跡部達がお風呂に入りに行っている間、部屋では鳳がものすごい酔っ払いぷりを発揮して
いた。初めはぼーっとしているだけだったのだが、すっかり酔いが回ってしまったのか、
言動や行動がおかしくなる。
「滝さーん。」
「ん?何、長太郎?」
「宍戸さんと跡部さんはどこ行ったんですかぁ?」
「ああ、二人はお風呂だよ。」
「お風呂?あー、それなら俺も行きたいです。」
かなり上機嫌な様子で鳳は言う。滝は困ったような笑顔を浮かべながら返した。
「でも、長太郎はお酒飲んだからもうちょっとしてからの方がいいと思うんだ。お酒を飲
んですぐにお風呂に入るのは体によくないからね。」
「そうなんですか?滝さん、物知りですねー。」
「そんなことないよ。それより、長太郎寝たりしなくても平気?だいぶ酔ってるでしょ?」
おかしなテンションになっている鳳を見て、滝は言う。しかし、鳳は首を横に振って、普
段は見せないような子供っぽい笑顔で笑った。
「大丈夫ですよー。全然、眠くないですもん。滝さん、この部屋俺と滝さんの二人きりで
すよね?」
「そうだけど。」
「じゃあ、ぎゅうってしてください。」
「へっ?」
いきなり意味不明なことを言い出す鳳に滝はすぐに反応出来ない。すると鳳は両腕を滝の
前に差し出して抱きしめて欲しいというような仕草を見せた。まるで、母親に抱っこを求
める子供のようだ。ベッドの上にペタンと座ってそうしている鳳は滝から見るととても可
愛らしい。自分もベッドの上に座り、確かめるように鳳に尋ねた。
「それって、抱きしめて欲しいってコト?」
「はい!」
あまりに素直に答えるので、滝は唖然としながらも嬉しそうな顔になる。自分より一回り
大きな体を心をこめて抱きしめてやると、鳳は嬉しそうにぎゅうっと滝を抱きしめ返した。
「ありがとうございます。じゃあ、今度は・・・・」
「今度は?」
「キスしてください!」
何の照れもなしにこんなことを言う鳳は普段なら絶対ありえないだろう。さすがお酒が入
っているだけあると、滝は感心する。しかし、こんなチャンスは滅多にないので、鳳に言
われたことは即実行に移した。抱きしめている腕を緩め、鳳の唇に軽く触れるくらいのキ
スをする。すると、何か物足りないというような顔で鳳は滝を見た。
「どうしたの?」
「えっと、このくらいのじゃなくて、いつもしてるみたいにもっともっと気持ちいいキス
して欲しいです。」
おそらく鳳は今自分が何を言っているかを全く理解していないのであろう。そんなことを
言われてしまったら、滝もやる気になってしまう。酔っ払っているので、さすがにそこま
で手を出せないなと考えていたが、ここまで誘うような言葉をポンポンと言われるとそん
な考えもどこかにぶっ飛んでしまった。
「いいの?」
「はい!いっぱいいっぱいしてくださいVv」
にこっと笑いながらそういう鳳に滝をすっかりノックアウト。思わずベッドに押し倒して、
唇を重ねた。いつもより少々激しく、しかし、いつもと同じくらい優しい口づけをしてや
ると、鳳は唇の隙間から吐息混じりの声を漏らす。
「・・・ぅん・・・ぁ・・・」
アルコールの所為か鳳の舌はいつもよりも熱い。その上、日本酒の味がまだ残っている。
滝は自分もお酒を飲んでいるような錯覚にとらわれた。
(うわあ、何か俺の方まで酔ってきそう。)
しばらくお酒の味のするキスを楽しんだあと、滝はいったん起き上がる。鳳は軽く息を乱
しながら、キスの余韻に浸っていた。その表情はいつもより何倍も艶やかで滝を興奮させ
るには充分だった。
(ヤバイなあ。先に進みたくなっちゃった。でも、跡部達がいつ帰ってくるか分からない
し・・・。あっ、そうだ!)
