『六年生の臨海学校』 〜蜉蝣×疾風〜

「ありがとうございます。助かりました。」
「どうってことねぇよ。俺も便所行ってから、部屋に戻るか。あ、先に戻ってていいから
な。」
厠に案内してもらった仙蔵は、疾風と蜉蝣の二人にお礼を言う。もちろんもともと知って
いたので、表面上だけだ。
「じゃあ、俺も仙蔵くんと一緒に先に戻ってるからな。」
「お前はダメだ!!」
冗談っぽくそう言う蜉蝣に、疾風は腕をがしっと掴んで引き留める。そんな二人を見て、
仙蔵はくすくす笑った。
「それじゃあ、私一人で先に戻ってますね。おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」
「俺が出て来るまで絶対ここを動くなよ!!」
「はいはい。」
疾風が厠に入り、蜉蝣がその前で待つのを、廊下の曲がり角から仙蔵は眺める。
(さてと、あの酒の効果はそろそろ効いてくる頃だし、蜉蝣さんがどうするかによってど
こに移動するかを決めるか。この裏あたりに行ってくれると都合がいいんだけどなあ。)
作法委員である仙蔵は、厠の裏にそういうことをするのにちょっと都合がよさそうなもの
を仕掛けておいた。それを使ったところを見てみたいというのが、仙蔵の希望であった。
「ふぅ、すっきりした。」
疾風が厠から出て来ると、蜉蝣はがばっとその肩を掴み、そのまま外へと連れ出す。あま
りに突然のことであったので、疾風は全く抵抗が出来ないまま厠の裏の庭に連れ出されて
しまった。
「ちょっ、いきなり何すんだよ!?蜉蝣!!」
「何だか急にしたくなってな。部屋に戻るより、こっちに移動した方が早いと思ってよ。」
「こっちって・・・」
厠の裏、すなわち、水軍館の陰となっているため、その場所は他の場所に比べてひどく暗
かった。その暗さが疾風に鳥肌を立たせる。
「ここなら誰も来ねぇし、例え誰かが来たところでこの暗さだ。他の場所でするよりは、
だいぶバレにくいと思うぜ。」
「けどよ・・・ここ、暗すぎだろ。てか、厠の裏だしよぉ・・・・」
ここでするのは怖いというニュアンスを表情と言葉で表現するが、そんな表情は蜉蝣にと
っては可愛い顔というようにしか映らない。そんな蜉蝣の目にとあるものが映った。
(何だ?この縄は・・・。誰かが訓練でもして、そのままになってるやつか?)
蜉蝣の目に留まったのは、木の枝から垂れ下がる一本の縄であった。その縄を見ていて、
蜉蝣はピンとくる。
「疾風。」
「な、何だよ・・・?」
「そんなに怖いんだったら、ちょっとの間目をつぶって、両手を上に上げてろ。」
「は?」
「怖くなくなるようなまじないかけてやるよ。」
意味が分からないと思いながらも、疾風は素直に蜉蝣に言われた通りのことをする。疾風
がそのポーズを取った瞬間、蜉蝣はぐいっと縄を引っ張り、目にも止まらぬ早さで疾風の
腕を縛り上げる。
「うおいっ!!何しやがる!?」
「よし。」
「よしじゃねぇ!!ふざけんなよ!!ちょっ・・・外せよ!!」
「これで、お前はここから動けなくなったな。」
ニヤっと笑って、蜉蝣はそんなことを言う。しばらく腕の縄を外そうとする疾風であった
が、かなり固く結ばれているため、自力で外すということは不可能であった。
「う〜、全然外れねぇ・・・蜉蝣っ、テメェ・・・」
ギッと蜉蝣を睨む疾風であったが、蜉蝣は余裕の表情だ。
「別にどれだけ抵抗したって構わねぇが、あんまりそういうことすると、このままここに
置いてくぜ。」
「っ!!」
「ここはそんなに人の来ねぇ場所だから、誰かが助けに来てくれるのは明日の朝になっち
まうかもな。まあ、その前に妖怪がやってきて、喰われちまうかもしれねぇけどよ。」
疾風の恐怖心を煽るようなことを蜉蝣はわざと話す。そんな話を聞いて、疾風の顔は真っ
青になり、今にも泣いてしまいそうな表情を浮かべる。
「・・・・嫌だ。」
「じゃあ、これから俺の言うことをちゃんと聞くんだぞ。言うこときかなかったら・・・」
「わ、分かったっ!!聞く、蜉蝣の言うこと何でも聞くから!!」
こんな状態で一人にされるなど耐えられないと、疾風は必死にそう口にする。あまりに必
死な疾風に、蜉蝣は声を殺して笑いながら、疾風の袴の紐を解く。パサっと袴が地面に落
ちると、着物も自然と前がはだけた。
「やらしい格好。」
全く抵抗の出来ない状態でそんなことを言われ、疾風は顔を真っ赤にして唇を噛む。そん
な疾風の唇に軽く触れるだけの口づけをすると、蜉蝣はその口を疾風の首元に持っていっ
た。そして、皮膚が切れない程度にその部分を噛む。
「うあっ・・・いっ・・・・!!」
首元を跡がつくほど噛まれ、疾風はぎゅっと目をつぶる。蜉蝣がそこから口を離し、もう
一度唇に触れようとした瞬間、疾風はどうしようもなく胸が高鳴るのを感じる。
(何か・・・すげぇ心臓がドキドキする。怖い・・・とは、ちょっと違うよな?)
