Various races World 
〜第7話〜

静かに波の音が響く浜辺で、魚族の甲斐と平古場は得意の武術で、力試しをしていた。ど
ちらもかなりいい勝負だが、海蛇モードになっているため、瞬発力がアップしている平古
場の方がいくらか優勢であった。
「ハアっ!!」
「うっ・・・」
平古場の放った拳がピンポイントでヒットし、甲斐はその場にうずくまる。ちょっと油断
していたなあと、痛みを堪えながら笑って平古場を見た。
「今日は凛の勝ちだな。ギブギブ。」
「よっしゃー!!裕次郎に勝ったー!!」
「海蛇モードだと、じゅんに動き速くなるよなあ。」
「まあ、それが俺の特殊能力やし。」
「動きだけだと、クラゲモードってのはちょっと不利だな。」
「へへへ、言い訳はなしだぜ、裕次郎。」
「わぁーってるって。さーて、軽く海で汗流してちょっと休もうぜ。」
今日の勝負は平古場の勝ちだということを言うと、甲斐は上着を脱いで海に入った。それ
を追うように、平古場も着ている服を全て脱ぎ捨て、バシャバシャと海の中へ入る。
「待てよ、裕次郎ー。」
「別にそんな急がなくてもいいぜ。・・・って、何で全部脱いでるかよ?」
「だって、汗流すんだったら、この方が都合いいだろ。」
「まあ、そうだけどさぁ・・・」
ネオンテトラモードであるならば、下半身が魚の尻尾になってくれるので、何の問題もな
いのだが、海蛇モードだと見かけは普通の人間のままだ。そうなると、なかなか目のやり
場に困ると、甲斐は視線を泳がせた。
「やっぱ、海の中は気持ちいーな。」
「そうだな。」
そんな甲斐の気持ちも知らず、平古場は嬉しそうに笑いながら甲斐の方を振り返る。金色
の髪が、明るい月の光に照らされ、キラキラと輝いていた。全体的にキラキラしている平
古場を前にし、甲斐は若干ムラムラしてしまう。
「なあ、凛。あっちに面白いもんがあるんだぜ。」
「マジで?行きたい!」
「じゃあ、ついて来いよ。」
この時間帯の浜辺は他の種族はあまり近づくこともなく、もともと人気はないのだが、も
っと確実に二人きりになれる場所へ移動したいと、甲斐は平古場を連れて少し離れた岩場
へ向かう。面白いものがあるというのは、もちろん平古場を誘い出すための口実だ。しか
し、そんな甲斐の言葉を疑いもせず、平古場はうきうきとした気分で、甲斐の後について
行った。

月の明かりしかない暗い岩場まで、海水に浸かったまま移動すると、甲斐はさりげなく平
古場の後ろに回った。そして、クラゲモードの能力を指先に集中させると、その指で平古
場の首筋に触れた。
チクっ
「いっ・・・裕次郎、今何し・・・っ!?」
首元に小さな痛みを感じた平古場は、その部分を押さえながら、甲斐の方を振り返る。言
葉を放っている途中で、全身が痺れるのを感じて、平古場はガクンと膝を折る。
「同じ魚族には、軽く痺れが出るくらいの毒だから安心するさー。」
「な、何するかよ!?裕次郎!!」
「だって、凛が誘うような格好で海に入ってくるからさぁ。ちょっとそういうことしたく
なっちまって。」
後ろから平古場の体を抱きしめながら、甲斐は耳元で囁く。クラゲの毒によって、全身が
痺れている平古場にとっては、そんな些細な刺激も敏感に反応してしまう要素になり得た。
「うぁ・・・」
「痺れてる状態で触られると、いつもより感じるだろ?」
そう言いながら、甲斐は平古場の胸の突起をきゅっと抓んだ。甲斐の言うとおり、痺れが
ある状態で触れられると、小さな刺激も大きな刺激に感じられる。
「あっ・・・んんっ!!」
「ココ、どんな感じ?」
「ひあっ・・・んっ・・・裕次郎、そんなとこ・・・弄るなぁ・・・」
「ちゃんと答えないと、やめてあげない。」
平古場の反応がいつもよりよいのを確認しつつ、甲斐は強く抓ったり、指の腹で転がして
みたりと、胸の突起を無駄に弄る。どうにかやめさせたいと思う平古場であったが、体が
痺れているために思うように動くことが出来なかった。
「あっ・・・ひぅ・・・や、やめっ・・・」
「やめない。」
「裕次郎っ・・・」
