はそう尋ねる。何だかんだですっかりやる気になっ
ていた鬼蜘蛛丸はその質問にコクンと頷いた。袴の紐を完全にほどいてしまい、義丸は鬼
蜘蛛丸の着物を脱がす。特に抵抗することもなく、鬼蜘蛛丸は義丸にされるがままになっ
ていた。
「ここからは、たくさん声を出してもいいぞ。」
ちゅっと鬼蜘蛛丸の額に口づけると、義丸はそう囁く。褌も剥ぎ取られてしまうと、鬼蜘
蛛丸はこれから与えられる快感に胸を高鳴らせていた。
ちゅぷ・・・
「んっ・・・!」
「さっき少し慣らしたから、わりとすんなり入るな。」
「あっ・・・義丸・・・・」
「痛いか?」
切羽詰まったような声で名前を呼ぶので、義丸は手を止めて尋ねる。ふるふると首を振っ
て、鬼蜘蛛丸は義丸を見た。
「そんな目で見られたら、ひどくしたくなっちまうぞ?」
「少しくらいなら・・・いい・・・」
「それなら・・・」
より激しく責められることを望んでいる鬼蜘蛛丸の期待に応えようと、義丸はぐいっと奥
の方まで指を入れる。
「ああぁっ・・・!!」
そのまま何度か出し入れを繰り返していると、入口がひくひくと収縮し始め、指をより奥
へと誘うように蠢く。
「そんなに奥までして欲しいのかよ?」
「そんなこと・・・な・・・い・・・」
「でも、指が奥に引き込まれるぞ?」
「・・・・っ」
言われなくとも自分の身体がそのように反応していることは、鬼蜘蛛丸自身も十分理解し
ていた。それ故、指摘されると恥ずかしくてたまらない。顔が熱くなるのを感じながら、
鬼蜘蛛丸は義丸の腕をぎゅっと掴む。
「して欲しくないのか?」
「だって・・・義丸が恥ずかしいことばっか・・・言ってくるから・・・」
「そんなに嫌ならやめるけど。」
「やめるのは・・・ダメ・・・・」
真っ赤になりながらそう言い、鬼蜘蛛丸はゆっくりと手を離す。初めての時はあれほど嫌
がっていたのに、今ではそんな面影は一切ないなあと、義丸はニヤけてしまう。
「なら、まずは指でもう一度イカせてやるよ。」
ご機嫌な様子で、義丸は鬼蜘蛛丸への愛撫を再開する。内側のいいところをピンポイント
で責められ、鬼蜘蛛丸は甘い悲鳴を上げる。
「ひあっ・・・ああぁっ!!」
「さっきよりもいい感じになってるな。」
「ああっ・・・義丸っ・・・うあっ・・・んん――っ!!」
「その声、最高だな。可愛くて、いやらしくて。」
義丸の指と声にすっかり酔わされ、鬼蜘蛛丸の絶頂感は一気に高まっていく。もう今にも
達してしまいそうな状態になると、鬼蜘蛛丸は何度も義丸の名を口にした。
「ふあっ・・・義丸っ・・・義丸・・・・っ!!」
「そろそろイキそうなのか?」
「あっ・・・も・・・」
ピンと脚を強張らせ、無意識に義丸の着物の裾を握る。そんな限界ギリギリの鬼蜘蛛丸を
しっかり達かせてやろうと、義丸はぐいっと指で中を大きく抉った。
「―――っ!!ああぁ―――っ!!」
背中を仰け反らせ、高い声を上げながら鬼蜘蛛丸は蜜を放つ。先程はあまり声が聞けなか
ったので、そんな鬼蜘蛛丸の声を聞き、義丸はもう我慢出来なくなる。
「ハァ・・ぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
「イったばっかりのところ悪いんだが、こっちも限界なんだよな。」
「あっ・・・ちょっと待っ・・・いっ・・・んんん―――っ!!」
ひくひくと震える入口へ、義丸は熱い塊を容赦なく埋め込む。まだ落ち着いていない身体
にはそれはあまりにも大きすぎる刺激であった。
「ああっ・・・あっ・・・・」
「鬼蜘蛛丸の中、ビクビクしていてすごく気持ちいい。」
「ひっ・・・ぅ・・・ヨシっ・・・・」
大きく胸を上下させながら、鬼蜘蛛丸は義丸を見る。その表情があまりにも煽情的であっ
たため、義丸は鬼蜘蛛丸をもっとひどく責めたいという欲求に駆られる。わざと大きく動
き、自分のモノを途中まで引き抜いた後、先程よりも勢いよく中に挿れた。
「んっ・・・いっ・・・ああぁ―――っ!!」
敏感になっている内壁を激しく擦られ、鬼蜘蛛丸は再度達してしまう。達すると鬼蜘蛛丸
の内側はより大きく収縮し、義丸の熱に大きな刺激を与えた。それの感覚がたまらず、義
丸はその刺激を求めようとする。
「今の・・・すごくイイな。」
「ハァ・・・けど、それは・・・ぁっ・・・」
「分かってる。今のは鬼蜘蛛丸がイったときになるんだよな。」
ひどく興奮した様子で口元を緩ませながら、義丸は鬼蜘蛛丸の中を大きく熱い塊で激しく