蜉蝣に噛まれたことをきっかけに、夕飯の際に飲んだ酒の効果が一気に現れる。動悸が激
しくなるのと同時に、体のいたるところが敏感になる。先程とは少し様子の違う疾風に気
づき、蜉蝣は疾風の頬に手を当て、その理由を尋ねた。
「随分呼吸が乱れてるが、急にどうした?」
「べ、別に何でもねぇよ。ただ・・・ちょっと妙な気分にはなってるかもしれねぇ。」
「妙な気分?」
「と、とにかく、続けるなら続けろよ!!」
まさか今の疾風からそんな言葉が出て来るとは思っていなかったので、蜉蝣は少々驚く。
次はどこを弄ってやろうかと考えていると、疾風の目線がかなりあからさまな部分に注が
れていることに気づいた。
「次はどうして欲しい?」
「えっ・・・?」
「どこを、どう弄って欲しいんだ?」
「あっ・・・」
つつっと肌に指を滑らせながら、蜉蝣はそう尋ねる。それだけでも痺れるような快感が走
るが、疾風が求めているのはそんな中途半端な刺激ではなかった。
(そんな生温い感じじゃなくて、もっと・・・)
うずうずとしながらも疾風はそれを言葉にすることが出来ない。しかし、蜉蝣は疾風がど
うして欲しいのかなど、始めから分かっていた。指の先が白い下帯に触れると、それをぐ
いっと引っ張り外してしまう。
「やっ・・・蜉蝣っ・・・」
「嫌じゃねぇだろ。ココをこんなにしておいて。」
「ハァ・・・なあ、蜉蝣・・・・」
「分かってる。」
下帯に隠れていた疾風の熱は既にある程度の大きさになっていた。そんな疾風の熱が目の
前にくるように座り、蜉蝣は何の躊躇いもなくそれを口に含む。
「ひゃっ・・ああっ・・・・!!」
「お、ちょっと舐めてやっただけで、さっきより硬くなってるぜ?」
「うあっ・・・かげ・・・ろ・・・・」
「せっかくだから、後ろも一緒に弄ってやるよ。」
疾風がかなりよい反応を見せてくれるので、蜉蝣はご機嫌な様子で疾風のそれを舐めなが
ら、後ろの蕾に指を入れる。思ったよりもすんなり疾風のそこは蜉蝣の指を受け入れ、そ
れほど時間をかけずにスムーズに出し入れ出来るようになった。
「あっ・・・ハァ・・・んんっ・・・ああぁ――っ・・・!!」
(いつ聞いても疾風のこういう声はたまらないよな。)
強めにそれを吸いながら、利き手で内側をぐりぐりと刺激する。強すぎるくらいのそんな
刺激に、疾風はギシギシと縄を鳴らしながらその身を揺らした。
「ひあっ・・・蜉蝣っ・・・あっ・・・くぅ・・・んっ・・・!!」
「そろそろイキそうなんだろ?全部飲んでやるから、たくさん出して構わねぇぜ。」
「んっ・・・ひあっ・・・かげろ・・・もう・・・・イクっ・・・あああぁ―――っ!!」
ぐいっと内側で指を曲げるようにしてやると、疾風はビクビクと震えながら蜉蝣の口に濃
いミルクを放った。
(ヤベェ、すげぇ気持ちイイ・・・今日はマジでヤバイかも・・・)
恍惚とした表情で、疾風はその視線を蜉蝣に落とす。疾風の放った精を飲み込んだ蜉蝣は、
満足気な顔で軽く口を拭っていた。
「今日はこれくらいにしておくか。」
「はあ!?」
「何だよ?もうお前はイっただろ?」
「そうだけど・・・アレじゃ足りねぇし・・・・それに、お前はまだイってねぇだろ!」
「足りないのか?」
「ああ、全然足りねぇ!!もっともっとたくさんしやがれ!!」
あまりに率直な疾風の言葉に、蜉蝣はクスクス笑いながらも興奮する。袴の紐を解き、熱
り立っている楔を下帯から出す。そして、疾風の両足を抱え上げると、その中心にその楔
をピタリと当てる。
「あっ・・・・」
それだけでも疾風は期待と興奮の入り混じった表情で、蜉蝣を見る。その表情がたまらな
いと思いながら、蜉蝣は疾風の腰をぐっと引き寄せた。しっかりと慣らされた蕾は、蜉蝣
の楔をしっかりと飲み込み、重力に従って更に奥へと招き入れる。
