Happiness of Christmas 3

雪のようにふわふわとした気分のままお風呂から上がると二人は寝室へと直行した。同じ
ような色のバスローブに身を包み、風邪をひかないようにとしっかりと髪を拭きながら、
普通のベッドより少し大きめなベッドの上に腰掛ける。
「さっぱりしたね。長太郎。」
「はい。」
笑顔で返事をする鳳だが、二人の間にはどこかいつもと違う雰囲気が漂う。シルバーの髪
の毛に触れながら滝はしっかりとベッドの上に乗るように鳳を促した。鳳がベッドの上の
部分に寄りかかるようにして座ると自分もその目の前に座るようにベッドに上がる。
「何かさっきのキスがまだ抜けきってないや。すごくドキドキしてる。」
「俺もっスよ。だって、こんなに近くに滝さんがいるんですもん。」
「電気消した方がいいよな?」
「そうっスね。ここにあるキャンドルだけつければきっとキレイですよ。」
ベッドの横にある赤と緑のキャンドルに目をやりながら鳳は言う。その意見に滝も賛成で
いったんベッドから下り、電気を消しに行く。そして、クリスマスカラーのキャンドルに
火をつけた。オレンジ色の淡い光だけが二人のベッドを照らし出す。
「キレイだね。」
「はい。」
「今日はさ、クリスマスだからうんと優しくしてやるぜ。」
「滝さんはいつも優しいっスよ。」
照れながらそう言う鳳の唇に愛情いっぱいの接吻を施す。それを受け入れるがごとく、鳳
は静かに目を閉じた。しばらく、お互いの存在を確かめ合うように唇を重ね合わせている
と自然に体が熱くなってくる。そんな感覚も心地がいいと二人はなかなかお互いに離れよ
うとはしなかった。
「ハァ・・・」
「長太郎の顔、サンタさんの服の色みたい。真っ赤で可愛い。」
「そんな・・・真っ赤ですか?」
「うん。俺のキス気持ちよかった?」
「・・・・はい。」
恥ずかしそうに頷く鳳は普段よりもずっと幼く見える。もっと可愛い顔が見たいなあと滝
はバスローブの境目の部分から手を入れ、軽く足を撫でてやる。それだけで鳳はあからさ
まな反応を滝に見せた。
「あっ・・・・」
「足、感じるの?このへんとかはどう?」
「ふっ・・・うっ・・・・」
ゆっくりと内腿を撫でるように手を動かすと、ピクンと鳳の身体は震えた。
「もっと、足開ける?」
「恥ずかしい・・・スよ。」
「大丈夫だよ。まだ、あからさまには見ないから。」
「でも・・・」
お風呂から上がるとき、鳳は滝に下着を着させてもらえなかった。だから、自ら足を開く
というのが恥ずかしいのだ。だが、滝はうまく手を動かし自然と開かざるをえない状況を
作る。今そのままで届くギリギリのところを撫で上げ、焦らすような感覚を与えるのだ。
「あっ・・・ん・・・ぅ・・・・・」
「ほら、もっといいとこに触って欲しいだろ?」
小さく息を乱して、鳳は素直に足を開いた。そこまで手が届くようになるともうだいぶ熱
を持っているそれを手の平でそっと包む。
「んっ!!」
「すごく熱くなってる。ほら。」
「やっ・・・あ・・・ダメ・・・ですよぉ・・・」
軽く擦るだけで、鳳のそれはあからさまに滝の手の中で大きくなる。敏感な先端を刺激し
てやると吐息に混じるその声はさらに高く艶かしいものに変わる。
「あっ・・・あん・・・やぁ・・・・」
「可愛い、長太郎。もっといい顔見せて。」
今日はずっと顔を見ていたいと滝はとにかく鳳と向き合う形で行為を進める。出来る限り
のテクニックを駆使して滝は鳳を鳴かせた。
「んっ・・・あっ・・・滝・・さんっ・・・はぁっ・・・」
「すごい。長太郎のここもうかなり濡れてる。」
「やっ・・ん・・・・そんな・・・・ああっ・・・」
先走りの蜜で滝の手はもうかなり濡れている。その手を今度は後ろの方に持っていった。
初めは焦らすように入り口だけを擦り、だんだんと開いてくるのを見計らい指を中に入れ
る。掻き回すように慣らしていくと、鳳は首を仰け反らせ抑えることの出来ない声を上げ
た。
「はっ・・・ああ!!・・・滝・・さん・・・やっ・・あ・・・・」
「キレイだよ。ここも熱くて挿れるのがすごく楽しみ。」
滝は鳳のバスローブの紐を解いた。まだ、いろいろな部分に引っかかって見える肌は少な
いが逆にそれがまた扇情的で滝の視覚を刺激した。
「あっ・・・も・・・はっ・・・・」
