船に乗って海の上に出た義丸、鬼蜘蛛丸、長次、小平太の四人は、船の上から真っ暗な海
を眺めていた。
「ほー、本当真っ暗だ。こんな中見張りとかするんだから、すごいよなあ。」
「明かりは月と星の明かりだけですね・・・」
「だからこそ、夜の海は危険なんですよ。潮に流されないように注意しなきゃいけないで
すしね。」
「今日は船の上で寝ることになるでしょうけど、その場所を先に案内しておきましょうか。」
「あ、はい!」
「・・・お願いします。」
最後まで見張りに付き合わせるわけにはいかないので、義丸は船内の寝ることが出来る場
所に案内する。その間、鬼蜘蛛丸は甲板に残り海の様子を見ていた。
「ここが泊まれる場所です。ところで・・・」
船内にある部屋に案内すると、義丸は小平太と長次にずっと聞きたいと思ってたことを聞
き出そうと、口を開いた。
「はい、何ですか?」
「今日の夕食の時に出してくれたお酒、具体的にはどういう効果があるんです?」
『えっ!?』
思ってもみない義丸に言葉に、小平太と長次はひどく驚いたような顔をする。何故バレた
のかと、二人は顔を見合わせた。
「あのお酒、ただの酒じゃないですよね?体を火照らせる効果とか滋養強壮の効果とかあ
るんじゃないですか?」
「どうして・・・そう思うんですか?」
図星をついてくる義丸に、長次はその疑問をぶつけてみる。
「んー、しいて言うなら味ですかね?わたし、そういう系統の味には敏感なんですよね。」
「だから、義丸さんはあんまり飲んでなかったのかー。酒には強いって聞いてたのに、そ
こまでたくさん飲んでないなあとは思ってたんですよね。」
「まあ、そこまで飲まなければ大丈夫だと思って、少しは飲みましたけどね。その代わり
鬼蜘蛛丸にはたっぷり飲ませましたけど。」
ニヤリと笑って義丸はそんなことを言う。これは完全にバレているなと、小平太と長次は
例の酒の効果を義丸に話した。
「先程、義丸さんが言っていた効果はあります・・・」
「あと、伊作や仙蔵の話では、すごくエッチな気分になるはずって言ってたな。」
「それは飲む量に比例して?」
「もちろんです。だから・・・たくさん飲んでいればいるほど・・・そういう効果が表れ
るのだと・・・」
「ふーん、そっか。それじゃ、鬼蜘蛛丸は相当ってことですね。とりあえず、見ることは
許します。ただし、鬼蜘蛛丸にバレると厄介なんで、気づかれないようにして下さいよ。
それで、効果が表れるのは?」
「もうすぐか、既にくらいです・・・」
「なるほど。それじゃあ、お二人はもう眠いのでここで寝るっていうことにしておきます
んで、ここにいて下さい。わたしは鬼蜘蛛丸のところへ戻りますけどね。」
義丸の言葉が何を意味しているかを理解し、小平太と長次は頷いた。味で気づかれるとは
思っていなかったので、二人はただただ感心するしかなかった。
義丸が甲板へ戻ると、鬼蜘蛛丸は船縁の近くでうずくまっていた。鬼蜘蛛丸がどうしてそ
んな状態になっているのか義丸は百も承知であったが、わざと気づかないふりをして声を
かける。
「どうしたんだ?鬼蜘蛛丸。気分でも悪いのか?」
「・・・義丸。」
顔を上げた鬼蜘蛛丸は、義丸の想像以上に欲情した表情になっており、その表情を見て、
義丸はゾクッとする。
「気分が悪いというか・・・体が熱くて、その・・・」
「熱でもあるのか?」
すぐにでも押し倒したい欲求を抑え、義丸は鬼蜘蛛丸を心配するような口調でそう尋ね、