「くっ・・・ああぁんっ!!」
「お前の重さで、一気に奥まで入っちまったな。」
「ハァ・・・あっ・・・お前の・・・デカイっ・・・」
「そのデカイのを簡単に飲み込んでるのは、どこのどいつだ?」
疾風の言葉に、からかうような口調でそう返しつつ、蜉蝣は疾風の腰をしっかり支える。
そのおかげで縛られた腕にはそれほど負担はかかっていないが、大きな楔を咥えている疾
風の内側は、蜉蝣が少し動いただけでも言いようもない衝撃が走る。
「んっ・・・ああ・・・・」
「動いても平気そうか?」
「・・・おう。」
木に結ばれた縄を揺らしながら、蜉蝣は疾風の体を動かす。疾風の中にある熱がその内壁
を擦り、そんな刺激が蜉蝣を虜にする。
「あっ・・・ひあっ・・・あっ・・・ああ・・・っ!!」
「お前の中、本当気持ちいいぜ。こうしてりゃ、どんなに陸にいても陸酔いなんて忘れる
くらいだ。」
「当然だろ・・・あっ・・んっ・・・・俺の中なんだからよ・・・」
「だったら、もうしばらくこの気持ちよさを味わわせてもらうぜ。」
「ハァ・・・好きなだけっ・・・味わっとけ・・・・」
真っ暗で怖いと思っていたことなどすっかり忘れ、疾風は口元に笑みを浮かべながらそん
なことを言う。疾風からすれば、半分宙に浮いているような状態で、何度も何度も熱く硬
い熱で感じやすくなっている内側を擦られる。ゾクゾクと痺れるような激しく甘い快感。
そんな甘美な感覚に疾風はすっかり落ちていた。
「うあっ・・・んんっ・・・あっ・・・かげろっ・・・・」
「そろそろイキそうかもしれないな。」
「ハァ・・・そのまま、中に・・・」
「中に?どうして欲しいんだ?」
「中に・・・出せよ・・・ハァ・・・蜉蝣の欲しい・・・」
疾風もかなりイキそうになっている状態でそんな言葉を口にする。恍惚としたそんなこと
を言われれば、もう少し持ちそうだと思っていた感じも全くなくなってしまう。ぐっと疾
風の腰を自分の方へ引き寄せ、自らの腰は前へ進める。かなり深い場所で敏感な粘膜が擦
れ合い、二人は果てしない快感と共に真っ白な雫を迸らせた。
「疾風っ・・・・」
「ああっ・・・ああぁ―――っ!!」
トクントクンと互いの心臓の音が重なり、体の奥で体液が混じり合う。そのまましばらく
繋がったまま、二人は深く甘い口づけを交わし合った。
(こんな無理矢理感たっぷりの状態なのに、今日はすげぇよかったかも・・・)
(今日の疾風は、いつもよりちょっと素直でよかったな。もう少しこのままでいてぇなあ。)
「蜉蝣。」「疾風。」
ほぼ同じタイミングで、二人はお互いの名前を呼ぶ。
「何だよ?疾風。」
「お前こそ。」
「もうちょっとこのままでいてぇんだけど、いいか?」
「それ、今、俺も同じこと言おうと思ってた。」
ふっと顔を見合わせて笑うと、二人はもう一度キスをする。もう少し、この甘いひととき
を楽しもうと、蜉蝣と疾風は夜風が吹く中、肌を合わせたままでいた。

「ふむ、拘束してやってるわりには、雰囲気はかなりイイ感じといったところか。水軍の
中では年長組の組み合わせだが、そんな感じはあんまりしなかったな。」
疾風が暗闇やお化けを極端に怖がっていたり、それをネタに蜉蝣が始めたところを見て、
仙蔵はそんな感想を持つ。拘束しながら半強制的にという部分もありつつ、始終甘い空気
を醸し出していた二人の行為を見て、仙蔵は悪くない感じだったとかなりご機嫌な様子だ。
二人が部屋に戻るのを見送ってから、自分も部屋に戻ろうと、しばらく木の上から二人の
様子を眺めていた。

                     to be continued

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