滝は鞄から携帯電話を取り出す。そして、宍戸の携帯にメールを送った。内容は一時間く
らい戻って来ないで欲しいというものだ。これだけ書けば、あの二人なら状況を理解して
くれるだろう。
「よし、オッケー。長太郎。」
「はい。何ですか?滝さん。」
「このあと、進みたいんだけどダメかな?」
今の鳳ならノーという返事は90%ないであろう。案の定、鳳の答えはイエスだった。そ
れもいつもよりかなり乗り気だ。それじゃあと滝は早速鳳の服を脱がしにかかる。さすが
にそれは恥ずかしいと感じるのか少し嫌がる素振りを見せた。
「全部脱ぐのは恥ずかしいですよー。」
「うーん、じゃあ、ボタン外すだけ。」
「それならいいです。」
ボタンを外し終えるとそれ以上は脱がさずにそのまま露わになった肌にキスをする。軽く
触れるくらいでも、鳳はピクンと体を震わせて反応した。アルコールが入っている所為で
いつもより敏感になっているらしい。
「ふ・・ぁ・・・」
そんな鳳の反応を楽しみつつ、滝は特に弱い所をじっくりと攻めてゆく。そのたびに鳳は
声を抑えることなく感じるままの反応を見せた。滝にとってはそれが楽しくて仕方がない。
「ん・・・やぁ・・ぅ・・・」
「今日の長太郎は素直でいいなあ。」
「いつもは・・・違いますか?」
「んー、普段から素直だけど、今日はまた格別にさ。」
「くっ・・ぁん・・・滝さん、さっきからそこばっか・・・」
「あー、ゴメンゴメン。他のとこもして欲しいよね。」
すっかり赤くなった胸の飾りを舌で転がしていた滝だったが、鳳にこんなことを言われ、
今度はズボンの方に手をかける。その瞬間、鳳の顔はカァっと赤くなるが、やめさせる気
は全くないらしい。上半身への愛撫ですっかりそこは固くなっていた。
「こっちもホーント素直だね。」
「滝さん・・・」
「触って欲しい?」
「・・・・はい。」
恥ずかしがりつつも鳳はしっかり頷く。おもしろいなあと滝はそっとそれに触れた。ほん
の少し触っただけでも、鳳は今まで以上の反応を見せる。
「あっ・・・」
「まだちょっと触っただけだよ?」
「でも・・・」
それでも感じてしまうんだと鳳の潤む瞳は訴えていた。このままいつも通りに進めるのも
よいが、跡部達はまだもうしばらく帰って来ない。少しくらい時間をかけてもよいだろう
と滝はわざとじらすように鳳のモノを刺激する。
「んっ・・ぁ・・・あっ・・・」
「長太郎のココ、すごく熱いね。俺の方がドキドキしてきちゃう。」
「た・・滝さん・・・・ふっ・・・う・・・」
「何?」
「ちゃんと・・・してください・・・・」
じらされているのが分かるのか鳳はそんなことを言う。ちゃんとしてるよ?というような
ことを滝は言うが、実際はそうではない。鳳は震える手で滝の服を掴み、上目遣いで懇願
した。
「滝さんっ・・・こんなんじゃ・・・イヤですよぉ・・・・」
「どうして欲しいの?」
分かってはいるが、わざと聞いてみる。意地悪だと鳳は思うが、お酒の所為で頭がそこま
で回らない。いつもなら恥ずかしくて言えないようなことも思いつくままに言ってしまう。
「ちゃんと・・・触って・・・・・もっと気持ちよくして・・もらいたいです・・・」
「そっか。」
こんなセリフ滅多に聞けないよなあと滝は心の中でニヤけまくりだ。鳳がそういうならと
滝はもうじらしはせずに鳳がとにかく気持ちよくなれるようにそれを刺激した。
「あっ・・・ぁん・・・はぁ・・・」
「気持ちイイ?」
「は・・い・・・んっ・・・気持ちイイです・・・・」