ペタっと手の平を鬼蜘蛛丸の額に当てる。義丸がほんの少し触れただけで、鬼蜘蛛丸はヒ
クンとその身を震わせ、声を上げた。
「ふあっ・・・」
「熱はないみたいだけど、顔は真っ赤だな。暑いなら着物を脱いでしまってもいいんじゃ
ないか?」
「で、でも・・・」
「ああ、長次くんと小平太くんのことなら気にしなくていいぞ。真っ暗な海を見ていたら
眠くなってきたのでもう休みますと言っていたから。」
それならばと、鬼蜘蛛丸は義丸の言う通り、着物を脱いでしまう。まずは上に来ている着
物を脱いだが、それだけではまだ体の熱は治まらなかった。
(何でこんなに体が火照るんだろ・・・?それになんか・・・)
「下は脱がなくてもいいのか?」
「えっ・・・?」
「脱いだ方が涼しくなると思うぞ。別に俺しかいないんだから、恥ずかしがることもない
だろう?」
自ら脱ぐことを誘導するように義丸は言葉を紡ぐ。普段なら理性が上回り、そんな言葉に
従うことのない鬼蜘蛛丸であったが今回は違った。おずおずと袴の紐を解き、紫色のそれ
を脱ぎ去ってしまう。
「少しは涼しくなったか?」
義丸の問いに、鬼蜘蛛丸は首を横に振る。むしろ、着物を脱いでしまったことにより、よ
りそういう欲求が高まってしまい、体の火照りが強くなる。次第に高まる体が疼く感覚に
鬼蜘蛛丸は耐えられなくなる。その疼きを何とかして欲しいと、鬼蜘蛛丸は真っ赤な顔で
義丸を見上げ、今の状況を口にした。
「義丸・・・こんなところですごくおかしいんだけど・・・いつもお前がしたがることが
・・・したくて仕方ない・・・」
「俺がしたがること?それって、こういうことか?」
鬼蜘蛛丸の頬に手を添え、ちゅっと軽く唇にキスをした後、その唇を首元へと移動させる。
義丸の唇が肌に触れる感覚に、鬼蜘蛛丸は大きな反応を見せる。
「あっ・・・んんっ・・・」
「ふっ、確かにこっちはもうその気になってる状態だな。」
「やっ・・・」
あからさまにその存在感を主張している褌の下のモノをもっとよく見たいと、義丸は唯一
鬼蜘蛛丸の体に纏わりついている白い布をぐいっと引っ張り、それを外へ出してしまう。
「でも、まだおあずけだ。」
「そんなっ・・・!!」
「そんなにして欲しいのか?」
「・・・して欲しい。」
あまりに可愛い顔で自分を求めてくる鬼蜘蛛丸を見て、義丸は嗜虐心をそそられる。こん
なことは滅多にないので、普段の鬼蜘蛛丸なら絶対にしてくれないことをさせてやろうと
義丸はニヤリと笑う。
「して欲しいなら・・・」
「ああ・・・」
「一度自分でして、イクところを俺に見せてくれ。」
「なっ・・・!?」
「別にしなくても構わないが、そしたら鬼蜘蛛丸のして欲しいことは俺からはしないぞ。」
(そんなこと恥ずかしくてしたくないっ・・・けど、そのまま放置されるのは今の状態じ
ゃもっともっと辛い・・・)
例の酒の効果があまりにも強く表れているため、鬼蜘蛛丸はその欲求に抗うことは出来な
かった。羞恥心から涙目になりながらも、自分のモノを利き手で握り、ゆっくりとその手
を動かし始める。
「あっ・・・あ・・・」
「ココも自分で弄ってみろよ。好きだろう?ココを弄られるの。」
胸の突起を指しながら、義丸はそんなことを口にする。一度始めてしまったら、もう途中
で止めることは出来ない。義丸に言われるまま、鬼蜘蛛丸は空いている方の手で胸を弄り
始める。
