風呂から上がった跡部と宍戸は髪を拭きながら部屋へと入る。跡部の部屋は冷房がきいて
いて、とても心地がいい。
「あー、涼しいー。」
「お前が先に風呂入ってる間につけといたんだ。今日も暑いからな。」
「そっか。それにしても跡部の部屋、やっぱ広っ!!綺麗に整理されてるし。それにこの
ベッド、何でこんなにデカイんだよ。」
跡部のベッドはダブルぐらいの大きさはある。宍戸はそ<のベッドの上にポスンと座った。
「すっげー、ふかふか。いいなー。俺もこんなベッド欲しいー。」
「お前、今日このベッドで寝るんだろ。」
「えっ!!うそっ!これで寝ていいの?」
跡部の言葉の意味を理解せず、宍戸は素直に喜んだ。うれしそうに寝っころがる宍戸の腕
を軽く押さえて跡部は一気に宍戸のズボンをはぎ取る。
「うっわあ!!何すんだよ!?」
宍戸はガバッと飛び起き、パジャマの上着で必死に下半身を隠そうとする。パジャマのズ
ボンはウエストの部分がそんなにきつくないので下着ごと簡単に脱げてしまったのだ。
「別に隠さなくてもいいじゃねえか。」
「跡部の変態!!ズボンと下着返せよ!!」
「返すわけねえだろ、バーカ。それにしても、その格好可愛いぜ宍戸。」
顔真っ赤にして、パジャマの裾をおさえている宍戸はとても受けっぽく可愛らしい。そん
な宍戸に跡部は萌え萌えだった。
「宍戸、上半身がら空き。」
「んっ・・・」
裾を押さえていることで手がふさがっていて、跡部にキスをされても宍戸は抵抗すること
が出来ない。
「ん・・ふぅ・・・んんっ・・・」
口内を舐められ、力が入らなくなる。いつの間にかパジャマの上着も第三ボタンまではず
されていて、さらに乱れた格好となった。
「あ・・・ハァ・・・・」
「キスされただけでそんなに感じてんのか?やらしい顔。さてと、もうそろそろ本番いく
か。な、亮。」
「なっ・・・っ!あっ・・・やめ・・跡部!!」
「お前も俺のこと名前で呼べよ。」
あらわになっている宍戸のモノを跡部はいつものように口に含み、宍戸の反応を見ながら
舐め回す。
「くっ・・・やあ・・ん・・・景吾・・」
名前で呼ばれて、跡部はふっと笑う。そのまま愛撫を続けると宍戸はだんだんと涙目にな
り、喘ぎも大きくなっていく。
「あぁっ・・・ダメ・・そんなに・・・したら・・出る・・・」
「ダメじゃねえだろ。気持ちいいんだろ?」
「うぅ・・・景吾の意地悪・・・・もう・・ヤバイ・・・」
「じゃあ、イッちゃえよ。亮。」
「あぁ――ッ!!」
シーツを握り締め、宍戸は跡部の口の中に熱を放った。跡部はそれをすべて飲み干した。
「お前のやっぱりうまいな。」
(くっそー、いつも俺ばっかり。たまには跡部をあっと言わせてやりたいぜ。)
宍戸は乱れている息をなるべく整えて、真剣な表情で跡部を見つめ、パジャマの腕を軽く
引っ張る。
「何だよ亮。」
「あのさ・・・」
宍戸は思い切って言った。
「俺、景吾のを直接口でしたい。やらせて・・・。」
「・・・・。」
跡部は思ってもみなかった宍戸の言葉に一瞬固まったが、潤んだ瞳で見つめられてそんな
ことを言われれば断れるはずがない。
「別にいいけど。じゃあ、もし俺をイカせられたら、いつもよりもっと気持ちよくさせて
やるよ。」
宍戸は跡部のパジャマに手をかけ、目をつぶり跡部のモノを咥えた。
(跡部が俺にやるみたいにやればいいんだよな。)
跡部が自分にするように宍戸は舌を動かす。いちいち思い出しながらやるので宍戸の方が
興奮してしまう。
「ん・・・ふ・・んくっ・・・ん・・」
(こいつ前よりうまくなってやがる・・・。でも、たまにはこういうのも悪くねえな。)
「いいぜ、亮。なかなか上手いじゃねーか。」