あまりにも素直に率直に感想を言ってくれる鳳に滝はドキドキ。このままイカせてしまう
のもいいなあと思ったが、その前に自分のを入れる準備をしないとということで、ズボン
を脱がせ、空いてる手でバックを慣らし始めた。
「ひっ・・・やぁ・・・!!」
「あっ、ゴメン。痛かった?」
「あっ・・・大丈夫で・・す・・・・でも・・・・ぅん・・・」
そろそろイキそうだと途切れ途切れに伝える。それを聞き、滝はいつでも出していいよと
笑顔で言った。
「うあっ・・・もうっ・・・!!」
耐えられなくなり、鳳は滝の手に熱を放つ。体中が熱くて、すっかり頭の中は真っ白だっ
た。
「滝さん・・・暑い・・・ですよぉ・・・・」
「あっ、じゃあ冷房の温度下げる?」
「はい・・・」
滝が冷房の温度を下げにベッドを下りようとすると、鳳は滝の服を掴み、泣きそうな顔で
呟く。
「行かないでください〜。」
「えっ、でも暑いんでしょ?」
「でも・・・滝さんが行っちゃうのはイヤです〜。」
やっぱり酔っ払っている。言っていることが意味不明だ。しかし、滝はしょうがないなあ
と冷房の温度は下げずに鳳の頭をポンポンと撫でた。
「甘えん坊だね。じゃあ、もうそろそろ入れようか。」
平気で滝をそんなことを言う。鳳はコクンと頷き、滝にぎゅうっと抱きついた。
「長太郎、それじゃあ何にも出来ないよ。」
苦笑しながら、滝は言う。
「痛いのはイヤです・・・」
「大丈夫、痛くはしないよ。」
慣らしてあるとはいえども、入れる瞬間はやはり痛い。鳳は苦しそうな声を上げるが、す
ぐにまた甘い声を上げ始める。
「あっ・・・あ・・・あぁんっ!!」
「ハァ・・・意外とすんなり入ったね。」
「滝さ・・ん・・・んん・・・」
「やばっ・・・俺も結構我慢してたからなぁ・・・」
「大丈夫・・・ですか?」
特に痛いとかそういうわけでもないのに鳳は心配そうにそう尋ねる。滝は笑いながら、平
気平気と答えた。
「平気だよ。でも、長太郎の可愛さには負けそう。」
「俺・・・可愛くなんかないですよ・・・」
「可愛いよ。長太郎が可愛いから俺の、こんなふうになるんだもん。」
恥ずかしそうに滝は言った。鳳はニコッと笑って滝の背中に腕を回す。
「滝さんに・・・そう言われるのは・・・・嬉しいです・・・」
「本当?」
「はい・・・俺・・・滝さん大好きですもん!」
「長太郎。」
酔っている勢いで鳳は次から次へと滝が嬉しがるようなことを言う。もう手加減なしでい
っちゃえというようなノリで滝は鳳を攻めた。それでも、鳳が嫌がることはない。むしろ
それを歓迎するかのように自ら腰を揺らした。
「あっ・・・滝さんっ・・・うあっ・・・」
「長太郎っ、くっ・・・!」
一瞬、どちらの声も途切れる。そのあとで抑えられない声を漏らし、二人は同時に達した。
滝はすぐに意識をハッキリさせて鳳から自分を抜くが、鳳は酔ってる所為もあり、そのま
ま意識を失ってしまった。いずれにしても事後処理は滝がやるつもりだったので、まあ、
そのまま寝かせておいてあげてもよいかということで、無理矢理起こすようなことはしな
い。満足気な溜め息を漏らしたあと、滝は鳳の体をキレイにし始めた。
ところ変わってここは展望露天風呂の脱衣室。下の温泉に入り終えた跡部と宍戸は早速こ
こにやってきた。貸し切りに出来るということでこれはなかなか楽しめそうだ。脱衣室に
着くとタオルを置いて、浴衣の帯を解こうと跡部は手をかけた。
「なあ、跡部。」
「どうした?」