「泣いてもダメだぜ、凛。むしろ、泣かれた方が燃えるし。」
甲斐の方を向いて涙を見せる平古場であったが、それを見て甲斐はよりやる気になる。素
直にならないと、辛いだけだと悟った平古場は、羞恥心に苛まれつつ、今自分がどう感じ
ているかを口にした。
「・・・そこ触られると・・・ビリビリして・・・・変な感じする・・・から・・・」
「から?もっとして欲しいって?」
「違うしっ・・・ビリビリするの・・・下の方にも伝わって・・・・」
「ふーん。凛はコッチの方を触って欲しいわけね。」
平古場の言葉を聞いて、甲斐はすすっと突起に触れていた手を下の方へ滑らせる。腹筋を
なぞられるような感覚に、平古場はひくんと体を震わせた。
「くっ・・・んんっ・・・!」
水の中に隠れているそれに辿り着くと、甲斐は両手でそれを包み込んだ。少し触れられた
だけでも、ぞくぞくとえも言われぬ快感が全身を駆け抜ける。体全体が粟立つような感覚
に、平古場は甘い吐息を漏らした。
「あっ・・・ハァ・・・」
「水の中でも、すごく熱くなってるの分かるぜ。」
「んん・・・だってよぉ・・・・裕次郎の毒の所為で・・・どこ触られてもゾクゾクする
からさぁ・・・・」
「だったら、ココ擦ってやったら、もっと気持ちイイかもな。」
掌で包んでいるそれを、甲斐はゆっくりと擦り始める。感じやすくなっている身体には、
その刺激が非常に強いものに感じられた。そんな刺激に、動かしづらい腕で甲斐の手を掴
み、平古場は抑えられない高い声を発する。
「ふあっ・・あぁんっ!!」
「どう?気持ちイイ?」
「そんなの・・・聞かなくても・・分かるだろっ・・・!!」
「ちゃんと凛の言葉で聞きたいし。」
「いやっ・・・あっ・・・ひぅんっ・・・!!」
「凛。」
どうしてこんなに恥ずかしいことばかり言わせるのかと思いつつ、耳元で名前を囁かれた
ら言わずにはいられない。
「気持ち・・・い・・・・気持ちいい・・よぉ・・・」
「へへ、最高だぜ、凛。」
平古場の素直な言葉を聞き、甲斐は何とも言えない高揚感に包まれる。このまま一回くら
い達かせてやりたいと、甲斐は熱を擦る手の動きを速めた。その手の動きに比例して、平
古場の絶頂感も高まってゆく。
「あっ・・ああっ・・・ゆうじろっ・・・!」
「凛、イク時はちゃんとそう言えよ?」
「やぁ・・・もっ・・・あっ・・ああぁんっ!!」
「ほら、凛。」
「もう・・・イクっ・・・イっちゃうっ・・・裕次郎ぉっ・・・」
言葉にすることで、感じている感覚がより研ぎ澄まされる。果てしない絶頂感を感じ、平
古場は海の中に熱い雫を放った。掌にその熱を感じ、甲斐の興奮も一気に高まる。
「ふあ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
「凛、じゅんに可愛いし。今日はもっともっとよくしてやるからな。」
そう言いながら、甲斐は尾てい骨のあるあたりから、半透明の一見尻尾のようにも見える
何かを生えさせる。何本かあるそれは、しゅるると平古場の後ろまで伸びてきた。
「凛、岩のところに手ついて、腰突き出して。」
「な、何で・・・?」
「そんなの言わなくても分かるだろ?」
「分かんないし・・・」
「大丈夫、痛いことはしないからさ。」
「う、うん・・・・」
何をされるか分からず、少し不安ではあるが、相手は甲斐だ。そんなにひどいことはしな
いだろうと、平古場は言われた通りのポーズをとる。やりやすい格好になってくれたこと
を確認すると、海中にある双丘の中心に、甲斐は腰のあたりから出ている触手の照準を合
わせた。
しゅるる・・・ぬぷんっ・・・
「ひ・・んっ・・・!!」
「やっぱ、水の中だと違うさー。どんどん奥に入ってくぜ。」
「ひああっ・・・な、何っ・・あっ・・・ああっ!!」
「何だと思う?」
「分かんないっ、分かんないっ・・・!!いやっ・・・ひあっ・・・あぁんっ!!」
何だか分からない得体の知れないものが、どんどん自分の中へと入っていく。そんな恐怖
に平古場はがくがくと下肢を震わせながら、鳥肌を立たせる。