(うわっ、何か俺の方がこれはやべえかも。自分でやってんのに跡部にされてんの思い出
しちゃうなんてサイテーだな。でも、跡部に頭なでられると微妙に感じちゃうんだよな。)
宍戸の頭を撫でながら、跡部の呼吸はだんだんと速くなる。卑猥な音が耳についてさらに
跡部を追い詰める。
「亮・・・もうヤバイ・・・」
「・・・っ!!・・・んんっ・・」
放たれた熱を宍戸は残らず飲んだ。少しむせたが、そんなに不味いとは感じなかった。
「ハァ・・・イカせたぜ景吾。俺だってこれくらいは出来るんだ。」
宍戸は口を手で拭いながら、跡部を見て自信ありげに笑った。
「確かによかったぜ。約束通りお前をいつもよりもっとイカせてやる。」
「わっ・・・」
宍戸は足を持ち上げられ、仰向けに倒れた。跡部は自分の指を舐めて濡らし宍戸の後ろに
差し入れた。
「いっ・・・あ・・」
「何でもうこんなに濡らしてんだよ。もう一本入りそうだぜ?」
「うあっ・・・あぁ・・・」
指の本数を増やすと宍戸の体にさらに強い痺れが走る。
「いい声だな。もっと聞かせろよ。」
跡部は片方の手で抱え上げている足に舌を這わせる。思った以上の刺激で思わず宍戸は高
い声をあげた。
「ああん・・・景吾ぉ・・やだ・・ぁ・・・」
「やだっだって?じゃあ、やめてやろうか?」
からかうような笑みを浮かべ跡部は足から口を離し、宍戸の中を掻き回している指も引き
抜こうとする。
「やっ・・違っ!!ダメ・・・景吾・・やめないで・・!!」
こんなところまで来てやめられたら困ると宍戸は必死で続けてもらおうとねだった。
「嘘に決まってんだろ。ここまできてやめれるかよ。バーカ。」
濡れた音が響き宍戸の頭の中を掻き回す。敏感な足ばかりを攻められ、息が出来ないくら
い心臓が速くなる。
(何かいつもなら、もう入れてもいいころなのに跡部そんな気配すらねえよ。どうしよ、
もう入れて欲しいのに・・・)
跡部は指で慣らすだけで、自分を入れようという素振は全くない。じらされて、宍戸は心
から跡部のモノが欲しいと感じた。
「け、景吾・・・」
「何だよ?」
「もう我慢できねえ・・・早く・・・・俺ん中に来て・・・」
跡部は宍戸の額に軽くキスをして、指を抜いた。
「いいぜ。やっと言ってくれたな。一度、お前に言わせてみたかったんだよ。俺も早くお
前の中に入りてぇ。」
足を抱え上げたまま身を進める。跡部が入ってきたことを全身で感じると宍戸は甘い喘ぎ
を跡部に聞かせる。
「ああっ・・・あ・・・ん・・景吾ぉ・・・」
「お前ん中、熱くてすげえイイ。」
(今日は何にもつけてないはずなのに全然痛くねえ・・・。こんなにイイのって久しぶり
かも・・・。)
「ハァ・・・くっ・・・うん・・」
「あっ、亮。ゴムつけるの忘れちまった。」
「今日はいいよ・・・俺の中で出して・・いいぜ・・・」
「じゃあ、今日は中出しするからな。」
「ああ・・・覚悟しとく・・・・」
何度も腰をうちつけられて、宍戸の意識は幾度も飛びそうになる。そのたびに跡部が何か
を囁くので完璧に意識を手放すということはなかった。
「お前、やっぱり最高。こんなに俺を夢中にさせられんのお前だけだぜ。」
「当たり前だ・・ろ・・・俺だって・・・お前に夢中になって・・んだからよ・・・」
「おあいこってことか。いいなこういうの。」
「お前がそんなこと・・言うなんて・・・珍しいな・・・」
「そうでもねえよ。いつもそう思ってるぜ。ただ言わねーだけ。」
「そっか・・・っ!!景吾・・・俺・・もう・・・あっ・・・・」
うつろな意識の中で交わした会話はまるで夢でもみているような感覚だった。どちらもも