「んっ・・・あっ・・・ああ・・・」
「いいな。自分が気持ちいいと思うことをどんどんしたらいい。」
「ああっ・・・んんっ・・・義丸・・・」
自ら胸を弄り、熱を擦って高めている状態を義丸に見られているという状況に、鬼蜘蛛丸
はどうしようもなく興奮してしまう。いつもであれば、圧倒的に恥ずかしさの方が勝って
しまい、途中で手を動かすことが出来なくなってしまうのであろうが、今の鬼蜘蛛丸に手
を止めるという選択肢は頭になかった。自分が一番イイと思うところ、自ら刺激し、快感
を高めていく。
「ふあっ・・・あっ・・・あぁんっ・・・!!」
「可愛い、鬼蜘蛛丸。本当たまらない。」
鬼蜘蛛丸が弄っているところには触れないが、少しくらいは鬼蜘蛛丸に触れていたいと、
義丸は鬼蜘蛛丸の頭につけている手拭いを取り、優しく頭を撫でてやった。その瞬間、鬼
蜘蛛丸の体がビクンと跳ねる。
「んんっ・・・んんんっ・・・!!」
「頭撫でられて、感じてるのか?」
「分かんないっ・・・けど、お前に触られると・・・どこもかしこも気持ちよくてっ」
「それなら、俺は頭撫でといてやるよ。」
「あっ・・・あ・・・ふあぁっ・・・」
義丸に頭を撫でられながら、鬼蜘蛛丸は自慰を続ける。明らかにいつもよりいたるところ
が敏感になっているため、鬼蜘蛛丸の頭と体はすぐに溢れんばかりの快感でいっぱいにな
ってしまう。
(頭撫でられるのが、すごい気持ちイイ・・・ああ、中にも触れて欲しい・・・触れたい
・・・)
より大きな気持ちよさを求め、鬼蜘蛛丸は自ら後ろの方にも手を伸ばしていた。先走りの
蜜でその辺りもすっかり濡れており、ほとんど抵抗なく、その入口は鬼蜘蛛丸の指を受け
入れた。
「ひぅっ・・・あっ・・・ああぁ・・・」
「そこまでしてくれるとは、さすが鬼蜘蛛丸だな。」
「義丸っ・・・もっと、頭撫でて・・・」
快感に溺れた表情で、鬼蜘蛛丸は義丸にそう頼む。何ていい表情だと思いながら、義丸は
そのおねだりを聞いてやった。
「んっ・・・義丸っ・・・気持ちいっ・・・」
「自分でしてて、そんなに気持ちいいのか?」
「気持ちいい・・・体全部・・・いろんなとこが・・・」
「やらしいな。でも、鬼蜘蛛丸のそういうとこ、俺は大好きだぞ。」
大好きだと言われ、鬼蜘蛛丸の胸はひどく高鳴る。思わず自分の感じやすいところ弄る手
の動きも早くなり、一気に絶頂へと向かう波が加速する。
「ひあっ・・・ああぁっ・・・ヨシっ・・・あっ・・・ああ・・・!!」
「そろそろイキそうだな。ちゃんと見てるから、思う存分イッていいぞ。」
「あっ・・・もぉ・・・ひぅっ・・・ああぁ―――っ!!」
ビクビクとその身を震わせて、鬼蜘蛛丸は達する。こんな鬼蜘蛛丸を見ることは滅多にな
いので、義丸はひどく興奮し、義丸自身の熱も相当高まっていた。
「よく出来ました。それじゃ、約束通りしてやるよ。それとも、今ので満足したか?」
「いやぁ・・・ちゃんとして・・・義丸・・・」
「そこまで言うなら、しないわけにはいかないな。」
素直に自分を求めてくる鬼蜘蛛丸が可愛くて仕方がないと、義丸は俄然やる気になる。ま
だ、慣らしが足りないだろうと、鬼蜘蛛丸を仰向けに寝かせると、義丸はまず入口のあた
りに手を伸ばした。
「んっ・・・あ・・・」
「思ったよりちゃんとほぐれてるな。これならそんなにたくさんしなくても、俺のを入れ
られそうだ。」
「ふっ・・・あぁ・・・んっ・・・んんっ・・・!!」