「脱がせていい?」
悪戯っ子の笑みを浮かべて宍戸は言う。別にいいけどと跡部は自分の帯から手を離した。
楽しそうな表情で、宍戸は跡部の帯を解いてゆく。帯が外れると浴衣の余っている部分が
バサッと下に落ちた。その瞬間、跡部の肌がある程度あらわになる。
「もういいだろ。」
「おう。よーし、じゃあ俺も脱ごうっと。」
跡部の浴衣を脱がし終えると宍戸は今度は自分の帯に手をかける。しかし、跡部がただそ
れを見守っているわけがない。後ろから抱きしめるようにして、宍戸の帯に手をかける。
「おい、何だよ?」
「何、人のは脱がせておいて自分は自分で脱ごうとしてんだよ?」
「べ、別にいいじゃねぇか。」
「ダメだ。俺も脱がすぜ。」
そう言いながら、跡部は宍戸の帯を解いてゆく。後ろからそうされてるとあって、宍戸に
とってはかなり恥ずかしい。
「お前の脱がし方・・・何かエロい。」
「そんなことないぜ。まあ、どう脱がそうが裸になっちまえば同じだろ。」
というわけで、浴衣を脱いだ二人は露天風呂の方へと入っていく。脱衣室の鍵をしっかり
かけ、開け放たれた外へ出た。夜なのであたりはすっかり真っ暗だが、遠くの方に灯りが
ポツポツと見える。
「おー、ここ眺めいいな。」
「結構高いとこにあんだな。」
「タクシーでだいぶ上ってたじゃん。うーん、でも、ここ涼しくて気持ちいいー。」
外にあるため、涼しい風が直接肌に触れる。さっき温泉で温まった体にはその風がちょう
どよかった。
「よっし、じゃあ入るか跡部。」
「そうだな。」
山からの夜景が見える湯船に二人は浸かった。さっき、髪や体は洗ってしまったので、こ
こではひたすら湯船に入るだけだ。しばらく浸かっているとやはり温泉なだけあり、熱く
なってきてしまう。少し上がるかということで宍戸は湯船から上がった。
「熱ちぃー。跡部、よくそんなに浸かってられるな。」
「あ、ああ。まあな。」
返事はするものの跡部はどこか様子がおかしい。宍戸はそれを不審に思い、足だけ浸かる
状態で湯船の縁に座った。
「どうしたー?跡部。何か変だぜ。」
「別に何でもねぇよ。」
どうやら跡部は何かを隠したいらしい。付き合いの長い宍戸にはそれが一目瞭然だった。
しばらく挙動を観察していると、跡部は必死で自分から目を背けている。どうやら、原因
は宍戸のようだ。自分が原因で跡部がこうなる理由など一つしかない。バシャンともう一
度湯船に浸かり、宍戸はそれを確かめた。
「っ!?」
「やっぱりな。なーに、こんなとこでサカってんだよ?ま、それだけ俺の裸が魅力的って
ことか?」
笑いながら宍戸はそんなことを言う。本当に今日は機嫌がいいらしい。普段の宍戸ならこ
んなことは言わない。跡部は舌打ちをして、宍戸を睨む。
「そんなこと言ってんとここで犯すぞ。」
冗談混じりで跡部は言う。しかし、この言葉に宍戸は意外な反応を見せた。
「別にいいぜ。」
「は?」
「あー、それに別にそれ隠すことねぇだろ。何だったら俺が処理してやるぜ。ほら、いっ
たん上がれよ。」
腕を引っ張り、宍戸は跡部を湯船から出す。そして、湯船の横の柵に跡部を寄りかからせ、
跡部が持っていたタオルを取り除き、いきなり口でし始めた。
「えっ、おい、宍戸!?」
思ってもみない宍戸の行動に跡部は動揺する。その反応がおもしろいのか宍戸はくっくと
笑っている。
「今日のお前、おもしろいな。いつもは無理矢理やらせるくせに。」
「からかってんのか?」
ちょっとムッとしながら、跡部は問う。しかし、宍戸は実に楽しそうに返した。