う余裕がなくお互いを強く抱き締める。絶頂に達する直前、跡部は宍戸に囁いた。
「・・・・ぜ、亮。」
始めの方は普通の人が聞いたら、ほとんど聞き取れなかっただろう。だが、耳元で言われ
た宍戸にははっきりとその言葉が頭に響いた。
「景吾――――ッ!!」
身も心も満たされ、二人は同時に達する。その瞬間、二人のあふれるほどの思いが宍戸の
足をつたった。
汚れてしまったシーツを替え、二人はまっさらなシーツの上に横たわっている。
「大丈夫か、亮。」
「跡部、もう終わったんだから名前で呼ぶのやめろよ。」
照れた表情で宍戸は言う。普通の時に名前で呼ばれるのはやはり気恥ずかしいようだ。
「なあ、宍戸。お前、俺とのこういう関係どう思う?」
「別にいいんじゃねえ。俺、嫌じゃないし。」
「でも、お前かなり鳳に気に入られてるみたいじゃねえか。いいのかよ?」
「何でそこで長太郎が出てくんだよ。あいつは俺にとってはただの信頼できる後輩。それ
以上でもそれ以下でもねえよ。それなら、お前だって樺地が・・・。」
「樺地にそういう感情持てるわけねーだろ。」
お互いに自分を慕っている後輩についてかなり自分勝手なことを言っている。これを本人
達が聞いたら相当ショックを受けるだろう。
「つーかさ、跡部ってかなりわがままで自己中だよな。」
「何だよ急に。そしたらお前だって変わんねえじゃねえか。激ダサだなとか人を見下すよ
うなこと言っといて、6−0で負けてレギュラー落ちしたのはどこのどいつだっけ?」
「またそういう傷つくようなこと言う。いいじゃねえか、ちゃんと復帰したんだから。」
「お前が先につっかかってきたんだろ。」
痴話喧嘩になりそうなことを言い合っている二人だが、これはいつものことなのでこれ以
上の言い争いにはならない。
「でもさ、お前って結構優しくて、他の奴らのことちゃんと気にかけてんだよな。」
「今度は褒めんのかよ。」
ころころ変わる宍戸の態度に跡部は半ばあきれる。
「俺、跡部のことうらやましいってずうっと思ってた。テニスも天才的にうまいし、勉強
も出来るし、俺にはないもんいっぱい持ってる。俺はお前に勝てるものが一つもない。」
宍戸はくやしそうだが、自分の好きな人がそんなすごい人だといううれしさもあって微妙
な表情で笑う。
「何言ってんだよ。お前が俺に勝ってるものが一つもないだって?たくさんあるじゃねえ
か。」
「?」
宍戸は跡部の言っていることが理解できない。
「レギュラー落ちしてももう一度這い上がってこれる根性に、テニスにかける情熱。強い
意志に諦めの悪さ。これはどう考えてもお前のほうが俺よりあると思うぜ?」
「跡部・・・。」
驚きの表情と喜びの表情が合わさる。跡部がこんなことを言うとは思ってもみなかった。
「やっぱ、俺、跡部とのこの関係すげー好きかも。」
「何だよ今度は。」
「だって、お互いに悪いトコとかいいトコとかこんなにはっきり言い合えるの跡部だけだ
ぜ。お前の前じゃプライドとか気遣いとかが全然必要なくなって心から気が休まるし。俺、
お前のことすっげえ好きかも。」
「今更何言ってんだ。それにかもじゃなくて、断定しろよな。」
二人はこの柔らかく甘い幸せな雰囲気に包まれ、思わず笑いがこぼれる。こんな雰囲気の
中で心からリラックスできたのとさっきの行為の疲労があいまって、激しい睡魔が二人を
襲った。
「跡部、俺眠い。もう、寝ようぜ。」
「そうだな。じゃあ、最後に・・・」
跡部は寝る前に宍戸の唇にもう一度軽くキスをした。
「おやすみ、宍戸。」
「おやすみ・・・」
二人はお互いの鼓動を感じながら、そのまま眠りについた。
to be continued