少し弄ってやるだけでも、鬼蜘蛛丸は過敏に反応する。この反応はたまらないなあと思い
つつ、義丸はわざと一番イイところを避けて弄ってみた。
「ハァ・・・ヨシっ・・・義丸っ・・・」
「何だ?」
「もっと・・・奥の・・・」
「もっと奥を弄って欲しいのか?」
「あぁっ・・・そうだけど・・・もう少し・・・その・・・」
「どこを弄って欲しいんだ?」
「ひぅっ・・・そこじゃなくて・・・」
一番触れて欲しい部分に義丸が触れてくれないので、鬼蜘蛛丸はもどかしさを感じながら
腰を揺らす。もうちょっと焦らしていたい気もするが、そろそろ一番イイ部分を弄ってや
ったときの鬼蜘蛛丸の反応が見たいと、義丸は鬼蜘蛛丸の希望通りの場所を、器用な指で
ぐいっと刺激してやった。
「〜〜〜〜〜っ!!」
急に一番いい部分に触れられ、鬼蜘蛛丸は声にならない悲鳴を上げる。予想以上に強すぎ
る快感に、一瞬で鬼蜘蛛丸は達してしまった。
「・・・ぁっ・・・ああぁ――っ!!」
「ココに触れて欲しかったんだろ?どうだ?」
「ひっ・・・ああぁっ・・・あっ・・・あああぁ―――っ!!」
「言葉にならないくらいいいのか?なぁ、鬼蜘蛛丸。」
鬼蜘蛛丸が達しているのを分かっていながら、義丸はしつこいくらいにそこをピンポイン
トで刺激する。治まらない絶頂感と強すぎる快感に、鬼蜘蛛丸はビクビクとその身を痙攣
させ、言葉ではなく体で義丸の問いかけに返事をする。
「ひあっ・・・もっ・・・ダメぇ・・・あっ・・・あっ・・・義丸ぅ・・・」
「ココがイイって言ったのは鬼蜘蛛丸だろ?」
「ああっ・・・気持ちイイっ・・・イってるのに・・・もっと気持ちよくなって・・・
ダメっ・・・ダメ・・・」
「わがままだな、鬼蜘蛛丸は。」
鬼蜘蛛丸の反応にニヤニヤしながら、義丸は鬼蜘蛛丸のそこを弄るのをやめ指を抜く。ピ
クピクと体を震わせたまま、鬼蜘蛛丸は呼吸を乱し、力の入っていた体からは一気に力が
抜ける。くたっと横たわっている鬼蜘蛛丸の足を開き、義丸はこの後どうして欲しいかを
鬼蜘蛛丸に問いかけた。
「この後、どうされたいんだ?」
「ハァ・・・義丸の、中に・・・」
「中にどうして欲しい?」
「義丸の・・・中に入れて・・・義丸で、俺をいっぱいに・・・して欲しい・・・」
「分かった。」
ここまで素直におねだりされることはあまりないので、義丸はかなりドキドキしていた。
こんなに効果のあるモノであれば、また是非あの酒を飲ませてしたいと思いつつ、自身を
鬼蜘蛛丸の中へ挿入する。
「んっ・・・あ・・・ああぁ―――っ!!」
「今日の鬼蜘蛛丸の中、すごくいい具合だぞ。」
「あっ・・・義丸っ・・・義丸っ・・・!!」
「可愛いな。本当溺れてしまいそうなくらい。」
鬼蜘蛛丸と繋がる感覚に、義丸は言葉に出来ないほどの高揚感と果てしない心地よさを覚
える。鬼蜘蛛丸の内側は、いつもより妖艶に義丸の熱に絡みつき、より奥の方までそれを
飲み込もうとしていた。
「今日はやけに奥まで誘おうとしてるな。そんなに奥まで入れて欲しいのか?」
「はっ・・・欲しいっ・・・もっとたくさん・・・義丸が・・・」
「いいぞ。思う存分味わえ。」
自分を欲しがる鬼蜘蛛丸の言葉に、義丸は何度も激しく鬼蜘蛛丸の奥を突いてやる。その
たび鬼蜘蛛丸は、甘く濡れた悲鳴を上げ、全身で義丸を感じていた。
「ひあっ・・・ああっ・・・!!あっ・・・ああぁんっ!!」
「ハァ・・・そろそろ一度出していいか?」