何度も擦る。さらに、鬼蜘蛛丸の熱に手を添え、絶妙なリズムでそれを弄った。
「ひっ・・・うああっ・・・ハァ・・・ああぁんっ!!」
許容範囲を超えた大きすぎる快感に、鬼蜘蛛丸は背中を仰け反らせてビクビクと全身を痙
攣させる。一番イイところを擦った後、根本まで楔を埋め込み、柔らかい壁に力強く包ま
れる感覚を義丸は何度も貪った。
「ああぁ――っ・・・義丸っ・・・んんっ・・・ひああぁっ!!」
「ハァ・・・鬼蜘蛛丸の中、気持ちよすぎて・・・本当・・・」
「そんなに・・・弄っちゃ・・・・いっ・・・またっ・・・―――っ!!」
「くっ・・・」
義丸の動きを覚えたそこは、条件反射のごとく義丸の熱が奥まで入るとビクビクと反応す
るようになる。それと同時に、鬼蜘蛛丸は何度も達していた。あまりの快感に、義丸も達
するが、その熱はまだまだその硬さと大きさを保っていた。
「ハァ・・・中、ぬるぬるになっちまったな。」
「あっ・・・義丸っ・・・・俺・・・も・・・おかし・・・・」
「全然おかしくなんかないぞ。だから、なっ?」
「ひっ・・・ダメぇ・・・んんん―――っ!!」
まだまだ足りないと、義丸は先程の責めを再開する。熱いミルクはもうそれほど出ないも
のの、鬼蜘蛛丸は義丸が動くたびに達していた。
「はっ・・・くうぅぅんっ!!」
「鬼蜘蛛丸・・・」
「あっ・・・ひぅ・・・ずっと、気持ちいいの・・・治まらない・・・」
「俺もだ・・・」
「義丸・・・」
「えっ・・・?」
さらなる何かを求めるように鬼蜘蛛丸は義丸に向かって手を伸ばす。そんな鬼蜘蛛丸の仕
草にドキッとしながらも、鬼蜘蛛丸の表情を見て、鬼蜘蛛丸が何を求めているのかを義丸
は理解した。内側を穿つ激しさとは対照的にひどく優しい口づけを義丸は鬼蜘蛛丸に施す。
「ふはぁ・・・」
「鬼蜘蛛丸の中も、声も、その顔も・・・大好きだ。」
「んっ・・・」
義丸は優しくそう囁くと、鬼蜘蛛丸は肉体的な快感とはまた違った心地よさを感じている
ような表情を浮かべる。その言葉を口にしたことで、どちらも先程とは一味違った高まり
を覚える。
「愛してる。」
その言葉を聞いて、鬼蜘蛛丸は初めてしたときのあの感覚を思い出す。頭の中も身体もと
ろけてしまいそうな快感。そんな心地よさを感じながら、鬼蜘蛛丸はふっと口元を緩ませ
る。
「俺も・・・義丸が好き・・・」
「・・・・っ!!」
「一緒にイこうぜ・・・」
「ふっ、そうだな。」
初めてしたときには出来なかった表情で、二人はお互いの顔を見る。最後により深く繋が
ろうと、互いの唇をしっかりと重ね合わせ、両手をしっかりと絡める。身体の一番奥で交
じり合い、心も繋ぎ合わせると、二人は今日一番の絶頂感を感じながら達した。
「やっぱり部屋でしてよかったな。」
「義丸は、向こうでもいいようなこと言ってたじゃねぇか。」
「あのまま向こうでしてたら、さっきみたいな鬼蜘蛛丸の最高にイイ反応が見られなかっ
たなあと思って。」
ニコニコとしながらそんなことを言う義丸に、鬼蜘蛛丸の顔は真っ赤に染まる。
「きょ、今日はもう疲れたから寝る!」
恥ずかしさを誤魔化すかのように、鬼蜘蛛丸は義丸に背中を向けて布団をかぶった。可愛
い反応を見せてくれるなあと、義丸はご機嫌な表情でポムっと鬼蜘蛛丸の頭の上に手を乗
せる。
「今日はすごく楽しかった。おやすみ、鬼蜘蛛丸。」
何気ないそんな言葉でも、鬼蜘蛛丸はどうしようもなくなるくらいドキドキして、嬉しく
なってしまう。義丸に背を向けていた状態を元に戻し、布団から顔を出し、義丸を見上げ
る。
「義丸はまだ寝ないのか?」
「俺はもうちょっと起きていて、鬼蜘蛛丸の寝顔を眺めておくさ。」
「・・・見なくていい。」
「見せてくれてもいいだろ。」
「ダメだとは言ってないだろ。・・・おやすみ。」
義丸の方を向いたまま、鬼蜘蛛丸は目を閉じる。ドキドキしていたものの、さっきの行為
の所為でかなり疲れていたので、すぐに眠りについてしまう。スースーと寝息を立て始め
た鬼蜘蛛丸をしばらく眺めた後、義丸も鬼蜘蛛丸の隣に横になる。
「網問のふざけた提案でこんなことになったけど、何だかんだでよかったな。鬼蜘蛛丸、
本当可愛かったし。」
先程の鬼蜘蛛丸を思い出し、胸を高鳴らせつつ、義丸は笑う。大好きな鬼蜘蛛丸とこんな
ふうに一緒に眠れる幸せを感じながら、義丸は眠っている鬼蜘蛛丸の手をぎゅっと握った。
END.