「そんなことないぜ。ただ、何かこの旅行楽しくてさあ。たまにはこういうことすんのも
おもしろいかなーって。」
あっけらかんとそう言う宍戸に跡部は脱力。本当に気分屋だと思いつつもこんなチャンス
を逃すわけがない。それならば、と宍戸の髪を掴みいつもの俺様口調で言ってやった。
「そうか。それなら、俺も乗ってやるぜ。さあ、まず俺様をイカせてみな。」
急に態度の変わる跡部を見てまた宍戸は笑う。ここまで、乗ってくれると恥ずかしさもな
くなってしまう。言われた通りにしてやるよと宍戸はさっきよりもやる気満々で跡部のを
し始めた。
「ハァ・・・んっ・・・んん・・・」
「いいぜ、宍戸。」
思った以上に気持ちいい宍戸のフェラに跡部はすっかり酔っている。柵に両腕をかけ、時
折空を仰ぎながら、ひたすら与えられるだけの快感に浸る。次第に荒くなってゆく呼吸が
どれだけイイかを物語っていた。
「ハァ・・・」
「ん・・・む・・・」
「宍戸・・・そろそろっ・・・」
限界が来たのか跡部は宍戸の髪を掴み、切羽詰ったような声を上げる。次の瞬間、ドクン
と宍戸の口の中に熱い蜜が放たれた。宍戸は息苦しさから一瞬顔を離しそうになるが、こ
こはあえて我慢をし、跡部が放ったモノを残らずゴクンと飲み込んだ。
「ん・・んんっ・・・・ハァ・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・宍戸。」
呼吸を整えながら跡部は宍戸の名前をこぼす。口元についた白い液を軽く拭ってやると、
跡部はその唇にちゅっと音を立ててキスをした。
「サンキューな宍戸。すげぇ良かったぜ。」
「ホントか!?よかったー。」
「今度は俺がしてやる番だぜ?」
「えっ?」
そう言うと跡部は宍戸の後ろに回り、軽く倒してさっき自分が寄りかかっていた柵に手を
つかせる。何が何だか分からず宍戸はただその通りにするだけだ。すると次の瞬間、双丘
の中心に言いようもない痺れが走った。
「うっ・・あ・・・」
「まだ、ちょっと触っただけだぜ?」
「えっ、あっ、いきなりそっちかよ!?」
「いきなりでもねぇだろ。ほら、指入れてもないのにお前のココひくひくいってるぜ?」
ゆるゆるとそこを指の先で撫で回しながら、跡部はそんなことを言う。宍戸は恥ずかしく
てたまらないが、こればっかりはどうしようもない。何も言い返すことも出来ずにくっと
唇を噛んだ。
「そんなに堪える必要ねぇだろ。素直に反応していいんだぜ。」
「ぅ・・・くぅんっ・・・」
「ちゃんと慣らして欲しいか?」
「ん・・・うん・・・」
中途半端な刺激を与えられながらそんなことを言われれば頷くしかない。宍戸が頷くと跡
部はただ撫でているだけだった指を内側にゆっくりと挿入していった。
「いっ・・・あっ・・・!」
「今日はそんなにキツクねぇな。お前、俺のしながらある程度感じてたんじゃねぇの?」
「・・・・悪ぃかよ・・・」
蚊の鳴くような声で宍戸は呟いた。
「いいや。むしろ、好ましいことだな。」
聞こえてないのかと思ったが、跡部はバッチリ聞き取っていた。それも好ましいとまで言
われるとは思っていなかったので、何となく顔が赤くなってしまう。
「お前が気持ちよさそうにしてると・・・・こっちまでそういう気分になっちまうんだ。」
「俺だって同じだぜ。さてと、そろそろ大丈夫だな。」
慣らしていた指を抜き、跡部は宍戸の腰をしっかりと捉えた。
「えっ・・・!?まだ、早っ・・・ん・・・ああ・・・っ!!」