シーツを握り締め、うつむきかげんになる鳳を見て、滝はもうそろそろ限界なのだなと悟
る。素直にイカせてあげようと空いている方の手で触れるのはやめていたそこをもう一度
擦ってやった。その瞬間、真っ白な熱が滝の手の中に放たれる。
「あっ・・・ああ――っ!!」
あからさまにこの時の顔を見たのは、滝にとって久々のことだった。思った以上に色っぽ
いその表情に言葉を失う。ドキドキと鼓動が早くなるのを感じて、滝は息を飲んだ。
「ハァ・・・ハ・・・ハァ・・・」
「久しぶりにまともに見たけど、長太郎のアノ時の顔ってすごく色っぽいね。こっちまで
イキそうになっちゃう。」
「そんな・・・恥ずかしいこと普通に言わないでくださいよ。」
「ゴメン、ゴメン。」
鳳が照れながら怒ったような口調で言うので、滝は思わず謝る。涙に濡れた顔を軽く拭っ
てやると今度は鳳が積極的に動き出した。
「なんか俺ばっか、やってもらっちゃってるみたいで悪いです。だから・・・・」
「えっ?」
重い身体を起こすと自分が今座っていた位置に滝を移動させる。そして、バスローブの紐
を解き、あらわになった滝のそれを躊躇もなしに口に含んだ。
「うっ・・わ・・・ちょ、長太郎!?」
「・・・んぅ・・・・んん・・・ん・・・」
「んっ・・・く・・・」
突然のことに滝は動揺しまくり。必死で声は抑えているが、気持ちいいのは確か。自然と
息が乱れてきてしまう。だが、すぐに冷静さを取り戻しある程度のところまでくると、落
ち着いた口調で鳳にやめるように言った。
「長太郎、もういいよ。そこまでやれば十分。」
「ふ・・・ハァ・・・もういいんですか?」
ちょっと残念そうに鳳は言う。もうちょっとしていたかったなあというニュアンスがいっ
ぱいだ。
「せっかくだからさ、今日は少し騎乗位チックにしない?」
「えっ・・・騎乗位っスか?」
騎乗位ということは自分が滝の上に乗るということで、それは少し無理があるのではない
かと不安になる。
「でも、俺の方が断然大きいですし、少し無理があるような・・・・」
「大丈夫だよ。俺だって一応男なんだからさ。それに完璧なやつじゃないから。」
「どういうことっスか?」
「俺はこう座ったままでいるから、長太郎は自分で俺のを挿れる。これなら俺にそんなに
体重かかんないし、思いっきり抱き合えるからいいと思うんだ。」
「自分で挿れなきゃ・・・ダメなんスよね?」
「長太郎なら出来るって。」
満面の笑みで滝は言う。鳳からすればそれは結構勇気がいることだとかなり頭の中で葛藤
中。だが、こんなとこで滝に頼ってばっかでどうすると心を決めた。
「分かりました・・・。滝さんは本当に大丈夫ですよね?」
「うん。平気。ほら、おいで長太郎。」
鳳に向かって手を伸ばす滝の表情は実に楽しそうだ。伸ばされている滝の足を跨ぎ、鳳は
大きく深呼吸をした。気持ちを落ち着かせようとしてしたことなのだが、次の行動のこと
を考えると意識とは逆に心臓がドキドキと速くなる。そんな鳳の様子を察してか、滝は銀
色の髪で覆われた頭をくしゃっと撫でて、優しい言葉をかけた。
「ゆっくりで大丈夫だから。落ち着いて。」
「・・・・はい。」
鳳は覚悟を決め、ゆっくりと腰を落とした。滝のモノがそこに触れるとビクッとして一瞬
動きを止める。だが、ここまできたらもう逃げられない。そのまま、さらに腰を下へと下
げた。思っていたほどの衝撃はない。むしろいつもより自然に鳳の蕾は滝を受け入れてい
った。
「うっ・・・あ・・・」
「そう、その調子。まだいける。」
「ハァ・・・ぅ・・・んん・・・・はっ・・・・」
「上手だぜ。あともう少しだ。頑張れ。」
最後まで挿れるように滝は鳳を促す。身体を震わせながらも鳳は滝に言われるまま自ら奥
の奥まで入るように努めた。一番最後まで入ると力が一気に抜ける。
「んんっ!!・・・あっ・・ハァ・・はっ・・・ハァ・・・」
「えらいよ、長太郎。あとは俺に任せて。」
囁くように耳元で囁く。かなりの質量のものが埋め込まれ鳳は呼吸をすることもままなら
ない。ベッドのバネを利用し軽く揺すってやるとしがみつく手に力がこもるのが感じられ
た。
「やっ・・・あ・・ぅ・・・ん・・・はぁ・・・」
「長太郎の中、すごくイイよ・・・。溶かされそう。」
「滝さん・・・これ・・・ヤバイっスよぉ・・・・」