「んんっ・・・出・・して・・・」
艶やかな声でそう呟く鬼蜘蛛丸に、義丸の熱は弾ける。中に熱い雫を注ぎ込んでやると、
鬼蜘蛛丸は腰を揺らし、自らも蜜を放った。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ふっ、まだ足りないって顔してるな。」
中に出してもらい、自分も達したものの、鬼蜘蛛丸はひどく物欲しげな顔で、義丸の顔を
見た。自分自身もまだまだ足りていなかったので、義丸はぐいっと鬼蜘蛛丸の腕を引き、
その体を起こした。その衝撃で、中に出されたものが溢れ、鬼蜘蛛丸はピクンとその身を
震わせる。
「ふ・・・ぅ・・・」
「こぼさないように、また塞いでやるよ。鬼蜘蛛丸が嫌だというならしないけどな。」
「・・・して、義丸。」
まだまだやる気満々の鬼蜘蛛丸に、義丸の顔は思わず緩む。今度はもっと分かりやすく見
せつけてあげようと、義丸は長次や小平太がいる部屋に向かって、鬼蜘蛛丸を後ろから抱
きしめるような形の座位で事に及んだ。
「んっ・・・んん――っ!!」
「鬼蜘蛛丸の中、トロトロですごく熱くて、気持ちいい。」
「俺も・・・すごく・・・気持ちいい・・・」
「今日の鬼蜘蛛丸はすごくやらしいな。可愛くてたまらない。」
「何か・・・今日は・・・すごくそういう気分で・・・我慢が出来ない・・・」
「別に我慢なんてしなくていいだろ。俺は鬼蜘蛛丸とこういうことするの大好きだからな。」
「・・・俺も・・・」
「ん?何?」
「俺も・・・義丸とするの・・・すごく・・・好き・・・」
普段は絶対口にしないようなセリフを聞いて、義丸の胸はひどくときめく。もうしばらく
はやめられないなあと思いながら、鬼蜘蛛丸の中を一際大きく抉ってやる。
「ひっ・・・ああぁんっ・・・!!」
「そんなこと言われたら、もっとしたくなっちまう。」
「あっ・・・今日は・・・いつもよりたくさん・・・してもいい・・・」
「それなら、もっともっとたくさんして、存分に楽しもうぜ。鬼蜘蛛丸。」
「ああ・・・」
すっかり快楽に溺れている鬼蜘蛛丸に、義丸も夢中になってしまう。まだまだ夜は長いと
二人はしばらく体を重ね続けた。
「うっわあ、鬼蜘蛛丸さん、超エロい。」
「・・・普段が真面目だから、余計にそう見えるな。」
義丸に案内された部屋から、小平太と長次は最後まで義丸と鬼蜘蛛丸の情事を観察してい
た。いつもとはかなり雰囲気の違う鬼蜘蛛丸と義丸に、どちらもドキドキしてしまう。特
に体位を変えられてからは、より何をしているかが分かりやすくなったため、完全に目が
離せなくなっていた。
「あっ・・・」
「どうした?長次。」
「義丸さんが、今見てメモしたレポートはちゃんと提出するようにって・・・」
鬼蜘蛛丸に気づかれないように、義丸は長次や小平太のいる部屋に向かって口パクでそれ
を伝える。読唇術もある程度出来る長次はそのことにすぐに気づいた。
「さすが、義丸さんだなあ。まあ、バレてる上で見せてもらっちゃったんだから仕方ない
か。」
「そうだな・・・」
まだ心臓のドキドキはおさまっていないが、二人は先程まで見ていたことをメモしたノー
トを読み返す。提出しなければならないのであれば、ちゃんと人が読んでも分かる程度に
はまとめておこうと、二人はお互いにメモしたものを確認し合いながら、それをきちんと
した内容にまとめ始めた。
to be continued