そんなに長く慣らしてなかったにしては、かなりすんなり宍戸は跡部を受け入れた。一瞬
で自分の内側が跡部でいっぱいになり、意識が飛びそうになる。柵を掴む手もがくがくと
震える。ただ目に入ってくるのは暗闇に光るいくつかの灯りだけだ。
「うあっ・・・跡部っ・・・はっ・・ぁ・・・」
「ハァ・・・なかなかいい感じだぜ。ほら、もうこんなに動ける。」
「ひっ・・・あぁっ!!そ・・そんなに急に動くなぁ!!」
いきなり腰を打ちつかれるように動かれ、宍戸は思わず怒るような口調の声を上げた。し
かし、痛いとかそういうわけではない。跡部と繋がった場所が感じるのはただただ深い快
感のみだ。宍戸の体をしっかりと腕で支えながら、跡部は行為を進めていく。久々に後ろ
から犯され、宍戸も堪えきれない声をとことん上げまくった。
「あっ・・・あ・・・んん・・・ぅ・・・」
「イイ声だぜ。もっと鳴けよ。」
「は・・あ・・・けぇ・・ご・・・・あ・・ん・・・」
無意識にだろうか宍戸は跡部の名前を下のファーストネームで呼ぶ。そんな宍戸がすっか
り気に入って、跡部はさらに動きを激しくした。
「あっ・・・!・・やっ・・・そんなにしたら・・・・」
「どうなるって?」
分かっていながらも跡部は尋ねる。体をしっかりと宍戸の背中に密着させ、耳元で囁くよ
うな形で跡部は宍戸の体を抱きしめていた。
「イ・・っちまう・・・」
「俺もお前のその声聞いてるだけで、イっちまいそうだ。何だったら一緒にイこうぜ、亮。」
「ふっ・・あぁっ!!も、もう・・・・っ!!」
柵を掴む宍戸の手に力が入る。それと同時に跡部も顔を歪ませ、宍戸の中で果てた。ずる
ずると床にへたりこむように宍戸は座った。跡部も自身を宍戸の中から抜くが、余韻が残
っているのか、しばらくは言葉が出てこない。
「激・・・よかった・・・」
「ああ。最高だったな。」
宍戸がふと漏らした言葉に跡部は同調する。どちらも真新しい感覚が残っているままで、
もう一度口づけを交わした。
軽く処理を済ませ、もう一度湯船に浸かりなおした後、二人は部屋へと戻る。自分達の部
屋に戻る前に岳人と忍足に露天風呂が空いたということを知らせようとまずはそちらの方
へに行った。
コンコン
「ウス。」
ドアをノックして出てきたのは、岳人や忍足ではなく樺地。樺地以外はすっかりベッドで
夢の中だ。
「何だよ、寝ちまってるじゃねぇか。」
「別に無理に起こさなくてもいいんじゃねぇ?俺もう疲れちまった。早く部屋帰って寝よ
うぜ。」
「そうだな。じゃあ、樺地、もし仮にこの二人が起きたら言っておいてやってくれ。」
「ウス。」
無理に起こすのも可哀想だということで二人は自分達の部屋へと戻った。部屋に戻ると滝
はお風呂を入る準備をしており、鳳はぐっすりと眠っていた。
「あっ、おかえりー。」
「お前らは終わったのか?」
「うん。バッチリ楽しませてもらった。サンキューな。」
「俺、もう疲れたー。寝るー。」
さっきのことで相当疲れたらしい。ばふっと倒れるように宍戸はベッドに横になった。
「宍戸もお疲れさん。二人も露天風呂で楽しんできたんだろ?」
「まあな。さてと、俺も寝るか。」
「あっ、部屋の鍵は開けておいてね。鍵持ってくの面倒だから。」
「了解。」
宍戸の隣に跡部も横になる。さっきのこともあり、ちょっと気恥ずかしいがこれはこれ
でまた心地はよい。そんなに時間が経たないうちに跡部と宍戸も夢の中に入っていった。
to be continued