「うん。いつもより簡単に奥までいっちゃう。」
「これ・・・奥が・・・ん・・ああ・・・っ」
いつもとは一味違う感覚に二人はどちらも余裕をなくしてしまっている。体位の関係で重
心がもろに接合部にかかってしまうのだ。そうなると、自然と滝の熱は鳳の奥深くまで入
り込む。その感覚が快感に変わるのにそう時間はかからなかった。
「あっ・・・ん・・・滝・・さ・・・・」
「どうしよ・・・気持ちよすぎ・・・・」
「熱っ・・い・・・ですよ・・・・」
「本当。最高にね。なあ、長太郎も動いて。もっと、一緒によくなろうぜ。」
「・・・っ・・・は・・・い・・・」
滝が揺らすのに合わせ、鳳も自ら気持ちよくなろうと懸命に腰を揺らす。目から溢れる涙
と口から漏れる喘ぎはとどまることを知らない。滝の息もかなりあがっていた。何度かキ
スを交わすと耐えきれない程の絶頂感が二人を襲う。
「あっ・・・ハァ・・・あぁ・・・滝・・さ・・・もう・・・んっ・・・」
「ハァ・・・俺も・・・もう無理っ・・・」
お互いの身体を支え合うかのように二人は強く抱きしめ合った。触れ合う部分は全て濡れ
ている。果てしない快感と深い一体感を感じながら二人は高みへと達した。キャンドルの
火が揺れる。それは二人の淫らなシルエットをしっかりと映し出していた・・・・。

濡れた体を温かいタオルで拭くと、滝も鳳もバスローブを脱いでしまってパジャマに着替
えた。満足感を伴う心地のよい疲労は二人を布団の中へと誘う。暖房のきいたこの部屋は
冬の寒さなど微塵も感じさせない。そんな中でいまだ夢見心地の二人は疲れた体をしっか
り横たえて、この甘くぬくもりいっぱいの雰囲気を楽しんでいた。
「もうそろそろロウソクなくなっちゃいそうですね。」
「うん。でもそろそろ寝るんだからちょうどいいんじゃない?」
「俺としては、もう少し起きてたい気がするんですけど。」
「早く寝ないとサンタさん来てくれないよ。」
クスクスと笑ってそんなことを言う。鳳は子供扱いしないでください〜とぷうと頬を膨ら
ませた。
「俺、もうそんなガキじゃないっスよぉ。」
「あはは、冗談冗談。長太郎、可愛いからついからかいたくなっちゃうんだよね。」
「ひどいっスよ、滝さん。それに俺のサンタさんはもう目の前にいますか、他にはいり
ません。」
堂々とそう言う鳳の顔はほのかに赤い。その言葉の意味を理解して、滝も思わず赤くなっ
てしまった。
「それって、俺のこと?」
「はい。滝さんは俺の望むものみんなプレゼントしてくれる最高のサンタさんです。」
「長太郎・・・。」
「だから、今日は俺のお願い聞いてくれませんか?」
少し声のトーンを落として、鳳は控えめに尋ねる。鳳から何かをお願いしてくるというこ
とはあまりないので、滝は快く頷いた。
「いいよ。俺は長太郎だけの専属サンタだからね。それでご要望は?」
実に楽しそうに滝は言う。鳳は躊躇いがちに自分の希望を話した。
「今日は、手を繋いで寝てくれませんか?」
「そんな簡単なことでいいの?」
「はい。今日はもう滝さんから本当にたくさんのものをもらったんで。本当はこんなこと
を頼むのなんて贅沢すぎることだと思うんですけど・・・・。」
「全然そんなことないよ。」
滝は布団の中にある鳳の手をぎゅっと握った。初めはどうしようかと迷うような仕草をす
るその手は滝の手をしっかりと握り返す。
「このままずっと離したくないな。」
「俺もです。でも、やっぱり離さなきゃダメな時はありますよね。」
「うん。でもさ、たとえ手を離れちゃっても、気持ちさえ離れなければ何にも問題ない。
俺はずっと長太郎の側にいるからね。」
「ありがとうございます・・・。俺の気持ちも絶対変わりませんから。これからも一緒に
たくさん楽しいことしていきましょうね。」
「そうだね。」
二人にとっては当然のことではあるが、クリスマス・イブという特別な日。今日はあえて
それを確認する。二人の目には今お互いしか映っていない。今も未来も側にいると約束を
交わした二人には怖いものなどきっと何もないのであろう。

                                END.
               跡宍へ     岳忍へ

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