「俺の触手さー。クラゲモードだと、尻尾みたいに出せるんだよな。知らなかっただろ?」
「しょ、触手って・・・じゃ、じゃあ、今、俺ん中に入ってるのって・・・それ・・・?」
「ああ。初めての体験ってヤツだな。」
ニヤっと笑いながら、甲斐は平古場の中に埋め込んだクラゲの触手を動かし始める。しか
も、一本では飽き足らず、入る隙間があれば、何本でも埋め込んでゆく。
「ああぁっ・・・やぁ・・んっ・・・・あっ・・・ひぅんっ!!」
「結構イイだろ?」
「これ・・・すごい・・・奥まで入っちゃ・・・」
「何?もっと奥まで入れて欲しいって?」
「そ、そんなこと・・・言ってなっ・・・ひっ!!」
自由自在に長さも調節出来るので、甲斐は中に入っている触手をさらに奥へと進めていっ
た。今まで触れられたことのない奥をぐにぐにとした触手で弄られ、平古場は未知の快感
に全身を支配される。
「あっ・・あんっ・・・ひあっ・・・ああぁっ・・・・」
「ここまで深いのは、俺のじゃ出来ないからな。ま、この触手も俺のっちゃ、俺のだけど。」
「ゆ、裕次郎っ・・・はっ・・・ひぅっ・・・んっ!!」
「すっげぇ感じてるみたいじゃん、凛。だったら、もっとすごいことしてやるさ。」
なかなかいい反応を見せてくれると、甲斐はかなり上機嫌になる。もっと平古場を気持ち
よくさせてやりたいと、甲斐は中にある触手をまとめて入口近くまで引き抜き、全て抜け
てしまう直前で、再び勢いよく平古場の奥へと戻す。そんなことを、何度も何度も繰り返
した。
「ひああぁぁっ・・・!!んくっ・・・ああぁ――っ!!」
長いストロークと触手の激しい動きに、平古場はこの世のものとは思えないほどの快感を
感じる。今まで感じたことのない感覚に、平古場の体はすっかりハマってしまい、もっと
これを続けて欲しいという欲求が生まれ始める。
「はあぁ・・・ゆ、裕次郎っ・・・・これ・・・すごい気持ちイイよぉ・・・」
「だろ?」
「あっ・・・ひぅんっ・・・これ、もっと・・・もっとたくさん・・・して・・・・お願
い・・・」
「いいぜ、だったらもう一つ大サービス。いいことしてやるさー。」
快感に夢中になり、どっぷりとハマり始めている平古場が可愛いと、甲斐はもう一つサー
ビスをしてやることにする。これもクラゲモードならではのサービスであった。
「ひっ・・・ぅっ・・・!?」
次の瞬間、平古場は自分の内側にビリリと電気が流れるような衝撃が走るのを感じる。あ
まりの衝撃に、平古場はいつの間にか周りの海水をうっすらと白く濁していた。
「な、何・・・今の・・・?」
「超分かりやすく説明すれば、電気クラゲモードって感じさー。まあ、本当に電気が流れ
てるわけじゃないけどな。そんくらいの刺激はあるだろ?」
「うん・・・でーじ・・・イイし・・・」
「なら、今のも入れて、しばらく弄っててやるよ。」
深いところを弄られる感覚、電気が流れるような刺激、触手の激しい動き、その全てが平
古場を深い快楽の海に沈めていった。心も身体もとろけ、平古場は息も絶え絶えに甲斐の
与えてくれる快感に身を委ねる。
「あっ・・・ああ・・・ハァ・・・あっ・・ん・・・」
「大丈夫か?凛。」
「ハァ・・・は・・・平気・・・」
「触手でするのもいいんだけどな、そろそろ俺のコッチの方も限界かなあって思うんだけ
ど・・・・」
あまりに激しく乱れている平古場を見ていて、甲斐はもう暴発してしまいそうな程、熱が
高まっていた。ずるっと平古場の中から触手を引き抜くと、甲斐は荒い呼吸を吐く。その
声色や息遣いから、平古場は甲斐がどれだけ余裕がないかを察した。
「いいぜ。今度は裕次郎の熱くて硬いので・・・して?」
「凛っ・・・」
「あっ・・・でも、その前に・・・」
だいぶ身体の痺れがなくなってきた平古場は、くるりと体の向きを変え、甲斐と向かい合
うような形になる。そして、甲斐に向かって腕を伸ばし、ふっと笑って見せた。
「繋がる時は、顔が見えてた方がいいさー。」
「そうだな。」
自分の首に平古場の腕を回させると、甲斐は平古場の足を抱え上げ、限界まで高まった熱
をすっかり慣らされた蕾に押し付ける。そして、そのまま突き上げるかのように、平古場
の中にその熱を埋め込んだ。
「あっ・・・あぁんっ!!」
「ハァ・・・凛。」
「さっきのも・・でーじよかったけど、コッチの方が・・・裕次郎が入ってるって・・・
感じがするさぁ・・・」
甲斐にしがみつきながら、ほのかに笑みを浮かべて、平古場は呟く。そんな平古場の言葉
を聞いて、甲斐は鼓動が速くなると共に、胸がじんわり熱くなる。
「俺も・・・すっごい凛と繋がってる感じがして、イイ気分だぜ。」
「なあ、もっと動いて・・・?水の中で動きにくいかもしれんけど・・・」
「平気さー。凛がそうして欲しいなら、いくらでも。それから、さっきの・・・」
「さっきの・・・?」
平古場が甲斐の言葉を繰り返した瞬間、先程触手で弄られていた時に感じた電気が流れる
ような衝撃が走る。
「ひあっ・・・ああぁんっ!!」
「これ、コッチでも出来るんだぜ。」
「すげぇ・・・ヤバっ・・・裕次郎ので今のやられたら・・・・俺、もっと裕次郎にメロ
メロになっちゃうかも・・・・」
「大歓迎やし。ま、俺はもう充分凛にメロメロになってるけどな。」
お互いの体に夢中になりつつ、二人はくすくすと笑いながら、甘く深いキスを交わし合う。
もっともっと大きな快感を共に求めようと、二人は触れあう全ての部分から、お互いの熱
を貪り合った。
「ふあぁっ・・・ゆうじろっ・・・あっ・・・ああっ!!」
「凛っ・・・ハァ・・・ぁ・・・」
「裕次郎っ・・・んっ・・・んんぅ・・・」
熱い吐息が漏れる合間に、何度も唇を重ね合わせる。それがまた一体感を高め、二人の気
分は最高潮に向かい、一気に上昇していった。興奮も快感もこれ以上ないというところま
で高まると、どちらも熱い想いを深い海の中に放ち、その絶頂感にしばらく身を沈めてい
た。

もともと海の中でしていたということもあり、後始末はそれほど大変ではなかった。その
場で少し休んだ後、二人は初めにいた浜辺へと戻る。
「んー、何かさっきの勝負より激しい運動してきたって感じになったな。」
「ははは、確かに。でも、気持ちよかったさー。」
素直な感想を口にする甲斐の言葉を聞いて、平古場は何となく赤くなってしまう。しかし、
先程していたことが気持ちよかったと思うのは、平古場も同じであった。
「気持ちよかったのは、俺の方さぁ・・・・」
思わず出てしまった平古場の本音を甲斐は聞き逃さなかった。
「じゅんになぁ?」
「うっ・・・聞こえてたのかよ?」
「あったりまえさー。凛の言葉を俺が聞き逃すわけないやし。」
「言わなきゃよかったし。」
まさか聞かれているとは思っていなかったので、平古場は恥ずかしさからそっぽを向いて
しまう。
「何でそんなに恥ずかしがってるかよ?」
「だってよぉ・・・・」
「まあ、照れてる凛も可愛いけど。」
ニッと笑って、甲斐は平古場の頭をわしゃわしゃと撫でる。甲斐に触れられるのが、嬉し
くもあり、恥ずかしくもあり、平古場は手を払うことはしないが、少し不機嫌気味な口調
で文句を言う。
「髪がぐしゃぐしゃになるだろー!!」
「後で梳いてやるから、気にすんな。」
「もー・・・」
結局平古場は甲斐の好きなようにさせてしまう。しかし、やられっぱなしでは気が済まな
いと、甲斐の帽子をパッと外し、平古場は甲斐の髪をぐしゃぐしゃにした。
「わわ、何かよ!?」
「お返しさー!」
「やったなー!!」
「裕次郎が先にしてきたんだろー?」
やってはやり返しで、二人はじゃれ合うようにお互いの髪をぐしゃぐしゃと掻き撫でる。
お互いにそれをやめた時には、もうどちらの髪の毛も乱れまくっていた。
「ふっ・・・」
「ふふ・・・」
『あははは、変な髪〜!!』
どちらもお互いの顔を見て大笑いする。こんな些細なおふざけでも楽しくてたまらない。
静かな波の音だけが聞こえる夜の浜辺に、二人分の笑い声がいつまでも響いていた。

                     to be continued

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